JP2014189799A - Ca含有アルミキルド鋼の介在物組成の制御方法 - Google Patents

Ca含有アルミキルド鋼の介在物組成の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】介在物組成を目標値に精度よく調整できるCa含有アルミキルド鋼の介在物組成の制御方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るCa含有アルミキルド鋼の介在物組成の制御方法は、Caを含有した溶鋼を連続鋳造用のタンディッシュに注入する前に、前記溶鋼中のT.O濃度及びCa濃度を分析し、その分析値に応じてタンディッシュにおいてT.O濃度を制御することを特徴とするものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、Ca含有アルミキルド鋼の介在物組成の制御方法に関するものである。
従来より、溶鋼中にCaを添加することで、溶鋼中の介在物の組成を制御し、品質を向上させる方法が行われている。
例えば、冷延鋼板で、鋳造中に浸漬ノズル内側に凝集付着したAl2O3がノズルから離脱して鋼中に残留し、それを起点に発生する鋼板表面が隆起するふくれ欠陥を低減すべく、溶鋼段階でCaを添加し、Al2O3介在物を低融点のCaO-Al2O3介在物に制御してノズルへの付着を防止する方法が行われている(特許文献1参照)。
また、ラインパイプや電縫鋼管(ERW鋼管)に使用する鋼材のような、耐水素誘起割れ性が必要な鋼材では、割れの起因となるMnSを無害化するためにCaを添加し、鋼中Sと反応させてCaSを生成させることが行われている。
Caを添加することで、Caが脱酸生成物であるAl2O3と反応してCaO-Al2O3介在物が生成する。ここで、Caが不足すると鋼中のSと反応しきれずMnSを生成してしまい、Caが過剰であると、CaOとAl2O3の質量比率CaO/Al2O3が高い酸化物が生成し、それぞれが耐水素誘起割れ性能悪化の要因となる。
そのため、介在物の組成を適正に制御するようにCaを添加することが耐水素誘起割れ性能向上には必要である。
このように、アルミキルド鋼においては、Caを添加することで、要不要によらずAl2O3介在物はCaO-Al2O3介在物となり、その組成比は、Ca濃度とAl2O3量、即ち、T.O濃度によって変わるため、Ca濃度をT.O濃度に応じて制御する必要がある。
Caの添加方法には、単にCaやそのほかの成分の濃度を規定している方法もある(例えば、特許文献1)。
しかしながら、Caの添加量を様々な条件に応じて制御することで介在物組成を制御でき、ひいては鋼の品質を安定させることが可能となるため、Caの添加量をいかにして制御するかについて種々の提案がなされている。
このようなCaの最適な添加量の制御方法として、例えば特許文献2には、二次精錬終了後に溶鋼のT.O濃度を分析し、その結果に基づいて決定したCa添加量をタンディッシュへの注入前に溶鋼へ添加をする方法が開示されている。
また、特許文献3には、タンディッシュ内溶鋼の酸素濃度を測定し、それに応じてタンディッシュ内溶鋼へのCa添加速度を決定する方法が開示されている。
特許2613525号報 特開2011−89180号報 特開昭56−163212号報
しかしながら、特許文献2に記載の方法は、二次精錬終了後に分析した溶鋼のT.O濃度に基づいて決定したCa添加量をタンディッシュへの注入前の溶鋼に添加するため、Caを添加した後の経過時間や温度等により、Caの濃度やT.O濃度が変動し、溶鋼がタンディッシュ、そして連続鋳造鋳型へ注入された時には、成分が目標の範囲から外れてしまう可能性がある。
特許文献2の方法でも、タンディッシュへの注入開始直前にCaを添加することで、以降の変動をある程度抑制できる可能性があるが、取鍋内の溶鋼にCaを添加して直ぐに溶鋼をタンディッシュに注入しなければならず、Caの歩留まりがばらつくという問題があり、また、それに起因してCaが過剰に添加されてしまった場合にはそれ以降の調整ができないという問題もある。
また、特許文献3に開示されたように、タンディッシュ内溶鋼の酸素濃度を測定し、それに応じてタンディッシュ内の溶鋼へのCaを添加する場合、上述したCa添加後の時間経過によるCaやT.Oの濃度が変動は抑制できるかもしれないが、これとは別に以下のような問題がある。
Caは溶鋼温度では蒸発するため、タンディッシュ内の溶鋼に添加した時にCaが気化し、それに伴い溶鋼が攪拌されて、タンディッシュ壁面や蓋、あるいはその継ぎ目にも地金が飛散して付着し、例えば蓋が開閉できなくなるという操業上の弊害が生ずる可能性がある。
また、雰囲気中に空気がある場合は、空気中の酸素と溶鋼が反応してAl2O3介在物が生成し、介在物制御の精度が悪くなることも考えられる。
またさらに、タンディッシュ内の溶鋼は順次鋳型に注入されて流動しているため、そのような状態の溶鋼にCaを添加するのでは、Caの歩留まりもばらつき、成分の均一性が確保できず品質の観点で好ましくないという問題がある。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、介在物組成を目標値に精度よく調整できるCa含有アルミキルド鋼の介在物組成の制御方法を提供することを目的としている。
発明者は、溶鋼にCaを添加した後の溶鋼中の成分の挙動を調査した。
アルミキルド鋼において二次精錬終了後、溶鋼のサンプルを採取し、T.O濃度を分析した。その後、溶鋼が収納されている取鍋内にCaSi合金ワイヤを添加し、添加直後に溶鋼のサンプルを採取し、Ca濃度を分析した。その後、取鍋をタンディッシュに搬送し、タンディッシュに溶鋼を注入し、タンディッシュ内の溶鋼のサンプルを採取し、T.O濃度及びCa濃度を分析した。
その結果、CaSi合金ワイヤ添加後の取鍋から採取した溶鋼サンプルのCa濃度と、タンディッシュ内の溶鋼サンプルンのCa濃度を比較すると、タンディッシュ内の溶鋼サンプルンでは2〜12ppm減少していた。
また、T.O濃度は、二次精錬後の溶鋼サンプルとタンディッシュの溶鋼サンプルを比較すると、10ppm減少から2ppm増加というばらつきがあった。
このように、Ca濃度が変動し、かつT.O濃度にもばらつきがあることから、Ca添加前のT.O濃度に基づいてCaを取鍋内の溶鋼に添加してもタンディッシュの段階では目標の範囲からずれてしまっている可能性があることが分った。
そこで、発明者は、Caが添加された溶鋼についてタンディッシュ注入前に、溶鋼成分を分析し、分析結果に応じてタンディッシュでCa濃度とT.O濃度との関係を調整することを考えた。
この場合、Ca濃度が過剰な場合は、タンディッシュでOを追加すればよいが、T.O濃度が過剰な場合は、Caを添加する必要がある。
しかしながら、上述したように、タンディッシュにおいてCaを添加することは操業面、品質面で問題がある。
そこで、発明者は、Caの添加に関しては、Caの添加以降の減少分を予め求めておき、この予め求めた減少分を考慮してCaを添加しておき、タンディッシュでT.O濃度を調整するためにOを追加するような調整するようにすればよいと考えた。
本発明はかかる考えに基づいてなされたものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
(1)本発明に係るCa含有アルミキルド鋼の介在物組成の制御方法は、Caを含有した溶鋼を連続鋳造用のタンディッシュに注入する前に、前記溶鋼中のT.O濃度及びCa濃度を分析し、その分析値に応じてタンディッシュにおいてT.O濃度を制御することを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記タンディッシュに注入する前に溶鋼にCaを添加するCa添加工程を有し、該Ca添加工程はCa添加以降のCa減少分を考慮して、想定されるCa減少量の最大量以上を添加することを特徴とするものである。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記タンディッシュにおけるT.O濃度の制御は、タンディッシュ内雰囲気中酸素分圧を制御することで行う方法か、又は、溶鋼中へ酸素含有ガスを吹き込むことで行う方法のいずれかであることを特徴とするものである。
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、タンディッシュ注入前の溶鋼中のT.O濃度の分析方法が、スパーク放電発光分光法を用いる方法であって、以下のステップを有することを特徴とするものである。
ア)多数回の放電パルスによるアルミニウムと鉄の発光強度比を放電パルス毎に求める強度比計算ステップ
イ)下記式にて求められるアルミナ分率を算出するステップ。
アルミナ分率=前記発光強度比が閾値αより大きいパルス数/全パルス数
ここで、閾値αは、放電パルス毎の前記発光強度比を横軸、頻度を縦軸とした度数分布図から求められた発光強度比の最頻値のf1(1.5≦f1≦2.5)倍
ウ)前記強度比計算ステップにより得られた放電パルス毎の前記発光強度比を小さい方から配列し、小さい方から全パルス数の30%以内の一定位置の前記発光強度比を代表アルミ強度比とし、次いで、前記アルミナ分率算出ステップで得られたアルミナ分率と代表アルミ強度比の積からアルミナ強度比(=アルミナ分率×代表アルミ強度比)を算出するステップ
エ)前記アルミナ強度比とT.O濃度との関係式を用いてT.O濃度を算出する定量ステップ
本発明においては、Caを含有した溶鋼を連続鋳造用のタンディッシュに注入する前に、前記溶鋼中のT.O濃度及びCa濃度を分析し、その分析値に応じてタンディッシュにおいてT.O濃度を制御するようにしたので、Ca添加後のCa濃度の経時的な変化分を考慮でき、しかも品質面や操業面での支障を生ずることなく調整することができる。
Al/Fe強度比を配列化した場合のAl/Fe強度比の構成概念図である。 放電パルス毎のAl/Fe強度比を横軸、頻度を縦軸とした度数分布図である。 各f1値におけるアルミナ強度比と化学分析値との相関を示すグラフである。 各f1値におけるアルミナ強度比と繰り返し分析時の変動との関係を示すグラフである。 1値が2.0の場合の、本発明に係るアルミナ定量法により求めたアルミナ濃度と化学分析値との相関を示すグラフである。 スパーク放電発光分光分析法によるinsol.Al分析値と燃焼分析法から求められる鋼中全酸素濃度(T.O濃度)との相関線を示すグラフである。
本実施の形態に係るCa含有アルミキルド鋼の介在物組成の制御方法は、Caを含有した溶鋼を連続鋳造用のタンディッシュに注入する前に、前記溶鋼中のT.O濃度及びCa濃度を分析し、その分析値に応じてタンディッシュにおいてT.O濃度を制御することを特徴とするものである。
本方法を具体的に説明する。
転炉あるいは電気炉等の精錬炉から取鍋へ出鋼された溶鋼を、取鍋精錬炉等で処理する。ここまでの段階で、Alあるいはその合金により、脱酸処理をしておく。
その後、タンディッシュへ溶鋼を注入するまでの間に、溶鋼の収納された容器に、ワイヤや粉体状のCa合金を添加する。ここで、Caの添加量は目標の成分に、対象の鋼種、プロセスで予め測定しておいたCa添加以降のCa減少量の最大値を加えた分とする。
ここで、目標の成分は、Ca添加前のT.O濃度を、溶鋼サンプルから予め分析したり、あるいは同じ鋼種のデータを蓄積しておき、そこから処理条件を考慮して予測したりして、それに応じたものとするのが望ましい。
T.O濃度を溶鋼サンプルから分析する場合、サンプル採取のタイミングは、あまり分析結果判明からタンディッシュへの注入までの間隔が空くと成分のばらつきの要因となるため、なるべく分析結果判明後、すぐにタンディッシュへ注入開始できるタイミングにすることが望ましい。
Ca添加前のT.O濃度の定量方法としては燃焼分析法や、スパーク放電発光分光法で直接的にT.O濃度を求める方法によることができるが、後述する「アルミナ定量法」によるものが最も好ましい。
分析結果に基づいて、タンディッシュにおいてT.O濃度を制御する。タンディッシュにおけるT.O濃度の制御は、T.O濃度の目標の成分からのずれが小さい場合には、タンディッシュ内の雰囲気を、酸素分圧を上昇させるように制御する方法とし、ずれが大きい場合には、酸素ガスの溶鋼への吹き込みにより溶鋼中T.O濃度を制御する方法とする。
T.O濃度の制御に関し、T.O濃度の目標の成分からのずれの大小によって制御方法を変えている理由は以下の通りである。
酸素分圧による制御は溶鋼湯面全体と酸素が反応するため均一性を確保できるという利点があるが、反応速度が遅いため、あまりT.O濃度を上げられない。そこで、T.O濃度の制御幅が小さい場合、すなわちT.O濃度の目標の成分からのずれが小さい場合にはこの制御方法を用いるのが好適である。
他方、酸素ガスの吹き込みによる制御は、T.O濃度を早く上げられるという利点があるが、ガス流量をあまり小さくするとT.O濃度の均一性を確保できない。そこで、そこで、T.O濃度の制御幅が大きい場合、すなわちT.O濃度の目標の成分からのずれが大きい場合にはこの制御方法を用いるのが好適である。
タンディッシュ内雰囲気を制御する場合には、連続的に酸素分圧を測定し、それに応じて、酸素ガスあるいは空気をタンディッシュ内へ吹き込むことが望ましい。酸素ガスの吹き込みは、バラツキを抑制すべく取鍋からの注入位置近傍に連続で行うことが望ましい。
これにより、溶鋼中のAlと酸素が反応し、Al2O3介在物が生成する。このAl2O3介在物と、Caを高めに添加したことにより溶鋼中に懸濁している高CaOのCaO-Al2O3介在物が凝集合体し、目的の組成のCaO-Al2O3介在物となる。
<「アルミナ定量法」によるT.O濃度定量方法>
前述したタンディッシュ注入前の溶鋼中の酸素濃度(T.O濃度)の好ましい定量法について以下、説明する。
対象とする材料では、タンディッシュ注入前の溶鋼中の酸素濃度(T.O濃度)はほぼ全てAl2O3(以下、アルミナと称す)に起因するものであると考えられる。
したがって、アルミナの濃度を分析することでT.[O]を分析することができる。
ところで、製鋼精錬工程で溶鋼に添加されたアルミニウム(以下、Alと称す)は、その一部は鋼中の酸素と反応しアルミナとなって徐々に表面に浮上して溶鋼から取り除かれる。
一方、残りの未反応のAlは鋼中に溶解したまま凝固する。
鋼の凝固後、浮上除去されなかったアルミナはそのままの状態で鋼中に残り、一方、未反応のAlは主として固溶Alとして鋼中に存在する。固溶Alは鋼試料を酸で溶解する際に一緒に溶解するが、アルミナは溶解しないので、酸溶解により互いに分離され、前者は酸可溶性Al(以下、sol.Alと称す)と呼ばれ、後者は酸不溶性Al(以下、insol.Alと称す)と呼ばれる。
鉄鋼製造工程においては、鋼組成を制御するための迅速分析法としてスパーク放電発光分光分析法が広く利用され、成分分析のみならず、鋼中における酸化物量の定量法としても様々な取り組みがなされてきた。
しかしながら従来の解析手法では、鋼中50ppm以下の微量なアルミナ量を精度良く分析することは難しかった。
これに対し、発明者らはスパーク放電発光現象におけるパルスごとの発光強度、および発光強度分布状態の示す物理化学的な意味を見直すことにより、アルミナ量の定量方法を見出した。
sol.Al濃度が等しくinsol.Al濃度の異なる鋼試料(sol.Al=66ppm、insol.Al=10ppm未満の試料、sol.Al=66ppm 、insol.Al=32ppmの試料)をそれぞれスパーク放電により発光させ、放電パルス毎にAlの発光強度と鉄の発光強度の比(Alの発光強度を鉄の発光強度で除した値であり、以下、Al/Fe強度比と称す)を経時的に観察した。
その結果、insol.Alの多い試料では、スパイク状の点が不規則に数多く確認され、スパイク状の点は、鋼中に不均一に存在するinsol.Alを含んだ放電によって生成されたものと推察される。スパーク放電では介在物(insol.Al)に放電が集中しやすいとされ、観察されるAl強度は、地鉄中のsol.Alからの光と、介在物(insol.Al)からの光から構成されるが、それぞれの割合は放電パルスごとに異なっている。
放電パルスを、Al/Fe強度比の小さい順(昇順)に配列し、縦軸をAl/Fe強度比とし、横軸をAl/Fe強度比が小さいものから順に並び変えた位置を%表示したグラフを図1に示す。
図1に示されるように、Al/Fe強度比の大きい側はinsol.Alが支配的で、小さい側はsol.Alが支配的となっている。
sol.Alは地鉄中に均一に存在しているので、放電時に蒸発する地鉄の量が変動しても、sol.Al由来のAl強度はFeとの相対値(Al/Fe強度比)とする限り一定値を示すはずである。
つまり、Al/Fe強度比は、一定のsol.Al強度比と不確定なinsol.Al強度比の和であって、その大きさは不確定なinsol.Al強度比の大小で決定されるため、よりAl/Fe強度比の小さいパルスほどsol.Al強度比に近づき、Al/Fe強度比全体の積算値からsol.Alの寄与する強度積算値を差し引くことにより、アルミナ量を定量することができる。
具体的には以下のようにする。
多数回(例えば、2000回)の放電パルスによるアルミニウムと鉄のAl/Fe強度比を放電パルス毎に求める(強度比計算ステップ)。
下記式にて求められるアルミナ分率を算出する(アルミナ分率を算出ステップ)。
アルミナ分率=Al/Fe強度比が閾値αより大きいパルス数/全パルス数
「閾値α」は、図2に示すように、放電パルス毎のAl/Fe強度比を横軸、頻度を縦軸とした度数分布図を作図した後、該度数分布図から求められたAl/Fe強度比の最頻値のf1倍として特定する。ここで、f1の値は、1.5≦f1≦2.5とするのが好ましい。
同様の手法で処理した試料を同様の測定条件で測定する限り、固溶Alに由来する発光強度比の頻度分布は、同様のバラツキ幅を持つと考えられることから、Al/Fe強度比の最頻値の1より大きい定数倍の値を閾値とすることで、固溶Alの影響度を一定の比率に保って、アルミナ由来の信号成分を分離できると考えられる。
従って、放電パルス毎のAl/Fe強度比が最頻値のf1倍より大きいパルス数を求め、求めたパルス数を全パルス数で除したものをアルミナ分率とする。ここで、f1の値は、1.5〜2.5の範囲、より好ましくは1.7〜2.0の範囲とする。f1の値が1.5より小さい場合、固溶アルミに由来するデータが多くなるため、アルミナ量との相関が悪くなる。一方、f1の値が2.5より大きい場合、抽出されるアルミナ由来の信号を含むパルス数が少なくなりすぎるため、分析ばらつきが大きくなる。
ここで、アルミナ分率を算出する際のf1値の影響を確認するために、f1値を1.4〜2.6の範囲において0.05ステップで変えてアルミナ強度比(insol.Al強度比)を計算した。各f1値におけるアルミナ強度比と化学分析値との相関係数および繰り返し分析時の変動係数を図3および図4にそれぞれ示す。
図3より、f1が1.5以下となるとアルミナ強度比と化学分析値の相関係数が急激に低下することがわかる。これは、固溶アルミ由来の発光の影響によるものと考えられる。また、図4より、f1の値が大きくなるほど、繰り返し分析時のバラツキが大きくなっていることがわかる。これは、抽出されるパルス数が少なくなりすぎるためである。
しかし、f1値が1.5および2.5の場合でも、分析正確さ(σd)は、それぞれ、2.4ppm、1.9ppmであり、従来法よりも高精度に分析が可能である。
1値が2.0の場合の、本発明に係るアルミナ定量法により求めたアルミナ濃度と化学分析値との相関を図5に示す。このときの分析正確さは1.8ppmであった。
強度比計算ステップにより得られた放電パルス毎のAl/Fe強度比を小さい方から配列し、一定位置のAl/Fe強度比を代表アルミ強度比とする。
ここで、「代表アルミ強度比」は、放電パルス毎のAl/Fe強度比を小さい方から配列した際に(図1参照)、Al/Fe強度比の小さい方から全パルス数の30%以内のいずれかの位置となるような強度比とするのが好ましい。この理由は以下の通りである。
30%よりも大きい位置を代表アルミ強度比とした場合には、試料中に存在するアルミナ量の影響が大きくなりすぎ、酸可溶性Al(sol.Al)とアルミナを精度よく分配するための代表値とならずに分析精度が劣化するからである。
次に、アルミナ分率算出ステップで得られたアルミナ分率と代表アルミ強度比の積からアルミナ強度比を算出する。
スパーク放電発光分光法における特性値とT.O濃度の関係を調査して予め作成した検量線を用いて、目的とするT.O濃度を求める。
検量線試料には同じCa添加鋼を用い、各試料について予めスパーク放電発光分光分析法で得られるAl/Fe強度比から必要な各係数を設定した後、算出された特性値と燃焼分析法から求められるT.O濃度の相関線を検量線とする。検量線の一例を図6に示す。
なお、溶鋼中の酸素量は継時変化しやすいことから、スパーク放電発光分光分析装置は極力、製造現場に近いことが望ましく、可能であれば機側でのオンサイト分析が最も好適である。
次に、具体的な実施例によって本発明の効果を説明する。
転炉で約250トンの溶鋼を酸素吹錬した後、取鍋に出鋼し、RH真空脱ガス装置に搬送した。RH真空脱ガス装置では、成分調整等の必要に応じた精錬とともに、Al合金を所定量添加し、脱酸処理をした。
Al合金添加後、Al合金添加前の溶存酸素に応じて、RH真空脱ガス装置での処理を実施した。RH真空脱ガス装置での処理終了後、取鍋をCa合金ワイヤ投入設備へ搬送した。
Ca合金ワイヤは、Caの歩留まりと、本鋼種において予め測定したCa添加後からタンディッシュまでのCa減少量の最大値10ppm分を考慮して添加した。
ワイヤ投入後、タンディッシュへの注入開始15分前に溶鋼のサンプルを採取し、Ca濃度及びT.O濃度を分析した。
本実施例においては、鋼中の介在物中のCaO/Al2O3の目標を1.0〜2.0とした。本実施例で用いた鋼種では、鋼中介在物組成を前記の範囲に制御するためには、鋼中成分のCa濃度/T.O濃度を1.4〜1.6の範囲にする必要があることを確認していた。そのため、鋼中成分が前記の範囲となるように、上記分析結果に応じて、タンディッシュ内のT.O濃度を調整するようにした。タンディッシュ内のT.O濃度制御は、T.O濃度の上昇必要量が1ppm以下の場合はタンディッシュ内の雰囲気中酸素分圧を制御し、1ppmより大きい場合は、タンディッシュ内溶鋼に耐火物製のランスを浸漬し、酸素ガスを必要量吹き込むようにした。
上記のように成分調整された溶鋼を連続鋳造法によりスラブとした。スラブよりブロックサンプルを採取し、Ca濃度及びT.O濃度を分析し、SEM-EDXによる介在物組成の分析も行った。
比較例として、Ca添加時に以降のCa減少量を考慮せずに添加量を決定し、以降の成分の制御を行わなかった場合についてのスラブについても同様の分析を行った。
表1に処理条件及び結果を示す。
表1に示すように、比較例では目標の成分範囲に入らない場合があったが、本発明の方法による本発明例1〜6では、成分を確実に目標範囲内に収めることが出来、介在物組成を目標範囲に精度よく制御できた。
なお、例えば本発明例1において、タンディッシュ注入直前のCa/T.Oが1.47であり、他方、目標とする鋼中成分のCa濃度/T.O濃度が1.4〜1.6であり、タンディッシュ注入直前のCa/T.Oが目標値の範囲内にあるにもかかわらず、酸素分圧を上昇させる制御しているのは以下の理由である。
一般的に、酸化物は溶鋼より低密度のため、溶鋼中を浮上するので、タンディッシュ内でも酸化物の一部は湯面まで浮上(スラグ中に浮上)し、酸化物個数が低減する。条件により相違するが、タンディッシュ直前とスラブ中のT.Oを比較すると3〜4ppm低下する。
そのため、タンディッシュ注入直前のCa/T.Oが目標とする鋼中成分のCa濃度/T.O濃度の範囲内であったとしても、タンディッシュ内でのT.O低減により、Ca/T.Oが高くなってしまう。そこで、本発明例1では、雰囲気中酸素分圧を上げて、酸化物を生成(=T.O増)させている。

Claims (4)

  1. Caを含有した溶鋼を連続鋳造用のタンディッシュに注入する前に、前記溶鋼中のT.O濃度及びCa濃度を分析し、その分析値に応じてタンディッシュにおいてT.O濃度を制御することを特徴とするCa含有アルミキルド鋼の介在物組成の制御方法。
  2. 前記タンディッシュに注入する前に溶鋼にCaを添加するCa添加工程を有し、該Ca添加工程はCa添加以降のCa減少分を考慮して、想定されるCa減少量の最大量以上を添加することを特徴とする請求項1記載のCa含有アルミキルド鋼の介在物組成の制御方法。
  3. 前記タンディッシュにおけるT.O濃度の制御は、タンディッシュ内雰囲気中酸素分圧を制御することで行う方法か、又は、溶鋼中へ酸素含有ガスを吹き込むことで行う方法のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載のCa含有アルミキルド鋼の介在物組成の制御方法。
  4. タンディッシュ注入前の溶鋼中のT.O濃度の分析方法が、スパーク放電発光分光法を用いる方法であって、以下のステップを有することを特徴とする請求項1乃至3に記載のCa含有アルミキルド鋼の介在物組成の制御方法。
    ア)多数回の放電パルスによるアルミニウムと鉄の発光強度比を放電パルス毎に求める強度比計算ステップ
    イ)下記式にて求められるアルミナ分率を算出するステップ。
    アルミナ分率=前記発光強度比が閾値αより大きいパルス数/全パルス数
    ここで、閾値αは、放電パルス毎の前記発光強度比を横軸、頻度を縦軸とした度数分布図から求められた発光強度比の最頻値のf1(1.5≦f1≦2.5)倍
    ウ)前記強度比計算ステップにより得られた放電パルス毎の前記発光強度比を小さい方から配列し、小さい方から全パルス数の30%以内の一定位置の前記発光強度比を代表アルミ強度比とし、次いで、前記アルミナ分率算出ステップで得られたアルミナ分率と代表アルミ強度比の積からアルミナ強度比(=アルミナ分率×代表アルミ強度比)を算出するステップ
    エ)前記アルミナ強度比とT.O濃度との関係式を用いてT.O濃度を算出する定量ステップ
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