JP2014181361A - ガスワイピング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼帯が溶融めっき浴から引き上げられた後、余分な溶融めっき金属を一対の対向するガスワイピングで払拭する方式の連続溶融めっきプロセスにおいて、ガスワイピング時のスプラッシュ発生を安定的に軽減し得るガスワイピング装置を提供する。
【解決手段】本発明のガスワイピング装置は、鋼帯幅方向両端部近傍の鋼帯幅方向外側に延長した面上で、かつ、ガスワイピングノズルから噴出されたガスが鋼帯表面に衝突するガス衝突点を含む高さに配置された一対のバッフルプレートを有するガスワイピング装置において、前記ガスワイピングノズルから噴射されたガスがバッフルプレートに衝突する位置よりも上方で、前記ガスワイピングノズルと前記バッフルプレートとで挟まれた空間に、通気性を有する流体抵抗要素を配置することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、帯状材として鋼帯を、また液体浴として溶融亜鉛などのめっき浴を想定し、鋼帯に溶融めっきを行うに際し、鋼帯が溶融めっき浴から引き上げられた後、余分な溶融めっき金属をガスワイピングで払拭する方式の連続溶融めっきプロセスにおいて、ガスワイピング時のスプラッシュ発生を軽減し得るガスワイピング装置に関する。
通常、鋼帯の連続溶融めっきプロセスにおいては、めっき浴に浸漬して垂直に引き上げた鋼帯の両面に、引き上げ直後、一対のスリット状のワイピングノズルから気体(不活性ガス、空気等)を吹き付けて、鋼帯に付着した未凝固の溶融めっき金属を除去し、鋼帯面におけるめっき付着量を調節する。
このとき、鋼帯端部に付着している未凝固の溶融めっき金属が、鋼帯端部から飛沫(以後スプラッシュと呼ぶ)となって飛散し、ワイピングノズルや、鋼帯のめっき面に付着する。スプラッシュがワイピングノズルに付着すると、ノズルが閉塞するなどして、めっき金属の除去が充分に行われず、めっき面外観が著しく損なわれる。また、スプラッシュそのものが鋼帯のめっき面に付着し、そのまま凝固しても、めっき面の外観が損なわれる。
また、上記の連続溶融めっきプロセスにおいて、生産量を増加させるには、鋼帯通板速度を増加させればよいが、鋼帯通板速度の増加により、鋼帯による溶融めっき金属の持ちあげ量が増大し、めっき付着量を一定範囲内に制御するためにワイピングガス圧力をより高圧に設定せざるを得ない。それによって、ワイピングガス噴流の乱流成分が大きくなるため、スプラッシュが大幅に増加し、良好なめっき面外観を維持できなくなる。すなわち、スプラッシュの発生が、上記の溶融亜鉛めっきプロセスの生産性の上限制約となっている。
それ故、これまで、スプラッシュの飛散や付着を防止又は抑制するため、上記ワイピングノズルに加えて、鋼帯両端部近傍に追加の気体ノズルを設ける方法や、鋼帯両端部延長面上に位置するバッフルプレートを設けるといった、様々な方法が開示されており、特許文献1において、先行技術例としてその代表的なものが幾つか提示されている。
しかし、特許文献1にて指摘されたように、それら先行技術例は、ワイピングノズルから吹きつけられる気体の乱れが原因で発生すると考えられるスプラッシュを必ずしも安定的に抑制できない等、不十分な点が多々あった。
そこで、特許文献1では、より改良されたバッフルプレートによりガスの乱れを低減させることでスプラッシュの発生を抑制させる方法を開示している。すなわち、特許文献1には、図4に示すように、鋼帯Sの幅方向両側端部近傍の延長面上に、ガスワイピングノズル1から噴射されたガス同士の衝突を遮断するバッフルプレート3を設け、該バッフルプレート3の板厚は、めっき浴方向に向かって薄くなるようにするとともに、該バッフルプレート3のガスワイピングノズル1から噴射されたガス同士が衝突する位置よりも上方に、該バッフルプレート3の厚みよりも幅が広い邪魔板4を取り付けることを特徴とする溶融金属めっき鋼帯の製造方法が開示されている。
特許第4816105号
特許文献1に開示された方法に関し、そのスプラッシュ抑制効果を本願発明者らが実験により確認したところ、邪魔板4とガスワイピングノズル1との位置関係によっては、十分なスプラッシュ抑制効果が得られない場合があるという不都合があることが判明した。
ここで、本願発明者らは、このような不都合が生じる原因を解明すべく、図4に示した特許文献1に開示されたガスワイピング装置を溶融亜鉛めっきラインに設置し、邪魔板4とガスワイピングノズル1との位置関係を系統立てて変更し、スプラッシュ抑制効果を実験的に確認調査したところ、次に示す知見を得た。
最初に、本願発明者らが行った効果確認実験方法について、その概要を説明する。
実験にて変化させた邪魔板4とガスワイピングノズル1との位置関係について、図5を用いて示す。図5は、特許文献1に開示された方法のガスワイピングノズル1およびバッフルプレート3、邪魔板4を鋼帯Sの側方断面方向から見た図であり、ガスワイピングノズル1、バッフルプレート3、邪魔板4、鋼帯Sの配置を模式的に示す。本願発明者らが行った効果確認実験では、邪魔板4の幅B(mm)、邪魔板4の下面とガスワイピングノズル1のガス噴出口上端までの高さ方向距離H(mm)、ワイピングノズル1から鋼帯Sまでの距離D(mm)を種々変更した。
ここで注意すべきは、幅B、距離D、高さ方向距離Hを変化させることにより、邪魔板4の端部とガスワイピングノズル1の上面との隙間間隔C(mm)も変化するという点である。後述するように、本願発明者らが行った確認実験により、この隙間間隔Cが、スプラッシュ抑制効果に大きく影響を与えるということが明らかになり、そのメカニズムを鋭意解明した結果、本発明を成すに至ったのである。
実験では、上記のように、幅B、距離D、高さ方向距離Hを種々変化させて(すなわち隙間間隔Cも変化させて)、鋼帯Sの通板時に発生したスプラッシュ量を評価した。発生したスプラッシュ量の評価は、図には示していないが、鋼帯Sの幅方向端部近傍に設置したスプラッシュ採取装置にて、一定時間採取しその重量を計測することにより行った。なお、本スプラッシュ採取装置で採取したスプラッシュの単位時間当たりの重量とスプラッシュによる外観不良発生頻度とは、正の相関がみられることが事前の検討により分かっている。すなわち、スプラッシュ採取装置で採取した単位時間の重量が少ないほど、スプラッシュ発生量が少なくなり、スプラッシュ抑制効果、すなわち鋼帯の表面品質向上効果が大きいといえる。
以降、スプラッシュ採取装置で採取した単位時間当たりのスプラッシュ重量をスプラッシュ発生量と表記する。
邪魔板4とガスワイピングノズル1との位置関係以外の実験条件は、特許文献1において開示された、好適とされる実施例11〜14とほぼ同等としている。すなわち、ワイピングノズルスリットギャップ0.8mm、溶融亜鉛浴からのノズル高さ420mm、溶融亜鉛浴温度460℃とし、鋼帯Sのサイズは、1.0mm厚×1.8m幅とした。バッフルプレート3の寸法は、縦50mm、幅200mmで、その形状は、めっき浴側が、めっき浴に向かって厚さが薄くなり、かつ、鋼帯Sの端部側が、鋼帯Sの端部に向かって厚さが薄くなる形状である。ワイピングガスの衝突位置はバッフルプレート3の上部から20mmの位置とした。また、バッフルプレート3と鋼帯Sとの距離は10mmとした。邪魔板4の幅Bも、特許文献1と同じく、幅を10mm、20mmと変え、厚さも5mmとした。
また、実験条件について留意すべき点として、特許文献1では、幅B(mm)と距離D(mm)の記載はあるものの、高さ方向距離H(mm)とワイピングノズル1の先端角度θ(°)の記載がないため、これら幅B、距離D、高さ方向距離H、先端角度θからほぼ幾何学的に定まる、隙間間隔C(mm)が不明な点がある。定性的には、特許文献1においても、実施例12と実施例13とで比較しているように、ガスワイピング装置の上から見た場合に邪魔板4の端部がワイピングノズル1噴射口に達するように設けることが好ましいことが提示されているが、具体的に隙間間隔Cの値にまでは言及していない。例えば、幅B、先端角度θが一定であっても、距離Dや高さ方向距離Hが大きくなれば、隙間間隔Cも大きくなる。後述するように、特許文献1にて開示された技術は、この隙間間隔Cを一定に保つことがなければ、安定したスプラッシュ防止効果が得られないということが、本願発明者らが発見した実験事実である。
上記のような実験によって得られたスプラッシュ発生量の測定結果を、実験条件と供に、図8に示す。図8に示されるように、本検証実験では、距離Dを8mm、6mm、4mmと変え(特許文献1では、距離Dは8mmのみの場合を開示)、また、幅Bを20mm、10mmと変え、さらに、高さ方向距離Hを1〜10mmの間で幾つか変えることで、隙間間隔Cを0mm〜約6mmの間で変化させている。
図6は、特許文献1に開示されたガスワイピング装置を用いて、本願発明者らが行ったスプラッシュ抑制効果確認実験の結果を示すグラフであり、図8に示した、スプラッシュ発生量を幅Bについてプロットしたものである。図6では、横軸を幅B(mm)で整理して示している。図6より、特許文献1にて開示されているように、ガスワイピング装置の上から見た場合に邪魔板4の端部がワイピングノズル1噴射口に達するように設けられた幅B=20mmの方が、そうでない幅B=10mmよりもスプラッシュ発生量は、少ないように見える。しかしながら、そのばらつきは大きく、安定的にスプラッシュ発生量を抑制しているとは言い難いことが分かる。
一方、図7は、特許文献1に開示されたガスワイピング装置を用いて、本願発明者らが行ったスプラッシュ抑制効果確認実験の結果について、スプラッシュ発生量を隙間間隔Cで整理したもので、図6とは異なり、おおよそ一本の曲線に整理されていることが分かる。すなわち、幅B、距離D、高さ方向距離Hを様々に変化させて実験を行ったが、結局は、スプラッシュ発生量は、主に隙間間隔Cの値により支配されているということが分かる。しかも、図7から分かるように、隙間間隔Cが2mm前後、より詳しく言えば、隙間間隔C=1.5mm〜2.5mmといった極めて狭い範囲で、最もスプラッシュ抑制効果が大きくなることがわかった。
以上述べたように、本願発明者らが行った確認実験により、特許文献1にて開示されるバッフルプレート3では、隙間間隔Cが、スプラッシュ抑制効果に大きく影響を与えるということが明らかになり、この隙間間隔Cの値を適切に制御せねば、十分なスプラッシュ抑制効果を安定的に発揮できないという不都合があることが分かった。さらには、最も効果的な隙間間隔Cの値は、その範囲が約1.5mm〜2.5mmと狭く、極めて注意深くバッフルプレート3の設置をしなければならないという不都合があることも分かった。
一方、バッフルプレートは、一般的には、ワイピングノズルの両端上部に設けたサーボモーターによる幅方向位置制御装置からフレームを伸ばした先に取り付けられ、通板される鋼帯の幅に応じて鋼帯との接触を避けるように幅方向に移動するようになっており、特許文献1にて開示されるバッフルプレート3も同様である。この時、フレームに取り付けられたバッフルプレート3には、ワイピングノズル1のからのガス噴流による強い圧力を受けるためこのフレームにも強い曲げ力が働き、さらに、フレームやバッフルプレート3自身には高温のめっき浴や鋼帯Sからの輻射熱を受けるため熱ひずみを生じ、バッフルプレート3の正確な位置決めを困難なものとしている。すなわち正確な位置決めを行うには、ガス噴流による強い圧力を受けても曲がらない太いフレームや、熱ひずみを緩和するための冷却機構や、また、隙間間隔Cを正確に計測し、その大きさを精度よく一定に保つ制御装置が必要になり、設備コストが高くなる。そもそも、一般的にワイピングノズル1まわりは極めて狭く、大きなフレームや、冷却機構、隙間間隔Cの計測装置などを設置する余分な空間はほとんどなく、仮にそれらを設置したとすると、メンテナンス等の作業性が著しく悪くなる。すなわち、適正な隙間間隔Cを精度よく維持するには、コストがかかり、作業性も悪くなるという不都合があるのである。
本発明は、係る知見に基づきなされたものであり、装置設置による設備コストが高くなること及び作業性が悪くなることを解消し、スプラッシュを安定的に抑制するガスワイピング装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、液体浴中から連続的に引き上げられて進行する帯状材を挟み、液体浴面と同一高さで、かつ帯状材の幅方向に沿って配置され、帯状材の表面に向けてガスを噴出することにより、帯状材の表面に付着した液体の付着量を調節する、少なくとも一対の対向するガスワイピングノズルと、帯状材の幅方向の延長面上の帯状材の両側近傍に設けられ、かつ、ワイピングノズルから噴出されたガスが帯状材表面に衝突するガス衝突点を含む高さに配置された一対のバッフルプレートと、ガスワイピングノズルから噴射されたガスがバッフルプレートに衝突する位置よりも上方で、かつ、ガスワイピングノズルとバッフルプレートとの間に、通気性を有する流体抵抗要素と、を備えることを特徴とする、ガスワイピング装置が提供される。
バッフルプレートは、対向するガスワイピングノズルから噴射されたガス噴流同士が、帯状材から外れた位置で衝突するのを防ぐよう配置される。また、流体抵抗要素は、強い渦を伴ってガス噴流がバッフルプレートに衝突することで生じる乱れをダンピング効果により減衰させるために設けられ、これによりガスワイピングノズルとバッフルプレートの隙間間隔に影響されず安定してスプラッシュの発生を抑制することが可能となる。
流体抵抗要素は、通気性を有する多孔体であってもよい。流体抵抗要素として多孔体を用いることで、隙間間隔に影響されずにダンピング効果によるスプラッシュ抑制効果が得られ、特に平均孔径が0.2mm〜1.3mmの範囲であれば、さらに良好なスプラッシュ抑制効果を得ることができる。
流体抵抗要素は、通気性を有する繊維質状体であってもよい。流体抵抗要素は、多数の流路と様々な大きさの流路径からなる。したがって、流行抵抗要素は、上記多孔体に限らず、例えば繊維質状体でも同様の効果を得ることができる。
本発明によれば、ガスワイピングノズルとバッフルプレートとで挟まれた空間に配置された流体抵抗要素によるダンピング効果により、強い渦を伴ったガス噴流がバッフルプレートに衝突する際に生じるガス流の乱れを減衰することで、安定的にスプラッシュ発生を抑制できる。
また、本発明によれば、ガスワイピングノズルとバッフルプレートとで挟まれた空間に流体抵抗要素を配置するだけで安定的にスプラッシュ発生を抑制できるため、従来技術に比べて、スプラッシュ抑制にかかる設備コストを低減し、装置周辺での作業性を確保することができる。
本発明の第1実施形態に係るガスワイピング装置を鋼帯の側方断面方向から見た説明図である。 本発明の第2実施形態に係るガスワイピング装置を鋼帯の側方断面方向から見た説明図である。 本発明の第2実施形態と従来とについて邪魔板の端部とガスワイピングノズルの上面との隙間間隔とスプラッシュ発生量との関係を示すグラフである。 特許文献1に開示されたガスワイピング装置の鋼帯端部近傍部分を示す概略斜視図である。 特許文献1に開示されたガスワイピング装置を側方断面方向から見た図である。 特許文献1に開示されたガスワイピング装置を用いて、本願発明者らが行ったスプラッシュ抑制効果確認実験の結果を示すグラフである。 特許文献1に開示されたガスワイピング装置を用いて、本願発明者らが行ったスプラッシュ抑制効果確認実験の結果を示すグラフである。 引用文献1の効果確認試験の実験結果を示す表である 第2実施形態のスプラッシュ抑制効果試験の実験結果を示す表である。 本願実施例に対する引用文献1の効果確認試験結果の比較例を示す表である。 第1実施形態のスプラッシュ抑制効果試験の実験結果を示す表である。
上記のように、特許文献1に記載の従来の技術では、スプラッシュ発生量は邪魔板4からガスワイピングノズル1の上面までの隙間間隔Cに影響を受けており、安定的にスプラッシュを抑制しようとするには、隙間間隔Cを狭い範囲で精度良く制御する必要があった。そこで、本願発明者らは上記知見に基づき、さらに鋭意研究を行ったところ、スプラッシュ発生量は、隙間間隔Cに本質的に影響を受けているわけでなく、バッフルプレート3や邪魔板4とガスワイピングノズル1とで挟まれた空間の、流体抵抗の大小に本質的に影響を受けていることを見出した。すなわち、ワイピングノズル1から噴出されたガスがバッファープレートに衝突した後、その一部は、邪魔板4とガスワイピングノズル1とで挟まれた空間を通って流れて行くが、この流れに作用する流体抵抗の大小がスプラッシュ発生量に影響することを見出したのである。このことは、例えば、邪魔板4の表面やガスワイピングノズル1の上面の粗度を変えたり、図2に示すがごとく、邪魔板4とガスワイピングノズル1とで挟まれた空間に通気性を有する多孔体やあるいは繊維質体といった通気抵抗を変化させる部材を配置したりすることなどにより、スプラッシュ発生量が変化することを示す。ここで翻ってみるに、そもそも、隙間間隔Cを増減させることは、まさに、邪魔板4とガスワイピングノズル1とで挟まれた空間の流路断面積を変化させることにより流体抵抗の大きさを変化させるための一つの手段であることに相当する。つまり、スプラッシュ抑制のためには、隙間間隔Cを増減させることが本質的ではなく、邪魔板4とガスワイピングノズル1とで挟まれた空間に流体抵抗を付与するということが本質であることが分かったのである。
さらに本願発明者らは、図2のように、ガスワイピングノズル1と邪魔板4とで挟まれた空間に、通気性を有する多孔体や繊維質体といった流体抵抗要素を配置することで、隙間間隔Cが、多少変化してもそのスプラッシュ抑制効果にあまり影響を与えず、安定的な操業を可能とすることを発見した。
上記知見に関し、本願発明者らはそのメカニズムを次のように考えた。
一般的に、鋼帯Sの端部にてスプラッシュが発生しやすいのは、鋼帯Sが無い部分では、ガスワイピングノズル1から噴射されたガス噴流同士が衝突し、ガス流れに大きな乱れが生じるためと考えられている。特許文献1に開示されたようなバッフルプレート3を用いるスプラッシュ防止技術は、このガス噴流同士の衝突をバッフルプレート3により遮断することによりガス流れに大きな乱れを生じにくくしてスプラッシュを抑制しようとするものである。
確かに、バッフルプレート3によりガス噴流同士の衝突による乱れは軽減され、スプラッシュ抑制効果を発揮するものと考えられる。しかしながら、そもそも、ガスワイピングノズル1から噴出されるガス流れは、非常に高速であるため、ガスワイピングノズル1から噴出された直後から周囲のガスを巻きこんで、そのガス噴流外縁部に強い渦を伴っている。この強い渦は、ガス噴流とともにバッフルプレート3に衝突し、周囲に強い乱れを生じ、これもスプラッシュを発生する大きな原因となっていると考えられる。
すなわち、スプラッシュ発生を抑制するためには、バッフルプレート3によるガス噴流同士の衝突による乱れを軽減させるだけでなく、強い渦を伴ってバッフルプレート3に衝突したガス噴流から生じる乱れも軽減させる必要があると考える。
本願発明者らは、図2のように、ガスワイピングノズル1と邪魔板4とで挟まれた空間に、通気性を有する多孔体や繊維質体等の流体抵抗要素を配置することで、上記の強い渦を伴ってバッフルプレート3’に衝突したガス噴流から生じる乱れを軽減し得るものと考えた。すなわち、強い渦を伴ったガス噴流がバッフルプレート3’に衝突することによって生じたガス噴流の乱れに対し、流体抵抗要素がダンパーとして働き、ガス噴流の乱れの運動エネルギーを熱エネルギーに変換し、結果的に乱れを減衰させると推測した。
特許文献1に開示されたように、バッフルプレート3の上部に邪魔板4を取り付けることは、結果として隙間間隔Cを減少させることで流体抵抗を大きくして、上記のダンピング効果を生じさせたものと考えられるが、本願発明者らの行った実験に示されるように、隙間間隔Cで流体抵抗をコントロールするのは、僅かな隙間間隔Cの違いにより、その流体抵抗が大きく変化すると考えられる。すなわち、先に図7を用いて説明した、特許文献1に開示されたガスワイピング装置を用いて本願発明者らが行ったスプラッシュ抑制効果確認実験の結果にて見られたように、隙間間隔Cが2mm前後で、最もスプラッシュ抑制効果が大きくなり、隙間間隔Cが、それより広くても、狭くてもスプラッシュ抑制効果が小さくなっていく。
隙間間隔Cが、2mmより広くなるにつれ、スプラッシュ抑制効果が小さくなっていく理由は、隙間間隔Cが広がるにつれ、流体抵抗が小さくなるからにほかならない。一方、隙間間隔Cが、2mmより狭くなるにつれ、スプラッシュ抑制効果が小さくなっていく理由は、流体抵抗が大きくなり過ぎ、邪魔板4の端部とガスワイピングノズル1の上面との隙間を流れる流体の流量が少なくなりすぎてしまい、ガス噴流の乱れの運動エネルギーを熱エネルギーに変換する割合が減少してしまったためと考える。すなわち、ガス噴流の乱れの運動エネルギーを熱エネルギーに変換する割合は、流体抵抗の大きさと、邪魔板4の端部とガスワイピングノズル1の上面との隙間を流れる流体の流量の両方に影響されるのである。そのため、結果として、隙間間隔Cが、2mm前後にてスプラッシュ抑制効果が極大となり、それより広くても、狭くてもスプラッシュ抑制効果が小さくなり、安定的にスプラッシュを抑制する事が出来なかったものと考えられる。
一方、ガスワイピングノズル1と邪魔板4とで挟まれた空間に、通気性を有する多孔体や繊維質体といった流体抵抗要素を配置した場合は、その流体抵抗要素の隙間に多数の細かい流路が形成されており、単に邪魔板4を置いただけよりも大きなダンピング効果を発揮すると考えられる。
さらに多孔体や繊維質体といったものの隙間に出来た多数の流路の流路径は一般的には分布を有し様々な大きさからなる。従って、ガスワイピングノズル1と邪魔板4とで挟まれた空間の流体抵抗も各々の流路経に応じた流体抵抗の合計となり、例え、流体抵抗要素の配置や形状等が少々変化しても、その合計された流体抵抗自体には大きな変化はなく、安定的なスプラッシュ抑制効果を発揮するものと考えられる。
つまり、バッフルプレート3の上部に邪魔板4を取り付けただけで、流体抵抗要素を配置しなかった場合には、隙間間隔Cという、単一の流体抵抗制御因子しか存在せず、隙間間隔Cの僅かな違いがスプラッシュ抑制効果の大きな変動につながったと考えられる。
一方、ガスワイピングノズル1と邪魔板4とで挟まれた空間に、通気性を有する多孔体や繊維質体といった流体抵抗要素を配置した場合は、そもそも、流体抵抗要素の隙間に存在する多数の細かい流路の流路径は、隙間間隔Cよりもかなり小さく、単に邪魔板4を置いただけよりも大きなダンピング効果を発揮すると考えられる。さらに、その流路径は分布を有するために、隙間間隔Cの違いによる流体抵抗要素全体の流体抵抗値の変動が緩和され、結果として安定的なスプラッシュ防止効果が得られたものと考える。
さらに、本願発明者らは、上記の流体抵抗要素によるスプラッシュ防止効果のメカニズムに鑑みて鋭意検討を加えた結果、そもそも邪魔板4は不要であることを見出した。すなわち、図1に示すがごとく、ガスワイピングノズル1とバッフルプレート3とで挟まれた空間に、通気性を有する多孔体や繊維質体といった流体抵抗要素を配置するだけで、同等のスプラッシュ抑制効果を発揮できることを見出したのである。これは、ガス噴流の乱れに対するダンピング効果が、主として流体抵抗要素によるものであるからと考えられる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るガスワイピング装置を鋼帯Sの側方断面方向から見た図である。図1は、特に鋼帯の溶融めっきプロセスにおけるガスワイピング装置を示しており、図1において、1はガスワイピングノズル、3’はバッフルプレート、2はガスワイピングノズル1とバッフルプレート3’とで挟まれた空間に配置された流体抵抗要素、Sは鋼帯である。また、図1中の二股に分かれた矢印付き曲線5は、ガスワイピングノズル1から噴射されたガスの平均的な流れを模式的にあらわしたものであり、矢印の向きが流れの方向を示しており、曲線はガスが流れる軌跡を表す。また曲線が二股に分かれているのは、その近傍でガス流れが、バッフルプレート3’に衝突し、流れが上下に分かれることを示している。
ガスワイピングノズル1は、溶融めっき浴中から連続的に引き上げられて進行する鋼帯Sを挟むように対向して、めっき浴面から同じ高さで、かつ鋼帯Sの幅方向に沿って配置され、鋼帯Sの表面に向けてガスを噴出することにより、鋼帯Sの表面に付着した溶融めっき金属の付着量を調節する。
また、バッフルプレート3’は、鋼帯Sの幅方向の両側近傍の延長面上で、かつ、ワイピングノズル1から噴出されたガスが鋼帯Sの表面に衝突するガス衝突点を含む高さに配置されている。バッフルプレート3’の材質や厚みは、溶融めっき金属のめっき浴温度(溶融亜鉛では、420℃〜480℃程度)に耐えることが出来る材質で、ワイピングノズル1からのガス衝突圧(0.1×10Pa〜0.9×10Pa程度)に耐えられる強度を有する厚みであれば何でもよい。例えば、バッフルプレート3’の材質はステンレスで、その厚みは4〜10mm程度でよい。
本発明を最も特徴付ける流体抵抗要素2は、ガスワイピングノズル1から噴射されたガスがバッフルプレート3’に衝突する位置よりも上方で、かつ、バッフルプレート3’の幅方向(図1においては紙面垂直方向)の全幅に、適切な方法でバッフルプレート3’に密着するように設置されている。ここで、図1では、流体抵抗要素2は、ガスワイピングノズル1の上面に対して密着している場合を示しているが、必ずしもガスワイピングノズル1の上面に対して密着している必要はない。また、流体抵抗要素2は、ガスワイピングノズル1から噴射されたガスがバッフルプレート3’に衝突する位置よりも上方に配置しているが、下方、又は上方と下方の両方に配置しても、スプラッシュ防止効果は得られるが、下方に配置した場合は、僅かに発生するスプラッシュが流体抵抗要素2に付着し堆積する可能性があり、長期運転時には、付着量が増え、堆積物の先端が通板される鋼帯Sに接触する可能性があるので望ましくない。
流体抵抗要素2の材質は、溶融めっき金属のめっき浴温度(溶融亜鉛では、420℃〜480℃程度)に耐えることが出来、ワイピングノズル1からのガス噴流に吹き飛ばされない程度の強度を有しており、適度な通気性を有しておればよい。例えば、流体抵抗要素2は、金属多孔体やセラミックスの焼結体といった多孔体や、繊維状の金属やガラス繊維など高温に耐えられる材質で、通気性を有するものであればよい。本発明では、もっぱら金属多孔体(例えば、セルメット(登録商標))を用いた。この金属多孔体の流路径(この場合は孔径とみなす)は、様々な大きさのものが市販されているが、最もスプラッシュ抑制に効果的であったものは、平均の孔径が0.2mm〜1.3mmのものであった。
<第2の実施形態>
図2は、本発明の第2の実施形態に係るガスワイピング装置を鋼帯Sの側方断面方向から見た図である。図2において、1はガスワイピングノズル、3’はバッフルプレート、4は邪魔板、2は流体抵抗要素、Sは鋼帯である。本実施形態に係るガスワイピング装置は、第1の実施形態と比較してバッフルプレート3’に邪魔板4も設けた点が異なる。また、図1と同様にガスワイピングノズル1から噴射されたガスの平均的な流れを示す。本実施形態に係るバッフルプレート3’は、図2に示すようにその厚みは均一のものでよい。特許文献1では、バッフルプレート3の板厚は、図4、図5に示したように、その板厚は、めっき浴方向に向かって薄くすることで、ガスの乱れを抑えることが可能であるとして推奨されているが、本発明においては、本発明を最も特徴付ける流体抵抗要素2によるガス乱れ抑制効果により、必ずしもそのようにする必要はない。
上記、二つの実施形態を示したが、先に述べたように、図2の第2実施形態で示されるような邪魔板4は、本質的には不要で、本発明の本質的な特徴は、図1に示すように、ガスワイピングノズル1とバッフルプレート3’とで挟まれた空間に配置された流体抵抗要素2にある。以下に、スプラッシュ防止に対しては邪魔板4が本質的な要素ではなく、流体抵抗要素2が本質的であることを明確にするために、本発明に係る実施形態に関するスプラッシュの抑制効果検証結果について、図2、図1の実施形態の順番で述べる。
第1、2実施形態に係るガスワイピング装置をそれぞれ溶融亜鉛めっきラインに設置し、本願発明者らが先に行った特許文献1のガスワイピングノズルの効果確認実験と同様に、スプラッシュ抑制効果を実験的に調査した。
下記第1実施例では、特許文献1に対して、本発明の流体抵抗要素2の効果が明確になるように、図2に示すように、特許文献1の構成要素でもある邪魔板4を有したガスワイピング装置に流体抵抗要素2を配置し、先に行った実験のように、隙間間隔Cを変化させスプラッシュ発生量への影響を調査し、その結果を流体抵抗要素2が無い場合と比較し、流体抵抗要素2の有無によるスプラッシュ抑制効果の差異を確認した。
下記第2実施例では、図1に示されるところの本発明に係るガスワイピング装置を溶融亜鉛めっきラインに設置し、本願発明者らが先に行った特許文献1のガスワイピングノズルの効果確認実験と同様に、スプラッシュ抑制効果を実験的に調査した。すなわち、ガスワイピングノズル1とバッフルプレート3’とで挟まれた空間に、金属多孔体からなる流体抵抗要素2を配置し、スプラッシュ発生量を調査確認した。
実験条件としては、第1、2実施例共に、ワイピングノズルスリットギャップ0.8mm、溶融亜鉛浴からのノズル高さ420mm、溶融亜鉛浴温度460℃とし、鋼帯Sのサイズは、1.0mm厚×1.8m幅とした。バッフルプレート3’の寸法は、縦50mm、幅200mmで、その形状は、厚み5mmの均一厚みの平板である。また、バッフルプレート3’と鋼帯Sとの距離は10mmとした。金属多孔体からなる流体抵抗要素2の平均孔径αは、0.1mm〜3.2mmの範囲で幾つか変化させた。また第1実施例では、邪魔板4の幅Bを、幅を10mm、20mmと変え、厚さは5mmとした。
上記の実施形態の実験によって得られたスプラッシュ発生量の測定結果を、実験条件と共に、図9、図11に示す。図9は、邪魔板4と流体抵抗要素2とを有する第2の実施形態に係るガスワイピング装置に対する第1実施例の実験結果であり、図11は、邪魔板4なしの流体抵抗要素2のみの第1の実施形態に係るガスワイピング装置に対する第2実施例の実験結果である。また、図10は、本発明の実施例に対する比較例として、邪魔板4のみで流体抵抗要素2が無いガスワイピング装置に対するスプラッシュ発生量の測定した、引用文献1の効果確認試験の結果である。
[第1実施例]
まず、図9に基づいて、邪魔板4と流体抵抗要素2とを有する上記第2の実施形態に係るガスワイピング装置に対する実験結果を説明する。図9において、実施例1〜6は、金属多孔体からなる流体抵抗要素2の平均の孔径α=0.1mmの場合、実施例7〜12は、孔径α=0.2mmの場合、実施例13〜18は、孔径α=0.5mmの場合、実施例19〜22は、孔径α=1.0mmの場合、実施例23〜26は、孔径α=1.3mmの場合、実施例27〜30は、孔径α=1.9mmの場合、実施例31〜33は、孔径α=3.2mmの場合を示している。そして、孔径αの各条件に対して、隙間間隔Cも変化させている。
また、図3は、図9に示した実施例と、図10に示した比較例におけるスプラッシュ発生量を、隙間間隔Cについて整理比較したものである。図3に示されるように、流体抵抗要素2を設置した場合(実施例の結果を示す図9のデータで、図3中では、*、□、◇、○、△、×、+でプロット)は、孔径α=0.1mm〜3.2mmの範囲では、その大小にかかわらず、何れも隙間間隔Cが変化しても、各々の孔径αの値に対応して概ね一定のスプラッシュ発生量に抑えられている。一方、流体抵抗要素2が無い場合(比較例の結果を示す図10のデータで、図3中●でプロット)は、先述したように、隙間間隔Cの値によってスプラッシュ発生量が大きく変動してしまう。すなわち、流体抵抗要素2を設置することにより、隙間間隔Cの値が少々異なっていても、安定的にスプラッシュを抑制し得ることが分かる。
さらに、図3から分かるように、流体抵抗要素2を設置した場合は、特に孔径α=0.2mm〜1.3mmの範囲(図3中□、◇、○、△でプロット)で、スプラッシュ抑制効果が大きく、流体抵抗要素2が無い場合(図3中●でプロット)の最もスプラッシュ発生量が少ないレベルであることが分かる。しかし、孔径α=0.2mmより小さい場合(孔径α=0.1mmの場合で図3中*でプロット)のように、あまりに孔径αが小さいと、通気抵抗が大きくなりすぎて、結局、スプラッシュ発生量は、邪魔板4のみの隙間間隔C=0mmの場合と同じ程度になってしまい、十分なダンピング効果が得られなくなってしまうのである。すなわち、通気抵抗が大きくなりすぎたことで、流体抵抗要素2を流れる流体量が少なくなりすぎてしまい、ガス噴流の乱れの運動エネルギーを熱エネルギーに変換する割合が減少してしまったためと考える。但し、孔径α=0.1mmの場合であっても、流体抵抗要素2が無い場合の隙間間隔Cが約5mm以上でのスプラッシュ発生量(約120g/min)よりも発生量は少なく抑えられている。
一方、逆に孔径α=1.3mmより大きい場合(孔径α=1.9mm、3.2mmの場合で、各々図3中×、+でプロット)のようにあまりにαが大きいと、流体抵抗要素2を流れる流体量は十分にあるにもかかわらず、通気抵抗の方が小さくなりすぎるため、ガス噴流の乱れの運動エネルギーを熱エネルギーに変換する割合が減少してしまい、これも十分なダンピング効果が得られなくなったものと考える。但し、孔径α=1.9mm、3.2mmの場合であっても、やはり隙間間隔Cが約5mm以上でのスプラッシュ発生量(約120g/min)以下に抑えられている。
なお、鋼帯のめっき面外観について、一般的には約120g/min程度以下のスプラッシュ発生量であれば十分な品質レベルを確保でき、孔径α=0.2mm〜1.3mmの範囲でのスプラッシュ発生量(約50g/min以下)であれば、高い外観品質要求にも十分応え得る品質レベルといえる。
[第2実施例]
次に、図11に基づいて、邪魔板4なしで流体抵抗要素2のみの上記第1実施形態に係るガスワイピング装置に対する実験結果を説明する。図11において、実施例34〜40にて、金属多孔体からなる流体抵抗要素2の平均の孔径αを0.1mm、0.2mm、0.5mm、1.0mm、1.3mm、1.9mm、3.2mmと変化させた場合を示している。なお、本実施例は、図1に示す第1実施形態に係るガスワイピング装置に対するものであり、邪魔板4がないため隙間間隔Cは定義できない。このため、図11中のバッフルプレート条件の項目には隙間間隔Cのデータは無い。
図11からもわかるように、邪魔板4なしの流体抵抗要素2のみのガスワイピング装置においても、概ねスプラッシュ抑制効果は良好で、孔径αが、特に0.2mm〜1.3mmの範囲で、スプラッシュ抑制効果が大きいことが分かる。つまり、邪魔板4なしの流体抵抗要素2のみのガスワイピング装置においても、先述したように、通気抵抗は、大きすぎても、小さすぎても、十分なダンピング効果が得られない。
先に述べたダンピング効果は、引用文献1の効果確認試験の結果についても同様のことがいえ、図7に示したように隙間間隔Cに対してスプラッシュ発生量が隙間間隔C=1.5〜2.5mmの狭い範囲で少なくなるのは、この範囲でダンピング効果が効果的に得られていることを示している。つまり、スプラッシュ防止のためには、そもそも特許文献1に開示されたような邪魔板4が本質的に必要なわけではなく、ガスワイピングノズル1とバッフルプレート3とで挟まれた空間に、流体抵抗要素2を配置することが本質的に必要となる。さらに、通気性を有する多孔体や繊維質体といった流体抵抗要素2を用いることで、隙間間隔Cの変動を緩和し、安定的にスプラッシュ抑制効果を発揮できることが示されたのである。
以上、本発明に係るガスワイピング装置の実施例を示した。但し、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
本発明は、例えば、帯状材として鋼帯を、また液体浴として溶融亜鉛などのめっき浴を想定し、鋼帯に溶融めっきを行うに際し、鋼帯が溶融めっき浴から引き上げられた後、余分な溶融めっき金属をガスワイピングで払拭する方式の連続溶融めっきプロセスにおいて、ガスワイピング時のスプラッシュ発生を安定的に軽減し得るガスワイピング装置として利用できる。
1 ガスワイピングノズル
2 流体抵抗要素
3 特許文献1にて開示されたバッフルプレート
3’ バッフルプレート
4 邪魔板
5 ガスワイピングノズル1から噴出されたガス流れ
S 鋼帯
B 邪魔板4の幅
C 邪魔板4の端部とガスワイピングノズル1の上面との隙間間隔
D ワイピングノズル1と鋼帯Sとの面直方向距離
H 邪魔板4とガスワイピングノズル1との高さ方向距離
θ ワイピングノズル1の先端部分の上面が水平方向となす角度
α 多孔体からなる流体抵抗要素2の平均孔径



Claims (4)

  1. 液体浴の中から連続的に引き上げられて進行する帯状材を挟み、該液体浴の浴面から同一高さで、かつ該帯状材の幅方向に沿って配置され、該帯状材の表面に向けてガスを噴出することにより、該帯状材の表面に付着した液体の付着量を調節する、少なくとも一対の対向するガスワイピングノズルと、
    前記帯状材の幅方向の延長面上の該帯状材の両側近傍に設けられ、かつ、前記ガスワイピングノズルから噴出されたガスが前記帯状材の表面に衝突するガス衝突点を含む高さに配置された一対のバッフルプレートと、
    前記ガスワイピングノズルから噴射されたガスがバッフルプレートに衝突する位置よりも上方で、かつ、前記ガスワイピングノズルと前記バッフルプレートとの間に設けられた、通気性を有する流体抵抗要素と、
    を備えることを特徴とする、ガスワイピング装置。
  2. 前記流体抵抗要素は、通気性を有する多孔体であることを特徴とする、請求項1に記載のガスワイピング装置。
  3. 前記多孔体は、平均孔径が、0.2mm〜1.3mmの範囲であることを特徴とする、請求項2に記載のガスワイピング装置。
  4. 前記流体抵抗要素は、通気性を有する繊維質状体であることを特徴とする、請求項1に記載のガスワイピング装置。
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