JP6458921B2 - 硬化性エポキシ組成物、フィルム、積層フィルム、プリプレグ、積層体、硬化物、及び複合体 - Google Patents
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Description
〔1〕エポキシ化合物(A)、活性エステル化合物(B)、フェノールノボラック樹脂(C)、及びイミダゾール化合物(D)を含む硬化性エポキシ組成物であって、前記イミダゾール化合物(D)が、1位の窒素原子上に置換基を有さず、かつ、3位の窒素原子の半経験的分子軌道法によって計算される電荷量が−0.121以上である化合物である硬化性エポキシ組成物、
〔2〕前記イミダゾール化合物(D)が、2位の炭素原子に、置換基としてアリール基を有する前記〔1〕に記載の硬化性エポキシ組成物、
〔3〕前記エポキシ化合物(A)100重量部に対する、前記イミダゾール化合物(D)の含有量が0.1〜5重量部である前記〔1〕又は〔2〕に記載の硬化性エポキシ組成物、
〔4〕前記フェノールノボラック樹脂(C)が、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂である前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の硬化性エポキシ組成物、
〔5〕前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の硬化性エポキシ組成物からなるフィルム、
〔6〕前記〔1〕〜〔4〕に記載の硬化性エポキシ組成物からなる接着層と、被めっき層用樹脂組成物からなる被めっき層と、を有する積層フィルム、
〔7〕前記〔5〕に記載のフィルム又は前記〔6〕に記載の積層フィルムと、繊維基材と、からなるプリプレグ、
〔8〕前記〔5〕に記載のフィルム、前記〔6〕に記載の積層フィルム又は前記〔7〕に記載のプリプレグを、基材に積層してなる積層体、
〔9〕前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の硬化性エポキシ組成物、前記〔5〕に記載のフィルム、前記〔6〕に記載の積層フィルム、前記〔7〕に記載のプリプレグ、又は前記〔8〕に記載の積層体を硬化してなる硬化物、
〔10〕前記〔9〕に記載の硬化物の表面に導体層を形成してなる複合体、並びに
〔11〕前記〔9〕に記載の硬化物又は前記〔10〕に記載の複合体を構成材料として含む電子材料用基板、
が提供される。
また、本発明で用いる前記イミダゾール化合物(D)は、1位の窒素原子上に置換基を有さず、かつ、3位の窒素原子の半経験的分子軌道法によって計算される電荷量が−0.121以上である化合物である。
本発明で用いられるエポキシ化合物(A)としては、エポキシ基(オキシラン環)を有する化合物であればよく、特に限定されないが、1分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有する多価エポキシ化合物を好適に用いることができ、例えば、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ポリフェノール型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールF型エポキシ化合物、水素添加ビスフェノールA型エポキシ化合物等のグリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、が挙げられる。また、前記エポキシ化合物の骨格として脂環式オレフィン、芳香環、縮合芳香環やフルオレン構造などを有するものが挙げられる。これらのなかでも、フェノールノボラック型エポキシ化合物が好ましく、特に、ビフェニル構造及び/又は縮合多環構造を有するエポキシ化合物がより好ましい。なお、本発明において、フェノールノボラック型エポキシ化合物は、典型的には、フェノール、クレゾール及びナフトールなどの芳香族ヒドロキシ化合物と、アルデヒド類又はケトン類とを縮合重合させることにより得られるエポキシ化合物である。
また、前記縮合多環構造とは、2以上の単環が縮合(縮環)してなる構造をいう。縮合多環構造を構成する環は脂環であっても芳香環であってもよく、また、ヘテロ原子を含んだものであってもよい。縮合環数は特に限定されるものではないが、得られる電気絶縁層の耐熱性や機械的強度を高める観点から、2環以上であるのが好ましく、実用上、その上限としては10環程度である。このような縮合多環構造としては、例えば、ジシクロペンタジエン構造、ナフタレン構造、フルオレン構造、アントラセン構造、フェナントレン構造、トリフェニレン構造、ピレン構造、オバレン構造などが挙げられる。縮合多環構造は、上述したビフェニル構造と同様に、得られる硬化樹脂において、通常、当該樹脂の主鎖を構成するが、側鎖に存在していてもよい。
ビフェニル構造を有するエポキシ化合物の市販品の例としては、ビフェニルアラルキル構造を有するノボラック型エポキシ化合物である、例えば、商品名「NC3000−FH、NC3000−H、NC3000、NC3000−L、NC3100」(以上、日本化薬社製);や、テトラメチルビフェニル構造を有するエポキシ化合物である、例えば、商品名「YX−4000」(以上、三菱化学社製);などが挙げられる。
また、縮合多環構造を有するエポキシ化合物の市販品の例としては、ジシクロペンタジエン構造を有するノボラック型エポキシ化合物である、例えば、商品名「エピクロンHP7200L、エピクロンHP7200、エピクロンHP7200H、エピクロンHP7200HH、エピクロンHP7200HHH」(以上、DIC社製、「エピクロン」は登録商標)、商品名「Tactix556、Tactix756」(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製、「Tactix」は登録商標)、商品名「XD−1000−1L、XD−1000−2L」(以上、日本化薬社製)や;フルオレン構造を有するエポキシ化合物である、例えば、商品名「オンコートEX−1010、オンコートEX−1011、オンコートEX−1012、オンコートEX−1020、オンコートEX−1030、オンコートEX−1040、オンコートEX−1050、オンコートEX−1051」(以上、長瀬産業社製、「オンコート」は登録商標)、商品名「オグソールPG−100、オグソールEG−200、オグソールEG−250)」(以上、大阪ガスケミカル社製、「オグソール」は登録商標);などが挙げられる。
以上のビフェニル構造及び/又は縮合多環構造を有するエポキシ化合物は、それぞれ単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
例えば、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ化合物の市販品の例として、商品名「EPPN−503、EPPN−502H、EPPN−501H」(以上、日本化薬社製)、商品名「TACTIX−742」(以上、ダウ・ケミカル社製)、「jER 1032H60」(以上、三菱化学社製)等が挙げられる。また、テトラキスヒドロキシフェニルエタン型エポキシ化合物の市販品の例として、商品名「jER 1031S」(以上、三菱化学社製)等が挙げられる。
本発明で用いられる活性エステル化合物(B)としては、活性エステル基を有するものであればよいが、本発明においては、分子内に少なくとも2つの活性エステル基を有する化合物が好ましい。活性エステル化合物(B)は、加熱によりエステル部位とエポキシ基が反応することで、本発明で用いられるエポキシ化合物(A)の硬化剤として作用する。
本発明で用いられるフェノールノボラック樹脂(C)とは、フェノール、クレゾール及びナフトールなどの芳香族ヒドロキシ化合物と、アルデヒド類又はケトン類と、の縮合重合物である。フェノールノボラック樹脂(C)は、フェノール性の活性水酸基の存在により、上述した活性エステル化合物(B)とともに、エポキシ化合物(A)の硬化剤として作用し、特に、フェノールノボラック樹脂(C)を用いることで、得られる電気絶縁層は、当該層が積層された導体層、特に銅からなる導体層に対し優れた密着性を示すものとなる。
以上のトリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂は、それぞれ単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明で用いられるイミダゾール化合物(D)は、下記式(9)で表されるイミダゾール骨格を有する化合物であって、1位の窒素原子上に置換基を有さず、かつ、3位の窒素原子の半経験的分子軌道法によって計算される電荷量が−0.121以上である化合物である。本発明において、「1位の窒素原子上に置換基を有さず」とは、1位の窒素原子が水素原子以外の置換基で置換されていない構造、すなわち、1位の窒素原子が水素原子と結合した構造を意味する。また、3位の窒素原子の電荷量は、半経験的分子軌道法により窒素原子の電子密度を求めることにより算出され、通常、MOPACとして広く利用されている分子軌道計算用プログラムにて算出することができる。
上記一般式(10)中、4位の炭素原子に結合するR6としては、水素原子、ヒドロキシル基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基である。前記置換基としては、ヒドロキシル基やシアノ基などが挙げられる。中でも、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
また、上記一般式(10)中、5位の炭素原子に結合するR7としては、水素原子、ヒドロキシル基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基である。前記置換基としては、ヒドロキシル基やシアノ基などが挙げられる。中でも、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
本発明の硬化性エポキシ組成物には、本発明の効果の発現を阻害しない範囲で、適宜、上記各成分に加えて、以下に記載するような、その他の成分をさらに含有させてもよい。
本発明のフィルムは、上述した本発明の硬化性エポキシ組成物をシート状又はフィルム状に成形してなる成形体である。
本発明の積層フィルムは、上述した硬化性エポキシ組成物からなる接着層と、被めっき層用樹脂組成物からなる被めっき層と、を有するものである。
中でも、硬化剤としては、極性基を有する脂環式オレフィン重合体が有する極性基との反応性が緩やかであり、被めっき層用樹脂組成物の扱いが容易になることから、多価エポキシ化合物が好ましく、グリシジルエーテル型エポキシ化合物や脂環式の多価エポキシ化合物が特に好ましく用いられる。
本発明のプリプレグは、上述した本発明のフィルム又は本発明の積層フィルムに、繊維基材を含んでなるものである。
本発明の積層体は、上述した本発明のフィルム、積層フィルム又はプリプレグを基材に積層してなるものである。本発明の積層体としては、少なくとも、上述した本発明のフィルム、積層フィルム又はプリプレグを積層してなるものであればよいが、表面に導体層を有する基板と、上述した本発明のフィルム、積層フィルム又はプリプレグからなる電気絶縁層とを積層してなるものが好ましい。
本発明の硬化物は、本発明の硬化性エポキシ組成物を硬化してなるものであり、当該組成物で構成される、本発明のフィルム、積層フィルム、プリプレグ、及び積層体を硬化してなるいずれのものも含まれる。硬化は、後述する硬化条件にて、本発明の硬化性エポキシ組成物やフィルム等を適宜加熱することで行うことができる。
本発明の複合体は、上述した、本発明の硬化物の表面に導体層を形成してなるものである。
電気絶縁層の表面平均粗度Raは、好ましくは0.05μm以上0.5μm未満、より好ましくは0.06μm以上0.3μm以下であり、かつ表面十点平均粗さRzjisは、好ましくは0.3μm以上5μm未満、より好ましくは0.5μm以上3μm以下である。なお、本明細書において、RaはJIS B0601−2001に示される算術平均粗さであり、表面十点平均粗さRzjisは、JIS B0601−2001付属書1に示される十点平均粗さである。
導体層の形成方法は、密着性に優れる導体層を形成できるという観点より、無電解めっき法により行なうのが好ましい。
本発明の電子材料用基板は、上述した本発明の硬化物又は複合体からなるものである。このような本発明の硬化物又は複合体からなる本発明の電子材料用基板は、携帯電話機、PHS、ノート型パソコン、PDA(携帯情報端末)、携帯テレビ電話機、パーソナルコンピューター、スーパーコンピューター、サーバー、ルーター、液晶プロジェクタ、エンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置などの各種電子機器に好適に用いることができる。
テトラヒドロフランを展開溶媒として、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算値として求めた。
水素添加前における重合体中の不飽和結合のモル数に対する水素添加された不飽和結合のモル数の比率を、400MHzの1H−NMRスペクトル測定により求め、これを水素添加率とした。
硬化性エポキシ組成物のフィルム状硬化物から幅6mm、長さ15.4mm、厚さ40μmの小片を切り出し、支点間距離10mm、昇温速度10℃/分の条件で熱機械分析装置(TMA/SDTA840:メトラー・トレド社製)により測定して得た応力−温度曲線における変曲点に接線を引き、この接線の交点からフィルム状硬化物のガラス転移温度(Tg)を求めることで、耐熱性を評価した。ガラス転移温度が高いほど耐熱性に優れる。
厚さ35μmの電解銅箔の表面をエッチング剤(商品名「CZ−8101」、メック社製)で約1μmエッチングした。得られた電解銅箔のエッチング処理面に、硬化性エポキシ組成物のフィルム成形体の樹脂層側の面が接するように積層し、真空ラミネータにて、真空度1kPa以下、90℃、30秒間、圧力0.7MPaの条件で加熱圧着した。次に、フィルム成形体の前記樹脂層と反対側の面から支持体を剥がし、現れた樹脂層の表面に、前記エッチング剤で約2μmエッチングしたガラスエポキシ銅張積層板(FR−4)のエッチング処理面を重ね、真空ラミネータにて前記と同条件で加熱圧着した。そのようにして得られた複合成形体をオーブンにて180℃で90分間加熱することにより積層体硬化物を得た。得られた積層体硬化物からの銅箔の引きはがし強さをJIS C6481に準じて測定した。
硬化性エポキシ組成物のフィルム成形体について、6日間、室温下に保存した。次いで、内層回路基板(IPC MULTI−PURPOSE TESTBOARD No.IPC−B−25パターン、導体厚30μm、基板厚さ0.8mm)の両面に、保存後のフィルム成形体が接するように積層した。積層は、一次プレスは、耐熱ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータにて、200Paの減圧下で温度100℃、圧力0.7MPaで30秒間の加熱圧着にて行い、さらに、金属製プレス板を上下に備えた油圧プレス装置を用いて、圧着温度100℃、1MPaで60秒間、加熱圧着した。この積層体から支持フィルムを剥がし、180℃で60分間硬化した。硬化後、導体幅165μm、導体間隔165μmのくし型パターン部分の導体がある部分とない部分との段差を触針式段差膜厚計(Tencor Instruments製 P−10)にて測定し、以下の基準で、配線埋め込み平坦性を評価した。
○:段差が4μm未満
×:段差が4μm以上
多層プリント配線板を、260℃の半田浴槽上に60秒間フロートさせた後、フロート後の多層プリント配線板の外観観察を行い、以下の基準で評価した。
○:膨れが認められなかった。
×:膨れが認められた。
重合1段目として5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンを35モル部、1−ヘキセンを0.9モル部、アニソールを340モル部及びルテニウム系重合触媒として4−アセトキシベンジリデン(ジクロロ)(4,5−ジブロモ−1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(C1063、和光純薬社製)を0.005モル部、窒素置換した耐圧ガラス反応器に仕込み、攪拌下に80℃で30分間の重合反応を行ってノルボルネン系開環重合体の溶液を得た。
次いで、重合2段目として重合1段目で得た溶液中にテトラシクロ[6.5.0.12,5.08,13]トリデカ−3,8,10,12−テトラエンを45モル部、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物を20モル部、アニソールを250モル部及びC1063を0.01モル部追加し、攪拌下に80℃で1.5時間の重合反応を行ってノルボルネン系開環重合体の溶液を得た。この溶液について、ガスクロマトグラフィーを測定したところ、実質的に単量体が残留していないことが確認され、重合転化率は99%以上であった。
次いで、窒素置換した攪拌機付きオートクレーブに、得られた開環重合体の溶液を仕込み、C1063を0.03モル部を追加し、150℃、水素圧7MPaで、5時間攪拌させて水素添加反応を行って、ノルボルネン系開環重合体の水素添加物である脂環式オレフィン重合体(1)の溶液を得た。脂環式オレフィン重合体(1)の重量平均分子量は60,000、数平均分子量は30,000、分子量分布は2であった。また、水素添加率は95%であり、カルボン酸無水物基を有する繰り返し単位の含有率は20モル%であった。脂環式オレフィン重合体(1)の溶液の固形分濃度は22%であった。
(硬化性エポキシ組成物の調製)
エポキシ化合物(A)としてのビフェニルジメチレン骨格ノボラック型エポキシ樹脂(商品名「NC−3000L」、日本化薬社製、エポキシ当量269)80部、エポキシ化合物(A)としてのテトラキスヒドロキシフェニルエタン型エポキシ化合物(商品名「jER 1031S」、三菱化学社製、エポキシ当量200)20部、活性エステル化合物(B)としての活性エステル化合物(商品名「エピクロン HPC−8000−65T」、不揮発分65%のトルエン溶液、DIC社製、活性エステル基当量223)110.8部(活性エステル化合物換算で72部)、フェノールノボラック樹脂(C)としてのトリアジン構造含有クレゾールノボラック樹脂(商品名「フェノライト LA−3018−50P」、不揮発分50%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液、DIC社製、活性水酸基当量151)28部(トリアジン構造含有クレゾ−ルノボラック樹脂換算で14部)、充填剤としてのシリカ(商品名「SC2500−SXJ」、アドマテックス社製)359部、老化防止剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名「イルガノックス(登録商標)3114」、BASF社製)1部、及びシクロヘキサノン110部を混合し、遊星式攪拌機で3分間攪拌した。さらにこれに、2−フェニルイミダゾール(上記一般式(10)中、R5=フェニル基、R6=水素原子、R7=水素原子、MOPACによる3位の窒素原子の電荷量=−0.12033)をエタノールに30%溶解した溶液2部(2−フェニルイミダゾール換算で0.6部)を混合し、遊星式攪拌機で5分間攪拌して硬化性エポキシ組成物のワニスを得た。なお、ワニス中、充填剤の含有量は、固形分換算で51%であり、全固形分中の充填剤の含有量は、66%であった。
次いで、上記にて得られた硬化性エポキシ組成物のワニスを、ダイコーターを用いて、縦300mm×横300mmの大きさで厚さが38μm、表面平均粗度Raが0.08μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔支持体:ルミラー(登録商標)T60 東レ社製〕上に塗工し、次いで、窒素雰囲気下、80℃で10分間乾燥し、支持体上に厚さ43μmの硬化性エポキシ組成物のフィルム成形体を得た。得られたフィルム成形体を用い、上記方法に従って、銅箔の密着性及び配線埋め込み平坦性を評価した。結果を表1に示す。
次いで、厚さ10μmの銅箔に、得られた硬化性エポキシ組成物のフィルム成形体から切り出した小片を、支持体が付いた状態で、硬化性エポキシ組成物が内側になるようにして、耐熱性ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータを用い、200Paに減圧して、温度110℃、圧力0.1MPaで60秒間加熱圧着積層し、その後、支持体を剥がして180℃で120分間空気中で加熱硬化した。硬化後、銅箔付き硬化樹脂を切り出し、銅箔を1mol/Lの過硫酸アンモニウム水溶液にて溶解し、硬化性エポキシ組成物のフィルム状の硬化物を得た。得られた硬化性エポキシ組成物のフィルム状硬化物を用いて、上記方法に従って、ガラス転移温度の測定を行った。結果を表1に示す。
また、上記とは別に、合成例1にて得られた脂環式オレフィン重合体(1)の溶液454部〔脂環式オレフィン重合体(1)換算で100部〕、硬化剤としてのジシクロペンタジエン骨格を有する多価エポキシ化合物(商品名「エピクロン HP7200L」、DIC社製、「エピクロン」は登録商標)36部、無機充填剤としてのシリカ(商品名「アドマファイン SO−C1」、アドマテックス社製、平均粒子径0.25μm、「アドマファイン」は登録商標)24.5部、老化防止剤としてのトリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート(商品名「イルガノックス(登録商標)3114」、BASF社製)1部、紫外線吸収剤としての2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール0.5部、及び硬化促進剤としての1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール0.5部を、アニソールに混合して、配合剤濃度が16%になるように混合することで、被めっき層用樹脂組成物のワニスを得た。
上記にて得られた被めっき層用樹脂組成物のワニスを、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)上にワイヤーバーを用いて塗布し、次いで、窒素雰囲気下、80℃で10分間乾燥させて、未硬化の被めっき層用樹脂組成物からなる、厚み3μmの被めっき層が形成された支持体付きフィルムを得た。
次いで、上記とは別に、両面銅箔積層板(商品名「MCL−E−679FG」、日立化成工業製、銅厚み12μm、板厚0.6mm、縦50mm、横100mm)を、表面処理剤(商品名「メックエッチボンドCZ−8101」にて、エッチング深さ0.7μmでエッチング処理してなるコア基板を準備し、該コア基板の両面に、上記にて得られた支持体付き積層フィルムを150mm角に切断したものを、硬化性エポキシ組成物側の面が内側となるようにして貼り合わせた後、一次プレスを行った。一次プレスは、耐熱ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータにて、200Paの減圧下で温度100℃、圧力0.7MPaで30秒間の加熱圧着である。さらに、金属製プレス板を上下に備えた油圧プレス装置を用いて、圧着温度100℃、1MPaで60秒間、加熱圧着した。次いで支持体を剥がすことにより、硬化性エポキシ組成物及び被めっき層用樹脂組成物からなる樹脂層と内層基板との積層体を得た。さらに積層体を空気雰囲気下、180℃で60分間放置し、樹脂層を硬化させて内層基板上に電気絶縁層を形成した。
得られた積層体硬化物を、膨潤液(「スウェリング ディップ セキュリガント P」、アトテック社製、「セキュリガント」は登録商標)500mL/L、水酸化ナトリウム3g/Lになるように調製した60℃の水溶液に15分間揺動浸漬した後、水洗した。
次いで、過マンガン酸塩の水溶液(「コンセントレート コンパクト CP」、アトテック社製)640mL/L、水酸化ナトリウム濃度40g/Lになるように調製した80℃の水溶液に15分間揺動浸漬をした後、水洗した。
続いて、硫酸ヒドロキシルアミン水溶液(「リダクション セキュリガント P 500」、アトテック社製、「セキュリガント」は登録商標)100mL/L、硫酸35mL/Lになるように調製した40℃の水溶液に、積層体硬化物を5分間浸漬し、中和還元処理をした後、水洗した。
次いで、クリーナー・コンディショナー水溶液(「アルカップ MCC−6−A」、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)を濃度50ml/Lとなるよう調整した50℃の水溶液に積層体硬化物を5分間浸漬し、クリーナー・コンディショナー処理を行った。次いで40℃の水洗水に積層体硬化物を1分間浸漬した後、水洗した。
次いで、硫酸濃度100g/L、過硫酸ナトリウム100g/Lとなるように調製した水溶液に積層体硬化物を2分間浸漬しソフトエッチング処理を行った後、水洗した。
次いで、硫酸濃度100g/Lなるよう調製した水溶液に積層体硬化物を1分間浸漬し酸洗処理を行った後、水洗した。
次いで、アルカップ アクチベータ MAT−1−A(商品名、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が200mL/L、アルカップ アクチベータ MAT−1−B(上商品名、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が30mL/L、水酸化ナトリウムが0.35g/Lになるように調製した60℃のPd塩含有めっき触媒水溶液に積層体硬化物を5分間浸漬した後、水洗した。
続いて、アルカップ レデユーサ− MAB−4−A(商品名、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が20mL/L、アルカップ レデユーサ− MAB−4−B(商品名、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が200mL/Lになるように調整した水溶液に積層体硬化物を35℃で、3分間浸漬し、めっき触媒を還元処理した後、水洗した。
次いで、アルカップ アクセラレーター MEL−3−A(商品名、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が50mL/Lになるように調製した水溶液に積層体硬化物を25℃で、1分間浸漬した。
このようにして得られた積層体硬化物を、スルカップ PEA−6−A(商品名、上村工業社製、「スルカップ」は登録商標)100mL/L、スルカップ PEA−6−B−2X(商品名、上村工業社製)50mL/L、スルカップ PEA−6−C(商品名、上村工業社製)14mL/L、スルカップ PEA−6−D(商品名、上村工業社製)15mL/L、スルカップ PEA−6−E(商品名、上村工業社製)50mL/L、37%ホルマリン水溶液5mL/Lとなるように調製した無電解銅めっき液に空気を吹き込みながら、温度36℃で、20分間浸漬して無電解銅めっき処理して積層体硬化物表面(被めっき層用樹脂組成物からなる被めっき層の表面)に無電解めっき膜を形成した。
硬化性エポキシ組成物を調製する際に、2−フェニルイミダゾールのエタノール溶液の代わりに、2−フェニル−4−メチルイミダゾール(上記一般式(10)中、R5=フェニル基、R6=メチル基、R7=水素原子、MOPACによる3位の窒素原子の電荷量=−0.09538)0.6部を配合した以外は、実施例1と同様にして、硬化性エポキシ組成物のワニス、硬化性エポキシ組成物のフィルム成形体、(硬化性エポキシ組成物のフィルム状硬化物及び多層プリント配線板を得て、同様に測定、評価を行った。結果を表1に示す。
硬化性エポキシ組成物を調製する際に、2−フェニルイミダゾールのエタノール溶液の代わりに、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(1位に置換基として、ベンジル基を有するイミダゾール誘導体、MOPACによる3位の窒素原子の電荷量=−0.11744)をシクロヘキサノンに30%溶解した溶液7.6部(2−フェニルイミダゾール換算で2.3部)を配合した以外は、実施例1と同様にして、硬化性エポキシ組成物のワニス、硬化性エポキシ組成物のフィルム成形体、(硬化性エポキシ組成物のフィルム状硬化物及び多層プリント配線板を得て、同様に測定、評価を行った。結果を表1に示す。
硬化性エポキシ組成物を調製する際に、2−フェニルイミダゾールのエタノール溶液の代わりに、2−エチル−4−メチルイミダゾール(MOPACによる3位の窒素原子の電荷量=−0.12127)をシクロヘキサノンに30%溶解した溶液1.3部(2−フェニルイミダゾール換算で0.4部)を配合した以外は、実施例1と同様にして、硬化性エポキシ組成物のワニス、硬化性エポキシ組成物のフィルム成形体、(硬化性エポキシ組成物のフィルム状硬化物及び多層プリント配線板を得て、同様に測定、評価を行った。結果を表1に示す。
硬化性エポキシ組成物を調製する際に、活性エステル化合物(B)としての活性エステル化合物(商品名「エピクロン HPC−8000−65T」、DIC社製)の配合量を、固形分換算で72部から92部に変更するとともに、フェノールノボラック樹脂(C)としてのトリアジン構造含有クレゾールノボラック樹脂(商品名「フェノライト LA−3018−50P」、DIC社製)を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、硬化性エポキシ組成物のワニス、硬化性エポキシ組成物のフィルム成形体、(硬化性エポキシ組成物のフィルム状硬化物及び多層プリント配線板を得て、同様に測定、評価を行った。結果を表1に示す。
また、フェノールノボラック樹脂(C)を配合しない場合には、得られるフィルム状硬化物は、導体層に対する剥離強度及び6日間保存後の配線埋め込み平坦性に劣る結果となった(比較例3)。
Claims (11)
- エポキシ化合物(A)、
活性エステル化合物(B)、
フェノールノボラック樹脂(C)、
及びイミダゾール化合物(D)を
含む硬化性エポキシ組成物であって、
前記エポキシ化合物(A)は、ビフェニルジメチレン骨格ノボラック型エポキシ樹脂およびテトラキスヒドロキシフェニルエタン型エポキシ化合物の混合物であり、
前記イミダゾール化合物(D)は、置換基を有さない1位の窒素原子を有し、
前記イミダゾール化合物(D)は、フェニル基で置換された2位の炭素原子を有し、
前記イミダゾール化合物(D)は、半経験的分子軌道法によって計算される電荷量が−0.121以上である3位の窒素原子を有し、
前記イミダゾール化合物(D)は、非置換のC1からC3のアルキル基で置換された4位の炭素原子、またはヒドロキシ基もしくはシアノ基で置換されたC1からC3のアルキル基で置換された4位の炭素原子、または置換されていない4位の炭素原子を有し、
前記イミダゾール化合物(D)は、置換されていない5位の炭素を有する、
硬化性エポキシ組成物。 - 前記イミダゾール化合物(D)は、2−フェニルイミダゾールまたは2−フェニル−4−メチルイミダゾールである、
請求項1に記載の硬化性エポキシ組成物。 - 前記エポキシ化合物(A)100重量部に対する、前記イミダゾール化合物(D)の含有量が0.1から5重量部である
請求項1または2に記載の硬化性エポキシ組成物。 - 前記フェノールノボラック樹脂(C)が、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂である
請求項1から3のいずれか1項に記載の硬化性エポキシ組成物。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の硬化性エポキシ組成物からなる
フィルム。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の硬化性エポキシ組成物からなる接着層と、
被めっき層用樹脂組成物からなる被めっき層と、
を有し、
前記被めっき層は、一面上にめっきにより導体層を形成するためのものである、
積層フィルム。 - 請求項5に記載のフィルムまたは請求項6に記載の積層フィルムと、
繊維基材と、
からなるプリプレグ。 - 請求項5に記載のフィルム、
請求項6に記載の積層フィルムまたは
請求項7に記載のプリプレグを、
基材に積層してなる
積層体。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の硬化性エポキシ組成物、
請求項5に記載のフィルム、
請求項6に記載の積層フィルム、
請求項7に記載のプリプレグ、または
請求項8に記載の積層体を硬化してなる
硬化物。 - 請求項9に記載の硬化物の表面に導体層を形成してなる
複合体。 - 請求項9に記載の硬化物または請求項10に記載の複合体を構成材料として含む
電子材料用基板。
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