JP2016022646A - 積層体の製造方法 - Google Patents

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誠 藤村
英明 佐貫
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英明 佐貫
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Takashi Iga
隆志 伊賀
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Abstract

【課題】耐熱性(例えば、半田耐熱性)及び配線埋め込み性に優れ、シワやボイドなどの欠陥の発生が有効に防止された硬化樹脂層を備える積層体を製造するための方法を提供すること。
【解決手段】基材上に硬化樹脂層を形成してなる積層体を製造する方法であって、厚さ40〜80μmの支持体上に、80〜150℃における最低溶融粘度が1〜400Pa・sである熱硬化性樹脂組成物からなる硬化性樹脂組成物層を、厚さ3〜60μmの範囲で、かつ、前記支持体の厚みよりも薄い厚みで形成することで、支持体付き硬化性樹脂組成物層を得る第1工程と、前記支持体付き硬化性樹脂組成物層を、硬化性樹脂組成物層形成面側にて、基材に積層させることで、基材及び支持体付き硬化性樹脂組成物層からなる複合体を得る第2工程と、前記複合体を加熱し、前記硬化性樹脂組成物層を熱硬化させることで、硬化樹脂層とする第3工程と、前記硬化樹脂層から前記支持体を剥離する第4工程と、を備えることを特徴とする積層体の製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、基材上に硬化樹脂層を形成してなる積層体を製造する方法に関する。
電子機器の小型化、多機能化、通信高速化などの追求に伴い、電子機器に用いられる回路基板のさらなる高密度化が要求されており、このような高密度化の要求に応えるために、回路基板の多層化が図られている。このような多層回路基板は、例えば、電気絶縁層とその表面に形成された導体層とからなる内層基板の上に、電気絶縁層を積層し、この電気絶縁層の上に導体層を形成させ、さらに、これら電気絶縁層の積層と、導体層の形成と、を繰り返し行なうことにより形成される。
このような多層回路基板を形成するための積層体を製造する方法として、たとえば、特許文献1では、回路基板上に、無機充填材を35質量%以上含有する絶縁層と、該絶縁層表面に密着させたプラスチックフィルムとを形成してなる積層体を得て、該積層体に、プラスチックフィルム上から炭酸ガスレーザーを照射することで、トップ径が100μm以下のブラインドビアを形成する方法が開示されている。この特許文献1の技術では、ビア周辺の絶縁層表面に大きな凹凸を生じさせるに、ビア底径とトップ径との差が小さいブラインドビアを高い生産性で形成することを目的としている。
国際公開第2009/066759号
このような実状において、本発明者らが検討したところ、上述した特許文献1に記載の技術では、得られる絶縁層の表面にシワが発生してしまい、これにより絶縁層としての信頼性が十分でなく、さらには耐熱性にも劣るものであった。また、上記特許文献1の技術では、ボイドなどの欠陥が発生しやすいという課題や、樹脂層の配線埋め込み性が十分でないという課題もあった。
本発明の目的は、耐熱性(例えば、半田耐熱性)及び配線埋め込み性に優れ、シワやボイドなどの欠陥の発生が有効に防止された硬化樹脂層を備える積層体を製造するための方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、基材上に硬化樹脂層を形成してなる積層体を製造する方法において、支持体上に、熱硬化性樹脂組成物からなる硬化性樹脂組成物層を形成する際に、支持体として、厚さ40〜80μmの支持体を用い、また、熱硬化性樹脂組成物として、80〜150℃における最低溶融粘度が1〜400Pa・sである組成物を用い、かつ、熱硬化性樹脂組成物からなる硬化性樹脂組成物層を、厚さ3〜60μmの範囲で、しかも、支持体の厚みよりも薄い厚みで形成することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、
〔1〕基材上に硬化樹脂層を形成してなる積層体を製造する方法であって、厚さ40〜80μmの支持体上に、80〜150℃における最低溶融粘度が1〜400Pa・sである熱硬化性樹脂組成物からなる硬化性樹脂組成物層を、厚さ3〜60μmの範囲で、かつ、前記支持体の厚みよりも薄い厚みで形成することで、支持体付き硬化性樹脂組成物層を得る第1工程と、前記支持体付き硬化性樹脂組成物層を、硬化性樹脂組成物層形成面側にて、基材に積層させることで、基材及び支持体付き硬化性樹脂組成物層からなる複合体を得る第2工程と、前記複合体を加熱し、前記硬化性樹脂組成物層を熱硬化させることで、硬化樹脂層とする第3工程と、前記硬化樹脂層から前記支持体を剥離する第4工程と、を備えることを特徴とする積層体の製造方法、
〔2〕前記第3工程の熱硬化を、大気圧下で行うことを特徴とする前記〔1〕に記載の積層体の製造方法、
〔3〕前記支持体と、前記硬化性樹脂組成物層との間に、厚さ0.001〜10μmの他の樹脂層を形成する工程をさらに備える前記〔1〕または〔2〕に記載の積層体の製造方法、
〔4〕前記支持体として、表面に離型層を備えるフィルムを用いることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の積層体の製造方法、
〔5〕表面に離型層を備えるポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の積層体の製造方法、
〔6〕前記〔1〕〜〔5〕のいずれかの製造方法により得られる積層体、ならびに、
〔7〕前記〔6〕に記載の積層体の、前記硬化樹脂層上にさらに導体層を形成してなる多層回路基板、
が提供される。
本発明の製造方法によれば、耐熱性(例えば、半田耐熱性)及び配線埋め込み性に優れ、シワやボイドなどの欠陥の発生が有効に防止された硬化樹脂層を備える積層体、及びこれを用いて得られる多層回路基板を提供することができる。
本発明の積層体の製造方法は、基材上に硬化樹脂層を形成してなる積層体を製造する方法である。
すなわち、本発明の積層体の製造方法は、支持体上に、熱硬化性樹脂組成物からなる硬化性樹脂組成物層を形成し、支持体付き硬化性樹脂組成物層を得る第1工程と、
前記支持体付き硬化性樹脂組成物層を、硬化性樹脂組成物層形成面側にて、基材に積層させることで、基材及び支持体付き硬化性樹脂組成物層からなる複合体を得る第2工程と、
前記複合体を加熱し、前記硬化性樹脂組成物層を熱硬化させることで、硬化樹脂層とする第3工程と、
前記硬化樹脂層から前記支持体を剥離する第4工程と、を備える。
そして、本発明の積層体の製造方法は、支持体として、厚さ40〜80μmの支持体を用い、熱硬化性樹脂組成物として、80〜150℃における最低溶融粘度が1〜400Pa・sである組成物を用い、かつ、硬化性樹脂組成物層を、厚さ3〜60μmの範囲で、かつ、前記支持体の厚みよりも薄い厚みで形成することを特徴とするものである。
(第1工程)
本発明の製造方法の第1工程は、支持体上に、熱硬化性樹脂組成物からなる硬化性樹脂組成物層を形成し、支持体付き硬化性樹脂組成物層を得る工程である。
本発明の製造方法の第1工程で用いる支持体としては、厚みが40〜80μmであればよく特に限定されないが、厚みが45〜78μmであるものが好ましく、より好ましくは47〜55μmである。厚みの薄すぎる支持体を用いると、得られる硬化樹脂層にシワが発生してしまい、電気絶縁層としての信頼性に劣るものとなってしまう。一方、厚みの厚すぎる支持体を用いると、得られる硬化樹脂層が耐熱性(特に、半田耐熱性)に劣るものとなってしまう。
本発明の製造方法の第1工程で用いる支持体としては、その厚みが上記範囲にあるものであればよく特に限定されないが、フィルム状や板状等の部材を挙げることができ、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアリレートフィルム、ナイロンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等の高分子フィルムや、板状・フィルム状のガラス基材等が挙げられる。支持体としては、後述する第4工程において、硬化樹脂層からの剥離をより容易なものとするために、表面に離型処理による離型層を有するものが好ましく、特に、支持体を備えた状態にて、支持体側からレーザーを照射することにより、ビアホールやスルーホールを形成した際に、ビアホールやスルーホールを良好に形成できるという観点より、高分子フィルムが好ましく、離型層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましい。
なお、本発明の製造方法の第1工程で用いる支持体の表面粗さRaは、特に限定されないが、好ましくは1〜200nm、より好ましくは2〜170nm、さらに好ましくは3〜150nm、特に好ましくは4〜130nmである。表面粗さRaが小さすぎると、取扱い性が低下してしまい、生産効率が悪化する場合がある。一方、表面粗さRaが大きすぎると、硬化樹脂層から支持体を剥離した後における、硬化樹脂層の表面に凹凸形状が残存してしまい、硬化樹脂層の表面への微細配線の形成が困難となってしまう。
また、硬化性樹脂組成物層を形成するための熱硬化性樹脂組成物は、通常、硬化性樹脂と、硬化剤とを含有するものである。本発明においては、硬化性樹脂組成物層を形成するための熱硬化性樹脂組成物としては、80〜150℃における最低溶融粘度が1〜400Pa・sである組成物を用いる。80〜150℃における最低溶融粘度が低すぎると、得られる硬化樹脂層にシワが発生してしまい、電気絶縁層としての信頼性に劣るものとなってしまう。一方、上記温度範囲における最低溶融粘度が高すぎると、配線埋め込み性に劣るものとなってしまう。なお、本発明において、熱硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度は、例えば、熱硬化性樹脂組成物をフィルム化し、溶剤などの揮発成分を除去した状態(すなわち、硬化性樹脂組成物層とした状態)での最低溶融粘度である。
また、本発明で用いる熱硬化性樹脂組成物においては、80〜150℃における最低溶融粘度が1〜400Pa・sであればよいが、好ましくは85〜145℃における最低溶融粘度が1〜400Pa・s、より好ましくは90〜140℃における最低溶融粘度が1〜400Pa・s、さらに好ましくは95〜135℃における最低溶融粘度が1〜400Pa・sである。また、上記温度範囲における最低溶融粘度は、好ましくは2〜375Pa・sであり、より好ましくは4〜350Pa・s、さらに好ましくは5〜300Pa・sである。なお、最低溶融粘度は、例えば、回転式レオメーターを用いて、上述した温度範囲において、昇温速度5℃/分、周波数1Hzの条件で測定することができる。最低溶融粘度を、上述した好ましい範囲、さらには、より好ましい範囲、さらに好ましい範囲とすることにより、硬化樹脂層の配線埋め込み性をより高めることができる。
本発明で用いる熱硬化性樹脂組成物を形成するための硬化性樹脂としては、硬化剤と組み合わせることで熱硬化性を示し、かつ、電気絶縁性を有するものであれば、特に限定されないが、たとえば、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、トリアジン樹脂、脂環式オレフィン重合体、芳香族ポリエーテル重合体、ベンゾシクロブテン重合体、シアネートエステル重合体、ポリイミドなどが挙げられる。これらの樹脂は、それぞれ単独で、又は2種以上を組合せて用いられる。
以下においては、たとえば、硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を用いる場合を例示して説明する。
エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、たとえば、ビフェニル構造及び/又は縮合多環構造を有する多価エポキシ化合物(A)などを用いることができる。ビフェニル構造及び/又は縮合多環構造を有する多価エポキシ化合物(A)〔以下、多価エポキシ化合物(A)と略記することがある。〕は、1分子中に少なくとも2つのエポキシ基(オキシラン環)を有し、かつビフェニル構造及び縮合多環構造の少なくとも一方を有する化合物である。
前記ビフェニル構造とは、ベンゼン環が2つ単結合でつながった構造をいう。ビフェニル構造は、得られる硬化樹脂層において、通常、当該樹脂の主鎖を構成するが、側鎖に存在していてもよい。
また、前記縮合多環構造とは、2以上の単環が縮合(縮環)してなる構造をいう。縮合多環構造を構成する環は脂環であっても芳香環であってもよく、また、ヘテロ原子を含んだものであってもよい。縮合環数は特に限定されるものではないが、得られる硬化樹脂層の耐熱性や機械的強度を高める観点から、2環以上であるのが好ましく、実用上、その上限としては10環程度である。このような縮合多環構造としては、例えば、ジシクロペンタジエン構造、ナフタレン構造、フルオレン構造、アントラセン構造、フェナントレン構造、トリフェニレン構造、ピレン構造、オバレン構造などが挙げられる。縮合多環構造は、上述したビフェニル構造と同様に、得られる硬化樹脂層において、通常、硬化樹脂層中に含まれる樹脂の主鎖を構成するが、側鎖に存在していてもよい。
本発明で用いられる多価エポキシ化合物(A)は、ビフェニル構造、縮合多環構造、あるいは、ビフェニル構造と縮合多環構造との両方を有するものであるが、得られる硬化樹脂層の耐熱性や機械的強度を高める観点から、多価エポキシ化合物(A)としてはビフェニル構造を有するものが好ましく、ビフェニルアラルキル構造を有するものがより好ましい。
また、多価エポキシ化合物(A)として、ビフェニル構造を有するもの(ビフェニル構造と縮合多環構造との両方を有するものを含む。)と縮合多環構造を有するものとを併用する場合、硬化樹脂層の耐熱性や電気特性を向上させるという観点から、それらの配合割合は重量比(ビフェニル構造を有する多価エポキシ化合物/縮合多環構造を有する多価エポキシ化合物)で、通常、3/7〜7/3が好適である。
本発明で用いられる多価エポキシ化合物(A)は、1分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有し、かつビフェニル構造及び/又は縮合多環構造を有する化合物であれば、その構造は限定されないが、硬化樹脂層の耐熱性や機械的強度が優れるとの観点から、ビフェニル構造及び/又は縮合多環構造を有するノボラック型エポキシ化合物が好ましい。ノボラック型エポキシ化合物としてはフェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物などが挙げられる。
多価エポキシ化合物(A)としては、良好な硬化反応性が得られることから、そのエポキシ当量が、通常、100〜1500当量、好ましくは150〜500当量のものが好適である。なお、本明細書において「エポキシ当量」とは1グラム当量のエポキシ基を含むエポキシ化合物のグラム数(g/eq)であり、JIS K 7236の方法に従って測定することができる。
本発明で用いられる多価エポキシ化合物(A)は、公知の方法に従って適宜製造可能であるが、市販品としても入手可能である。
ビフェニル構造を有する多価エポキシ化合物(A)の市販品の例としては、ビフェニルアラルキル構造を有するノボラック型エポキシ化合物である、例えば、商品名「NC3000−FH、NC3000−H、NC3000、NC3000−L、NC3100」(以上、日本化薬社製);や、テトラメチルビフェニル構造を有するエポキシ化合物である、例えば、商品名「YX−4000」(以上、三菱化学社製);などが挙げられる。
また、縮合多環構造を有する多価エポキシ化合物(A)の市販品の例としては、ジシクロペンタジエン構造を有するノボラック型エポキシ化合物である、例えば、商品名「エピクロンHP7200L、エピクロンHP7200、エピクロンHP7200H、エピクロンHP7200HH、エピクロンHP7200HHH」(以上、DIC社製、「エピクロン」は登録商標)、商品名「Tactix556、Tactix756」(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製、「Tactix」は登録商標)、商品名「XD−1000−1L、XD−1000−2L」(以上、日本化薬社製)などが挙げられる。
以上の多価エポキシ化合物(A)は、それぞれ単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
また、本発明においては、ビフェニル構造及び/又は縮合多環構造を有する多価エポキシ化合物(A)を使用する場合においては、前記フェノールノボラック型エポキシ化合物以外の3価以上の多価グリシジル基含有エポキシ化合物(B)を併用してもよく、このような3価以上の多価グリシジル基含有エポキシ化合物(B)をさらに用いることにより、得られる硬化樹脂層の耐熱性や電気特性をより向上させることが可能となる。
フェノールノボラック型エポキシ化合物以外の3価以上の多価グリシジル基含有エポキシ化合物(B)としては、得られる硬化樹脂層の耐熱性や電気特性の観点でエポキシ当量が250以下の化合物が好ましく、220以下の化合物がより好ましい。
具体的には3価以上の多価フェノールのヒドロシキル基をグリシジル化した構造を有する多価フェノール型エポキシ化合物や、2価以上の多価アミノフェニル基含有化合物のアミノ基をグリシジル化したグリシジルアミン型エポキシ化合物や、前記フェノール構造やアミノフェニル構造を同一分子内に有する3価以上の化合物をグリシジル化した多価グリシジル基含有化合物など、が挙げられる。
3価以上の多価フェノールのヒドロシキル基をグリシジル化した構造を有する多価フェノール型エポキシ化合物としては、特に限定されないが、3価以上の多価ヒドロキシフェニルアルカン型エポキシ化合物が好ましい。ここで、3価以上の多価ヒドロキシフェニルアルカン型エポキシ化合物とは、3以上のヒドロキシフェニル基で置換された脂肪族炭化水素のヒドロキシル基をグリシジル化した構造を有する化合物である。
本発明で用いられる3価以上の多価グリシジル基含有エポキシ化合物(B)は、公知の方法に従って適宜製造可能であるが、市販品としても入手可能である。
例えば、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ化合物の市販品の例として、商品名「EPPN−503、EPPN−502H、EPPN−501H」(以上、日本化薬社製)、商品名「TACTIX−742」(以上、ダウ・ケミカル社製)、「jER 1032H60」(以上、三菱化学社製)等が挙げられる。また、テトラキスヒドロキシフェニルエタン型エポキシ化合物の市販品の例として、商品名「jER 1031S」(以上、三菱化学社製)等が挙げられる。グリシジルアミン型エポキシ化合物としては、4価のグリシジルアミン型エポキシ化合物として商品名「YH−434、YH−434L」(以上、新日鉄住金化学社製)、商品名「jER604」(以上、三菱化学社製)などが挙げられる。フェノール構造やアミノフェニル構造を同一分子内に有する3価以上の化合物をグリシジル化した多価グリシジル基含有化合物としては、3価のグリシジルアミン型エポキシ化合物としては商品名「jER630」(以上、三菱化学社製)などが挙げられる。
3価以上の多価グリシジル基含有エポキシ化合物(B)を併用する場合における、3価以上の多価グリシジル基含有エポキシ化合物(B)の含有割合は、特に限定されないが、用いるエポキシ化合物の合計100重量%中、好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは3〜25重量%である。熱硬化性樹脂組成物中における、3価以上の多価グリシジル基含有エポキシ化合物(B)の含有量を、上述した多価エポキシ化合物(A)との関係で、上記範囲とすることにより、得られる硬化樹脂層の耐熱性、電気特性、及び導体層に対する密着性をより高めることができる。
また、本発明で用いる熱硬化性樹脂組成物には、上述した多価エポキシ化合物(A)及び3価以上の多価グリシジル基含有エポキシ化合物(B)に加えて、所望により、それらのエポキシ化合物以外のその他のエポキシ化合物を適宜含有させてもよい。このようなその他のエポキシ化合物としては、例えば、リン含有エポキシ化合物を挙げることができる。リン含有エポキシ化合物としてはホスファフェナントレン構造を有するエポキシ化合物を好適に挙げることができ、このようなホスファフェナントレン構造を有するエポキシ化合物をさらに用いることにより、得られる硬化樹脂層の耐熱性、電気特性及び導体層に対する密着性のさらなる向上が可能となる。
ホスファフェナントレン構造を有するエポキシ化合物としては、下記式(1)で示されるホスファフェナントレン構造を有するエポキシ化合物であればよく、特に限定されないが、例えば、ホスファフェナントレン構造を有するビフェニル型エポキシ化合物、ホスファフェナントレン構造を有するビスフェノール型エポキシ化合物、ホスファフェナントレン構造を有するフェノール系ノボラック型エポキシ化合物などが挙げられる。
Figure 2016022646
ホスファフェナントレン構造を有するビフェニル型エポキシ化合物としては、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド又はその誘導体を用いてビフェニル型エポキシ樹脂を公知の方法で変性することにより得られる、各種のホスファフェナントレン構造を有するビフェニル型エポキシ化合物などが挙げられる。このような化合物の例として、特に限定されないが、テトラメチルビフェニル構造を有するエポキシ化合物である三菱化学社製のYX−4000を、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドを用いて変性して得られるエポキシ化合物などが挙げられる。
また、ホスファフェナントレン構造を有するビスフェノール型エポキシ化合物としては、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド又はその誘導体を用いて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂を公知の方法で変性することにより得られる各種のホスファフェナントレン構造を有するビスフェノール型エポキシ化合物などが挙げられる。このような化合物の例として、特に限定されないが、新日鉄住金化学社製のFX305EK70が挙げられる。
さらに、ホスファフェナントレン構造を有するフェノール系ノボラック型エポキシ化合物としては、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド又はその誘導体を用いて、フェノール系ノボラック型エポキシ樹脂を公知の方法で変性することにより得られる各種のホスファフェナントレン構造を有するフェノール系ノボラック型エポキシ化合物などが挙げられる。このような化合物の例として、特に限定されないが、例えば、新日鉄住金化学社製のFX289BEK75が挙げられる。
ホスファフェナントレン構造を有するエポキシ化合物としては、その分子内にエポキシ基を1つ以上有するものであればよいが、架橋密度を向上させることでき、これにより、得られる硬化樹脂層の難機械的強度や耐熱性、線膨張率の低下、ひいては電気特性の向上を可能とすることができるという点より、分子内に少なくとも2つのエポキシ基を有する多価エポキシ化合物であることが好ましい。
本発明で用いる熱硬化性樹脂組成物に、その他のエポキシ化合物としてのホスファフェナントレン構造を有するエポキシ化合物を含有させる場合における、ホスファフェナントレン構造を有するエポキシ化合物の含有割合は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物中に含有されるエポキシ化合物の合計100重量%中、好ましくは20〜90重量%、より好ましくは30〜70重量%である。
なお、その他のエポキシ化合物としては、ホスファフェナントレン構造を有するエポキシ化合物の他に、あるいは、これに加えて、脂環式エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、トリスフェノール型エポキシ化合物、テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン型エポキシ化合物、脂肪族鎖状エポキシ化合物などを用いてもよく、これらは適宜市販品として入手可能である。
また、本発明で用いられる熱硬化性樹脂組成物には、トリアジン構造含有フェノール樹脂(C)を含有させてもよい。トリアジン構造含有フェノール樹脂(C)とは、フェノール、クレゾール及びナフトールなどの芳香族ヒドロキシ化合物と、メラミンやベンゾグアナミンなどのトリアジン環を有する化合物と、ホルムアルデヒドと、の縮合重合物である。トリアジン構造含有フェノール樹脂(C)は、典型的には、下記一般式(2)で表される構造を有する。
Figure 2016022646
(式(2)中、R、Rは水素原子又はメチル基であり、pは1〜30の整数である。また、R、Rは、それぞれ同一であっても互いに異なっていてもよく、さらに、pが2以上の場合、複数のRは、それぞれ同一であっても互いに異なっていてもよい。また、式(2)中において、少なくとも一方のアミノ基については、アミノ基中に含有される水素原子が、他の基(たとえば、アルキル基等)で置換されていてもよい。)
トリアジン構造含有フェノール樹脂(C)は、フェノール性の活性水酸基の存在により、エポキシ化合物の硬化剤として作用し、特に、トリアジン構造含有フェノール樹脂(C)を含有することで、得られる硬化樹脂層は、基板に対し優れた密着性を示すものとなる。
トリアジン構造含有フェノール樹脂(C)は、公知の方法に従い製造することができるが、市販品としても入手可能である。このような市販品の例としては、商品名「LA7052、LA7054、LA3018、LA1356」(以上、DIC社製)などが挙げられる。
以上のトリアジン構造含有フェノール樹脂(C)は、それぞれ単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂組成物中における、トリアジン構造含有フェノール樹脂(C)の配合量は、用いるエポキシ化合物の合計100重量部に対して、好ましくは1〜60重量部、より好ましくは2〜50重量部、さらに好ましくは3〜40重量部、特に好ましくは4〜20重量部の範囲である。
また、本発明で用いられる熱硬化性樹脂組成物中、用いるエポキシ化合物とトリアジン構造含有フェノール樹脂(C)との当量比〔用いるエポキシ化合物のエポキシ基の合計数に対する、トリアジン構造含有フェノール樹脂(C)の活性水酸基量の合計数の比率(活性水酸基量/エポキシ基量)〕は、好ましくは0.01〜0.6、より好ましくは0.05〜0.4、さらに好ましくは0.1〜0.3の範囲である。トリアジン構造含有フェノール樹脂(C)の配合量を上記範囲とすることにより、得られる硬化樹脂層の電気特性、及び耐熱性をより向上させることができる。なお、用いるエポキシ化合物とトリアジン構造含有フェノール樹脂(C)との当量比は、用いるエポキシ化合物の総エポキシ当量と、トリアジン構造含有フェノール樹脂(C)の総活性水酸基当量とから求めることができる。
また、本発明で用いられる熱硬化性樹脂組成物は、上記各成分に加えて、活性エステル化合物(D)を含有していることが好ましい。活性エステル化合物(D)としては、活性エステル基を有するものであればよいが、本発明においては、分子内に少なくとも2つの活性エステル基を有する化合物が好ましい。活性エステル化合物(D)は、加熱によりエステル部位とエポキシ基が反応することで、上述したトリアジン構造含有フェノール樹脂(C)と同様に、本発明で用いられるエポキシ化合物の硬化剤として作用する。
活性エステル化合物(D)としては、得られる硬化樹脂層の耐熱性を高めるなどの観点から、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物と、ヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物とを反応させたものから得られる活性エステル化合物が好ましく、カルボン酸化合物と、フェノール化合物、ナフトール化合物及びチオール化合物からなる群から選択される1種又は2種以上とを反応させたものから得られる活性エステル化合物がより好ましく、カルボン酸化合物とフェノール性水酸基を有する芳香族化合物とを反応させたものから得られ、かつ、分子内に少なくとも2つの活性エステル基を有する芳香族化合物が特に好ましい。活性エステル化合物(D)は、直鎖状又は多分岐状であってもよく、活性エステル化合物(D)が、少なくとも2つのカルボン酸を分子内に有する化合物に由来する場合を例示すると、このような少なくとも2つのカルボン酸を分子内に有する化合物が、脂肪族鎖を含む場合には、エポキシ化合物との相溶性を高くすることができ、また、芳香族環を有する場合には、耐熱性を高くすることができる。
活性エステル化合物(D)を形成するためのカルボン酸化合物の具体例としては、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。これらのなかでも、得られる硬化樹脂層の耐熱性を高める観点より、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸がより好ましく、イソフタル酸、テレフタル酸がさらに好ましい。
活性エステル化合物(D)を形成するためのチオカルボン酸化合物の具体例としては、チオ酢酸、チオ安息香酸等が挙げられる。
活性エステル化合物(D)を形成するためのヒドロキシ化合物の具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。中でも、活性エステル化合物(D)の溶解性を向上させると共に、得られる硬化樹脂層の耐熱性を高める観点から、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックが好ましく、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックがより好ましく、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックがさらに好ましい。
活性エステル化合物(D)を形成するためのチオール化合物の具体例としては、ベンゼンジチオール、トリアジンジチオール等が挙げられる。
活性エステル化合物(D)の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができる。例えば、前記したカルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得ることができる。
活性エステル化合物(D)として、例えば、特開2002−12650号公報に開示されている活性エステル基を持つ芳香族化合物及び特開2004−277460号公報に開示されている多官能性ポリエステルや、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、商品名「EXB9451、EXB9460、EXB9460S、エピクロン HPC−8000−65T」(以上、DIC社製、「エピクロン」は登録商標)、商品名「DC808」(ジャパンエポキシレジン社製)、商品名「YLH1026」(ジャパンエポキシレジン社製)などが挙げられる。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂組成物中における、活性エステル化合物(D)の配合量は、用いるエポキシ化合物の合計100重量部に対して、好ましくは10〜150重量部、より好ましくは15〜130重量部、さらに好ましくは20〜120重量部の範囲である。
また、本発明で用いられる熱硬化性樹脂組成物中、用いるエポキシ化合物と活性エステル化合物(D)との当量比〔用いるエポキシ化合物のエポキシ基の合計数に対する、活性エステル(D)の反応性基の合計数の比率(活性エステル基量/エポキシ基量)〕は、好ましくは、0.5〜1.1、より好ましくは0.6〜0.9、さらに好ましくは0.65〜0.85の範囲である。
また、本発明で用いられる熱硬化性樹脂組成物中、用いるエポキシ化合物と、トリアジン構造含有フェノール樹脂(C)及び活性エステル化合物(D)と、の当量比{トリアジン構造含有フェノール樹脂(C)の活性水酸基と活性エステル化合物(D)の活性エステル基との合計数に対する、用いるエポキシ化合物のエポキシ基の合計数の比率〔エポキシ基量/(活性水酸基量+活性エステル基量)〕}は、通常、1.2未満、好ましくは0.6〜1.15、より好ましくは0.8〜1.1の範囲である。上記当量比を上記範囲とすることにより、得られる硬化樹脂層において電気特性を良好に発揮させることができる。なお、用いるエポキシ化合物と、トリアジン構造含有フェノール樹脂(C)及び活性エステル化合物(D)と、の当量比は用いるエポキシ化合物の総エポキシ当量、トリアジン構造含有フェノール樹脂(C)の総活性水酸基当量及び活性エステル化合物(D)の総活性エステル当量とから求めることができる。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂組成物には、上記各成分に加えて、以下に記載するような、その他の成分をさらに含有させることができる。
熱硬化性樹脂組成物に充填剤を配合することにより、得られる硬化樹脂層を低線膨張性のものとすることができる。当該充填剤としては、公知の無機充填剤及び有機充填剤のいずれをも用いることができるが、無機充填剤が好ましい。無機充填剤の具体例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、水和アルミナ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレーなどを挙げることができる。なお、用いる充填剤は、シランカップリング剤等で予め表面処理されたものであってもよい。本発明で用いられる熱硬化性樹脂組成物中の充填剤の含有量としては、特に限定されるものではないが、固形分換算で、通常、30〜90重量%、好ましくは50〜85重量%、より好ましくは60〜80重量%である。
また、熱硬化性樹脂組成物に、極性基を有する脂環式オレフィン重合体を配合することができる。前記極性基としては、エポキシ基と反応して共有結合を形成可能な構造を有する基、及びヘテロ原子を含有し、かつエポキシ基に対する反応性を有さない基が挙げられ、ヘテロ原子を含有し、かつエポキシ基に対する反応性を有さない基が好ましい。このような脂環式オレフィン重合体はエポキシ基に対する反応性を有さないものであるが、そのため、エポキシ基に対する反応性を有する官能基を実質的に含有しないものである。ここで、「エポキシ基に対する反応性を有する官能基を実質的に含有しない」とは、脂環式オレフィン重合体が、エポキシ基に対する反応性を有する官能基を、本発明の効果の発現が阻害される程度には含有しないことを意味する。エポキシ基に対する反応性を有する官能基としては、エポキシ基と反応して共有結合を形成可能な構造を有する基が挙げられ、例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、ヒドロキシ基、及びエポキシ基などの、エポキシ基と反応して共有結合を形成するヘテロ原子含有官能基が挙げられる。
上記脂環式オレフィン重合体は、例えば、ヘテロ原子を含有せず芳香環を含有する脂環式オレフィン単量体(a)、芳香環を含有せずヘテロ原子を含有する脂環式オレフィン単量体(b)、芳香環とヘテロ原子とを共に含有する脂環式オレフィン単量体(c)、及び芳香環とヘテロ原子とを共に含有せず、前記脂環式オレフィン単量体(a)〜(c)と共重合可能な単量体(d)を適宜組み合わせ、公知の方法に従って重合することで容易に得ることができる。得られる重合体には、さらに水素添加を行ってもよい。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂組成物中における、極性基を有する脂環式オレフィン重合体の配合量としては、特に限定されるものではないが、用いるエポキシ化合物の合計100重量部に対して、通常、50重量部以下、好ましくは35重量部以下である。
熱硬化性樹脂組成物には、所望により、硬化促進剤を含有させてもよい。硬化促進剤としては特に限定されないが、例えば、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、第2級アミン、第3級アミン、酸無水物、イミダゾール誘導体、有機酸ヒドラジド、ジシアンジアミド及びその誘導体、尿素誘導体などが挙げられる。中でも、イミダゾール誘導体が特に好ましい。
イミダゾール誘導体としては、イミダゾール骨格を有する化合物であればよく、特に限定されないが、例えば、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、ビス−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−メチル−2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどのアルキル置換イミダゾール化合物;2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−エチル−4−メチル−1−(2’−シアノエチル)イミダゾールなどのアリール基やアラルキル基などの環構造を含有する炭化水素基で置換されたイミダゾール化合物などが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂組成物中における、硬化促進剤の配合量としては、用いるエポキシ化合物の合計100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜8重量部である。
さらに、熱硬化性樹脂組成物には、得られる硬化樹脂層の難燃性を向上させる目的で、例えば、ハロゲン系難燃剤やリン酸エステル系難燃剤などの一般の電気絶縁膜形成用の樹脂組成物に配合される難燃剤を適宜配合してもよい。
また、本発明で用いられる熱硬化性樹脂組成物には、さらに所望により、難燃助剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、紫外線吸収剤(レーザー加工性向上剤)、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、天然油、合成油、ワックス、乳剤、磁性体、誘電特性調整剤、靭性剤などの公知の成分を適宜配合してもよい。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂組成物の調製方法としては、特に限定されるものではなく、上記各成分を、そのまま混合してもよいし、有機溶剤に溶解もしくは分散させた状態で混合してもよいし、上記各成分の一部を有機溶剤に溶解又は分散させた状態の組成物を調製し、当該組成物に残りの成分を混合してもよい。
本発明の製造方法の第1工程においては、以上説明した熱硬化性樹脂組成物を用いて、該熱硬化性樹脂組成物からなる硬化性樹脂組成物層を、支持体上に形成することで、支持体付き硬化性樹脂組成物層を得ることができる。
支持体上に、熱硬化性樹脂組成物からなる硬化性樹脂組成物層を形成する方法としては、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物を、所望により有機溶剤を添加して、支持体に塗布、散布又は流延し、次いで乾燥する方法が好ましい。
本発明においては、硬化性樹脂組成物層の厚みは、厚さ3〜60μmの範囲で、かつ、支持体の厚みよりも薄い厚みとする。硬化性樹脂組成物層の厚みは、好ましくは4〜55μm、より好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは6〜45μmである。硬化性樹脂組成物層の厚みを3μm未満とすると、得られる硬化樹脂層の厚みも薄くなり過ぎてしまい、電気絶縁層としての信頼性に劣るものとなってしまう。また、硬化性樹脂組成物層の厚みを60μm超とすると、得られる硬化樹脂層の耐熱性、特に半田耐熱性が悪化してしまう。また、硬化性樹脂組成物層の厚みを、支持体の厚みよりも厚くすると、得られる硬化樹脂層にシワが発生してしまい、電気絶縁層としての信頼性に劣るものとなったり、また、得られる硬化樹脂層の耐熱性、特に半田耐熱性が悪化してしまう。
なお、硬化性樹脂組成物層は、厚みが上記範囲にあり、かつ、支持体の厚みよりも薄い厚みで形成されていればよいが、硬化性樹脂組成物層の厚みは、支持体の厚みよりも3μm以上薄いものとすることが好ましく、支持体の厚みよりも9μm以上薄いものとすることがより好ましい。また、支持体の厚みに対する、硬化性樹脂組成物層の厚みの比は、特に限定されないが、硬化樹脂層とした際における、配線埋め込み性をより高めることができるという観点より、支持体の厚みに対する硬化性樹脂組成物層の厚みの比「硬化性樹脂組成物層の厚み/支持体の厚み」が0.1〜0.9の範囲であることが好ましく、0.15〜0.85の範囲であることが好ましい。
熱硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、ディップコート、ロールコート、カーテンコート、ダイコート、スリットコート、グラビアコートなどが挙げられる。
なお、硬化性樹脂組成物層としては、熱硬化性樹脂組成物が未硬化である場合の他、半硬化の状態であってもよい。ここで未硬化とは、硬化性樹脂組成物層を、熱硬化性樹脂組成物の調製に用いた硬化性樹脂(たとえば、エポキシ樹脂)を溶解可能な溶剤に浸けたときに、実質的に硬化性樹脂の全部が溶解する状態をいう。また、半硬化とは、さらに加熱すれば硬化しうる程度に途中まで硬化された状態であり、好ましくは、熱硬化性樹脂組成物の調製に用いた硬化性樹脂を溶解可能な溶剤に硬化性樹脂の一部(具体的には7重量%以上の量であり、かつ、一部が残存するような量)が溶解する状態であるか、又は、溶剤中に成形体を24時間浸漬した後の体積が、浸漬前の体積の200%以上(膨潤率)になる状態をいう。
また、熱硬化性樹脂組成物を、支持体上に塗布した後、所望により、乾燥を行ってもよい。乾燥温度は、熱硬化性樹脂組成物が硬化しない程度の温度とすることが好ましく、用いる硬化性樹脂の種類に応じて設定すればよいが、通常、20〜300℃、好ましくは30〜200℃である。乾燥温度が高すぎると、硬化反応が進行しすぎて、得られる硬化性樹脂組成物層が未硬化あるいは半硬化の状態とならなくなるおそれがある。また、乾燥時間は、通常、30秒間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間である。
また、本発明の製造方法の第1工程においては、支持体と、硬化性樹脂組成物層との間に、他の樹脂層を形成してもよい。すなわち、本発明においては、第1工程で得られる支持体付き硬化性樹脂組成物層を、支持体上に、他の樹脂層及び硬化性樹脂組成物層をこの順に備えるものとしてもよい。なお、この場合において、例えば、他の樹脂層を、無電解めっきなどにより導体層を形成するための被めっき層として、また、硬化性樹脂組成物層を、基材と接着するための接着層として用いることができる。なお、他の樹脂層は、後述する第3工程において硬化させた後には、上述した熱硬化性樹脂組成物から形成される硬化性樹脂組成物層とともに、硬化樹脂層を形成することとなる。
このような他の樹脂層の厚みは、好ましくは0.001〜10μmであり、より好ましくは0.1〜8μm、さらに好ましくは1〜5μmである。他の樹脂層の厚みが薄すぎると、他の樹脂層を被めっき層として用い、無電解めっきにより導体層を形成した際における、導体層の形成性が低下してしまうおそれがある。一方、他の樹脂層の厚みが厚すぎると、硬化樹脂層の耐熱性が低下してしまうおそれがある。
他の樹脂層は、たとえば、上述した硬化性樹脂組成物層を形成するための熱硬化性樹脂組成物とは異なる他の樹脂層用組成物を用いて、形成することができる。他の樹脂層用組成物としては、特に限定ないが、通常、上述した熱硬化性樹脂組成物とは異なる硬化性樹脂と、硬化剤とを含有するものを用いることができるが、得られる硬化樹脂層の電気特性及び耐熱性を向上させるという観点より、硬化性樹脂として、極性基を有する脂環式オレフィン重合体を含有するものが好ましい。
極性基を有する脂環式オレフィン重合体としては、特に限定されず、脂環式構造として、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造などを有するものが挙げられる。機械的強度や耐熱性などに優れることから、シクロアルカン構造を有するものが好ましい。また、脂環式オレフィン重合体に含有される極性基としては、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミノ基、カルボン酸無水物基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられる。中でも、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、及びフェノール性水酸基が好ましく、カルボン酸無水物基がより好ましい。
また、他の樹脂層用組成物に含有させる硬化剤としては、加熱により極性基を有する脂環式オレフィン重合体に架橋構造を形成させることのできるものであればよく、特に限定されず、一般の電気絶縁膜形成用の樹脂組成物に配合される硬化剤を用いることができる。硬化剤としては、用いる極性基を有する脂環式オレフィン重合体の極性基と反応して結合を形成することができる官能基を2個以上有する化合物を用いるのが好ましい。
例えば、極性基を有する脂環式オレフィン重合体として、カルボキシル基やカルボン酸無水物基、フェノール性水酸基を有する脂環式オレフィン重合体を用いる場合に好適に用いられる硬化剤としては、多価エポキシ化合物、多価イソシアナート化合物、多価アミン化合物、多価ヒドラジド化合物、アジリジン化合物、塩基性金属酸化物、有機金属ハロゲン化物などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。また、これらの化合物と、過酸化物とを併用することで硬化剤として用いてもよい。
中でも、硬化剤としては、極性基を有する脂環式オレフィン重合体が有する極性基との反応性が緩やかであり、他の樹脂層用組成物の扱いが容易になることから、多価エポキシ化合物が好ましく、グリシジルエーテル型エポキシ化合物や脂環式の多価エポキシ化合物が特に好ましく用いられる。
他の樹脂層用組成物中における、硬化剤の配合量は、極性基を有する脂環式オレフィン重合体100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは5〜80重量部、さらに好ましくは10〜50重量部の範囲である。硬化剤の配合量を上記範囲とすることにより、硬化樹脂層の機械的強度及び電気特性を良好なものとすることができる。
また、他の樹脂層用組成物は、上記成分以外に、ヒンダードフェノール化合物やヒンダードアミン化合物を含有していてもよい。
ヒンダードフェノール化合物とは、ヒドロキシル基を有し、かつ、該ヒドロキシル基のβ位の炭素原子に水素原子を有さないヒンダード構造を分子内に少なくとも1つ有するフェノール化合物である。ヒンダードフェノール化合物の具体例としては、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、n−オクタデシル−3−(4′−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル・フェニル)プロピオネート、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンなどが挙げられる。
他の樹脂層用組成物中における、ヒンダードフェノール化合物の配合量は、特に限定されないが、極性基を有する脂環式オレフィン重合体100重量部に対して、好ましくは0.04〜10重量部、より好ましくは0.3〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部の範囲である。ヒンダードフェノール化合物の配合量を上記範囲とすることにより、硬化樹脂層の機械的強度を良好とすることができる。
また、ヒンダードアミン化合物とは、4−位に2級アミン又は3級アミンを有する2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン基を分子中に少なくとも一個有する化合物である。アルキルの炭素数としては、通常、1〜50である。ヒンダードアミン化合物としては、4−位に2級アミン又は3級アミンを有する2,2,6,6−テトラメチルピペリジル基を分子中に少なくとも一個有する化合物が好ましい。なお、本発明においては、ヒンダードフェノール化合物と、ヒンダードアミン化合物とを併用することが好ましく、これらを併用することにより、硬化樹脂層について過マンガン酸塩の水溶液などを用いて、表面粗化処理を行なった場合に、表面粗化処理条件が変化した場合でも、表面粗化処理後の硬化物を表面粗度の低いものに保つことが可能となる。
ヒンダードアミン化合物の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1〔2−{3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−4−{3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,2,3−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオンなどが挙げられる。
ヒンダードアミン化合物の配合量は、特に限定されないが、極性基を有する脂環式オレフィン重合体100重量部に対して、通常、0.02〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.25〜3重量部である。ヒンダードアミン化合物の配合量を上記範囲とすることにより、硬化樹脂層の機械的強度を良好とすることができる。
また、他の樹脂層用組成物は、上記成分以外に、硬化促進剤を含有していてもよい。硬化促進剤としては、一般の電気絶縁膜形成用の樹脂組成物に配合される硬化促進剤を用いればよいが、例えば、上述した熱硬化性樹脂組成物と同様の硬化促進剤を用いることができる。他の樹脂層用組成物中における、硬化促進剤の配合量は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、極性基を有する脂環式オレフィン重合体100重量部に対して、好ましくは0.001〜30重量部、より好ましくは0.01〜10重量部、さらに好ましくは0.03〜5重量部である。
さらに、他の樹脂層用組成物は、上記成分以外に、充填剤を含有していてもよい。充填剤としては、上述した熱硬化性樹脂組成物に用いられる充填剤と同様のものを用いることができる。他の樹脂層用組成物中における、充填剤の配合量は、固形分換算で、通常、1〜50重量%であり、好ましくは2〜45重量%、より好ましくは3〜35重量%である。
また、他の樹脂層用組成物は、上記成分以外に、上述した熱硬化性樹脂組成物と同様に、硬化促進剤、難燃剤、難燃助剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、紫外線吸収剤(レーザー加工性向上剤)、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、天然油、合成油、ワックス、乳剤、磁性体、誘電特性調整剤、靭性剤などの公知の成分を適宜配合してもよい。
他の樹脂層用組成物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、上記各成分を、そのまま混合してもよいし、有機溶剤に溶解若しくは分散させた状態で混合してもよいし、上記各成分の一部を有機溶剤に溶解若しくは分散させた状態の組成物を調製し、当該組成物に残りの成分を混合してもよい。
本発明の製造方法の第1工程において、支持体と、硬化性樹脂組成物層との間に、他の樹脂層を形成する場合には、例えば、以下の2つの方法を用いればよい。すなわち、(1)他の樹脂層用組成物を支持体上に塗布、散布又は流延し、所望により乾燥させ他の樹脂層を形成し、次いで、その上に、熱硬化性樹脂組成物をさらに塗布又は流延し、所望により乾燥させることにより硬化性樹脂組成物層を形成することにより製造する方法や、(2)他の樹脂層用組成物を支持体上に塗布、散布又は流延し、所望により乾燥させて得られた支持体付き他の樹脂層と、熱硬化性樹脂組成物を別の支持体上に塗布、散布又は流延し、所望により乾燥させて、支持体付き硬化性樹脂組成物層とを得て、これらを積層し、これらの成形体を一体化させ、他の樹脂層側の支持体を剥離することにより製造する方法、により製造することができる。これらの製造方法の内、より容易なプロセスであり生産性に優れることから、上記(1)の製造方法が好ましい。
上述の(1)の製造方法において、他の樹脂層用組成物を支持体に塗布、散布又は流延する際、及び他の樹脂層用組成物を用いて形成された他の樹脂層上に熱硬化性樹脂組成物を塗布、散布又は流延する際、あるいは上述の(2)の製造方法において、他の樹脂層用組成物及び熱硬化性樹脂組成物を用いて、支持体付き他の樹脂層及び支持体付き硬化性樹脂組成物層を得る際には、他の樹脂層用組成物又は熱硬化性樹脂組成物を、所望により有機溶剤を添加して、支持体に塗布、散布又は流延することが好ましい。
他の樹脂層用組成物及び熱硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、ディップコート、ロールコート、カーテンコート、ダイコート、スリットコート、グラビアコートなどが挙げられる。
また、乾燥温度は、他の樹脂層用組成物及び熱硬化性樹脂組成物が硬化しない程度の温度とすることが好ましく、通常、20〜300℃、好ましくは30〜200℃である。また、乾燥時間は、通常、30秒間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間である。
(第2工程)
本発明の製造方法の第2工程は、上述した第1工程で得られた支持体付き硬化性樹脂組成物層を、硬化性樹脂組成物層形成面側にて、基材に積層させることで、基材及び支持体付き硬化性樹脂組成物層からなる複合体を得る工程である。
基材としては、特に限定されないが、たとえば、表面に導体層を有する基板などが挙げられる。表面に導体層を有する基板は、電気絶縁性基板の表面に導体層を有するものであり、電気絶縁性基板としては、公知の電気絶縁材料(例えば、脂環式オレフィン重合体、エポキシ化合物、マレイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、トリアジン樹脂、ポリフェニレンエーテル、ガラス等)を含有する樹脂組成物を硬化して形成されたものなどが挙げられる。また、導体層は、特に限定されないが、通常、導電性金属等の導電体により形成された配線を含む層であって、更に各種の回路を含んでいてもよい。配線や回路の構成、厚み等は、特に限定されない。表面に導体層を有する基板の具体例としては、プリント配線基板、シリコンウェーハ基板等を挙げることができる。表面に導体層を有する基板の厚みは、通常、10μm〜10mm、好ましくは20μm〜5mm、より好ましくは30μm〜2mmである。なお、表面に導体層を有する基板における配線の高さ(厚み)は、通常、3〜35μmである。また、硬化樹脂層とした際における、配線埋め込み性及び絶縁信頼性をより良好なものとするという観点より、硬化性樹脂組成物層の厚さと、表面に導体層を有する基板における配線の高さ(厚み)との差「硬化性樹脂組成物層の厚さ−配線の高さ(厚み)」は、35μm以下であることが好ましく、3〜30μmであることがより好ましい。
また、本発明で用いられる表面に導体層を有する基板は、硬化性樹脂組成物層との密着性を向上させるために、導体層表面に前処理が施されていることが好ましい。前処理の方法としては、公知の技術を、特に限定されず使用することができる。例えば、導体層が銅からなるものであれば、強アルカリ酸化性溶液を導体層表面に接触させて、導体表面に酸化銅の層を形成して粗化する酸化処理方法、導体層表面を先の方法で酸化した後に水素化ホウ素ナトリウム、ホルマリンなどで還元する方法、導体層にめっきを析出させて粗化する方法、導体層に有機酸を接触させて銅の粒界を溶出して粗化する方法、及び導体層にチオール化合物やシラン化合物などによりプライマー層を形成する方法等が挙げられる。これらのうち、微細な配線パターンの形状維持の容易性の観点から、導体層に有機酸を接触させて銅の粒界を溶出して粗化する方法、及び、チオール化合物やシラン化合物などによりプライマー層を形成する方法が好ましい。
本発明の製造方法の第2工程において、支持体付き硬化性樹脂組成物層を、硬化性樹脂組成物層形成面側にて、基材に積層させる方法としては、たとえば、基板上に、支持体付き硬化性樹脂組成物層を、硬化性樹脂組成物層形成面側を加熱圧着する方法などが挙げられる。
加熱圧着の方法としては、支持体付きの成形体又は複合成形体を、上述した基板の導体層に接するように重ね合わせ、加圧ラミネータ、プレス、真空ラミネータ、真空プレス、ロールラミネータなどの加圧機を使用して加熱圧着(ラミネーション)する方法が挙げられる。加熱加圧することにより、基板表面の導体層と成形体又は複合成形体との界面に空隙が実質的に存在しないように結合させることができる。前記成形体又は複合成形体は、通常、未硬化又は半硬化の状態で基板の導体層に積層されることになる。
加熱圧着操作の温度は、通常、30〜250℃、好ましくは70〜200℃であり、加える圧力は、通常、10kPa〜20MPa、好ましくは100kPa〜10MPaであり、時間は、通常、30秒〜5時間、好ましくは1分〜3時間である。また、加熱圧着は、配線パターンの埋め込み性を向上させ、気泡の発生を抑えるために減圧下で行うのが好ましい。加熱圧着を行う減圧下の圧力は、通常100kPa〜1Pa、好ましくは40kPa〜10Paである。
(第3工程)
本発明の製造方法の第3工程は、第2工程で得られた基材及び支持体付き硬化性樹脂組成物層からなる複合体を加熱し、硬化性樹脂組成物層を熱硬化させることで、硬化樹脂層とする工程である。
第3工程における加熱温度は、硬化性樹脂組成物層の硬化温度に応じて、適宜設定すればよいが、好ましくは100〜250℃、好ましくは120〜220℃、より好ましくは150〜210℃である。また、第3工程における加熱時間は、通常、0.1〜3時間、好ましくは0.25〜1.5時間である。加熱の方法は特に制限されず、例えば電気オーブンなどを用いて行えばよい。また、熱硬化は、生産性の観点より、大気下で行うことが好ましい。
(第4工程)
本発明の製造方法の第4工程は、硬化樹脂層から支持体を剥離することで、基材上に硬化樹脂層を形成してなる積層体を得る工程である。
なお、本発明の製造方法においては、支持体を剥離する前、あるいは、剥離した後に、硬化樹脂層を貫通するビアホールやスルーホールを形成してもよい。ビアホールやスルーホールは、本発明の製造方法により得られる積層体を、多層回路基板に用いる場合に、多層回路基板を構成する各導体層を連結するために形成される。ビアホールやスルーホールは、たとえば、ドリル、レーザー、プラズマエッチングなどの物理的処理などにより形成することができる。これらの方法の中でもレーザーによる方法(炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー、UV−YAGレーザーなど)は、より微細なビアホールやスルーホールを硬化樹脂層の特性を低下させずに形成できるので好ましい。なお、支持体を剥離する前に、支持体付き硬化樹脂層の状態で、レーザーを用いて、ビアホールやスルーホールを形成する場合には、支持体側からレーザーを照射することで、ビアホールやスルーホールを形成することが好ましく、これにより、より微細なビアホールやスルーホールを、高い開口率(底径/トップ径)にて形成することができる。
また、本発明の製造方法においては、支持体を剥離した後に、硬化樹脂層の表面を、過マンガン酸塩の水溶液で粗化する表面粗化処理を行ってもよい。表面粗化処理は、本発明の製造方法により得られる積層体を、多層回路基板に用いる場合に、硬化樹脂層上に形成する導電層との接着性を高めるために行う処理である。
硬化樹脂層の表面平均粗さRaは、好ましくは0.05μm以上0.3μm未満、より好ましくは0.06μm以上0.2μm以下であり、かつ表面十点平均粗さRzjisは、好ましくは0.3μm以上4μm未満、より好ましくは0.5μm以上2μm以下である。なお、本明細書において、RaはJIS B0601−2001に示される中心線平均粗さであり、表面十点平均粗さRzjisは、JIS B0601−2001付属書1に示される十点平均粗さである。
表面粗化処理方法としては、特に限定されないが、硬化樹脂層表面と酸化性化合物とを接触させる方法などが挙げられる。酸化性化合物としては、無機酸化性化合物や有機酸化性化合物などの酸化能を有する公知の化合物が挙げられる。硬化樹脂層の表面平均粗さの制御の容易さから、無機酸化性化合物や有機酸化性化合物を用いるのが特に好ましい。無機酸化性化合物としては、過マンガン酸塩、無水クロム酸、重クロム酸塩、クロム酸塩、過硫酸塩、活性二酸化マンガン、四酸化オスミウム、過酸化水素、過よう素酸塩などが挙げられる。有機酸化性化合物としてはジクミルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、m−クロロ過安息香酸、過酢酸、オゾンなどが挙げられる。
無機酸化性化合物や有機酸化性化合物を用いて硬化樹脂層表面を表面粗化処理する方法に格別な制限はない。例えば、上記酸化性化合物を溶解可能な溶媒に溶解して調製した酸化性化合物溶液を硬化樹脂層表面に接触させる方法が挙げられる。酸化性化合物溶液を、硬化樹脂層の表面に接触させる方法としては、特に限定されないが、たとえば、硬化樹脂層を酸化性化合物溶液に浸漬するディップ法、酸化性化合物溶液の表面張力を利用して、酸化性化合物溶液を、硬化樹脂層に載せる液盛り法、酸化性化合物溶液を、硬化樹脂層に噴霧するスプレー法、などいかなる方法であってもよい。表面粗化処理を行うことにより、硬化樹脂層の、導体層など他の層との間の密着性を向上させることができる。
これらの酸化性化合物溶液を硬化樹脂層表面に接触させる温度や時間は、酸化性化合物の濃度や種類、接触方法などを考慮して、任意に設定すればよいが、温度は、通常、10〜250℃、好ましくは20〜180℃であり、時間は、通常、0.5〜60分間、好ましくは1〜40分間である。
なお、表面粗化処理後、酸化性化合物を除去するため、表面粗化処理後の硬化樹脂層表面を水で洗浄する。また、水だけでは洗浄しきれない物質が付着している場合には、その物質を溶解可能な洗浄液でさらに洗浄したり、他の化合物と接触させたりすることにより水に可溶な物質にしてから水で洗浄する。例えば、過マンガン酸カリウム水溶液や過マンガン酸ナトリウム水溶液などのアルカリ性水溶液を硬化樹脂層と接触させた場合は、発生した二酸化マンガンの皮膜を除去する目的で、硫酸ヒドロキシアミンと硫酸との混合液などの酸性水溶液により中和還元処理した後に水で洗浄することができる。
このようにして、本発明の製造方法によれば、基材上に硬化樹脂層を形成してなる積層体を得ることができ、このようにして得られる積層体は、上記本発明の製造方法により得られるものであるため、耐熱性(例えば、半田耐熱性)及び配線埋め込み性に優れ、シワやボイドなどの欠陥の発生が有効に防止された硬化樹脂層を備えるものである。
(多層回路基板)
本発明の多層回路基板は、上述した本発明の製造方法により得られた積層体の硬化樹脂層上に、さらに別の導体層を形成してなるものである。以下、本発明の多層回路基板の製造方法について、説明する。
まず、本発明の製造方法により得られた積層体について、上記方法にしたがって、硬化樹脂層にビアホールやスルーホールを形成する処理を行い、次いで、硬化樹脂層の表面粗化処理を行う。
次いで、積層体の硬化樹脂層について表面粗化処理を行った後、硬化樹脂層の表面及びビアホールやスルーホールの内壁面に、導体層を形成する。
導体層の形成方法は、特に限定されないが、密着性に優れる導体層を形成する観点からめっき法が好ましい。
導体層をめっき法により形成する方法としては特に限定されず、例えば、硬化樹脂層上にめっきなどにより金属薄膜を形成し、次いで厚付けめっきにより金属層を成長させる方法を採用することができる。
たとえば、金属薄膜の形成を無電解めっきにより行う場合、金属薄膜を硬化樹脂層の表面に形成させる前に、硬化樹脂層上に、銀、パラジウム、亜鉛、コバルトなどの触媒核を付着させるのが一般的である。触媒核を硬化樹脂層に付着させる方法は特に制限されず、例えば、銀、パラジウム、亜鉛、コバルトなどの金属化合物やこれらの塩や錯体を、水又はアルコールもしくはクロロホルムなどの有機溶剤に0.001〜10重量%の濃度で溶解した液(必要に応じて酸、アルカリ、錯化剤、還元剤などを含有していてもよい。)に浸漬した後、金属を還元する方法などが挙げられる。
無電解めっき法に用いる無電解めっき液としては、公知の自己触媒型の無電解めっき液を用いればよく、めっき液中に含まれる金属種、還元剤種、錯化剤種、水素イオン濃度、溶存酸素濃度などは特に限定されない。例えば、次亜リン酸アンモニウム、次亜リン酸、水素化硼素アンモニウム、ヒドラジン、ホルマリンなどを還元剤とする無電解銅めっき液;次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−リンめっき液;ジメチルアミンボランを還元剤とする無電解ニッケル−ホウ素めっき液;無電解パラジウムめっき液;次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解パラジウム−リンめっき液;無電解金めっき液;無電解銀めっき液;次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−コバルト−リンめっき液などの無電解めっき液を用いることができる。
金属薄膜を形成した後、基板表面を防錆剤と接触させて防錆処理を施すことができる。また、金属薄膜を形成した後、密着性向上などのため、金属薄膜を加熱することもできる。加熱温度は、通常、50〜350℃、好ましくは80〜250℃である。なお、この際において、加熱は加圧条件下で実施してもよい。このときの加圧方法としては、例えば、熱プレス機、加圧加熱ロール機などの物理的加圧手段を用いる方法が挙げられる。加える圧力は、通常、0.1〜20MPa、好ましくは0.5〜10MPaである。この範囲であれば、金属薄膜と硬化樹脂層との高い密着性が確保できる。
このようにして形成された金属薄膜上にめっき用レジストパターンを形成し、更にその上に電解めっきなどの湿式めっきによりめっきを成長させ(厚付けめっき)、次いで、レジストを除去し、更にエッチングにより金属薄膜をパターン状にエッチングして導体層を形成する。従って、この方法により形成される導体層は、通常、パターン状の金属薄膜と、その上に成長させためっきとからなる。
以上のようにして得られた多層回路基板を、上述した本発明の製造方法において、積層体を製造するための基板とし、上述した本発明の製造方法の第2工程において、支持体付き硬化性樹脂組成物層と積層し、硬化することで硬化樹脂層を形成し(第3工程)、支持体を剥離することで積層体を得て(第4工程)、さらにこの上に、上述した方法に従い、導電層の形成を行い、これらを繰り返すことにより、更なる多層化を行うことができ、これにより所望の多層回路基板とすることができる。
このようにして得られる本発明の多層回路基板は、本発明の製造方法により得られる積層体を有してなり、該積層体は、配線埋め込み性に優れ、ボイドなどの欠陥の発生が有効に防止された硬化樹脂層(電気絶縁層)を備えるものであるため、本発明の多層回路基板は、各種用途に好適に用いることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、各例中の「部」及び「%」は、特に断りのない限り、重量基準である。各種の物性については、以下の方法に従って評価した。
(1)熱硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度
熱硬化性樹脂組成物のワニスを、支持体上に塗布し、80℃、10分の条件で乾燥を行うことで、熱硬化性樹脂組成物のフィルムを得た。そして、得られた熱硬化性樹脂組成物のフィルムを用いて、熱硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度を、回転式レオメーター(商品名「MCR−302」、アントンパール社製)を用いて、測定温度範囲:80〜150℃、昇温速度:5℃/分、周波数1Hzの条件にて測定した。
(2)硬化樹脂層のシワ
得られた積層体の硬化樹脂層の表面について、目視による外観観察を行うことで、硬化樹脂層の表面におけるシワの発生の有無を確認し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
A:シワが観察されなかった。
B:シワが1箇所観察された。
C:シワが2箇所以上観察された。
(3)硬化樹脂層のボイド
得られた積層体の中央部分10mm角(縦10mm×横10mm)を光学顕微鏡により観察し、以下の評価基準に従って評価した。ボイドとは硬化樹脂の存在しない部分(空隙)であり、ここでは最大径が5μm以上のものを指す。
(評価基準)
A:ボイドが観察されなかった
B:ボイドが1個以上10個未満
C:ボイドが10個以上
(4)硬化樹脂層の配線埋め込み性
得られた積層体について、配線幅:50μm、配線高さ(厚み):形成した硬化性樹脂組成物層の厚さよりも5μm低い高さ(たとえば、実施例1では、硬化性樹脂組成物層の厚さである40μmよりも5μm低い35μm)、配線間距離:50μmの導体パターン部分の導体がある部分とない部分との段差を触針式段差膜厚計(Tencor Instruments製 P−10)にて測定し、以下の基準で、配線埋め込み平坦性を評価した。
(評価基準)
A:段差が2μm未満
B:段差が2μm以上、3μm未満
C:段差が3μm以上
(5)半田耐熱性
積層体を、260℃の半田浴槽上に60秒間フロートさせた後、フロート後の多層プリント配線板の外観観察を行い、以下の基準で評価した。
(評価基準)
A:膨れが認められなかった。
B:膨れが1箇所観察された。
C:膨れが2箇所以上観察された。
実施例1
(熱硬化性樹脂組成物の調製)
ビフェニル構造を有する多価エポキシ化合物(A)としてのビフェニルジメチレン骨格ノボラック型エポキシ樹脂(商品名「NC−3000L」、日本化薬社製、エポキシ当量269)50部、3価以上の多価グリシジル基含有エポキシ化合物(B)としてのテトラキスヒドロキシフェニルエタン型エポキシ化合物(商品名「jER 1031S」、三菱化学社製、エポキシ当量200、軟化点90℃)50部、トリアジン構造含有フェノール樹脂(C)としてのトリアジン構造含有クレゾ−ルノボラック樹脂(商品名「フェノライト LA−3018−50P」、不揮発分50%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液、DIC社製、活性水酸基当量154)30部(トリアジン構造含有クレゾ−ルノボラック樹脂換算で15部)、活性エステル化合物(D)としての活性エステル化合物(商品名「エピクロン HPC−8000−65T」、不揮発分65%のトルエン溶液、DIC社製、活性エステル基当量223)115.3部(活性エステル化合物換算で75部)、充填剤としてのシリカ(商品名「SC2500−SXJ」、アドマテックス社製)350部、老化防止剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名「イルガノックス(登録商標)3114」、BASF社製)1部、及びアニソール110部を混合し、遊星式攪拌機で3分間攪拌した。さらにこれに、硬化促進剤として1−べンジル−2−フェニルイミダゾールをアニソールに30%溶解した溶液8.3部(1−べンジル−2−フェニルイミダゾール換算で2.5部)を混合し、遊星式攪拌機で5分間攪拌して熱硬化性樹脂組成物のワニスを得た。なお、ワニス中、充填剤の含有量は、固形分換算で64%であった。また、上記方法に従って測定した熱硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度は、130℃において、10Pa・sであった。
(積層体の作製)
上記にて得られた熱硬化性樹脂組成物のワニスを、表面に離型層を備えるポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体、厚さ50μm)上にワイヤーバーを用いて塗布し、次いで、窒素雰囲気下、80℃で5分間乾燥させて、未硬化の熱硬化性樹脂組成物からなる、厚み40μmの硬化性樹脂組成物層が形成された支持体付きフィルムを得た。
次いで、上記とは別に、ガラスフィラー及びハロゲン不含エポキシ化合物を含有するワニスをガラス繊維に含浸させて得られたコア材の表面に、厚みが18μmの銅が貼られた、厚み0.8mm、160mm角(縦160mm、横160mm)の両面銅張り基板表面に、配線幅及び配線間距離が50μm、配線高さ(厚み)が35μmで、表面が有機酸との接触によってマイクロエッチング処理された導体層を形成して内層基板を得た。
この内層基板の両面に、上記にて得られた支持体付き硬化性樹脂組成物層を150mm角に切断したものを、支持体が付いた状態で、硬化性樹脂組成物層側の面が内側となるようにして貼り合わせた後、耐熱性ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータを用い、200Paに減圧して、温度110℃、圧力0.1MPaで60秒間加熱圧着積層した。次いで、室温で30分間静置した後、180℃で30分間の条件で加熱することにより、硬化性樹脂組成物層を硬化させることで、硬化樹脂層(電気絶縁層)を形成した。次いで、得られた「支持体を剥がす前の硬化樹脂層及び内層基板からなる積層体」を用いて、上記方法にしたがって、支持体からはみ出た硬化樹脂量の測定を行った。次いで、硬化樹脂層から支持体を剥がすことにより、硬化樹脂層及び内層基板からなる積層体を得た。得られた積層体を用いて、上記方法にしたがって、硬化樹脂層のシワ及びボイド、硬化樹脂層の配線埋め込み性、ならびに半田耐熱性の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例2
熱硬化性樹脂組成物のワニスを調製する際に、フェノキシ樹脂(商品名「YX8100BH30」、不揮発分30%のシクロヘキサノンとメチルエチルケトンの混合溶液、三菱化学社製)10部(フェノキシ樹脂換算で3部)をさらに加えるとともに、充填剤としてのシリカ(商品名「SC2500−SXJ」、アドマテックス社製)の配合量を350部から355部に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱硬化性樹脂組成物のワニスを得た。なお、ワニス中、充填剤の含有量は、固形分換算で64%であった。また、上記方法に従って測定した熱硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度は、100℃において、200Pa・sであった。
そして、上記にて得られた熱硬化性樹脂組成物のワニスを使用した以外は、実施例1と同様にして、積層体を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
支持体付き硬化性樹脂組成物層を形成する際における、硬化性樹脂組成物層の厚みを10μmとし、支持体付き硬化性樹脂組成物層を貼り合わせる内層基板における導体層の配線高さ(厚み)を5μmとした以外は、実施例1と同様にして、積層体を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4
支持体付き硬化性樹脂組成物層を形成する際における、硬化性樹脂組成物層の厚みを15μmとし、支持体付き硬化性樹脂組成物層を貼り合わせる内層基板における導体層の配線高さ(厚み)を10μmとした以外は、実施例2と同様にして、積層体を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
支持体付き硬化性樹脂組成物層を形成する際における、硬化性樹脂組成物層の厚みを60μmとし、支持体付き硬化性樹脂組成物層を貼り合わせる内層基板における導体層の配線高さ(厚み)を55μmとした以外は、実施例1と同様にして、積層体を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
支持体付き硬化性樹脂組成物層を形成する際に、厚さ50μmの表面に離型層を備えるポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、厚さ25μmの表面に離型層を備えるポリエチレンテレフタレートフィルムを使用するとともに、硬化性樹脂組成物層の厚みを23μmとし、支持体付き硬化性樹脂組成物層を貼り合わせる内層基板における導体層の配線高さ(厚み)を18μmとした以外は、実施例1と同様にして、積層体を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3
熱硬化性樹脂組成物のワニスを調製する際に、フェノキシ樹脂(商品名「YX8100BH30」、不揮発分30%のシクロヘキサノンとメチルエチルケトンの混合溶液、三菱化学社製)25部(フェノキシ樹脂換算で7.5部)をさらに加えるとともに、充填剤としてのシリカ(商品名「SC2500−SXJ」、アドマテックス社製)の配合量を350部から361部に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱硬化性樹脂組成物のワニスを得た。なお、ワニス中、充填剤の含有量は、固形分換算で64%であった。また、上記方法に従って測定した熱硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度は、100℃において、600Pa・sであった。
そして、上記にて得られた熱硬化性樹脂組成物のワニスを使用した以外は、実施例1と同様にして、積層体を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例4
支持体付き硬化性樹脂組成物層を形成する際に、厚さ50μmの表面に離型層を備えるポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、厚さ100μmの表面に離型層を備えるポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した以外は、実施例1と同様にして、積層体を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2016022646
表1に示すように、本発明の製造方法によれば、半田耐熱性及び配線埋め込み性に優れ、シワやボイドなどの欠陥の発生が有効に防止された硬化樹脂層を備える積層体が得られる結果となった(実施例1〜4)。
一方、硬化性樹脂組成物層の厚みを支持体の厚みよりも厚くした場合には、硬化樹脂層は、表面にシワが発生してしまい、電気絶縁層としての信頼性に劣るものとなり、さらには、半田耐熱性に劣るものであった(比較例1)。
また、支持体として、厚みが薄すぎる支持体を用いた場合には、硬化樹脂層は、表面にシワが発生してしまい、電気絶縁層としての信頼性に劣るものとなる結果となった(比較例2)。
熱硬化性樹脂組成物として、80〜150℃における最低溶融粘度が400Pa・sを超えるものを用いた場合には、硬化樹脂層は、ボイドが発生してしまい、電気絶縁層としての信頼性に劣るものとなり、さらには配線埋め込み性に劣るものであった(比較例3)。
また、支持体として、厚みが厚すぎる支持体を用いた場合には、硬化樹脂層は、半田耐熱性に劣るものであった(比較例4)。

Claims (7)

  1. 基材上に硬化樹脂層を形成してなる積層体を製造する方法であって、
    厚さ40〜80μmの支持体上に、80〜150℃における最低溶融粘度が1〜400Pa・sである熱硬化性樹脂組成物からなる硬化性樹脂組成物層を、厚さ3〜60μmの範囲で、かつ、前記支持体の厚みよりも薄い厚みで形成することで、支持体付き硬化性樹脂組成物層を得る第1工程と、
    前記支持体付き硬化性樹脂組成物層を、硬化性樹脂組成物層形成面側にて、基材に積層させることで、基材及び支持体付き硬化性樹脂組成物層からなる複合体を得る第2工程と、
    前記複合体を加熱し、前記硬化性樹脂組成物層を熱硬化させることで、硬化樹脂層とする第3工程と、
    前記硬化樹脂層から前記支持体を剥離する第4工程と、を備えることを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 前記第3工程の熱硬化を、大気圧下で行うことを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記支持体と、前記硬化性樹脂組成物層との間に、厚さ0.001〜10μmの他の樹脂層を形成する工程をさらに備える請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記支持体として、表面に離型層を備えるフィルムを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  5. 表面に離型層を備えるポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかの製造方法により得られる積層体。
  7. 請求項6に記載の積層体の、前記硬化樹脂層上にさらに導体層を形成してなる多層回路基板。
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