JP2014185729A - ころ軸受の保持器 - Google Patents

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Abstract

【課題】セグメントを円環状に連結する際に、セグメント同士が干渉せず、セグメントの連結部に無理な力が発生しない、大型のころ軸受、特に円すいころ軸受に使用される保持器を提供する。
【解決手段】円周方向に複数に分割されたリング部材22に、軸方向に突出する保持器柱部23を設けた櫛形セグメント21a、21bを、円周上に並ぶ円すいころ15の軸方向の左右両端に円周方向に位相をずらせて配置し、左右の櫛形セグメント21a、21bの保持器柱部23a、23bを、径方向に交互に重ね合わせて互いに連結することにより、保持器16を構成した
【選択図】図4

Description

この発明は、風力発電装置の主軸を支持する大型のころ軸受、特に円すいころ軸受や産業機械特に外径が1mを超えるような大型の円すいころ軸受に使用される保持器に関するものである。
円すいころ軸受の保持器は、通常、鋼板の保持器が使用され、内輪と転動体は保持器によって一体化されている。
そのため、円すいころ軸受は、内輪と転動体と保持器を組み立てた内輪構成体と外輪とを、それぞれ別々に装置の軸、ハウジングに組込んでいる。
昨今、風力発電装置は、大型化の一途を辿っており、使用される軸受のサイズも大きくなっており、それに伴い量産するための製造設備も大きく変わることから、コストと機能を両立した設計仕様が望まれている。
ところで、鋼板の保持器は、通常プレス加工により製作されるが、外径1mを超えるような大型のサイズになると、設備上の問題によりプレス加工が難しくなる。また、強度面を確保するために、板厚を大きくしたくても、板厚に対する加工上の制約もあり、プレス加工には限界がある。一方、削り出し保持器では、プレス品と比較し、大幅なコストアップとなり、マテリアルロスの観点からも無駄が多くなる。
このような鋼板の保持器の課題を克服するため、円すいころ軸受の保持器を、円周上に2個以上配置される樹脂製のセグメントによって構成する場合もある。
ところが、保持器をセグメントに分割した場合、転動体がセグメント単位で分離してしまうので、内輪組み立て構成体と外輪とを一体化した状態で組み込みができるような特定のアプリケーションにしか適用できない。
即ち、内輪組み立て構成体と外輪とを別々に、装置の軸やハウジングに組込むことができなくなるため、冶工具を用いて、軸受を組み立てた状態で装置に組込むなどの工夫が必要となる。その場合、冶工具は、軸やハウジングの組込み後に抜取るなどの作業ができない。
一方、樹脂成形で1mを超えるような大型の一体リングを成形することはできないので、特許文献1〜3にもセグメント同士を連結して円環状態した保持器が開示されている。
特開2011−149549号公報 特開2007−64437号公報 WO2007131478A2
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されたセグメントタイプの保持器は、周辺スペースに余裕がない場合に、転動体のサイズを小さくしなければならず、機能面で円すいころ軸受の定格荷重の制約が発生するという問題がある。
また、特許文献3の保持器は、各セグメントの両端に、隣接するセグメントを連結する連結部を設けてセグメントを円環状に連結している。
ところが、各セグメントの両端に、隣接するセグメントの連結部を順次連結し、最後の一個のセグメントを連結して円環状を完成させる場合に、最後の一個のセグメントを嵌め入れる隙間間隔が狭いと、セグメントが干渉して嵌らない可能性が生じる。逆に、最後の一個のセグメントを嵌め入れる隙間間隔が広すぎた場合に、隣り合うセグメントの連結部を無理やり連結すると、連結部に大きな力が発生し、連結部が破損したり、円環状に配置したセグメントに歪が生じる恐れがある。このため、各セグメントのポケットの寸法管理と共に、連結部の寸法管理もきっちりと行う必要があり、運用が困難である。
そこで、この発明は、セグメントを円環状に連結する際に、セグメント同士が干渉せず、セグメントの連結部に無理な力が発生しない、大型のころ軸受、特に円すいころ軸受に使用される保持器を提供することを課題とする。
前記の課題を解決するために、この発明は、円周方向に複数に分割されたリング部材に、軸方向に突出する保持器柱部を設けた櫛形セグメントを、円周上に並ぶころの軸方向の左右両端に円周方向に位相をずらせて配置し、左右の櫛形セグメントの保持器柱部を、径方向に交互に重ね合わせて互いに連結することにより、保持器を構成したのである。
この発明のころ軸受の保持器は、径方向に交互に重ね合わせた保持器柱部のうち、外径側に位置する外径側柱部によりころを案内し、前記径方向に交互に重ね合わせた保持器柱部のうち、内径側に位置する内径側柱部を、外径側柱部よりも軸方向長さを短くすることにより、柱部の曲げモーメントを減少し、柱部の強度を向上させることができる。但し、内径側に位置する内径側柱部の長さが短くなりすぎると、外径側柱部との間の嵌合力が低下するため、内径側柱部の長さは、外径側柱部の長さの1/2以上は必要である。
前記径方向に交互に重ね合わせた保持器柱部のうち、外径側柱部の先端に、他方のリング部材に引っ掛かる引っ掛かり部を設け、この引っ掛かりによって左右の櫛形セグメントの軸方向の分離を防止することができる。
前記径方向に交互に重ね合わせた保持器柱部のうち、外径側柱部を、リング部材の外径よりも外径側に突出させることにより、保持器柱部の強度を向上させることができる。
円周方向に配置した櫛形セグメントの隣り合うリング部材の隙間を、左右の櫛形セグメントの保持器柱部間に形成されるころ収容ポケットに収容する、ころとの間に設けられる隙間以上に設定することにより、組立時や運転中に、隣り合うリング部材22同士が接触せず、製造時の管理工数も減らすことができる。
櫛形セグメント同士の嵌合力(剛性)を高めるためには、少なくとも外径側柱部2本と内径側柱部2本が、隣接する櫛形セグメントと嵌合するするようにする。これにより、櫛形セグメント同士を引き離そうとする荷重を、両持ちで支持することができる。
櫛形セグメント同士の円周方向のガタ(すきま)を規制するためには、櫛形セグメントのリング部材の外径部に、外径側柱部が嵌合する溝を設けることが好ましい。
この発明によれば、櫛形セグメントの保持器柱部を利用して、櫛形セグメント同士を連結することができる。したがって、従来のセグメントタイプの保持器のように、セグメントの両端に連結部材を設ける必要がないので、軸受の定格荷重の低下を極力抑えることができると共に、厳密な寸法管理が不要になる。
この発明を円すいころ軸受に適用した断面図である。 図1の円すいころ軸受の保持器の部分斜視図である。 この発明の櫛形セグメントの分解斜視図である。 この発明の櫛形セグメントの取り外した状態を示す斜視図である。 この発明の櫛形セグメントを連結した保持器の斜視図である。 この発明の櫛形セグメントの他の実施形態を示す斜視図である。 (a)は櫛形セグメントの他の実施形態を示す分解斜視図、(b)同実施形態を連結する途中の状態を示す斜視図、(c)は同実施形態の連結後の状態を示す斜視図である。 櫛形セグメントの他の実施形態を示す分解斜視図である。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、風力発電の主軸支持等に用いられる大型円すいころ軸受の一部を示すものであり、この円すいころ軸受は、内輪11とその外周に同芯状に配置された外輪12、前記内輪11の内輪軌道13とこれに対向した外輪12の外輪軌道14との間に配置される円すいころ15、前記円すいころ15を一定間隔に保持する保持器16によって構成される。
風力発電の主軸支持等に用いられる大型円すいころ軸受の場合、円すいころ15の平均径は40mm以上、軸受外径は1m以上がほとんどである。
前記内輪11には、内輪軌道13の小径側に小つば部17、大径側に大つば部18が形成され、これらの両方のつば部17、18によって円すいころ15の転動を案内している。前記小つば部17及び大つば部18のそれぞれ軸方向外側には、小径部19と大径部20が形成されている。
保持器16は、図2〜図5に示すように、円周方向に複数に分割された櫛形セグメント21からなる。
櫛形セグメント21は、円すいころ15の小径側に配置される小径櫛形セグメント21aと、円すいころ15の大径側に配置される大径櫛形セグメント21bとからなる。
小径櫛形セグメント21aと大径櫛形セグメント21bは、円周方向に複数に分割されたリング部材22に、軸方向に保持器柱部23を突出したものである。
小径櫛形セグメント21aと大径櫛形セグメント21bは、円周上に並ぶ円すいころ15の軸方向の左右両端に円周方向に位相をずらせて配置し、左右の小径櫛形セグメント21aと大径櫛形セグメント21bの保持器柱部23を、径方向に交互に重ね合わせて互いに連結することにより、保持器16を形成することができる。
左右の小径櫛形セグメント21aと大径櫛形セグメント21bの保持器柱部23のうち、外径側に位置する外径側柱部23aは、円すいころ15を案内するようになっている。
また、左右の小径櫛形セグメント21aと大径櫛形セグメント21bの保持器柱部23のうち、内径側に位置する内径側柱部23bは、円すいころ15を保持案内せず、小径櫛形セグメント21aと大径櫛形セグメント21bの分離防止の役割を果たしている。
これにより、外径側柱部23aの強度を優先するような設計が可能となる。また、内径側柱部23bの柱長さを短くすることにより、曲げモーメントを減少させて強度を向上させることができる。但し、内径側に位置する内径側柱部23bの長さが短くなりすぎると、外径側柱部23aとの間の嵌合力が低下するため、内径側柱部23bの長さは、外径側柱部の長さの1/2以上に設定されている。
図2〜図5に示す実施形態の一つの小径櫛形セグメント21aと大径櫛形セグメント21bを組み合わせることにより、3個の円すいころ15を保持することができる。
また、図2〜図5に示す実施形態の小径櫛形セグメント21aと大径櫛形セグメント21bでは、外径側に位置する外径側柱部23aの根元部分に、リング部材22の外径よりも外径側に突出する突出部23cを設け、円すいころ15を保持案内する際に、外径側柱部23aの根元部分に加わる大きな応力にも耐え得るようにしている。
また、図6に示す実施形態では、外径側に位置する外径側柱部23aの根元部分の突出部23cを、リング部材22の外径面に延長することにより、外径側柱部23aのさらなる強度アップを図っている。
また、前記径方向に交互に重ね合わせた外径側柱部23a、内径側柱部23bのうち、外径側柱部23aの先端に、他方のリング部材22に引っ掛かる引っ掛かり部23dを設け、この引っ掛かり部23dによって左右の小径櫛形セグメント21aと大径櫛形セグメント21bの軸方向の分離を防止している。
前記櫛形セグメント21は、PEEK、PPS、PA(66や46)等の樹脂材料によって形成することができる。
以上の実施形態に示す櫛形セグメント21は、図4及び図5に示すように、小径櫛形セグメント21aと大径櫛形セグメント21bを位相をずらせながら組み合わせることにより、環状の保持器16を形成することができる。
そして、円周方向に配置した小径櫛形セグメント21aと大径櫛形セグメント21bの隣り合うリング部材22の隙間は、小径櫛形セグメント21aと大径櫛形セグメント21bの保持器柱部23a間に形成されるころ収容ポケットと、円すいころ15との間に形成される隙間よりも広く設定している。これにより、組立時や運転中に、隣り合うリング部材22同士が接触せず、製造時の管理工数も減らすことができる。
次に、小径櫛形セグメント21aと大径櫛形セグメント21bの嵌合力(剛性)を高めるためには、図7(a)〜(c)に示すように、少なくとも外径側柱部23a2本と内径側柱部23b2本が、隣接する小径櫛形セグメント21aと大径櫛形セグメント21bとで嵌合するようにして、小径櫛形セグメント21aと大径櫛形セグメント21bを引き離そうとする荷重を、両持ちで支持することが望ましい。
また、図8に示すように、小径櫛形セグメント21aと大径櫛形セグメント21bのセグメント同士の円周方向のガタ(すきま)を規制するために、小径櫛形セグメント21aと大径櫛形セグメント21bのリング部材22の外径部に、外径側柱部23aが嵌合する溝23eを設けることが好ましい。
なお、以上の実施形態は円すいころ軸受について述べたが、円筒ころ軸受の保持器にも適用できる。
11 内輪
12 外輪
13、14 軌道面
15 円すいころ
16 保持器
17 小つば部
18 大つば部
19 小径部
20 大径部
21 櫛形セグメント
21a 小径櫛形セグメント
21b 大径櫛形セグメント
22 リング部材
23 保持器柱部
23a 外径側柱部
23b 内径側柱部
23c 突出部
23d 引っ掛かり部
23e 溝

Claims (11)

  1. 円周方向に複数に分割されたリング部材に、軸方向に突出する保持器柱部を設けた櫛形セグメントを、円周上に並ぶころの軸方向の左右両端に円周方向に位相をずらせて配置し、左右の櫛形セグメントの保持器柱部を、径方向に交互に重ね合わせて互いに連結することを特徴とするころ軸受の保持器。
  2. 前記径方向に交互に重ね合わせた保持器柱部のうち、外径側に位置する外径側柱部によりころを案内することを特徴とする請求項1記載のころ軸受の保持器。
  3. 前記隣り合う櫛形セグメントを重ね合わる際に、少なくとも外径側柱部2本と内径側柱部2本が、隣接する櫛形セグメントと嵌合するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載のころ軸受の保持器。
  4. 前記径方向に交互に重ね合わせた保持器柱部のうち、内径側に位置する内径側柱部を、外径側柱部よりも軸方向長さを短くし、その短くした内径側柱部の長さが、少なくとも外径側柱部の1/2以上の長さを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載のころ軸受の保持器。
  5. 前記径方向に交互に重ね合わせた保持器柱部のうち、外径側柱部の先端に、他方のリング部材に引っ掛かる引っ掛かり部を設け、この引っ掛かりによって左右の櫛形セグメントの軸方向の分離を防止することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のころ軸受の保持器。
  6. 前記径方向に交互に重ね合わせた保持器柱部のうち、外径側柱部が、リング部材の外径よりも外径側に突出している請求項1〜5の何れかに記載のころ軸受の保持器。
  7. 前記櫛形セグメントのリング部材の外径部に、外径側柱部が嵌合する溝を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のころ軸受の保持器。
  8. 円周方向に配置した櫛形セグメントの隣り合うリング部材の隙間を、左右の櫛形セグメントの保持器柱部間に形成されるころ収容ポケットと、ころとの間のポケット隙間以上に設定した請求項1〜5の何れかに記載のころ軸受の保持器。
  9. 前記櫛形セグメントがPEEK材からなる請求項1〜6の何れかに記載のころ軸受の保持器。
  10. 請求項1〜9のいずれかの保持器を使用する軸受外径1m以上の円筒ころ軸受。
  11. 転動体の平均径が40mm以上で、軸受外径が1m以上の風車主軸受用として使用する請求項10に記載の円すいころ軸受
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