JP2014185361A - オーステナイト系耐熱鋳鋼 - Google Patents

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Abstract

【課題】オーステナイト系耐熱鋳鋼における高温強度および被削性の両方を向上させること。
【解決手段】重量%で、C:0.1〜0.6%、Si:2.5〜3.5%、Mn:1.0〜5.0%、P:0.05%以下、S:0.1〜0.3%、Ni:5.0〜20.0%、Cr:14.0〜20.0%、N:0.1〜0.3%およびCa:0.001〜0.005%を含有し、残部がFeおよび不可避な不純物であり、かつCa/Mn重量比が0.0002〜0.001である合金組成を有するオーステナイト系耐熱鋳鋼。
【選択図】図1

Description

本発明はオーステナイト系耐熱鋳鋼に関し、特に被削性および耐熱性に優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼に関する。
オーステナイト系耐熱鋳鋼は900℃以上の高温でも高い強度を有することが知られている。自動車用エンジンにおいて、燃費向上やエミッションの低減に伴う排気温度の上昇に対応するため、オーステナイト系耐熱鋳鋼が排気系部品に用いられるようになってきた。
オーステナイト系耐熱鋳鋼は、組織がフェライト化することにより高温強度が著しく低下してしまうため、組成によりオーステナイト組織を安定化させ、高温強度の向上を図る必要がある。
また、従来のオーステナイト系耐熱鋳鋼は、切削時に生じる加工誘起マルテンサイトおよび加工硬化等のため被削性があまりよくないことが知られている。従って、実用化のためには高温強度の向上とともに、被削性の向上も要求される。
特許文献1に記載の鋳鋼は、Mn:0.5〜2.0%、S:0.04〜0.2%、およびSe:0.001〜0.5%を含み、組織中にMnSやMnSeなどからなる快削性に寄与する粒子を生成させることにより、被削性を向上させている。特許文献2〜4に記載の鋳鋼においても、同様にMnS粒子やMnSe粒子を生成させることにより被削性を向上させている。しかし、特許文献1〜4に記載されているような鋳鋼の高温強度は未だ満足できるものではなく、さらなる向上が望まれる。
特開2002−167655号 特開2006−118048号 特開2003−277880号 特開平8−225898号
オーステナイト系耐熱鋳鋼の高温強度の向上には、オーステナイト組織の安定化が不可欠である。NiやCoに加えて、上記の特許文献1〜4に記載の鋳鋼に含まれるMnもオーステナイト形成元素であることが知られており、Mnを固溶させることにより安価にオーステナイト組織の安定化が図れる。しかしながら、特許文献1〜4に記載の鋳鋼では、そのMnが有するオーステナイト組織の安定化効果が十分得られていない。これは、固溶状態のMnの量が考慮されておらず、オーステナイト組織安定化効果を奏する固溶状態のMnと、被削性向上効果を奏するMnSまたはMnSeの量が適切に制御されていないことが原因と考えられる。
本発明は、高温強度および被削性の両方において優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼を提供することを課題とする。
検討の結果、本発明者は、CaをMnに対して所定の重量比を有するように適量添加することにより、オーステナイト系耐熱鋳鋼における高温強度および被削性の両方を向上させることに成功した。本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)重量%で、C:0.1〜0.6%、Si:2.5〜3.5%、Mn:1.0〜5.0%、P:0.05%以下、S:0.1〜0.3%、Ni:5.0〜20.0%、Cr:14.0〜20.0%、N:0.1〜0.3%およびCa:0.001〜0.005%を含有し、残部がFeおよび不可避な不純物であり、かつCa/Mn重量比が0.0002〜0.001である合金組成を有するオーステナイト系耐熱鋳鋼。
(2)重量%で、C:0.1〜0.6%、Si:2.5〜3.5%、Mn:1.0〜5.0%、P:0.05%以下、S:0.1〜0.3%、Ni:5.0〜8.0%、Cr:14.0〜20.0%、N:0.1〜0.3%およびCa:0.001〜0.005%を含有し、残部がFeおよび不可避な不純物であり、かつCa/Mn重量比が0.0002〜0.001である合金組成を有するオーステナイト系耐熱鋳鋼。
本発明の組成を有するオーステナイト系耐熱鋳鋼は、CaがMnに対して所定の重量比となるように添加されていることにより、硫化物化するMnが減少すると共に固溶状態のMnが増加し、オーステナイト組織が安定化され、優れた高温強度を有する。また、Caの添加により快削化に寄与するCaS粒子および(Mn,Ca)S粒子が生成され、被削性にも非常に優れている。
フェライト量と900℃における引張強度の相関関係を表すグラフである。 組成のCa/Mn比とフェライト量の相関関係を表すグラフである。 実施例1〜8と比較例1〜5の組成におけるMn量とCa量の相関関係を示す図である。 実施例7と、Caを添加していない比較例2のそれぞれの試験片についてEBSD分析によって相の同定を行った結果を示す図である。
本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は、重量%で、C:0.1〜0.6%、Si:2.5〜3.5%、Mn:1.0〜5.0%、P:0.05%以下、S:0.1〜0.3%、Ni:5.0〜20.0%、Cr:14.0〜20.0%、N:0.1〜0.3%およびCa:0.001〜0.005%を含有し、残部がFeおよび不可避な不純物であり、かつCa/Mn重量比が0.0002〜0.001である合金組成を有する。各成分の範囲を上記のように限定した理由は以下のとおりである。
C:0.1〜0.6%。Cは、オーステナイト安定化元素として作用し、高温強度の向上と鋳造性の改善に寄与するため、0.1%以上とする。一方、Cが過剰となるとCrCの析出により組織の硬さが増加し被削性が低下するため、0.6%以下とする。
Si:2.5〜3.5%。Siは鋳造性の改善に寄与するため2.5%以上とする。一方、Siが過剰となると被削性が低下するため、3.5%以下とする。
Mn:1.0〜5.0%。Mnはオーステナイト安定化元素であり、熱疲労寿命の向上に寄与するため1.0%以上とする。一方、Mnが過剰となると、加工時に加工誘起マルテンサイトを生じ、被削性が低下するため、5.0%以下とする。
P:0.05%以下。Pは不可避不純物であり、鋳造割れの原因となるため、0.05%以下とする。
S:0.1〜0.3%。Sは被削性の向上に寄与するため0.1%以上とする。一方、Sが過剰となると、母相に溶け込み、熱疲労寿命を低下させるため、0.3%以下、より好ましくは0.25%以下とする。
Ni:5.0〜20.0%。Niは耐酸性の向上、およびオーステナイト組織の安定化による熱疲労寿命の向上に寄与するため5.0%以上とする。一方、Niが過剰となると鋳造性が低下するため20.0%以下とする。コストを考慮すると、Niは14.0%以下、特に8.0%以下とすることが好ましい。
Cr:14.0〜20.0%。Crは耐酸性の向上に寄与するため14.0%以上とする。一方、Crが過剰となると、CrCの析出により組織の硬さが増加し被削性が低下するため、20.0%以下とする。
N:0.1〜0.3%。Nはオーステナイト組織を安定化し熱疲労寿命を向上させるため0.1%以上とする。一方、Nが過剰となると、鋳造時にガス欠陥が生じるため、0.3%以下とする。
Ca:0.001〜0.005%。Caを添加することにより、快削性に寄与するCaS粒子および(Mn,Ca)S粒子が生成され、被削性を飛躍的に向上させることができる。また、Caの添加は、硫化物化するMnを減少させ、固溶状態のMnを増加させることで、オーステナイト組織を安定化し、高温強度、特に高温引張強度の向上に寄与する。Caは0.001%以上とすることでそのような効果が十分得られる。一方、Caが過剰となると鋳造割れの原因となるため、0.005%以下とする。
本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は、Ca/Mn重量比を0.0002〜0.001の範囲とすることにより、フェライト相の割合が10%以下であることを特徴とする。ここで、フェライト相の割合は、VSMによってJIS H 7311に基づいて飽和磁化の値を測定し算出したものである。後述する実施例により実証されているように、フェライト相の割合を10%以下とすることにより高温引張強度が著しく向上する。本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は、900℃における引張強度が80MPa以上、特に90MPa以上、とりわけ100MPa以上であることを特徴とする。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.試験方法
(1)材料の作成
表1に示した組成を有する鋼材を、35kg高周波誘導炉で大気溶解し、1600℃で出湯、1550℃で注湯し、Y型B号ブロック(JIS規格)を鋳造した。
(2)フェライト量測定
上記(1)のブロックから5mm×5mm×5mmの試験片を切り出し、VSM(Vibrating Sample Magnetometer)によって飽和磁化の値を測定し、フェライト量を算出した。測定は、振動試料型磁力計VSM−3(東英工業製)を用い、JIS H 7311に基づいて行った。10KOe、0.13Paの真空中において、室温から900℃まで10℃/分で磁化量を求めた。
フェライト相の分布については、電子後方散乱回折像解析(EBSD法:Electron Backscatter Diffraction)により測定した。測定は、Hikari High Speed EBSD Detector(TSL社製)、SEM:ULTRA 55(Carl Zeiss社製)、およびソフトウェア:OIMTM Ver 5.2を用い、JIS G 4303に基づいて行った。
(3)引張試験
上記(1)のブロックから平行部長さが50mm、標点間の直径が10mmの丸棒試験片を作製し、クロスヘッド速度0.01mm/sで、900℃において引張試験を実施し、引張強度を測定した。測定は、万能試験機AG−250kNX(島津製作所製)を用い、JIS Z 2241に基づいて行った。
Figure 2014185361
2.試験結果
図1は、フェライト量と900℃における引張強度の相関関係を表すグラフである。図中に破線で示したように、フェライト量がおよそ10%以下となった場合に引張強度が著しく向上した。
図2は、組成のCa/Mn比とフェライト量の相関関係を表すグラフである。図中に破線で示したように、Ca/Mnが0.0002以上かつ0.001以下でフェライト量が10%以下となった。図1に示されるように、その範囲では900℃における引張強度が著しく向上した。図3は、実施例1〜8と比較例1〜5の組成におけるMn量とCa量の相関関係を示す図であり、破線は本発明の耐熱鋳鋼の組成比におけるMn量およびCa量の範囲を、直線はCa/Mn=0.001または0.0002の境界をそれぞれ示す。実施例1〜8はすべてMn:1.0〜5.0%、Ca:0.001〜0.005%、かつCa/Mn=0.0002〜0.001の範囲に包含されている。
図4は、実施例7と、Caを添加していない比較例1のそれぞれの試験片についてEBSD分析によって相の同定を行った結果を示す図である。
Caを添加した実施例7では、MnSと(Mn,Ca)Sが球状に析出しており、その周囲のオーステナイト組織が安定化されている様子がわかる。これはMnのサイトにCaが入ることで固溶状態のMnが増加し、オーステナイト安定化元素として働いているためであると推定された。また、この測定点でのフェライト量は0%であった。
一方、Caを添加していない比較例1では、基地がオーステナイト組織であるのに対し、MnSの周囲がフェライト化していることが確認された。この測定点でのフェライト量は11%であった。これは、基地に固溶していたMn(オーステナイト安定化元素)がMnSとして析出することでMnSの周囲にMn欠乏層が形成されたためと推定された。

Claims (2)

  1. 重量%で、C:0.1〜0.6%、Si:2.5〜3.5%、Mn:1.0〜5.0%、P:0.05%以下、S:0.1〜0.3%、Ni:5.0〜20.0%、Cr:14.0〜20.0%、N:0.1〜0.3%およびCa:0.001〜0.005%を含有し、残部がFeおよび不可避な不純物であり、かつCa/Mn重量比が0.0002〜0.001である合金組成を有するオーステナイト系耐熱鋳鋼。
  2. 重量%で、C:0.1〜0.6%、Si:2.5〜3.5%、Mn:1.0〜5.0%、P:0.05%以下、S:0.1〜0.3%、Ni:5.0〜8.0%、Cr:14.0〜20.0%、N:0.1〜0.3%およびCa:0.001〜0.005%を含有し、残部がFeおよび不可避な不純物であり、かつCa/Mn重量比が0.0002〜0.001である合金組成を有するオーステナイト系耐熱鋳鋼。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014208875A (ja) * 2013-03-22 2014-11-06 トヨタ自動車株式会社 オーステナイト系耐熱鋳鋼およびその製造方法

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