JP2014191885A - フラットケーブル及びその製造方法 - Google Patents

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得天 黄
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Abstract

【課題】端末加工時に絶縁層が裂けることが無い配線作業性に優れたフラットケーブル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】並列に配置された複数の絶縁電線11を備えるフラットケーブル10において、複数の絶縁電線11は、導体12と、導体12の周囲に形成された絶縁層13と、絶縁層13の周囲に形成されると共に絶縁層13よりも融点が低い融着層14と、を備え、融着層14を介して互いに融着されているものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、配線作業性に優れたフラットケーブル及びその製造方法に関する。
ハイブリッド自動車や電気自動車にはバッテリとして二次電池が搭載されており、この二次電池の周辺に配線される二次電池用配線材としてフラットケーブルが用いられている。
一般に、フラットケーブルとしては、所定の間隔で並列に配置された複数の導体を絶縁フィルムによってシート状に被覆したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このフラットケーブルを二次電池用配線材として用いる際には、導体間に位置する絶縁フィルムに切り込みを入れ、根元を残して切り離した導体を所定のバスバに溶接して二次電池へと配線していた。
また、図2に示すように、その他のフラットケーブル20としては、絶縁層21がフッ素樹脂からなる複数の絶縁電線22を並列に配置すると共に、絶縁層21同士を互いに融着させたものが知られている。このフラットケーブル20を二次電池用配線材として用いる際には、融着された絶縁層21の一部を剥がして複数の絶縁電線22のそれぞれを分岐し、これらを二次電池へと配線していた。
特開2010−114025号公報
しかしながら、何れのフラットケーブルにおいても、切り込みを入れたり絶縁層の一部を剥がしたりする端末加工時に絶縁フィルムや絶縁層が裂けてしまうことがあり、絶縁フィルムや絶縁層から導体が露出して電気的な短絡や絶縁不良といった問題が生じる虞がある。
そこで、本発明の目的は、端末加工時に絶縁層が裂けることが無い配線作業性に優れたフラットケーブル及びその製造方法を提供することにある。
この目的を達成するために創案された本発明は、並列に配置された複数の絶縁電線を備えるフラットケーブルにおいて、複数の前記絶縁電線は、導体と、前記導体の周囲に形成された絶縁層と、前記絶縁層の周囲に形成されると共に前記絶縁層よりも融点が低い融着層と、を備え、前記融着層を介して互いに融着されているフラットケーブルである。
前記導体は、伸びが10%以上、引張強度が190MPa以上の軟銅線からなると良い。
前記絶縁層は、フッ素樹脂からなり、前記融着層は、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、又はポリウレタン樹脂からなると良い。
また、本発明は、導体の周囲に絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層の周囲に前記絶縁層よりも融点が低い融着層を形成して絶縁電線を形成する工程と、複数の前記絶縁電線を並列に配置すると共に前記融着層の融点以上且つ前記絶縁層の融点未満の温度で加熱して前記融着層を介して互いに融着させる工程と、を備えるフラットケーブルの製造方法である。
前記導体は、伸びが10%以上、引張強度が190MPa以上の軟銅線からなると良い。
前記絶縁層は、フッ素樹脂からなり、前記融着層は、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、又はポリウレタン樹脂からなると良い。
本発明によれば、端末加工時に絶縁層が裂けることが無い配線作業性に優れたフラットケーブル及びその製造方法を提供することができる。
本発明に係るフラットケーブルを示す断面模式図である。 従来技術に係るフラットケーブルを示す断面模式図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
先ず、フラットケーブルについて説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係るフラットケーブル10は、並列に配置された複数の絶縁電線11を備えるものであり、複数の絶縁電線11は、導体12と、導体12の周囲に形成された絶縁層13と、絶縁層13の周囲に形成されると共に絶縁層13よりも融点が低い融着層14と、を備え、融着層14を介して互いに融着されていることを特徴とする。
導体12は、伸びが10%以上、引張強度が190MPa以上の軟銅線からなることが好ましい。これにより、融着された融着層14の一部を剥がして複数の絶縁電線11のそれぞれを分岐すると共に所定の形状に屈曲させたときに、その形状を崩すこと無く維持することができる。そのため、複数の絶縁電線11のそれぞれを接続箇所に対応した形状に屈曲させておけば、配線作業時に一括して接続箇所に対する位置決めを行うことができ、配線作業性をより向上させることが可能となる。
絶縁層13は、耐熱性・耐寒性に優れたエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、又はテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂からなることが好ましい。ハイブリッド自動車や電気自動車中に配線される二次電池用配線材には、−40℃から105℃までの温度範囲に亘って電気的な短絡や絶縁不良といった問題が生じないことが規格として求められているからである。
更に、融着層14は、フッ素樹脂に比べて融点が低いポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、又はポリウレタン樹脂からなることが好ましい。融着層14同士を互いに融着させたときに絶縁層13までもが溶融して電気的な短絡や絶縁不良といった問題が生じないように、融着層14の融点を絶縁層13の融点よりも低くする必要があるからである。また、ポリ塩化ビニル樹脂等はフッ素樹脂に比べて軟らかいため、ポリ塩化ビニル樹脂等で融着層14を形成することで、融着された融着層14の一部を容易に剥がすことができ、更に複数の絶縁電線11が曲げやすくなり、配線作業性を向上させることができるからである。
なお、融着層14はあくまで配線作業性を向上させるためのものであり、配線作業後は融着層14が裂けたり劣化したりしてもフラットケーブル10の電気特性に何ら影響を与えることは無いので、必要以上に高性能で高価な材料で形成する意味は無い。
次に、フラットケーブルの製造方法について説明する。
本実施の形態に係るフラットケーブル10の製造方法は、導体12の周囲に絶縁層13を形成する工程と、絶縁層13の周囲に絶縁層13よりも融点が低い融着層14を形成して絶縁電線11を形成する工程と、複数の絶縁電線11を並列に配置すると共に融着層14の融点以上且つ絶縁層13の融点未満の温度で加熱して融着層14を介して互いに融着させる工程と、を備えることを特徴とする。
導体12の周囲に絶縁層13を形成する工程、及び絶縁層13の周囲に絶縁層13よりも融点が低い融着層14を形成して絶縁電線11を形成する工程では、押出成型等によって絶縁層13や融着層14を形成する。
複数の絶縁電線11を並列に配置すると共に融着層14の融点以上且つ絶縁層13の融点未満の温度で加熱して融着層14を介して互いに融着させる工程では、融着層14の融点以上且つ絶縁層13の融点未満の温度で加熱して融着層14のみを溶融させる。これにより、絶縁層13は溶融しないため、絶縁層13と融着層14の独立性が保たれる。
これまで説明してきたフラットケーブル10によれば、複数の絶縁電線11が絶縁層13よりも融点が低い融着層14を介して互いに融着されているので、絶縁層13と融着層14とが融着しておらず独立した2層構造となっており、融着された融着層14の一部を剥がしても絶縁層13に亀裂が進展することは無い。
従って、本発明によれば、端末加工時に絶縁層13が裂けることが無い配線作業性に優れたフラットケーブル10及びその製造方法を提供することができる。
10 フラットケーブル
11 絶縁電線
12 導体
13 絶縁層
14 融着層

Claims (6)

  1. 並列に配置された複数の絶縁電線を備えるフラットケーブルにおいて、
    複数の前記絶縁電線は、
    導体と、
    前記導体の周囲に形成された絶縁層と、
    前記絶縁層の周囲に形成されると共に前記絶縁層よりも融点が低い融着層と、
    を備え、
    前記融着層を介して互いに融着されていることを特徴とするフラットケーブル。
  2. 前記導体は、伸びが10%以上、引張強度が190MPa以上の軟銅線からなる請求項1に記載のフラットケーブル。
  3. 前記絶縁層は、フッ素樹脂からなり、前記融着層は、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、又はポリウレタン樹脂からなる請求項1又は2に記載のフラットケーブル。
  4. 導体の周囲に絶縁層を形成する工程と、
    前記絶縁層の周囲に前記絶縁層よりも融点が低い融着層を形成して絶縁電線を形成する工程と、
    複数の前記絶縁電線を並列に配置すると共に前記融着層の融点以上且つ前記絶縁層の融点未満の温度で加熱して前記融着層を介して互いに融着させる工程と、
    を備えることを特徴とするフラットケーブルの製造方法。
  5. 前記導体は、伸びが10%以上、引張強度が190MPa以上の軟銅線からなる請求項4に記載のフラットケーブルの製造方法。
  6. 前記絶縁層は、フッ素樹脂からなり、前記融着層は、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、又はポリウレタン樹脂からなる請求項4又は5に記載のフラットケーブルの製造方法。
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