JP2014189977A - もたれ式擁壁の構築方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐震性が向上するもたれ式擁壁の構築方法を提供する。
【解決手段】法面Sの手前側に形成された基礎部分Bに、大きさを調整した残存型枠1aを左右方向に一段並べ、この残存型枠1aの後方であって法面Sよりも手前側に柱材2を設置し、残存型枠1aの背面から法面Sまで裏込めコンクリートCを打設し、最下段に並べた残存型枠1aの上段に、さらに残存型枠1を左右方向に立て並べ、この上段の残存型枠1の背面から法面Sまで裏込めコンクリートCを打設してこの工程を繰り返し、続いて法面Sの高さとレベルを合わせるように大きさを調整した別の残存型枠1bを設置し、この残存型枠1bの背面から法面Sまで裏込めコンクリートCを打設して擁壁躯体Aを構築し、擁壁躯体Aに裏込めコンクリートCの打継部C1が節となり、柱材2が軸となって撓る緩衝機能部A1を形成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、切土、盛土の傾斜した法面に、残存型枠を立て並べ、その裏側に裏込めコンクリートを打設して構築するもたれ式擁壁の構築方法に関し、耐震性が向上するもたれ式擁壁の構築方法に関する。
従来から、傾斜した法面に対して間知ブロックを組み積みするとともに、この間知ブロックの裏側に裏込めコンクリートを30〜50cm程度の所定高さで繰り返し打設して構築されるブロック積み擁壁工法が公知である。このブロック積み擁壁工法では、図6(a)に示すように、例えば、間知ブロック10を組み積みして構築した擁壁と法面Sとの間に40〜60cm程度の間隔を確保し、裏込めコンクリートCを繰り返し打設することと並行し、法面側から発生する水を排水する裏込め砕石(栗石)Dの層を設けることが行われている。しかし、地震によって裏込め砕石(栗石)Dの層及び法面表土は容易に崩壊するという問題が指摘されている。これに対し、下記特許文献1では、裏込め砕石(栗石)に代えて、多孔質コンクリートを打設することが提案されている。
特開2002−194751号公報
従来のブロック積み擁壁工法では強い地震が起きた場合に、上述のような裏込め砕石(栗石)の層及び法面表土に起因する問題とともに、裏込めコンクリートを繰り返し打継(コールドジョイント)して構築することに起因する問題等もあって、図6(b)〜(d)に示すように擁壁が崩落する恐れがある。
すなわち、ブロック積み擁壁工法で構築した擁壁に強い地震動が作用すると、図6(b)に示すように、擁壁が基礎部分Bを回転軸に、法面Sに対して前後方向に揺動することに伴って、擁壁の揺動の周期と地震動の周期とのずれから擁壁と法面Sとの間に隙間Pが発生する。さらに、図6(c)に示すように、この隙間Pに裏込め砕石(栗石)Dの層及び法面表土が崩落陥没するとともに、崩落したものが擁壁背面の下部で土楔となって作用し、法面Sとの間の隙間Pが拡大し、ついに擁壁背面の上部に大きな空部Qが形成されるようになる。その結果、図6(d)に示すように、擁壁の支持地盤が失われるとともに、擁壁自重による転倒曲げモーメントと地震慣性力による転倒曲げモーメントとが重なって擁壁が破壊され、崩落する。特に、繰り返し打継されることで、打ち継がれる部分に形成される裏込めコンクリートCの打継部C1が、コンクリートに含まれる不純物からなるレイタンス層を含んでコールドジョイントと呼ばれて構造的に強度が劣るため、擁壁は、この打継部C1から破壊していくことになる。
本発明は、上記実情に鑑みて提案され、切土、盛土の傾斜した法面に構築されるもたれ式擁壁の構築方法において、裏込めコンクリートの打継部を利用して擁壁躯体を撓らせる構造として耐震性が向上し、さらに、裏込め砕石(栗石)層を不要とすることで耐震性が益々向上するもたれ式擁壁の構築方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、耐震性が向上するもたれ式擁壁の構築方法であって、法面の手前側に、残存型枠を複数段積み上げるとともに、この残存型枠の後方であって前記法面よりも手前側に、前記残存型枠を支持する柱材を設置し、前記残存型枠の背面から前記法面まで裏込めコンクリートを打設高さ150cm以下で打設し、複数段積み上げた前記残存型枠の上段に、さらに残存型枠を複数段積み上げ、この上段の残存型枠の背面から前記法面まで前記裏込めコンクリートを打設することを繰り返し、前記法面の高さ方向に複数段積み上がった前記残存型枠、前記柱材及び前記裏込めコンクリートからなる擁壁躯体を構築し、この擁壁躯体に、前記裏込めコンクリートの打継部が節となり、前記柱材が芯となって前記擁壁躯体を補強しつつ撓る緩衝機能部を形成することにより、前記緩衝機能部で前記擁壁躯体が前後に揺動する振幅が分散減衰されるとともに、前記緩衝機能部が撓って前記法面の変位に追随し、前記擁壁躯体と前記法面との間に空部が形成されることが阻止される構造とし、地震発生時に前記擁壁躯体の崩落を抑止可能とすることを特徴とするもたれ式擁壁の構築方法である。
さらに、本発明は、上記もたれ式擁壁の構築方法において、前記法面の全体を、厚みが10mm以上で緩衝能を有し、面に対して垂直方向の透水係数が1.0×10-2(cm/sec)以上である透水性マットで被覆した上で、前記擁壁躯体を構築することを特徴とするもたれ式擁壁の構築方法である。
本発明に係るもたれ式擁壁の構築方法では、法面の高さ方向に積み上げた複数段の残存型枠の後方に、柱材を設置した上で、裏込めコンクリートを小刻みに打設することで擁壁が構築される。積み上げた複数段の残存型枠と柱材と裏込めコンクリートとから構成される擁壁躯体には、裏込めコンクリート打継部が節となり、柱材が芯となって撓なる緩衝機能部が形成される。そうすると、本発明により構築された擁壁は、緩衝機能部で擁壁躯体が前後に揺動する振幅が分散減衰されるとともに、緩衝機能部が撓って法面の変位に追随し、擁壁躯体と法面との間に空部が形成されることが阻止される構造となって、地震発生時に擁壁躯体の崩落を抑止することができ、耐震性を向上させることができる。
さらに、本発明では、法面の全体を、厚みが10mm以上で緩衝能を有し、面に対して垂直方向の透水係数が1.0×10-2(cm/sec)以上である透水性マットで被覆した上で、擁壁躯体を構築することにより、地震発生時に崩落陥没して擁壁の崩落の原因となっていた裏込め砕石(栗石)層を不要とすることができるので、地震発生時に擁壁躯体の崩落をより高い確度で抑止することができ、耐震性を向上させることができる。
本発明により構築されたもたれ式擁壁の概略構成を示した概略縦断面図である。 本発明で採用される透水性マットにより法面の全体が被覆された状態を説明する説明図である。 本発明によりもたれ式擁壁が構築されていく様子を説明する概略縦断面図であって、(a)は擁壁を構成する下段部の残存型枠を施工した段階を示した概略縦断面図、(b)は擁壁を構成する中段部の残存型枠を施工した段階を示した概略縦断面図、(c)は擁壁が完成した段階を示した概略縦断面図である。 本発明により構築された他のもたれ式擁壁の概略構成を示した概略縦断面図である。 従来のブロック積み擁壁工法により構築されたもたれ式擁壁の耐震性能を説明する説明図であって、(a)は平常時の擁壁を説明する概略縦断面図、(b)は地震動により揺れる擁壁の状態を説明する概略縦断面図、(c)は地震動により裏込め砕石層が崩壊した状態を説明する概略縦断面図、(d)は地震動により擁壁が崩壊した状態を説明する概略縦断面図である。
以下、本発明に係るもたれ式擁壁の構築方法についての一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。この一実施形態は、本発明の構成を具現化した例示に過ぎず、本発明は、特許請求の範囲に記載した事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことができる。
本発明に係るもたれ式擁壁の構築方法により構築される擁壁は、図1に示すように、法面Sの手前側で、左右方向に立て並べられるとともに、法面Sの高さ方向に複数段積み上げられる矩形状で所定大の残存型枠1と、この残存型枠1の後方であって法面Sよりも手前側に設置され、残存型枠1を支持している柱材2と、法面Sの全体を被覆し、厚みが10mm以上で緩衝能を有して、面に垂直方向の透水係数が1.0×10-2(cm/sec)以上である透水性マット3と、残存型枠1の背面から透水性マット3まで、例えば、30〜150cm程度で小刻みに継いで打設される裏込めコンクリートCの層とから構築されている。また、本発明に係るもたれ式擁壁の構築方法により構築される擁壁は、法面Sの高さ方向に複数段積み上げられた残存型枠1と、柱材2と、裏込めコンクリートCとが一体化されて構成される擁壁躯体Aが、全体が透水性マット3に覆われた法面Sに沿って構築された構成であるということができる。
裏込めコンクリートCは小刻みに継いで打設されるため、その層の境界に打継部C1が形成されている。打継部C1はコールドジョイントと呼ばれ、コンクリートに含まれる不純物が硬化とともに表面に浮かんで現れるレイタンス層を含んで、周りの裏込めコンクリートCよりも強度がやや劣る部位である。なお、小刻みに継ぐ高さは、30〜150cm程度の高さの範囲から適宜選択される。
透水性マット3は、例えば、厚みが10mm以上の弾性又は緩衝能を有する合成樹脂製のマットであり、法面Sの表土が地震発生時に崩落するのを透水性マット3で阻止可能となるように、法面Sに対して10cm以上の埋設可能な長さを有するアンカー4で打ち付けられている。透水性マット3は、被覆されない法面Sの箇所がないように、例えば、図2の道路建設等では、その斜面として形成される法面Sの全体にくまなく被覆されている。透水性マット3の性能として、面に垂直方向の透水係数が1.0×10-2(cm/sec)以上であるほか、面内方向の透水性能として15(cm3/sec/cm)以上であることが好ましい。また、裏込めコンクリートCが打設された後に、その厚さが8割以上保たれる厚さ保持率を有することがさらに好ましい。なお、求められる透水性能、厚みにおいて上限はない。しかしながら、経済性、弾性又は緩衝能の観点から優れた値のものを適宜選択すればよく、例えば、宅地擁壁用透水マット等として市販されているものを使用することができる。
図1に示すように、残存型枠1はコンクリート製で、例えば、縦30cm×横90cm×厚み3cm等と容易に手で持ち運ぶことのできる一定の大きさをした矩形状の型枠パネルであり、長手方向の端から1/4の位置であって背面の下側の左右と、背面の上側の左右とに金属製のフック11が設けられて構成される。このフック11を利用し、後述するようにして残存型枠1にセパレータ5が連結されるとともに、このセパレータ5が本実施形態のように固定具6で、又は溶接等によって柱材2に固定されることで、残存型枠1は柱材2から一定の間隔をもって設置され、柱材2に支持される。柱材2は、構築しようとする擁壁の高さに対応する長さのものが用いられる。柱材2の形状は、断面三角形状でも、断面矩形でも、断面円形でも、断面L字でも構わない。
また、積み上げられた残存型枠1と柱材2とは、その傾斜角が同一とされて平行関係にある。これにより、残存型枠1と、柱材2と、裏込めコンクリートCとから一体化されることで構成される擁壁躯体Aが、揺れによる破壊が起きにくいという耐震性能の観点から好ましい形態である。
本発明に係るもたれ式擁壁の構築方法は、図3に示すように、法面Sの全体に透水性マット3をアンカー4で地肌が露出しないようにしっかりと打ち付けて被覆するとともに、法面Sの手前側に形成された基礎部分Bに、大きさを調整した残存型枠1a及び所定大の残存型枠1から複数段、所定高さ(例えば、50cm程度)積み上げて構築し、この残存型枠1,1aの後方であって法面Sよりも手前側に、その一端を基礎部分Bに埋設させて柱材2を設置し、残存型枠1,1aの背面から法面Sまで裏込めコンクリートCを打設する下段部擁壁形成工程(図3(a)参照)と、下段部に積み上げた残存型枠1,1aの上段に、さらに残存型枠1を複数段、所定高さ(例えば、60cm程度)積み上げ、この上段の残存型枠1の背面から法面Sまで裏込めコンクリートCを打設する中段部擁壁形成工程及び、この中段部擁壁形成工程を繰り返す繰返工程(以上、図3(b)参照)と、法面Sの高さとレベルを合わせるように大きさを調整した残存型枠1bを設置し、この残存型枠1bの背面から法面Sまで裏込めコンクリートCを打設して擁壁を完成させる上段部擁壁形成工程(図3(c))とを有している。
以下、図3を参照しつつ、具体的に説明する。道路の脇等で擁壁を構築する場合の本発明に係るもたれ式擁壁の構築方法を例示している。なお、各構成部品に付した符号については、図1に記載のものが明確であるので参照されたい。
まず、図3(a)に示すように、法面Sの全体に透水性マット3を、法面Sに対してアンカー4で地肌が露出しないように打ち付けて被覆する。特に、法面Sの表土が地震発生時に崩落するのを透水性マット3で阻止可能となるように、その打ち付け部を除いたアンカー4の10cm以上の長さ部分が法面Sに埋没するまで、アンカー4をしっかりと打ち付けて被覆する。さらに、道路の脇等でコンクリートを打設して基礎部分Bを構築し、この基礎部分Bに下段部の大きさを調整した残存型枠1aを左右に設置するとともに、この残存型枠1aから高さ方向に複数段、所定大の残存型枠1を積み上げて所定高さ(例えば、50cm程度)とし、この残存型枠1,1aから所定距離おいた後方位置に、その一端を基礎部分Bに埋設させて柱材2を、残存型枠1aの幅の間隔で立設する。具体的には、柱材2を2つのフック11の間に位置させて立設していく。その残存型枠1,1aの下側のフック11へ、セパレータ5が連結されている装着具7を挿入して取り付け、さらにセパレータ5の装着具7が連結していない側の端部に固定具6を連結し、この固定具6を柱材2に固定することで、残存型枠1をセパレータ5を介して柱材2に固定する。
ここで、装着具7とセパレータ5との連結、セパレータ5と固定具6との連結、及び、固定具6の柱材2への固定は、それぞれ適宜の手段により達成される。例えば、装着具7とセパレータ5との連結は、装着具7に孔を設けるとともにセパレータ5の一端を折り曲げて引っ掛け部を形成し、この引っ掛け部を装着具7の孔に引っ掛けてこれらを連結することができる。
また、セパレータ5と固定具6との連結及び、固定具6の柱材2への固定は、例えば、腕部と基部とからなるU字又はV字状の固定具6の2本の腕部に孔を設け、これら孔にセパレータ5の他端を通すことで連結することができ、セパレータ5と固定具6とで形成される略三角形状の枠に柱材2を貫通し、セパレータ5と柱材2との接点、及び、セパレータ5と固定具6の孔との接点の三箇所を支点としてセパレータ5を弓なり状に曲がるまで、固定具6の基部に設けたボルト61を推進させることでセパレータ5を柱材2に固定することができる。また、例えば、固定具に代えて、セパレータ5の他端を柱材2に溶接することでセパレータ5を柱材2へ固定することができる。
そして、固定された下段部の残存型枠1,1aの背面から法面Sまで裏込めコンクリートCを残存型枠1とレベルを揃えて打設することで擁壁の下段部分が構築される。さらに、図3(b)に示すように、下段部に並べた残存型枠1,1aの上段に、さらに所定大の残存型枠1を複数段積み上げて所定高さ(例えば、60cm程度)とし、上述したのと同様な手順で残存型枠1をセパレータ5を介して柱材2に固定し、この上段の残存型枠1の背面から法面Sまで裏込めコンクリートCを打設し、このような工程を繰り返して擁壁の中段部分を構築する。最後に、図3(c)に示すように、法面Sの高さとレベルを合わせるように大きさを調整した別の残存型枠1bを設置し、この残存型枠1bの背面から法面Sまで裏込めコンクリートCを打設することで上段部分を構築し、擁壁が完成する。
本実施形態では、下段部擁壁形成工程、中段部擁壁形成工程、繰返工程及び上段部擁壁形成工程のそれぞれで、裏込めコンクリートCが打設されて擁壁が構築されるので、図41に示すように、複数段積み上がった残存型枠1、柱材2及び裏込めコンクリートCが一体化した擁壁躯体Aにおいて、レイタンス層を含んだコールドジョイントと呼ばれる打継部C1が裏込めコンクリートCの層に形成されている。また、柱材2が、この裏込めコンクリートCの層の芯として高さ方向に貫通するように埋設される形態となる。さらに、透水性マット3が法面Sの全体を被覆しているので、従来のブロック積み擁壁工法で慣習的に施工されていた排水用の裏込め砕石(栗石)層が不要とされている。
本発明により構築した擁壁に強い地震動が作用すると、擁壁躯体Aが基礎部分Bを回転軸に、法面Sに対して前後方向に揺動し、擁壁の揺動の周期と地震動の周期とのずれから、擁壁躯体Aと法面Sとの間に隙間が発生する方向に力が働く。しかし、地震発生時に擁壁躯体Aにおいて、裏込めコンクリートCの打継部C1が周りの裏込めコンクリートCよりも強度が弱いために節となり、柱材2が芯となって撓る緩衝機能部A1が形成されるため、緩衝機能部A1で擁壁躯体Aが前後に揺動する振幅が分散減衰されるとともに、緩衝機能部A1が撓って法面Sの変位(揺動)に追随し、従来のブロック積み擁壁工法の擁壁で形成されるような、擁壁躯体Aと法面Sとの間の空部が発生することがなくなる。そうすると、空部が発生しないことにより、地震発生時に擁壁躯体Aが崩落することが抑止されて耐震性が向上することになる。
また、地震動によって擁壁躯体Aと法面Sとの間に隙間が発生する方向に力が働いたとしても、透水性マット3によって裏込め砕石(栗石)層を不要としたことにより、裏込め砕石(栗石)層が崩落陥没することがなくなる。透水性マット3の緩衝能によって地震力を吸収し、擁壁躯体Aが前後に揺動する振幅を減衰させて、地震発生時に擁壁躯体Aの崩落を抑止することもできる。さらに、アンカー4を法面Sにしっかりと打ち付けて、透水性マット3を法面Sの全面に被覆しているため、透水性マット3の被覆が法面Sから剥がれるようなことがなく、法面Sの表土が地震発生時に崩落するのを透水性マット3で阻止することができる。
したがって、本発明に係るもたれ式擁壁の構築方法では、法面Sの高さ方向に積み上げた複数段の残存型枠1の後方に柱材2を設置した上で、裏込めコンクリートCを小刻みに打設することで擁壁を構築することにより、擁壁躯体Aにおいて地震発生時に裏込めコンクリートCの打継部C1が節となり、柱材2が芯となって撓なる緩衝機能部A1を形成することができる。この緩衝機能部A1は、擁壁躯体Aの前後に揺動する振幅を分散減衰させるとともに、法面Sの変位に追随し、法面Sとの間に空部が形成されることを阻止する構造を形成することができ、地震発生時に擁壁躯体Aの崩落を抑止して、耐震性を向上させた擁壁を構築ことができる。
さらに、法面Sの全体を、厚みが10mm以上で緩衝能を有し、面に対して垂直方向の透水係数が1.0×10-2(cm/sec)以上である透水性マット3で被覆した上で、擁壁躯体Aを構築することにより、従来、裏込め砕石(栗石)層が担っていた法面S側から発生する水の排水機能を透水性マット3で置き換えることができ、地震発生時に崩落陥没し、擁壁の崩落の原因となっていた裏込め砕石(栗石)層を不要とすることができる。そうすると、裏込め砕石(栗石)層を不要として地震発生時に擁壁躯体Aの崩落をより高い確度で抑止することができ、益々耐震性を向上させることができる。また、アンカー4を法面Sに埋没するまでしっかりと打ち付けるから、透水性マット3の被覆が法面Sから剥がれるようなことがなく、強い地震動によって法面Sの表土が崩落するのを透水性マット3で阻止することができ、さらに耐震性を向上させることができる。透水性マット3の緩衝能も耐震性の向上に寄与している。
ここで、上記実施形態では、積み上げる残存型枠として手で運搬することが可能な重さの矩形状で所定大の残存型枠1を用いた例を説明したが、従来から使用され、例えば、図5に示すような間知ブロック10を採用しても、本発明に係るもたれ式擁壁の構築方法を実施することができる。この場合も、地震発生時に裏込めコンクリートCの打継部C1が節となり、柱材2が芯となって撓なる緩衝機能部A1を形成することができるからである。また、上記実施形態は、本発明について出願人が最良であると信じる実施形態であるので、透水性マット3を採用した例を説明しているが、地震発生時に裏込めコンクリートの打継部が節となり、柱材が芯となって撓なる緩衝機能部を形成する擁壁が構築される構成であるかぎり、透水性マットを使用しない構成であっても本発明に係るもたれ式擁壁の構築方法を実施することができる。
以上、本発明に係るもたれ式擁壁の構築方法を実施する一実施形態を詳述したが、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、上記実施形態に限定されることなく、種々の設計変更を行うことが可能である。例えば、透水性マットは、出願人が求める所定の効果(緩衝能及び排水能)において、厚みが10mm以上で緩衝能を有し、面に対して垂直方向の透水係数が1.0×10-2(cm/sec)以上であることを要件とする限りであって、経済性、弾性又は緩衝能の観点から、面内方向の透水性能、厚さ保持率等のその他の性能を適宜選択し、本発明に係るもたれ式擁壁の構築方法に用いることができる。なお、透水性マットの好ましい形態は、面に対して垂直方向の透水係数が1.0×10-1(cm/sec)以上である。
また、透水性マットは、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、無機材、有機材の別、合成樹脂、天然樹脂の別などを問わないで、様々な材質で構成されたものを使用することができる。
1・・残存型枠
1a・残存型枠
1b・残存型枠
11・フック
10・間知ブロック
2・・柱材
3・・透水マット
4・・アンカーピン
5・・セパレータ
6・・固定具
61・ボルト
7・・連結具
A・・擁壁躯体
A1・緩衝機能部
B・・基礎部分
C・・裏込めコンクリート
C1・打継部
D・・裏込め砕石(栗石)
P・・隙間
Q・・空部
S・・法面

Claims (2)

  1. 耐震性が向上するもたれ式擁壁の構築方法であって、
    法面の手前側に、残存型枠を複数段積み上げるとともに、この残存型枠の後方であって前記法面よりも手前側に、前記残存型枠を支持する柱材を設置し、前記残存型枠の背面から前記法面まで裏込めコンクリートを打設高さ150cm以下で打設し、複数段積み上げた前記残存型枠の上段に、さらに残存型枠を複数段積み上げ、この上段の残存型枠の背面から前記法面まで前記裏込めコンクリートを打設することを繰り返し、前記法面の高さ方向に複数段積み上がった前記残存型枠、前記柱材及び前記裏込めコンクリートからなる擁壁躯体を構築し、この擁壁躯体に、前記裏込めコンクリートの打継部が節となり、前記柱材が芯となって前記擁壁躯体を補強しつつ撓る緩衝機能部を形成することにより、
    前記緩衝機能部で前記擁壁躯体が前後に揺動する振幅が分散減衰されるとともに、前記緩衝機能部が撓って前記法面の変位に追随し、前記擁壁躯体と前記法面との間に空部が形成されることが阻止される構造とし、地震発生時に前記擁壁躯体の崩落を抑止可能とする、
    ことを特徴とするもたれ式擁壁の構築方法。
  2. 前記法面の全体を、厚みが10mm以上で緩衝能を有し、面に対して垂直方向の透水係数が1.0×10-2(cm/sec)以上である透水性マットで被覆した上で、前記擁壁躯体を構築する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のもたれ式擁壁の構築方法。
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