JP2014180592A - 塗布工具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】隣り合うヘッド部材2同士の間に形成されたマニホールド4内には、該マニホールド4に塗布液を供給する供給口16が開口され、ヘッド部材2同士の間には、マニホールド4内に突出する整流部18を備えた整流板15が挟持され、整流部18は少なくとも供給口16に対応する位置に配置され、ヘッド部材2には、該ヘッド部材2の外面7とマニホールド4とを連通する貫通孔13が形成され、貫通孔13にはピン部材14が挿通され、ピン部材14はマニホールド4内に突出可能とされ、ピン部材14が、貫通孔13内を進退移動するとともに整流部18を押し込み又は引き込んで該整流部18を変形させることにより、整流部18と供給口16との距離が調整可能とされている。
【選択図】図1
Description
すなわち、特許文献1の構成では、ヘッド部材同士の間にシム部材を配設して塗工を行った結果、スリットから被塗布物への前記延在方向に沿う塗布量(塗布厚)が不均一であった場合には、該シム部材をヘッド部材から取り外して他の形状のシム部材に交換する必要があり、調整作業が困難で手間がかかっていた。また、形状の異なるシム部材を複数用意しなければならず、部品管理が煩雑であるとともに、これらシム部材の製作費用が嵩んでいた。
すなわち、塗布液の粘度が高い場合には、スリットの延在する方向の中央部におけるスリット幅が、該スリットの両端部におけるスリット幅よりも大きくなりやすく、前記中央部から被塗布物に塗布される塗布液の膜厚が、前記両端部から塗布される塗布液の膜厚よりも厚くなりやすかった。
このような現象を抑制して、塗工の初期段階や塗布液の性質(粘度)に係わらず、塗布精度を安定して高めることが要求されていた。
しかしながらこの場合、マニホールドの内圧のバラつきをより増大させることとなり、またスリット幅の変動が広範囲に起こりやすくなるなど、調整が困難になることから好ましくない。また、この調整方法の場合、構造が複雑になり、製造費用が嵩み、ヘッド部材の形状自体についても制約を受けやすくなる。
すなわち、本発明は、複数のヘッド部材が隣接配置され、隣り合う前記ヘッド部材同士の間に形成されたマニホールド、及び該マニホールドに連通するとともに前記ヘッド部材の先端側に向けて開口されたスリットを通して、被塗布物に塗布液を塗布する塗布工具であって、前記マニホールドは、前記ヘッド部材の延在方向に沿って延びており、前記マニホールド内には、該マニホールドに塗布液を供給する供給口が開口され、前記ヘッド部材同士の間には、前記マニホールド内に突出する整流部を備えた整流板が挟持されており、前記整流部は、少なくとも前記供給口に対応する位置に配置され、前記ヘッド部材には、該ヘッド部材の外面と前記マニホールドとを連通する貫通孔が形成され、前記貫通孔には、ピン部材が挿通され、該ピン部材は前記マニホールド内に突出可能とされており、前記ピン部材が、前記貫通孔内を進退移動するとともに、前記整流部を押し込み又は引き込んで該整流部を変形させることにより、前記整流部と前記供給口との距離が調整可能とされていることを特徴とする。
具体的に、高い粘度の塗布液の塗工においては、スリットの前記延在方向の中央部での口開き現象を軽減することが可能になり、塗り始めの塗布液の膜厚が均一になる。また、低粘度の塗布液の塗工では、塗り始めまで整流部を供給口に近づけておき、マニホールドの内圧が均一となった後は、整流部を供給口から離間させてもよい。
従って、簡単な構成によって上述した効果を得ることができる。
本実施形態の塗布工具1は、例えば可撓性を有するシート状部材やパネル状部材などの被塗布物の表面に、塗布液を所定の膜厚となるように塗布するスロットダイである。この塗布工具1は、低粘度から中/高粘度まで種々の塗布液に適用可能である。
ここで、ヘッド部材2は、長尺の矩形板状又はブロック状をなしており、前記一対のヘッド部材2同士は、その厚さ方向に隣接するように対向配置されている。本明細書においては、ヘッド部材2が延在するその長手方向(図1の紙面に垂直な方向)を塗布工具1の延在方向Lといい、ヘッド部材2の厚さ方向を塗布工具1の幅方向Wといい、これら延在方向L及び幅方向Wに垂直な方向を塗布工具1の高さ方向Hという。また、高さ方向Hのうち、ヘッド部材2間からスリット3が外部に開口される向き(被塗布物に塗布液が吐出される向き)を先端側(ヘッド部材2の先端側であり、図1における上側)といい、スリット3が外部に開口される向きとは反対側を基端側(ヘッド部材2の基端側であり、図1における下側)という。
ヘッド部材2において先端側を向く先端面10は、幅方向Wの内側(つまり幅方向Wの中央側、スリット3側)に向かうに従い漸次先端側に向かって傾斜している。また、先端面10における幅方向Wの内側の端部は、該端部以外の部位よりも先端側に向けて突出するエッジ部6とされており、一対のヘッド部材2のエッジ部6同士はスリット3を画成する隙間をあけて対向配置されている。またエッジ部6は、延在方向Lに長尺とされた矩形板状をなしており、エッジ部6の先端部(刃先エッジ)同士の間に、スリット3の開口部が形成されている。尚、エッジ部6は先端面10に突設されていなくてもよく、この場合、ヘッド部材2において先端面10と内面8とが交差する稜線部分が、該ヘッド部材2の刃先エッジとなる。
また、一方のヘッド部材2Aの内面8における高さ方向Hの中央部には、該内面8から窪まされるとともに延在方向Lに沿って延びる断面半円形状又は断面半長円形状の溝穴5が形成されており、該溝穴5と、この溝穴5に対応する他方のヘッド部材2Bの平面状をなす内面8部分とが幅方向Wに対向配置されることで、断面円形状又は断面半長円形状のマニホールド4が形成されている。
具体的に、本実施形態では、図1に示される一対のヘッド部材2A、2Bのうち一方のヘッド部材2Aにのみ、基端面9と溝穴5とを連通する液供給路21が形成されており、該液供給路21においてマニホールド4の内周面に開口する部分が前記供給口16となっている。また図示の例では、供給口16は、マニホールド4の高さ方向Hに沿う中央部から基端部に開口している。液供給路21は、不図示の供給ポンプに接続されている。尚、液供給路21は、塗布工具1の外部に設置された前記供給ポンプとマニホールド4内とを連通可能にヘッド部材2に形成されていればよいことから、その形状や配置は本実施形態で示される例に限定されない。
本実施形態では、ヘッド部材2Bの貫通孔13と、ピン部材14とは、螺合されており、貫通孔13の中心軸回りにピン部材14を回転させることで、該ピン部材14が図1に示される両矢印の向きに進退可能とされている。
また、整流部18において支持部17とは反対側(先端側)を向く端縁に位置する凸状の先端18aは、延在方向Lに沿う供給口16に対応する位置に配置されている。また、整流部18の前記端縁と、マニホールド4の内面との間には、隙間が設けられている。
具体的に、高い粘度の塗布液の塗工においては、スリット3の延在方向Lの中央部での口開き現象を軽減することが可能になり、塗り始めの塗布液の膜厚が均一になる。また、低粘度の塗布液の塗工では、塗り始めまで整流部18を供給口16に近づけておき、マニホールド4の内圧が均一となった後は、整流部18を供給口16から離間させてもよい。
すなわち、ピン部材14により整流部18が変形させられることで、該整流部18の前記端縁と、マニホールド4の内面との距離が変化させられて、これらの間を流れる塗布液の流量が調整される。従って、上述した整流部18と供給口16との距離の調整とあわせて、より迅速に調整を行うことが可能である。
尚、本実施形態では、整流部18において先端側を向く端縁が、先端18aを頂点として延在方向Lに向かうに従い漸次基端側へ向けて直線状に延びて形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば整流部18の前記端縁は、先端18aから延在方向Lに向かうに従い段階的に基端側へ向かう階段状や折れ線状とされていてもよい。
この場合、一度の塗布工程において、被塗布物に対して各スリット3から複数種類の塗布液を吐出可能であり、被塗布物の表面に塗布液が複数の膜(層)をなすように塗布される。
すなわち、整流部18は、マニホールド4内における少なくとも供給口16に対応する位置に配置されて、該供給口16から流入する塗布液をこの供給口16から延在方向Lに離間させる向きに送液可能な整流作用を有していればよいことから、例えば、整流部18の延在方向Lの両端が、マニホールド4の延在方向Lの両端面から延在方向Lの内側(中央側)に大きく離間して配置されていても構わない。
また、整流部18において最も板幅が大きくなる先端18a部分が、供給口16に対応して配置されていなくても構わない。
図3に示される例では、シム部材11は、一対の端部板12と、これら端部板12間に配置される整流板25と、を一体に備えている。整流板25は、支持部17と、該支持部17からマニホールド4内に突出する整流部28と、を備えている。そして、整流部28は、マニホールド4内で延在方向Lに分割された複数の羽根部29からなり、それぞれの羽根部29に対応してピン部材14が複数設けられるとともに、これらのピン部材14によって各羽根部29が個別に変形(弾性変形及び復元変形)させられる構成となっている。
図示の例では、整流部28の羽根部29が5つ設けられており、これら羽根部29のうち、延在方向Lの中央に位置する羽根部29が供給口16に対応して配置されている。また、これら羽根部29のうち、延在方向Lの両端部に位置する羽根部29の延在方向Lに沿う長さは、延在方向Lの両端部以外に配置された羽根部29の延在方向Lに沿う長さよりも短くされている。また、これら羽根部29が、支持部17からスリット3側へ向けて突出する高さは、互いに同一とされている。
また、図4に示される例のように、マニホールド4内に延在方向Lに間隔をあけて複数(図示の例では2つ)の供給口16が開口されており、各供給口16に対応して、整流部28の羽根部29がそれぞれ配置されていてもよい。
2 ヘッド部材
3 スリット
4 マニホールド
7 外面
12 端部板
13 貫通孔
14 ピン部材
15、25 整流板
16 供給口
18、28 整流部
18a 先端(端縁)
29 羽根部
L 延在方向
Claims (7)
- 複数のヘッド部材が隣接配置され、隣り合う前記ヘッド部材同士の間に形成されたマニホールド、及び該マニホールドに連通するとともに前記ヘッド部材の先端側に向けて開口されたスリットを通して、被塗布物に塗布液を塗布する塗布工具であって、
前記マニホールドは、前記ヘッド部材の延在方向に沿って延びており、
前記マニホールド内には、該マニホールドに塗布液を供給する供給口が開口され、
前記ヘッド部材同士の間には、前記マニホールド内に突出する整流部を備えた整流板が挟持されており、
前記整流部は、少なくとも前記供給口に対応する位置に配置され、
前記ヘッド部材には、該ヘッド部材の外面と前記マニホールドとを連通する貫通孔が形成され、
前記貫通孔には、ピン部材が挿通され、該ピン部材は前記マニホールド内に突出可能とされており、
前記ピン部材が、前記貫通孔内を進退移動するとともに、前記整流部を押し込み又は引き込んで該整流部を変形させることにより、前記整流部と前記供給口との距離が調整可能とされていることを特徴とする塗布工具。 - 請求項1に記載の塗布工具であって、
前記整流部が、弾性変形可能であることを特徴とする塗布工具。 - 請求項1又は2に記載の塗布工具であって、
前記整流部が変形することで、該整流部の端縁と、前記マニホールドの内面との距離が調整可能とされていることを特徴とする塗布工具。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗布工具であって、
前記ヘッド部材同士の間における前記延在方向の両端部には、前記スリットの前記延在方向に沿う長さ及び開口幅を設定する端部板がそれぞれ配設されており、
前記整流板が、前記端部板と一体に形成されていることを特徴とする塗布工具。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗布工具であって、
前記整流部は、前記マニホールド内で前記延在方向に沿って延びており、
前記整流部の前記延在方向に直交する高さが、前記供給口から前記延在方向に離間するに従い小さくされていることを特徴とする塗布工具。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の塗布工具であって、
前記整流部は、前記マニホールド内で前記延在方向に分割された複数の羽根部からなり、
それぞれの前記羽根部に対応して前記ピン部材が複数設けられるとともに、これらのピン部材によって各羽根部が個別に変形させられることを特徴とする塗布工具。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の塗布工具であって、
前記ヘッド部材の前記貫通孔と、前記ピン部材とが、螺合されていることを特徴とする塗布工具。
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