JP2020019844A - セルロース誘導体、及びこれを含む重金属除去材、並びにこれを用いた重金属除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】効率よく、且つ安価に製造することができ、重金属を選択的に吸着し、回収することができるセルロース誘導体を提供。【解決手段】下式で例示される繰り返し単位を有し、水酸基の平均置換度が0.10〜2.34であるセルロース誘導体。【選択図】なし
Description
本発明は、新規のセルロース誘導体、その製造方法、前記セルロース誘導体を含む重金属除去材、並びに前記セルロース誘導体を用いた重金属除去方法に関する。
ヒ素、カドミウム、鉛等の重金属は、種々の分野において用いられており、例えば、ヒ素は、医薬品、殺虫剤、殺鼠剤、防腐剤、ハイテク産業材料等として用いられている。そのため、前記重金属は地層中や、海洋、河川、井戸水等へ溶け出す可能性があるが、微量でも人体に対して有害である。そこで、重金属で汚染された土壌や海水、工業廃液、鉱山排水等から重金属を効率的に回収し、除去する方法が望まれている。
特許文献1には、セルロース系基材表面にグラフト鎖を導入し、導入されたグラフト鎖に、更に金属の吸着力を発揮するキレート形成基を結合させてなるセルロース系吸着材は、水になじみ易く、ホウ素、ゲルマニウム、ヒ素等の半金属又は金属の吸着力に優れること、前記キレート形成基の結合量が不十分であると、半金属又は金属の吸着性能が不十分となることが記載されている。
しかし、本発明者等は、前記キレート形成基のなかでも特にジチオカルバメート基を多く結合するセルロース系基材は、水に溶解した状態で存在する重金属の吸着量がかえって低下することを見いだした。
従って、本発明の目的は、安価に製造することができ、重金属を選択的に吸着し、回収することができる新規のセルロース誘導体、及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、安価に製造することができ、重金属を選択的に吸着し、回収することができる重金属除去材を提供することにある。
本発明の他の目的は、安価に、且つ重金属を選択的に吸着し、回収する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、安価に製造することができ、重金属を選択的に吸着し、回収することができる重金属除去材を提供することにある。
本発明の他の目的は、安価に、且つ重金属を選択的に吸着し、回収する方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、セルロース誘導体におけるジチオカルバメート基の導入量が増えると疎水性が上昇し、水に溶解した状態で存在する重金属との親和性が低下するため、重金属を吸着する能力が低下すること、ジチオカルバメート基の導入量を特定の範囲に調整すれば、重金属の吸着性能を飛躍的に向上することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、下記式(I)
で表される繰り返し単位を有するセルロースの、前記繰り返し単位中の水酸基の水素原子が下記式(a)
(式中、R1は単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基を示し、R2は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。R3は、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキル基を示す)
で表される基で置換され、前記水酸基の水素原子の前記式(a)で表される基による平均置換度が0.10〜2.34であるセルロース誘導体を提供する。
で表される基で置換され、前記水酸基の水素原子の前記式(a)で表される基による平均置換度が0.10〜2.34であるセルロース誘導体を提供する。
本発明は、また、式(a)で表される基が、下記式(a-1)で表される基である前記セルロース誘導体を提供する。
(式中、R3は、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキル基を示し、R5は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。nは1〜3の整数を示す)
本発明は、また、下記工程を経て、前記セルロース誘導体を得るセルロース誘導体の製造方法を提供する。
[1] セルロースの水酸基に、アミノ基が保護されたアミノ酸を反応させ、その後、アミノ基の保護基を外す
[2] 硫黄化合物の存在下、脱保護したアミノ基に第4級アンモニウム塩(N+(R3)4X-;R3は、同一又は異なって炭素数1〜10のアルキル基を示し、X-はカウンターアニオンを示す)を反応させる
[1] セルロースの水酸基に、アミノ基が保護されたアミノ酸を反応させ、その後、アミノ基の保護基を外す
[2] 硫黄化合物の存在下、脱保護したアミノ基に第4級アンモニウム塩(N+(R3)4X-;R3は、同一又は異なって炭素数1〜10のアルキル基を示し、X-はカウンターアニオンを示す)を反応させる
本発明は、また、前記セルロース誘導体を含む重金属吸着材を提供する。
本発明は、また、前記セルロース誘導体を用いた重金属除去方法を提供する。
本発明のセルロース誘導体は、安価に製造することができ、重金属(例えば、ヒ素、カドミウム、鉛等)を選択的に吸着し、回収することができる。また、本発明のセルロース誘導体は、耐薬品性、耐熱性、及び耐水性に優れる。そのため、本発明のセルロース誘導体は、重金属除去材として極めて有用であり、重金属で汚染された土壌や海水、その他、前記重金属を含む工業廃水、鉱山廃水、温泉水等を浄化する用途に好適に使用することができる。
[セルロース誘導体]
本発明のセルロース誘導体は、下記式(I)
で表される繰り返し単位を有するセルロースの、前記繰り返し単位中の水酸基の水素原子が下記式(a)
(式中、R1は単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基を示し、R2は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。R3は、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキル基を示す)
で表される基(=DTC基)で置換され、前記水酸基の水素原子の前記式(a)で表される基による平均置換度が0.10〜2.34であることを特徴とする。
本発明のセルロース誘導体は、下記式(I)
で表される基(=DTC基)で置換され、前記水酸基の水素原子の前記式(a)で表される基による平均置換度が0.10〜2.34であることを特徴とする。
R1における炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、2−メチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、2−メチル−トリメチレン基等の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基を挙げることができる。
R1としては、なかでも、セルロース主鎖骨格とジチオカルバメート基間の炭素鎖が長いほうが、水中の雑多なイオン種の中から、選択的に重金属を吸着する性能が向上する傾向がある。
R2、R3における炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を挙げることができる。
R2としては、なかでも水素原子が好ましい。また、R3としては、なかでも炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
式(a)で表される基としては、なかでも下記式(a-1)で表される基(式中、nは1〜3の整数を示し、R5は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R3は前記に同じ)が好ましく、とりわけ好ましくは下記式(a-1)で表される基のうち、式中のnが2の基である。
式(a)で表される基として、より好ましくは下記式(a-1')で表される基(式中、nは1〜3の整数を示し、R5は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す)であり、とりわけ好ましくは下記式(a-1')で表される基のうち、式中のnが2の基である。
前記水酸基(詳細には、セルロースを構成するグルコース単位の2,3および6位に存する水酸基)における水素原子の、前記式(a)で表される基(好ましくは式(a-1)で表される基、より好ましくは式(a-1')で表される基、更に好ましくは式(a-1-1)で表される基及び(a-1-2)で表される基、最も好ましくは式(a-1'-1)で表される基及び(a-1'-2)で表される基)による平均置換度は0.10〜2.34であり、好ましくは0.15〜2.30、特に好ましくは0.20〜2.10、最も好ましくは0.50〜1.80、とりわけ好ましくは0.80〜1.50である。本発明のセルロース誘導体は、式(a)で表される基が上記範囲で水酸基の水素原子に置換するため、優れた重金属吸着力を発揮することができる。
前記水酸基(詳細には、セルロースを構成するグルコース単位の2,3および6位に存する水酸基)における水素原子の、前記式(a)で表される基以外の基による平均置換度は、例えば0.50以下、好ましくは0.30以下、特に好ましくは0.20以下、最も好ましくは0.10以下である。
前記水酸基(詳細には、セルロースを構成するグルコース単位の2,3および6位に存する水酸基)における水素原子の平均未置換度は、例えば0.45〜2.90、好ましくは0.50〜2.85、特に好ましくは0.60〜2.80である。
本発明のセルロース誘導体は、優れた重金属吸着力(特に、As(III)、Cd(II)、Pb(II)等に対して優れた吸着力)を有する。重金属の吸着量は、例えば0.1μmol/g以上、好ましくは0.3μmol/g以上、特に好ましくは0.5μmol/g以上である。また、As(III)の吸着量は、例えば0.1μmol/g以上、好ましくは0.3μmol/g以上、特に好ましくは0.5μmol/g以上、最も好ましくは1.0μmol/g以上である。尚、As(III)の吸着量の上限は、例えば1.0mmоl/g程度である。
本発明のセルロース誘導体の形状としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されるものではなく、例えば、シート状、球状(真球状、略真球状、楕円球状など)、多面体状、棒状(円柱状、角柱状など)、りん片状、不定形状等が挙げられる。
本発明のセルロース誘導体は、上記の通り優れた重金属吸着力を有する為、例えば、重金属吸着材として好適に使用することができる。
本発明のセルロース誘導体を含む重金属吸着材(若しくは、本発明のセルロース誘導体からなる重金属吸着材)は、例えば、重金属(特に、As(III)、Cd(II)、Pb(II)等)で汚染された土壌や海水、その他、前記重金属を含む工業廃水、鉱山廃水、温泉水等を浄化する用途に好適に使用することができる。
本発明の重金属除去方法、すなわち本発明のセルロース誘導体を重金属吸着材として用いて、重金属(特に、As(III)、Cd(II)、Pb(II)等)で汚染された土壌や海水、その他、前記重金属を含む工業廃水、鉱山廃水、温泉水等から重金属を吸着し、除去する方法としては特に制限されることがなく、例えば、本発明のセルロース誘導体をカラム等に充填し、そこに工業廃水等を流す方法や、工業廃水等の中に本発明のセルロース誘導体を加え、撹拌する方法等が挙げられる。特に本発明のセルロース誘導体が有機溶媒溶解性を示す場合は、均一系の重金属吸着材(すなわち、工業廃水等に溶解した状態で重金属を吸着し、除去する作用を発現するもの)として用いることもできる。
本発明の重金属除去方法においては、セルロース誘導体のpHを例えば1〜9(なかでも1〜7)に調整することが、重金属の吸着力をより一層向上することができ、効率よく重金属を除去することができる点で好ましい。尚、セルロース誘導体のpH調整は、周知慣用のpH調整剤(硝酸等の酸や、水酸化ナトリウム等のアルカリ)を用いて行うことができる。
また、重金属を吸着したセルロース誘導体を焼成することにより容易に重金属を回収することができ、回収された重金属は再び有益資源として利用することができる。
[セルロース誘導体の製造方法]
本発明のセルロース誘導体は、例えば、下記工程を経て製造することができる。
[1] セルロースの水酸基に、アミノ基が保護されたアミノ酸を反応させ、その後、アミノ基の保護基を外す
[2] 硫黄化合物の存在下、脱保護したアミノ基に第4級アンモニウム塩(N+(R3)4X-;R3は、同一又は異なって炭素数1〜10のアルキル基を示し、X-はカウンターアニオンを示す)を反応させる
本発明のセルロース誘導体は、例えば、下記工程を経て製造することができる。
[1] セルロースの水酸基に、アミノ基が保護されたアミノ酸を反応させ、その後、アミノ基の保護基を外す
[2] 硫黄化合物の存在下、脱保護したアミノ基に第4級アンモニウム塩(N+(R3)4X-;R3は、同一又は異なって炭素数1〜10のアルキル基を示し、X-はカウンターアニオンを示す)を反応させる
工程[1]で使用されるセルロースとしては、例えば、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)やコットンリンターパルプ由来のセルロース等を好適に用いることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。尚、前記パルプには、ヘミセルロースなどの異成分が含まれていてもよい。セルロースは、例えば解砕処理を施す等により、細かく粉砕した状態のものを使用することが好ましい。
前記アミノ基が保護されたアミノ酸は、例えば、下記式(3)で表される。
HOOC−R1−NHY (3)
上記式(3)中のR1は、上記式(a)中のR1に対応する。Yはアミノ基を保護する保護基であり、例えば、t−ブトキシカルボニル基(Boc)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)等を挙げることができる。
HOOC−R1−NHY (3)
上記式(3)中のR1は、上記式(a)中のR1に対応する。Yはアミノ基を保護する保護基であり、例えば、t−ブトキシカルボニル基(Boc)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)等を挙げることができる。
アミノ基が保護される前のアミノ酸は、下記式(3’)で表される。
HOOC−R1−NH2 (3’)
上記式(3’)中のR1は、上記式(a)中のR1に対応する。アミノ基が保護される前のアミノ酸(=式(3’)で表される化合物)としては、例えば、L−アラニン、β−アラニン、4−アミノ酪酸、5−アミノペンタン酸、7−アミノヘプタン酸等を挙げることができる。
HOOC−R1−NH2 (3’)
上記式(3’)中のR1は、上記式(a)中のR1に対応する。アミノ基が保護される前のアミノ酸(=式(3’)で表される化合物)としては、例えば、L−アラニン、β−アラニン、4−アミノ酪酸、5−アミノペンタン酸、7−アミノヘプタン酸等を挙げることができる。
前記セルロースとアミノ基が保護されたアミノ酸との反応は、触媒の存在下で行うことが好ましい。前記触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記触媒の使用量としては、アミノ基が保護されたアミノ酸1モルに対して、例えば0.01〜1.0モル程度である。
また、前記反応は、縮合剤の存在下で行うことが好ましい。前記縮合剤としては、例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC−HCl)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記縮合剤の使用量としては、アミノ基が保護されたアミノ酸1モルに対して、例えば0.01〜1.0モル程度である。
前記反応は溶媒の存在下で行うことが好ましい。前記溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記溶媒としては、なかでも、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミドが好ましく、前記溶媒に塩化リチウムを混合したものを使用するのが、セルロースの溶解性に優れる点で特に好ましい。溶媒中のリチウム塩濃度は、セルロースを溶解させる効果を損なわない範囲において適宜調整することができ、例えば1〜30重量%程度である。尚、工程[1]の反応においては、セルロースを溶媒に完全に溶解させることは必須ではない。セルロースが溶媒に縣濁したスラリーの状態で反応を進行させることができる。従って、セルロースを完全に溶解させる場合に比べて、リチウム塩の使用量を抑制することができる。
前記溶媒の使用量としては、反応基質の総量の、例えば0.5〜30重量倍程度である。溶媒の使用量が上記範囲を上回ると反応成分の濃度が低くなり、反応速度が低下する傾向がある。
前記反応を経て、セルロース(1-1)から、セルロース(1-1)における水酸基(OH基)の少なくとも1部において、水酸基の水素原子が−OC−R1−NHY基(Yはアミノ基の保護基であり、式(3)中のYに同じ)で置換された化合物(1-2)が得られる。
アミノ基の保護基を外す反応は、前記反応を経て得られた化合物(1-2)におけるアミノ基の保護基(Y)を外し、セルロースにおける水酸基(OH基)の少なくとも1部において、水酸基の水素原子が−OC−R1−NH2基で置換された化合物(1-3)を得る反応である。保護基を外す反応は、保護基の種類に応じて適宜選択することが好ましい。例えばYがFmocである場合は、ピリジン等の第2級アミンを反応させることにより保護基を速やかに外すことができる。また、YがBocである場合は、トリフルオロ酢酸等の強酸を反応させることにより保護基を速やかに外すことができる。
工程[2]は、脱保護したアミノ基、すなわち、工程[1]を経て得られた、化合物(1-3)における−OOC−R1−NH2基に、硫黄化合物の存在下、第4級アンモニウム塩(N+(R3)4X-;R3は、同一又は異なって炭素数1〜10のアルキル基を示し、X-はカウンターアニオンを示す)を反応させて、本発明のセルロース誘導体を得る工程である。
前記第4級アンモニウム塩におけるカウンターアニオン(X-)としては、例えば、OH-、Cl-、Br-、I-、F-、SO4 2-、BH4 -、BF4 -、PF6 -等が挙げられる。
前記第4級アンモニウム塩としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。
前記第4級アンモニウム塩の使用量は、前記化合物(1-3)100重量部に対して、例えば20〜500重量部程度である。
前記硫黄化合物としては、例えば、二硫化炭素を挙げることができる。硫黄化合物の使用量は、前記化合物(1-3)100重量部に対して、例えば100重量部以上である。
工程[2]の反応は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。前記溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール;N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。溶媒の使用量は、反応基質の総量の、例えば0.5〜30重量倍程度である。
工程[2]の反応温度は、例えば10〜100℃程度である。反応時間は、例えば1〜24時間程度である。反応終了後、得られた反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、吸着、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1(セルロース誘導体(1)の調製)
窒素雰囲気下、二口ナスフラスコにセルロース(I)(13.0mmol)を入れ、80℃で2時間真空乾燥した。この反応容器に、Boc−β−alanine(12.5mmol)、DMA/LiCl(65mL)、DMAP(12.5mmol)を加えて懸濁させた後、反応系を0℃に冷却した。さらにEDC−HCl(12.5mmol)を添加した後、反応系を室温に戻し、一晩撹拌した。MeOH/H2O(80/20,v/v)混合溶媒中に再沈殿することにより析出した固体を遠心分離により回収した。60℃で真空乾燥し、下記式(II)で表される化合物を白色固体として得た。1H−NMR測定の結果から、Boc−β−alanineの総平均置換度は、0.19と算出された。
窒素雰囲気下、二口ナスフラスコにセルロース(I)(13.0mmol)を入れ、80℃で2時間真空乾燥した。この反応容器に、Boc−β−alanine(12.5mmol)、DMA/LiCl(65mL)、DMAP(12.5mmol)を加えて懸濁させた後、反応系を0℃に冷却した。さらにEDC−HCl(12.5mmol)を添加した後、反応系を室温に戻し、一晩撹拌した。MeOH/H2O(80/20,v/v)混合溶媒中に再沈殿することにより析出した固体を遠心分離により回収した。60℃で真空乾燥し、下記式(II)で表される化合物を白色固体として得た。1H−NMR測定の結果から、Boc−β−alanineの総平均置換度は、0.19と算出された。
窒素雰囲気下、二口ナスフラスコに上記式(II)で表される化合物(4.0mmol)、ジクロロメタン(50ml)、トリフルオロ酢酸(30.0mmol)を入れ、室温で一晩撹拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に再沈殿した。析出した固体を遠心分離により回収し、真空乾燥することにより、下記式(III)で表される化合物を白色固体として得た。
DMSO(70.0mL)、CS2(7.0mL)、10%水酸化テトラメチルアンモニウム(0.80mL)の混合溶液に、乳鉢で細かく砕いた上記式(III)で表される化合物(1.0mmol)を入れ、遮光下、室温で2時間撹拌した。反応系中の固体をメタノールを加えて洗浄し、遠心分離により回収した。真空乾燥し、下記式(Cel-1)で表されるセルロース誘導体(1)(DTC基平均置換度:1.35)を白色固体として得た。
実施例2
Boc−β−alanineの使用量を変更した以外は実施例1と同様にして、セルロース誘導体(2)(DTC基平均置換度:2.00)を得た。
Boc−β−alanineの使用量を変更した以外は実施例1と同様にして、セルロース誘導体(2)(DTC基平均置換度:2.00)を得た。
比較例1
Boc−β−alanineの使用量を変更した以外は実施例1と同様にして、セルロース誘導体(3)(DTC基平均置換度:2.40)を得た。
Boc−β−alanineの使用量を変更した以外は実施例1と同様にして、セルロース誘導体(3)(DTC基平均置換度:2.40)を得た。
評価
実施例及び比較例で得られたセルロース誘導体について、ヒ素吸着力を下記方法で評価した。
三酸化二ヒ素(As(III))(特級、和光純薬工業(株)製)を0.01MのNaOH溶液に溶解して試料溶液を調製した。
実施例及び比較例で得られた各セルロース誘導体約1gを乳鉢に移し、粒径が約2mm以下となるまで乳棒ですりつぶした。硬く、乳棒ですりつぶせないところはハサミで切断した。
粉砕されたセルロース誘導体を0.050gはかり取り、テフロン(登録商標)チューブ(内径2mm、長さ3cm)に充填し、両端にテフロン(登録商標)ウールを詰めて、固相カラムを作製した。
得られた固相カラムに、前記試料溶液5mLを通液して(通液速度:5mL/分)、固相によるヒ素吸着量を求めた。
実施例及び比較例で得られたセルロース誘導体について、ヒ素吸着力を下記方法で評価した。
三酸化二ヒ素(As(III))(特級、和光純薬工業(株)製)を0.01MのNaOH溶液に溶解して試料溶液を調製した。
実施例及び比較例で得られた各セルロース誘導体約1gを乳鉢に移し、粒径が約2mm以下となるまで乳棒ですりつぶした。硬く、乳棒ですりつぶせないところはハサミで切断した。
粉砕されたセルロース誘導体を0.050gはかり取り、テフロン(登録商標)チューブ(内径2mm、長さ3cm)に充填し、両端にテフロン(登録商標)ウールを詰めて、固相カラムを作製した。
得られた固相カラムに、前記試料溶液5mLを通液して(通液速度:5mL/分)、固相によるヒ素吸着量を求めた。
Claims (5)
- 下記工程を経て、請求項1又は2に記載のセルロース誘導体を得るセルロース誘導体の製造方法。
[1] セルロースの水酸基に、アミノ基が保護されたアミノ酸を反応させ、その後、アミノ基の保護基を外す
[2] 硫黄化合物の存在下、脱保護したアミノ基に第4級アンモニウム塩(N+(R3)4X-;R3は、同一又は異なって炭素数1〜10のアルキル基を示し、X-はカウンターアニオンを示す)を反応させる - 請求項1又は2に記載のセルロース誘導体を含む重金属吸着材。
- 請求項1又は2に記載のセルロース誘導体を用いた重金属除去方法。
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