JP2010036394A - プリフォームおよびプラスチックボトル - Google Patents

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Abstract

【課題】プラスチックボトルの重量を軽量化することができ、射出成形性が良好であるとともに、プラスチックボトルの底部の変形を小さくすることが可能なプリフォームを提供する。
【解決手段】プリフォーム10は、射出成形用のゲート部15が設けられた底部13と、底部13に連続する胴部12と、口部11と、口部11と胴部12との間に設けられた首下部14とを備えている。このうち胴部12全体の肉厚はt0である。また底部13は、全体の肉厚が均一であるとともにその肉厚がt0より薄いt2である肉厚均一部16と、肉厚均一部16と胴部12との間に設けられその肉厚t1がt2からt0まで滑らかに変化する肉厚変化部17とを有している。
【選択図】図2

Description

本発明は、射出成形用のゲート部が設けられた底部と、底部に連続する胴部と、口部と、口部と胴部との間に設けられた首下部とを備えたプラスチックボトル用のプリフォーム、およびこのようなプリフォームを2軸延伸ブロー成形することにより作製されたプラスチックボトルに関する。
図8に示すように、射出成形により作製される一般的なプリフォーム101は、口部102と、略円筒形状(正確には、若干の抜き勾配が設けられているため切頭円錐状である)の胴部104と、口部102と胴部104との間に設けられた首下部103と、略半球形状である底部105とを有している。また底部105の最下部に、射出成形の際に溶融プラスチックを注入するためのゲート部106が設けられている。
図8において、プリフォーム101の胴部104は略均一な肉厚t0を有している。また底部105は全体として緩やかに肉厚が変化しており、この底部105のうち任意の部分の肉厚をt1とする。また底部105最下部の肉厚をt3とする。このとき、t0>t1>t3の関係にある。ここで胴部104の肉厚t0から底部105の肉厚t1、底部105の肉厚t1から底部105最下部の肉厚t3へは滑らかに肉厚が変化している。なおt3は、t0の約80%程度乃至80%以下が最適であることが知られている(特許文献1参照)。
またこのほか、特許文献2に記載された技術も知られている(図9参照)。図9に示すプリフォーム108において、胴部と底部との間に、外径及び厚みが縮小するテーパー部107が設けられている。これによりプラスチックボトルの重量を減量することができ、さらにプラスチックボトル底部の均一延伸薄肉化が可能であるとしている。
特公昭62−54696号公報 特許第3011058号公報
ところで、近年、プラスチックボトルに用いるプラスチック材料を減らすこと(軽量化)が求められている。しかしながら図8のプリフォーム101において、胴部104の肉厚t0を薄くするとブロー成形された後のプラスチックボトルの強度が弱くなるおそれがある。
一方、プリフォーム101の底部105はブロー成形した後もほとんど延伸されることなく厚肉のまま維持された状態でプラスチックボトルの底部を形成するため、底部105の肉厚t1及びt3を薄くしてもプラスチックボトルの強度低下とならない。しかしながら、底部105の肉厚t1及びt3を薄くすると、プリフォーム101を射出成形する際にゲート孔から流入した溶融プラスチックの流動抵抗が大きくなる。このため、成形されたプリフォーム101にヒケ、偏肉、またはショートショット等の不良が発生しやすくなる。
またプリフォームを圧縮成形方法により製造することも知られているが、圧縮成形方法を用いる場合であっても、プリフォームの底部の肉厚t1及びt3を薄くした場合、プリフォームに成形不良が生じやすい。
さらに別の問題として、プリフォーム101の底部105の肉厚を厚くした場合、ブロー成形した後のプラスチックボトルの底部中央が変形して垂れやすくなるという問題がある。以下この現象について説明する。
ブロー成形の際、プリフォーム101は、ブロー成形機のヒータで加熱され、その後ブロー金型内で長手方向に棒によって伸ばされる。またこれとほぼ同時にプリフォーム101内部に高圧の空気が送り込まれ、これによりブロー金型の形状が転写されて、プラスチックボトルの形状とされる。
この場合、プリフォーム101の底部105はほとんど延伸されない。このためプリフォーム101の底部105、すなわちプラスチックボトルの底部中央は、厚肉のまま維持される。したがって、プラスチックボトルの底部中央がもつ熱はブロー金型へ十分移動せず、底部中央付近が高温の状態のままプラスチックボトルがブロー金型から取り出される。このため、その後プラスチックボトルの底部中央が熱収縮することにより変形し、この結果、プラスチックボトルの底部中央が下方へ垂れるという問題が発生する。
これを防止するために、ヒータの出力を調整してプリフォーム101の底部105の温度が高くなりすぎないようにする手法が存在する。しかしながら、例えばペタロイド底のように、プラスチックボトルの底部が複雑な形状を有する場合には、プリフォーム101の底部105の温度を低くするとプラスチックボトルの底形状がきれいに賦形できなくなる。
またブローする時間を長くすることにより、プラスチックボトルが長時間金型に接するようにし、これによりプラスチックボトルの底部中央の温度を低くし、底部中央の垂れを防ぐ方法も存在する。しかしながら、このような方法を用いた場合、生産性が悪くなるため実用的ではない。
また、上述した特許文献2に記載されたプリフォームの場合、テーパー部107がブロー成形された後のボトルの接地部付近に相当するため、ボトルの接地部付近の肉が薄くなるおそれがある。このためボトルに垂直荷重を加えた場合の座屈強度が弱くなってしまう。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、ブロー成形後のプラスチックボトルの重量(すなわちプリフォームの重量)を軽量化することができ、射出成形性が良好であるとともに、ブロー成形後にプラスチックボトルの底部が変形しにくいプリフォームおよびプラスチックボトルを提供することを目的とする。
本発明は、プラスチックボトル用のプリフォームにおいて、射出成形用のゲート部が設けられた底部と、底部に連続する胴部と、口部と、口部と胴部との間に設けられた首下部とを備え、胴部全体の肉厚がt0であり、底部は、全体の肉厚が均一であるとともにその肉厚がt0より薄いt2である肉厚均一部と、肉厚均一部と胴部との間に設けられその肉厚t1がt2からt0まで滑らかに変化する肉厚変化部とを有することを特徴とするプリフォームである。
本発明は、胴部と底部の肉厚変化部との境界面における中心径をD0とし、底部の肉厚変化部と底部の肉厚均一部との境界面における中心径をD1とした場合、1>D1/D0≧0.5の関係が成り立つことを特徴とするプリフォームである。
本発明は、底部の肉厚均一部は外面と内面とを有し、これらの外面と内面は、互いに同心球面上に位置することを特徴とするプリフォームである。
本発明は、プリフォームをブロー成形することにより作製されたことを特徴とするプラスチックボトルである。
以上のように本発明によれば、底部は、全体の肉厚が均一であるとともにその肉厚が胴部の肉厚t0より薄いt2である肉厚均一部と、肉厚均一部と胴部との間に設けられその肉厚t1がt2からt0まで滑らかに変化する肉厚変化部とを有している。これにより、底部最下部の肉厚および胴部の肉厚がともに同等である従来のプリフォームと比較した場合、底部全体の肉厚を薄くすることができ、プリフォーム全体の重量を軽くすることができる。また、プリフォーム全体の重量を軽くしても、上述した従来のプリフォームと比較して、射出成形性を同等に維持することができる。
また本発明によれば、上述した従来のプリフォームと比較して、底部全体の肉厚を薄くすることができるので、ブロー成形後にプラスチックボトルの底部中央が熱収縮して変形し、プラスチックボトルの底部中央が垂れる不具合が生じにくい。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態によるプリフォームの長手方向に沿う断面図であり、図2は、本実施の形態によるプリフォームの底部周辺を示す拡大断面図である。図3は、本実施の形態によるプリフォームの底部周辺を示す拡大断面図であり、図4は、ブロー成形時におけるプリフォーム内の空気の圧力をプリフォームの長手方向の分力と径方向の分力とに分けて説明する概略説明図である。図5は、本実施の形態によるプリフォームを作製する射出成形用金型を示す断面図であり、図6は、各射出成形金型の流路における、流動長と断面積との関係を示すグラフである。図7は、プラスチックボトルを部分的に断面として示した正面図である。
まず、図1により本実施の形態によるプリフォームの概要について説明する。
図1に示すプリフォーム10は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)からなるプラスチック製ペレットを射出成形することにより作製されるものである。このプリフォーム10は、口部11と、略円筒の(正確には、若干の抜き勾配が設けられているため切頭円錐形状を有する)胴部12と、胴部12に連続して設けられ、略半球形状を有する底部13とを備えている。また口部11と胴部12との間に首下部14が設けられている。
さらに底部13には、射出成形用のゲート部15が設けられている。このゲート部15は、射出成形によりプリフォーム10を製造する工程で、溶融プラスチックを導入することにより形成されるものである。
胴部12は全体として均一の肉厚t0を有している。
また図2に示すように、底部13は、外面16aおよび内面16bを有する肉厚均一部16と、肉厚均一部16と胴部12との間に設けられ、外面17aおよび内面17bを有する肉厚変化部17とを有している。このうち肉厚均一部16は、全体の肉厚が均一であるとともに、その肉厚がt0より薄いt2となっている(t0>t2)。一方、肉厚変化部17は、その肉厚t1がt2からt0まで滑らかに変化している。すなわち、胴部12の肉厚t0と、肉厚変化部17の肉厚t1と、肉厚均一部16の肉厚t2との間には、t0>t1>t2という関係が成立する。
なお、肉厚均一部16の肉厚t2は、胴部12の肉厚t0の約65%乃至約80%とすることが好ましい(0.65t0≦t2≦0.8t0)。肉厚均一部16の肉厚t2が胴部12の肉厚t0の80%を超えると、上述したようにブロー成形後にプラスチックボトルの底部中央が垂れやすく、また軽量化の目的を達することができない。これに対して、肉厚均一部16の肉厚t2が胴部12の肉厚t0の65%未満であると、プリフォーム10を射出成形するときにゲート孔34(後述)から流入した溶融プラスチックの流動抵抗が大きくなりすぎ、成形されたプリフォーム10にヒケ、偏肉、またはショートショット等の不良が発生しやすくなる。
また図2に示すように、胴部12と底部13の肉厚変化部17との間に境界面20が形成され、底部13の肉厚変化部17と底部13の肉厚均一部16との間に境界面21が形成されている。ここで境界面20とは、胴部12と肉厚変化部17との境界部分における、胴部12の外面12aおよび内面12bに対して垂直な面をいう。また境界面21とは、肉厚変化部17と肉厚均一部16との境界部分における、肉厚均一部16の外面16aおよび内面16bに対して垂直な面をいう。
この場合、胴部12と肉厚変化部17との間の境界面20における中心径をD0とし、肉厚変化部17と肉厚均一部16との間の境界面21における中心径をD1とした場合、1>D1/D0≧0.5の関係が成り立つことが好ましい。
なお、境界面20における中心径D0とは、境界面20上において、胴部12の外面12aおよび内面12bの中間に位置する円の直径をいう。また境界面21における中心径D1とは、境界面21上において、肉厚均一部16の外面16aおよび内面16bの中間に位置する円の直径をいう。
境界面20における中心径をD0と境界面21における中心径をD1との間に1>D1/D0≧0.5の関係が成り立つことが好ましいことは、以下の理由に基づく。すなわち2軸延伸ブロー成形によりプラスチックボトルを製造する際、プリフォーム10内へ高圧の空気が吹き込まれる。このときの空気の圧力を、プリフォーム10の長手方向の分力とこの長手方向に直交する径方向の分力とに分けて考えた場合、およそD1/D0=0.5となる位置より内側(すなわち上述した肉厚変化部17に対応する部分)では、径方向の分力が弱い。このため、プリフォーム10のうち、肉厚変化部17に対応する部分は延伸されにくい(図4参照)。
したがって、仮にD1/D0<0.5であるとすると、肉厚変化部17が小さすぎる。この場合、プリフォームの射出成形性を良好に維持したままプリフォーム全体の重量を軽くするという本発明の効果が得られない。
ところで、図3に示すように、底部13の肉厚均一部16の外面16aと内面16bとは、互いに同心球面上に位置している。すなわち肉厚均一部16の外面16aと内面16bとは、それぞれ中心ORを中心とする別個の球面上に位置している。
一方、肉厚変化部17の外面17aは、胴部12の外面12aと肉厚均一部16の外面16aとの間に設けられている。肉厚変化部17の外面17aは、胴部12の外面12aおよび肉厚均一部16の外面16aそれぞれに対して滑らかに繋がっている。
さらに肉厚変化部17の内面17bは、中心ORとは異なる中心OSを基準とする球面の一部を構成している。胴部12の内面12bと肉厚均一部16の内面16bとは、この肉厚変化部17の内面17bを介して滑らかに繋がっている。
なお、上述した肉厚均一部16の肉厚t2は、プリフォーム10を成形する射出成形金型30(後述)の加工誤差、射出成形金型30の組み立て誤差、あるいは成形変形等のため、完全に均一にならない場合もある。経験上、肉厚t2に対して±4%程度の誤差が生じることが判っている。しかしながら、この程度の誤差があっても本発明の目的を達することができるため、この場合も均一な肉厚であるとして扱う。
また、本実施の形態において、このようなプリフォーム10を2軸延伸ブロー成形することにより作製されたプラスチックボトル40も提供する(図7参照)。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
まずPET(ポリエチレンテレフタレート)製ペレットを図示しない射出成形機に投入し、このPET製ペレットが射出成形機によって加熱溶融される。その後PET製ペレットは溶融プラスチックとなって、図5に示す射出成形金型30内に射出される。
この射出成形金型30は、図5に示すように、雌型31と雄型32とを有し、また雌型31と雄型32との間に、プリフォーム10に対応する形状を有する流路33が形成されている。この流路33は、プリフォーム10の口部11に対応する口部流路33aと、首下部14に対応する首下部流路33bと、胴部12に対応する胴部流路33cと、底部13の肉厚変化部17に対応する肉厚変化部流路33dと、底部13の肉厚均一部16に対応する肉厚均一部流路33eとを有している。
そして射出成形機からの溶融プラスチックはゲート孔34から導入され、その後、図5中の矢印に示すように、肉厚均一部流路33e、肉厚変化部流路33d、胴部流路33c、首下部流路33b、および口部流路33aという順に流れ、流路33内全体に充填される。
所定時間の経過後、射出成形金型30の流路33内で溶融プラスチックが硬化し、プリフォーム10が形成される。その後、雌型31と雄型32とを分離して、プリフォーム10を取り出す。
本実施の形態において、上述したように肉厚均一部16全体の肉厚が均一となっている。したがって、肉厚均一部流路33eの厚みも全体として均一である。ところで一般に、肉厚均一部流路33eは流動抵抗が大きく、溶融プラスチックが比較的流れにくい領域である。これに対して本実施の形態においては、このように肉厚均一部流路33eの厚みを均一としているので、全体重量が同等である従来のプリフォームと比較して、肉厚均一部流路33e内を溶融プラスチックが流れやすく、このことによりプリフォーム10の成形性を向上させることができる。他方、底部13最下部の肉厚および胴部12の肉厚がともに同等である従来のプリフォームと比較した場合には、プリフォーム10全体の重量を軽くすることができるという効果が得られ、かつ射出成形性は同等程度に維持することができる(これらの点については、以下の実施例において詳細に説明する)。
(実施例)
次に、本発明の具体的実施例を説明する。
ここで本実施の形態によるプリフォーム10として、胴部12の直径27.93mm、胴部12の肉厚t0=3.8mm、肉厚均一部16の肉厚t2=2.85mm、全体重量44.9gのプリフォーム10を作製した(このプリフォーム10を実施例という)。
これに対し従来の形状を有するプリフォームとして、胴部の直径27.93mm、胴部の肉厚t0=3.8mm、底部最下部(ゲート部が設けられている位置)の肉厚t3=2.36mm、全体重量44.9gのプリフォームを作製した(このプリフォームを比較例1という)。
また他の従来の形状を有するプリフォームとして、胴部の直径27.93mm、胴部の肉厚t0=3.8mm、底部最下部(ゲート部が設けられている位置)の肉厚t3=2.85mm、全体重量45.1gのプリフォームを作製した(このプリフォームを比較例2という)。
これら各プリフォームを、それぞれ対応する射出成形金型30を用いて射出成形法により作製した。
図6は、各射出成形金型30の流路33における、溶融プラスチックの流動長Lと流路33の断面積Sとの関係をそれぞれ示したものである。ここで流動長Lとは、流路33内において溶融プラスチックが流れた距離(流路33に沿ったゲート孔34からの距離)をいう(図5参照)。また断面積Sとは、上述した溶融プラスチックの流れに対して垂直な面Fにおける流路33の断面積をいう(図5参照)。
ところで一般に、プリフォームを射出成形により作製するとき、溶融プラスチックの流動抵抗すなわち圧力損失は、流路33の断面積Sにほぼ反比例する。厳密には、断面積Sが変わると溶融プラスチックの剪断速度が変わり、また溶融プラスチックの温度も次第に低くなり、粘度も変化するが、本実施例の場合、圧力損失は流路33の断面積Sにほぼ反比例すると考えて差し支えない。
図6を用いて、まず本実施例によるプリフォーム10と比較例1によるプリフォームとを比較する。上述したように、本実施例によるプリフォーム10と比較例1によるプリフォームとは、胴部の直径(27.93mm)、胴部の肉厚(t0=3.8mm)、およびプリフォームの全体重量(44.9g)が互いに等しい。これに対して底部最下部(ゲート部が設けられている位置)の肉厚は、本実施例によるプリフォーム10(t2=2.85mm)の方が比較例1によるプリフォーム(t3=2.36mm)より厚い。
図6において、まず流動長Lがおよそ12mm〜17mmの範囲(上述した肉厚変化部17に対応する)においては、本実施例によるプリフォーム10より比較例1によるプリフォームの方が流路33の断面積Sが大きいため、流動抵抗が小さい。しかしながら、この流動長Lの範囲は、もともと溶融プラスチックの流動抵抗があまり大きくない(すなわち流路33の断面積Sが大きい)領域であるため、流路33の断面積Sがこの程度異なっても、射出成形性の面では大きな違いはない。
しかしながら、溶融プラスチックの流動抵抗が相対的に大きい領域である流動長Lが約10mm以下の領域(上述した肉厚均一部16に対応する)では、本実施例によるプリフォーム10の方が比較例1によるプリフォームより流路33の断面積Sが大きいため、流動抵抗が小さい。このため、本実施例によるプリフォーム10と比較例1によるプリフォームとは全体重量が互いに同等であるが、本実施例によるプリフォーム10の方が射出成形する際の全体的な溶融プラスチックの流動抵抗が小さいため、成形しやすい。
なお比較例1によるプリフォームの底部最下部の肉厚は、t3=2.36mmであり、胴部の肉厚t0=3.8mmの約62%しかない。このため、とりわけ射出成形性が悪く、ヒケ、偏肉、またはショートショット等の成形不良が発生しやすい。
続いて、本実施例によるプリフォーム10と比較例2によるプリフォームとを比較する。上述したように、本実施例によるプリフォーム10と比較例2によるプリフォームとは、胴部の直径(27.93mm)、胴部の肉厚(t0=3.8mm)、および底部最下部(ゲート部が設けられている位置)の肉厚(t2=t3=2.85mm)が互いに等しい。これに対してプリフォームの全体重量は、本実施例によるプリフォーム10(44.9g)の方が、比較例2によるプリフォーム(45.1g)より軽い。
図6に示すように、本実施例によるプリフォーム10と比較例2によるプリフォームとを比較した場合、本実施例によるプリフォーム10より比較例2によるプリフォームの方が全体的な流動抵抗が小さい。しかしながら、流動長Lが約10mm以下の領域(上述した肉厚均一部16に対応する)、とりわけ流動長Lが約5mm以下の流動抵抗が特に大きい領域において、両者の流路33の断面積S(すなわち流動抵抗)がほぼ同等であるため、射出成形性の面で差異は小さい。このため本実施例によるプリフォーム10は、比較例2によるプリフォームより0.2g軽いにも関わらず、比較例2によるプリフォームとほぼ同等の品質とすることができる。
次に、本実施例によるプリフォーム10と比較例2によるプリフォームとを用いて、それぞれ容量1500ml用のプラスチックボトル(炭酸飲料用ペタロイドボトル)40を2軸延伸ブロー成形法により作製した(図7参照)。この場合、ブロー成形金型は各々同一のものを使用した。
次に、各プラスチックボトル40の底深さhを測定した。ここで底深さhとは、プラスチックボトル40の接地部41と底部中央42との間の距離をいう。この結果を以下の表に示す。
Figure 2010036394
上述したブロー成形金型のうち、プラスチックボトル40の底深さhに対応する部分の長さは3mmとなっている。しかしながら、上述した原理により、ブロー成形されたプラスチックボトル40の底部中央42が垂れ、底深さhは3mmより小さくなる。これに対して、本実施例によるプリフォーム10は、比較例2によるプリフォームと比べて底部13(とりわけ肉厚均一部16)の肉厚が薄いため、ブロー成形後に底部中央42が垂れにくい(すなわち底深さhを大きくすることができる)。
なおプラスチックボトル40の胴部43の肉厚は、両者とも互いに同一であり、強度の面における差異は無かった。
このように本実施の形態によれば、プリフォーム10の底部13は、全体の肉厚が均一であるとともにその肉厚が胴部12の肉厚t0より薄いt2である肉厚均一部16と、肉厚均一部16と胴部12との間に設けられその肉厚t1がt2からt0まで滑らかに変化する肉厚変化部17とを有している。これにより、底部13最下部の肉厚および胴部12の肉厚がともに同等である従来のプリフォーム(例えば上述した比較例2のプリフォーム)と比較した場合、底部13全体の肉厚を薄くすることができ、プリフォーム10全体の重量を軽くすることができる。またこの場合、上述した従来のプリフォームと比較して、成形性を同等に維持することができる。
逆に、同等の全体重量を有する従来のプリフォーム(例えば上述した比較例1のプリフォーム)と比較した場合、射出成形時に溶融プラスチックの流動抵抗が比較的大きい部分である肉厚均一部16の肉厚が、従来のプリフォームより厚い。したがって、射出成形の際、肉厚均一部16における流動抵抗を小さくすることができ、プリフォーム10の成形性を良好にすることができる。
また本実施の形態によれば、上述した底部13最下部の肉厚および胴部12の肉厚がともに同等である従来のプリフォーム(例えば上述した比較例2のプリフォーム)と比較して、底部13全体としての肉厚を薄くすることができるので、ブロー成形後にプラスチックボトル40の底部中央42が熱収縮して変形し、プラスチックボトル40の底部中央42が垂れる不具合が生じにくい。
さらに本実施の形態によれば、プリフォーム10の生産性を悪化させることがなく、ブロー成形後にプラスチックボトル40の胴部43が弱くなることもない。
なお、プリフォーム10の底部13は、図1乃至図3に示す形状に限定するものではなく、全体の肉厚が均一であるとともにその肉厚がt0より小さいt2である肉厚均一部16と、肉厚均一部16と胴部12との間に設けられその肉厚t1がt2からt0まで滑らかに変化する肉厚変化部17とを有するものであれば、次のような形状であっても同様の効果を得ることができる。
例えば、肉厚均一部16の外面16aと内面16bとが互いに同心球面上に位置するとともに、肉厚変化部17の外面17aが球面の一部を構成し、かつ肉厚変化部17の内面17bが肉厚均一部16の内面16bおよび胴部12の内面12bとそれぞれ滑らかに繋がっていても良い。
あるいは、肉厚均一部16の外面16aと内面16bとが互いに同心球面上に位置するとともに、肉厚変化部17の外面17aが胴部12の外面12aおよび肉厚均一部16の外面16aとそれぞれに滑らかに繋がり、かつ肉厚変化部17の内面17bが胴部12の内面12bおよび肉厚均一部16の内面16bとそれぞれに滑らかに繋がっていても良い。
また肉厚均一部16の外面16aおよび内面16b、または肉厚変化部17の外面17aおよび内面17bは、必ずしも球面形状を有さなくても良く、例えば楕円面、放物面、またはその他自由曲面等の滑らかな形状を有していても良い。
本発明の一実施の形態によるプリフォームの長手方向に沿う断面図。 本発明の一実施の形態によるプリフォームの底部周辺を示す拡大断面図。 本発明の一実施の形態によるプリフォームの底部周辺を示す拡大断面図。 ブロー成形時におけるプリフォーム内の空気の圧力をプリフォームの長手方向の分力と径方向の分力とに分けて説明する概略説明図。 本発明の一実施の形態によるプリフォームを作製する射出成形用金型を示す断面図。 各射出成形金型の流路における、流動長と断面積との関係を示すグラフ。 本発明の一実施の形態によるプラスチックボトルを部分的に断面として示した正面図。 従来の一般的なプリフォームを示す断面図。 他の従来のプリフォームを示す断面図。
符号の説明
10 プリフォーム
11 口部
12 胴部
12a 胴部の外面
12b 胴部の内面
13 底部
14 首下部
15 ゲート部
16 肉厚均一部
16a 肉厚均一部の外面
16b 肉厚均一部の内面
17 肉厚変化部
17a 肉厚変化部の外面
17b 肉厚変化部の内面
20、21 境界面
30 射出成形金型
31 雌型
32 雄型
33 流路
40 プラスチックボトル

Claims (4)

  1. プラスチックボトル用のプリフォームにおいて、
    射出成形用のゲート部が設けられた底部と、底部に連続する胴部と、口部と、口部と胴部との間に設けられた首下部とを備え、
    胴部全体の肉厚がt0であり、
    底部は、全体の肉厚が均一であるとともにその肉厚がt0より薄いt2である肉厚均一部と、肉厚均一部と胴部との間に設けられその肉厚t1がt2からt0まで滑らかに変化する肉厚変化部とを有することを特徴とするプリフォーム。
  2. 胴部と底部の肉厚変化部との境界面における中心径をD0とし、底部の肉厚変化部と底部の肉厚均一部との境界面における中心径をD1とした場合、1>D1/D0≧0.5の関係が成り立つことを特徴とする請求項1記載のプリフォーム。
  3. 底部の肉厚均一部は外面と内面とを有し、これらの外面と内面は、互いに同心球面上に位置することを特徴とする請求項1記載のプリフォーム。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項記載のプリフォームをブロー成形することにより作製されたことを特徴とするプラスチックボトル。
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