JP2014184619A - 2ピース缶用ラミネート金属板および2ピースラミネート缶体 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐レトルト白化性、耐食性、および耐フレーバー性を有し、且つ、加工度が高い成形が可能な機械的特性を有する2ピース缶用ラミネート金属板およびこの2ピース缶用ラミネート金属板を用いて製造された2ピースラミネート缶体を提供すること。
【解決手段】2ピース缶用ラミネート金属板は、金属板と、容器成形後に容器の外面側になる前記金属板の表面に形成された第1のポリエステル樹脂層と、容器成形後に容器の内面側になる前記金属板の表面に形成された第2のポリエステル樹脂層と、を備え、第2のポリエステル樹脂層と金属板との界面に、ポリエステル樹脂と、ポリアミン樹脂、ポリアミドアミン樹脂、およびポリアミド樹脂のうちの少なくとも一つとを含有する樹脂層が形成されていることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、2ピース缶用ラミネート金属板および2ピースラミネート缶体に関する。
食品の包装容器の一形態である金属缶は、機械的強度と長期保存性とに優れており、高温の内容物をそのまま充填して密封でき、また密封後にレトルト殺菌処理などの殺菌処理を容易に行えるために、包装容器としての安全衛生性が高い。また、金属缶は、廃棄物からの分離、回収が容易であるという長所を有している。従来、金属缶は塗装金属板から製造されていた。ところが、製缶メーカーで行われる塗装工程は複雑で生産性が低い。また、溶剤系の塗料を使用する場合、塗装後に行われる乾燥・焼き付け処理の際に多量の溶剤が揮発するために、溶剤の排出などの環境問題が発生する。さらに、人体に対する溶剤の悪影響を回避するために、塗料に含まれている環境ホルモンの一種であるビスフェノールA(BPA)を規制する動きが高まっている。
このような背景から、近年、BPAを含まない熱可塑性樹脂フィルムを金属板表面に熱融着させたラミネート金属板が金属缶材料として利用されるようになっている。特に、ポリエステル樹脂フィルムを金属板表面に熱融着させたラミネート金属板は、食品衛生面の性能が優れていることから広く利用されている。例えば特許文献1,2には、2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを低融点ポリエステルの接着層を介して金属板にラミネートし、金属缶材料として用いる技術が提案されている。また、特許文献3,4には、熱融着可能なポリエステル樹脂フィルムを用いてラミネート金属板および高絞り比の金属缶体を製造する方法が提案されている。
特開昭56−10451号公報 特開平01−192546号公報 特開平05−156040号公報 特開平07−195617号公報 特開平05−331302号公報 特開2002−88233号公報 特開2001−335682号公報 特開2004−58402号公報 特開2004−249705号公報 特開2007−185915号公報 特開平04−266984号公報 特開平08−199147号公報 特開平10−183095号公報 特開2002−206079号公報
ところで、ポリエステル樹脂フィルムを熱融着させたラミネート金属板を食品用缶詰容器の外面側、つまりレトルト殺菌処理時に高温蒸気と接触する側に適用する場合、レトルト殺菌処理が施された際、ポリエステル樹脂フィルムが変色するレトルト白化現象が発生し、意匠性が損なわれる。このため、ポリエステル樹脂フィルムを熱融着させたラミネート金属板を食品用缶詰容器の外面側に適用する場合には、ラミネート金属板には耐レトルト白化性が要求される。
これに対し、特許文献5には、ポリマーの結晶化速度を速めることによってレトルト白化現象を抑制できる旨の記載があるが、レトルト白化現象のメカニズムは完全には把握されてなく、レトルト白化現象の問題は根本的に解決されていない。また、特許文献6〜9には、ブチレンテレフタレートとエチレンテレフタレートとからなるフィルムを金属板にラミネートして絞りしごき加工用に用いた金属板被覆用フィルムが記載されている。しかしながら、このような平滑なラミネート金属板では、食品用缶詰容器などの容器に使用する場合には加工性が不十分であり、フィルムの破れなどの欠陥が生じる可能性がある。特に、アルミニウム板に比べ強度の高い金属板を下地とした場合には、成形時にフィルムにダメージが発生して缶体として使用できなくなる。
一方、食品缶詰用素材には加工性や密着性などの基本特性のほかに、2ピース缶用途であれば、深絞り成形性、加工・レトルト後密着性、耐食性、意匠性などの多様な機能が求められる。ラミネート金属板を多機能化する方法としては、フィルム内に付加したい機能を有する改質剤を加えてフィルムそのものを多機能化する方法と、フィルムは改質せずにフィルム表面に付加したい機能を有する改質剤又は改質剤を含む樹脂をコーティングする方法とのいずれかの方法を選択できる。
前者の方法は、一定の機能を有するフィルムを大量に生産する場合には生産効率が高く、収益性の高い方法である。しかしながら、食品缶詰は、形状や内容物の種類が多種多様であり、食品缶詰の種類毎に求められる機能が異なる。このため、前者の方法は、適切でない。その理由は、フィルムに付与する機能を変更する毎に、樹脂の押し出し装置や、キャスティングドラム、冷却ロールなどの洗浄が必要であり、製造ラインを長時間停止しなければならず、生産効率が著しく低下してしまうためである。
これに対して、後者の方法は、フィルムに付加する機能の変更が容易であるため、食品缶詰の多様なニーズに対応できる。その理由は、改質剤を含むコーティング液の入ったタンクを洗浄・交換することによって、機能の変更に短時間で対応できるためである。フィルム表面に改質剤を含む樹脂をコーティングする方法は、例えば特許文献10に開示されている。特許文献10記載の方法は、エポキシ樹脂を主成分とし、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート化合物、着色剤を含む樹脂層を金属板とフィルムとの間に形成するものである。
しかしながら、エポキシ樹脂は、反応性に富み、金属板との密着性に優れるものの、深絞り成形性に劣る。このため、特許文献10記載の方法によれば、2ピース缶用素材として使用可能なフィルムを得ることはできない。また、特許文献10記載のラミネート金属板を深絞り缶(DRD缶)に成形しようとしても、缶高さ方向の伸び変形にエポキシ樹脂が追随することができず、素材の変形を拘束してしまい、絞り工程で素材が破断してしまう。
なお、密着性向上を目的として、フィルムに樹脂コーティングを行う方法が特許文献11〜14に開示されている。しかしながら、特許文献11〜14記載の樹脂は、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂との複合系、又はエポキシ樹脂を主成分とするものである。このため、特許文献11〜14記載の方法は、特許文献10記載の方法と同様、深絞り成形性に難があり、2ピース缶用途に適用できない。また、特許文献11〜14に記載されている実施例の中には製缶加工性や深絞り成形性を評価した例が開示されていないことからも、これらが深絞り加工が要求される2ピース缶用途を考慮していないことは明らかである。
また、食品缶詰の缶内面側に使用される金属板面に要求される特性は、主に耐食性および耐フレーバー性である。缶外面に対するレトルト白化現象と缶内面に対する耐食性および耐フレーバー性、さらに残存配向度を適正にコントロールして、絞り加工および絞りしごき加工といった加工度が高い成形が可能な機械的特性を有する容器用ラミネート金属板は先行文献には開示されていない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、耐レトルト白化性、耐食性、および耐フレーバー性を有し、且つ、加工度が高い成形が可能な機械的特性を有する2ピース缶用ラミネート金属板およびこの2ピース缶用ラミネート金属板を用いて製造された2ピースラミネート缶体を提供することにある。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る2ピース缶用ラミネート金属板は、金属板と、容器成形後に容器の外面側になる前記金属板の表面に形成された第1のポリエステル樹脂層と、容器成形後に容器の内面側になる前記金属板の表面に形成された第2のポリエステル樹脂層と、を備え、前記第1のポリエステル樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート又は共重合成分の含有率が6mol%未満である共重合ポリエチレンテレフタレートを30質量%以上60質量%以下、ポリブチレンテレフタレート又は共重合成分の含有率が5mol%未満である共重合ポリブチレンテレフタレートを40質量%以上70質量%以下の割合で含有し、前記第2のポリエステル樹脂層は、共重合成分の含有率が14mol%未満である共重合ポリエチレンテレフタレートであり、前記第1および第2のポリエステル樹脂層のラミネート後の残存配向度が20%未満であり、前記金属板を缶体加工した際の缶壁の板厚減少率をA%、前記第1のポリエステル樹脂層の加工前膜厚をXμm、前記第2のポリエステル樹脂層の加工前膜厚をYμmとしたとき、前記第1および第2のポリエステル樹脂層の加工前膜厚X、Yがそれぞれ以下に示す数式(1)および数式(2)を満足し、前記第2のポリエステル樹脂層と前記金属板との界面に、ポリエステル樹脂と、ポリアミン樹脂、ポリアミドアミン樹脂、およびポリアミド樹脂のうちの少なくとも一つとを含有する樹脂層が形成されていることを特徴とする。
Figure 2014184619
Figure 2014184619
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第2の態様に係る2ピース缶用ラミネート金属板は、金属板と、容器成形後に容器の外面側になる前記金属板の表面に形成された第1のポリエステル樹脂層と、容器成形後に容器の内面側になる前記金属板の表面に形成された第2のポリエステル樹脂層と、を備え、前記第1のポリエステル樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート又は共重合成分の含有率が6mol%未満である共重合ポリエチレンテレフタレートを30質量%以上60質量%以下、ポリブチレンテレフタレート又は共重合成分の含有率が5mol%未満である共重合ポリブチレンテレフタレートを40質量%以上70質量%以下の割合で含有し、前記第2のポリエステル樹脂層は、共重合成分の含有率が14mol%未満である共重合ポリエチレンテレフタレートであり、前記第1および第2のポリエステル樹脂層のラミネート後の残存配向度が20%未満であり、前記金属板を缶体加工した際の缶壁の板厚減少率をA%、前記第1のポリエステル樹脂層の加工前膜厚をXμm、前記第2のポリエステル樹脂層の加工前膜厚をYμmとしたとき、前記第1および第2のポリエステル樹脂層の加工前膜厚X、Yがそれぞれ以下に示す数式(3)および数式(4)を満足し、前記第1および第2のポリエステル樹脂層と前記金属板との界面に、ポリエステル樹脂と、ポリアミン樹脂、ポリアミドアミン樹脂、およびポリアミド樹脂のうちの少なくとも一つとを含有する樹脂層が形成されていることを特徴とする。
Figure 2014184619
Figure 2014184619
本発明に係る2ピース缶用ラミネート金属板は、上記発明において、前記樹脂層は、さらにエポキシ樹脂を含有することが好ましい。
本発明に係る2ピース缶用ラミネート金属板は、上記発明において、前記樹脂層は、さらに金属アルコキシド系化合物および/または金属キレート化合物を含有することが好ましい。
本発明に係る2ピース缶用ラミネート金属板は、上記発明において、前記樹脂層に含まれるポリエステル樹脂は、数平均分子量が3000以上100000以下の範囲内にあり、ガラス転移温度が0℃以上100℃以下のポリエステル樹脂であることが好ましい。
本発明に係る2ピース缶用ラミネート金属板は、上記発明において、前記樹脂層に含まれるポリエステル樹脂は、ジフェノール酸に由来する繰り返し単位を含有するポリエステル樹脂であることが好ましい。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る2ピースラミネート缶体は、本発明に係る2ピース缶用ラミネート金属板を用いて製造されたことを特徴とする。
本発明によれば、耐レトルト白化性、耐食性、および耐フレーバー性を有し、且つ、加工度が高い成形が可能な機械的特性を有する2ピース缶用ラミネート鋼板およびこの2ピース缶用ラミネート鋼板を用いて製造された2ピースラミネート缶体を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態である2ピース缶用ラミネート金属板について説明する。
〔2ピース缶用ラミネート金属板の全体構成〕
本発明の一実施形態である2ピース缶用ラミネート金属板は、金属板と、容器成形後に容器の外面側になる金属板の表面に形成された外面側ポリエステル樹脂層と、容器成形後に容器の内面側になる金属板の表面に形成された内面側ポリエステル樹脂層と、外面側ポリエステル樹脂層および内面側ポリエステル樹脂層の少なくとも一方と金属板との界面に形成された樹脂層と、を備えている。
〔金属板の構成〕
金属板としては、缶用材料として広く使用されている鋼板やアルミニウム板を用いることができ、特に、下層および上層がそれぞれ金属クロムおよびクロム水酸化物によって形成された二層皮膜を有する表面処理鋼板であるティンフリースチール(TFS)などが好適である。TFSの金属クロムおよびクロム水酸化物の付着量は特に限定されないが、加工性や耐食性の観点から、金属クロムの付着量は70mg/m以上200mg/m以下、クロム水酸化物の付着量は10mg/m以上30mg/m以下の範囲内とすることが望ましい。
〔レトルト白化現象〕
一般的なポリエステル樹脂フィルムを被覆させた金属板を用いて製造された食品用缶詰容器に対してレトルト殺菌処理を行うと、多くの場合、ポリエステル樹脂フィルムが白化する現象が見られる。これは、ポリエステル樹脂フィルムの内部に形成された微小な空隙が外光を乱反射するためである。この空隙は、乾燥条件下での熱処理時や内容物を充填しない空缶状態でのレトルト殺菌処理時には形成されない。また、白化が発生しているポリエステル樹脂フィルムと金属板との界面を観察すると、空隙はポリエステル樹脂フィルムの厚み方向全体に形成されるのではなく、主に金属板表面近傍に形成されている。このことから空隙は以下のメカニズムで形成されると考えられる。
すなわち、内容物が充填された食品用缶詰容器はレトルト殺菌処理開始直後に高温高圧の水蒸気にさらされる。その際、一部の水蒸気がポリエステル樹脂フィルムを透過して金属板表面近傍まで侵入する。内容物が充填されている食品用缶詰容器はレトルト殺菌処理前に充填した内容物によって冷やされているために、金属板表面近傍のポリエステル樹脂フィルムは周囲の雰囲気よりも低温になっている。このため、水蒸気は金属板近傍の非晶質のポリエステル樹脂フィルム中で冷やされて水へ凝縮し、この凝縮水によってポリエステル樹脂フィルムが押し広げられて水泡が形成される。この水泡はレトルト殺菌処理が経過すると内容物の温度上昇によって気化し、水泡が気化した後が空隙となる。
なお、金属板近傍のポリエステル樹脂フィルムは、内容物によって冷却され、且つ、熱融着されるために、結晶配向が崩れている非晶質層となる。このため、金属板近傍のポリエステル樹脂フィルムの機械的強度は結晶質層と比べて小さく、変形しやすいために、以上のような現象が発生すると考えられる。従って、レトルト白化現象は金属板近傍の非晶質層の強度を上昇させることができれば抑制可能である。しかしながら、熱融着法では金属板をガラス転移点以上の高温にしてポリエステル樹脂フィルムを表面に融着させて製造するため、金属板表面近傍の樹脂層は溶融し配向結晶が崩れることは避けられない。このため、本発明では、ラミネート直後は機械的強度が小さく脆弱な非晶質層を食品用缶詰容器としての缶体となった後で硬く強固な層にすることによって、レトルト白化現象を抑制するようにした。
非晶質層のポリエステル樹脂フィルムをレトルト殺菌処理前に結晶化させる方法としては、レトルト殺菌処理前に熱処理を施す方法がある。容器成形前に熱処理を施す場合については、結晶配向が高いポリエステル樹脂フィルムは成形性に劣るため適用できる容器の形態が限られ現実的でない。また、容器成形後に熱処理を施す場合も、成形後の工程が増えて製造コストが増大するデメリットがある。このため、本発明の発明者らは、レトルト殺菌処理時の熱を利用して結晶配向性を高めることを狙って熱結晶化速度の速い樹脂組成を見出し、この樹脂組成を外面側ポリエステル樹脂層に適用した。すなわち、本発明では、レトルト殺菌処理で缶外面の樹脂層に空隙が形成される前に非晶質層のポリエステル樹脂を結晶化させ、強度を向上させた。
〔第1のポリエステル樹脂層〕
容器成形後に容器の外面側になる金属板の表面に形成された第1のポリエステル樹脂層の熱結晶化速度を速める具体的な組成としては、ポリエチレンテレフタレートまたは共重合成分の含有率が6mol%未満である共重合ポリエチレンテレフタレート(以下、ポリエステル(A)と記載する場合もある)と、ポリブチレンテレフタレート(以下、ポリエステル(B)と記載する場合もある)とを混合したポリエステル組成物であり、且つ、ポリエステル(A)の比率が60質量%以下、ポリエステル(B)の比率が40質量%以上であることが有効である。ポリエステル(A)の比率が60質量%より大きく、ポリエステル(B)の比率が40質量%未満である場合、レトルト処理時に金属板表面近傍での気泡形成を抑制することができず、樹脂層が白化して意匠性が大きく損なわれてしまう。
一方、ポリエステル(A)の比率が30質量%未満で、ポリエステル(B)の比率が70質量%より大きい場合には、レトルト白化現象は抑制できるものの、樹脂層の弾性率が過度に低下して機械的特性が劣るため、搬送時や成形加工時に樹脂層に疵が付き易くなり、食品用缶詰容器への適性が困難になる。また、樹脂コストの観点からも高価になりすぎるため実用に適さない。このため、容器成形後の外面となる側の樹脂層において、レトルト白化現象を抑制しつつ、絞り加工および絞りしごき加工性と耐疵付性を確保するためには、ポリエステル(A)とポリエステル(B)との質量%比率(A/B)は、30〜60/70〜40の範囲内であることが好適であり、より好ましくは40〜50/60〜50の範囲内である。
なお、ポリエステル(A)とは、テレフタル酸成分とエチレングリコール成分とを主成分として溶融重縮合反応されたものである。本発明の効果が損なわれない範囲として6mol%未満でポリエチレンテレフタレートに他の成分を共重合してもよく、共重合成分は酸成分でもアルコール成分でもよい。共重合成分としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などを例示できる。これらの中では、イソフタル酸が特に好ましい。
共重合アルコール成分としては、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオールなどを例示できる。これらは単独又は二種以上を使用することができる。共重合成分の割合は、その種類にもよるが、結果としてポリマー融点が210〜256℃、好ましくは215〜256℃、さらに好ましくは220〜256℃の範囲になる割合である。ポリマー融点が210℃未満では耐熱性が劣ることになり、ポリマー融点が256℃を超えるとポリマーの結晶性が大きすぎて成形加工性が損なわれる。
ポリエステル(B)とは、テレフタル酸成分と1、4−ブタンジオール成分とを主成分として溶融重縮合反応されたものであるが、本発明の効果が損なわれない範囲として5mol%未満で他成分を共重合してもよく、またこの共重合成分は酸成分でもアルコール成分でもよい。共重合酸成分としてはイソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などを例示できる。これらの中では、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸又はアジピン酸が好ましい。
共重合アルコール成分としては、エチレングリコール、ヘキサンジオールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオールなどを例示できる。これらは単独又は二種以上を使用することができる。共重合成分の割合は、その種類にもよるが、結果としてポリマー融点が180〜223℃、好ましくは200〜223℃、さらに好ましくは210〜223℃の範囲になる割合である。ポリマー融点が180℃未満ではポリエステルとしての結晶性が低く、結果として耐熱性が低下する。ポリエステル(A)とポリエステル(B)との混合比率は、ポリマー融点が200〜256℃、好ましくは210〜256℃、さらに好ましくは220〜256℃の範囲内になるように調整する。
〔第2のポリエステル樹脂層〕
容器成形後に容器の内面側になる金属板の表面に形成された第2のポリエステル樹脂層には、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする共重合ポリエステル(ポリエステル(C)を形成する。ポリエステル(C)とは、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするグリコール成分とからなるポリマーであり、ジカルボン酸成分としては、主成分のテレフタル酸の他に、イソフタル酸、ナフタレン酸ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などを用いることができ、中でもテレフタル酸の他に、イソフタル酸を用いることが好ましい。また、グリコール成分としては、エチレングリコールを主成分とし、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどを用いることができる。
上述のように、ポリエステル(C)は、共重合ポリエチレンテレフタレートであるが、共重合成分の含有率は14mol%未満とする。好ましくは、13mol%未満、さらに好ましくは、12mol%未満である。共重合成分の含有率が14mol%以上であると、融点が下がりすぎるために、ラミネートした際に外面側および内面側ポリエステル樹脂層の残存配向度を所定範囲内に調整できず、効果が得られない。共重合成分の割合は、その種類にもよるが結果としてポリマー融点が210〜256℃、好ましくは215〜256℃、さらに好ましくは220〜256℃の範囲になる割合である。ポリマー融点が210℃未満では耐熱性が劣ることになり、ポリマー融点が256℃を超えるとポリマーの結晶性が大きすぎて成形加工性が損なわれる。また、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、および結晶核剤などを配合できる。
以上の内面側ポリエステル樹脂層は、引張強度、弾性率、および衝撃強度などの機械特性に優れるとともに極性を有するため、これを主成分とすることで内面側ポリエステル樹脂層の密着性、成形性を容器加工に耐え得るレベルまで向上させるとともに容器加工後の耐衝撃性を付与させることが可能となる。
〔残存配向度〕
ポリエチレンテレフタレート系のラミネートフィルムの大きな特徴は、配向結晶量が特性に大きく影響することである。この特徴を活かし、要求性能に応じて配向結晶量を適切な量に制御することで所望の基本性能を有する2ピース缶用ラミネート金属板を作り分けることができる。具体的な方法としては、二軸配向結晶フィルムを用い、熱融着法でのラミネート条件を精密に制御し、配向結晶の残存量をコントロールする。
この方法は工業的に非常に都合がよく、同じ原料を用いて要求性能に合った様々な品種を作り分けることが可能である。一般的に残存配向度は低減させることで成形性が向上し、残存配向度を増加させることで耐衝撃性を高めることができる。本発明では2ピース缶用途に対して必要とされる加工度に応じて、二軸配向ポリエステル樹脂層の残存配向度を、20%未満の範囲に制御する。なお、残存配向度は、X線回折法により求められた値であって、以下により定義されるものとする。
(1)ラミネート前の配向ポリエステル樹脂(又は配向ポリエステルフィルム)およびラミネート後の樹脂(又はフィルム)について、X線回折強度を2θ=20〜30°の範囲で測定する。
(2)2θ=20°、2θ=30°におけるX線回折強度を直線で結びベースラインとする。
(3)2θ=22〜28°近辺にあらわれる最も高いピークの高さをベースラインより測定する。
(4)ラミネート前のフィルムの最も高いピークの高さをP1、ラミネート後のフィルムの最も高いピークをP2とした時、P2/P1×100を残存配向度(%)とする。
外面側ポリエステル樹脂層および内面側ポリエステル樹脂層の残存配向度は20%未満とする。残存配向度が20%以上であると、フィルムの成形性が劣るために、製缶時に破胴が発生したり、加工後にフィルム剥離などの問題が発生したりする。二軸延伸ポリエステルフィルムは熱融着される際に、金属板からの熱によって配向結晶が崩れ、樹脂層は非晶性ポリエステル樹脂となる。一方、熱融着時の入熱が少ないと、金属板との界面において樹脂層の溶融が不十分になり、金属板と樹脂層との密着力が弱くなる。このため、食品用缶詰容器に適用する場合に要求される樹脂層の密着力を確保し、さらに残存配向度を一定以下に低減させて金属板にラミネートされた変形性に優れた非晶質性ポリエステル樹脂層の割合を多くして加工性を確保する必要がある。従って、外面側ポリエステル樹脂層および内面側ポリエステル樹脂層の残存配向度は20%未満が好適であり、より好ましくは15%以下の領域である。フィルム成形性の観点から、加工度が高くなるのに応じて残存配向度をできるだけ低くすることが望ましい。
外面側ポリエステル樹脂層および内面側ポリエステル樹脂層の組成に加えて必要特性に応じて残存配向度のバランスをとるために、外面側ポリエステル樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート、もしくは必要に応じて酸成分として、好ましくはイソフタル酸を6mol%未満の比率で共重合化した共重合ポリエチレンテレフタレートを適用すること、且つ、内面側ポリエステル樹脂層は酸成分として、好ましくはイソフタル酸を14mol%未満の比率で共重合化した共重合ポリエチレンテレフタレートを適用することが望ましい。内面側ポリエステル樹脂層は、容器成形後の缶内面側に適用されるため、密着性と耐フレーバー性とを確保するために共重合化する。
外面側ポリエステル樹脂層および内面側ポリエステル樹脂層はそれぞれ容器成形後の外面側および内面側となり、前述した必要特性を満たさなければならない。残存配向度は求められる特性を発揮するように決定される。ラミネートされた際に内外面で非晶質性ポリエステルの割合が大きく異なる場合は、片面または両面で必要特性が満たせない。このような場合に両面同時に必要特性を満たす目的とする残存配向度での製造が困難となる。つまり、外面側ポリエステル樹脂層および内面側ポリエステル樹脂層はお互いに残存配向度が大きくかけ離れることがないように組成を調整することが好ましい。
ラミネートされる際の金属板の温度と樹脂の融点とは密接な関係にあり、ラミネート時の金属板の温度は樹脂融点によって決まる。樹脂融点は樹脂組成に依存し、ポリブチレンテレフタレートはポリエチレンテレフタレートよりも融点が低く、配合比率で大きく融点が変化する。また、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートは、ポリエチレンテレフタレートよりも融点が低い。従って、ポリエステル(A)とポリエステル(B)との混合比率によっては外面側ポリエステル樹脂層の樹脂融点が内面側ポリエステル樹脂層の樹脂融点よりも十分低下するため外面側ポリエステル樹脂層としては共重合化させないポリエチレンテレフタレートを適用することもできる。
内容物や成形方法によって外面側ポリエステル樹脂層と内面側ポリエステル樹脂層とのフィルム厚みを大きく変える必要がある時は、ラミネート後の残存配向度を内外両面でコントロールするためポリエステル(A)をイソフタル酸で共重合化させて樹脂融点を調整することも可能である。この場合、容器内外面の残存配向度の差は20%未満の範囲内とすることが望ましく、より好ましくは15%以内である。容器内外面の残存配向度の差が20%以上である場合、残存配向度が高い側の樹脂層の密着性が低下したり、製缶時の成形性が劣化したりするなど、容器としての必要特性が十分に得られない。
〔加工前膜厚〕
金属板を缶体加工した際の缶壁の板厚減少率をA%、外面側ポリエステル樹脂層の加工前膜厚をXμm、内面側ポリエステル樹脂層の加工前膜厚Yμmとしたとき、外面側ポリエステル樹脂層および内面側ポリエステル樹脂層の加工前膜厚X,Yはそれぞれ以下に示す数式(3),(4)を満足する。絞りしごき缶に適用されるラミネート鋼板は、成形にフィルムが追随する成形性のほかに、製缶後に金属面が露出して外観が損なわれたり、長期保管中に金属露出部を起点に腐食が発生したりする可能性があるため、製缶後のフィルム被覆性が重要である。フィルムはラミネートされている金属板の板厚減少率と同等の減少率で減肉される。一方、被覆されている金属板はしごき加工によって鋼板表面粗さが増大する。
このため、製缶後に健全なフィルム被覆性を保つためには、減少した樹脂膜厚が鋼板表面粗さの最大値以上でなければならない。従って、製缶後のフィルム被覆性を確保するためには、外面側ポリエステル樹脂層および内面側ポリエステル樹脂層の加工前膜厚X,Yがそれぞれ以下に示す数式(5),(6)を満足することが望ましい。外面側ポリエステル樹脂層および内面側ポリエステル樹脂層の加工前膜厚X,Yがそれぞれ以下に示す数式(5),(6)を満足しない場合、樹脂層が薄すぎるために鋼板表面を完全に被覆できず腐食の原因となる。加工前膜厚X,Yの上限値は、いたずらにコストアップを招かない範囲であれば特に制限されない。以上の樹脂層は、加工度の高い成形によってはフィルムへのダメージが推測される。このため、本発明の効果が損なわれない範囲で必要に応じてフィルム表面やフィルム自体に有機滑剤などを添加し、潤滑性を向上させることによって、フィルムへのダメージを低減させてもよい。
Figure 2014184619
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〔ポリエステル樹脂層と金属板との界面の樹脂層〕
第2のポリエステル樹脂層と金属板との界面には、樹脂層(以下、樹脂層(X)と呼ぶこともある)を形成する。なお、この樹脂層(X)は、第1のポリエステル樹脂層と金属板との界面にも形成することができる。この樹脂層(X)は、ポリエステル樹脂と、ポリアミン樹脂、ポリアミドアミン樹脂、およびポリアミド樹脂のうちの少なくとも一つとを含有している。ポリエステル樹脂の数平均分子量は3000以上100000以下の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは5000以上30000以下、さらに好ましくは10000以上25000以下の範囲内である。なお、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー分析でのポリスチレンとの比較による換算値である。数平均分子量が3000より低いと加工性が悪くなり、100000より高いと塗料化時の粘度が高くなり、適切な塗装ができなくなる場合がある。
樹脂層(X)中のポリエステル樹脂のガラス転移温度は0℃以上100℃未満の範囲内であることが好ましいが、1種のポリエステル樹脂では数多い要求性能を満たすことが困難な場合がある。1種のポリエステル樹脂のみを使用した場合、例えばポリエステル樹脂のガラス転移温度が0℃以上35℃未満である場合には、樹脂層に柔軟性が付与されるため加工性が優れる。しかしながら、フィルムに樹脂層をコーティングした後、巻かれた状態のままガラス転移温度を超える温度で長時間保持されると、フィルムがブロッキングしてしまうおそれがある。また、ガラス転移温度が低く、耐熱性が不足するため、耐レトルト性がやや劣るようになる。
ガラス転移温度が35℃以上65℃未満であれば、フィルムがブロッキングせず、フィルムの美観が損なわれることがない。ガラス転移温度が65℃以上100℃未満であると、ブロッキング性が優れるものの、皮膜が硬くなるためにやや加工性が劣るようになる。このため、ポリエステル樹脂としてはガラス転移温度が異なる複数の樹脂を併用し、各々のポリエステル樹脂の良い性能を引き出すことで、バランスのとれた、より優れた樹脂層を得ることがさらに好ましい。
また、ガラス転移温度が異なる複数の樹脂を併用する場合、ガラス転移温度が0℃以上35℃未満のポリエステル樹脂は30質量%以上80質量%以下、ガラス転移温度が35℃以上65℃未満のポリエステル樹脂は10質量%以上35質量%以下、ガラス転移温度が65℃以上100℃未満のポリエステル樹脂は10質量%以上35質量%以下の比率に調製することが望ましい。このような比率に調製することによって、加工性とブロッキング性とバランスが著しく向上する。
樹脂層(X)中のポリエステル樹脂は、ジフェノール酸に由来する繰り返し単位を含有することが好ましい。ポリエステル樹脂を製造するための原料成分であるモノマー組成物にジフェノール酸を含有した場合、ポリアミン樹脂、ポリアミドアミン樹脂、およびポリアミド樹脂との反応性が高まり硬化速度が上がり、結果として耐レトルト白化性が向上する。また、ジフェノール酸を必須モノマーとしたガラス転移温度が0℃以上35℃未満のポリエステル樹脂を高い比率で使用しても硬化性が向上する。このように、ガラス転移温度が低くてもコーティングフィルムのブロッキング性が優れるなどの特徴を有しているため、ポリエステル樹脂はジフェノール酸に由来する繰り返し単位を含有することが好ましい。
樹脂層(X)中のポリエステル樹脂は、直鎖型であることが好ましい。ポリエステル樹脂が直鎖型である場合、分岐構造を有するポリエステル樹脂と比較して、皮膜の架橋密度が下がるために、特に加工性が優れる特徴を有している。また、ポリエステル樹脂としては、多塩基酸成分と多価アルコール成分とをエステル化反応させたものを用いることができる。多塩基酸成分としては、例えば無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸などの1種以上の2塩基酸およびこれらの酸の低級アルキルエステル化物が用いられ、必要に応じて、安息香酸、クロトン酸などの1塩基酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸などの3価以上の多塩基酸などが併用される。
多価アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1、4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチルペンタンジオール、1、4-ヘキサンジオール、1、6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの2価アルコールが主に用いられ、さらに必要に応じてグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールを併用することができる。これらの多価アルコールは単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
樹脂層(X)中のポリエステル樹脂の市販品としては、例えば、東洋紡績(株)製のバイロン300、500、560、600、630、650、670、バイロンGK130、140、150、190、330、590、680、780、810、890、ユニチカ(株)製エリーテルUE-3220、3500、3210、3215、3216、3620、3240、3250、3300、東亞合成(株)製アロンメルトPES-310、318、334などが挙げられる。
樹脂層(X)中のポリアミン樹脂、ポリアミドアミン樹脂、およびポリアミド樹脂は、メラミン樹脂などと比較して硬化速度が速く、強靭な皮膜を形成できる点で優れている。また、ポリアミン樹脂、ポリアミドアミン樹脂、およびポリアミド樹脂は、ポリエステル/メラミン系やエポキシ/メラミン系などからなる樹脂組成物と比較して硬化特性が優れるために、2ピース缶用ラミネート金属板の耐レトルト性、耐食性、および加工性などの点で、特に優れた性能を発揮することが可能となる。
ポリアミン樹脂として特に代表的なものを例示すると、脂肪族アミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、トリエチレンペンタミン、脂環式ポリアミンとしてはイソホロンジアミンなどが挙げられる。また、作業性改善や低刺激化、機械物性の向上のために脂肪族ポリアミンにエポキシ樹脂やアクリロニトリルを付加させたり、ホルムアルデヒドとフェノールを反応させて変性したりしたものなども挙げられる。芳香族ポリアミンとしては、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン酸、ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。市販品としては、DIC(株)製EPICRON EXB−353、エアープロダクツジャパン(株)製アンカミン2596、アンカミン2605などが挙げられる。
ポリアミドアミン樹脂およびポリアミド樹脂は、例えば、油脂脂肪酸とポリアミンの脱水縮合反応により合成される化合物である。市販品としては、三洋化成ポリマイドL−15−3、ポリマイドL−45−3、エアープロダクツジャパン(株)製アンカマイド2137、サンマイド330、サンマイドX−2000などが挙げられる。
樹脂層(X)は、さらにエポキシ樹脂を含有してもよい。エポキシ樹脂は、主に皮膜の密着性を向上させるものである。エポキシ樹脂の種類は特に限定するものではないが、近年、ビスフェノールA型エポキシ樹脂では、内分泌攪乱作用が懸念されているため、このような懸念のない樹脂であることが好ましく、ビスフェノールAを含まないエポキシ樹脂とすることが好ましい。ビスフェノールAを含まないエポキシ樹脂としては、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などがあげられ、特にノボラック型エポキシ樹脂であることが好ましい。ノボラック型エポキシ樹脂としては、クレゾールノボラック型、フェノールノボラック型などがあげられる。ノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、DIC(株)社製のエピクロンN-665、670、673、680、690、695、730、740、770、865、870、ダウケミカル(株)社製のXD-7855、旭化成エポキシ(株)社製のECN-1273、1299などが挙げられる。ビフェニル型エポキシ樹脂としては、三菱化学(株)製のYL6121H、YX7399が挙げられる。
樹脂層(X)は、さらに金属アルコキシド系化合物および/または金属キレート化合物を含有してもよい。金属アルコキシド系化合物および/または金属キレート系化合物は、ポリエステル樹脂、ポリアミン樹脂、ポリアミドアミン樹脂、およびポリアミド樹脂のうちの少なくとも一つ、およびエポキシ樹脂と反応し、各々の樹脂の官能基と金属アルコキシド系化合物および/または金属キレート系化合物との間で架橋反応が進行する。この架橋反応は、金属アルコキシド系化合物および/または金属キレート系化合物が無い場合と比較して、その皮膜の硬化速度が著しく速いために、結果として極めて少ない熱エネルギーで優れた密着性、加工性、耐レトルト性、および耐食性を発現することが可能となる。
例えば、既存のラミネート缶体は、フィルムをラミネートした後に180℃以上で、数秒〜数分間焼付けが施され、その後の後加熱を利用し樹脂皮膜を硬化させ、上記の各種要求性能を確保するものである。しかしながら、本発明において、金属アルコキシド系化合物および/または金属キレート化合物を含有した場合の樹脂層は、熱融着ラミネートを行う際の1秒程度の短時間加熱のみで樹脂層が十分に硬化し、後加熱を施したものと同等以上の性能を得ることができる。従って、製造プロセスにおける後加熱工程が不要となり、製造効率が格段に向上する。加えて、二酸化炭素の排出低減も可能となり、実用上極めて有用な技術となりうる。さらに、皮膜中に金属が組み込まれることで、皮膜の強度が向上し、結果として耐衝撃性や耐食性が大幅に向上する。以上の理由により、樹脂層は、さらに、金属アルコキシド系化合物および/または金属キレート化合物を含有することが好ましい。
金属アルコキシド系化合物および/または金属キレート系化合物としては、例えば、アルミニウム、チタン、錫、ジルコニウムなどのアルコキシド金属化合物、アセト酢酸が金属に配位した金属キレート化合物などが挙げられる。中でも、チタンアルコキシド系化合物および/またはチタンキレート化合物を用いるのが好ましい。以下、その理由について説明する。
金属アルコキシド系化合物および/または金属キレート化合物とポリエステル樹脂とが連続的に架橋反応することで、分子鎖の三次元ネットワークが樹脂層内に形成される。これにより、レトルト殺菌処理環境下での水蒸気や熱水の浸透による変色を最も効果的に抑制することが可能となる。水蒸気による変色とは、レトルト殺菌処理中に、樹脂層そのものが白く濁ったように変色する現象であり、レトルト白化と呼ばれている。缶外面の意匠性を損なわせるため、消費者の購買意欲を減退させうる大きな問題である。
本発明の発明者らが鋭意検討した結果、レトルト白化は、缶体を被覆する樹脂層内に水蒸気が浸透することによって、樹脂層の界面および界面近傍に液胞が形成され、液胞部で光が散乱することが原因であると考えられる。従って、特性改善のためには、樹脂層の界面および界面近傍での液胞形成を抑制することが重要である。すなわち、樹脂中に侵入した水蒸気は、樹脂中を拡散し、金属板との界面まで到達する。レトルト殺菌処理の開始直後は、缶内に充填された内容物が常温に近い状態にあるため、缶の外部から内部にかけて温度勾配が生ずる。すなわち、樹脂中を拡散する水蒸気は、金属板に近づくにつれて冷却されることになり、界面および界面近傍で液化し、凝縮水となって液胞を形成する。液胞がレトルト殺菌処理後も界面および界面近傍に残留することで、光の散乱を招き、樹脂表面が白濁してみえることとなる。従って、レトルト白化を抑制するためには、界面および界面近傍における液胞の形成を抑止すればよい。
一方、レトルト殺菌処理装置には、上記のように加熱媒体として水蒸気を用いるもの以外に、熱水を加熱媒体として用いるレトルト殺菌処理装置がある。熱水を加熱媒体として用いるレトルト殺菌処理装置の場合、水蒸気による変色とは異なったメカニズムで、樹脂層そのものが変色し意匠性が劣化するという問題が発生する。これは、レトルト殺菌処理の初期段階において、ポリエステル分子鎖の架橋反応が十分に進行していない場合、樹脂層内に浸透した水がポリエステルのカルボニル末端基を触媒としてポリエステル分子鎖の加水分解反応を促すことにより、樹脂層内に大きな液胞が形成されることが原因であると考えられている。
本発明の発明者らが上記2種類の変色現象を鋭意検討した結果、金属アルコキシド系化合物および/または金属キレート化合物として、チタンアルコキシド系化合物および/またはチタンキレート系化合物を用いた場合、チタンアルコキシド系化合物および/またはチタンキレート系化合物と、ポリエステル樹脂の架橋反応によるポリエステル分子鎖のネットワークを、熱融着ラミネート段階で十分に形成させることが可能となり、この結果、最も効果的に双方の変色現象を抑制できることがわかった。ポリエステル分子鎖のネットワークが水蒸気および熱水が樹脂内へ浸透し界面に到達するのを抑制するとともに、樹脂強度および弾性率が上昇することで液胞の形成および成長を抑制することができたと考えられる。また、分子鎖ネットワーク形成に伴うカルボニル末端基量の減少により、急激な加水分解反応も抑制される。よって、金属アルコキシド系化合物および/または金属キレート化合物は、チタンアルコキシド系化合物および/またはチタンキレート化合物を用いることが好ましい。
樹脂層(X)を形成する樹脂成分の比率は、ポリエステル樹脂:50質量%以上90質量%以下、ポリアミン樹脂、ポリアミドアミン樹脂、およびポリアミド樹脂のうちの少なくとも一つ:0.1質量%以上50質量%以下、エポキシ樹脂:0.5質量%以上30質量%以下、金属アルコキシド系化合物および/または金属キレート化合物:0.01質量%以上10質量%以下の範囲内にあることが望ましい。
ポリエステル樹脂の比率が50質量%より低いと加工性が悪化し、90質量%を超えると硬化性が不足し、耐レトルト性が低下する場合がある。ポリエステル樹脂の比率は、好ましくは55質量%以上85質量%以下の範囲内である。
ポリアミン樹脂、ポリアミドアミン樹脂、およびポリアミド樹脂のうちの少なくとも一つの比率が0.1質量%より低いと硬化性が不足して耐レトルト性が劣り、50質量を超えると加工性が悪化する場合がある。ポリアミン樹脂、ポリアミドアミン樹脂、およびポリアミド樹脂のうちの少なくとも一つの比率は、好ましくは3質量%以上30質量%以下の範囲内である。
エポキシ樹脂の比率が0.5質量%よりも低いと期待した密着性改善などの効果が得られず、30質量%を超えると耐レトルト白化性が低下してしまう場合がある。エポキシ樹脂の比率は好ましくは5質量%以上25質量%以下の範囲内である。
金属アルコキシド系化合物および/または金属系キレート化合物の比率が0.01質量%よりも低いと期待した速硬化性などの効果が得られず、10質量%を超えると、樹脂皮膜が硬くなり加工性が劣るようになるのに加え、コーティング液作製時にゲル化を引き起こす場合がある。金属アルコキシド系化合物および/または金属系キレート化合物の比率は好ましくは0.1質量%以上7質量%以下の範囲内である。
樹脂層(X)の付着量は、0.1g/m以上5.0/m以下の範囲内に規定することが好ましい。樹脂層(X)の付着量が0.1g/m未満である場合、金属板表面を均一に被覆することができず、膜厚が不均一になる場合がある。一方、樹脂層の付着量を5.0g/m超とすると、樹脂の凝集力が不十分となり、樹脂層の強度が低下してしまうおそれがある。この結果、製缶加工時に、樹脂層が凝集破壊してフィルムが剥離し、そこを起点に缶胴部が断裂してしまうこととなる。以上より、樹脂層の付着量は、好ましくは0.1g/m以上5.0g/m以下、さらに好ましくは0.1g/m以上3.0g/m以下、より一層好ましくは0.5g/m以上2.0g/mである。
樹脂層に染料、顔料などの着色剤を添加することで、下地の金属板を隠蔽し、樹脂独自の多様な色調を付与してもよい。なお、本願において、着色剤を、樹脂層(X)中に添加する場合は、外割(樹脂性能に関わる、ポリエステル樹脂とポリアミン樹脂、ポリアミドアミン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、金属アルコキシド系化合物、金属キレート化合物等の成分の合計を100質量部としたときの着色剤の質量部(PHR))で示した。例えば、黒色顔料として、カーボンブラックを添加することで、下地の金属色を隠蔽するとともに、黒色のもつ高級感を食品缶詰に付与することができる。この場合、カーボンブラックの粒子径としては、5nm以上50nm以下の範囲内のものを使用できるが、ポリエステル樹脂中での分散性や発色性を考慮すると、5nm以上30nm以下の範囲内が好適である。
黒色顔料以外にも白色顔料を添加することで、下地の金属光沢を隠蔽するとともに印刷面を鮮映化することができ、良好な外観を得ることができる。添加する顔料としては、容器成形後に優れた意匠性を発揮できることが必要であり、その観点からは、二酸化チタンなどの無機系顔料を使用できる。着色力が強く、展延性にも富むため、容器成形後も良好な意匠性を確保できるので好適である。
容器表面に光輝色を望む場合には、黄色の有機系顔料の使用が好適である。透明性に優れながら着色力が強く、展延性に富むため、容器成形後も光輝色のある外観が得られる。本発明で使用できる有機系顔料としては、カラーインデックス(略称:C.I.)が、ピグメントイエロー12、13、14、16、17、55、81、83、139、180、181、183、191、214のうちの少なくとも1種類を例示できる。特に色調(光輝色)の鮮映性、耐熱水変色性などの観点から、C.I.ピグメントイエロー180、214がより好ましく用いられる。
このほか、レッド顔料としてC.I.ピグメントレッド101、177、179、187、220、254、ブルー顔料としてC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、バイオレット顔料としてC.I.ピグメントバイオレット19、オレンジ顔料としてC.I.ピグメントオレンジ64、グリーン顔料としてC.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
以上の着色剤の配合比率は、樹脂層(X)中に添加する場合は、外割(樹脂性能に関わる、ポリエステル樹脂とポリアミン樹脂、ポリアミドアミン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、金属アルコキシド系化合物、金属キレート化合物等の成分の合計を100質量部としたときの着色剤の質量部(PHR))で0.5〜40PHRであることが好ましい。
樹脂層(X)には、前記の成分および着色剤に加えて、架橋を促進させる硬化触媒を添加することができる。硬化触媒としては、例えばリン酸などの無機酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸などの有機酸およびこれらをアミンなどでブロックしたものを使用できる。硬化触媒の配合比率は、樹脂層を構成する樹脂の全固形分に対して0.01PHR以上5PHR以下の範囲内にすることが好ましい。
樹脂層(X)には、従来公知の滑剤、消泡剤、レベリング剤、顔料、シリカなどのアンチブロッキング剤などを添加することが可能である。また、硬化補助剤として、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、イソシアネート樹脂などの他の硬化剤を併用しても良く、これらはフィルムの乾燥条件、ラミネート条件により適切なものを併用することが可能である。
また、本発明の効果を妨げない範囲において、他の粒子、例えば各種不定形の外部添加型粒子および内部析出型粒子、あるいは各種表面処理剤を用いても構わない。さらに、ポリエステルフィルムが二軸延伸ポリエステルフィルムであると、耐熱性および味特性の観点から好ましい。二軸延伸の方法としては、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれであってもよいが、延伸条件、熱処理条件を特定化し、フィルムの厚さ方向の屈折率が1.50以上であることが、ラミネート性および成形性を良好とする点で好ましい。さらに、厚さ方向屈折率が1.51以上、特に1.52以上であると、ラミネート時に多少のばらつきがあっても成形性および耐衝撃性を両立させる上で面配向係数を特定の範囲に制御することが可能となるので好ましい。
また、二軸延伸ポリエステルフィルムは、製缶工程で絞り成形後に200以上230℃以下程度の範囲内の熱履歴を受けた後にネック部を加工する際の加工性、耐衝撃性の点で固体高分解能NMRによる構造解析におけるカルボニル部の緩和時間が270msec以上、好ましくは280msec以上、特に好ましくは300msec以上である。
〔製造方法〕
次に、本発明の一実施形態である2ピース缶用ラミネート金属板の製造方法について説明する。
本発明の一実施形態である2ピース缶用ラミネート金属板の製造方法では、始めに、外面側ポリエステル樹脂層および内面側ポリエステル樹脂層の表面に樹脂層を形成する。具体的には、始めに、樹脂層の主成分となるポリエステル樹脂を有機溶媒中に溶解させるとともに、本発明が規定する樹脂層の添加成分および任意添加成分を有機溶剤中に溶解または分散させてコーティング液を調製する。次に、このコーティング液を、外面側ポリエステル樹脂層および内面側ポリエステル樹脂層の製膜時もしくは製膜後に、フィルム表面に塗布し乾燥することで、樹脂層を形成する。
なお、ポリエステル樹脂を溶解させるための有機溶剤としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン溶剤、酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤などを例示でき、これらの1種以上を適宜選定して使用することができる。また、コーティング液には、従来公知の潤滑剤、消泡剤、レベリング剤、顔料、シリカなどのアンチブロッキング剤などを添加することが可能である。また、硬化補助剤として、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、イソシアネート樹脂などの他の硬化剤を併用しても良く、これらはフィルムの乾燥条件やラミネート条件により適切なものを併用することが可能である。
また、本発明で規定する架橋剤、硬化触媒、着色剤としてカーボンブラック、アゾ系顔料などの添加剤も、有機溶剤中に分散させて使用することができる。この際、分散剤を併用すると、添加剤の均一性が付与できるため好適である。コーティング液をポリエステルフィルムに塗布する方法としては、ロールコーター方式、ダイコーター方式、グラビア方式、グラビアオフセット方式、スプレー塗布方式など、既知の塗装手段が適用できるが、グラビアロールコート法が最も好適である。コーティング液塗布後の乾燥条件としては、80℃以上170℃以下の温度範囲で1〜30秒間、特に100℃以上130℃以下の温度範囲で5〜30秒間が好ましい。
乾燥後の樹脂層(X)の付着量は、0.1g/m以上5.0g/m以下の範囲内にあることが好ましい。0.1g/m以上5.0g/m以下の範囲内であれば、連続均一塗布性に優れ、意匠性の問題もなく、耐レトルト性および密着性が確保でき、フィルム巻取り時のブロッキング性も解消される。乾燥後の樹脂層の付着量が0.1g/m未満である場合、皮膜の連続性に難点が生じやすく、物性と意匠性の発現が困難となる場合がある。また、レトルト殺菌処理において水蒸気に対するバリア性が劣り、樹脂層(X)と外面側ポリエステル樹脂層および内面側ポリエステル樹脂層との界面に水分が滞留し易く、レトルト白化を引き起こす可能性がある。一方、乾燥後の樹脂層(X)の付着量が5.0g/mを超える場合には、コーティング後の溶剤離脱性が低下し、作業性が著しく低下する上に残留溶剤の問題が生じやすくなることによりフィルム巻取り時のブロッキング性が著しく低下する場合がある。乾燥後の樹脂層(X)の付着量の好適な範囲としては0.5g/m以上2.5g/m以下の範囲内である。
外面側ポリエステル樹脂層および内面側ポリエステル樹脂層に樹脂層(X)をコーティングすると、次に、樹脂層(X)が金属板面と密着するように外面側ポリエステル樹脂層および内面側ポリエステル樹脂層を金属板表面にラミネートする。例えば、金属板をフィルムの融点を超える温度で加熱し、その表面に樹脂層をコーティングした外面側ポリエステル樹脂層および内面側ポリエステル樹脂層を圧着ロール(以下、ラミネートロールと称す)を用いて接触させ熱融着させる方法を用いることができる。
ラミネート条件については、本発明に規定する樹脂層が得られるように適宜設定される。例えば、ラミネート開始時の温度を少なくともフィルムの融点以上とし、ラミネート時にフィルムの受ける温度履歴として、フィルムの融点以上の温度で接している時間を1〜35msecの範囲内とすることが好適である。このようなラミネート条件を達成するためには、高速でのラミネートに加えて、融着中の冷却も必要である。ラミネート時の加圧は特に規定するものではないが、面圧を0.098〜2.94MPa(1〜30kgf/cm)の範囲内にすることが好ましい。この値が低すぎると、樹脂界面の到達する温度が融点以上であっても時間が短時間であるため溶融が不十分であり、十分な密着性を得難い。また、加圧が大きいとラミネート金属板の性能上は不都合がないものの、ラミネートロールにかかる力が大きく設備的な強度が必要となり装置の大型化を招くため不経済である。
〔実施例〕
〔ラミネート金属板の製造〕
冷間圧延、焼鈍、調質圧延を施した厚さ0.20mmの鋼板に対し脱脂、酸洗後、およびクロムめっき処理を行い、クロムめっき鋼板(TFS)を製造した。クロムめっきは、CrO、F、SO 2−を含むクロムめっき浴でクロムめっき、中間リンス後、CrO、Fを含む化成処理液で電解した。その際、電解条件(電流密度・電気量など)を調整して金属クロム付着量とクロム水酸化物付着量とをCr換算でそれぞれ120mg/mおよび15mg/mに調整した。
次に、金属板の被覆装置を用いてクロムめっき鋼板を加熱し、ラミネートロールでクロムめっき鋼板の一方の面に外面側ポリエステル樹脂層が、もう一方の面に内面側ポリエステル樹脂層が形成されるように樹脂フィルムを熱融着で被覆してラミネート金属板を製造した。ラミネートロールは内部水冷式とし、被覆中に冷却水を強制循環し、フィルム接着中の冷却を行った。
〔缶内面側樹脂層の製造〕
表1に示す成分比率にて重合したポリエステル樹脂に、表1に示す粒子を配合して樹脂組成物とし、この樹脂組成物を常法に従い、乾燥、溶融、押し出して、冷却ドラム上で冷却固化させ、未延伸フィルムを得た後、二軸延伸・熱固定して、内面側ポリエステル樹脂層となる二軸配向ポリエステルフィルムを得た。次に、表2、表3に示す各ポリエステル樹脂、ポリアミン樹脂、ポリアミドアミン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、金属アルコキシド系化合物および/または金属キレート化合物を表2、表3に示す比にてトルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒中に溶解してコーティング液を作製した。
ここで、ジフェノール酸に由来する繰り返し単位を含有したポリエステル樹脂(D−1)の合成例を示す。酸成分として、テレフタル酸50質量部、イソフタル酸112質量部、ジフェノール酸、4.9質量部、多価アルコール成分として2−エチル−2−ブチル−1、3−ブタンジオール50質量部、1、4−ブタンジオール99質量部、1、4−シクロヘキサンジメタノール48質量部、チタンテトラブトキシド0.07質量部を2Lフラスコに仕込み、4時間かけて220℃まで徐々に昇温し、水を留出させエステル化を行った。所定量の水を留出させた後、30分かけて10mmHgまで減圧重合を行うとともに温度を250℃まで昇温し、さらにこのまま1mmHg以下で50分間後期重合を行った。次に、減圧重合を止めて、窒素気流下で220℃まで冷却し、無水トリメリット酸1.9質量部を添加し、220℃で30分攪拌しカルボキシ基変性(後付加)を行った後、樹脂を取り出し数平均分子量22000、酸価5(mgKOH/g)、ガラス転移温度30℃のポリエステル樹脂(D−1)を得た。この後、60℃以下まで冷却し、メチルエチルケトン/トルエン=50/50の混合溶液で希釈し、不揮発分40%のポリエステル樹脂溶液を得た。
ポリエステル樹脂(D−2)については、例えば市販のポリエステル樹脂であるバイロンGK−250(数平均分子量:10000、ガラス転移温度:60℃、東洋紡績製)を用いることができる。メチルエチルケトン/トルエン=50/50の混合溶剤中に、バイロンGK−250を混合させ、不揮発分40%のポリエステル樹脂溶液を得た。
ポリエステル樹脂(D−3)については、例えば市販のポリエステル樹脂であるバイロンGK−640(数平均分子量:18000、ガラス転移温度:79℃、東洋紡績製)を用いることができる。メチルエチルケトン/トルエン=50/50の混合溶剤中にバイロンGK−250を混合させ、不揮発分40%のポリエステル樹脂(D−3)溶液を得た。
ポリアミン樹脂としては、市販品のEPICRON EXB−353(DIC(株)製)を用いた。ポリアミドアミン樹脂としては、市販品のSUNMIDE328A(エアープロダクツジャパン製、有効成分100%)を用いた。ポリアミド樹脂としては、市販品のポリマイドL−15−3(三洋化成製)を用いた。
エポキシ樹脂としては、市販のエピクロンN−660(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、50%メチルエチルケトン溶液、DIC(株)製)、YL6121H(ビフェニル型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製)を用いた。金属キレート化合物としては、市販のTC−200(チタンオクチレングリコールキレート、マツモトファインケミカル(株))などを用い、金属アルコキシド化合物としては、市販のZA−65(ジルコニウムブトキシド、マツモトファインケミカル(株))を用いた。
このコーティング液を上記にて得られた内面側ポリエステル樹脂層となる二軸配向ポリエステルフィルムの片側の面に、グラビアロールコーターにより所定の乾燥膜厚となるように塗布・乾燥し、乾燥後の樹脂層の膜厚を調整した。乾燥温度は、80℃以上120℃以下の範囲内とした。
Figure 2014184619
Figure 2014184619
Figure 2014184619
〔缶外面側樹脂層の製造〕
表4に示す酸成分とグリコール成分を表4に示す比率にて重合したポリエステル樹脂に、表4に示す粒子を配合して樹脂組成物とし、この樹脂組成物を常法に従い、乾燥、溶融、押し出して、冷却ドラム上で冷却固化させ、未延伸フィルムを得た後、二軸延伸・熱固定して、外面側ポリエステル樹脂層となる二軸配向ポリエステルフィルムを得た。次に、表4に示す各ポリエステル樹脂、ポリアミン樹脂、ポリアミドアミン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、金属アルコキシド系化合物および/または金属キレート化合物および着色剤を、表5、表6に示す比にてトルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒中に溶解して溶解してコーティング液を作製した。
ここで、ジフェノール酸に由来する繰り返し単位を含有したポリエステル樹脂(D−1)の合成例を示す。酸成分として、テレフタル酸50質量部、イソフタル酸112質量部、ジフェノール酸、4.9質量部、多価アルコール成分として2−エチル−2−ブチル−1、3−ブタンジオール50質量部、1、4−ブタンジオール99質量部、1、4−シクロヘキサンジメタノール48質量部、チタンテトラブトキシド0.07質量部を2Lフラスコに仕込み、4時間かけて220℃まで徐々に昇温し、水を留出させエステル化を行った。所定量の水を留出させた後、30分かけて10mmHgまで減圧重合を行うとともに温度を250℃まで昇温し、さらにこのまま1mmHg以下で50分間後期重合を行った。次に、減圧重合を止めて、窒素気流下で220℃まで冷却し、無水トリメリット酸1.9質量部を添加し、220℃で30分攪拌しカルボキシ基変性(後付加)を行った後、樹脂を取り出し数平均分子量22000、酸価5(mgKOH/g)、ガラス転移温度30℃のポリエステル樹脂(D−1)を得た。この後、60℃以下まで冷却し、メチルエチルケトン/トルエン=50/50の混合溶液で希釈し、不揮発分40%のポリエステル樹脂(D−1)溶液を得た。
ポリエステル樹脂(D−2)については、例えば市販のポリエステル樹脂であるバイロンGK−250(数平均分子量:10000、ガラス転移温度:60℃、東洋紡績製)を用いることができる。メチルエチルケトン/トルエン=50/50の混合溶剤中に、バイロンGK−360を混合させ、不揮発分40%のポリエステル樹脂(D−2)溶液を得た。
ポリエステル樹脂(D−3)については、例えば市販のポリエステル樹脂であるバイロンGK−640(数平均分子量:18000、ガラス転移温度:79℃、東洋紡績製)を用いることができる。メチルエチルケトン/トルエン=50/50の混合溶剤中にバイロンGK−250を混合させ、不揮発分40%のポリエステル樹脂(D−3)溶液を得た。
ポリアミン樹脂としては、市販品のEPICRON EXB−353(DIC(株)製)を用いた。ポリアミドアミン樹脂としては、市販品のSUNMIDE328A(エアープロダクツジャパン製、有効成分100%)を用いた。ポリアミド樹脂としては、市販品のポリマイドL−15−3(三洋化成製)を用いた。
エポキシ樹脂としては、市販のエピクロンN−660(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、50%メチルエチルケトン溶液、DIC(株)製)、YL6121H(ビフェニル型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製)を用いた。金属キレート化合物としては、市販のTC−200(チタンオクチレングリコールキレート、マツモトファインケミカル(株))などを用い、金属アルコキシド化合物(H)としては、市販のZA−65(ジルコニウムブトキシド、マツモトファインケミカル(株))を用いた。
このコーティング液を上記にて得られた外面側ポリエステル樹脂層となる二軸配向ポリエステルフィルムの片側の面に、グラビアロールコーターにより所定の乾燥膜厚となるように塗布・乾燥し、乾燥後の樹脂層の膜厚を調整した。乾燥温度は、80℃以上120℃以下の範囲内とした。
Figure 2014184619
Figure 2014184619
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〔評価〕
以上により製造されたラミネート金属板の特性を下記の(1)〜(7)の方法によりそれぞれ測定、評価した。
(1)絞りしごき成形性
絞りしごき成形は、始めに、ラミネート金属板の両面に融点45℃のパラフィンワックスを50mg/m塗布した後に、123mmφのブランクを打ち抜き、そのブランクを市販のカッピングプレスで、内径71mmφ、高さ36mmのカップに絞り成形した。次に、このカップを市販のDI成形装置に装入し、ポンチスピード200mm/s、ストローク560mmで再絞り加工および3段階のアイアニング加工で総リダクション率50%(それぞれのリダクション20%、19%、23%)を行い、最終的に缶内径52mm、缶高さ90mmの缶を成形した。なお、DI成形中には、水道水を50℃の温度で循環させた。そして、製缶が可能なラミネート金属板については評点○、缶が破胴し、成形不可能なラミネート金属板については評点×を付与した。
(2)耐レトルト白化性
上記(1)の絞りしごき成形性評価で成形可能(評点○)であった缶の底部(缶外面側)を対象として耐レトルト白化性を評価した。具体的には、缶内に常温の水道水を満たした後、蓋を巻き締めて密閉した。その後、缶底部を下向きにして、蒸気式レトルト殺菌炉の中に配置し、125℃で90分間、レトルト殺菌処理を行った。処理後、缶底部外面の外観変化を目視で観察した。外観に変化がない缶については評点◎を付与し、外観にかすかな曇りが発生した缶については評点○を付与し、外観が白濁(白化発生)した缶については評点×を付与した。
(3)耐熱水変色性
上記(1)の絞りしごき成形性評価で成形可能(評点○)であった缶の底部(缶外面側)を対象として耐熱水変色性を評価した。具体的には、缶内に常温の水道水を満たした後、蓋を巻き締めて密閉した。その後、缶底部を下向きにして、熱水式レトルト殺菌炉の中に配置し、125℃で90分間、レトルト殺菌処理を行った。処理後、缶底部外面の外観変化を目視で観察した。外観に変化がない缶については評点◎を付与し、外観がわずかに変化(変色発生)した缶については評点○を付与し、外観が変化(顕著な変色が発生)した缶については評点×を付与した。
(4)成形後密着性(1)
上記(1)の絞りしごき成形性評価で成形可能(評点○)であった缶を対象として成形後密着性を評価した。具体的には、缶胴部よりピール試験用のサンプル(幅15mm、長さ120mm)を切り出した。切り出したサンプルの長辺側端部からフィルムの一部を剥離した。剥離したフィルムを、剥離された方向とは逆方向(角度:180°)に開き、引張試験機を用いて、引張速度30mm/minでピール試験を行い、幅15mmあたりの密着力を評価した。評価対象は、缶外面の缶胴部である。密着力が10.0(N)/15(mm)以上である缶については評点◎を付与し、密着力が5.0(N)/15(mm)以上10.0(N)/15(mm)未満である缶については評点○を付与し、密着力が5.0(N)/15(mm)未満である缶については評点×を付与した。
(5)成形後密着性(2)
上記(1)の絞りしごき成形性評価で成形可能(評点○)であった缶を対象として成形後密着性を評価した。具体的には、缶の内部に水道水を充填した後、蓋を巻き締めて密閉した。次に、レトルト殺菌処理を130℃、90分間の条件で実施し、缶胴部よりピール試験用のサンプル(幅15mm、長さ120mm)を切り出した。切り出したサンプルの長辺側端部からフィルムの一部を剥離した。剥離したフィルムを剥離された方向とは逆方向(角度:180°)に開き、引張試験機を用いて引張速度30mm/minでピール試験を行い、幅15mmあたりの密着力を評価した。評価対象は、缶内面の缶胴部である。密着力が10.0(N)/15(mm)以上である缶については評点◎を付与し、密着力が5.0(N)/15(mm)以上10.0(N)/15(mm)未満である缶については評点○を付与し、密着力が5.0(N)/15(mm)未満である缶については評点×を付与した。
(6)疵部耐食性評価(1)
上記(1)の絞りしごき成形性評価で成形可能(評点○)であった缶を対象として、缶外面の缶胴部2箇所に下地鋼板に達するクロスカット疵を入れた。次に、クロスカット疵を付与した缶に対し、JISZ2371に準拠した塩水噴霧テストを300時間行い、疵部からの片側最大腐食幅を測定した。評価対象は、缶外面の缶胴部である。片側最大腐食幅が0.5mm未満であった缶については評点◎を付与し、片側最大腐食幅が0.5mm以上1.0mm未満の範囲内にあった缶については評点○を付与し、片側最大腐食幅が1.0mm以上であった缶については評点×を付与した。
(7)疵部耐食性評価(2)
上記(1)の絞りしごき成形性評価で成形可能(評点○)であった缶を対象として、缶内面の缶胴部2箇所に下地鋼板に達するクロスカット疵を入れた。次に、缶の内部に1.5%NaCl+1.5%クエン酸ナトリウム混合液を充填した後、蓋を巻き締めて密閉した。次に、レトルト殺菌処理を130℃、90分間の条件で実施した後、温度38℃の恒温槽内で20日間経時させた。その後、缶を切り開き、クロスカット疵部からの片側最大腐食幅を測定した。測定方法は(6)傷部耐食性評価1と同様である。また、評価対象は、缶内面の缶胴部である。片側最大腐食幅が1.0mm未満であった缶については評点◎を付与し、片側最大腐食幅が1.0mm以上3.0mm未満の範囲内にあった缶については評点○を付与し、片側最大腐食幅が3.0mm以上であった缶については評点×を付与した。
以上により得られた結果を表7(缶内面側評価結果)および表8(缶外面側評価結果)に示す。
Figure 2014184619
Figure 2014184619
表7、表8より、本発明例は、食品缶詰素材に要求される成形性、耐レトルト白化性、耐熱水変色性、成形後密着性、傷部耐食性について、良好な性能を有することが確認された。これに対し、本発明の範囲を外れる比較例はいずれかの特性が劣っていることが確認された。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者などによりなされる他の実施の形態、実施例、および運用技術などは全て本発明の範疇に含まれる。

Claims (7)

  1. 金属板と、
    容器成形後に容器の外面側になる前記金属板の表面に形成された第1のポリエステル樹脂層と、
    容器成形後に容器の内面側になる前記金属板の表面に形成された第2のポリエステル樹脂層と、を備え、
    前記第1のポリエステル樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート又は共重合成分の含有率が6mol%未満である共重合ポリエチレンテレフタレートを30質量%以上60質量%以下、ポリブチレンテレフタレート又は共重合成分の含有率が5mol%未満である共重合ポリブチレンテレフタレートを40質量%以上70質量%以下の割合で含有し、
    前記第2のポリエステル樹脂層は、共重合成分の含有率が14mol%未満である共重合ポリエチレンテレフタレートであり、
    前記第1および第2のポリエステル樹脂層のラミネート後の残存配向度が20%未満であり、
    前記金属板を缶体加工した際の缶壁の板厚減少率をA%、前記第1のポリエステル樹脂層の加工前膜厚をXμm、前記第2のポリエステル樹脂層の加工前膜厚をYμmとしたとき、前記第1および第2のポリエステル樹脂層の加工前膜厚X、Yがそれぞれ以下に示す数式(1)および数式(2)を満足し、
    前記第2のポリエステル樹脂層と前記金属板との界面に、ポリエステル樹脂と、ポリアミン樹脂、ポリアミドアミン樹脂、およびポリアミド樹脂のうちの少なくとも一つとを含有する樹脂層が形成されている
    ことを特徴とする2ピース缶用ラミネート金属板。
    Figure 2014184619
    Figure 2014184619
  2. 金属板と、
    容器成形後に容器の外面側になる前記金属板の表面に形成された第1のポリエステル樹脂層と、
    容器成形後に容器の内面側になる前記金属板の表面に形成された第2のポリエステル樹脂層と、を備え、
    前記第1のポリエステル樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート又は共重合成分の含有率が6mol%未満である共重合ポリエチレンテレフタレートを30質量%以上60質量%以下、ポリブチレンテレフタレート又は共重合成分の含有率が5mol%未満である共重合ポリブチレンテレフタレートを40質量%以上70質量%以下の割合で含有し、
    前記第2のポリエステル樹脂層は、共重合成分の含有率が14mol%未満である共重合ポリエチレンテレフタレートであり、
    前記第1および第2のポリエステル樹脂層のラミネート後の残存配向度が20%未満であり、
    前記金属板を缶体加工した際の缶壁の板厚減少率をA%、前記第1のポリエステル樹脂層の加工前膜厚をXμm、前記第2のポリエステル樹脂層の加工前膜厚をYμmとしたとき、前記第1および第2のポリエステル樹脂層の加工前膜厚X、Yがそれぞれ以下に示す数式(3)および数式(4)を満足し、
    前記第1および第2のポリエステル樹脂層と前記金属板との界面に、ポリエステル樹脂と、ポリアミン樹脂、ポリアミドアミン樹脂、およびポリアミド樹脂のうちの少なくとも一つとを含有する樹脂層が形成されている
    ことを特徴とする2ピース缶用ラミネート金属板。
    Figure 2014184619
    Figure 2014184619
  3. 前記樹脂層は、さらにエポキシ樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の2ピース缶用ラミネート金属板。
  4. 前記樹脂層は、さらに金属アルコキシド系化合物および/または金属キレート化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか1項に記載の2ピース缶用ラミネート金属板。
  5. 前記樹脂層に含まれるポリエステル樹脂は、数平均分子量が3000以上100000以下の範囲内にあり、ガラス転移温度が0℃以上100℃以下のポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のうち、いずれか1項に記載の2ピース缶用ラミネート金属板。
  6. 前記樹脂層に含まれるポリエステル樹脂は、ジフェノール酸に由来する繰り返し単位を含有するポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のうち、いずれか1項に記載の2ピース缶用ラミネート金属板。
  7. 請求項1〜6のうち、いずれか1項に記載の2ピース缶用ラミネート金属板を用いて製造されたことを特徴とする2ピースラミネート缶体。
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