JP2014190427A - 軸受用受け皿およびその製造方法、ならびに軸受用受け皿を用いてなる軸受 - Google Patents

軸受用受け皿およびその製造方法、ならびに軸受用受け皿を用いてなる軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】低コストで製造することができ、部品を交換することなく長期間連続で使用できる軸受用受け皿およびその製造方法、ならびに軸受用受け皿を用いてなる軸受を提供する。
【解決手段】軸受用カバーを重ね合わせることにより、軸受用カバーとの間に環状空間を形成可能な軸受用受け皿であって、
熱可塑性樹脂からなる皿部材と、少なくとも環状空間の外周側または内周側のいずれかを封止する封止部を有するシール部材とからなり、
シール部材または皿部材のうちいずれか一方の部材に設けられた凸部と、他方の部材に設けられ凸部に嵌合する凹部とからなる嵌合構造を有することを特徴とする軸受用受け皿、およびこの軸受用受け皿の製造方法。また、この軸受用受け皿を用いてなる軸受。
【選択図】図1

Description

本発明は、軸受用受け皿およびその製造方法、ならびに軸受用受け皿を用いてなる軸受
に関する。
回転軸などを回転自在に支持する軸受として、軸受用受け皿に軸受用カバーを重ね合わせて軸受用受け皿と軸受用カバーとの間に空間を形成し、当該空間内に摺動部材を配置した軸受が知られている。しかしながら、このような軸受が塵、埃、泥水、トナー、金属屑といった異物のある環境に長時間置かれた場合、摺動部材などへの異物の付着によって摩擦抵抗が上昇し、軸受の滑らかな回転が阻害されてしまうおそれがある。
このような問題を防止する方法として、摺動部材を収容する空間をシール部材などで封止する技術が知られている。例えば、特許文献1および特許文献2には、環状の封止部を有するシール部材を合成樹脂からなる部材に押圧して取付けることにより軸受用受け皿を形成し、この軸受用受け皿を用いて摺動部材の収容空間を封止することが記載されている。
特開2012−97904号公報 特許4613379号公報
しかしながら、シール部材を合成樹脂部材に押圧して取り付ける方法では、シール部材の接着強度を確保することが難しく、部品を交換することなく長期間にわたって軸受を連続使用することは難しかった。また、シール部材または合成樹脂部材の寸法精度が低いと、めくれや隙間が生じて異物が収容空間内に侵入するおそれがあるため、高精度の加工が必要となり、製造コストの低減を図ることが難しかった。
本発明はかかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、低コストで製造することができ、部品を交換することなく長期間連続で使用できる軸受用受け皿およびその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上述の軸受用受け皿を用いてなる軸受を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の(1)〜(14)のいずれかの構成を有する。
(1)軸受用カバーを重ね合わせることにより、該軸受用カバーとの間に環状空間を形成可能な軸受用受け皿であって、
熱可塑性樹脂からなる皿部材と、少なくとも前記環状空間の外周側または内周側のいずれかを封止する封止部を有するシール部材とからなり、
前記シール部材または前記皿部材のうちいずれか一方の部材に設けられた凸部と、他方の部材に設けられ該凸部に嵌合する凹部とからなる嵌合構造を有することを特徴とする軸受用受け皿。
(2)前記シール部材が、前記環状空間の外周側を封止する外周側封止部と、前記環状空間の内周側を封止する内周側封止部と、前記外周側封止部と前記内周側封止部とを連結する複数の連結部とを有し、該複数の連結部に前記嵌合構造が設けられている、(1)に記載の軸受用受け皿。
(3)前記凸部は、平面形状において一端が扇状に広がる扇形凸部に形成されており、前記凹部は、該扇形凸部に嵌合する扇形凹部に形成されている、(1)または(2)に記載の軸受用受け皿。
(4)前記嵌合構造として、前記凸部が前記シール部材に設けられ、該シール部材の凸部に対応する前記凹部が前記皿部材に設けられてなる第1嵌合構造と、前記凸部が前記皿部材に設けられ、該皿部材の凸部に対応する前記凹部が前記シール部材に設けられてなる第2嵌合構造とを有し、前記第1嵌合構造および前記第2嵌合構造が周方向に交互に設けられている、(1)〜(3)のいずれかに記載の軸受用受け皿。
(5)前記皿部材がフィラーを10〜60重量%含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の軸受用受け皿。
(6)前記シール部材が熱可塑性エラストマーからなる、(1)〜(5)のいずれかに記載の軸受用受け皿。
(7)前記シール部材と前記皿部材との当接部における該シール部材の厚みが0.5〜3.5mmである、(1)〜(6)のいずれかに記載の軸受用受け皿。
(8)前記シール部材の射出成形時に金型内の所定位置に保持するための保持部が、前記皿部材に設けられている、(1)〜(7)のいずれかに記載の軸受用受け皿。
(9)(1)〜(8)のいずれかに記載の軸受用受け皿と、該軸受用受け皿に重ね合わせられた前記軸受用カバーと、前記軸受用受け皿と前記軸受用カバーとの間に形成された前記環状空間内に配置された環状のスラスト摺動部材とからなる軸受であって、前記軸受用カバーが、前記環状空間の軸心を中心として前記軸受用受け皿に対し回転自在に重ね合わせられている軸受。
(10)熱可塑性樹脂からなる皿部材および該皿部材に一体的に組付けられるシール部材を備えており、前記皿部材または前記シール部材のうちいずれか一方の部材に設けられた凸部と、他方の部材に設けられ該凸部に嵌合する凹部とからなる嵌合構造を有する軸受用受け皿の製造方法であって、前記皿部材を射出成形する一次成形工程と、前記シール部材を射出成形して前記皿部材に対し前記シール部材を一体的に組付ける二次成形工程と、前記皿部材と前記シール部材とが一体的に組付けられてなる軸受用受け皿を金型から取り外す取り外し工程とを有し、前記一次成形工程および前記二次成形工程を二色成形または二段成形により実行することを特徴とする軸受用受け皿の製造方法。
(11)前記シール部材が熱可塑性エラストマーからなり、前記取り外し工程の際に、前記シール部材を弾性変形させつつ前記軸受用受け皿を金型から取り外す、(10)に記載の軸受用受け皿の製造方法。
(12)前記凸部は、平面形状において一端が扇状に広がる扇形凸部に形成されており、前記凹部は、該扇形凸部に嵌合する扇形凹部に形成されている、(10)または(11)に記載の軸受用受け皿の製造方法。
(13)金型内の所定位置に保持するための保持部が前記皿部材に設けられている、(10)〜(12)のいずれかに記載の軸受用受け皿の製造方法。
(14)前記一次成形工程および前記二次成形工程を二段成形により実行し、前記二次成形工程の前に、前記保持部の位置を認識可能な認識手段を備えた取付装置を用いて前記皿部材を前記所定位置に取付ける取付工程を有する、(13)に記載の軸受用受け皿の製造方法。
本発明によれば、長期間連続で使用できる軸受用受け皿を低コストで製造することができる。また、このような軸受用受け皿を用いることにより、塵、埃、泥水、トナー、金属屑などの異物が多い環境においても、部品を交換することなく長期間連続で使用可能な軸受を得ることができる。
本発明の一実施態様に係る軸受用受け皿を示す図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のA−B−C線半断面図である。 図1の軸受用受け皿を構成する皿部材を示す図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のA−B−C線半断面図である。 図1の軸受用受け皿を構成するシール部材を示す図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のA−B−C線半断面図である。 図1の軸受用受け皿を用いてなる軸受を示す縦断面図である。 本発明の別の実施態様に係る軸受用受け皿を示す図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A’面に沿った切断面の端面図であり、(C)は(A)の矢印C方向から見た側面図である。 図5の軸受用受け皿を構成する皿部材を示す図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A’面に沿った切断面の端面図であり、(C)は(A)の矢印C方向から見た側面図である。 図6の皿部材の底面図である。 従来技術における軸受用受け皿を示す図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A’面に沿った切断面の端面図である。 図8の軸受用受け皿を構成する皿部材を示す図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A’面に沿った切断面の端面図である。 図8の軸受用受け皿を構成するシール部材を示す図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A’面に沿った切断面の端面図である。 嵌合構造を説明するための第1の模式図であり、(A)は凸部を有する部材のみの状態を、(B)は(A)の部材と凹部と有する部材とが嵌合した状態を、それぞれ示している。 嵌合構造を説明するための第2の模式図であり、(A)は凹部を有する部材のみの状態を、(B)は(A)の部材と凸部と有する部材とが嵌合した状態を、それぞれ示している。 嵌合構造を説明するための第3の模式図であり、(A)は凸部と凹部とが所定の距離を置いて交互に設けられている状態を、(B)は凸部と凹部とが互いに隣接して設けられている状態を、それぞれ示している。 部材同士の組合せ構造を説明するための模式図であり、(A)は管状部を有する部材のみの状態を、(B)は(A)の部材と別の部材とが組み合わせられた状態を、それぞれ示している。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る軸受用受け皿は、軸受用カバーを重ね合わせることにより、該軸受用カバーとの間に環状空間を形成可能な軸受用受け皿であって、
熱可塑性樹脂からなる皿部材と、少なくとも前記環状空間の外周側または内周側のいずれかを封止する封止部を有するシール部材とからなり、
前記シール部材または前記皿部材のうちいずれか一方の部材に設けられた凸部と、他方の部材に設けられ該凸部に嵌合する凹部とからなる嵌合構造を有する
ことを特徴とするものからなる。このような軸受用受け皿によれば、嵌合構造によってシール部材が皿部材に一体的に組付けられているので、シール部材の脱落が防止され、回転や振動などの衝撃が激しい環境や、塵、埃、泥水、トナー、金属屑といった異物のある環境においても、軸受用受け皿を部品交換なしで長時間使用することが可能となる。
シール部材は、少なくとも環状空間の外周側または内周側のいずれかを封止する封止部を有していればよいが、環状空間内への異物侵入防止の観点から、環状空間の外周側を封止する外周側封止部と、前記環状空間の内周側を封止する内周側封止部とを有することが好ましい。また、シール部材の脱落防止の観点から、上記シール部材は外周側封止部と内周側封止部とを連結する複数の連結部を有することが好ましく、当該連結部に上述の嵌合構造が設けられていることがより好ましい。なお、シール部材において、封止部は3個以上設けられていてもよい。
上記嵌合構造において、凹部は、内部に比べて開口部が狭められた形状に形成され、凸部は当該凹部に嵌合する形状に形成されていることが好ましい。例えば、凸部が平面形状において一端が扇状に広がる扇形凸部に形成されており、凹部が当該扇形凸部に嵌合する扇形凹部に形成されている構成である。このような構成によれば、凹部の開口部が狭められているので、凸部の脱離が未然に防止されることとなり、シール部材の脱落防止を図ることができる。
また、上記嵌合構造において、凸部および凹部は、皿部材またはシール部材のいずれに設けられていてもよい。例えば、凸部がシール部材に設けられ、当該シール部材の凸部に対応する凹部が皿部材に設けられてなる構造を第1嵌合構造とし、凸部が皿部材に設けられ、当該皿部材の凸部に対応する凹部がシール部材に設けられてなる構造を第2嵌合構造とするとき、軸受用受け皿は、第1嵌合構造のみを有していてもよいし、第2嵌合構造のみを有していてもよいし、第1嵌合構造および第2嵌合構造の両方を有していてもよい。なお、シール部材の脱落防止の観点からは、軸受用受け皿が第1嵌合構造および第2嵌合構造の両方を有していることが好ましく、第1嵌合構造および第2嵌合構造が周方向に交互に設けられていることがより好ましい。
上述の皿部材を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン)、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、芳香族ナイロン)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスルフォキサイド、ポリテトラフルオロエチレン、アクロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエーテル・エーテル・ケトン、ポリオキシメチレンなどの樹脂が挙げられる。
また、上記熱可塑性樹脂として、生物由来の樹脂(例えば、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートなど)を用いてもよい。
さらに、上記樹脂の誘導体や、上記樹脂の共重合体、さらにそれらの混合物を用いることも可能である。
上記皿部材は、フィラーを含有していることが好ましい。フィラーを用いることにより、皿部材の強度を向上させることができ、軸受用受け皿の耐久性が向上する。フィラーとしては、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維、ガラス粒子、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸塩、酸化鉄、カーボンブラック、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、石英粉、タルク、カリオン、アルミナ、ウルオストナイト、銅、アルミ、鉄、銀、亜鉛の粒子などを用いることができ、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維が好ましい。また、フィラーの含有量としては、10〜60重量%が好ましく、20%から50%がより好ましく、30%から50%が特に好ましい。
上記皿部材には添加剤を添加してもよい。添加剤の種類としては、例えば、難燃剤(例えば、ハロゲン化合物やリン化合物など)、強化剤(例えば、水酸化マグネシウムやケイ酸塩など)、膨張剤などが挙げられる。添加剤の含有量は1〜20%が好ましく、1〜15%がより好ましい。
上述のシール部材は弾性材からなることが好ましい。特に、加工容易性の観点から、熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。熱可塑性エラストマーとして利用可能な樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。また、一般的に、熱可塑性エラストマーは可塑性を有するハードセグメントおよび弾性を有するソフトセグメントからなる構造を有するが、ハードセグメントを構成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリアミドが好ましい。また、ソフトセグメントを構成する樹脂としては、ポリエーテル、ポリエーテル/ポリエステル、EPDM、ポリブタジエン、ポリイソプレンが好ましい。
上記シール部材と皿部材との当接部におけるシール部材の厚みは、0.5〜3.5mmであることが好ましく、0.7mm〜2.0mmであることがより好ましく、1.0mm〜1.7mmであることがとくに好ましい。ここで、シール部材と皿部材との当接部におけるシール部材の厚みとは、シール部材において形状が略平板状である部位のうち、当該平板状部の一方の面が皿部材と当接している部位の厚みを指し、形状が略平板状でない部位については考慮しないものとする。シール部材の厚みを0.5mm以上とすることにより、シール部材の強度を確保することができ、シール部材を成形する際に樹脂の充填が容易となる。また、シール部材の厚みを3.5mm以下とすることにより、シール部材の小型化、軽量化を図ることができる。
本発明はまた、上述の軸受用受け皿を用いてなる軸受も提供する。
すなわち、本発明に係る軸受は、上記軸受用受け皿と、軸受用受け皿に重ね合わせられた軸受用カバーと、軸受用受け皿と軸受用カバーとの間に形成された環状空間内に配置された環状のスラスト摺動部材とからなる軸受であって、軸受用カバーが、環状空間の軸心を中心として軸受用受け皿に対し回転自在に重ね合わせられているものからなる。
このような軸受によれば、軸受用受け皿においてシール部材の脱落が防止されているので、回転や振動などの衝撃が激しい環境や、塵、埃、泥水、トナー、金属屑といった異物のある環境においても、軸受用受け皿を部品交換なしで長時間使用することが可能となる。
本発明はまた、上述の軸受用受け皿の製造方法も提供する。
すなわち、本発明に係る軸受用受け皿の製造方法は、熱可塑性樹脂からなる皿部材および皿部材に一体的に組付けられるシール部材を備えており、皿部材またはシール部材のうちいずれか一方の部材に設けられた凸部と、他方の部材に設けられ凸部に嵌合する凹部とからなる嵌合構造を有する軸受用受け皿の製造方法であって、
皿部材を射出成形する一次成形工程と、
シール部材を射出成形して皿部材に対しシール部材を一体的に組付ける二次成形工程と、
皿部材とシール部材とが一体的に組付けられてなる軸受用受け皿を金型から取り外す取り外し工程とを有し、
一次成形工程および二次成形工程を二色成形または二段成形により実行する
ことを特徴とするものからなる。
このような製造方法によれば、シール部材の成形と、嵌合構造によるシール部材と皿部材との組付が二次成形工程によって一度に行われるため、製造工程が簡素化され、製造コストの低減を図ることができる。また、シール部材の形状は、二次成形工程の際に自動的に皿部材と対応する形状に形成されるので、寸法精度の極めて高い軸受用受け皿を容易に得ることができる。
上記一次成形工程および二次成形工程は、二色成形によって実行してもよいし、二段成形によって実行してもよい。ここで、二色成形とは、異材質の材料同士を組み合わせて一体に成形することを示す。例えば、第1の金型を用いて一次成形工程を実施し皿部材を成形した後、第1の金型の可動側を回転または移動させて第2の金型と組み合わせ、この第2の金型を用いて二次成形工程を実施することにより、皿部材とシール部材とを一体的に組付けることができる。また、2段成形とは、一次成形工程の後に皿部材を金型から一旦取り外し、別の金型に皿部材を取り付けて二次成形工程を行うことを意味する。なお、軸受用受け皿にさらに別の部材を一体成形する場合は、多色成形、多段成形またはこれらの組み合わせによって軸受用受け皿を製造することもできる。
上記シール部材は、熱可塑性エラストマーからなることが好ましい。このような構成によれば、取り外し工程の際に、シール部材を弾性変形させつつ軸受用受け皿を金型から取り外すことができ、複雑な形状を有するシール部材を提供することが可能となる。
上記嵌合構造において、凹部は、内部に比べて開口部が狭められた形状に形成され、凸部は当該凹部に嵌合する形状に形成されていることが好ましい。また、凸部が平面形状において一端が扇状に広がる扇形凸部に形成されており、凹部が当該扇形凸部に嵌合する扇形凹部に形成されていることがより好ましい。
皿部材には、金型内の所定位置に保持するための保持部が設けられていることが好ましい。このような構成によれば、二次成形工程の際に皿部材の位置ずれを容易に防止することができるため、寸法精度の向上、歩留まり率の向上および製造時間の短縮を図ることができる。
また、皿部材に上記保持部を設ける構成は、皿部材を金型内の所定位置に取り付ける際にも有効である。例えば、一次成形工程および二次成形工程を二段成形により実行する場合、保持部の位置を認識可能な認識手段を備えた取付装置を用いて皿部材を所定位置に取付ける取付工程を二次成形工程の前に実施することにより、皿部材の取付作業を自動化して製造時間の短縮および製造工程の簡素化を図ることができる。
上記二次成形工程においては、金型に埋め込まれたホットランナーノズルを用いてシール部材を射出成形することもできる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1〜3は、本発明の一実施態様に係る軸受用受け皿およびその構成部材を示している。図1は軸受用受け皿1を示しており、(A)は上面図、(B)は(A)のA−B−C線半断面図である。図1において、軸受用受け皿1は中心部に孔を有する略環状に形成されており、熱可塑性樹脂からなる皿部材2と、熱可塑性エラストマーからなる内周側シール部材3および外周側シール部材4とを備えている。図2は皿部材2を示す図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のA−B−C線半断面図である。また、図3は、内周側シール部材3および外周側シール部材4を示す図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のA−B−C線半断面図である。
内周側シール部材3には平面形状が扇状である扇形凹部5bが複数設けられ、皿部材2には、内周側シール部材3の扇形凹部5bに嵌合可能な扇形凸部5aが複数設けられている。そして、内周側シール部材3の扇形凹部5bと、皿部材2に設けられた扇形凸部5aとが嵌合する嵌合構造5により、内周側シール部材3が皿部材2に一体的に組付けられている。同様に、外周側シール部材4には、平面形状が扇状である扇形凹部6bが複数設けられており、この扇形凹部6bと、皿部材2に設けられた複数の扇形凸部6aとが嵌合する嵌合構造6により、外周側シール部材4が皿部材2に一体的に組付けられている。
図1(A)に示すように、内周側シール部材3および外周側シール部材4において、扇形凹部5bは平面形状が扇状に構成されている。すなわち、扇形凹部5bの開口部は、扇形凹部5bの内部よりも狭くなっており、扇形凹部5bに嵌合した扇形凸部5aの脱離が防止されている。その結果、内周側シール部材3および外周側シール部材4の脱落が防止され、回転や振動などの衝撃が激しい環境や、塵、埃、泥水、トナー、金属屑といった異物のある環境においても、軸受用受け皿1を部品交換なしで長時間使用することが可能となる。
また、図1および図3に示すように、内周側シール部材3には内周側封止部3aが、外周側シール部材4には外周側封止部4aが、それぞれ設けられており、軸受用カバー(後述)が皿部材2に重ね合わせられて軸受用カバーと皿部材2との間に環状空間が形成された際に、内周側封止部3aおよび外周側封止部4aによって環状空間が封止され、環状空間への異物の侵入が防止される。
図4は、本発明に係る軸受を示す縦断面図であり、とくに、図1の軸受用受け皿1を用いてなる軸受の一例を示している。図4において、軸受10は、軸受用受け皿1、軸受用カバー7および摺動部材9からなる。軸受用カバー7は軸受用受け皿1に重ね合わされており、軸受用カバー7と軸受用受け皿1との間には環状空間8が形成されている。また、環状空間8内には摺動部材9が配置されている。図4の軸心Aは環状空間8の軸心を示しており、軸受用カバー7は、軸心Aを中心として軸受用受け皿1に対し相対的に回転自在に重ね合わされている。
軸受用受け皿1は熱可塑性エラストマーからなる内周側シール部材3および外周側シール部材4を備えており、環状空間8は、内周側シール部材3の内周側封止部3aおよび外周側シール部材4の外周側封止部4aによって封止されている。内周側シール部材3および外周側シール部材4はいずれも弾性を有しているので、内周側シール部材3の内周側封止部3aおよび外周側シール部材4の外周側封止部4aを軸受用カバー7に対し弾性的に当接させることにより、環状空間8の密閉性が確保され、塵、埃、泥水、トナー、金属屑といった異物の環状空間8内への侵入が防止される。
図5〜7は、本発明の別の実施態様に係る軸受用受け皿およびその構成部材を示している。図5は軸受用受け皿11を示しており、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A’面に沿った切断面の端面図、(C)は(A)の矢印C方向から見た側面図である。図5において、軸受用受け皿11は中心部に孔を有する略環状に形成されており、熱可塑性樹脂からなる皿部材12と、熱可塑性エラストマーからなるシール部材13とを備えている。また、図6および図7はいずれも皿部材12を示しており、図6(A)は上面図、図6(B)は図6(A)のA−A’面に沿った切断面の端面図、図6(C)は図6(A)の矢印C方向から見た側面図、図7は皿部材12の底面図である。
シール部材13には内周側封止部13aおよび外周側封止部13bが設けられており、内周側封止部13aと外周側封止部13bとは、平面形状が扇形に形成された複数の連結部14aによって連結されている。また、皿部材12には平面形状が扇状である扇形凹部14bが複数設けられており、扇形凹部14bと連結部14aとが嵌合する嵌合構造14により、シール部材13が皿部材12に一体的に組付けられている。さらに、シール部材13には平面形状が扇状である扇形凹部5bが複数設けられており、この扇形凹部5bと、皿部材12に設けられた扇形凸部5aとが嵌合する嵌合構造5も、シール部材13と皿部材12との組付けに寄与している。このように、シール部材13は複数の嵌合構造5、嵌合構造6および嵌合構造14によって皿部材12に対し一体的に組付けられているので、シール部材13の皿部材12からの脱落がより確実に防止され、回転や振動などの衝撃が激しい環境や、塵、埃、泥水、トナー、金属屑といった異物のある環境においても、軸受用受け皿11を部品交換なしで長時間使用することが可能となる。
皿部材12の底部には、成形時に皿部材12を金型内の所定位置に保持するための保持部15が2箇所に設けられ、位置決め作業の容易化および位置ずれの防止が図られている。例えば、上述の二次成形工程においてシール部材13を射出成形する場合、保持部15によって皿部材12を金型内の所定位置に確実に保持することができ、寸法精度の高い軸受用受け皿の製造が可能となる。また、一次成形工程および二次成形工程を二段成形によって実行する場合、保持部の位置を認識可能な認識手段を備えた取付装置を用いることにより、一次成形工程の金型から皿部材12を取り外して所定の台(例えば、トレイなど)に移す作業や、台に移された皿部材12を二次成形工程の金型に取り付ける作業を自動化することが可能となる。この場合、上記の台には、保持部15と対応する形状を有する位置決め部が設けられていることが好ましい。このような位置決め部を設けておくことにより、皿部材12の正確な位置決めが可能となり、取り外し作業および取り付け作業がより確実に行われるようになる。
図8〜10は、従来技術における軸受用受け皿およびその構成部材の一例を示している。図8は軸受用受け皿100を示しており、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A’面に沿った切断面の端面図である。図1において、軸受用受け皿100は中心部に孔を有する略環状に形成されており、樹脂からなる皿部材101と、弾性材からなる内周側シール部材102aおよび外周側シール部材102bとを備えている。図9は皿部材101を示す図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A’面に沿った切断面の端面図である。また、図10は、内周側シール部材102aおよび外周側シール部材102bを示す図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A’面に沿った切断面の端面図である。
内周側シール部材102aおよび外周側シール部材102bには封止部103が設けられており、軸受用カバー(図示略)が皿部材100に重ね合わせられて軸受用カバーと軸受用受け皿100との間に環状空間が形成された際に、封止部103によって環状空間が封止され、環状空間への異物の侵入が防止される。
また、内周側シール部材102aおよび外周側シール部材102bには鍔部104が設けられており、皿部材に設けられた溝105内に鍔部104を圧入することにより、内周側シール部材102aおよび外周側シール部材102bが皿部材に一体的に組付けられている。このような構成においては、内周側シール部材102aおよび外周側シール部材102bは基本的に溝105のみによって支持されているため、振動や回転などの衝撃の影響を受けやすい。また、鍔部104および溝105の成形には高い寸法精度が要求される、製造時には、内周側シール部材102aおよび外周側シール部材102bを皿部材に圧入する工程も必要となる。
図11は、嵌合構造を説明するための第1の模式図である。図11において、(A)は凸部30aを有する皿部材31単体の状態を、(B)は凹部30bと有するシール部材32が皿部材31に嵌合された状態を、それぞれ示している。また、図11では、皿部材31とシール部材32の位置関係を明確化すべく、各部材の断面を表示して当該断面にハッチングを施してある。図11(A)に示すように、皿部材31の凸部30aは、平面形状が扇状に形成されており、L2と比べてL1の方が長い。このような凸部30aに、シール部材32の凹部30bを嵌合することにより、凸部30aおよび凹部30bからなる嵌合構造30が構成され、皿部材31とシール部材32とが互いに一体的に組付けられる。なお、シール部材32の厚みL5およびL8は、いずれも0.5〜3.5mmであることが好ましい。
図12は、嵌合構造を説明するための第2の模式図である。図12において、(A)は凹部40bを有する皿部材41単体の状態を、(B)は凸部40aを有するシール部材42が皿部材41に嵌合された状態を、それぞれ示している。また、図12では、皿部材41とシール部材42の位置関係を明確化すべく、各部材の断面を表示して当該断面にハッチングを施してある。図12(A)に示すように、皿部材41の凹部40bは、平面形状が扇状に形成されており、L10と比べてL9の方が長い。このような凹部40bに、シール部材42の凸部40aを嵌合することにより、凸部40aおよび凹部40bからなる嵌合構造が構成され、皿部材41とシール部材42とが互いに一体的に組付けられる。なお、シール部材42の厚みL14およびL16は、いずれも0.5〜3.5mmであることが好ましい。
図13は、嵌合構造を説明するための第3の模式図であり、とくに、凸部と凹部が交互に設けられた状態の例を示している。図13において、(A)は凸部50aと凹部50bとが所定の距離を置いて交互に設けられている状態を、(B)は凸部50aと凹部50bとが互いに隣接して設けられている状態を、それぞれ示している。このように、凸部および凹部の配置についてはとくに限定はなく、必要に応じて種々の形態を適宜採用することができる。また、図13では複数の嵌合構造が等間隔に配置されている例を示しているが、嵌合構造間の距離は等間隔でなくてもよい。
図14は、部材同士の組合せ構造を説明するための模式図である。図14において、(A)は屈曲した管状部60aを有する部材61単体の状態を、(B)は部材61と別の部材62とが一体的に組み合わせられた状態を、それぞれ示している。管状部60aは略L字状に屈曲した形状を有しており、一端は面61a側に、他端は面61b側に、それぞれ開口している。また、部材62は管状部60aと対応した形状の屈曲部60bを有しており、図14(B)において、屈曲部60bは管状部60aに挿通され、屈曲部60bおよび管状部60aからなる組合せ構造60が形成されている。このような構成は、例えば、部材61を金型に取り付けて部材62を射出成形などで成形することにより実現することができる。また、このような組合せ構造60を用いてシール部材を皿部材に組付けることにより、シール部材の脱落がより確実に防止される。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、各実施例および比較例における試験条件は、特に記載しない限り、基本的に実施例1に準じるものとする。
(実施例1)
ナイロン6を70重量%、ガラス繊維を30重量%含有する樹脂を用いて250℃にて射出成型を行い、図2に示す皿部材2を成形した。皿部材2の寸法は、外径180mm、内径70mm、高さ50mmであった。また、皿部材2には、内周側シール部材3の扇形凹部5bと嵌合可能な扇形凸部を12個、外周側シール部材4の扇形凹部5bと嵌合可能な扇形凸部を12個、それぞれ設けた。扇形凸部の寸法としては、図11(A)において、下辺L1が6mm、上辺L2が4mm、下辺と上辺との幅L3が5mm、高さL4が6mmとなるように構成した。
この皿部材2を再び成形機に取り付けた後、熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いて、190℃にて射出成形を行い、内周側シール部材3および外周側シール部材4を皿部材に一体的に組付け、図1に示す軸受用受け皿1を製造した。内周側シール部材3の寸法は外径90mm、内径60mm、高さ10mmであり、外周側シール部材4の寸法は外径150mm、内径120mm、高さ10mmであった。また、内周側シール部材3および外周側シール部材4のいずれも、皿部材2との当接部における厚みは1.5mmであった。
(実施例2)
ナイロン66を45重量%、ガラス繊維を55%含有する樹脂を用いて280℃にて射出成形を行い、図6に示す皿部材12を成形した。皿部材12の寸法は、外径180mm、内径70mm、高さ50mmとした。また、皿部材12には、シール部材13の内周側扇形凹部5bと嵌合可能な扇形凸部5aを12個、シール部材13の内周側扇形凹部6bと嵌合可能な扇形凸部6aを12個、シール部材13の連結部14aと嵌合可能な扇形凹部14bを4個、それぞれ設けた。嵌合構造5における扇形凸部5aの寸法については、図11(A)において、下辺L1が6mm、上辺L2が4mm、下辺と上辺との幅L3が5mm、高さL4が6mmとなるように構成し、嵌合構造14における扇形凹部14bの寸法については、深さ10mm、上幅10mm、下幅12mmとし、保持部の寸法については、底辺20mm、高さ6mm、奥行き6mmとした。
この皿部材を、保持部の位置を認識可能な認識手段を備えた取付装置を用いて成形機に取り付けた。そして、熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いて、190℃にて射出成形を行い、シール部材13を皿部材12に一体的に組付けて図5に示す軸受用受け皿11を製造した。シール部材13の内周側封止部13aの寸法は、外径90mm、内径60mm、高さ10mmとし、外周側封止部13aの寸法は、外径150mm、内径120mm、高さ10mmとし、連結部14aの高さは0.7mmとした。また、シール部材13と皿部材12との当接部におけるシール部材の厚みは2.1mmとした。
(実施例3)
ポリフェニレンサルファイド(PPS)を40重量%、ガラス繊維を50重量%、水酸化マグネシウムを5重量%、ケイ酸塩を5重量%含有する樹脂を用いて280℃にて射出成形を行い、皿部材を成形した。なお、皿部材には、内周側シール部材の扇形凸部と嵌合可能な扇形凹部を16個、外周側シール部材の扇形凸部と嵌合可能な扇形凹部を16個、金型に保持可能な保持部を2個、それぞれ設けた。皿部材の寸法は、外径190mm、内径68mm、高さ55mmとし、扇形凹部の寸法は、下辺7mm、上辺5mm、下辺と上辺との幅6mm、高さ6mmとし、保持部の寸法は、底辺18mm、高さ7mm、奥行き7mmとした。
この皿部材を、保持部の位置を認識可能な認識手段を備えた取付装置を用いて成形機に取り付けた。そして、熱可塑性ポリエステルエラストマーを用いて、200℃にて射出成形を行い、内周側シール部材および外周側シール部材を皿部材に一体的に組付けて軸受用受け皿を製造した。内周側シール部材の寸法は外径95mm、内径65mm、高さ12mmであり、外周側シール部材4の寸法は外径155mm、内径125mm、高さ12mmであった。また、内周側シール部材および外周側シール部材のいずれについても、皿部材との当接部における厚みは1.8mmであった。
(実施例4)
ポリフェニレンサルファイド(PPS)を40重量%、ガラス繊維を50重量%、水酸化マグネシウムを5重量%、ケイ酸塩を5重量%含有する樹脂を用いて280℃にて射出成形を行い、皿部材を成形した。なお、皿部材には、図14(A)に示すような直径2mm、奥行き4mmの管状部を内周側に16個、外周側に16個、それぞれ設けるとともに、内周側と外周側とを連通する溝状の凹部を8箇所に設けた。
この皿部材を、保持部の位置を認識可能な認識手段を備えた取付装置を用いて成形機に取り付けた。そして、熱可塑性ポリエステルエラストマーを用いて、200℃にて射出成形を行い、内周側封止部、外周側封止部および8箇所の連結部を有するシール部材を皿部材に一体的に組付けて軸受用受け皿を製造した。内周側封止部の寸法は外径95mm、内径65mm、高さ12mmであり、外周側封止部の寸法は外径155mm、内径125mm、高さ12mmであった。また、図14(B)に示す組合せ構造において、シール部材の厚みは0.8mmであった。さらに、連結部の高さは0.6mmとした。
(実施例5)
ナイロン66を70重量%、ガラス繊維を30重量%含有する樹脂を用いて、280℃にて射出成型を行い、皿部材を成形した。皿部材の寸法は、外径180mm、内径70mm、高さ50mmとした。なお、皿部材には、内周側と外周側とを連通する溝状の凹部を8箇所に設けるとともに、隣り合う溝状の凹部の間に、図13(B)に示すように3つの凸部と2つの凹部とを交互に配置し、内周側および外周側のそれぞれに40個の嵌合構造を設けた。
この皿部材を、保持部の位置を認識可能な認識手段を備えた取付装置を用いて成形機に取り付けた。そして、熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いて、190℃にて射出成形を行い、シール部材13を皿部材12に一体的に組付けて軸受用受け皿を製造した。シール部材13の内周側封止部13aの寸法は、外径90mm、内径60mm、高さ10mmとし、外周側封止部13aの寸法は、外径150mm、内径120mm、高さ10mmとし、連結部14aの高さは0.6mmとした。また、シール部材と皿部材との当接部におけるシール部材の厚みは0.8mmとした。
(実施例6)
皿部材2を射出成形する工程と、内周側シール部材3および外周側シール部材4を射出成形する工程とを二色成形によって実行した以外は、実施例1と同様にして軸受用受け皿1を製造した。具体的には、皿部材1を射出成形した後、可動側の金型を開いて固定側の金型を回転させた。そして、第2の可動金型で閉じた後、金型に埋め込まれたホットランナーノズルを用いて、内周側シール部材3および外周側シール部材4の射出成形を行った。
(比較例)
図9に示す2つの環状の溝105を有する皿部材101を樹脂成形した。その後、図10に示すゴムからなる内周側シール部材102aおよび外周側シール部材102bを、圧入機を用いて皿部材101に組付け、図8に示す従来技術の軸受用受け皿100を製造した。
本発明に係る軸受用受け皿は、発塵の多い環境で使用されるOA機器、半導体製造装置、クリーンルーム、コンプレッサ、エアコン、建設機器、フック、ロール軸受け、ポンプ、自動車、自動二輪車、自転車などに使用される回転自在な軸受において、環状空間への塵の侵入を抑えるのに好適である。
1 軸受用受け皿
2 皿部材
3 内周側シール部材
3a 内周側封止部
4 外周側シール部材
4a 外周側封止部
5、6 嵌合構造
5a、6a 扇形凸部
5b、6b 扇形凹部
7 軸受用カバー
8 環状空間
9 摺動部材
10 軸受
11 軸受用受け皿
12 皿部材
13 シール部材
13a 内周側封止部
13b 外周側封止部
14 嵌合構造
14a 連結部
14b 扇形凹部
15 保持部
30、40 嵌合構造
30a、40a 扇形凸部
30b、40b 扇形凸部
31、41、61 皿部材
32、42、62 シール部材
60 組合せ構造
60a 管状部
60b 屈曲部
61a、61b 面
100 軸受用受け皿
101 皿部材
102 シール部材
103 封止部
104 鍔部
105 環状溝

Claims (14)

  1. 軸受用カバーを重ね合わせることにより、該軸受用カバーとの間に環状空間を形成可能な軸受用受け皿であって、
    熱可塑性樹脂からなる皿部材と、少なくとも前記環状空間の外周側または内周側のいずれかを封止する封止部を有するシール部材とからなり、
    前記シール部材または前記皿部材のうちいずれか一方の部材に設けられた凸部と、他方の部材に設けられ該凸部に嵌合する凹部とからなる嵌合構造を有することを特徴とする軸受用受け皿。
  2. 前記シール部材が、前記環状空間の外周側を封止する外周側封止部と、前記環状空間の内周側を封止する内周側封止部と、前記外周側封止部と前記内周側封止部とを連結する複数の連結部とを有し、該複数の連結部に前記嵌合構造が設けられている、請求項1に記載の軸受用受け皿。
  3. 前記凸部は、平面形状において一端が扇状に広がる扇形凸部に形成されており、前記凹部は、該扇形凸部に嵌合する扇形凹部に形成されている、請求項1または2に記載の軸受用受け皿。
  4. 前記嵌合構造として、前記凸部が前記シール部材に設けられ、該シール部材の凸部に対応する前記凹部が前記皿部材に設けられてなる第1嵌合構造と、前記凸部が前記皿部材に設けられ、該皿部材の凸部に対応する前記凹部が前記シール部材に設けられてなる第2嵌合構造とを有し、前記第1嵌合構造および前記第2嵌合構造が周方向に交互に設けられている、請求項1〜3のいずれかに記載の軸受用受け皿。
  5. 前記皿部材がフィラーを10〜60重量%含む、請求項1〜4のいずれかに記載の軸受用受け皿。
  6. 前記シール部材が熱可塑性エラストマーからなる、請求項1〜5のいずれかに記載の軸受用受け皿。
  7. 前記シール部材と前記皿部材との当接部における該シール部材の厚みが0.5〜3.5mmである、請求項1〜6のいずれかに記載の軸受用受け皿。
  8. 前記シール部材の射出成形時に金型内の所定位置に保持するための保持部が、前記皿部材に設けられている、請求項1〜7のいずれかに記載の軸受用受け皿。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の軸受用受け皿と、該軸受用受け皿に重ね合わせられた前記軸受用カバーと、前記軸受用受け皿と前記軸受用カバーとの間に形成された前記環状空間内に配置された環状のスラスト摺動部材とからなる軸受であって、前記軸受用カバーが、前記環状空間の軸心を中心として前記軸受用受け皿に対し回転自在に重ね合わせられている軸受。
  10. 熱可塑性樹脂からなる皿部材および該皿部材に一体的に組付けられるシール部材を備えており、前記皿部材または前記シール部材のうちいずれか一方の部材に設けられた凸部と、他方の部材に設けられ該凸部に嵌合する凹部とからなる嵌合構造を有する軸受用受け皿の製造方法であって、前記皿部材を射出成形する一次成形工程と、前記シール部材を射出成形して前記皿部材に対し前記シール部材を一体的に組付ける二次成形工程と、前記皿部材と前記シール部材とが一体的に組付けられてなる軸受用受け皿を金型から取り外す取り外し工程とを有し、前記一次成形工程および前記二次成形工程を二色成形または二段成形により実行することを特徴とする軸受用受け皿の製造方法。
  11. 前記シール部材が熱可塑性エラストマーからなり、前記取り外し工程の際に、前記シール部材を弾性変形させつつ前記軸受用受け皿を金型から取り外す、請求項10に記載の軸受用受け皿の製造方法。
  12. 前記凸部は、平面形状において一端が扇状に広がる扇形凸部に形成されており、前記凹部は、該扇形凸部に嵌合する扇形凹部に形成されている、請求項10または11に記載の軸受用受け皿の製造方法。
  13. 金型内の所定位置に保持するための保持部が前記皿部材に設けられている、請求項10〜12のいずれかに記載の軸受用受け皿の製造方法。
  14. 前記一次成形工程および前記二次成形工程を二段成形により実行し、前記二次成形工程の前に、前記保持部の位置を認識可能な認識手段を備えた取付装置を用いて前記皿部材を前記所定位置に取付ける取付工程を有する、請求項13に記載の軸受用受け皿の製造方法。
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