JP2014185218A - 硬化性エポキシ組成物、フィルム、積層フィルム、プリプレグ、積層体、硬化物、及び複合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】縮合多環構造及び/又はビフェニル構造を有する多価エポキシ化合物(A)と、水溶性エポキシ化合物(B)と、活性エステル化合物(C)と、を含む硬化性エポキシ組成物。
【選択図】なし
Description
〔1〕縮合多環構造及び/又はビフェニル構造を有する多価エポキシ化合物(A)と、水溶性エポキシ化合物(B)と、活性エステル化合物(C)と、を含む硬化性エポキシ組成物、
〔2〕水溶性エポキシ化合物(B)の含有割合が、用いられるエポキシ化合物の合計100重量%中、1〜20重量%である、前記〔1〕記載の硬化性エポキシ組成物、
〔3〕前記〔1〕又は〔2〕に記載の硬化性エポキシ組成物からなるフィルム、
〔4〕前記〔1〕又は〔2〕に記載の硬化性エポキシ組成物からなる接着層と、被めっき層用樹脂組成物からなる被めっき層と、を有する積層フィルム、
〔5〕前記〔3〕に記載のフィルム又は前記〔4〕に記載の積層フィルムと、繊維基材と、からなるプリプレグ、
〔6〕前記〔3〕に記載のフィルム、前記〔4〕に記載の積層フィルム又は前記〔5〕に記載のプリプレグを、基材に積層してなる積層体、
〔7〕前記〔1〕若しくは〔2〕に記載の硬化性エポキシ組成物、前記〔3〕に記載のフィルム、前記〔4〕に記載の積層フィルム、前記〔5〕に記載のプリプレグ、又は前記〔6〕に記載の積層体を硬化してなる硬化物、
〔8〕前記〔7〕に記載の硬化物の表面に導体層を形成してなる複合体、並びに
〔9〕前記〔7〕に記載の硬化物又は前記〔8〕に記載の複合体を構成材料として含む電子材料用基板、
が提供される。
本発明に用いられる縮合多環構造及び/又はビフェニル構造を有する多価エポキシ化合物(A)は、1分子中に少なくとも2つのエポキシ基(オキシラン環)を有し、かつ縮合多環構造及びビフェニル構造の少なくとも一方を有する化合物である。
前記ビフェニル構造とは、ベンゼン環が2つ単結合でつながった構造をいう。ビフェニル構造は、前記縮合多環構造と同様、得られる硬化樹脂において、通常、当該樹脂の主鎖を構成するが、側鎖に存在していてもよい。
また、多価エポキシ化合物(A)として、縮合多環構造を有するもの(縮合多環構造とビフェニル構造の両方を有するものを含む。)とビフェニル構造を有するものとを併用する場合、電気絶縁層の耐熱性や電気特性を向上させるという観点から、それらの配合割合は重量比(縮合多環構造を有する多価エポキシ化合物/ビフェニル構造を有する多価エポキシ化合物)で、通常、3/7〜7/3が好適である。
なお、本明細書において「エポキシ当量」とは1グラム当量のエポキシ基を含むエポキシ化合物のグラム数(g/eq)であり、JIS K 7236の方法に従って測定することができる。
縮合多環構造を有する多価エポキシ化合物(A)の市販品の例としては、ジシクロペンタジエン構造を有するエポキシ化合物である、例えば、商品名「エピクロンHP7200L、エピクロンHP7200、エピクロンHP7200H、エピクロンHP7200HH、エピクロンHP7200HHH」(以上、DIC社製、「エピクロン」は登録商標)、商品名「Tactix558」(ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製、「Tactix」は登録商標)、商品名「XD−1000−1L、XD−1000−2L」(以上、日本化薬社製)や;フルオレン構造を有するエポキシ化合物である、例えば、商品名「オンコートEX−1010、オンコートEX−1011、オンコートEX−1012、オンコートEX−1020、オンコートEX−1030、オンコートEX−1040、オンコートEX−1050、オンコートEX−1051」(以上、長瀬産業社製、「オンコート」は登録商標)、商品名「オグソールPG−100、オグソールEG−200、オグソールEG−250)」(以上、大阪ガスケミカル社製、「オグソール」は登録商標);などが挙げられる。また、ポリフェノール構造を有するエポキシ化合物である、例えば、商品名「1032H60、XY−4000」(以上、三菱化学社製)なども、多価エポキシ化合物(A)として用いることができる。
ビフェニル構造を有する多価エポキシ化合物(A)の市販品の例としては、ビフェニルアラルキル構造を有するエポキシ化合物である、例えば、商品名「NC3000−FH、NC3000−H、NC3000、NC3000−L、NC3100」(以上、日本化薬社製)などが挙げられる。
以上の多価エポキシ化合物(A)は、それぞれ単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明に用いられる水溶性エポキシ化合物(B)とは、1分子中に1又は2以上のエポキシ基を有し、25℃で水100gに20g以上溶解する化合物である。
1分子中にエポキシ基を1つ有する水溶性モノエポキシ化合物としては、例えば、メチルグリシジルエーテルやエチルグリシジルエーテルなどの、1価アルコールのモノグリシジルエーテルが挙げられる。1分子中にエポキシ基を2以上有する水溶性ポリエポキシ化合物としては、例えば、アルカンジオールのジグリシジルエーテル、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、及びブチレングリコール又はポリブチレングリコールのジグリシジルエーテルなどの、2価アルコールのジグリシジルエーテル;グリセリンポリグリシジルエーテル及びトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルなどの、3価アルコールのポリグリシジルエーテル;ポリグリセリンポリグリシジルエーテル及びソルビトールポリグリシジルエーテルなどの、4価以上の多価アルコールのポリグリシジルエーテルが挙げられる。
中でも、入手容易性の観点から、通常、2価アルコールのジグリシジルエーテルが好適に用いられる。
本発明の硬化性エポキシ組成物には、前記多価エポキシ化合物(A)及び水溶性エポキシ化合物(B)のほか、所望により、それらのエポキシ化合物以外のその他のエポキシ化合物を適宜含有させてもよい。かかるその他のエポキシ化合物としては、例えば、脂環式エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、トリスフェノール型エポキシ化合物、テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン型エポキシ化合物、脂肪族鎖状エポキシ化合物などが挙げられる。それらは適宜市販品として入手可能である。
本発明で用いる活性エステル化合物(C)は、活性エステル基を有するものであればよいが、本発明においては、分子内に少なくとも2つの活性エステル基を有する化合物が好ましい。活性エステル化合物(C)は、本発明で用いるエポキシ化合物の硬化剤として作用する。
本発明の硬化性エポキシ組成物には、本発明の効果の発現を阻害しない範囲で、適宜、多価エポキシ化合物(A)、水溶性エポキシ化合物(B)及び活性エステル化合物(C)以外の、以下に記載するような、その他の成分をさらに含有させてもよい。
本発明の硬化性エポキシ組成物中の充填剤の含有量としては、特に限定されるものではないが、固形分換算で、通常、30〜90重量%である。
前記脂環式オレフィン単量体(b)の具体例としては、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、5−メトキシ−カルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン;5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2−メチルプロピオネイト、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2−メチルオクタネイト;5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、N−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸イミド、N−(2−エチルヘキシル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸イミド(以下、「NEHI」と略記する。)、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物(以下、「NDCA」と略記する。)などが挙げられる。
前記脂環式オレフィン単量体(c)の具体例としては、N−(4−フェニル)−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)(以下、「NBPI」と略記する。)、N−(4−メチルフェニル)−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)、2−(4−メトキシフェニル)−5−ノルボルネン、2−ベンジロキシカルボニル−5−ノルボルネンなどが挙げられる。
前記脂環式オレフィン単量体(d)の具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(以下、「EdNB」と略記する。)などのノルボルネン類;トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)などのジシクロペンタジエン類;テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン、以下「TCD」と略記する。)などのテトラシクロドデセン類;エチレン、プロピレンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン;1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエンなどが挙げられる。
本発明のフィルムは、上述した本発明の硬化性エポキシ組成物をシート状又はフィルム状に成形してなる成形体である。
本発明の積層フィルムは、上述した硬化性エポキシ組成物からなる接着層と、被めっき層用樹脂組成物からなる被めっき層と、を有するものである。
中でも、硬化剤としては、極性基を有する脂環式オレフィン重合体が有する極性基との反応性が緩やかであり、被めっき層用樹脂組成物の扱いが容易になることから、多価エポキシ化合物が好ましく、グリシジルエーテル型エポキシ化合物や脂環式の多価エポキシ化合物が特に好ましく用いられる。
本発明のプリプレグは、上述した本発明のフィルム又は本発明の積層フィルムと繊維基材とからなる。
本発明の積層体は、上述した本発明のフィルム、積層フィルム又はプリプレグを基材に積層してなるものである。本発明の積層体としては、少なくとも、上述した本発明のフィルム、積層フィルム又はプリプレグを積層してなるものであればよいが、表面に導体層を有する基板と、上述した本発明のフィルム、積層フィルム又はプリプレグからなる電気絶縁層とを積層してなるものが好ましい。
本発明の硬化物は、本発明の硬化性エポキシ組成物を硬化してなるものであり、当該組成物で構成される、本発明のフィルム、積層フィルム、プリプレグ、及び積層体を硬化してなるいずれのものも含まれる。硬化は、後述する硬化条件にて、本発明の硬化性エポキシ組成物やフィルム等を適宜加熱することで行うことができる。
本発明の複合体は、上述した、本発明の硬化物の表面に導体層を形成してなるものである。
電気絶縁層の表面平均粗度Raは、好ましくは0.05μm以上0.5μm未満、より好ましくは0.06μm以上0.3μm以下であり、かつ表面十点平均粗さRzjisは、好ましくは0.3μm以上5μm未満、より好ましくは0.5μm以上3μm以下である。なお、本明細書において、RaはJIS B0601−2001に示される算術平均粗さであり、表面十点平均粗さRzjisは、JIS B0601−2001付属書1に示される十点平均粗さである。
導体層の形成方法は、密着性に優れる導体層を形成できるという観点より、無電解めっき法により行なうのが好ましい。
本発明の電子材料用基板は、上述した本発明の硬化物又は複合体からなるものである。このような本発明の硬化物又は複合体からなる本発明の電子材料用基板は、携帯電話機、PHS、ノート型パソコン、PDA(携帯情報端末)、携帯テレビ電話機、パーソナルコンピューター、スーパーコンピューター、サーバー、ルーター、液晶プロジェクタ、エンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置などの各種電子機器に好適に用いることができる。
テトラヒドロフランを展開溶媒として、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算値として求めた。
水素添加前における重合体中の不飽和結合のモル数に対する水素添加された不飽和結合のモル数の比率を、400MHzの1H−NMRスペクトル測定により求め、これを水素添加率とした。
ガラスフィラー及びハロゲン不含エポキシ化合物を含有するワニスをガラス繊維に含浸させて得られたコア材の表面に、厚さが18μmの銅が貼られた、厚さ0.8mm、縦150mm×横150mmの両面銅張り基板の両面に、支持体付きのフィルム成形体を積層した後、支持体だけを剥がしとり、空気雰囲気下に180℃で30分間加熱してフィルム成形体を硬化させ、フィルム状硬化物からなる樹脂層を形成させた。得られた積層体硬化物に、CO2レーザー装置(LC−2G212/2C、日立製作所社製)を用いて、出力0.65W、ショット回数3、加工径(上面)55μm、加工径(下面)50μmの条件により、該樹脂層に銅表面まで貫通したビアホール用穴を形成したデスミア性評価用基板を作製した。この基板を、過マンガン酸濃度70g/L、水酸化ナトリウム濃度40g/Lになるように調整した80℃の水溶液に20分間揺動浸漬した。次いで、この基板を水槽に1分間揺動浸漬し、更に別の水槽に1分間揺動浸漬することにより水洗した。続いて硫酸ヒドロキシルアミン濃度18g/L、硫酸65g/Lになるように調整した40℃の水溶液に、基板を5分間浸漬し、中和還元処理をした後、水洗した。このようにして得られた基板のビアホール用穴部分の下面及び断面を電子顕微鏡(倍率:5000倍)で観察し、以下の評価基準に従ってデスミア性を評価した。
(評価基準)
A:樹脂残り無し
B:部分的に樹脂残りが有るが、実用上問題なし
C:樹脂残り有り
フィルム状硬化物から幅6mm、長さ15.4mm、厚さ40μmの小片を切り出し、支点間距離10mm、昇温速度10℃/分の条件で、熱機械分析装置(TMA/SDTA840:メトラー・トレド社製)により、フィルム状硬化物のガラス転移温度(Tg)を、ガラス転移温度前後の曲線に接線を引き、この接線の交点からTgを求めた。Tgが145℃以上であれば耐熱性に優れると評価できる。
フィルム状硬化物から幅2.6mm、長さ80mm、厚さ40μmの小片を切り出し、空洞共振器摂動法誘電率測定装置を用いて10GHzにおける誘電正接(tanδ)の測定を行なった。tanδが0.01以下であれば電気特性に優れると評価できる。
MTF 80モル部、NBPI 20モル部、1−ヘキセン 6モル部、アニソール 590モル部及びルテニウム系重合触媒として4−アセトキシベンジリデン(ジクロロ)(4,5−ジブロモ−1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(C1063、和光純薬社製)0.015モル部を、窒素置換した耐圧ガラス反応器に仕込み、攪拌下に80℃で1時間の重合反応を行って開環重合体の溶液を得た。この溶液について、ガスクロマトグラフィーを測定したところ、実質的に単量体が残留していないことが確認され、重合転化率は99%以上であった。
次いで、窒素置換した攪拌機付きオートクレーブに、得られた開環重合体の溶液を仕込み、150℃、水素圧7MPaで、5時間攪拌させて水素添加反応を行った。得られた水素化反応溶液を濃縮して、脂環式オレフィン重合体(1)の溶液(固形分濃度55.5%)を得た。得られた脂環式オレフィン重合体(1)の重量平均分子量は50000、数平均分子量は20000、水素添加率は97%であった。
(硬化性エポキシ組成物の調製)
多価エポキシ化合物(A)としてのジシクロペンタジエン型エポキシ化合物(商品名「エピクロンHP7200HH」、DIC社製、エポキシ当量280)96.1部、水溶性エポキシ化合物(B)としてのポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名「EPOX−MK R810」、プリンテック社製、エポキシ当量300)3.9部、活性エステル化合物(C)としての活性エステル化合物(商品名「エピクロン HPC−8000−65T」、不揮発分65%のトルエン溶液、DIC社製、活性エステル基当量223)125.2部(活性エステル化合物 81.4部)、合成例1で得られた脂環式オレフィン重合体(1)の溶液6部(脂環式オレフィン重合体3.3部)、充填剤としてのシリカ(商品名「SC2500−SXJ」、平均粒径0.5μm、アミノシランカップリング剤表面処理、アドマテックス社製)350部、老化防止剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名「イルガノックス3114」、BASF社製)1部、及びアニソール110部を混合し、遊星式攪拌機で3分間攪拌した。
さらにこれに、硬化促進剤として1−べンジル−2−フェニルイミダゾールをアニソールに30%溶解した溶液 9部(硬化促進剤2.6部)を混合し、遊星式攪拌機で5分間攪拌して硬化性エポキシ組成物のワニスを得た。
次いで、上記にて得られた硬化性エポキシ組成物のワニスを、ダイコーターを用いて、縦300mm×横300mmの大きさで厚さが38μm、表面平均粗度Raが0.08μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔支持体:ルミラー(登録商標)T60 東レ社製〕上に塗工し、次いで、窒素雰囲気下、80℃で10分間乾燥し、支持体上に厚さ43μmの硬化性エポキシ組成物のフィルム成形体を得た。得られたフィルム成形体を用い、上記方法に従ってデスミア性評価用基板を作製し、デスミア性を評価した。結果を表1に示す。
厚さ10μmの銅箔に、得られた硬化性エポキシ組成物のフィルム成形体から切り出した小片を、支持体が付いた状態で、硬化性エポキシ組成物が内側になるようにして、耐熱性ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータを用い、200Paに減圧して、温度110℃、圧力0.1MPaで60秒間加熱圧着積層し、その後、支持体を剥がして180℃で120分間空気中で加熱硬化した。硬化後、銅箔付き硬化樹脂の銅箔を1mol/Lの過硫酸アンモニウム水溶液にて溶解し、フィルム状の硬化物を得た。得られたフィルム状硬化物を用いて、上記方法に従い、ガラス転移温度及び誘電正接を測定した。結果を表1に示す。
表1の各実施例における硬化性エポキシ組成物の組成に従って、多価エポキシ化合物(A)及び水溶性エポキシ化合物(B)の種類及び配合量、並びに活性エステル化合物(C)の配合量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、硬化性エポキシ組成物のワニス、フィルム成形体及びフィルム状硬化物を得て、同様に測定、評価を行った。結果を表1に示す。
なお、表1における、多価エポキシ化合物(A)としてのビフェニル型エポキシ化合物は商品名「NC3000−H」(日本化薬社製、エポキシ当量290)であり、水溶性エポキシ化合物(B)としての1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルは商品名「SR−14BJ」(阪本薬品工業社製、エポキシ当量100)である。
多価エポキシ化合物(A)の配合量を100部とし、水溶性エポキシ化合物(B)を用いず、活性エステル化合物(C)の配合量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、硬化性エポキシ組成物のワニス、フィルム成形体及びフィルム状硬化物を得て、同様に測定、評価を行った。結果を表1に示す。
重合1段目として5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(以下、「EdNB」と略記する)35モル部、1−ヘキセン0.9モル部、アニソール340モル部およびルテニウム系重合触媒として4−アセトキシベンジリデン(ジクロロ)(4,5−ジブロモ−1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(C1063、和光純薬社製)0.005モル部を、窒素置換した耐圧ガラス反応器に仕込み、攪拌下に80℃で30分間の重合反応を行ってノルボルネン系開環重合体の溶液を得た。
次いで、重合2段目として重合1段目に得た溶液中にテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(メタノテトラヒドロフルオレン)45モル部、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物20モル部、アニソール250モル部およびC1063 0.01モル部を追加し、攪拌下に80℃で1.5時間の重合反応を行ってノルボルネン系開環重合体の溶液を得た。この溶液について、ガスクロマトグラフィーを測定したところ、実質的に単量体が残留していないことが確認され、重合転化率は99%以上であった。
次いで、窒素置換した攪拌機付きオートクレーブに、得られた開環重合体の溶液を仕込み、C1063 0.03モル部を追加し、150℃、水素圧7MPaで、5時間攪拌させて水素添加反応を行って、ノルボルネン系開環重合体の水素添加物である脂環式オレフィン重合体(2)の溶液を得た。得られた脂環式オレフィン重合体(2)の重量平均分子量は60,000、数平均分子量は30,000、分子量分布は2であった。また、水素添加率は95%であり、カルボン酸無水物基を有する繰り返し単位の含有率は20モル%であった。脂環式オレフィン重合体(2)の溶液の固形分濃度は22%であった。
(被めっき層用樹脂組成物)
合成例2にて得られた脂環式オレフィン重合体(2)の溶液454部(脂環式オレフィン重合体(2)換算で100部)、縮合多環構造を有する多価エポキシ化合物(A)としてのジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂(「エピクロン HP7200L」、大日本インキ化学工業社製、「エピクロン」は登録商標)36部、無機充填剤としてのシリカ(「アドマファイン SO−C1」、アドマテックス社製、平均粒子径0.25μm、「アドマファイン」は登録商標)24.5部、老化防止剤としてのトリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート(「Irganox3114」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1部、紫外線吸収剤としての2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール0.5部、及び硬化促進剤としての1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール0.5部を、アニソールに混合して、配合剤濃度が16%になるように混合することで、被めっき層用樹脂組成物のワニスを得た。
上記にて得られた被めっき層用樹脂組成物のワニスを、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)上にワイヤーバーを用いて塗布し、次いで、窒素雰囲気下、80℃で10分間乾燥させて、未硬化の被めっき層用樹脂組成物からなる、厚み3μmの被めっき層が形成された支持体付きフィルムを得た。
次いで、上記とは別に、ガラスフィラー及びハロゲン不含エポキシ化合物を含有するワニスをガラス繊維に含浸させて得られたコア材の表面に、厚みが18μmの銅が貼られた、厚み0.8mm、150mm角(縦150mm、横150mm)の両面銅張り基板表面に、配線幅及び配線間距離が50μm、厚みが18μmで、表面が有機酸との接触によってマイクロエッチング処理された導体層を形成して内層基板を得た。
得られた積層体硬化物を、膨潤液(「スウェリング ディップ セキュリガント P」、アトテック社製、「セキュリガント」は登録商標)500mL/L、水酸化ナトリウム3g/Lになるように調製した60℃の水溶液に15分間揺動浸漬した後、水洗した。
次いで、過マンガン酸塩の水溶液(「コンセントレート コンパクト CP」、アトテック社製)640mL/L、水酸化ナトリウム濃度40g/Lになるように調製した80℃の水溶液に15分間揺動浸漬をした後、水洗した。
続いて、硫酸ヒドロキシルアミン水溶液(「リダクション セキュリガント P 500」、アトテック社製、「セキュリガント」は登録商標)100mL/L、硫酸35mL/Lになるように調製した40℃ の水溶液に、積層体硬化物を5分間浸漬し、中和還元処理をした後、水洗した。
次いで、クリーナー・コンディショナー水溶液(「アルカップ MCC−6−A」、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)を濃度50ml/Lとなるよう調整した50℃の水溶液に積層体硬化物を5分間浸漬し、クリーナー・コンディショナー処理を行った。次いで40℃の水洗水に積層体硬化物を1分間浸漬した後、水洗した。
次いで、硫酸濃度100g/L、過硫酸ナトリウム100g/Lとなるように調製した水溶液に積層体硬化物を2分間浸漬しソフトエッチング処理を行った後、水洗した。
次いで、硫酸濃度100g/Lなるよう調製した水溶液に積層体硬化物を1分間浸漬し酸洗処理を行った後、水洗した。
次いで、アルカップ アクチベータ MAT−1−A(商品名、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が200mL/L、アルカップ アクチベータ MAT−1−B(上商品名、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が30mL/L、水酸化ナトリウムが0.35g/Lになるように調製した60℃のPd塩含有めっき触媒水溶液に積層体硬化物を5分間浸漬した後、水洗した。
続いて、アルカップ レデユーサ− MAB−4−A(商品名、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が20mL/L、アルカップ レデユーサ− MAB−4−B(商品名、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が200mL/Lになるように調整した水溶液に積層体硬化物を35℃で、3分間浸漬し、めっき触媒を還元処理した後、水洗した。
次いで、アルカップ アクセラレーター MEL−3−A(商品名、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が50mL/Lになるように調製した水溶液に積層体硬化物を25℃で、1分間浸漬した。
このようにして得られた積層体硬化物を、スルカップ PEA−6−A(商品名、上村工業社製、「スルカップ」は登録商標)100mL/L、スルカップ PEA−6−B−2X(商品名、上村工業社製)50mL/L、スルカップ PEA−6−C(商品名、上村工業社製)14mL/L、スルカップ PEA−6−D(商品名、上村工業社製)15mL/L、スルカップ PEA−6−E(商品名、上村工業社製)50mL/L、37%ホルマリン水溶液5mL/Lとなるように調製した無電解銅めっき液に空気を吹き込みながら、温度36℃で、20分間浸漬して無電解銅めっき処理して積層体硬化物表面(被めっき層用樹脂組成物からなる被めっき層の表面)に無電解めっき膜を形成した。
Claims (9)
- 縮合多環構造及び/又はビフェニル構造を有する多価エポキシ化合物(A)と、水溶性エポキシ化合物(B)と、活性エステル化合物(C)と、を含む硬化性エポキシ組成物。
- 水溶性エポキシ化合物(B)の含有割合が、用いられるエポキシ化合物の合計100重量%中、1〜20重量%である、請求項1記載の硬化性エポキシ組成物。
- 請求項1又は2に記載の硬化性エポキシ組成物からなるフィルム。
- 請求項1又は2に記載の硬化性エポキシ組成物からなる接着層と、被めっき層用樹脂組成物からなる被めっき層と、を有する積層フィルム。
- 請求項3に記載のフィルム又は請求項4に記載の積層フィルムと、繊維基材と、からなるプリプレグ。
- 請求項3に記載のフィルム、請求項4に記載の積層フィルム又は請求項5に記載のプリプレグを、基材に積層してなる積層体。
- 請求項1若しくは2に記載の硬化性エポキシ組成物、請求項3に記載のフィルム、請求項4に記載の積層フィルム、請求項5に記載のプリプレグ、又は請求項6に記載の積層体を硬化してなる硬化物。
- 請求項7に記載の硬化物の表面に導体層を形成してなる複合体。
- 請求項7に記載の硬化物又は請求項8に記載の複合体を構成材料として含む電子材料用基板。
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