JP2010129172A - 線状温度ヒューズ - Google Patents
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Abstract
【課題】細径化を達成することができ、尚且つ、異常温度にさらされた際、線状導電体が確実に断線されるとともに、再結合の防止が図られた安全性の高い線状温度ヒューズを提供すること。
【解決手段】絶縁性芯材と、線状導電体とが連続的に互いに絡み合った状態のヒューズコアが、絶縁体被覆で被覆された線状温度ヒューズにおいて、上記線状温度ヒューズが異常な高温にさらされた際、上記絶縁性芯材及び上記線状導電体がともに溶融する線状温度ヒューズ。上記絶縁性芯材がマルチフィラメントからなる線状温度ヒューズ。上記線状導電体が鉛フリー半田線からなり、上記絶縁性芯材が、ポリエチレンテレフタレート繊維からなる線状温度ヒューズ。上記線状温度ヒューズが異常な高温にさらされた際、上記絶縁性芯材が溶融するとともに収縮する線状温度ヒューズ。
【選択図】 図1
【解決手段】絶縁性芯材と、線状導電体とが連続的に互いに絡み合った状態のヒューズコアが、絶縁体被覆で被覆された線状温度ヒューズにおいて、上記線状温度ヒューズが異常な高温にさらされた際、上記絶縁性芯材及び上記線状導電体がともに溶融する線状温度ヒューズ。上記絶縁性芯材がマルチフィラメントからなる線状温度ヒューズ。上記線状導電体が鉛フリー半田線からなり、上記絶縁性芯材が、ポリエチレンテレフタレート繊維からなる線状温度ヒューズ。上記線状温度ヒューズが異常な高温にさらされた際、上記絶縁性芯材が溶融するとともに収縮する線状温度ヒューズ。
【選択図】 図1
Description
本発明は熱機器などの異常温度を検知する線状温度ヒューズに関するものである。
熱機器の異常温度検知は従来、素子状の温度ヒューズを用いて行われていたが、安全性の向上のために、多数個の温度ヒューズを連結して用いることが多くなった。しかし、この方法では、温度ヒューズの使用量が増大して部品コストが上昇するばかりか、その連結加工にも多大な工数がかかるため作業コストも非常に高いものであった。このような問題に対しては、例えば、特許文献1,2などによって、線状の温度ヒューズが提案されたが、これらの線状温度ヒューズは検知の確実性や検知後の再結合の防止等、安全上の問題があり、実用化には至らなかった。そこで、当該出願人は先に、これらの問題点を解決した線状の温度ヒューズとして、例えば、特許文献3,4を提案した。これらの提案によって線状温度ヒューズは、一部実用化されている。
また、本願発明に関連する技術として、例えば、特許文献5〜9が挙げられる。
ここで、線状温度ヒューズでは、線状導電体の外周に絶縁体被覆が形成されているため、線状導電体が溶断した際に溶融物が移動するための空間が形成されていないため、溶断時溶融物が保護層に皮膜を形成されたり、溶融物が移動しない等の現象が発生し、導通が保持されたりする、又は抵抗値の上昇が無く誤動作してしまうといった問題がある。
上記特許文献3〜9においては、線状導電体と絶縁体被覆の間に空間層を設けることでこの問題を解消することが開示されている。しかし、昨今の機器の小型化や高集積化により、線状温度ヒューズの細径化についても要求があり、空間層の形成にも限界が生じている。また、この空間層によって断熱されてしまうことから、線状導電体への熱の伝わりが悪くなるため、検知特性の向上が困難となってしまう。
本発明はこのような点に基づいてなされたもので、その目的とするところは、細径化を達成することができ、尚且つ、異常温度にさらされた際、線状導電体が確実に断線されるとともに、再結合の防止が図られた安全性の高い線状温度ヒューズを提供することにある。
前記目的を達成するべく、本発明の請求項1による線状温度ヒューズは、絶縁性芯材と、線状導電体とが連続的に互いに絡み合った状態のヒューズコアが、絶縁体被覆で被覆された線状温度ヒューズにおいて、上記線状温度ヒューズが異常な高温にさらされた際、上記絶縁性芯材及び上記線状導電体がともに溶融することを特徴とするものである。
又、請求項2記載の線状温度ヒューズは、上記絶縁性芯材がマルチフィラメントからなることを特徴とするものである。
又、請求項3記載の線状温度ヒューズは、上記線状導電体が鉛フリー半田線からなり、上記絶縁性芯材が、ポリエチレンテレフタレート繊維からなることを特徴とするものである。
又、請求項4記載の線状温度ヒューズは、上記線状温度ヒューズが異常な高温にさらされた際、上記絶縁性芯材が溶融するとともに収縮することを特徴とするものである。
又、請求項5記載の線状温度ヒューズは、上記線状導電体と上記絶縁性芯材を撚り合わせることによってヒューズコアを形成したことを特徴とするものである。
又、請求項6記載の線状温度ヒューズは、上記絶縁性芯材上に上記線状導電体を連続的に横巻きすることによってヒューズコアを形成したことを特徴とするものである。
又、請求項7記載の線状温度ヒューズは、上記絶縁体被覆が、繊維材料からなる編組スリーブの外周にゴム材料を押出被覆したものであることを特徴とするものである。
又、請求項8記載の線状温度ヒューズは、上記絶縁体被覆が、ゴム材料からなるチューブの外表面に繊維材料からなる編組スリーブを形成したものであることを特徴とするものである。
又、請求項2記載の線状温度ヒューズは、上記絶縁性芯材がマルチフィラメントからなることを特徴とするものである。
又、請求項3記載の線状温度ヒューズは、上記線状導電体が鉛フリー半田線からなり、上記絶縁性芯材が、ポリエチレンテレフタレート繊維からなることを特徴とするものである。
又、請求項4記載の線状温度ヒューズは、上記線状温度ヒューズが異常な高温にさらされた際、上記絶縁性芯材が溶融するとともに収縮することを特徴とするものである。
又、請求項5記載の線状温度ヒューズは、上記線状導電体と上記絶縁性芯材を撚り合わせることによってヒューズコアを形成したことを特徴とするものである。
又、請求項6記載の線状温度ヒューズは、上記絶縁性芯材上に上記線状導電体を連続的に横巻きすることによってヒューズコアを形成したことを特徴とするものである。
又、請求項7記載の線状温度ヒューズは、上記絶縁体被覆が、繊維材料からなる編組スリーブの外周にゴム材料を押出被覆したものであることを特徴とするものである。
又、請求項8記載の線状温度ヒューズは、上記絶縁体被覆が、ゴム材料からなるチューブの外表面に繊維材料からなる編組スリーブを形成したものであることを特徴とするものである。
本発明による線状温度ヒューズによれば、異常温度にさらされた際、線状導電体とともに絶縁性芯材も溶融することになる。これにより、絶縁性芯材が溶融し移動した分だけ絶縁体被覆内には空間が発生し、線状導電体の溶融物が移動するための空間が確保されることになる。この空間により、線状導電体が確実に断線されるとともに、再結合の防止を図ることができる。そして、線状導電体と絶縁体被覆との間の空間層を最小限まで小さくすることができることから、線状温度ヒューズの細径化が可能となる。同時に、空間層を小さくすることで、線状導電体への熱の伝わりを良好にできるため、検知特性の向上を図ることができる。
特に、マルチフィラメントは多数の単繊維を撚り合わせたものであり、単繊維間には隙間があるため、見かけの体積が大きい状態となっている。このようなマルチフィラメントが溶融すると、単繊維間の隙間が除去された状態で溶融して塊となるため、体積が小さくなる。そのため、絶縁性芯材としてマルチフィラメントを使用すれば、線状導電体の溶融物が移動するための空間をより多く確保することができる。これにより、線状導電体が確実に断線されるとともに、再結合の防止を図ることができる。
また、絶縁性芯材が溶融とともに収縮すれば、更に空間が確保されることになる。加えて、絶縁性芯材の収縮に追従するようにして溶断した線状導電体が引き離されることになるため、線状導電体の再結合をより効果的に防止することができる。
特に、マルチフィラメントは多数の単繊維を撚り合わせたものであり、単繊維間には隙間があるため、見かけの体積が大きい状態となっている。このようなマルチフィラメントが溶融すると、単繊維間の隙間が除去された状態で溶融して塊となるため、体積が小さくなる。そのため、絶縁性芯材としてマルチフィラメントを使用すれば、線状導電体の溶融物が移動するための空間をより多く確保することができる。これにより、線状導電体が確実に断線されるとともに、再結合の防止を図ることができる。
また、絶縁性芯材が溶融とともに収縮すれば、更に空間が確保されることになる。加えて、絶縁性芯材の収縮に追従するようにして溶断した線状導電体が引き離されることになるため、線状導電体の再結合をより効果的に防止することができる。
本発明において使用される線状導電体としては、例えば、錫、鉛、ビスマス、カドミウム、銀、インジュウム等の低融点金属及びそれらの合金を線状に加工したものや、上記の低融点金属及びそれらの合金からなる繊維或いは粉末を所定の温度で溶融する有機物中に分散してなる混合物を押出成形等によって線状に加工したものなどが挙げられる。好ましくは、低融点金属及びそれらの合金を線状に加工したものが用いられる。昨今の環境汚染の問題より、鉛やカドミウムを含むものは好ましくなく、所謂、鉛フリー半田線(例えば、錫・銅系合金、融点約227℃)などが好ましく用いられている。尚、線状導電体としては、内部にフラックスを充填したものを使用することも考えられ、この場合には、本発明によって得られる線状温度ヒューズの感度をより一層高めることができ特に好ましい。これらは市販品も多数見られるのでそれらを使用しても良い。
線状導電体は所定の温度以上で溶融するものである。溶融温度は本発明によって得られる線状温度ヒューズの使用条件(例えば、検知温度)によって異なるものであり、これは使用する低融点金属及びその合金の種類、組み合わせなどを適宜に変更することによって設定される。
本発明においては、上記線状導電体と、後述する絶縁性芯材を連続的に互いに絡み合った状態に形成してヒューズコアとする。線状導電体と絶縁性芯材が連続的に絡み合った状態を形成する手段としては、例えば、線状導電体と絶縁性芯材を撚り合わせることによる方法や、線状導電体上に絶縁性芯材を連続的に横巻きすることによる方法、絶縁性芯材上に線状導電体を連続的に横巻きする方法、線状導電体上に絶縁性芯材を編組する方法などがある。線状導電体は屈曲や押圧などの外力によって断線しやすいものであることから、絶縁性芯材によって抗張力を得る態様が望まれるため、線状導電体と絶縁性芯材を撚り合わせることによる方法や絶縁性芯材上に線状導電体を連続的に横巻きする方法が好ましく採用される。
絶縁性芯材としては、融点を有し溶融する材料であり、十分な抗張力を有するものが用いられる。具体的な材料としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリケトン、ポリウレタン、ポリフェニレンサルファイド、PEEK、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンなどが用いられる。特に、絶縁性芯材の材料の融点は、上記線状導電体の融点以上、上記線状導電体の融点+50℃以下の温度であることが好ましい。これにより、線状温度ヒューズが異常な高温にさらされた際、線状導電体が溶融するのとほぼ同時に絶縁性芯材も溶融することとなり、線状導電体の溶融物が移動するための空間が確保されることになる。このような観点より、特に線状導電体として鉛フリー半田線を使用した場合には、絶縁性芯材としてポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
また、上記絶縁性芯材は、異常な高温にさらされた際、溶融するとともに収縮するものであることが好ましい。特に、結晶性重合体を少なくとも10%程度含む樹脂組成物を原料としてこれを線状に押出成形し、これを該組成物のガラス転移点以上結晶融点以下の温度に加熱して、該温度での降伏硬度以上の張力をかけて長手方同に引き延ばし、その状態で冷却したものであれば、収縮率が大きくなるため好ましい。また、別の方法として、以下に示すような方法も考えられる。まず、上述した樹脂組成物を原料とし、これに架橋助剤としてのエチレン性不飽和基を複数有する化合物を必要に応じて適宜に混合したものを線状に押出成形し、電子線照射などによって架橋を施す。次いで、この架橋体を、該架橋体の結晶融点以上の温度に加熱して、該温度での降伏硬度以上の張力をかけて長手方同に引き延ばし、その状態で冷却する。尚、上記の結晶性重合体の内、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンまたはこれらを混合してなる樹脂組成物など、幾つかの樹脂組成物は架橋助剤を混合しなくても良く、更に、電子線架橋以外の過酸化物架橋にも適応できる。具体的には、線状導電体が溶融する温度において、10%以上収縮するものであることが好ましい。
収縮する際の温度は、本発明によって得られる線状温度ヒューズの使用条件(例えば、検知温度)によって異なるものであり、適宜に設定すれば良い。好ましくは、線状導電体の溶融温度よりも50℃低い温度から50℃高い温度の範囲内、更に好ましくは、線状導電体の溶融温度よりも20℃低い温度から20℃高い温度の範囲内とする。収縮する際の温度が50℃を超えて低い温度であると、通常の使用時に絶縁性芯材が収縮してしまい、線状温度ヒューズの寿命が短くなり好ましくない。一方、収縮する際の温度が50℃を超えて高い温度であると、線状導電体が溶融しても相当高い温度になるまで絶縁性芯材が収縮せず、意図する効果が得られないため好ましくない。
絶縁性芯材の構成としては、一本の長繊維からなるモノフィラメントと複数の短繊維を撚り合わせてなるマルチフィラメントの態様があるが、特にマルチフィラメントの方が好ましい。マルチフィラメントを構成する単繊維間には隙間があり、見かけの体積が大きい状態となっていることから、このようなマルチフィラメントが溶融すると、単繊維間の隙間が除去された状態で溶融して塊となるため、体積が小さくなる。よって、絶縁性芯材としてマルチフィラメントを使用すれば、線状導電体の溶融物が移動するための空間をより多く確保することができるためである。
このようにして得られたヒューズコアを、絶縁体で連続的に被覆することによって絶縁体被覆を形成し本発明の線状温度ヒューズが完成する。絶縁体被覆は、従来より各種の方法が公知となっているため、それらの中から、線状導電体が溶融する温度よりも低い加工温度を実現できる方法を採用する。好ましくは、線状導電体が溶融する温度及び絶縁性芯材が溶融する温度よりも低い加工温度を実現できる方法を採用する。実例としては、線状導電体が溶融する温度及び絶縁性芯材が溶融する温度によっても異なるが、例えば、120℃以下の加工温度を実現できる方法としては、ポリエチレンを融点程度の低い温度で押出被覆し、その後電子線照射により架橋する方法や、ガラス繊維、有機繊維などで編組被覆し、常温で乾燥する絶縁ワニスを塗布する方法などが考えられる。
尚、絶縁体被覆は、ヒューズコアに完全に密着させず空間層を有した状態で被覆することが好ましい。空間層が無いと、検知の確実性が低下することが有り好ましくない。このような空間層を形成する手段としては、例えば、当業者間で公知のいわゆるチュービング押し出しによる方法、内面に突起を備えた形状の絶縁体を被覆する方法、スペーサを中間層として設ける方法などが知られており、それらのいずれも適用可能である。
本発明においては、線状導電体が断線した後(異常温度検知後)の再結合の防止効果をより一層高めるために、ヒューズコアと絶縁体被覆との間に、非溶融性繊維の横巻き及び/または編組からなる流動防止層を更に設けても良い。この場合の横巻き及び/または編組は、粗いものである必要がある。つまり、密であると上述した絶縁体と何ら変わらず、流動防止層としての特有の効果が発現しない。目安としては、1インチあたりのターン数または編組目が5から15程度である。この流動防止層は、上記の空間層を持つためのスペーサとしても当然使用することができる。非溶融性繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維などが公知であるのでこれらを用いれば良い。
また、絶縁体被覆を予め管状に成形し、後加工により、ヒューズコアの外周に被せても良い。このような態様の絶縁体被覆として、ガラス繊維などの繊維材料からなる編組スリーブの外周に、シリコーンゴムなどのゴム材料を押出被覆したものがある。これを用いることにより、柔軟性を有し、金属線が溶融した際、溶融物の飛散を防止することが可能であると共に、曲げRが小さな場合においても保護チューブの折れを防止し、コア線と絶縁体被覆間の空間を確実に確保することができる。また、シリコーンゴムを使用することにより、耐熱性、柔軟性及び成型性にも優れる。更に、編組スリーブとゴム材料からなる押出被覆が一体化しているため、熱伝導性が良く、温度ヒューズとしての熱応答性を高めることができる。ここで、絶縁体被覆の外層に保護のため、柔軟性を阻害しないことを前提にシリコーンワニス処理したガラス編組層を設けてもよい。また、絶縁体被覆として、シリコーンゴムなどからなるチューブの外周にガラスなどの繊維材料からなる編組を設けたものも考えられる。
本発明によって得られる線状温度ヒューズの便用方法は、各種用途において任意であるが、例えば、線状温度ヒューズを所定の長さに切断し、端末の絶縁体をストリップ加工して線状導電体を外部回路と接続するための端子と溶接などの方法で接続し、絶縁性芯材と絶縁体を一括してかしめることによって外部回路と接続し、任意の熱発生機器などに組み込むことなどが考えられる。勿論、端末加工の方法は従来より多数公知であり、例示された方法以外であっても良い。
以下に実施例を示し本発明の内容を更に詳細に説明する。
まず、中央部にフラックスを入れた0.5mmφの鉛フリー半田線(錫・銅系合金、融点約227℃)からなる線状導電体2を2本と、ポリエチレンテレフタレート(融点264℃)のマルチフィラメントからなる絶縁性芯材3(227℃における収縮率17%)を2本用意し、これらを9mm間隔で撚り合わせてヒューズコア1とした。次いで、内径2.5mmのガラス繊維からなる編組スリーブ6上に、肉厚0.6mmのシリコーンゴム層7を押出被覆し、外径4.2mmの絶縁体被覆5を成形した。この絶縁体被覆5に、ヒューズコア1を挿通して、本発明の線状温度ヒューズ10を形成した。
このようにして、製造された長さ1mの線状温度ヒューズ10の両端よりリード線(図示しない)を介して、検知回路(図示しない)に接続した。温度ヒューズ10にDC5V、5mAの負荷を加えた状態で、線状温度ヒューズ10の中央部分を270℃に加熱して、断線までの時間の測定及び断線後の再結合の有無を確認した。結果としては、細径化により、これまでの外径では断線までの時間が約30秒であったのに対し、26秒と短縮することができた。また、細径化により、ヒューズコア1と絶縁体被覆5との間の空間層が減少したが、溶断後の再結合も見られなかった。
断線後の線状温度ヒューズ10について、絶縁体被覆5を切り開いてヒューズコア1の状態を確認した。線状絶縁体3の溶融及び収縮により、上記の加熱した範囲よりも広い範囲において線状絶縁体3が存在しない状態となっており、この部分が空間となっていることが確認された。図2は溶融した線状絶縁体3の端面を示す写真であるが、マルチフィラメントの溶融により見かけの体積が減って、それにより大きな空間が形成されたことが確認できる。また、線状絶縁体3の収縮に追従して、溶融した線状絶縁体2が引き離されたため、この空間には、線状絶縁体2の断片はほとんど確認できなかった。このような作用機構は、断線時間を短くするという効果よりも、確実な断線を促すという効果及び結合を防止するという効果に深く寄与するものである。
以上詳述したように本発明によれば、細径化を達成することができ、尚且つ、異常温度にさらされた際、線状導電体が確実に断線されるとともに、再結合の防止が図られた安全性の高い線状温度ヒューズを提供することができる。このような線状温度ヒューズは、例えば、冷蔵庫、エアコン室内外機、衣類乾燥機、ジャー炊飯器、ホットプレート、コーヒーメーカー、温水器、給湯器、セラミックヒータ、石油ヒータ、自動販売機、温熱布団、床暖房パネルヒータ、複写機、ファクシミリ、食器線状器、フライヤなど各種の熱機器や加熱を必要とする機器の安全管理に好適に使用することができる。
1 ヒューズコア
2 線状導電体
3 絶縁性芯材
5 絶縁体被覆
10 線状温度ヒューズ
2 線状導電体
3 絶縁性芯材
5 絶縁体被覆
10 線状温度ヒューズ
Claims (8)
- 絶縁性芯材と、線状導電体とが連続的に互いに絡み合った状態のヒューズコアが、絶縁体被覆で被覆された線状温度ヒューズにおいて、上記線状温度ヒューズが異常な高温にさらされた際、上記絶縁性芯材及び上記線状導電体がともに溶融することを特徴とする線状温度ヒューズ。
- 上記絶縁性芯材がマルチフィラメントからなることを特徴とする請求項1記載の線状温度ヒューズ。
- 上記線状導電体が鉛フリー半田線からなり、上記絶縁性芯材が、ポリエチレンテレフタレート繊維からなることを特徴とする請求項2記載の線状温度ヒューズ。
- 上記線状温度ヒューズが異常な高温にさらされた際、上記絶縁性芯材が溶融するとともに収縮することを特徴とする請求項3記載の線状温度ヒューズ。
- 上記線状導電体と上記絶縁性芯材を撚り合わせることによってヒューズコアを形成したことを特徴とする請求項1〜請求項4記載の線状温度ヒューズ。
- 上記絶縁性芯材上に上記線状導電体を連続的に横巻きすることによってヒューズコアを形成したことを特徴とする請求項1〜請求項4記載の線状温度ヒューズ。
- 上記絶縁体被覆が、繊維材料からなる編組スリーブの外周にゴム材料を押出被覆したものであることを特徴とする請求項1〜請求項6記載の線状温度ヒューズ。
- 上記絶縁体被覆が、ゴム材料からなるチューブの外表面に繊維材料からなる編組スリーブを形成したものであることを特徴とする請求項1〜請求項6記載の線状温度ヒューズ。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015133319A (ja) * | 2013-12-11 | 2015-07-23 | 株式会社クラベ | 線状温度検知体 |
WO2021014909A1 (ja) * | 2019-07-24 | 2021-01-28 | デクセリアルズ株式会社 | 保護素子 |
-
2008
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WO2021014909A1 (ja) * | 2019-07-24 | 2021-01-28 | デクセリアルズ株式会社 | 保護素子 |
JP2021022431A (ja) * | 2019-07-24 | 2021-02-18 | デクセリアルズ株式会社 | 保護素子 |
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