本発明は、無線通信装置への接続の手間を軽減することが可能な情報処理システム、情報処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、移動通信端末からデータを受信する、活動状態と非活動状態とを切り替え可能な第1の無線通信装置と、前記移動通信端末から識別情報を受信する第2の無線通信装置であって、前記第1の無線通信装置の前記活動状態のときの通信可能範囲と、前記第2の無線通信装置の通信可能範囲とが重複する、第2の無線通信装置と、前記第2の無線通信装置が前記識別情報を受信した場合に、前記第1の無線通信装置を前記非活動状態から前記活動状態に切り替えるための切り替え指令を生成する情報処理装置と、を備えることを特徴とする情報処理システムである。
請求項2に記載の発明は、前記情報処理装置は、前記第2の無線通信装置から前記識別情報を取得する取得手段と、前記識別情報が予め登録されている識別情報ではない場合に、前記切り替え指令を生成する生成手段と、を備える、請求項1に記載の情報処理システムである。
請求項3に記載の発明は、前記情報処理装置は、前記第2の無線通信装置から取得した前記識別情報と、前記非活動状態から前記活動状態に切り替わった後に前記第1の無線通信装置が前記移動通信端末から受信した識別情報と、を比較する比較手段、をさらに備える、請求項2に記載の情報処理システムである。
請求項4に記載の発明は、前記第2の無線通信装置は、前記識別情報が予め登録されている識別情報ではない場合に、前記識別情報以外のデータの転送を制限する、請求項1に記載の情報処理システムである。
請求項5に記載の発明は、前記第2の無線通信装置は、前記識別情報が予め登録されている識別情報ではない場合に、前記情報処理装置に前記切り替え指令の生成を指示する、請求項1に記載の情報処理システムである。
請求項6に記載の発明は、前記移動通信端末は、前記識別情報と共に、前記第1の無線通信装置の使用意図を表す意図情報を前記第2の無線通信装置に送信し、前記情報処理装置は、前記第2の無線通信装置が前記識別情報及び前記意図情報を受信した場合に、前記切り替え指令を生成する、請求項1に記載の情報処理システムである。
請求項7に記載の発明は、移動通信端末からデータを受信する、活動状態と非活動状態とを切り替え可能な第1の無線通信装置の前記活動状態のときの通信可能範囲と、前記移動通信端末から識別情報を受信する第2の無線通信装置の通信可能範囲と、が重複するシステムにおける前記第2の無線通信装置が前記識別情報を受信した場合に、前記第1の無線通信装置を前記非活動状態から前記活動状態に切り替えるための切り替え指令を生成する生成手段、を備えることを特徴とする情報処理装置である。
請求項8に記載の発明は、移動通信端末からデータを受信する、活動状態と非活動状態とを切り替え可能な第1の無線通信装置の前記活動状態のときの通信可能範囲と、前記移動通信端末から識別情報を受信する第2の無線通信装置の通信可能範囲と、が重複するシステムにおける前記第2の無線通信装置が前記識別情報を受信した場合に、前記第1の無線通信装置を前記非活動状態から前記活動状態に切り替えるための切り替え指令を生成する生成手段、としてコンピュータを機能させるプログラムである。
請求項1,7及び8によると、第1の無線通信装置への接続の手間を軽減することが可能である。
請求項2によると、識別情報が予め登録されている識別情報ではない場合に、第1の無線通信装置が活動状態となって移動通信端末からデータを受信することが可能である。
請求項3によると、第1の無線通信装置にデータを送信する移動通信端末が、第2の無線通信装置に識別情報を送信した移動通信端末と同一であるか否かを判断することが可能である。
請求項4によると、識別情報が予め登録されている識別情報ではない場合に、第2の無線通信装置と移動通信端末の間のデータ転送を制限しつつ、第1の無線通信装置が活動状態となって移動通信端末からデータを受信することが可能である。
請求項5によると、識別情報が予め登録されている識別情報ではない場合に、第1の無線通信装置が活動状態となって移動通信端末からデータを受信することが可能である。
請求項6によると、移動通信端末が意図情報を第2の無線通信装置に送信した場合に、第1の無線通信装置が活動状態となって移動通信端末からデータを受信することが可能である。
本発明の情報処理システム、情報処理装置及びプログラムの実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、情報処理システム1の構成例を表す図である。情報処理システム1は、情報処理装置2と、少なくとも1つのアクセスポイント3と、を備えている。情報処理装置2及びアクセスポイント3は、有線通信網に接続されており、相互に有線通信可能である。
情報処理装置2は、例えば、プリンタとしての機能とスキャナとしての機能とを備える機器である。情報処理装置2は、第1の無線通信装置の一例としての無線通信I/F29を備えており、移動通信端末4と直接的に無線通信可能である。すなわち、情報処理装置2と移動通信端末4とは、アクセスポイント3を介さずに一対一で直接的に無線通信可能である。この直接的な無線通信は、例えば、Wi−fiダイレクト機能によって実現される。情報処理装置2は、例えば、移動通信端末4から受信した画像データをプリントしたり、スキャンした画像データを移動通信端末4に送信する。
また、情報処理装置2の無線通信I/F29は、活動状態と非活動状態とを切り替え可能である。活動状態とは、例えば、無線通信I/F29に供給される電力量が無線通信を実現するのに十分な程度である状態を指す。図1中に、無線通信I/F29の活動状態のときの通信可能範囲CAを破線で示す。非活動状態とは、例えば、無線通信I/F29に供給される電力量が0又はその近傍である状態を指す。このため、無線通信I/F29が非活動状態のときの通信可能範囲は、例えば0となる。
アクセスポイント3は、第2の無線通信装置の一例であり、移動通信端末4と無線通信可能である。具体的には、アクセスポイント3を介した有線通信網への接続(いわゆるインフラストラクチャ接続)が、移動通信端末4に提供される。アクセスポイント3は、インフラストラクチャ接続を提供する移動通信端末4のMACアドレス等の識別情報を予め記憶している。アクセスポイント3は、移動通信端末4から識別情報を受信し、受信した識別情報が予め登録されているものである場合に、移動通信端末4にインフラストラクチャ接続を提供する。他方、受信した識別情報が予め登録されているものでない場合には、移動通信端末4にインフラストラクチャ接続を提供しない。すなわち、識別情報以外のデータの転送が制限される。
なお、本実施形態において、アクセスポイント3は、移動通信端末4の識別情報などを情報処理装置2に送信する。この動作については、後に詳しく述べる。
アクセスポイント3の通信可能範囲は、無線通信I/F29の活動状態のときの通信可能範囲CAの一部又は全部と重複している。図1では、アクセスポイント3の通信可能範囲が、無線通信I/F29の活動状態のときの通信可能範囲CAと一致している例を図示しているが、この態様に限られない。例えば、複数のアクセスポイント3の全体の通信可能範囲が、無線通信I/F29の活動状態のときの通信可能範囲CAと重複してもよい。
移動通信端末4は、無線通信機能を備える可搬型の端末であり、例えば、携帯電話(スマートフォンを含む)、タブレット型コンピュータ、又はラップトップ型コンピュータである。
図2は、情報処理装置2の構成例を表す図である。情報処理装置2は、制御部21と、プリンタ部25と、スキャナ部26と、有線通信I/F28と、無線通信I/F29と、を備えている。
制御部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算部とRAM(Random Access Memory)等の記憶部とを含んでおり、プログラムに従って情報処理を実行する。プログラムは、CD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体から提供されてもよいし、インターネット等の通信線を介して提供されてもよい。
プリンタ部25は、プリンタとしての機能を実現するユニットであり、制御部21からの指令に応じて媒体の表面に画像を形成する。スキャナ部26は、スキャナとしての機能を実現するユニットであり、媒体の表面から読み取った画像データを制御部21に出力する。
有線通信I/F28は、有線通信網を介して他の装置(例えばアクセスポイント3)と有線通信するための機器である。無線通信I/F29は、上述したように移動通信端末4と直接的に無線通信するための機器であり、例えばWi−fiダイレクト機能を実現する機器である。
ところで、移動通信端末4の識別情報がアクセスポイント3に予め登録されている移動通信端末4の利用者(以下、通常利用者という)は、アクセスポイント3を経由して情報処理装置2を利用することが可能である。他方、移動通信端末4の識別情報がアクセスポイント3に予め登録されていない移動通信端末4の利用者(以下、一時利用者という)は、アクセスポイント3を経由して情報処理装置2を利用することができない。このため、一時利用者が情報処理装置2を利用するには、情報処理装置2と移動通信端末4とが直接的に無線通信するWi−fiダイレクト機能が利用される。
従来の情報処理装置には、Wi−fiダイレクト機能を起動するための機械式のボタンが設けられており、一時利用者が情報処理装置を利用するには、情報処理装置が設置された場所まで移動してボタンを押下する必要があり、起動のための作業が煩雑であった。また、Wi−fiダイレクト機能を常に起動させておくと、電力消費が過大となるおそれがある。
そこで、本実施形態の情報処理装置2は、一時利用者の移動通信端末4が通信可能範囲CAにあることを、アクセスポイント3を経由して検知した場合に、無線通信I/F29を非活動状態から活動状態に切り替えることで、Wi−fiダイレクト機能の起動の手間を軽減すると共に、電力消費を軽減している。以下、情報処理装置2、アクセスポイント3及び移動通信端末4の動作について具体的に説明する。
図3は、アクセスポイント3が保持するフィルタの内容例を示す図である。図4は、移動通信端末4の動作例を表す図である。図5は、情報処理装置2の第1の動作例を表す図である。
まず、一時利用者の移動通信端末4において検索ツールが起動される(図4のS11)。検索ツールは、例えば、一時利用者が情報処理装置2の利用を意図するときに起動される。検索ツールは、移動通信端末4の周囲に存在するアクセスポイント3を検索する(S12及びS13)。アクセスポイント3の検索は、例えば、移動通信端末4が受信するアクセスポイント3からの電波の強度に基づいて行われる。検索ツールにより抽出されたアクセスポイント3のSSID(Service Set Identifier)等の識別情報は、移動通信端末4の画面に一覧表示される。
次に、一時利用者によりアクセスポイント3の選択操作が行われると(S14)。移動通信端末4は、選択されたアクセスポイント3に自身のMACアドレスを送信する。アクセスポイント3は、一時利用者の移動通信端末4のMACアドレスを受信すると、予め登録されたものではないと判断し、フィルタ未登録のMACアドレスとしてMACアドレスフィルタに格納する(図3を参照)。このため、一時利用者の移動通信端末4には、インフラストラクチャ接続が提供されず、MACアドレスを登録する処理以外のデータの転送が制限される。
情報処理装置2は、アクセスポイント3からMACアドレスフィルタを取得する(図5のS21:取得手段の一例としての機能)。MACアドレスフィルタの取得は、例えば、SNMP(Simple Network Management Protocol)の802.11のMIBにより実現することが可能である。そして、情報処理装置2は、取得したMACアドレスフィルタにフィルタ未登録端末が存在するか否かを判定する(S23)。これにより、情報処理装置2は、通信可能範囲CAに一時利用者の移動通信端末4が存在することを知覚する。そして、情報処理装置2は、Wi−Fiダイレクト機能を起動する(S24)。すなわち、情報処理装置2の制御部21は、無線通信I/F29を非活動状態から活動状態に切り替えるための切り替え指令を生成し、無線通信I/F29に出力する(生成手段の一例としての機能)。Wi−Fiダイレクト機能が起動されると、無線通信I/F29はWPS(Wi-Fi Protected Setup)パケットを送信する。
一方、一時利用者の移動通信端末4は、WPSパケットを受信すると、利用可能な情報処理装置2が近傍に存在すると判断し(図4のS15:YES)、その旨を画面に表示する。これにより、一時利用者は、自身の近傍に利用可能な情報処理装置2が存在することを知覚する。そして、一時利用者が移動通信端末4の画面上で情報処理装置2の利用を選択すると、Wi−Fiダイレクト機能のWPSが実行され(S16)、その結果、無線接続が完了し、IP通信が可能な状態となる(図4のS17及び図5のS27)。これにより、一時利用者の移動通信端末4は、移動通信端末4上の操作によって情報処理装置2が提供するプリントやスキャン等のサービスを利用することができる(S18及びS29)。
なお、以上に説明した実施形態では、情報処理装置2がアクセスポイント3から定期的にMACアドレスフィルタを取得することで、一時利用者の移動通信端末4を検出したが、この態様に限られない。例えば、アクセスポイント3が、一時利用者の移動通信端末4を検出したときに、情報処理装置2にWi−Fiダイレクト機能の起動を指示してもよい。
また、情報処理装置2は、取得したMACアドレスを利用して、一時利用者の移動通信端末4の認証を行ってもよい。図6は、情報処理装置の第2の動作例を表す図である。上記第1の動作例と重複するステップについては、同じ番号を付すことで詳細な説明を省略する。第2の動作例において、情報処理装置2は、Wi−Fiダイレクト機能を起動した後(S25)、一時利用者の移動通信端末4から直接的にMACアドレスを取得し、そのMACアドレスが、アクセスポイント3から取得した一時利用者の移動通信端末4のMACアドレスと一致するかを比較する(S26:比較手段の一例としての機能)。そして、MACアドレスが一致する場合に(S26:YES)、無線接続が完了し、IP通信が可能な状態となる(S27)。
また、情報処理装置2は、アクセスポイント3が移動通信端末4から識別情報と共に、情報処理装置2の使用意図を表す意図情報を受信した場合に、Wi−Fiダイレクト機能を起動させてもよい。例えば、移動通信端末4において検索ツールが起動されることは(図4のS11)は、一時利用者が情報処理装置2の利用を意図していることを表しているので、検索ツールが起動していることを表す情報を意図情報として、移動通信端末4からアクセスポイント3に送信させてもよい。
また、以上に説明した実施形態では、情報処理装置2は、一時利用者の通信移動端末4を検知した場合にWi−Fiダイレクト機能を起動したが、この態様に限られず、例えば、通常利用者の通信移動端末4を検知した場合にもWi−Fiダイレクト機能を起動してもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が当業者にとって可能であるのはもちろんである。