JP2014188421A - セシウムイオン除去材料及びセシウムイオン除去材料の製造方法 - Google Patents

セシウムイオン除去材料及びセシウムイオン除去材料の製造方法 Download PDF

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忠臣 西久保
Hiroto Kudo
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Abstract

【課題】新規なセシウムイオン除去材料及びセシウムイオン除去材料の製造方法を提供すること。
【解決手段】一般式(1)等で表される構造を繰り返し単位として含む重合体を用いる。
Figure 2014188421

【選択図】なし

Description

本発明は、セシウムイオン除去材料及びセシウムイオン除去材料の製造方法に関する。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故により、大量の放射性物質が空気中に放出され、東日本を中心とした各地にこの放射性物質による汚染が生じている。この汚染は、土壌、水等といった屋外における様々なものに及ぶものであり、大きな社会問題となっている。放射性物質による汚染は、主としてウラン235の核分裂によって生じたヨウ素131とセシウム137によるものであるが、半減期が約8日であるヨウ素131はおよそ数ヶ月程度で汚染地域からほぼ検出されない程度まで減少するのに対して、半減期が約30年であるセシウム137は極めて長期間にわたって汚染地域に存在することになる。したがって、セシウム137等の放射性セシウムを汚染地域から除染することが急務となっている。
放射性セシウムの化学的な性質は放射性でない(すなわち安定同位体である)セシウムと同様である。また、セシウムは、アルカリ金属なので1価の陽イオンであるセシウムイオンとなって存在する。そのため、放射性セシウムの除染を行うにあたっては公知のセシウムイオン除去手段を用いることができる。このような手段の一例として、例えば特許文献1には、ゼオライトを基材とした無機イオン交換体にセシウムイオンを吸着させる方法が開示されている。また、特許文献2には、脱窒菌からなるセシウムイオンの吸着剤が開示されている。
特開平10−15401号公報 特開2007−271306号公報
上記の手段によってセシウムを吸着除去することは可能であるが、放射性セシウムの除染に際しては、複数の有効な手段が使用可能であることが望ましい。本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、新規なセシウムイオン除去材料及びセシウムイオン除去材料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、所定の環状オリゴマー及びそのポリマーがセシウムイオンに高い親和性を備えることを見出し、これら環状オリゴマー及びそのポリマーがセシウムイオンの除去材料として有効であることを知見した。本発明は、以上の知見に基づいて完成されたものであり、以下のようなものを提供する。
(1)本発明は、下記一般式(1)〜(3)のいずれかの化合物よりなる、又は下記一般式(1)〜(3)のいずれかの構造を繰り返し単位として含む重合体よりなるセシウムイオン除去材料である。
Figure 2014188421
(上記一般式(1)中、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、一価の有機基、置換基を有してもよいシリル基、又は他の繰り返し単位への結合手となる二価以上の有機基であり、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、又はOR(Rは上記Rと同様である。)であり、各Xは、それぞれ独立に、置換又は非置換のプロピレン基である。上記一般式(2)中、各R及びRは、上記一般式(1)と同様であり、各Xは、それぞれ独立に、置換又は非置換のアルキレン基であり、nは、2又は3である。上記一般式(3)中、各Rは、上記一般式(1)と同様であり、各Rは、それぞれ独立に、炭素数4〜8のアルキル基であり、mは4、6又は8である。)
(2)また、本発明は、フェノール系化合物と、一個又は二個のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物と、を反応させる縮合工程を含むセシウムイオン除去材料の製造方法でもある。
(3)上記フェノール系化合物が下記一般式(4)又は(5)で表され、上記アルデヒド化合物がホルムアルデヒド又は下記一般式(6)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2014188421
(上記一般式(4)中、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アセチル基であり、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はOR(Rは上記Rと同様である。)である。上記一般式(5)中、Rは、上記一般式(4)と同様であり、Rは、炭素数4〜8のアルキル基である。上記一般式(6)中、Xは、炭素数3〜11の置換若しくは非置換のアルキレン基である。)
(4)上記Rの少なくとも1つが水素原子であり、上記縮合工程の後、フェノール性水酸基と反応して結合を生じさせる置換基を二以上備えた化合物を加えて架橋を行う架橋工程、又は、上記縮合工程の後、フェノール性水酸基の少なくとも一部を反応性置換基に変換し、当該反応性置換基と反応して結合を生じさせる置換基を備えた化合物を加えて架橋を行う架橋工程を含んでもよい。
本発明によれば、新規なセシウムイオン除去材料及びセシウムイオン除去材料の製造方法が提供される。
以下、本発明に係るセシウムイオン除去材料の一実施形態及びセシウムイオン除去材料の製造方法の一実施態様について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態及び実施態様に限定されるものではなく、本発明の範囲において適宜変更して実施することができる。
<セシウムイオン除去材料>
本発明のセシウムイオン除去材料は、所定の環状オリゴマー又はそのポリマーである。これらは、上記一般式(1)〜(3)のいずれかの化合物であるか、上記一般式(1)〜(3)のいずれかの構造を繰り返し単位として含む重合体である。本発明は、上記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される構造を備えた化合物がセシウムイオンに対して高い包接能力を示すことに基づいて完成されたものであるので、本発明のセシウムイオン除去材料としては、上記一般式(1)〜(3)のいずれかの化合物はもちろん、上記一般式(1)〜(3)のいずれかの構造を繰り返し単位として含む重合体も用いることができる。
まず、一般式(1)の化合物及び一般式(1)の構造を繰り返し単位として含む重合体について説明する。これらの化合物、及び重合体の繰り返し単位は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2014188421
上記一般式(1)中、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、一価の有機基、置換基を有してもよいシリル基、又は他の繰り返し単位への結合手となる二価以上の有機基であり、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、又はOR(Rは上記Rと同様である。)であり、各Xは、それぞれ独立に、置換又は非置換のプロピレン基である。
上記Rのうち、一価の有機基としては、炭素数1〜5のアルキル基、アセチル基、−(C=O)R’、−(C=O)Cl、イソシアナート基、ビニル基、グリシジル基等が例示される。ここで、R’としては、炭素数1〜5のアルキル基が例示される。上記一価の有機基についての例示のうち、炭素数1〜5のアルキル基及び−(C=O)R’は、一般式(1)の化合物及び一般式(1)の構造を繰り返し構造として含む重合体の溶解性を向上させるとともに、セシウムイオンに対する親和性の向上に寄与する。また、上記一価の有機基についての例示のうち、−(C=O)Cl、イソシアナート基、ビニル基、グリシジル基は、さらなる置換基を導入したり、架橋により重合体を形成させる際の反応点としたりするのに用いられる。
架橋により重合体を形成する場合、上記一価の有機基と反応可能な置換基を備えた化合物を上記一般式(1)の化合物と反応させればよい。例えば、上記一価の有機基が−(C=O)Cl又はイソシアナート基であれば、二以上の水酸基及び/又はカルボキシル基を備えた化合物を反応させればよいし、上記一価の有機基がビニル基であれば、ビニル基や(メタ)アクリル基のように不飽和結合を有する化合物とラジカル重合開始剤の存在下で反応させればよいし、上記一価の有機基がグリシジル基であれば、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基からなる群より選択される置換基を二以上有する化合物と反応させればよい。
また、上記Rのいずれかが水素原子であれば、上記一般式(1)の化合物は水酸基を備えることになるので、水酸基と反応可能な置換基を二以上備えた化合物と反応させることによって架橋させ、重合体とすることができる。そのような置換基としては、エポキシ基、イソシアナート基、酸無水物基、酸クロライド基、カルボキシル基、チーラン環等が例示される。
上記Rのうち、他の繰り返し単位への結合手となる二価の有機基は、上記のように一価の有機基又は水酸基と反応可能な置換基を二以上備えた化合物と、上記一般式(1)で表される化合物とを反応させることにより形成される。上記一般式(1)がこのような二価の有機基を備えることにより、上記一般式(1)の構造を繰り返し単位として含む重合体となる。
上記一般式(1)の化合物について、理解を容易にするために、一般式(1)を展開した一般式(1A)を下記に示す。下記一般式(1A)は、上記一般式(1)と同様な化合物を表す。
Figure 2014188421
上記一般式(1A)中、各R、R及びXは、上記一般式(1)におけるものと同様である。
次に、一般式(2)の化合物及び一般式(2)の構造を繰り返し単位として含む重合体について説明する。これらの化合物及び重合体は、下記一般式(2)で表される。
Figure 2014188421
上記一般式(2)中、各R及びRは、上記一般式(1)と同様であり、各Xは、それぞれ独立に、置換又は非置換のアルキレン基であり、nは、2又は3である。
上記一般式(2)の化合物は、上記一般式(1)の化合物と同様に、架橋により一般式(2)の構造を繰り返し単位として含む重合体を形成することができる。このことについては、上記一般式(1)の化合物におけるものと同様であるので、ここでの説明を省略する。
上記一般式(2)から理解できるように、上記一般式(2)の化合物は、カリックス[4]レゾルシンアレーンの2量体又は3量体構造を骨格として備える。一般式(2)の化合物について、理解を容易にするために、一般式(2)を展開した一般式(2A)及び(2B)を下記に示す。下記一般式(2A)及び(2B)は、上記一般式(2)と同様な化合物を表す。なお、下記一般式(2A)は、一般式(2)の3量体構造(n=3)を表し、下記一般式(2B)は、一般式(2)の2量体構造(n=2)を表す。
Figure 2014188421
Figure 2014188421
上記一般式(2A)及び(2B)中、各R、R及びXは、上記一般式(2)におけるものと同様である。
上記一般式(1)及び(2)の化合物又は繰り返し単位は、その環状構造の内部に疎水場である空孔を備え、その空孔の内部にセシウムイオンを包接すると考えられる。
最後に、一般式(3)の化合物及び一般式(3)の構造を繰り返し単位として含む重合体について説明する。これらの化合物及び重合体は、下記一般式(3)で表される。
Figure 2014188421
上記一般式(3)中、各Rは、上記一般式(1)と同様であり、各Rは、それぞれ独立に、炭素数4〜8のアルキル基であり、mは4、6又は8である。Rとしては、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基が例示され、tert−ブチル基が好ましく例示される。
上記一般式(3)の化合物は、上記一般式(1)の化合物と同様に、架橋により一般式(3)の構造を繰り返し単位として含む重合体を形成することができる。このことについては、上記一般式(1)の化合物におけるものと同様であるので、ここでの説明を省略する。
上記一般式(3)の化合物は、カリックスアレーンと呼ばれる化合物の構造を骨格として備える。上記一般式(3)において、mは、カリックスアレーンを構成するフェノール単位の個数であり、mが4であればカリックス[4]アレーンとなり、mが6であればカリックス[6]アレーンとなり、mが8であればカリックス[8]アレーンとなる。以下の記載では、これらのカリックスアレーンをまとめて「カリックス[m]アレーン」と呼ぶ。カリックス[m]アレーンは、そのlower rim側(m個のフェノール性水酸基が配置される側)にセシウムイオンを包接すると考えられる。
次に、本発明のセシウムイオン除去材料の使用例について説明する。以下の説明では、上記一般式(1)〜(3)の化合物を総称して「環状オリゴマー体」と呼び、上記(1)〜(3)のいずれかの構造を繰り返し単位として含む重合体を総称して「ポリマー体」と呼ぶ。ポリマー体は、環状オリゴマー体を繰り返し単位として含むことになるので、環状オリゴマー体由来のセシウムイオン包接能を備える。
ポリマー体は、ゲル状物、粘性物又は固形物として合成されるが、公知の手段によりシート状や繊維状等といった所望の形状に成形された上で使用されてもよい。
ゲル状物であるポリマー体は、セシウムイオンを含む水の中に投入されることにより、水の中に含まれるセシウムイオンを効率良く吸着する。このため、放射性セシウムを含む池、沼、河川等といった陸水部分の除染に有効である。放射性セシウムを吸着したポリマー体は、網等といった適切な回収手段により回収される。回収されたポリマー体は、適切な保管施設で保管されることになる。
また、水の張られたプールに、放射性セシウムを含む土壌とゲル状物のポリマー体とを投入することにより、土壌に含まれる放射性セシウムが、プール内の水に溶出し、次いでポリマー体に吸着される。このような手段により、土壌の除染を行うことも可能である。
シート状のポリマー体は、例えば、放射性セシウムを含む土壌の表面に置かれることにより、土壌に含まれる放射性セシウムを吸着することができる。また、シート状のポリマー体は、薄膜とされることにより放射性セシウムの透過膜として使用することもできる。薄膜とされたシート状のポリマーを放射性セシウムの透過膜として使用する場合、除染対象である液体と放射性セシウム回収用の液体とを、当該透過膜を隔てて隣接させる。すると、除染対象である液体に含まれる放射性セシウムが透過膜の内部に取り込まれて、隣接する放射性セシウム回収用の液体まで輸送される。その結果、除染対象である液体に含まれる放射性セシウムの濃度が減少し、放射性セシウム回収用の液体における放射性セシウムの濃度が増加する。放射性セシウム回収用の液体に取り込まれた放射性セシウムは、その後、適切な保管施設で保管されることになる。
繊維状のポリマー体は、例えば不織布等に加工されることにより、放射性セシウム吸着用のフィルタとして用いられる。このフィルタは、セシウムイオンに対する親和性に優れるばかりでなく、成形が容易であって加工性に優れるため、放射性セシウムの除去のために一般に用いられるゼオライト系の除去材料よりも利用価値が高い。このフィルタは、空気に含まれる放射性セシウムの除去をはじめ、水等の液体に含まれる放射性セシウムの除去等に有効に用いられる。
環状オリゴマー体は、ポリエステル等の既存のポリマーに混合された上で、シート状や繊維状等といった所望の形状に成形されて用いられてもよい。この場合であっても、上述と同様の各用途に用いることが可能である。環状オリゴマー体は、ポリマーへの親和性を向上させる等の目的のために、上記一般式(1)〜(3)におけるR部分に適切な修飾を加えられることが好ましい。また、環状オリゴマー体と同様に、ポリマー体をポリエステル等の既存のポリマーに混合して用いてもよい。
<セシウムイオン除去材料の製造方法>
次に、セシウムイオン除去材料の製造方法の一実施態様について説明する。本製造方法は、上記一般式(1)〜(3)の化合物、又は上記一般式(1)〜(3)のいずれかの構造を繰り返し単位として含む重合体の合成方法でもある。
本製造方法は、フェノール系化合物と、一個又は二個のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物と、を反応させる縮合工程を含む。より具体的には、下記一般式(4)で表されるフェノール系化合物と下記一般式(6)で表される二官能アルデヒド化合物とを縮合させると上記一般式(1)又は(2)の化合物が得られ、下記一般式(5)で表されるフェノール系化合物とホルムアルデヒドとを縮合させると上記一般式(3)の化合物が得られる。以下、それぞれの反応条件について説明する。
Figure 2014188421
上記一般式(4)中、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アセチル基であり、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はOR(Rは上記Rと同様である。)である。上記一般式(5)中、Rは、上記一般式(4)と同様であり、Rは、炭素数4〜8のアルキル基である。上記一般式(6)中、Xは、炭素数3〜11の置換若しくは非置換のアルキレン基である。
まず、上記一般式(1)及び(2)の化合物(環状オリゴマー体)の製造方法について説明する。上記一般式(1)及び(2)の化合物は、上記一般式(4)で表されるフェノール化合物(以下、単に「一般式(4)で表される化合物」と呼ぶ。)と、上記一般式(6)で表される二官能アルデヒド化合物(以下、単に「一般式(6)で表される化合物」と呼ぶ。)とを縮合反応させることにより合成される。上記一般式(1)の化合物と上記一般式(2)の化合物とを作り分ける方法については後述する。
縮合反応の条件(方法)は、特に限定されず、フェノール化合物とアルデヒド化合物との縮合反応についての従来公知の方法を採用することができる。具体的には、酸触媒をはじめとする適当な触媒の存在下、適当な反応溶媒中、60〜90℃で6〜72時間脱水縮合させる方法等を例示できる。
縮合反応に際して使用される触媒としては、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸等が例示される。これらの中でも、より高収率で環状オリゴマー体を得るとの観点からは、トリフルオロ酢酸が好ましく例示される。これらの触媒は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
縮合反応に際して使用される反応溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の含ハロゲン系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒等が例示される。これらの溶媒は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
縮合反応における一般式(4)で表される化合物と一般式(6)で表される化合物との割合は、特に限定されないが、環状オリゴマーの収率を向上させるという観点からは、一般式(6)で表される化合物1molに対して一般式(4)で表される化合物が、1〜8molであることが好ましく、2〜6molであることがより好ましく、3〜5molであることが特に好ましい。上記割合の範囲内であれば、目的とする環状オリゴマー体の収率を良好なものとすることができる。
縮合反応における反応溶液中の基質濃度(一般式(4)で表される化合物と一般式(6)で表される化合物との合計の濃度)は、特に限定されないが、目的とする環状オリゴマー体の収率を向上させるとの観点からは、2mol/L以上であることが好ましく、4mol/L以上であることがより好ましく、4〜10mol/Lであることが特に好ましい。基質濃度を上記の範囲とすることにより、環状オリゴマー体の収率を良好にすることができる。
縮合反応が終了すると、環状オリゴマー体を縮合物(沈殿物)として得ることができる。得られた縮合物(沈殿物)を、水、有機溶媒、又は水と有機溶媒との混合溶媒で洗浄して精製することが好ましい。有機溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸イソアミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;フェノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド等を例示することができる。これらの中でも、メタノール、エタノール、ジエチルエーテルが好ましく例示される。なお、これらの有機溶媒は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、得られた縮合物(沈殿物)を有機溶媒に溶解させ、その溶液を水で洗浄することにより、残存する原料や副生成物を除去することも好ましい。
上記の縮合反応によって主として得られる環状オリゴマー体の構造が上記一般式(1)となるか上記一般式(2)となるかは、原料化合物となる一般式(6)におけるXのアルキレン骨格に含まれる炭素数によって決まる。例えば、一般式(6)中のXがプロピレン基(アルキレン骨格に含まれる炭素数が3)である化合物を原料とすれば、上記一般式(1)の化合物が主として得られる。また、一般式(6)中のXのアルキレン骨格に含まれる炭素数が4以上である化合物を使用すれば、偶奇効果により、Xのアルキレン骨格に含まれる炭素数が奇数の場合には、上記一般式(2)におけるn=3の化合物が主として得られ、Xのアルキレン骨格に含まれる炭素数が偶数の場合には、上記一般式(2)におけるn=2の化合物が主として得られる。なお、一般式(6)中のXのアルキレン骨格に含まれる炭素数が2以下である化合物を原料とすると、所望とする環状オリゴマー体が得られない。
得られた環状オリゴマー体は、さらなる機能化を図ったり重合体を形成させるための置換基を導入したりするために、公知の方法によりフェノール性水酸基に修飾を施されてもよい。このような修飾によって導入される置換基としては、上記一般式(1)及び(2)におけるRと同様のものが挙げられ、一価の有機基、置換基を有してもよいシリル基が挙げられる。そして、一価の有機基としては、炭素数1〜5のアルキル基、アセチル基、−(C=O)R’、−(C=O)Cl、イソシアナート基、ビニル基、グリシジル基等が例示される。
次に、上記一般式(3)の化合物(環状オリゴマー体)の製造方法について説明する。上記一般式(3)の化合物は、カリックス[m]アレーン骨格を有する化合物であり、一般式(5)で表されるフェノール化合物(以下、単に「一般式(5)で表される化合物」と呼ぶ。)とホルムアルデヒドとを縮合反応させることにより合成される。
カリックス[m]アレーンの合成方法は、例えばC.D.Gutsche,et al.,Org.Synth.,vol.8.,pp75−81(1993)等に示されるように公知であり、上記一般式(3)の化合物はその合成方法に準じて合成される。具体的には、例えばカリックス[8]アレーンの場合には、一般式(5)で表される化合物とホルムアルデヒドとをアルカリの存在下、キシレン中で5〜6時間の還流を行うことにより生成物を得、その後、濾過物をトルエン、エーテル、アセトン、水で洗浄し乾燥させ、さらにクロロホルムで再結晶することを挙げることができる。
上記一般式(1)及び(2)の化合物と同様、得られた環状オリゴマー体に、さらなる機能化を図ったり重合体を形成させるための置換基を導入したりするために、公知の方法によりフェノール性水酸基に修飾を施してもよい。このような修飾によって導入される置換基としては、上記一般式(3)におけるRと同様のものが挙げられ、一価の有機基、置換基を有してもよいシリル基が挙げられる。そして、一価の有機基としては、炭素数1〜5のアルキル基、アセチル基、−(C=O)R’、−(C=O)Cl、イソシアナート基、ビニル基、グリシジル基等が例示される。
以上のような縮合工程を経ることにより、上記一般式(1)〜(3)のいずれかの化合物よりなるセシウムイオン除去材料が合成される。既に述べたように、このセシウムイオン除去材料そのものを放射性セシウムの除染に用いることが可能であるが、上記縮合工程の後、さらに、得られた環状オリゴマー体同士を架橋させる架橋工程を経てポリマー体としてもよい。このような架橋工程を行う場合、縮合工程を経て合成された上記一般式(1)〜(3)の化合物が1以上のフェノール性水酸基を備えること、すなわち上記一般式(1)〜(3)の化合物において少なくとも一以上のRが水素原子であることが必要である。架橋工程としては、縮合工程の後、フェノール性水酸基と反応して結合を生じさせる置換基を二以上備えた化合物を加えて架橋を行うこと、又は、縮合工程の後、フェノール性水酸基の少なくとも一部を反応性置換基に変換し、当該反応性置換基と反応して結合を生じさせる置換基を備えた化合物を加えて架橋を行うことを挙げることができる。
前者の場合、環状オリゴマー体に含まれるフェノール性水酸基と反応して結合を生じさせる置換基を二以上備えた化合物を、上記一般式(1)〜(3)の化合物を含む溶液に加えて反応させることにより、ポリマー体が得られる。この場合、二以上のRが水素原子であること、すなわち環状オリゴマー体に含まれるフェノール性水酸基の数が二以上であること好ましい。
水酸基と反応して結合を生じさせる置換基としては、エポキシ基、イソシアナート基、酸無水物基、酸クロライド基、カルボキシル基、チーラン環等が例示される。架橋工程において、これらの置換基を二以上備えた化合物と反応させることにより、上記一般式(1)〜(3)のいずれかの構造を繰り返し単位として含む重合体が合成される。
後者の場合、環状オリゴマー体に含まれるフェノール性水酸基の少なくとも一部を反応性置換基に変換し、次いでこの環状オリゴマー体を含む溶液に、上記反応性置換基と反応して結合を生じさせる置換基を備えた化合物を加えて反応させることにより、ポリマー体が得られる。つまり、環状オリゴマー体に反応性置換基を導入し、この反応性置換基を足掛かりとして架橋を行う。この場合、2以上のRが水素原子であることにより、環状オリゴマー体に導入される反応性置換基が2以上となることが好ましい。
反応性置換基としては、−(C=O)Cl、イソシアナート基、ビニル基、グリシジル基、チーラン環等を挙げることができる。なお、これらの反応性置換基は、フェノール性水酸基と置き換わって存在していてもよいし、一又は複数の原子を介してフェノール性水酸基に含まれていた酸素原子に結合して存在していてもよい。後者の場合であっても、フェノール性水酸基が反応性置換基に変換されていることには変わりがない。
反応性置換基と反応して結合を生じさせる置換基としては、反応性置換基が−(C=O)Clやイソシアナート基であれば水酸基やカルボキシル基等が例示され、反応性置換基がビニル基であればビニル基や(メタ)アクリル基のように不飽和結合を備えたものが例示され、反応性置換基がグリシジル基やチーラン環であれば水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が例示される。なお、反応性置換基がビニル基である場合を除いて、架橋工程において、これらの置換基を二以上備えた化合物を用いる必要がある。また、反応性置換基がビニル基である場合には、ラジカル重合により架橋が行われるので、反応に際してラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。さらに、反応性置換基がビニル基である場合には、ビニル基を備えた環状オリゴマー体自体を「反応性置換基と反応して結合を生じさせる置換基を備えた化合物」としてもよい。こうした架橋工程を経て、上記一般式(1)〜(3)のいずれかの構造を繰り返し単位として含む重合体が合成される。
以上のようにして得られた重合体がセシウムイオン除去材料として好ましく用いられることについては、既に述べた通りである。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[一般式(1)の化合物の合成]
50mLの反応容器内で、3−ブトキシフェノール20mL(120mmol、4eq.)をクロロホルム30mLに溶解させた後、トリフルオロ酢酸5mLを添加して撹拌した。氷浴で十分に冷却した後、1,5−ペンタンジアール(化学式:OHC(CHCHO)の50%水溶液6.0g(30mmol、1eq.)をゆっくり滴下した。滴下終了後、十分に撹拌し、次いで、油浴で48時間加熱還流した。得られた反応溶液を20倍量のメタノール中に投入して撹拌し、薄黄色の析出物を析出させた後、しばらく静置した。その後、上澄みを除去するとともに新たなメタノールを添加して再度撹拌した。上澄みの除去、メタノールの添加、及び撹拌のサイクルを3回繰り返した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで析出物を濾過し、得られた析出物をデシケーター内で乾燥させることにより、6gの生成物を得た(収率52%)。なお、得られた生成物は、上記一般式(1)において、それぞれのベンゼン環における2個のRの一方が水素原子、他方がブチル基となり、全てのRが水素原子となる化合物である。したがって、得られた化合物は、1分子中に、12個のフェノール性水酸基と、12個のブトキシ基とを有する化合物となる。この化合物の構造は、H−NMR、FT−IR及びMALDI−TOF massスペクトルにより確認された。この化合物を実施例1の化合物とした。
[セシウムイオン抽出能の測定]
上記の手順で得られた実施例1の化合物のセシウムイオン抽出能を測定した。まず、実施例1の化合物のジクロロメタン溶液(2.5×10−4mol/L)と、ピクリン酸セシウムの水溶液(2.5×10−4mol/L)とを調製し、両者を撹拌装置付きの容器に入れて25℃で撹拌することにより、水溶液中からジクロロメタン溶液に抽出されるセシウムイオンの量を測定した。その結果、4.7%のセシウムイオンが水溶液からジクロロメタン溶液に抽出された。このことから、本発明のセシウムイオン除去材料を用いることにより、セシウムイオンを含む対象物からセシウムイオンを除去できることが理解される。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)〜(3)のいずれかの化合物よりなる、又は下記一般式(1)〜(3)のいずれかの構造を繰り返し単位として含む重合体よりなるセシウムイオン除去材料。
    Figure 2014188421
    (上記一般式(1)中、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、一価の有機基、置換基を有してもよいシリル基、又は他の繰り返し単位への結合手となる二価以上の有機基であり、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、又はOR(Rは上記Rと同様である。)であり、各Xは、それぞれ独立に、置換又は非置換のプロピレン基である。上記一般式(2)中、各R及びRは、上記一般式(1)と同様であり、各Xは、それぞれ独立に、置換又は非置換のアルキレン基であり、nは、2又は3である。上記一般式(3)中、各Rは、上記一般式(1)と同様であり、各Rは、それぞれ独立に、炭素数4〜8のアルキル基であり、mは4、6又は8である。)
  2. フェノール系化合物と、一個又は二個のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物と、を反応させる縮合工程を含むセシウムイオン除去材料の製造方法。
  3. 前記フェノール系化合物が下記一般式(4)又は(5)で表され、前記アルデヒド化合物がホルムアルデヒド又は下記一般式(6)で表される化合物である請求項2記載のセシウムイオン除去材料の製造方法。
    Figure 2014188421
    (上記一般式(4)中、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アセチル基であり、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はOR(Rは上記Rと同様である。)である。上記一般式(5)中、Rは、上記一般式(4)と同様であり、Rは、炭素数4〜8のアルキル基である。上記一般式(6)中、Xは、炭素数3〜11の置換若しくは非置換のアルキレン基である。)
  4. 前記Rの少なくとも1つが水素原子であり、
    前記縮合工程の後、フェノール性水酸基と反応して結合を生じさせる置換基を二以上備えた化合物を加えて架橋を行う架橋工程、又は、
    前記縮合工程の後、フェノール性水酸基の少なくとも一部を反応性置換基に変換し、当該反応性置換基と反応して結合を生じさせる置換基を備えた化合物を加えて架橋を行う架橋工程を含む請求項3記載のセシウムイオン除去材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016204576A (ja) * 2015-04-27 2016-12-08 学校法人 関西大学 空孔を備えたゲル構造体およびその製造方法、並びにその利用

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