<第一実施形態>
本発明の第一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下では、統一的に「画像」という言葉を用いるが、「映像」も画像と同様に扱うことができる。
図1は、本発明の第一実施形態に係る表示装置1の概略構成の一例を示す図である。
表示装置1は、例えば液晶ディスプレイである。ここで、表示装置1は、内部にファブリぺロー方式の小型の分光センサーを備える。この表示装置1は、液晶ディスプレイなどの表示面に表示されたカラーパッチ画像の光を、分光センサーにより分光するとともに、分光された波長の光の輝度を検出する。また、検出した各波長の光の輝度に基づいて、表示装置1が入力画像信号に基づいて表示を行うときに用いる色補正データを生成する。表示装置1は、生成した色補正データを用いて入力画像信号を補正し、表示を行う。
上記のような機能を実現するため、表示装置1は、測定制御部100と、記憶部110と、表示部120と、信号処理部130と、分光センサー部140とを有する。なお、測定制御部100、記憶部110、及び分光センサー部140は、表示装置1に内蔵の測色器としての構成要素であってもよい。表示部120、信号処理部130、分光センサー部140、測定制御部100、記憶部110の順に説明する。
表示部120は、液晶ディスプレイなどの表示部である。表示部120は、信号処理部130から出力される画像信号に従って、表示面に画像を表示する。なお、「表示部」は、「出力部」と呼んでもよい。
信号処理部130は、例えばPC(Personal Computer)などの情報処理装置5から画像信号が入力された場合、色補正データ記憶部112に格納されている色補正データに基づいて入力画像信号の色を補正し、表示部120に出力する。なお、信号処理部130は、色補正データを色補正データ記憶部112から読み出して、自身内部の記憶装置に格納しておき、当該記憶装置内の色補正データを用いて、色補正を行ってもよい。なお、「信号処理部」は、「色補正処理部」と呼んでもよい。
また、信号処理部130は、測定制御部100又は記憶部110からカラーパッチ画像の画像信号が入力された場合、色補正を行わずに、表示部120に出力する。
分光センサー部140は、ファブリぺロー方式の分光器を含む光検出装置である。第一実施形態では、分光センサー部140は、表示部120からの光を検出できるように、例えば、表示部120の表示面と対向する位置及び向きで設置される。
分光センサー部140は、導光部141と、分光部142と、受光部143と、分光制御部144と、受光制御部145とを有する。
分光センサー部140は、例えば図14(A)(表示装置1における分光センサー部140の設置位置の例を説明する図)に示すように、導光部141が表示部120の表示面側を向くように、表示部120の上部に設置される。
導光部141は、表示部120からの光を分光部142に導く部材である。導光部141は、例えば、開口部(アパーチャーと呼んでもよい。)を含み、表示面から発せられた光が通るとともに、分光部142に導く。もちろん、導光部141は、上記の構成に限られず、例えば開口部、光ファイバー、レンズなどの構成要素のいずれか一つ又は二つ以上を含んでいてもよい。なお、光ファイバー及びレンズは、表示面から発せられた光を集光して分光部142に導く。
分光部142は、表示部120から発せられる光から特定の波長の光を分光する部材である。図2は、分光部142の概略構成の一例を示す図である。
分光部142は、例えば、平面視した場合に矩形状であり、長辺が例えば10mmに形成されている。従って、図2は、分光部142の中央を長辺又は短辺方向に切った断面図である。分光部142は、固定基板1421と、可動基板1422とを備える。固定基板1421、及び可動基板1422は、それぞれ、例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス等の各種ガラスや、水晶等により形成されている。そして、固定基板1421、及び可動基板1422は、例えば、常温活性化接合などにより接合されることで、一体的に構成されている。
また、固定基板1421と可動基板1422との間には、固定反射膜1423、及び可動反射膜1424が設けられる。固定反射膜1423は、固定基板1421における可動基板1422に対向する面に固定されている。可動反射膜1424は、可動基板1422における固定基板1421に対向する面に固定されている。また、固定反射膜1423、及び可動反射膜1424は、ギャップGを介して対向配置されている。
また、固定基板1421と可動基板1422との間には、固定反射膜1423、及び可動反射膜1424の間のギャップGの間隔を調整するための静電アクチュエーター1425が設けられている。
固定基板1421は、厚みが例えば500μmのガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。固定基板1421には、エッチングにより電極形成溝1426が形成される。電極形成溝1426には、静電アクチュエーター1425を構成する第一電極1425aが形成される。第一電極1425aは、図示しない電極引出部を介して分光制御部144(図1参照)に接続されている。
可動基板1422は、厚みが例えば200μmのガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。可動基板1422には、第一電極1425aに電磁ギャップを介して対向する、静電アクチュエーター1425を構成する第二電極1425bが形成されている。第二電極1425bは、図示しない電極引出部を介して分光制御部144(図1参照)に接続されている。
分光制御部144から出力される電圧により、第一電極1425a及び第二電極1425bの間に静電引力が働き、ギャップGの間隔が調整され、当該ギャップ間隔に応じて、分光部142を透過する光の透過波長が決定される。すなわち、静電アクチュエーター1425によりギャップ間隔を適宜調整することで、分光部142を透過する光が決定されて、分光部142を透過した光が受光部143で受光される。
図1に戻って説明する。受光部143は、光を検出する部材である。受光部143は、例えば、フォトダイオード、フォトIC等で構成される。受光部143は、分光部142を透過した光を受光すると、受光した光の強さ等に応じた電気信号(輝度値)を生成する。そして、受光部143は、生成した電気信号を受光信号として測定制御部100に出力する。
受光部143は、受光制御部145から出力される駆動制御信号に基づいて、光の強さ等に応じて蓄積された電気信号を測定制御部100に出力する。すなわち、受光部143は、当該駆動制御信号のタイミングで、蓄積された電気信号を測定制御部100に出力する。なお、ある駆動制御信号のタイミングは、次の駆動制御信号のタイミングで出力する電気信号の蓄積を開始するタイミングでもある。
分光制御部144は、分光部142を制御する駆動回路である。分光制御部144は、分光部142の各電極引出部、及び測定制御部100に接続される。分光制御部144は、測定制御部100から駆動制御信号が入力されると、当該駆動制御信号を分光部142へ出力する。これにより、当該駆動制御信号に基づく駆動電圧が各電極引出部を介して、第一電極1425a及び第二電極1425bの間に印加される。そして、第一電極1425a及び第二電極1425bの間に静電引力が働き、ギャップ間隔が調整され、当該ギャップ間隔に応じて、分光部142を透過する光の波長が決定される。
受光制御部145は、受光部143を制御する駆動回路である。受光制御部145は、受光部143に接続される。受光制御部145は、測定制御部100から駆動制御信号が入力されると、当該駆動制御信号を受光部143へ出力する。これにより、指定された測定時間の間、受光部143に蓄積された電気信号が、測定制御部100に出力される。
もちろん、分光センサー部140の設置位置や構成は、表示部120の表示面から発せられる光を検出できるのであれば、上記の例に限られない。
測定制御部100は、表示装置1による表示の測定に関する制御を行う。測定制御部100は、カラーパッチ生成部101と、測定条件設定部102と、分光特性計算部103と、色彩値計算部104と、色補正データ生成部105とを有する。
カラーパッチ生成部101は、色補正データを作成するために用いる一以上のカラーパッチ画像情報(「色画像情報」と呼んでもよい。)を生成し、信号処理部130に出力する。
測定条件設定部102は、表示特性記憶部111に格納されている表示部120の表示特性に関するデータに基づいて、各カラーパッチ画像に対する測定条件(測定波長、測定時間など)を決定し、設定する。
なお、測定制御部100は、測定条件設定部102により設定された測定条件に基づいて、分光センサー部140を制御する。すなわち、測定制御部100は、設定された測定波長の光が分光部142により透過されるように分光制御部144に駆動制御信号を出力するとともに、設定された測定時間で蓄積された光の電気信号が受光部143から出力されるように受光制御部145に駆動制御信号を出力する。
分光特性計算部103は、受光部143から出力される光の電気信号(輝度値)や測定条件などに基づいて、各カラーパッチ画像の分光特性(例えば、スペクトル曲線)を計算し、色彩値計算部104に出力する。なお、分光特性計算部103は、分光特性を計算するに際し、得られた各波長の光の輝度値についてゲイン補正や波長方向の補間処理などを行う。
色彩値計算部104は、分光特性計算部103から出力される各カラーパッチ画像の分光特性に基づいて、各カラーパッチ画像の色彩値を計算し、色補正データ生成部105に出力する。色彩値には、例えば、CIE規格に準拠したXYZ色空間の値や、L*a*b*色空間の値を用いることができる。
色補正データ生成部105は、色彩値計算部104から出力される各カラーパッチの色彩値に基づいて、入力画像信号で指定される色を所望の目標色で表示部120に表示させるための色補正データを生成し、色補正データ記憶部112に格納する。
記憶部110には、測定制御部100の処理に必要なデータ等が格納される。記憶部110には、表示特性記憶部111と、色補正データ記憶部112とが含まれる。
表示特性記憶部111には、表示部120の表示特性に関するデータが格納される。表示特性記憶部111には、例えば、表示特性テーブルと、測定時間テーブルとが格納される。なお、これらのテーブルは、表示装置1の動作にあたって予め格納されている。
図3は、表示特性テーブルの一例を示す図である。表示特性テーブルには、表示装置1に入力される入力画像信号のRGB値毎に、RGB値1111と、当該RGB値に基づいて色補正なしで表示部120による表示がされたときに測定される光の分光特性を表すスペクトルデータ1112とを関連付けたデータが格納される。例えば、表示装置1の製造時などに表示部120から発せられる光の測定が行われ、その測定結果が表示特性テーブルに反映される。
図4は、測定時間テーブルの一例を示す図である。測定時間テーブルには、表示部120から発せられる光の波長毎に、波長1113と、当該波長を測定する測定時間1114とを関連付けたデータが格納される。測定時間1114には、例えば、受光部143に含まれるフォトICなどの特性(例えば、ある波長の光を当てた場合の電荷の蓄積量の時系列変化など)を考慮して、測定対象の波長の光の輝度値を適切に測定するための時間が設定される。例えば、表示装置1の製造時などに受光部143の特性が検査され、その検査結果が測定時間テーブルに反映される。
なお、測定時間テーブルに設定されている測定時間1114は、受光部143の特性に基づく時間である。従って、実際の測定対象である波長(測定波長)の測定時間は、「測定波長に対応する測定時間1114」×「測定波長の予測光量に対応する係数」により決定される。測定波長の予測光量に対応する係数は、表示特性テーブルのスペクトルデータ1112に基づいて当該予測光量に応じて決定できる。
図1に戻って説明する。色補正データ記憶部112には、色補正に用いる色補正データが格納される。色補正データ記憶部112には、例えば、色補正テーブルが格納される。
図5は、色補正テーブルの一例を示す図である。色補正テーブルには、表示装置1に入力される入力画像信号のRGB値である入力RGB値毎に、入力RGB値1121と、当該入力RGB値で所望の目標色が表示部120に表示されるように補正した補正後の出力RGB値1122とを関連付けたデータが格納される。
なお、図3〜図5の各テーブルの構成は、一例であり、図示した構成に限られない。
図1に戻って説明する。上記の測定制御部100及び記憶部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを備えるコントローラー基板により実現することができる。すなわち、測定制御部100は、例えば、ROMなどに記憶されている所定のプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することで実現可能である。記憶部110は、例えば、CPUがRAM又はROMを利用することにより実現可能である。もちろん、測定制御部100の少なくとも一部の機能は、専用回路により実現してもよい。
なお、表示装置1の構成は、上記の構成に限られない。また、一般的な表示装置が備える構成を排除するものではない。上記の表示装置1の構成は、表示装置1の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。表示装置1の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
次に、上記の表示装置1で実現される処理について説明する。
図6は、色補正データを生成する処理の一例を示すフロー図である。図6に示す色補正データ生成処理フローは、例えば、測定制御部100が、図示しない表示装置1の入力装置などを介して、あるいは情報処理装置5から、ユーザーによる色補正の指示を受け付けた場合に開始される。
まず、カラーパッチ生成部101は、カラーパッチを生成する(ステップS10)。具体的には、カラーパッチ生成部101は、予め決められた複数のカラーパッチパターンの中から、未測定のカラーパッチパターンを選択し、選択したカラーパッチパターンのRGB値のカラーパッチ画像情報を生成する。
それから、測定条件設定部102は、カラーパッチ画像の測定条件を設定する(ステップS20)。具体的には、測定条件設定部102は、表示特性記憶部111の表示特性テーブル(図3参照)から、ステップS10で生成されたカラーパッチ画像情報のRGB値に一致するRGB値1111に関連付けられたスペクトルデータ1112を取得する。一致するRGB値1111がない場合、測定条件設定部102は、カラーパッチ画像情報のRGB値に最も近いRGB値1111を選択するようにすればよい。また、一致するRGB値1111がない場合、カラーパッチ画像情報のRGB値に近い(所定条件を満たす範囲の)RGB値1111を複数特定し、特定した複数のRGB値1111に関連付けられたスペクトルデータ1112に基づいて補間処理を実行することで、カラーパッチ画像のスペクトルデータを生成するようにしてもよい。
また、測定条件設定部102は、取得した分光特性を表すスペクトルデータに基づいて、実際に測定を行う測定波長を決定する。例えば、測定条件設定部102は、取得したスペクトルデータから特定されるスペクトル曲線について、2次微分(2次微分スペクトル曲線)を求め、2次微分の絶対値が高い方から所定数の波長を選択し、実際に測定を行う測定波長として決定する。例えば、図7(測定波長の決定方法の一例を説明する図)に示されている元のスペクトル曲線の2次微分スペクトル曲線を求めると、2次微分の絶対値が高い波長は、P1〜P7などの特徴点の波長に対応する。このようにすれば、スペクトル曲線の特徴点にあたる波長を実際の測定対象として、ステップS50で分光特性を示すスペクトル曲線を計算する際の、特に補間処理の精度を向上することができる。また、より特徴がある波長を優先的に実際の測定対象とするため、分光特性を計算する際の精度を維持することができる。
もちろん、実際に測定を行う波長を決定する方法は上記に限られない。例えば、測定条件設定部102は、所定数の波長を選択するのではなく、スペクトル曲線の2次微分の絶対値のうち、所定の閾値を超える値の波長を選択するようにしてもよい。このようにすれば、例えばスペクトルにピーキーな部分が多く含まれる場合でも適切に波長を選択して、ステップS50で分光特性を示すスペクトル曲線を計算する際の、特に補間処理の精度を向上することができる。
また、測定条件設定部102は、表示特性記憶部111の測定時間テーブル(図4参照)から、上記のように決定した実際に測定を行う各測定波長について、一致する波長1113に関連付けられた測定時間1114を取得する。また、各測定波長について、上述のように取得したスペクトルデータ1112に基づいて当該測定波長の光量(輝度)に対応する係数を決定する。それから、各測定波長について、取得した測定時間1114と決定した光量に対応する係数との積を算出し、各測定波長の測定時間として設定する。
それから、カラーパッチ生成部101は、カラーパッチを表示する(ステップS30)。具体的には、カラーパッチ生成部101は、ステップS10で生成したカラーパッチ画像情報を、信号処理部130に出力する。なお、信号処理部130は、入力されたカラーパッチ画像情報に色補正を行わずに表示部120に出力する。
それから、測定制御部100は、カラーパッチの測定を行う(ステップS40)。具体的には、測定制御部100は、ステップS20で設定された実際に測定を行う測定波長ごとに、当該測定波長の光が分光部142により透過されるように分光制御部144に駆動制御信号を出力するとともに、当該測定波長についての測定時間で蓄積された電気信号が受光部143から出力されるように受光制御部145に駆動制御信号を出力する。
それから、分光特性計算部103は、分光特性を計算する(ステップS50)。具体的には、分光特性計算部103は、測定対象の各測定波長について受光部143から出力された電気信号に基づいて、ステップS30で表示されたカラーパッチ画像の分光特性を示すスペクトル曲線を計算し、分光特性を示すデータを、色彩値計算部104に出力する。なお、分光特性計算部103は、分光特性を計算するに際し、得られた各測定波長の電気信号が示す光の輝度値についてゲイン補正や波長方向の補間処理などを行う。
それから、色彩値計算部104は、色彩値を計算する(ステップS60)。具体的には、色彩値計算部104は、ステップS50で出力された分光特性を示すデータに基づいて、ステップS30で表示されたカラーパッチ画像の色彩値を計算し、色彩値を示すデータを、色補正データ生成部105に出力する。
それから、カラーパッチ生成部101は、未測定のカラーパッチがあるか否かを判定する(ステップS70)。具体的には、カラーパッチ生成部101は、予め決められた複数のカラーパッチパターンの中から、未測定のカラーパッチパターンがあるか否かを判定する。未測定のカラーパッチパターンがある場合(ステップS70:Y)、カラーパッチ生成部101は、処理をステップS10に戻す。一方、未測定のカラーパッチパターンがない場合(ステップS70:N)、カラーパッチ生成部101は、処理をステップS80に進める。
それから、色補正データ生成部105は、色補正データを生成する(ステップS80)。すなわち、色補正データ生成部105は、入力画像信号で指定される色を所望の目標色で表示部120に表示させるための色補正データを生成する。
図8は、色補正データの生成方法の一例を説明する図である。図8は、入力画像信号で指定される入力値(RGB値)に対する、表示部120に表示される出力値(輝度)の変化を表している。図中の測定値は、ステップS60で計算された輝度のデータに基づいて特定されるものである。図中の目標値は、所望の目標値として予め定められて記憶部110に格納されているものである。なお、目標値は、測定制御部100が、図示しない表示装置1の入力装置などを介して、あるいは情報処理装置5から、ユーザーによる設定を受け付けて、記憶部110に格納するようにしてもよい。
色補正データ生成部105は、目標値における入力値Dinに対応する出力値Doutと一致するように、測定値における入力値Din´を算出する。すなわち、入力値がDinのときに入力値Din´が出力されるように補正するための補正パラメーターを算出する。ここでは、入力値Din´を補正パラメーターとする。色補正データ生成部105は、入力Dinを入力RGB値1121として、入力Din´を出力RGB値1122として関連付けて、色補正テーブルに格納する。色補正データ生成部105は、このような処理を、各入力RGB値について行う。
色補正データ生成部105は、上記のように色補正データを生成して、図6に示す色補正データ生成処理フローを終了する。
図9は、色補正処理の一例を示すフロー図である。図9に示す色補正処理フローは、例えば、信号処理部130が、情報処理装置5から、画像出力の開始の指示を受け付けた場合に開始される。
信号処理部130は、画像信号の入力があるか否かを判定する(ステップS110)。画像信号の入力がない場合(ステップS110:N)、信号処理部130は、判定を継続する。
画像信号の入力がある場合(ステップS110:Y)、信号処理部130は、入力された画像信号の色補正を行う(ステップS120)。具体的は、信号処理部130は、色補正データ記憶部112の色補正テーブル(図5参照)から、入力画像信号のRGB値に一致する入力RGB値1121に関連付けられた出力RGB値1122を取得する。
それから、信号処理部130は、色補正後の画像信号を出力し(ステップS130)、処理をステップS110に戻す。具体的には、信号処理部130は、ステップS120で取得した出力RGB値1122を、表示部120に出力する。
なお、上記の図6及び図9に示すフローの各処理単位は、表示装置1の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。表示装置1の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。
以上、本発明の第一実施形態について説明した。第一実施形態によれば、ファブリぺロー方式などの分光器を用いて測色を行う場合に、測定精度を維持したまま、測定時間を短くすることができる。すなわち、第一実施形態では、カラーパッチが表示されたときに発せられる光の分光特性を特定し、当該特定された分光特性に基づいて、分光器による測定が行われる。そのため、カラーパッチに応じた測定が実現でき、測定精度を維持したまま、測定時間を短縮することができる。
<第二実施形態>
第一実施形態は、液晶ディスプレイなどの表示装置に関するものであるが、第二実施形態は、スクリーンや壁に画像を投影する投影装置(「プロジェクター」と呼んでもよい。)に関する。特徴的な処理は、第一実施形態と共通するため、第一実施形態と異なる部分を中心に簡単に説明する。
図10は、本発明の第二実施形態に係る投影装置2の概略構成の一例を示す図である。
投影装置2は、測定制御部200と、記憶部210と、投影部220と、信号処理部230と、分光センサー部140とを有する。なお、測定制御部200、記憶部210、及び分光センサー部140は、投影装置2に内蔵の測色器としての構成要素であってもよい。
投影部220は、例えば、LCD方式のプロジェクターの主要部であり、光源ランプ、ダイクロイックミラー、液晶パネル、プリズム、レンズなどを含む。なお、「投影部」は、「出力部」と呼んでもよい。
信号処理部230は、例えば、情報処理装置5から画像信号が入力された場合、色補正データ記憶部212に格納されている色補正データに基づいて入力画像信号の色を補正し、投影部220の液晶パネルに出力する。信号処理部230は、カラーパッチ画像の画像信号が入力された場合、色補正を行わずに、投影部220に出力する。なお、信号処理部230は、色補正データを色補正データ記憶部212から読み出して、自身内部の記憶装置に格納しておき、当該記憶装置内の色補正データを用いて、色補正を行ってもよい。
分光センサー部140は、第一実施形態と基本的に同様である。なお、第二実施形態では、分光センサー部140は、投影部220から投影面に投影される画像から反射された光を検出できるように、例えば、導光部141が投影面と対向する位置及び向きで設置される。
分光センサー部140は、例えば図14(B)(投影装置2における分光センサー部140の設置位置の例を説明する図)に示すように、導光部141が外部に露出して投影方向を向くように投影装置2の内部に設置される。なお、導光部141は、例えばレンズを含んで構成される。
測定制御部200は、投影装置2による投影の測定に関する制御を行う。測定制御部200は、カラーパッチ生成部201と、測定条件設定部202と、分光特性計算部203と、色彩値計算部204と、色補正データ生成部205とを有する。
カラーパッチ生成部201は、色補正データを作成するために用いる一以上のカラーパッチ画像を生成し、信号処理部230に出力する。
測定条件設定部202は、投影特性記憶部211に格納されている投影部220の投影特性に関するデータに基づいて、各カラーパッチ画像に対する測定条件(測定波長、測定時間など)を決定し、設定する。なお、測定制御部200は、測定条件設定部202により設定された測定条件に基づいて、分光センサー部140を制御する。
分光特性計算部203は、第一実施形態の分光特性計算部103と基本的に同様である。
色彩値計算部204は、第一実施形態の色彩値計算部104と基本的に同様である。
色補正データ生成部205は、色彩値計算部204から出力される各カラーパッチの色彩値に基づいて、入力画像信号で指定される色を所望の目標色で投影部220から投影させるための色補正データを生成し、色補正データ記憶部212に格納する。
記憶部210には、投影特性記憶部211と、色補正データ記憶部212とが含まれる。投影特性記憶部211には、投影部220の投影特性に関するデータが格納される。投影特性記憶部211には、例えば、投影特性テーブルと、測定時間テーブルとが格納される。色補正データ記憶部212には、例えば、色補正テーブルが格納される。
投影特性テーブルには、投影装置2に入力される入力画像信号のRGB値毎に、RGB値と、当該RGB値に基づいて色補正なしで投影部220から投影されたときに測定される光の分光特性を表すスペクトルデータとを関連付けたデータが格納される。なお、例えば、投影装置2の製造時などに投影部220から投影される光の測定が行われ、その測定結果が投影特性テーブルに反映される。
測定時間テーブルには、投影部220により投影される光の波長毎に、当該波長と、当該波長を測定する測定時間とを関連付けたデータが格納される。測定時間には、例えば、受光部143に含まれるフォトICなどの特性を考慮して、測定対象の波長の光の輝度値を適切に測定するための時間が設定される。例えば、投影装置2の製造時などに受光部143の特性が検査され、その検査結果が測定時間テーブルに反映される。
なお、第一実施形態と同様に、測定時間テーブルに設定されている測定時間は、受光部143の特性に基づく時間である。従って、実際の測定対象である波長(測定波長)の測定時間は、「測定波長に対応する測定時間」×「測定波長の予測光量に対応する係数」により決定される。測定波長の予測光量に対応する係数は、投影特性テーブルのスペクトルデータに基づいて当該予測光量に応じて決定できる。
色補正テーブルには、投影装置2に入力される入力画像信号のRGB値である入力RGB値毎に、入力RGB値と、当該入力RGB値で所望の目標色が投影部220から投影されるように補正した補正後の出力RGB値とを関連付けたデータが格納される。
以上、本発明の第二実施形態について説明した。第二実施形態によれば、ファブリぺロー方式などの分光器を用いて測色を行う場合に、カラーパッチが投影されたときに発せられる光の分光特性を特定し、当該特定された分光特性に基づいて、分光器による測定が行われる。そのため、カラーパッチに応じた測定が実現でき、測定精度を維持したまま、測定時間を短縮することができる。
<第三実施形態>
第一実施形態及び第二実施形態は、自装置が表示あるいは投影することにより光を発する装置に関するが、第三実施形態は、紙などの印刷媒体に画像を印刷する印刷装置に関する。第一実施形態と異なる部分を中心に簡単に説明する。
図11は、本発明の第三実施形態に係る印刷装置3の概略構成の一例を示す図である。
印刷装置3は、カラーチャート画像を印刷し、印刷されたカラーチャート画像に対し光を当て、その反射光を分光センサーにより分光するとともに、分光された波長の光の輝度値を検出する。また、検出した各波長の輝度に基づいて、印刷装置3が入力画像データに基づいて印刷を行うときに用いる色補正データを生成する。印刷装置3は、生成した色補正データを用いて入力画像データを補正し、印刷を行う。
第三実施形態では、説明を分かり易くするため、印刷装置3が情報処理装置5などから受信する印刷データ(入力画像データ)は、例えば、CMYK色の印刷データであるものとする。もちろん、印刷装置3は、RGB色の印刷データを受信し、LUT(ルックアップテーブル)を参照することで、CMYK色の印刷データに変換するようにしてもよい。
印刷装置3は、測定制御部300と、記憶部310と、印刷部320と、通信部330と、印刷制御部340と、分光センサー部140とを有する。なお、測定制御部300、記憶部310、及び分光センサー部140は、印刷装置3に内蔵の測色器としての構成要素であってもよい。
印刷部320は、例えば、インクジェット方式などの印刷エンジン部であり、インクカートリッジ、印刷ヘッド、キャリッジ、紙送り機構などを含む。もちろん、印刷方式は、インクジェット方式に限られず、例えば、レーザー方式であってもよい。なお、「印刷部」は、「出力部」と呼んでもよい。
通信部330は、例えば、情報処理装置5から印刷データを受信し、測定制御部300又は記憶部310に出力する。
印刷制御部340は、印刷部320による印刷を制御する。なお、「印刷制御部」と「印刷部」の両方を、「出力部」と呼んでもよい。
印刷制御部340は、例えば、通信部330から印刷データが入力された場合、色補正データ記憶部312に格納されている色補正データに基づいて印刷データの色を補正し、当該印刷データに基づいて印刷部320で印刷を実行するためのデータを生成し、印刷部320に出力する。なお、印刷制御部340は、色補正データを色補正データ記憶部312から読み出して、自身内部の記憶装置に格納しておき、当該記憶装置内の色補正データを用いて、色補正を行ってもよい。なお、「印刷制御部」は、「色補正処理部」と呼んでもよい。
また、印刷制御部340は、例えば、カラーチャート画像を印刷する場合、色補正を行わずに、カラーチャート画像に基づいて印刷部320で印刷を実行するためのデータを生成し、印刷部320に出力する。
分光センサー部140は、第一実施形態と基本的に同様である。ただし、第三実施形態では、分光センサー部140は、印刷部320により印刷媒体に印刷された画像から反射された光を検出できるように、例えば、導光部141が印刷面と対向する位置及び向きで設置される。
さらに、分光センサー部140は、印刷媒体に印刷された画像の光を検出するため、光源部146と、光源制御部147とを有する。
分光センサー部140は、例えば図14(C)(印刷装置3における分光センサー部140の設置位置の例を説明する図)に示すように、導光部141が印刷媒体Sの印刷面に向くように印刷装置3の内部に設置される。なお、導光部141は、例えば開口部を含んで構成される。光源部146から出射された光は、導光部141を介して印刷媒体Sに当たる。
光源部146は、例えば、白色LEDなどの白色光を出射する光源である。光源部146は、光源制御部147から出力される駆動制御信号に基づいて、点灯をオンしたりオフしたりする。
光源制御部147は、光源部146を制御する駆動回路である。光源制御部147は、測定制御部300から駆動制御信号が入力されると、当該駆動制御信号を光源部146に出力する。これにより、光源部146は、指定された点灯時間の間、白色光を出射する。
測定制御部300は、印刷装置3による印刷結果の測定に関する制御を行う。測定制御部300は、カラーチャート生成部301と、測定条件設定部302と、分光特性計算部303と、色彩値計算部304と、色補正データ生成部305とを有する。
カラーチャート生成部301は、色補正データを作成するために用いる一以上のカラーパッチを含むカラーチャート画像情報(「色画像情報」と呼んでもよい。)を生成し、印刷制御部340に出力する。なお、印刷制御部340は、生成されたカラーチャート画像情報に基づいて印刷部320で印刷を実行するためのデータを生成し、印刷部320に出力する。
測定条件設定部302は、印刷特性記憶部311に格納されている印刷部320の印刷特性に関するデータに基づいて、カラーチャート画像に含まれる各カラーパッチ画像に対する測定条件(測定波長、測定時間など)を決定し、設定する。
なお、印刷制御部340は、測定を実行する際、印刷されたカラーチャート画像に含まれる各カラーパッチ画像から反射される光を分光センサー部140で検出できるように、印刷部320を制御して、例えば、印刷媒体の紙送り方向の位置を調整する。また、測定制御部300は、測定条件設定部302により設定された測定条件に基づいて、分光センサー部140を制御する。すなわち、測定制御部300は、印刷面のカラーチャート画像に含まれる各カラーパッチ画像に対して光が出射されるように光源制御部147に駆動制御信号を出力する。また、測定制御部300は、設定された測定波長の光が分光部142により透過されるように分光制御部144に駆動制御信号を出力するとともに、設定された測定時間で蓄積された光の電気信号が受光部143から出力されるように受光制御部145に駆動制御信号を出力する。
分光特性計算部303は、第一実施形態の分光特性計算部103と基本的に同様である。
色彩値計算部304は、第一実施形態の色彩値計算部104と基本的に同様である。
色補正データ生成部305は、色彩値計算部304から出力されるカラーチャートに含まれる各カラーパッチ画像の色彩値に基づいて、入力画像データで指定される色を所望の目標色で印刷部320により印刷させるための色補正データを生成し、色補正データ記憶部312に格納する。
記憶部310には、印刷特性記憶部311と、色補正データ記憶部312とが含まれる。印刷特性記憶部311には、印刷部320の印刷特性に関するデータが格納される。印刷特性記憶部311には、例えば、印刷特性テーブルと、測定時間テーブルとが格納される。色補正データ記憶部312には、例えば、色補正テーブルが格納される。
印刷特性テーブルには、印刷装置3に入力される入力画像データのCMYK値毎に、CMYK値と、当該CMYK値に基づいて色補正なしで印刷部320により印刷された画像について測定される光の分光特性を表すスペクトルデータとを関連付けたデータが格納される。なお、例えば、印刷装置3の製造時などに印刷部320により印刷される画像の光の測定が行われ、その測定結果が印刷特性テーブルに反映される。
測定時間テーブルには、印刷部320により印刷される画像の光の波長毎に、当該波長と、当該波長を測定する測定時間とを関連付けたデータが格納される。測定時間には、例えば、受光部143に含まれるフォトICなどの特性を考慮して、測定対象の波長の光の輝度を適切に測定するための時間が設定される。各波長の測定時間と合わせて、光源部146を点灯させる点灯時間を格納するようにしてもよい。例えば、印刷装置3の製造時などに受光部143の特性が検査され、その検査結果が測定時間テーブルに反映される。
なお、第一実施形態と同様に、測定時間テーブルに設定されている測定時間は、受光部143の特性に基づく時間である。従って、実際の測定対象である波長(測定波長)の測定時間は、「測定波長に対応する測定時間」×「測定波長の予測光量に対応する係数」により決定される。測定波長の予測光量に対応する係数は、印刷特性テーブルのスペクトルデータに基づいて当該予測光量に応じて決定できる。
色補正テーブルには、印刷装置3に入力される入力画像データのCMYK値である入力CMYK値毎に、入力CMYK値と、当該入力CMYK値で所望の目標色が印刷部320により印刷されるように補正した補正後の出力CMYK値とを関連付けたデータが格納される。
図12は、色補正データを生成する処理の一例を示すフロー図である。図12に示す色補正データ生成処理フローは、例えば、測定制御部300が、図示しない印刷装置3の入力装置などを介して、あるいは情報処理装置5から、ユーザーによる色補正の指示を受け付けた場合に開始される。
まず、カラーチャート生成部301は、カラーチャートを生成する(ステップS210)。具体的には、カラーチャート生成部301は、予め決められた複数のカラーチャートパターンの中から、未測定のカラーチャートパターンを選択し、選択したカラーチャートパターンのCMYK値のカラーチャート画像情報を生成する。なお、ここでは、生成したカラーチャート画像情報には、一つのカラーパッチ画像情報が含まれるものとする。
それから、測定条件設定部302は、カラーチャート画像の測定条件を設定する(ステップS220)。具体的には、測定条件設定部302は、印刷特性記憶部311の印刷特性テーブルから、ステップS210で生成されたカラーチャート画像情報のCMYK値に一致するCMYK値に関連付けられたスペクトルデータを取得する。一致するCMYK値がない場合、測定条件設定部302は、カラーチャート画像情報のCMYK値に最も近いCMYK値を選択するようにすればよい。また、一致するCMYK値がない場合、カラーチャート画像情報のCMYK値に近い(所定条件を満たす範囲の)CMYK値を複数特定し、特定した複数のCMYK値に関連付けられたスペクトルデータに基づいて補間処理を実行することで、カラーチャート画像のスペクトルデータを生成するようにしてもよい。取得したスペクトルデータに基づいて、実際に測定を行う測定波長を決定する方法と、決定した各測定波長の測定時間を決定する方法とは、第一実施形態と同様なので説明を省略する。
それから、カラーチャート生成部301は、カラーチャートを印刷する(ステップS230)。具体的には、印刷制御部340は、ステップS210で生成されたカラーチャート画像情報に基づいて印刷部320で印刷を実行するためのデータを生成し、印刷部320に出力する。なお、印刷制御部340は、カラーチャート画像を印刷する場合、カラーチャート画像情報に色補正を行わない。このようにして、印刷制御部340は、印刷部320によりカラーチャートを印刷させる。
それから、測定制御部300は、カラーチャートの測定を行う(ステップS240)。具体的には、印刷制御部340は、ステップS230で印刷されたカラーチャート画像から反射された光を分光センサー部140で検出できるように、印刷部320を制御して、例えば、印刷媒体の紙送り方向の位置を調整する。それから、測定制御部300は、印刷面のカラーチャート画像に対して光が出射されるように光源制御部147に駆動制御信号を出力する。また、測定制御部300は、ステップS220で設定された実際に測定を行う測定波長ごとに、当該測定波長の光が分光部142により透過されるように分光制御部144に駆動制御信号を出力するとともに、当該測定波長についての測定時間で蓄積された電気信号が受光部143から出力されるように受光制御部145に駆動制御信号を出力する。
それから、分光特性計算部303は、分光特性を計算する(ステップS250)。具体的には、分光特性計算部303は、測定対象の各測定波長について受光部143から出力された電気信号に基づいて、ステップS230で印刷されたカラーチャート画像の分光特性を示すスペクトル曲線を計算し、分光特性を示すデータを、色彩値計算部304に出力する。なお、分光特性計算部303は、分光特性を計算するに際し、得られた各測定波長の電気信号が示す輝度についてゲイン補正や波長方向の補間処理などを行う。
それから、色彩値計算部304は、色彩値を計算する(ステップS260)。具体的には、色彩値計算部304は、ステップS250で出力された分光特性を示すデータに基づいて、ステップS230で印刷されたカラーチャート画像の色彩値を計算し、色彩値を示すデータを、色補正データ生成部305に出力する。
それから、カラーチャート生成部301は、未測定のカラーチャートがあるか否かを判定する(ステップS270)。具体的には、カラーチャート生成部301は、予め決められた複数のカラーチャートパターンの中から、未測定のカラーチャートパターンがあるか否かを判定する。未測定のカラーチャートパターンがある場合(ステップS270:Y)、カラーチャート生成部301は、処理をステップS210に戻す。一方、未測定のカラーチャートパターンがない場合(ステップS270:N)、カラーチャート生成部301は、処理をステップS280に進める。
それから、色補正データ生成部305は、色補正データを生成する(ステップS280)。すなわち、色補正データ生成部305は、入力画像データで指定される色を所望の目標色で印刷部320により印刷させるための色補正データを生成する。具体的な色補正データの生成方法は、基本的には第一実施形態と同様であるが、図8を参照して説明する。
第三実施形態では、図8は、入力画像データで指定される入力値(CMYK値)に対する、印刷部320により印刷される出力値(反射率)の変化を表しているものとする。図中の測定値は、ステップS260で計算された反射率のデータに基づいて特定されるものである。図中の目標値は、所望の目標値として予め定められて記憶部310に格納されているものである。なお、目標値は、測定制御部300が、図示しない印刷装置3の入力装置などを介して、あるいは情報処理装置5から、ユーザーによる設定を受け付けて、記憶部310に格納するようにしてもよい。
色補正データ生成部305は、目標値における入力値Dinに対応する出力値Doutと一致するように、測定値における入力値Din´を算出する。すなわち、入力値がDinのときに入力値Din´が出力されるように補正するための補正パラメーターを算出する。ここでは、入力値Din´を補正パラメーターとする。色補正データ生成部305は、入力Dinを入力CMYK値として、入力Din´を出力CMYK値として関連付けて、色補正テーブルに格納する。色補正データ生成部305は、このような処理を、各入力CMYK値について行う。なお、ある入力CMYK値に対応した目標色を実現するために必要なCMYK値(出力CMYK値)を、他の複数の入力CMYK値の測定結果である色彩値に基づいて、補間処理を実行することにより求めるようにしてもよい。
色補正データ生成部305は、上記のように色補正データを生成して、図12に示す色補正データ生成処理フローを終了する。
図13は、色補正処理の一例を示すフロー図である。図13に示す色補正処理フローは、例えば、印刷制御部340が、情報処理装置5から、印刷開始の指示を受け付けた場合に開始される。
印刷制御部340は、通信部330を介して印刷データを受信したか否かを判定する(ステップS310)。印刷データが受信されていない場合(ステップS310:N)、印刷制御部340は、判定を継続する。
印刷データが受信された場合(ステップS310:Y)、印刷制御部340は、受信された印刷データの色補正を行う(ステップS320)。具体的は、印刷制御部340は、色補正データ記憶部312の色補正テーブルから、入力画像データ(印刷データ)のCMYK値に一致する入力CMYK値に関連付けられた出力CMYK値を取得する。
それから、印刷制御部340は、色補正後の印刷データに基づいて印刷部320で印刷を実行するためのデータを生成し、印刷部320に出力し(ステップS330)、処理をステップS310に戻す。このようにして、印刷制御部340は、印刷部320により印刷データを印刷させる。
なお、第三実施形態では、入力画像データのCMYK値を、色補正データを使って補正しているが、このような方法に限られない。例えば、印刷装置3がRGB値とCMYK値とを関連付けたLUTを用いる場合、色補正データの出力CMYK値を、LUTに反映するようにしてもよい。このようにすれば、印刷装置3は、RGB色の印刷データを受信した場合に、当該LUTを参照することで、色補正されたCMYK色の印刷データを生成し、印刷を実行することができる。
また、第三実施形態では、一つのカラーパッチ画像が含まれるカラーチャート画像ごとに印刷と測定を行っているが、複数のカラーパッチ画像が含まれるカラーチャート画像を例えば1ページに印刷し、それからカラーパッチ画像ごとに測定を行うようにしてもよい。
以上、本発明の第三実施形態について説明した。第三実施形態によれば、ファブリぺロー方式などの分光器を用いて測色を行う場合に、印刷されたカラーチャートから発せられる光の分光特性を特定し、当該特定された分光特性に基づいて、分光器による測定が行われる。そのため、カラーチャートに応じた測定が実現でき、測定精度を維持したまま、測定時間を短縮することができる。
なお、以上の本発明の第一〜第三実施形態は、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定するものではない。多くの代替物、修正、変形例は当業者にとって明らかである。
例えば、第一実施形態の表示装置1は、色彩値計算部104で計算された色彩値のデータを、ICCプロファイルなどのプロファイル情報として情報処理装置5などの接続された機器に出力するようにしてもよい。なお、プロファイル情報は、キャリブレーションなどに用いる色補正データより高い精度が求められることが多いので、表示装置1は、カラーパッチの数(測定色数)及び測定波長数を増やしてもよい。第二実施形態の投影装置2、及び第三実施形態の印刷装置3も同様に、計算された色彩値のデータを、プロファイル情報として情報処理装置5などの接続された機器に出力するようにしてもよい。このようにすれば、ICCプロファイルなどのプロファイル情報の生成において、測定精度を維持したまま、測定時間を短縮することができる。なお、プロファイル情報を出力する機能を「プロファイル出力部」と呼んでもよい。
例えば、上記の第一〜第三実施形態では、表示特性テーブル(第二実施形態では投影特定テーブル、第三実施形態では印刷特性テーブル)のスペクトルデータから実際に測定する測定波長を決定しているが、表示特性テーブルのスペクトルデータの代わりに、実際に測定する測定波長を設定しておくようにしてもよい。この場合、測定条件設定部は、表示特性テーブルの測定波長をそのまま測定条件として設定する。このようにすれば、2次微分の演算処理などを省略することができる。
例えば、第一実施形態では、測定制御部100及び記憶部110は表示装置1内で実現されているが、これらの機能は、情報処理装置5内でCPUが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよい。なお、この場合、例えば、信号処理部130は、情報処理装置5と分光センサー部140との間の情報の送受信を行う。同様に、第二実施形態では、測定制御部200及び記憶部210は投影装置2内で実現されているが、これらの機能は、情報処理装置5内でCPUが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよい。同様に、第三実施形態では、測定制御部300及び記憶部310は印刷装置3内で実現されているが、これらの機能は、情報処理装置5内でCPUが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよい。
例えば、第一〜第三実施形態では、測定制御部100、記憶部110、及び分光センサー部140は、測定対象の装置(表示装置、投影装置、印刷装置)内で実現されているが、測定対象の装置とは別体の測色器として実現されてもよい。
第一〜第三実施形態では、ファブリぺロー方式の分光器を用いているが、同様の機能を有していればこの方式に限られない。例えば、分光器は、特定の波長を透過するエタロンを複数備え、これらのエタロンを機械的に切り替える仕組みを有するものであってもよい。
本発明は、光源装置を有する表示装置や投影装置など、光源装置を有さない印刷装置など、画像処理装置全般に適用することができる。