JP2014181425A - 芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントおよび工業用織物 - Google Patents
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Abstract
【課題】工業用織物用途における利用価値の高い、すなわち優れた引張強度と耐屈曲疲労性を兼ね備えると共に、木材ピッチおよび回収ダンボール古紙原料に付着していたガムテープ粘着糊などのガムピッチ汚れが付着し難く、かつ付着したガムピッチ汚れを洗浄しやすいなどの抜群の防汚性を有する芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントおよびそれを利用した工業用織物を提供することを目的とする。
【解決手段】芯の成分がポリエチレンナフタレートのみで構成され、鞘の成分がポリエチレンテレフタレート100質量部に対して、フェニル基を含有する無官能性シリコーンオイルを0.5〜30質量部含有させたポリエステル樹脂組成物からなり、引張強度が4.50cN/dtex以上であることを特徴とする芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント。
【選択図】なし
【解決手段】芯の成分がポリエチレンナフタレートのみで構成され、鞘の成分がポリエチレンテレフタレート100質量部に対して、フェニル基を含有する無官能性シリコーンオイルを0.5〜30質量部含有させたポリエステル樹脂組成物からなり、引張強度が4.50cN/dtex以上であることを特徴とする芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント。
【選択図】なし
Description
本発明は、優れた引張強度と耐屈曲疲労性の両特性を兼ね備えると共に、木材ピッチおよび回収ダンボール古紙原料に付着していたガムテープ粘着糊などの粘着性汚れ物(以下、ガムピッチ汚れと略称する)が付着し難く、かつ付着したガムピッチ汚れを洗浄しやすいなどの優れた防汚性を有し、特に抄紙ワイヤー、抄紙ドライヤーカンバスや抄紙プレスフェルトなどの抄紙機用織物の構成素材として好適な芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントおよびこれを用いた各種工業用織物に関するものである。
ポリエステル、ポリフェニレンサルファイドおよびポリアミドなどの熱可塑性樹脂からなるモノフィラメント等の繊維は、優れた力学特性および化学特性などを有していることから、従来から各種工業用部品、衣料用および工業用繊維材料、各種織物などに使用されてきた。
これらの織物の用途としては、抄紙機用、フィルター用、サーマルボンド法不織布熱接着工程用ネットコンベア用、熱処理炉内搬送用のベルト用などが挙げられ、また、モノフィラメントの他の用途としては、各種ブラシ用、毛筆用、印刷用スクリーン紗用、釣り糸用、ゴム補強用などが知られている。
なかでも、抄紙業界における抄紙機用抄紙ワイヤー、抄紙ドライヤーカンバスおよび抄紙プレスフェルトなどの構成素材としては、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルのモノフィラメントが広く使用されているが、近年特に最も汎用的に利用されているポリエチレンテレフタレートのモノフィラメントに比べて引張強度が優れているという観点でポリエチレンナフタレートのモノフィラメントが、工業用繊維材料として非常に高い注目を集めている。(以降、ポリエチレンテレフタレートのモノフィラメント、ポリエチレンナフタレートのモノフィラメントを、ポリエチレンテレフタレートモノフィラメント、ポリエチレンナフタレートモノフィラメントのように略称する)
しかしながら、ポリエチレンナフタレートモノフィラメントは糸の伸度、タフネスが低いことから耐屈曲疲労性が低いため、抄紙機用織物を製作する織機上にてモノフィラメントが繰り返し曲げ応力を受ける際に、フィブリル化による糸割れや糸切れが生じやすく、さらに抄紙機用織物として抄紙機で使用した場合においても、耐屈曲疲労性の低さから、長期間の使用ができないという問題を抱えており、抄紙機用織物の製作工程における織機上での工程通過性改善、抄紙機での実使用時における耐久性改善などを目的とした、耐屈曲疲労性の優れたポリエチレンナフタレートモノフィラメントの開発が求められていた。
しかしながら、ポリエチレンナフタレートモノフィラメントは糸の伸度、タフネスが低いことから耐屈曲疲労性が低いため、抄紙機用織物を製作する織機上にてモノフィラメントが繰り返し曲げ応力を受ける際に、フィブリル化による糸割れや糸切れが生じやすく、さらに抄紙機用織物として抄紙機で使用した場合においても、耐屈曲疲労性の低さから、長期間の使用ができないという問題を抱えており、抄紙機用織物の製作工程における織機上での工程通過性改善、抄紙機での実使用時における耐久性改善などを目的とした、耐屈曲疲労性の優れたポリエチレンナフタレートモノフィラメントの開発が求められていた。
一方、抄紙業界において、近年普及してきた紙のリサイクルにより、抄紙工程中で新たに別の問題も表面化してきた。
すなわち、従来の紙原料中に含まれる各種填料やスライム、木材ピッチだけではなく、リサイクルの普及により増えてきた、回収ダンボール古紙原料に付着したガムテープ粘着糊などのガムピッチ汚れが、ポリエステルモノフィラメントなどの熱可塑性樹脂モノフィラメントを織製してなる抄紙機用の織物に付着することにより、濾水効率の低下や搾水効率の低下、乾燥効率の低下といった問題を生じさせていた。さらにこれらの粗大化した汚れ物が紙へ転写することによる製品紙の品位低下などが重大な問題となっているため、汚れが付着し難い、また付着した汚れが容易に剥がれやすい防汚性を兼ね備えたポリエステルモノフィラメントの開発が要望されていた。
このような欠点を解決するため従来から様々の提案が行われてきた。
すなわち、ポリエチレンナフタレートの欠点である耐屈曲疲労性を向上させるための技術としては、例えば、ダイマージオール成分をグリコール成分に含有させた共重合ポリエチレンナフタレート繊維(例えば、特許文献1参照)が知られているが、この技術で得られる繊維は、耐屈曲疲労性は改善されるものの、近年要求されている防汚性は十分ではなかった。
また、ポリエチレンナフタレートの引張強度を保持しつつ、耐屈曲疲労性を改善させるための技術として、例えばナフタレンジカルボン酸を主たるジカルボン酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とし、共重合成分として芳香族ジオールアルキレンオキシド付加体成分を共重合させた共重合ポリエチレンナフタレート(例えば、特許文献2参照)が知られているが、この技術のポリマーから得られる繊維は、引張強度は保持できるものの、ポリエチレンナフタレートとポリアルキレンオキシドとの相溶性が低いために、共重合するポリアルキレンオキシドの共重合量や分子量によっては、ポリマーが非相溶系となり、結果的に繊維の耐屈曲疲労性を低下させてしまうという問題を有していた。
さらに、ポリエチレンナフタレートの引張強度を保持しつつ、同時に防汚性を付与させる技術として、例えばシリコーンを含有するポリエチレンナフタレートからなる少なくとも一軸方向に延伸されたフィルムであって、フィルム表面のSi量が0.50g/m2以下であるポリエチレンナフタレートフィルム(例えば、特許文献3参照)が知られているが、この技術を利用して繊維とした場合、引張強度は保持できるものの、抄紙工程において必要とされるガムピッチ汚れに対する防汚性が得られないばかりか耐屈曲疲労性が低く、実用的なものではなかった。
なお、本出願人らも、ポリエチレンナフタレートに対して、ポリエチレンテレフタレートを含有させ、さらに特定のシリコーンオイルを添加することにより、引張強度および耐屈曲疲労性を同時に向上させると共に、防汚性をも兼ね備えるポリエステルモノフィラメント(例えば、特許文献4参照)を先に提案しているが、特に近年の製紙業界においては、抄紙機の高速化が進んでおり、更に高強度な特性を備えた抄紙ワイヤー用途やドライヤーカンバス用途のポリエステルモノフィラメントの実現がより一層強く望まれるようになってきた。
以上のような状況を鑑み、本発明の目的は、引張強度と耐屈曲疲労性の両特性を兼ね備えると共に、木材ピッチおよび回収ダンボール古紙原料に付着していたガムテープ粘着糊などのガムピッチ汚れが付着し難く、かつ付着したガムピッチ汚れを洗浄しやすいなどの抜群の防汚性を有し、特に抄紙ワイヤー、抄紙ドライヤーカンバスや抄紙プレスフェルトなどの抄紙機用織物の構成素材として好適に利用が可能な芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントおよびこれを用いた工業用織物を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、芯の成分がポリエチレンナフタレート、鞘の成分がポリエチレンテレフタレートに無官能性シリコーンオイルを添加した樹脂組成物である芯鞘構造を有するモノフィラメントにすることで、引張強度を保持しつつ耐屈曲疲労性を飛躍的に向上させることが可能になると共に、さらには抜群の防汚性が実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、芯の成分がポリエチレンナフタレート、鞘の成分がポリエチレンテレフタレート100質量部に対して、フェニル基を有する無官能性シリコーンオイルを0.5〜30質量部含有するポリエステル樹脂組成物からなり、引張強度が4.50cN/dtex以上であることを特徴とする芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを提供するものである。
なお、本発明の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントにおいては、前記芯と鞘の複合比率が、芯:50〜95質量%および鞘:50〜5質量%であること、
前記無官能性シリコーンオイルに含まれる有機基中のフェニル基の割合が5モル%以上80モル%以下であること、
前記無官能性シリコーンオイルの25℃における粘度が1Pa・s以下であること、
前記ポリエチレンテレフタレートの固有粘度が0.65〜1.30であること、および
前記複合モノフィラメントが、屈曲疲労特性試験における切断するまでに要するMIT屈曲疲労回数が往復50回以上であること
が、より好ましい条件として挙げられ、これらの諸条件を満足させることで、より一層優れた引張強度および耐屈曲疲労性の両特性を向上させることを可能とし、さらにはより一層の優れた防汚性の獲得をも同時に可能とすることができる。
前記無官能性シリコーンオイルに含まれる有機基中のフェニル基の割合が5モル%以上80モル%以下であること、
前記無官能性シリコーンオイルの25℃における粘度が1Pa・s以下であること、
前記ポリエチレンテレフタレートの固有粘度が0.65〜1.30であること、および
前記複合モノフィラメントが、屈曲疲労特性試験における切断するまでに要するMIT屈曲疲労回数が往復50回以上であること
が、より好ましい条件として挙げられ、これらの諸条件を満足させることで、より一層優れた引張強度および耐屈曲疲労性の両特性を向上させることを可能とし、さらにはより一層の優れた防汚性の獲得をも同時に可能とすることができる。
また、本発明の織物は、上記の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを経糸および/または緯糸の少なくとも一部に使用したことを特徴とし、その優れた引張強度や耐屈曲疲労性および防汚性を有することから、工業用織物に好適に利用でき、中でも、特に抄紙ワイヤー、抄紙ドライヤーカンバスや抄紙プレスフェルトなどの抄紙機用織物などに極めて好適に利用できるものである。
本発明によれば、以下に説明するとおり、従来のポリエチレンナフタレートでは実現することができなかった優れた引張強度および耐屈曲疲労性を兼ね備え、抜群の防汚性を有することから、特に抄紙ワイヤー、抄紙ドライヤーカンバスや抄紙プレスフェルトなどの抄紙機用織物の構成素材として好適な芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントおよびこれを用いた工業用織物を得ることができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントは芯の成分がポリエチレンナフタレート、鞘の成分がポリエチレンテレフタレート100質量部に対して、フェニル基を有する無官能性シリコーンオイルを0.5〜30質量部含有するポリエステル樹脂組成物である。
本発明の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントの芯の成分であるポリエチレンナフタレート(以下、PENと略称する)とは、ジカルボン酸成分の90モル%以上が2,6−ナフタレンジカルボン酸からなり、グリコール成分の90モル%以上がエチレングリコールからなる樹脂であり、かかる樹脂を適用することで優れた引張強度の発揮が期待できる。
また、芯の成分としてPEN以外に、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、ジルコニウム酸、カーボンブラックなどの各種無機粒子や架橋高分子粒子、各種金属粒子などの粒子類のほか、既知の金属イオン封鎖剤、イオン交換剤、着色防止剤、耐光剤、包接化合物、帯電防止剤、各種着色剤、各種界面活性剤などを含んでいてもよい。
本発明で使用するPENの固有粘度は、0.60〜1.20が好ましく、更に好ましくは、0.75〜1.00である。ここで固有粘度が0.60未満であれば工業用織物として必要な引張強度を得にくい傾向となる。一方、1.20を越えると、モノフィラメントが割れ易い傾向となる。なお固有粘度の測定は、実施例のポリエステルの固有粘度の測定法に記載の通りである。
本発明の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントの鞘の成分に用いるポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する)は、ジカルボン酸成分の90モル%以上がテレフタル酸からなり、またグリコール成分の90モル%以上がエチレングリコールからなる樹脂である。
また、鞘の成分としてPETと後述する無官能性のシリコーンオイル以外に、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、ジルコニウム酸、カーボンブラックなどの各種無機粒子や架橋高分子粒子、各種金属粒子などの粒子類のほか、既知の金属イオン封鎖剤、イオン交換剤、着色防止剤、耐光剤、包接化合物、帯電防止剤、各種着色剤、各種界面活性剤などを含んでいてもよい。
本発明で使用するPETの固有粘度は、0.65以上1.30以下が好ましく、さらに0.70以上1.20以下であればより好ましい。ここでPETの固有粘度が0.65未満であると、モノフィラメントの引張強度が不十分となる場合がある。またPETの固有粘度が1.30を越えると紡糸中に繊維軸方向のごく短い長さの直径増大変動異常部(以下、コブ糸と略称する)が発生し、紡糸操業性が低下する傾向となる。
さらに、本発明の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントは、鞘の成分としてフェニル基を有する無官能性シリコーンオイルを含有するポリエステル樹脂組成物を含有することが重要であり、これにより抜群の防汚性を発揮することが可能となる。その理由は、フェニル基を有する無官能性シリコーンオイルはブリードアウト速度が速いために、ブリードアウト性に優れており、このようなブリードアウト性オイルを用いることで、成形後モノフィラメント表面にブリードアウトする無官能性シリコーンオイルの量が十分となり、このポリエステルモノフィラメントを工業用織物に使用した場合に、木材ピッチおよび回収ダンボール古紙原料に付着していたガムテープ粘着糊などのガムピッチ汚れが付着し難く、かつ付着したガムピッチ汚れを洗浄しやすいなどの優れた防汚性を有することに繋がるからである。
なお、フェニル基を有する無官能性シリコーンオイルに含まれる有機基中のフェニル基の割合(オルガノポリシロキサン中のケイ素原子に結合した1価の有機基(非置換又は置換1価炭化水素基)の全体に対するモル%、フェニル基含有率と略称する場合もある)は、5モル%以上80モル%以下であれば好ましく、より好ましくは7モル%以上70モル%以下である。また、上記無官能性シリコーンオイルは、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
本発明のフェニル基を有する無官能性シリコーンオイルは、ブリードアウト性の観点から25℃における粘度が1Pa・s以下であることが好ましい。また、粘度の下限については特に限定されないが、現時点で入手可能なものは、0.1Pa・s程度である。
このようなフェニル基を有する無官能性シリコーンオイルとは、架橋反応が可能な反応性官能基(例えば珪素原子に結合したアルケニル基や水素原子(Si−H基)など)や、その他の反応性官能基を分子中に含有しないシリコーンオイルである。例えば分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖フェニルメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖フェニルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体などの、直鎖状のフェニルメチルポリシロキサン(フェニルメチルシリコーンオイル)、環状、鎖状、分岐状、網目構造フェニル基を有する無官能性シリコーンオイルなどが挙げられるが、特に直鎖状のものが好ましい。
本発明のフェニル基を有する無官能性シリコーンオイルの含有量はPET100質量部に対して、0.5〜30質量部であるが、好ましくは5.0〜25質量部である。含有量が0.5質量部未満の場合は、必要十分な防汚性が得られず、また30質量部を超えると、紡糸工程においてスクリューの噛み込み不良など紡糸操業性に支障をきたすためである。
本発明の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントは、JIS L1013:2010に準じて測定した引張強度が4.50cN/dtex以上であるが、より好ましくは5.00cN/dtex以上、さらに好ましくは5.50cN/dtex以上である。なお、引張強度が4.50cN/dtex未満では、従来のPETモノフィラメントが発現する最大の強度とほぼ同等のレベルであるため、PENを含有する利点が得られない。すなわち、本発明においてPENを主体とする芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを工業用織物に適用する最大の目的は、優れた引張強度を付与することにある。より具体的には、引張強度が十分でなければ、出来上がった織物の強度が不十分となるのに加え、ポリエステルモノフィラメントの引張強度の低さに起因し、実使用時において非常に伸びやすい織物となってしまうため、例えば抄紙機用織物とした場合など、抄紙機上で直ぐに織物が伸びきってしまう。その結果、織物の伸びの調整が出来なくなり、織物を構成するポリエステルモノフィラメントの摩耗による破断や、接触物との摩擦による織物の摩滅などによって織物の寿命を迎える前に使用が出来なくなることとなる。
また、本発明の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントは芯の成分をPEN、鞘の成分をPETに無官能性シリコーンオイルを含有させた樹脂組成物とした芯鞘複合の構成とすることで、優れた引張強度を保持しつつ耐屈曲疲労性を飛躍的に向上させることを可能とし、さらには抜群の防汚性を実現したものである。
すなわち、一般にポリエステル樹脂に対し、防汚効果を発現せしめる添加物を混合した場合には、モノフィラメントとしての物理的強度は低下する傾向を示すが、本発明では、鞘の成分としてPETに無官能性シリコーンオイルを含有する樹脂組成物を用いることで防汚性および屈曲疲労特性を確保し、芯の成分としてPENを用いることにより、モノフィラメントとしての物理的強度を向上させている。
芯鞘複合比率としては芯:50〜95質量%および鞘:50〜5質量%の範囲であることが好ましい。鞘の成分の複合比率が芯の成分より多くなると、屈曲疲労特性は向上するものの強度低下を招く場合がある。一方、鞘の成分の複合比率が5%未満では、引張強度は満足するものの屈曲疲労特性が不十分になるばかりか、防汚性が低下する場合がある。
次に、本発明の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントは、屈曲疲労特性(以下、MIT屈曲疲労という)試験機により測定した、切断までに要するMIT屈曲疲労回数が往復50回以上であることが好ましい。
MIT屈曲疲労回数が往復50回を下回る場合は、工業用織物の製織工程において、芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントが断糸してしまうなど、織物製造工程での工程通過性が不十分となる場合がある。MIT屈曲疲労回数は高ければ高いほど好ましいが、現在の技術で達成可能な上限は、1000回程度である。
本発明の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントは、1本の連続糸であり、繊維軸方向に垂直な断面の形状(以下、断面形状もしくは断面という)は、丸、楕円、3角、T、Y、H、+、5葉、6葉、7葉、8葉、などの多様形状、正方形、長方形、菱形、ドッグボーン状および繭型などいかなる断面形状を有するものでもよい。
また、本発明の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントの直径は、その使用用途に合わせ適宜選択することができるが、通常は0.05〜3mm程度の範囲のものが好適に使用される。
次に、本発明の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントの製造方法としては、既知の方法が適用できる。
例えば、メルトプレッシャー式またはエクストルダー式複合紡糸機などを用いて、必要量の乾燥したPEN、PETに所定量の無官能性シリコーンオイルを混合したポリエステル樹脂組成物、あるいは事前にPETに無官能性シリコーンオイルを高濃度に含有させ、溶融混練押出したポリエステルマスターバッチとしたポリエステル樹脂組成物を用い、所望の芯と鞘の複合比率となるように計量供給し、複合紡糸用口金から各成分を溶融押し出し紡糸し、定法に従って、冷却、延伸および熱セットすることにより、本発明の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを効率的に得ることができる。
上記の構成から成る本発明の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントは、従来のPENモノフィラメントでは実現することができなかった優れた引張強度および耐屈曲疲労性の両特性を兼ね備えると共に、木材ピッチおよび回収ダンボール古紙原料に付着していたガムテープ粘着糊などのガムピッチ汚れが付着し難く、かつ付着したガムピッチ汚れが洗浄しやすいなどの優れた防汚性を発揮させ得ることから、各種工業用織物の構成素材として有用なものである。
また、本発明の工業用織物は、本発明の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを織物の経糸および/または緯糸の少なくとも一部に使用した織物であり、各種工業用途に好ましく使用される。かかる工業用織物の中でも、特に抄紙ワイヤー、抄紙ドライヤーカンバスや抄紙プレスフェルトなどの抄紙機用織物に適用した場合、特に優れた効果が期待できる。
以下、本発明の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントの実施例に関しさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、実施例における各特性は、以下に説明する方法により測定した値である。測定n数について特に記載していないものは、n=1で測定を実施した。
1.ポリエステルの固有粘度
溶解用に準備した試験管に25mLのオルトクロロフェノール(以下、OCPと略称する)とポリエステルの樹脂試料2g±0.001gを入れる。試料を投入した試験管をドライ・ブロックバスにセットし100℃で30分間加熱しながらPETの樹脂試料をOCPに溶解しOCP溶液とし、このOCP溶液を試験管中で流水にて15分間冷却後、OCP溶液20mLをホールピペットで計量しオストワルド粘度管に採取する。25℃に温度調整した恒温水槽にOCP溶液を採取したオストワルド粘度管をセットし30分間放置後、定法に従いオストワルド粘度管内を流下するOCP溶液の流下時間を測定し固有粘度を算出した。
溶解用に準備した試験管に25mLのオルトクロロフェノール(以下、OCPと略称する)とポリエステルの樹脂試料2g±0.001gを入れる。試料を投入した試験管をドライ・ブロックバスにセットし100℃で30分間加熱しながらPETの樹脂試料をOCPに溶解しOCP溶液とし、このOCP溶液を試験管中で流水にて15分間冷却後、OCP溶液20mLをホールピペットで計量しオストワルド粘度管に採取する。25℃に温度調整した恒温水槽にOCP溶液を採取したオストワルド粘度管をセットし30分間放置後、定法に従いオストワルド粘度管内を流下するOCP溶液の流下時間を測定し固有粘度を算出した。
2.引張強度
JIS L1013:2010 8.5.1に準じて、綛状にとった試料を20℃、65%RHの温湿度調整室で24時間放置した後、(株)オリエンテック製“テンシロン(登録商標)”UTM−4−100型引張り試験機を用い、糸長:250mm、引張速度:300mm/分の条件で測定し、試料が切断した時の引張強力を繊度で割り返して引張強度(cN/dtex)を求めた。
JIS L1013:2010 8.5.1に準じて、綛状にとった試料を20℃、65%RHの温湿度調整室で24時間放置した後、(株)オリエンテック製“テンシロン(登録商標)”UTM−4−100型引張り試験機を用い、糸長:250mm、引張速度:300mm/分の条件で測定し、試料が切断した時の引張強力を繊度で割り返して引張強度(cN/dtex)を求めた。
3.MIT屈曲疲労回数
JIS P8115:2001に準じ、東洋精機(株)製;MIT耐揉疲労試験機により、荷重2.2cN/dtex、折り曲げ回数175回/分、折り曲げ角度270度(左右に各約135度)およびモノフィラメントを挟む折り曲げコマにおける左右の折り曲げ面の曲率半径各々0.38±0.02mmの条件で、同一試料につき10本のモノフィラメントについて夫々切断するまでの往復折り曲げ回数を測定して平均値を求めMIT屈曲疲労回数(回/往復)とした。
JIS P8115:2001に準じ、東洋精機(株)製;MIT耐揉疲労試験機により、荷重2.2cN/dtex、折り曲げ回数175回/分、折り曲げ角度270度(左右に各約135度)およびモノフィラメントを挟む折り曲げコマにおける左右の折り曲げ面の曲率半径各々0.38±0.02mmの条件で、同一試料につき10本のモノフィラメントについて夫々切断するまでの往復折り曲げ回数を測定して平均値を求めMIT屈曲疲労回数(回/往復)とした。
4.ガムピッチ防汚指数
以下(1)から(8)に記載の布粘着ガムテープ貼付剥離法による布粘着ガムテープ剥離応力測定試験方法(以下、布粘着ガムテープ剥離試験と略称する)にて評価した。
以下(1)から(8)に記載の布粘着ガムテープ貼付剥離法による布粘着ガムテープ剥離応力測定試験方法(以下、布粘着ガムテープ剥離試験と略称する)にて評価した。
(1)厚さ150〜250μm、横幅30mm、縦長さ120mmのポリエチレンテレフタレート製2軸延伸フィルムを2枚用意し、各々のフィルムの30mm幅の一端同士を重ならないように合わせて、この合わせ面に、片面に粘着剤の塗布された25mm×25mmサイズの布粘着テープを、前記2枚のフィルムの両端に渡るように貼付することにより、接合部で縦方向に繋ぎ合わされた見かけの縦長さ240mm、横幅30mmのフィルムを作成する。
(2)前記の2枚が繋ぎ合わされたフィルムの前記布粘着テープの貼付されていない面のどちらか半分(一枚のフィルム)に、横幅10mm、縦長さ120mmの両面粘着テープ(日東電工(株)製品、No.523または同等品)を、前記フィルムと前記両面粘着テープの横幅方向のセンターを合わせて長手方向に揃えて貼付する。
(3)長さ約200mmに切断した芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント試料を、前記両面粘着テープを貼付したフィルムの粘着テープ上に、前記フィルムの長手方向と平行に隙間無く貼付し、前記両面粘着テープの長手方向の両端からはみ出している前記芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントの余端を鋏で切除し、芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント試料貼付フィルムを得る。
(4)平坦な硝子板(厚さ約8mm、縦約80mm、横約250mm)の上に前記芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント試料貼付フィルムを乗せ、芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを貼付けた面を上向き、かつ芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを貼付けた側のフィルムが左側になるようにする。横幅10mm、縦長さ150mmに切断した片面に粘着剤が塗布された布粘着テープ(ニチバン(株)製、段ボール包装用強粘着テープ<LS>No.101Nまたは同等品)を、該布粘着テープの長手方向左端を前記芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント試料貼付フィルムの芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを貼付けた側のフィルムの左端と合わせて、前記芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント上に仮貼付する。次いで、前記芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを貼付けた側のフィルム右端を越えて芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを貼付けていない側のフィルム上に30mm残っている前記布粘着テープを、前記芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを貼付けていない側のフィルム面にしっかりと貼付する。
(5)前記芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント貼付フィルムを裏返して、前記(1)で2枚のフィルムを繋ぎ合わせるために貼付した前記布粘着テープを取り除く。
(6)前記芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント貼付フィルムの芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを貼付けた面を上向きにし、芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを貼付けた部分が硝子板上に完全に乗るようにセットして、前記芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントの表面に仮貼付されている前記布粘着テープ上に、重量1.43kg、幅50mm、直径86mmのゴムローラーを、前記布粘着テープを重ねたフィルムの右長手方向から片道走行させ、前記布粘着テープを前記芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント試料に貼付して剥離応力測定用試料を作成する。
(7)前記剥離応力測定用試料の2枚のフィルムの接合部を支点にして、前記布粘着テープを貼付けた面が内側になるように山折りし、次いで山折りの支点部から芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント上に貼付されている前記布粘着テープを長さ約10mm剥がし、露出した芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント貼付フィルム端部を、引張試験器((株)オリエンテック製テンシロン/UTM−III−100)の上チャックの中央部にセットし、一方の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントの貼付されていない前記フィルムの下端(山折りの裾部)を、前記引張試験器の下チャックの中央部にセットして、引張速度100mm/分、チャートスピード100mm/分の条件で剥離応力を測定し、剥離応力の高い山と剥離応力の低い谷とが交互に連なった剥離応力チャートを得る。
(8)得られた剥離応力チャートの最初の剥離応力の高い山から約20mm後の剥離応力の高い山を始点として、一個一個の交互の山と谷各40点の剥離応力を読み取り、その平均値をもって剥離応力とし、この測定をn=10で行い、その平均値を布粘着ガムテープ剥離応力とする。
なお、上記した布粘着ガムテープ剥離試験を採用することによって、製織することなく本発明の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを構成素材とする織物の防汚性を定量的に相対評価することが可能であり、布粘着ガムテープ剥離応力が低いほどガムピッチ汚れに対する防汚性が優れることを表す。また、通常の比較サンプル(比較例1とする)となる布粘着ガムテープ剥離応力をガムピッチ防汚指数100とし、ガムピッチ防汚指数が90を越える場合は効果が得られないものとして、90以下を目標とした。なお、下記式によりガムピッチ防汚指数を求めた。
ガムピッチ防汚指数=試験剥離応力値/比較サンプル剥離応力値×100。
5.紡糸操業性
24時間の連続紡糸を行い、以下の基準で判定した。なお、コブ糸とはモノフィラメント平均直径に対して+10%を超えるような繊維軸方向の極短い長さの直径増大変動異常部をいい、評価尺度として紡糸押出しポリマー質量(トン)当たりのコブ糸の発生頻度「回/トン」を用いた。
24時間の連続紡糸を行い、以下の基準で判定した。なお、コブ糸とはモノフィラメント平均直径に対して+10%を超えるような繊維軸方向の極短い長さの直径増大変動異常部をいい、評価尺度として紡糸押出しポリマー質量(トン)当たりのコブ糸の発生頻度「回/トン」を用いた。
○(良好)・・・原料の噛込み不良による製糸不能状態や製糸中の糸切れがなく、また
コブ糸の発生が10回/トン未満である。
コブ糸の発生が10回/トン未満である。
×(不良)・・・次のうちいずれか1以上の不具合がある場合を×とした。
原料の噛込み不良による製糸不能状態になる
製糸中に糸切れが発生する
コブ糸が10回/トン以上発生する。
製糸中に糸切れが発生する
コブ糸が10回/トン以上発生する。
〔実施例1〕
PEN樹脂(東洋紡績製PN−640、固有粘度0.78)と、PET樹脂(東レ製T755M、固有粘度1.03)を、事前に130℃の真空条件下で12時間乾燥を行った。PET樹脂100質量部に対して、無官能性シリコーンオイル(フェニル基含有率40モル%、25℃における粘度0.31Pa・s)15質量部を配合してポリエステル樹脂組成物を調製した。
PEN樹脂(東洋紡績製PN−640、固有粘度0.78)と、PET樹脂(東レ製T755M、固有粘度1.03)を、事前に130℃の真空条件下で12時間乾燥を行った。PET樹脂100質量部に対して、無官能性シリコーンオイル(フェニル基含有率40モル%、25℃における粘度0.31Pa・s)15質量部を配合してポリエステル樹脂組成物を調製した。
芯の成分にPEN、鞘の成分に前記ポリエステル樹脂組成物を用いて、芯鞘複合比率を芯90質量%:鞘10質量%とし、孔径1.5mmの芯鞘ノズルを備えた複合エクストルダー式溶融紡糸機に供給、溶融紡糸した後、常法に従って冷却後、220℃で5.5倍に延伸し、0.98倍で弛緩熱セットすることにより、直径0.30mmの芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを得た。
得られた芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントの引張強度、MIT屈曲疲労回数およびガムピッチ防汚指数、操業性を表1に示す。
〔実施例2〜4〕
芯の成分のポリエステル樹脂組成物の組成、および、芯鞘複合比率を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で直径0.30mmの断面形状が円形の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを得た。評価結果を表1に示す。
芯の成分のポリエステル樹脂組成物の組成、および、芯鞘複合比率を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で直径0.30mmの断面形状が円形の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを得た。評価結果を表1に示す。
〔比較例1〜3〕
芯の成分のポリエステル樹脂組成物の組成および芯鞘複合比率を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で直径0.30mmの断面形状が円形の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを得た。評価結果を表1に示す。
芯の成分のポリエステル樹脂組成物の組成および芯鞘複合比率を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で直径0.30mmの断面形状が円形の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを得た。評価結果を表1に示す。
〔比較例4〕
PEN樹脂(東洋紡績製PN−640、固有粘度0.78)と、PET樹脂(東レ製T755M、固有粘度1.03)を、事前に130℃の真空条件下で12時間乾燥を行った後、PEN樹脂:PET樹脂:無官能性シリコーンオイル(フェニル基含有率40モル%、25℃における粘度0.31Pa・s)=77:23:15(質量基準)のポリエステル樹脂組成物を調製した。
PEN樹脂(東洋紡績製PN−640、固有粘度0.78)と、PET樹脂(東レ製T755M、固有粘度1.03)を、事前に130℃の真空条件下で12時間乾燥を行った後、PEN樹脂:PET樹脂:無官能性シリコーンオイル(フェニル基含有率40モル%、25℃における粘度0.31Pa・s)=77:23:15(質量基準)のポリエステル樹脂組成物を調製した。
前記ポリエステル樹脂組成物をエクストルダー型の紡糸機に供給、溶融紡糸した後、常法に従って冷却後、220℃で5.5倍に延伸し、0.98倍で弛緩熱セットすることにより、直径0.30mmのポリエステルモノフィラメントを得た。評価結果を表1に示す。
〔比較例5,6〕
ポリエステル樹脂組成物の組成を表1に示すように変更したこと以外は、比較例5と同様の方法で、直径0.30mmのポリエステルモノフィラメントを得た。評価結果を表1に示す。
ポリエステル樹脂組成物の組成を表1に示すように変更したこと以外は、比較例5と同様の方法で、直径0.30mmのポリエステルモノフィラメントを得た。評価結果を表1に示す。
表1から明らかなとおり、本発明の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント、は、優れた引張強度および耐屈曲疲労性を兼ね備えるとともに、抜群の防汚性を有していることがわかる。
これに対して、ポリエステル樹脂組成物中の無官能性シリコーンオイル含有量が本発明の規定を満たさない芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント(比較例1〜3)は、引張強度および/または耐屈曲疲労性が不十分なものとなるか、または工業用織物として必要な防汚性を有していないことがわかる。
また、芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントでない比較例5および比較例6は、耐屈曲疲労性および防汚性能は十分なものであるものの、引張強度が不十分なものであった。
更に、比較例7では、防汚性はあるものの、必要な屈曲疲労性および引張強度を有していなため、工業用織物の構成素材として用いる複合モノフィラメントとしてふさわしくないものであった。
本発明の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントは、その優れた引張強度や耐屈曲疲労性および防汚性を有することから、工業用織物の中でも、特に抄紙ワイヤー、抄紙ドライヤーカンバスや抄紙プレスフェルトなどの抄紙機用織物などに極めて好適に利用できるものである。
Claims (8)
- 芯の成分がポリエチレンナフタレート、鞘の成分がポリエチレンテレフタレート100質量部に対して、フェニル基を有する無官能性シリコーンオイルを0.5〜30質量部含有するポリエステル樹脂組成物であり、引張強度が4.50cN/dtex以上である芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント。
- 前記芯と前記鞘の複合比率が、芯:50〜95質量%および鞘:50〜5質量%である請求項1に記載の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント。
- 前記無官能性シリコーンオイルに含まれる有機基中のフェニル基の割合が5モル%以上80モル%以下である請求項1または2に記載の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント。
- 前記無官能性シリコーンオイルの25℃における粘度が1Pa・s以下である請求項1〜3のいずれかに記載の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント。
- 前記ポリエチレンテレフタレートの固有粘度が0.65〜1.30である請求項1〜4のいずれかに記載の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント。
- 屈曲疲労特性試験における切断するまでに要するMIT屈曲疲労回数が往復50回以上である請求項1〜5のいずれかに記載の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを経糸および/または緯糸の少なくとも一部に使用した工業用織物。
- 抄紙機用織物であることを特徴とする請求項7に記載の織物。
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JP2013057559A JP2014181425A (ja) | 2013-03-21 | 2013-03-21 | 芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントおよび工業用織物 |
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- 2013-03-21 JP JP2013057559A patent/JP2014181425A/ja active Pending
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