JP2014188854A - 樹脂製容器の成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】口部の偏芯を防止することにより、製造コストを抑えることができる樹脂製容器の成形方法を提供する。
【解決手段】2つの口部21,22を備えるプリフォーム20を、第1の口部21を通じて進入されるストレッチロッド2の進行方向前方に第2の口部22が位置するようにブロー成形金型3に装填する。続いて、第1の口部21を通じてストレッチロッド2をプリフォーム20に進入させつつ、ブローエアー50を吹き込んでプリフォーム本体23を2軸延伸する。2軸延伸された成形体32をブロー成形金型3に接触させた状態で、第2の口部22の根元部分32aを他の部分よりも低い温度で冷却して、第2の口部22の偏芯を防止する。
【選択図】図4

Description

本発明は、液状の内容物を収容するために用いられる樹脂製容器の成形方法に関する。
輸液を収容する樹脂製容器として、可撓性容器の上下に2つの口部を有する輸液ボトルが知られている(例えば、特許文献1や特許文献2参照)。かかる輸液ボトルは、一般にダイレクトブローによって成形されている。
特許第4048337号公報 特開平5−337163号公報
しかし、上述の成形方法では生産速度が遅いため、高コストとなる。さらに、厚みの制御が難しいことから、品質もバラツキ易いといった欠点が存在する。一方、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂からなる容器の成形法としてブロー成形法が普及しており、同成形法によって食品、飲料品、薬品、工業用品向けの容器が製造されている。延伸ブロー成形法を採用した場合、生産速度が比較的早く、生産効率が良い上、厚みの制御が容易であるために、品質のバラツキが少ない。
2つの口部を有する輸液ボトルをブロー成形する場合、例えば、プリフォームを、一方の口部を通じて挿入されるストレッチロッドの進行方向前方に他方の口部が位置するようにブロー成形金型に装填し、ストレッチロッドをプリフォームに挿入しつつ、ブローエアーを吹き込んで2軸延伸する。
容器本体となるプリフォーム本体は、所定温度に温度調節されたブロー成形金型内で2軸延伸されて成形体となり、この成形体は、所定温度に保持されたブロー成形金型内で冷却される。その際、ストレッチロッドの進行方向前方に位置する他方の口部の根元部分が他の部分と同時に冷やされることによって、他方の口部が偏芯状態となる場合がある。そのため成形不良が生じ、製造コストを増大させてしまうといった問題がある。
そこで本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、口部の偏芯を防止することにより、製造コストを抑えることができる樹脂製容器の成形方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、次の技術的手段を講じた。
即ち、本発明の樹脂製容器の成形方法は、互いに対向する2つの口部を備えた樹脂製容器の成形方法であって、プリフォーム本体と前記2つの口部とを備えるプリフォームを、当該一方の口部を通じて進入させるストレッチロッドの進行方向前方に当該他方の口部が位置するようにブロー成形金型に装填する装填工程と、前記ストレッチロッドを前記一方の口部を通じて前記プリフォームに進入させつつ、ブローエアーを吹き込み、前記プリフォーム本体を2軸延伸する延伸工程と、2軸延伸された成形体を前記ブロー成形金型内に接触させた状態で、所定時間保持して冷却する保持工程と、を含み、前記保持工程において、前記成形体の他方の口部の根元部分を他の部分より低い温度で冷却することを特徴とする。
上記本発明の樹脂製容器の成形方法によれば、2軸延伸された成形体をブロー成形金型内に接触させた状態で、所定時間保持して冷却する保持工程において、成形体の他方の口部の根元部分を他の部分よりも低い温度で冷却するため、当該根元部分が他の部分よりも早く冷やされる。これにより、他方の口部が偏芯状態となるのを防ぐことができる。
成形体の他方の口部の根元部分を他の部分よりも低い温度で冷却するためには、前記ブロー成形金型を、前記成形体の胴部が型取られる胴型と、前記根元部分が型取られ当該胴型より低い温度に設定される口型とを有するものとし、当該胴型と当該口型の温度差を60℃〜120℃とすればよい。
前記ブロー成形金型における、前記他方の口部が挿嵌される挿嵌部の内径と当該他方の口部の外径との寸法差が0.5mm〜3.0mmであることが好ましい。挿嵌部とこれに挿嵌される口部とをこのような寸法差を有するものとすれば、口部が軸芯からずれようとする動きを、挿嵌部で規制することができ、口部が偏芯状態となるのを防ぐことができる。
前記プリフォームの他方の口部が一方の口部よりも小さい内寸法を有すると共に、前記ストレッチロッドが当該他方の口部の内寸法よりも大きい先端寸を有しており、前記延伸工程において、前記ストレッチロッドの先端を前記他方の口部を閉塞するように前記プリフォーム本体の内面下端部分に当接させて当該他方の口部を内側からエアシールし、エアシール状態を保てるように、ブローエアーを吹き込むと共に前記ストレッチロッドを下降させ、当該ブローエアーを漏洩させずに前記プリフォーム本体を2軸延伸してもよい。このようなブロー成形法を採用することによって、生産効率を向上させることができる。
上記の通り、本発明によれば、口部の根元部分が他の部分よりも低い温度で冷やされるため、口部の偏芯が防止されて成形不良が生じ難くなり、製造コストを抑えることができる。
(a)は本発明の一実施形態に係る樹脂製容器の成形方法を実施するための成形機の概略横断面図であり、(b)はその概略縦断面図である。 樹脂製容器の成形方法に用いるプリフォームの断面図とこれに挿入されるストレッチロッドの図である。 樹脂製容器の成形方法を実施している状態を示す図である。 プリフォーム本体の延伸が進行している状態を説明する図である。 (a)は樹脂製容器の成形方法で成形された輸液ボトルの正面図であり、(b)はその側面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂製容器の成形方法を実施するための成形機1の概略横断面図と概略縦断面図であり、図2は樹脂製容器の成形方法に用いるプリフォーム20の断面図とこれに挿入されるストレッチロッド2の図である。以下の説明において、図1及び図2の上下に対応する側を単に上下とする。図1に示す成形機1は、ブロー成形法を実施するための機器構成を備えており、ブロー成形金型3と、このブロー成形金型3の上方に位置されるストレッチロッド装置4と、ブローエアーを供給するためのブローエアー装置11と、これらストレッチロッド装置4及びブローエアー装置11を制御する制御部12とで主に構成されている。
このブロー成形金型3は、2つの口部を有する輸液ボトル(樹脂製容器)となる想像線で示す成形体32を成形するものであり、2つ割の胴型5、及び底型6で構成されている。胴型5には成形体32の図示しない第1の口部(一方の口部)が挿嵌される第1挿嵌部7と、本体部8とが構成されており、横長で上下方向に伸びた筒状のキャビティ33が形成されている。底型6は、成形体32の第2の口部(他方の口部)22が挿嵌され、かつ当該第2の口部22の近傍を成形する型であり、基型9とこの基型9上側の受け型14で構成されている。底型6の中央には、成形体32の第2の口部22を挿嵌する第2挿嵌部15が形成され、受け型14には、第2の口部22の根元部分32aが型取られる環状の口型16が形成されている。
底型6の内部には、冷却水を流すための水路17が形成されている。この水路17は、第2挿嵌部15の周りを周回する環状路18と、第2挿嵌部15の先端底15aに近づけられた凸状路19とからなる。これら環状路18と凸状路19に冷却水が流されることによって、底型6が冷やされ、第2挿嵌部15や口型16が胴型5より低い温度に保たれるようになっている。
ポリプロピレン製の輸液ボトルを成形する場合には、口型16の温度を10℃〜20℃とすることが好ましい。この場合の冷却水の水温は、底型6の大きさや形状にもよるが、例えば15℃前後に調節される。それと共に、成形体32の胴部34が型取られる胴型5の温度は、成形体32の適切な冷却速度を保つために80℃〜130℃に調節される。
このように、本実施形態のブロー成形金型3においては、口型16の温度が10℃〜20℃に調節され、それと共に胴型5の温度が80℃〜130℃に調節されて、口型16と胴型5の温度差は60℃〜120℃となっている。即ち、口型16に型取られる成形体32の第2の口部22の根元部分32aが、当該成形体32の胴部34よりも低い温度で冷却されるようになっている。ポリプロピレン以外の樹脂を使用する場合であっても、口型16を胴型5よりも低い温度に設定すればよい。胴型5と口型16のそれぞれの温度は、第2の口部の根元部分の肉厚、形状などに応じて調節すればよい。
成形体32の第2の口部22が挿嵌される第2挿嵌部15の内径d1は、当該第2の口部22の最大外径D2に対して寸法差で0.5mm〜3.0mmの範囲となっていればよい。第2挿嵌部15の内径d1を、第2の口部22の最大外径D2に対してこのような寸法差を有するものとすれば、第2の口部22が第2挿嵌部15へ挿嵌され始め、下方へ進行していく際に、軸芯からずれようとする動きを当該第2挿嵌部15で規制して、上記寸法差の範囲内に収めることができる。第2の口部22の軸芯からずれようとする動きを規制できれば、当該第2の口部22が偏芯状態となるのを防ぐことができる。
ストレッチロッド装置4は、円柱状のストレッチロッド2と、このストレッチロッド2を上下駆動可能に支持するブローノズル10と、ストレッチロッド2を上下駆動させる駆動部13とを備えている。ストレッチロッド装置4は、図示しない固定部材でストレッチロッド2の軸芯をブロー成形金型3のキャビティ33の軸芯と一致させるようにして固定されている。上下方向に制御駆動させられるストレッチロッド2は、所定速度で所定量だけブローノズル10から下方へ突出されて、ブロー成形金型3のキャビティ33へ進入するようになっている。
図2に示すプリフォーム20は、ポリプロピレンからなり、上下方向に長い円筒状のプリフォーム本体23と、このプリフォーム本体23の上側に形成された円筒状の第1の口部21(一方の口部)と、プリフォーム本体23の下側に形成された円筒状の第2の口部22(他方の口部)とからなる。このプリフォーム20は、図示しない射出成形機等によって予め成形されたものである。プリフォーム本体23の内径(内寸法)d3は17.0mm、厚み中央径d4は19.1mm、中央部の肉厚t1は3.4mmである。第1の口部21はプリフォーム本体23と同じ内径を有しており、当該第1の口部21には、プリフォーム20の上端に位置する上鍔部24と、この上鍔部24の下側に所定間隔を空けて位置する中鍔部25が形成されている。
第2の口部22の内径(内寸法)d5は7.4mmであり、当該第2の口部22はプリフォーム本体23から縮径されるようにして形成されている。従って、第2の口部22は、第1の口部21よりも小さい内径d5を有している。第2の口部22には、プリフォーム20の下端に位置する下鍔部26と、当該第2の口部22を閉塞する薄膜部27が形成されている。第2の口部22の長さH1は10.0mm、薄膜部27の厚みt2は0.5mmである。成形体32の第2の口部22の最大外径となる下鍔部26の外径D2は16mmであり、この最大外径D2は、底型6の第2挿嵌部15の内径d1に対して寸法差で0.5mm〜3.0mmの範囲で小さくなっている。
中鍔部25の下面から下鍔部26の上面までの長さH2は51mmである。プリフォーム20に挿入されるストレッチロッド2は全長に渡って同径をなしており、その直径D6は12mmである。これにより、ストレッチロッド2がプリフォーム20に挿入された状態で、当該ストレッチロッド2と第1の口部21及びプリフォーム本体23との間に、十分なブローエアーを通せるだけの間隔が空けられる。以上の各部位の寸法は適宜変更することができる。
ストレッチロッド2の直径(先端寸)D6は上記のとおり12mmであることから、第2の口部22の内径d5よりも2mm以上大きくなっている。これにより、ストレッチロッド2が下方へ向けて駆動され、その先端2Aがプリフォーム本体23の内面下端部分23aへ当接すると、第2の口部22が当該ストレッチロッド2によって内側から閉塞される。なお、ここでいうプリフォーム本体23の内面下端部分23aとは、必ずしもプリフォーム本体23の領域のみをいうのではなく、第2の口部22の領域に入る部分をも含まれる。従って、ストレッチロッド2が当接するとは、第2の口部22の領域も含めた部分に当接する場合も含まれる。
第2の口部22がストレッチロッド2によって閉塞されると、当該第2の口部22は内側からエアシールされる。図2の拡大図に示すように、プリフォーム本体23の内面下端部分23aに当接するストレッチロッド2の先端当接部2aは、断面凸状のアールに形成されていると共に、この先端当接部2aを当接させる当該プリフォーム本体23の内面下端部分23aは、先端当接部2aに沿った断面凹状のアールに形成されている。従って、ストレッチロッド2の先端当接部2aがプリフォーム本体23の内面下端部分23aへ当接すると、断面凸状のアールと断面凹状アールが合わさり、第2の口部22が内側から確実にエアシールされる。なお、第2の口部22は薄膜部27で閉塞されているが、この薄膜部27の厚みt2は、ブローエアーの圧力や、ストレッチロッド2の接触で破損してしまう程度のものである。
ストレッチロッド2の先端当接部2a及びプリフォーム本体23の内面下端部分23aの形状に関し、上記の形状とは逆に、ストレッチロッド2の先端当接部を断面凹状のアールに形成し、プリフォーム本体23の内面下端部分をこの先端当接部に沿った断面凸状のアールに形成してもよい。この場合においても、ストレッチロッド2の先端当接部がプリフォーム本体23の内面下端部分へ当接すると、断面凹状のアールと断面凸状のアールとが合わさり、第2の口部22が内側から確実にエアシールされる。
さらに、ストレッチロッド2の先端2Aを当接させるプリフォーム本体23の内面下端部分が下方(ストレッチロッド2の進行方向)へ向かうに従って横断面を小さくするテーパー状となっていてもよい。より具体的には、下方へ向かうに従って縮径するテーパー状となった内面下端部分が挙げられる。この場合、ストレッチロッド2をプリフォーム本体23の内面下端部分へ押し当てるのに伴ってシール性が上がっていき、第2の口部22が内側から確実にエアシールされる。
次に、成形機1を用いて輸液ボトルを成形するための成形方法を説明する。図3は、樹脂製容器の成形方法を実施している状態を示す図であり、図4は、プリフォーム20の延伸が進行している状態を説明する図である。本実施形態の成形方法は、プリフォーム20をブロー成形金型3に装填する装填工程と、このプリフォーム20を2軸延伸する延伸工程と、ブロー成形金型3内で成形体32を冷却する保持工程とを含んでいる。
まず、装填工程において、図3のようにブロー成形金型3に、プリフォーム20に進入されるストレッチロッド2の進行方向前方に第2の口部22が位置するように、当該プリフォーム20を装填する。その際、プリフォーム20の第1の口部21の中鍔部25を、第1挿嵌部7の上側に引っ掛けて、当該プリフォーム20の軸芯とキャビティ33の軸芯とが一致するように固定する。
ストレッチロッド2を駆動させ、第1の口部21を通じてプリフォーム20の内部へ進入させる。ストレッチロッド2を、その先端2Aがプリフォーム本体23の内面下端部分23aへ当接するまで下げていく。そして、第2の口部22を閉塞するようにして内側からエアシールする。続いて、ブローエアー50を吹き込むと共にストレッチロッド2を下方へさらに駆動させ、ストレッチロッド2での縦延伸とブローエアー50での横延伸とで、プリフォーム本体23を2軸延伸する。
その際、これらの動作で第2の口部22のエアシール状態が保てるように、ストレッチロッド装置4の駆動部13及びブローエアー装置11を、制御部12で制御する。制御部12は、エアシール状態を保てるようにするために、ストレッチロッド2による縦延伸をブローエアー50による横延伸に通常よりも先行させるように、ストレッチロッド2の下方への駆動とブローエアー50の吹き込み圧を制御する。ストレッチロッド2による縦延伸がブローエアー50による横延伸よりも先行することで、ストレッチロッド2の先端2Aが常にプリフォーム本体23の内面下端部分23aへ当接した状態となり、エアシール状態を保てるようになる。
本実施形態では、ブロー成形金型3の加熱によって、プリフォーム温度が123℃となるようにし、ストレッチロッド2のストレッチスピードを1m/sとした。ブローエアー装置11による吹き込み圧を、このストレッチスピードでエアシール状態を保てるように制御部12により逐次制御した。ストレッチロッド2による縦延伸をブローエアー50による横延伸に先行させながら、これらによる2軸延伸を、図4のように第2の口部22が底型6の第2挿嵌部15へ挿嵌されるまで進行させる。
プリフォーム20の第1の口部21と第2の口部22の形状はほぼ不変であり、プリフォーム本体23のみが2軸延伸されて序々に薄くなっていく。プリフォーム本体23がキャビティ33の形状まで2軸延伸され、成形体32となる。この成形体32では、第2の口部22は、底型6の第2挿嵌部15に挿嵌された状態となる。その際、成形体32の第2の口部22の根元部分32aは、受け型14の口型16で型取られる。
保持工程では、2軸延伸された成形体32をブロー成形金型3に接触させた状態で、所定時間保持して冷却する。上述のとおり口型16の温度は水路17によって10℃〜20℃に調節されると共に、胴型5の温度は80℃〜130℃に調節されており、当該口型16の温度がより低く保たれている。これにより、口型16に接触している第2の口部22の根元部分32aが、周方向に沿って均等に、成形体32の胴部34よりも早く冷却される。成形体32の第2の口部22の根元部分32aが、成形体32の胴部34よりも早く硬化し、第2の口部22が偏芯状態となるのを防ぐことができる。
それに加え、第2の口部22が挿嵌される第2挿嵌部15の内径d1は、当該第2の口部22の最大外径D2に対して寸法差で0.5mm〜3.0mmとなっているため、第2の口部22の軸芯からずれようとする動きが、第2挿嵌部15で規制される。第2の口部22の根元部分32aが、より低い温度で冷却されることと、第2の口部22の軸芯からずれようとする動きが規制されることによって、第2の口部22の偏芯防止効果が高められている。
図5は、樹脂製容器の成形方法で成形された輸液ボトル30の正面図(a)と側面図(b)である。この輸液ボトル30は、プリフォーム本体23を2軸延伸させた容器本体31、及びこの容器本体31に形成された互いに対向する第1、第2の口部21、22を備えている。輸液ボトル30の各部の寸法は次のとおりである。第1、第2の口部21、22の内径はプリフォーム20のものと変わらず、胴外径(長辺)D10は68mmであり、胴外径(短辺)D11は42mmであり、中鍔部25の下面から下鍔部26の上面までの長さH10は100mmである。本実施形態の輸液ボトル30では、縦延伸倍率:100/51=1.96、長辺側横延伸倍率:68/19.1=3.56、短辺側横延伸倍率:42/19.1=2.20となる。
本実施形態の樹脂製容器の成形方法によれば、2軸延伸された成形体32をブロー成形金型3に接触させた状態で、所定時間保持して冷却する保持工程において、成形体32の第2の口部22の根元部分32aを他の部分よりも低い温度で冷却するため、当該根元部分32aが、周方向に沿って均等に、他の部分よりも早く冷やされる。それと共に、第2の口部22の軸芯からずれようとする動きが、第2挿嵌部15で規制される。これらの作用によって、第2の口部22の偏芯を防止することができ、これにより成形不良を減少させ、製造コストを抑えることができる。
また、本実施形態では、ブロー成形金型3に、ストレッチロッド2の先端側に第2の口部22が位置するようにプリフォーム20を装填し、ストレッチロッド2の先端2Aをプリフォーム本体23の内面下端部分23aに当接させて当該第2の口部22を内側からエアシールし、このエアシール状態を保てるように、ブローエアー50を吹き込むと共にストレッチロッド2を下降させ、当該ブローエアー50を漏洩させずにプリフォーム本体23を2軸延伸する。このようなブロー成形法を採用しているため、生産速度が早い。これにより製造コストの低減効果を向上させることができる。また、厚みの制御は容易であり、品質のバラツキを少なくできるため、安定した品質の輸液ボトル30を得ることができる。
プリフォーム本体23の内面下端部分23aに当接するストレッチロッド2の先端当接部2aが断面凸状のアールに形成されていると共に、この先端当接部2aを当接させる当該プリフォーム本体23の内面下端部分23aがこの先端当接部2aに沿った断面凹状のアールに形成されているため、ストレッチロッド2の先端当接部2aとプリフォーム本体23の内面下端部分23aとの間のシール性が高まる。そのため、確実なエアシール状態を得ることができ、生産管理が容易となり、輸液ボトル30の品質をより安定させることができる。
ストレッチロッド2の先端当接部2aが断面凹状のアールに形成されていると共に、この先端当接部2aを当接させる当該プリフォーム本体23の内面下端部分23aがこの先端当接部2aに沿った断面凸状のアールに形成されている場合や、プリフォーム本体23の内面下端部分23aがストレッチロッド2の進行方向へ向かうに従って横断面を小さくするテーパー状とした場合であっても同様の効果を得ることができる。
ストレッチロッド2の先端寸としての直径n4が第2の口部22の内寸法としての内径n3よりも2mm以上大きくなっているので、ストレッチロッド2の軸芯とプリフォーム20の軸芯のずれに基づくシール性の低下が抑えられ、生産管理が容易となり、輸液ボトル30の品質を安定させることができる。
本実施形態の輸液ボトル30は、ストレッチロッド2による縦延伸をブローエアー50による横延伸に通常よりも先行させて成形された2軸延伸状態の容器本体31を有しており、当該縦延伸と横延伸の比率をより安定させた状態で成形された当該容器本体31が得られているため、輸液ボトル30としての要求特性を確実に満たし、高い品質を維持することができる。
上記実施形態の樹脂製容器の成形方法は、本発明の樹脂製容器の成形方法を例示したものである。本発明の樹脂製容器の成形方法に、必要に応じて他の工程を含めるようにしてもよい。本発明の樹脂製容器の成形方法で成形する樹脂製容器は、輸液ボトルに限られず、飲料用、薬品用、工業用等の他の用途に用いる容器であってもよい。輸液ボトルを成形する場合、互いに対向する2つの口部を有するものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、上記実施形態の輸液ボトルでは、第2の口部を閉塞する薄膜部が設けられているが、薄膜部を設けずに、第2の口部が貫通しているものであってもよい。
第2の口部をシールするために、ストレッチロッドの先端の形状や、プリフォーム本体の内面下端部分の形状を変更してもよい。成形する樹脂製容器や、ストレッチロッド等の形状を変更してもよい。成形に使用される樹脂は適宜変更されるものであり、ポリプロピレンの他、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の可撓性を有する公知のものを用いることができる。
1 成形機
2 ストレッチロッド
2A 先端
2a 先端当接部
3 ブロー成形金型
4 ストレッチロッド装置
5 胴型
6 底型
7 第1挿嵌部
8 本体部
9 基型
11 ブローエアー装置
12 制御部
14 受け型
15 第2挿嵌部
16 口型
17 水路
18 環状路
19 凸状路
20 プリフォーム
21 第1の口部
22 第2の口部
23 プリフォーム本体
23a 内面下端部分
30 輸液ボトル
32 成形体
32a 根元部分
33 キャビティ
34 胴部
31 容器本体

Claims (4)

  1. 互いに対向する2つの口部を備えた樹脂製容器の成形方法であって、
    プリフォーム本体と前記2つの口部とを備えるプリフォームを、当該一方の口部を通じて進入させるストレッチロッドの進行方向前方に当該他方の口部が位置するようにブロー成形金型に装填する装填工程と、
    前記ストレッチロッドを前記一方の口部を通じて前記プリフォームに進入させつつ、ブローエアーを吹き込み、前記プリフォーム本体を2軸延伸する延伸工程と、
    2軸延伸された成形体を前記ブロー成形金型内に接触させた状態で、所定時間保持して冷却する保持工程と、を含み、
    前記保持工程において、前記成形体の他方の口部の根元部分を他の部分より低い温度で冷却することを特徴とする樹脂製容器の成形方法。
  2. 前記ブロー成形金型は、前記成形体の胴部が型取られる胴型と、前記根元部分が型取られ当該胴型より低い温度に設定される口型とを有しており、当該胴型と当該口型の温度差は60℃〜120℃であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製容器の成形方法。
  3. 前記ブロー成形金型における、前記他方の口部が挿嵌される挿嵌部の内径と当該他方の口部の外径との寸法差が0.5mm〜3.0mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂製容器の成形方法。
  4. 前記プリフォームの他方の口部が一方の口部よりも小さい内寸法を有すると共に、前記ストレッチロッドが当該他方の口部の内寸法よりも大きい先端寸を有しており、
    前記延伸工程において、前記ストレッチロッドの先端を前記他方の口部を閉塞するように前記プリフォーム本体の内面下端部分に当接させて当該他方の口部を内側からエアシールし、エアシール状態を保てるように、ブローエアーを吹き込むと共に前記ストレッチロッドを下降させ、当該ブローエアーを漏洩させずに前記プリフォーム本体を2軸延伸することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂製容器の成形方法。
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