JP2014178132A - 外力検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧電片に加わる外力を高精度にかつ安定して検出することができる外力検出装置を提供すること。
【解決手段】外力に応じて水晶片2が撓むことにより、発振回路の発振ループの可変容量が変化し、この可変容量の変化を発振周波数の変化として捉えて外力を検出する装置において、発振回路5の負荷側に、リアクタンスが調整可能な可変容量ダイオードVDを設ける。この装置は、検出感度が大きくなる発振回路の負荷リアクタンスの範囲が狭いが、振動モータ8により強制的に水晶片2に外力を印加した状態で負荷リアクタンスを調整できる機能を搭載する。こうして、水晶片2に外力を加えて、負荷リアクタンスを掃引することにより、負荷リアクタンスを、大きな検出感度が得られる値に設定することができる。
【選択図】図1
【解決手段】外力に応じて水晶片2が撓むことにより、発振回路の発振ループの可変容量が変化し、この可変容量の変化を発振周波数の変化として捉えて外力を検出する装置において、発振回路5の負荷側に、リアクタンスが調整可能な可変容量ダイオードVDを設ける。この装置は、検出感度が大きくなる発振回路の負荷リアクタンスの範囲が狭いが、振動モータ8により強制的に水晶片2に外力を印加した状態で負荷リアクタンスを調整できる機能を搭載する。こうして、水晶片2に外力を加えて、負荷リアクタンスを掃引することにより、負荷リアクタンスを、大きな検出感度が得られる値に設定することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は外力による圧電片の撓みに基づく定量変化を、当該圧電片あるいは別途設けた圧電片の発振周波数の変化として捉えて、速度、圧力、流体の流速、磁力等の外力を検出する技術分野に関する。
系に作用する外力として、加速度に基づく物体に作用する力、圧力、流速、磁力等があるが、これらの外力を正確に測定することが必要な場合が多い。例えば自動車を開発する段階で自動車が物体に衝突したときに座席における衝撃力を測定することが行われている。また、地震時の振動エネルギーや振幅を調べるためにできるだけ精密に揺れの加速度などを調べる要請がある。さらにまた、液体や気体の流速を正確に調べてその検出値を制御系に反映させる場合や、磁石の性能を測定する場合なども外力の測定例として挙げることができる。このような測定を行うにあたって、簡素な構造でありかつ高精度に測定できることが要求されている。
本発明者らは、例えば特許文献1のように、水晶板に励振電極を設けて可動電極を形成すると共に、この可動電極に対向して容器に固定電極を設けることにより外力を検出する技術を提案している。この手法では、水晶板に外力が加わって撓むと可動電極と固定電極との間の容量が変わり、この容量変化を水晶板の発振周波数の変化として捉えているため、簡素な構造で高精度な測定を行うことができる。
ここで本発明の出願人は、
a)前記可動電極と固定電極との間の前記容量の変化と前記発振周波数の変化との対応関係は、発振回路の負荷容量に応じて変化すること、
b)前記可動電極と固定電極との間の前記容量の変化に対する発振周波数の変化の割合が大きくなる前記負荷容量の範囲は、相当狭いこと、
を把握している。
a)前記可動電極と固定電極との間の前記容量の変化と前記発振周波数の変化との対応関係は、発振回路の負荷容量に応じて変化すること、
b)前記可動電極と固定電極との間の前記容量の変化に対する発振周波数の変化の割合が大きくなる前記負荷容量の範囲は、相当狭いこと、
を把握している。
一方、発振回路に用いられる能動素子、前記水晶板を利用した水晶振動子の特性は、使用経過時間や温度により変化し、またコンデンサなどの受動素子の値も同様に変化する。このため製造メーカ側で前記負荷容量の値を、高い感度が得られる(前記変化の割合が大きい)ように設定した後、適切な負荷容量の値あるいは負荷容量そのものの値が変化してしまうことがある。しかしながら、既述のように高感度が得られる適切な負荷容量の範囲が非常に狭いことから、外力検出時における発振回路の負荷容量が適切な範囲から外れ、このため精度の高い検出を行えないおそれがある。このようなことから、高精度な測定を安定して行うために、環境温度や経年変化などによる検出感度の劣化を抑えることが要請されている。
本発明は、このような背景の下になされたものであり、圧電片に加わる外力を高精度にかつ安定して検出することができる外力検出装置を提供することにある。
このため本発明は、外力が加わったときの水晶片の撓みによる容量変化を圧電片の周波数の変化として捉えて、外力を検出するための装置において、
圧電片の両面側に夫々一方の励振電極及び他方の励振電極を設けて構成した圧電振動部と、
外力により撓むように縁部が基部に支持された水晶片と、
前記他方の励振電極に電気的に接続するように前記水晶片に設けられた可変容量形成用の可動電極と、
前記水晶片とは離間して、前記可動電極に対向するように設けられ、前記水晶片の撓みにより前記可動電極との間の容量が変化してこれにより可変容量を形成する固定電極と、
前記一方の励振電極、他方の励振電極、可動電極及び固定電極を含む発振ループが形成されるように設けられると共に、リアクタンスが調整可能な可変リアクタンス素子がその負荷側に接続された発振回路と、
前記発振回路の発振周波数に対応する周波数情報を測定する周波数測定部と、
前記水晶片に強制的に外力を与えるための外力印加部と、
前記可変リアクタンス素子のリアクタンスを調整するためのリアクタンス調整部と、を備えたことを特徴とする。
圧電片の両面側に夫々一方の励振電極及び他方の励振電極を設けて構成した圧電振動部と、
外力により撓むように縁部が基部に支持された水晶片と、
前記他方の励振電極に電気的に接続するように前記水晶片に設けられた可変容量形成用の可動電極と、
前記水晶片とは離間して、前記可動電極に対向するように設けられ、前記水晶片の撓みにより前記可動電極との間の容量が変化してこれにより可変容量を形成する固定電極と、
前記一方の励振電極、他方の励振電極、可動電極及び固定電極を含む発振ループが形成されるように設けられると共に、リアクタンスが調整可能な可変リアクタンス素子がその負荷側に接続された発振回路と、
前記発振回路の発振周波数に対応する周波数情報を測定する周波数測定部と、
前記水晶片に強制的に外力を与えるための外力印加部と、
前記可変リアクタンス素子のリアクタンスを調整するためのリアクタンス調整部と、を備えたことを特徴とする。
本発明は、外力に応じて水晶片が撓むことにより、圧電振動子を含む発振回路の発振ループの可変容量が変化し、この可変容量の変化を圧電振動子の発振周波数の変化として捉えて外力を検出する装置を対象としている。この装置は、既述のように、可変容量の変化に対する発振周波数の変化の割合が大きくなる(検出感度が大きくなる)発振回路の負荷リアクタンスの範囲が狭い。そこで本発明は、外力印加部により強制的に水晶片に外力を印加した状態で負荷リアクタンスを調整できる機能を搭載している。このため擬似的に水晶片に外力が加わった状態を再現してこの状態で負荷リアクタンスを掃引することにより、負荷リアクタンスを、大きな検出感度が得られる値に設定することができる。この結果、回路部品の特性が使用経過時間や温度により変化しても、安定して高精度な外力検出を行うことができる。
[第1の実施形態]
本発明の外力検出装置の第1の実施形態について、外力として加速度を検出する場合を例にして、図1〜図11を参照して説明する。図1中、1は直方体形状の密閉型の例えば水晶からなる容器であり、例えばその内部には不活性ガス例えば窒素ガスが封入されている。この容器は基台をなす下部分とこの下部分に周縁部にて接合される上部分とから構成されている。なお容器1としては必ずしも密閉型の容器に限定されるものではない。容器1内には水晶からなり、基部をなす台座11が設けられ、この台座11の上面に導電性接着剤10により圧電片をなす水晶片2の一端側の縁部が固定されている。水晶片2は例えばXカットの水晶を短冊状に形成したものであり、厚さが例えば数十μmオーダ、例えば0.03mmに設定されている。従って、水晶片2に交差する方向に加速度を加えることにより、先端部が撓む。
本発明の外力検出装置の第1の実施形態について、外力として加速度を検出する場合を例にして、図1〜図11を参照して説明する。図1中、1は直方体形状の密閉型の例えば水晶からなる容器であり、例えばその内部には不活性ガス例えば窒素ガスが封入されている。この容器は基台をなす下部分とこの下部分に周縁部にて接合される上部分とから構成されている。なお容器1としては必ずしも密閉型の容器に限定されるものではない。容器1内には水晶からなり、基部をなす台座11が設けられ、この台座11の上面に導電性接着剤10により圧電片をなす水晶片2の一端側の縁部が固定されている。水晶片2は例えばXカットの水晶を短冊状に形成したものであり、厚さが例えば数十μmオーダ、例えば0.03mmに設定されている。従って、水晶片2に交差する方向に加速度を加えることにより、先端部が撓む。
水晶片2は、図2(a)に示すように水晶片2の上面の中央部に一方の励振電極31が設けられ、また図2(b)に示すように水晶片2の下面における、前記励振電極31と対向する部位に他方の励振電極41が設けられて圧電振動部をなす水晶振動子20を構成している。上面側の励振電極31には帯状の引き出し電極32が接続され、この引き出し電極32は水晶片2の一端側で下面に折り返されて、導電性接着剤10と接触している。台座11の上面には金属層からなる導電路12が設けられ、この導電路12は容器1を支持している絶縁基板13を介して、絶縁基板13上の発振回路5の一端に接続されている。
下面側の励振電極41には帯状の引き出し電極42が接続され、この引き出し電極42は水晶片2の他端側(先端側)まで引き出され、可変容量形成用の可動電極61に接続されている。一方、容器1側には可変容量形成用の固定電極62が設けられており、この固定電極62は導電路15を介して発振回路5の他端に接続されている。この例では容器1の底部にはコンベックス状の水晶からなる突起部7が設けられており、固定電極62はこの突起部7において、可動電極61と概ね対向するように設けられている。発振回路5は導電路16を介して電源部50に接続されている。この例は、一方の励振電極及び他方の励振電極を設けて圧電振動部を構成する圧電片が、可動電極が設けられた水晶片を兼用する構成である。
前記突起部7は水晶片2が過剰に撓んだときに当該水晶片2よりも一端側に寄った部が接触するように形成され、これにより水晶片2の当該部位の撓みを規制することで、水晶片2の先端部が容器1の内壁部に衝突することを避ける役割を果たす。この突起部7は平面図で見ると四角形である。
図3には外力検出装置の一部の外観を示すが、このように外力検出装置の容器1の近傍には、外力印加部をなす振動発生部である振動モータ8が設けられている。なお、図1では図示の便宜上発振回路5と振動モータ8とを水晶片2の長さ方向に並べて描いている。この振動モータ8は、後述する発振回路5の負荷容量の校正を行うときに、水晶片2に外力である振動を強制的に与えるものである。振動モータ8としては、例えば携帯電話に設けられるバイブレータ等の振動レベルが把握されているもの等が用いられる。
前記負荷容量の校正を行うときに、当該振動モータ8により前記水晶片2に印加される外力の大きさは、例えば外力の大きさの検出範囲内に設定される。この外力の大きさの検出範囲は、測定する外力の種類によっても異なるが、加速度を検出する場合には、例えば1×10−7m/s2以上980m/s2以下である。
前記負荷容量の校正を行うときに、当該振動モータ8により前記水晶片2に印加される外力の大きさは、例えば外力の大きさの検出範囲内に設定される。この外力の大きさの検出範囲は、測定する外力の種類によっても異なるが、加速度を検出する場合には、例えば1×10−7m/s2以上980m/s2以下である。
図4は外力検出装置の配線の接続状態、図5は外力検出装置の回路図を夫々示している。前記発振回路5は例えばコルピッツ型の発振回路として構成され、図5には略解的に示している。増幅素子としてのトランジスタTrのベースには、インダクタL11を介して水晶振動子20が接続されている。また、トランジスタTrのベース、接地間には、コンデンサC11、C12の直列回路が接続され、コンデンサC11、C12の中間点はトランジスタTrのエミッタに接続されている。トランジスタTrのエミッタ、接地間には抵抗R11が接続され、トランジスタTrのコレクタは電源+Vcに接続されている。電源+VcとトランジスタTrのベースとの間には抵抗R12が接続されている。トランジスタTrのコレクタはコンデンサC13、C14を介してバッファアンプ51に接続される。なお図5に示す発振回路5は、実際の回路部品を一部省略した概略図である。
コンデンサC13及びC14の中間点Pとアースとの間には、アース側にアノードが向いた、可変リアクタンス素子をなす可変容量ダイオードVDが接続されている。一方、制御部100にはディジタルの電圧指令を出力する信号線53が接続され、この信号線53はD/A(ディジタル/アナログ)変換部52に接続されている。D/A変換部52は前記中間点Pに接続され、このため制御部100から出力された電圧指令に対応するアナログ電圧が可変リアクタンス素子をなす可変容量ダイオードVDのカソードに印加されることになる。可変リアクタンス素子はリアクタンスが調整可能に構成された素子であり、この例では印加される電圧に応じて容量が変化する可変容量素子として既述の可変容量ダイオードVDが用いられている。
制御部100は、図4及び図5に示すように、負荷容量の校正時に、可変容量ダイオードVDに印加される電圧を掃引するように電圧指令値を出力するためのプログラムを含む負荷容量校正部103を備えている。この例では負荷容量校正部103とD/A変換部52とは、可変容量ダイオードVDの容量を調整する電圧調整部に相当する。この電圧調整部により、後述のように印加電圧を介して可変容量ダイオードVDの容量が掃引されることとなる。
バッファアンプ51の出力側には、周波数測定部101を介してデータ処理部102が接続されている。周波数測定部101は、前記発振回路5の発振周波数に対応する周波数情報を測定する手段である。また、データ処理部102は前記負荷容量校正部103と共に、制御部100である例えばコントローラの中に含まれており、外力が加わったときの水晶片2の撓みによる容量変化に基づいて外力を求める機能を備えている。
図6は水晶振動子を含む回路の等価回路であり、L1は水晶振動子の質量に対応する直列インダクタンス、C1は直列容量、R1は直列抵抗、C0は電極間容量を含む実効並列容量である。上面側の励振電極31及び下面側の励振電極41は発振回路5に接続されるが、下面側の励振電極41と発振回路5との間に、前記可動電極61及び固定電極62の間に形成される可変容量Cvが介在することになる。
水晶振動子20に振動が加わると、水晶片2が図1の鎖線で示すようにあるいは図4に実線で示すように撓む。水晶片2に外力が加わらない基準状態において可動電極61と固定電極62との間の容量をCv1とすると、水晶片2に外力が加わって当該水晶片2が撓むと両電極61、62間の距離が変わるので容量がCv1から変化する。このため発振回路5から出力される発振周波数が変化する。
ここで国際規格IEC 60122−1によれば、水晶発振回路の一般式は次の(1)式のように表される。
FL=Fr×(1+x)
x=(C1/2)×1/(C0+CL) ……(1)
FLは水晶振動子に負荷が加わったときの発振周波数であり、Frは水晶振動子そのものの共振周波数である。
本実施形態では、図5及び図6に示されるように、水晶片2の負荷容量は、CLにCvが加わったものである。従って(1)式におけるCLの代わりに(2)式で表されるyが代入される。
y=1/(1/Cv+1/CL) ……(2)
これにより水晶片2の撓み量が状態1から状態2に変わり、こうして可変容量CvがCv1からCv2に変わったとすると、周波数の変化dFLは(3)式で表される。
x=(C1/2)×1/(C0+CL) ……(1)
FLは水晶振動子に負荷が加わったときの発振周波数であり、Frは水晶振動子そのものの共振周波数である。
本実施形態では、図5及び図6に示されるように、水晶片2の負荷容量は、CLにCvが加わったものである。従って(1)式におけるCLの代わりに(2)式で表されるyが代入される。
y=1/(1/Cv+1/CL) ……(2)
これにより水晶片2の撓み量が状態1から状態2に変わり、こうして可変容量CvがCv1からCv2に変わったとすると、周波数の変化dFLは(3)式で表される。
dFL=FL1−FL2=A×CL2×(Cv2−Cv1)/(B×C)…(3)
ここで、
A=C1×Fr/2
B=C0×CL+(C0+CL)×Cv1
C=C0×CL+(C0+CL)×Cv2
である。
ここで、
A=C1×Fr/2
B=C0×CL+(C0+CL)×Cv1
C=C0×CL+(C0+CL)×Cv2
である。
また水晶片2の基準状態にあるときにおける可動電極61及び固定電極62の間の離間距離をd1とし、水晶片2に外力例えば加速度が加わったときの前記離間距離をd2とすると、(4)式が成り立つ。
Cv1=S×ε/d1
Cv2=S×ε/d2 ……(4)
但し、Sは可動電極61及び固定電極62の対向領域の面積、εは比誘電率である。d1は既知であることから、dFLとd2とが対応関係にあることが分かる。
Cv1=S×ε/d1
Cv2=S×ε/d2 ……(4)
但し、Sは可動電極61及び固定電極62の対向領域の面積、εは比誘電率である。d1は既知であることから、dFLとd2とが対応関係にあることが分かる。
前記振動が加わらない状態において周波数測定部101により検出した周波数をFL1、振動(加速度)が加わった場合の周波数をFL2とすると、周波数の差分FL1−FL2は(3)式で表される。従って、前記データ処理部102は、例えば周波数測定部101から得られた周波数情報例えば周波数に基づいて、状態1から状態2に変わったときの周波数の変化率を周波数の差分FL1−FL2から算出する。そして、周波数の変化率{(FL1−FL2)/FL1}と、加速度とを対応付けたデータテーブルを作成して、このデータテーブルを参照することにより加速度を求めるように構成されている。周波数情報としては、周波数差の変化分に限らず、周波数の差分そのものであってもよい。なお、FL1の値はある温度を基準温度と決めて、その基準温度例えば25℃における周波数の値である。
続いて、負荷容量校正部103について説明する。負荷容量校正部103は、発振回路5の負荷容量を、高感度が得られる適切な範囲に校正するものである。この校正は、振動モータ8により強制的に水晶片2に外力を印加した状態で、可変容量ダイオードVDに印加する電圧を調整することにより可変容量ダイオードVDの容量を掃引し、この可変容量ダイオードVDの容量を大きな検出感度が得られる値に設定することにより行われる。具体的には、可変容量ダイオードVDの印加電圧と周波数測定部101にて得られた周波数情報例えば周波数との関係を取得し、この関係に基づいて可変容量ダイオードVDに印加する適切な電圧値が設定される。振動モータ8により前記水晶片2に印加される外力の大きさは、既述のように例えば外力の大きさの検出範囲内に設定される。
可変容量ダイオードVDは、既述のように印加される電圧に応じて容量が変化する可変容量素子であり、逆方向の電圧(逆方向電圧)を印加した場合に静電容量(接合容量)が変化するという性質を備えている。図7は、逆方向電圧(制御電圧)と静電容量との関係を示したものであるが、このように逆方向電圧が大きくなると静電容量が小さくなる。この図7では、印加する電圧を0〜10Vに変化させると、0.43pF〜1.25pFの容量変化が得られることを示している。
可変容量ダイオードVDの印加電圧を掃引することで、可変容量ダイオードVDの容量が変わり、発振回路5の負荷容量が変わることから、可変容量ダイオードVDの容量を掃引するとは可変容量ダイオードVDの印加電圧を掃引することと同じであるということができる。そして、発振回路5の負荷容量を適切な値に設定するということは、この例では可変容量ダイオードVDの印加電圧を適切な値に設定することと同じである。従って、可変容量ダイオードVDの印加電圧と発振回路5の発振周波数との関係を示すデータは、負荷容量と発振周波数との関係を示すデータと表現しても本明細書では差支えないと思われる。以後このデータを便宜上負荷容量―周波数データと呼ぶことにする。
負荷容量校正部103は、この例では振動モータ8の駆動開始及び停止を制御すると共に、発振回路5の負荷容量の校正時に、可変容量ダイオードVDに印加される電圧を掃引しながら、周波数測定部101にて得られた周波数情報を記憶し、電圧指令値を出力するように構成される。そして、負荷容量の校正時には、振動モータ8により水晶片2に外力を与えた状態で、可変容量ダイオードVDの容量を掃引し、前記容量に応じた値と周波数測定部101にて得られた前記周波数情報との関係に対応するデータ(負荷容量―周波数データ)を取得するステップを実行するように構成される。さらに、前記データに基づいて、可変容量ダイオードVDの容量を校正するステップを実行するように構成されている。
例えば前記負荷容量―周波数データを取得するステップは、予め設定された範囲で電圧を掃引しながら可変容量ダイオードVDに印加するが、前記掃引範囲で電圧を印加したときに、発振周波数の変化のピーク(山形部分)が含まれるように、前記掃引範囲を決定する電圧の下限値と上限値とが設定されている。既述のように、経年変化や環境温度により発振回路5の負荷容量の最適範囲や負荷容量自体が変化するが、その変化量を見込んで、前記電圧の下限値と上限値とが設定される。こうして、周波数測定部101では周波数情報が取得され、当該ステップでは、前記周波数情報と、前記可変容量ダイオードVDの容量に応じた値との関係に対応するデータが取得される。前記周波数情報とは、例えば水晶片2に外力(振動)が加わらないときの周波数f0と、外力が加わったときの周波数f1との周波数の差分(周波数検出差Δf:Δf=f0−f1)である。また、前記可変容量ダイオードVDの容量に応じた値とは、既述のように発振回路5の負荷容量である。
例えば前記負荷容量―周波数データを取得するステップは、図8に示すように、発振回路5の負荷容量を横軸にとり、周波数検出差Δfを縦軸にとったデータを取得するように構成されている。このデータには、発振回路5の負荷容量がある範囲において、周波数検出差Δfが立ち上がった後、立ち下がる山形部分が存在する。この山形部分は、前記可動電極61と固定電極62との間の前記容量Cvの変化に対する発振周波数の変化の割合が大きくなること、つまり検出感度(センシング感度)が高いことを示している。
そして、前記校正を行うステップでは、可変容量ダイオードVDの容量の値が、前記図8において山形部分の中に含まれるように校正される。具体的には、周波数検出差Δfに閾値を設け、閾値を超えたときの負荷容量の下限値C21と上限値C22とを求め、負荷容量がこれらの中間値((C21+C22)/2)になるように、可変容量ダイオードVDの容量が校正される。
図9には、図8の前記ピーク付近の拡大図を示す。例えば閾値を1000Hzに設定すると、周波数検出差Δfが1000Hz以上となる負荷容量は2.76799pF以上2.81548pF以下の範囲である。従って、閾値を超えたときの負荷容量の下限値C21は2.76799pF、上限値C22は2.81548pFであるので、これらの中間値は2.79174pFとなる。これにより、発振回路5の負荷容量が2.79174pFとなるように可変容量ダイオードVDの容量が決定され、この容量値に応じた電圧が可変容量ダイオードVDに印加されるように設定される。なお、これらの数値は便宜上の値である。
この実施の形態では、例えば外力検出装置の電源部50が投入されると、負荷容量の校正開始指令が負荷容量校正部103に出力され、振動モータ8に駆動開始指令が出力されると共に、既述のように、負荷容量―周波数データを取得するステップと、前記負荷容量―周波数データに基づいて可変容量ダイオードVDの容量を校正するステップとを実行するように構成されている。また、負荷容量校正部103にてこれらのステップを実行して、発振回路5の負荷容量を校正する工程が実施された後、振動モータ8に駆動停止指令が出力され、引き続いて外力を検出する工程が実施されるように構成されている。
次いで、外力検出装置の運転方法について、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。先ず、外力検出装置を設置して電源部50を投入する。電源部50が投入されると、制御部100から振動モータ8に対して駆動開始命令が出力される(ステップS1)。そして、D/A変換部52に電圧を下限値例えば0.5Vから上限値例えば15Vまで掃引して可変容量ダイオードVDに印加するように制御指令を出力する(ステップS2)。一方、電源部50の投入により、周波数測定部101にて周波数情報である発振周波数が検出され、データ処理部102にて、周波数検出差Δfと発振回路5の負荷容量とを対応させたデータを取得する。そして、このデータに基づき、センシング感度(周波数検出差Δf)が閾値例えば1000Hz以上であるか否かを判定する(ステップS3)。センシング感度が1000Hz以上であるときにはステップS4に進み、センシング感度が1000Hzに満たないときには、異常であるとして校正工程を終了し、例えばエラー表示を出力する。
ステップS4では、センシング感度が1000Hz以上となるときの負荷容量の下限値C21と上限値C22が識別できたか否かを判定する。周波数の変化分は図8に示すように一つのピークを備えるので、このピークが1000Hzを超えるものであれば、このピークに基づいてセンシング感度が1000Hz以上となるときの負荷容量の下限値C21と、上限値C22が識別できる。識別できたときにはステップS5に進み、識別できないときには異常であるとして校正工程を終了し、例えばエラー表示を出力する。
ステップS5では、制御部100からD/A変換部52へ電圧の掃引停止命令を出力し、ステップS6では、データ処理部102において、前記センシング感度が1000Hz以上となるときの負荷容量の下限値C21と上限値C22の中間値を取得し、この中間値に対応する電圧をDA変換部52に設定する。
次いで、センシング感度が1000Hz以上であるか否かを判定し(ステップS7)、1000Hzに満たない場合には再びステップS2に戻り、ステップS2〜ステップS7の工程を実行する。1000Hz以上であればステップS8に進み、振動モータ8の駆動を停止し(ステップS8)、例えば測定準備完了(ステップS9)した旨の表示を出力すると共に、加速度の測定を開始する。
次いで、センシング感度が1000Hz以上であるか否かを判定し(ステップS7)、1000Hzに満たない場合には再びステップS2に戻り、ステップS2〜ステップS7の工程を実行する。1000Hz以上であればステップS8に進み、振動モータ8の駆動を停止し(ステップS8)、例えば測定準備完了(ステップS9)した旨の表示を出力すると共に、加速度の測定を開始する。
このような水晶片2及びその周辺部位に関し、図11を参照しながら各部の寸法の一例について説明しておく。水晶片2の長さ寸法L1及び幅寸法は夫々18mm及び3mmである。水晶片2の厚さは例えば数μmである。水晶片2の一端側における支持面を水平面に平行に設定したとすると、加速度が加わらず放置した状態では自重により撓んだ状態となり、その撓み量d11は例えば150μm程度である。また、容器1の下部分における凹部空間の深さd0は、例えば175μmであり、突起部7の高さ寸法は例えば55〜60μm程度である。但し、これらの寸法は一例に過ぎない。
水晶片2の好ましい寸法の一例を示しておくと、長さ寸法が15mm〜25mm、幅寸法が1.5mm〜3.0mm、厚さが20μm〜25μmである。このような寸法が好ましい理由は、次の通りである。水晶片2の長さ寸法は大きいほど先端部の寸法変化が大きくなり、静電容量の変化が大きくなり、高感度になるが、あまり長さ寸法を大きくすると、撓みが大きくなって可変電極61と固定電極62とが接触するおそれが生じてくることにある。
水晶片2の撓み量(水晶片が一直線に伸びている状態と撓んでいるときとの先端部分の高さレベルの差分)と周波数の変化量との関係の一例を挙げておくと、例えば水晶片2の先端が10−5μmオーダで変化すると、発振周波数が70MHzの場合、周波数の変化分は0.65ppbである。従って極めて小さな外力例えば加速度をも正確に検出できる。
水晶片2の撓み量(水晶片が一直線に伸びている状態と撓んでいるときとの先端部分の高さレベルの差分)と周波数の変化量との関係の一例を挙げておくと、例えば水晶片2の先端が10−5μmオーダで変化すると、発振周波数が70MHzの場合、周波数の変化分は0.65ppbである。従って極めて小さな外力例えば加速度をも正確に検出できる。
上述の実施の形態によれば、振動モータ8により強制的に水晶片2に外力を印加した状態で、可変容量ダイオードVDの容量を掃引することにより、検出感度が大きくなる発振回路5の負荷容量の範囲を求め、当該負荷容量を、大きな検出感度が得られる値に設定している。本発明の外力検出装置は、既述のように、検出感度が大きくなる発振回路の負荷容量の範囲が極めて狭い一方、使用経過時間や環境温度により、回路部品や水晶振動子の特性が変化して、適切な負荷容量の値あるいは負荷容量そのものの値が変化する。従って、製造メーカ側で発振回路の負荷容量を高い感度が得られる値を設定しても、その後に発振回路の負荷容量が適切な範囲から外れて、検出感度が劣化してしまうが、このような場合において、発振回路の負荷容量が適切な範囲に調整できる。このため、検出感度が良好な状態で安定し、圧電片に加わる外力を高精度にかつ安定して検出することができる。
また、可変リアクタンス素子として可変容量素子である可変容量ダイオードVDを用いる場合には、可変容量ダイオードVDに掃引された電圧を印加すれば、可変容量ダイオードVDの容量を掃引することができるので、校正作業が容易となる。但し可変容量素子としては、MEMS可変容量等の外力検出装置の外部から容量値を制御できるものであれば種類は問わない。
さらに、外力印加部として振動モータ8等の振動発生部を設ける場合には、携帯電話に設けられるような小型の物を用いれば、外力検出装置の大型化を抑えることができる。また、振動レベルが把握されているため、外力の検出範囲内の外力を強制的に容易に水晶片2に与えることができる。
さらにまた、負荷容量の校正時に、可変容量ダイオードVDの容量に応じた値と、周波数情報との関係に対応するデータを取得するステップと、可変容量ダイオードVDの容量を校正するステップを実行するようにすれば、発振回路5の負荷容量の校正を自動的に行うことができ、当該校正作業が簡易かつ速やかに実行される。
また、可変容量ダイオードVDの容量に対応する値は、前記容量に対応する値を横軸にとり、周波数情報を縦軸にとったときに、周波数情報が立ち上がった後、立ち下がる山形部分の中に含まれるように校正する場合には、前記容量に対応する値を、高い検出感度を確保できる範囲に確実に校正することができる。さらにまた、上述の例では、外力検出装置の電源50を投入すると、振動モータ8が駆動され、可変容量ダイオードVDの容量を掃引して、可変容量ダイオードVDの容量の校正が実行され、この校正の後に外力の検出が実行されるように構成されている。従って、常に発振回路5の負荷容量が適切な範囲にある状態で外力の検出が行われ、検出感度が高い状態で外力を検出できる。
[第2の実施形態]
次に本発明を外力検出装置に適用した第2の実施形態について図12及び図13を参照しながら説明する。この第2の実施形態が第1の実施の形態と異なる点は外力検出装置の構造であり、既述の水晶片2、励振電極31、41、可動電極61、固定電極62及び発振回路5の組を2組設けた点が第1の実施の形態と異なる。水晶片2及び発振回路5について、一方の組の部品には符号「A」を添え、他方の組の部品には符号「B」を添えている。外力検出装置の内部を平面的に見ると、図12に示すように第1の水晶片2Aと第2の水晶片2Bとが横に平行に配置されている。
次に本発明を外力検出装置に適用した第2の実施形態について図12及び図13を参照しながら説明する。この第2の実施形態が第1の実施の形態と異なる点は外力検出装置の構造であり、既述の水晶片2、励振電極31、41、可動電極61、固定電極62及び発振回路5の組を2組設けた点が第1の実施の形態と異なる。水晶片2及び発振回路5について、一方の組の部品には符号「A」を添え、他方の組の部品には符号「B」を添えている。外力検出装置の内部を平面的に見ると、図12に示すように第1の水晶片2Aと第2の水晶片2Bとが横に平行に配置されている。
これら水晶片2A、2Bは同一の構造であるため、一方の水晶片2Aについて説明すると、水晶片2Aの一面側(上面側)において一端側から幅の狭い引き出し電極32が他端側に向かって伸び、当該引き出し電極32の先端部に一方の励振電極31が角形形状に形成されている。そして水晶片2Aの他面側(下面側)には、他方の励振電極41が形成され、当該励振電極41における水晶片2の先端側に向かって幅の狭い引き出し電極42が伸びている。更にこの引き出し電極42の前記先端側には短冊状の可変容量形成用の可動電極61が形成されている。
容器1の底部には、図1と同様にコンベックス状の水晶からなる突起部7が設けられているが、突起部の横幅は、2枚の水晶片2A、2Bの配置に対応した大きさに設定されている。即ち、突起部は2枚の水晶片2A、2Bの投影領域を含む大きさに設定されている。そして図13に示すように突起部7に、水晶片2Aの可動電極61及び水晶片2Bの可動電極61ごとに短冊状の固定電極62が設けられている。
容器1の底部には、図1と同様にコンベックス状の水晶からなる突起部7が設けられているが、突起部の横幅は、2枚の水晶片2A、2Bの配置に対応した大きさに設定されている。即ち、突起部は2枚の水晶片2A、2Bの投影領域を含む大きさに設定されている。そして図13に示すように突起部7に、水晶片2Aの可動電極61及び水晶片2Bの可動電極61ごとに短冊状の固定電極62が設けられている。
図13には、第2の実施形態の外力検出装置のブロック回路図が示されている。第1の水晶片2A及び第2の水晶片2Bに夫々対応して第1の発振回路5A及び第2の発振回路5Bが接続されており、第1の水晶片2A及び第2の水晶片2Bごとに、発振回路5A(5B)、励振電極31、41、可動電極61及び固定電極62を含む発振ループが形成されている。これら発振回路5A、5Bからの出力は周波数測定部101に送られ、ここで各発振回路5A、5Bからの発振周波数の差分あるいは周波数の変化率の差が検出される。これら変化率の差分が周波数に対応する情報としてデータ処理部102に出力される。データ処理部102では、例えば変化率の差分と加速度との大きさとを対応付けたデータをメモリに記憶しておき、このデータと変化率の差分とに基づいて加速度が検出できる。
2組の水晶振動子を設けたこと以外については第1の実施の形態と同様に構成されており、図12に概略的に示すように、外力検出装置の近傍には振動モータ8が設けられ、制御部100は、発振回路5A、5Bの負荷容量の校正を行うための負荷容量校正部103を備えている。また、発振回路5A、5Bの負荷側には可変容量ダイオードVDが設けられ、負荷容量校正部103とD/A変換部52(図示せず)とにより、可変容量ダイオードVDに印加する電圧を調整する電圧調整部が構成されている。
例えば校正作業は発振回路5A、5B毎に行われ、振動モータ8により水晶片2Aに外力である振動を与えた状態で、可変容量ダイオードVDの容量を掃引し、前記負荷容量―周波数データを取得する。そして、このデータに基づいて、高い検出感度が得られるように、前記発振回路5Aの可変容量ダイオードVDの容量値を設定して、前記発振回路5Aの負荷容量を校正する。こうして発振回路5Aの負荷容量の校正が終了した後、同様に発振回路5Bの負荷容量の校正を行い、振動モータ8の駆動を停止させてから、外力の検出を行う。
第2の実施形態によれば、水晶片2A及び水晶片2Bを同一の温度環境に配置しているため、水晶片2A及び水晶片2の各々の周波数が温度により変化したとしても、この変化分がキャンセルされ、結果として水晶片2A、2Bの撓みに基づく周波数の変化分だけを検出できるので、検出精度が高いという効果がある。このとき、発振回路5A、5Bの負荷容量について夫々校正を行っているので、検出感度が安定し、高精度な測定を安定して行うことができる。
[第3の実施の形態]
次に本発明を外力検出装置に適用した第3の実施形態について図14を参照しながら説明する。この第3の実施形態が第1の実施の形態と異なる点は、励振電極を容器側に設けた点である。例えば励振電極91は、台座11の上面に設けられ、励振電極92は、水晶片2を挟んで励振電極91と対向するように、容器1の内面に設けられている。これらの励振電極91及び92は、いわば水晶片2に対して空間電極として存在している。
励振電極92は導電路17を介して発振回路5に接続され、励振電極91は、導電路18及び図示しない引き出し電極を介して先端部の可動電極61と電気的に接続される。図中111は導電性接着剤である。固定電極62は、絶縁基板13を介して配線された導電路19の一端に接続され、導電路19の他端は発振回路5に接続されている。発振回路5は導電路16を介して電源部50に接続されている。この外力検出装置においても、水晶片2に外力が加わって、当該水晶片2が撓んだ状態では両電極61、62間の距離が変わるので、容量がCv1から変化し、発振回路5から出力される発振周波数が変化する。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。従って、第1の実施の形態と同様に例えば発振周波数に基づいて加速度の検出が行われ、発振回路5の負荷容量の校正が行われる。
次に本発明を外力検出装置に適用した第3の実施形態について図14を参照しながら説明する。この第3の実施形態が第1の実施の形態と異なる点は、励振電極を容器側に設けた点である。例えば励振電極91は、台座11の上面に設けられ、励振電極92は、水晶片2を挟んで励振電極91と対向するように、容器1の内面に設けられている。これらの励振電極91及び92は、いわば水晶片2に対して空間電極として存在している。
励振電極92は導電路17を介して発振回路5に接続され、励振電極91は、導電路18及び図示しない引き出し電極を介して先端部の可動電極61と電気的に接続される。図中111は導電性接着剤である。固定電極62は、絶縁基板13を介して配線された導電路19の一端に接続され、導電路19の他端は発振回路5に接続されている。発振回路5は導電路16を介して電源部50に接続されている。この外力検出装置においても、水晶片2に外力が加わって、当該水晶片2が撓んだ状態では両電極61、62間の距離が変わるので、容量がCv1から変化し、発振回路5から出力される発振周波数が変化する。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。従って、第1の実施の形態と同様に例えば発振周波数に基づいて加速度の検出が行われ、発振回路5の負荷容量の校正が行われる。
さらに、本発明の外力検出装置では、図15の回路図に示すように、水晶振動子200と、可動電極61と固定電極62との間の可変容量Cvとを、発振回路5に対して互いに並列に接続するようにしてもよい。この場合、水晶振動子200は例えば図16に概略的に示すように構成される。水晶片2は後端側(一端側)が台座11に取り付けられている。水晶片2の中央より後端側には、水晶片2の上面及び下面に夫々励振電極31及び励振電極41が形成されると共に、水晶片の先端側の下面には可動電極61が設けられている。また、容器1には、可変容量形成用の固定電極62が可動電極61と概ね対向するように設けられている。
前記励振電極31、41は夫々導電路941、931により端子93、94に接続され、可動電極61及び固定電極62は夫々導電路951、961を介して端子95、96に接続されている。そして、端子93、95同士が導電路97により接続され、端子94、96同士が導電路98により接続されると共に、前記導電路97、98が夫々発振回路5に接続される。こうして、前記一方の励振電極41と電気的に接続するように可変容量形成用の可動電極61が設けられると共に、水晶振動子200と可動電極61と固定電極62との間の可変容量Cvとが互いに並列に発振回路5に接続されることになる。
このように、水晶振動子200と前記可変容量Cvとを並列に接続した構成においても、水晶片2に外力が加わって、当該水晶片2が撓んだ状態では両電極61、62間の距離が変わり、容量がCv1から変化するため、発振回路5から出力される発振周波数が変化する。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。従って、第1の実施の形態と同様に、例えば発振周波数に基づいて加速度の検出が行われ、発振回路5の負荷容量の校正が行われる。
以上において、上述の例では、外力検出装置の電源部50を投入したときに、発振回路5の負荷容量の校正が自動的に行われるように構成したが、発振回路5の負荷容量の校正を行うタイミングは任意に設定できる。例えば制御部100に表示部を備えるように構成し、発振回路5の負荷容量の校正を行うステップが実行される校正モードと、加速度を求めるステップが実行される検出モードとを選択できるように構成する。この場合には、校正モードを選択すると、振動モータ8の駆動が開始される。そして、振動モータ8により水晶片2に外力である振動を与えた状態で、可変容量ダイオードVDの容量を掃引して、検出感度が良好となる範囲になるように前記発振回路5の負荷容量を校正し、振動モータ8の駆動を停止するように構成される。このような構成では、オペレータが所望のタイミングで、発振回路5の負荷容量の校正を行うことができる。また、外力検出装置の電源部50が投入してから、所定時間経過毎に自動的に発振回路5の負荷容量の校正用のステップを実行するように構成してもよい。
また、外力検出装置の電源部50とは別個に振動モータ8の電源部を設け、当該振動モータ8の駆動を制御部100を介して行うのではなく、例えばオペレータが行うようにしてもよい。この場合には、例えばオペレータが振動モータ8の電源を入れて、振動モータ8が駆動したときに、既述の校正モードが実施されるように構成される。この場合、負荷容量の校正が終了したときに制御部100が振動モータ8の駆動を停止してもよいし、負荷容量の校正が終了した旨を表示部に表示し、この表示に基づいてオペレータが振動モータ8の駆動を停止させるようにしてもよい。
さらに、本発明では必ずしも負荷容量校正部53を設ける必要はなく、オペレータがマニュアルで発振回路5の負荷容量の校正を行うようにしてもよい。この場合には、オペレータが振動モータ8を駆動させると共に、オペレータ自らが可変容量ダイオードVDに印加する電圧を掃引して、発振回路5の負荷容量を掃引する。そして、例えば表示部に前記周波数―負荷容量データを表示させ、当該データに基づいて、オペレータが、検出感度が良好となる前記負荷容量の値を識別して、前記負荷容量を前記値に設定する校正を行い、振動モータ8の駆動を停止する。
本発明において、可変リアクタンス素子として、既述の可変容量素子の他に、可変インダクタンス素子を用いるようにしてもよい。この可変インダクタンス素子としては、例えば半導体MEMSコイルを用いることができる。例えばコイルを半導体中に複数個作り、これを半導体内に実現したスイッチで切り換えるように構成する。この場合、リアクタンス調整部は前記半導体内の切り換えスイッチにより構成される。また上述の実施の形態では、発振回路の負荷容量の校正時には、前記リアクタンスに応じた値と周波数情報との関係に対応するデータとして、発振周波数の推移データを用いたが、発振周波数の推移データの代わりに位相の推移データを用いるようにしてもよい。さらに、前記リアクタンスに応じた値として、可変容量ダイオードVDの容量値や、既述の発振回路の負荷容量、可変容量ダイオードVDに印加される電圧値等を用いるようにしてもよい。
また、発振回路5の負荷容量の校正時に、水晶片2に強制的に与えられる外力の大きさは、外力の大きさの検出範囲内の大きさに設定することが好ましい。このように設定すると、前記検出範囲内にある外力の検出に適した感度を取ることができるように、前記負荷容量の値を設定できるからである。但し、前記検出範囲の近傍であれば、前記検出範囲を超える外力の大きさを水晶片2に強制的に与えて前記負荷容量の校正を行うようにしてもよい。水晶片2に強制的に与えられる外力が前記検出範囲より大きい場合や小さい場合であっても、可変リアクタンス素子のリアクタンスに応じた値と周波数情報との関係に対応するデータが取得できるからである。
さらに、発振回路5の負荷容量の校正時に、可変容量ダイオードVDに印加する電圧の掃引範囲は、当該掃引範囲で電圧を可変容量ダイオードVDに印加したときに、周波数変化の山形部分が位置するように設定されることが好ましい。電圧の掃引範囲に周波数変化の山形部分が位置すれば、検出感度を取れる電圧の下限値と上限値とを確実に識別できるからである。但し、前記電圧の掃引範囲は、周波数変化の山形部分が当該掃引範囲を超えて存在するように設定してもよい。前記電圧の掃引範囲に周波数変化の山形部分の一部が存在すれば、検出感度を取れる電圧の範囲を把握できるからである。
さらにまた、上述のように、前記圧電片の両面側に夫々一方の励振電極及び他方の励振電極を設けて構成した圧電振動部は、外力により撓むように縁部が基部に支持された水晶片を兼用するものであってもよい。また、前記圧電振動部と水晶片とを別個に設ける場合には、圧電振動部の一方の励振電極に電気的に接続するように前記水晶片に設可変容量形成用の可動電極を設け、この可動電極と対向するように固定電極を設ける。そして、一方の励振電極、他方の励振電極、可動電極及び固定電極を含む発振ループが形成されるように設けられると共に、リアクタンスが調整可能な可変リアクタンス素子がその負荷側に接続された発振回路を設けるように構成される。このような構成であっても、水晶片の撓みにより可動電極と固定電極との間の容量が変化し、この容量の変化を圧電片の周波数の変化として捉えて、外力が検出される。
さらに、水晶片は、長さ方向の一端側及び他端側の両方の縁部が夫々基部に支持され、例えば中央部が外力により撓む構成であってもよい。この場合には、前記中央部に可変容量形成用の可動電極を設け、この可動電極と対向するように固定電極を設けることにより、水晶片の撓みにより可動電極と固定電極との間の容量が変化し、この容量の変化を圧電片の周波数の変化として捉えて、外力が検出される。
以上において本発明は、加速度を測定することに限らず、磁力の測定、被測定物の傾斜の度合いの測定、流体の流量の測定、風速の測定などにも適用することができる。磁力を測定する場合には、水晶片2における可動電極61と励振電極41との間の部位に磁性体の膜を形成し、磁場に当該磁性体が位置すると水晶片2が撓むように構成する。また被測定物の傾斜の度合いの測定については、水晶片2あるいは2A、2Bを支持している基台を予め種々の角度に傾け、各傾斜角度ごとに周波数情報を得ておき、当該基台を被測定面に設置したときの周波数情報から傾斜角度を検出することができる。更にまた気体や液体などの流体中に水晶片2を晒し、水晶片の撓み量に応じて周波数情報を介して流速を検出することができる。この場合、水晶片2の厚さは流速の測定範囲などにより決定される。更にまた本発明は重力を測定する場合にも適用できる。
1 容器
11 台座
12 導電路
5、5A、5B 発振回路
2 水晶片
31、31A、31B、91 励振電極
41、41A、41B、92 励振電極
61 可動電極
62 固定電極
7 突起部
8 振動モータ
100 制御部
101 周波数測定部
102 データ処理部
11 台座
12 導電路
5、5A、5B 発振回路
2 水晶片
31、31A、31B、91 励振電極
41、41A、41B、92 励振電極
61 可動電極
62 固定電極
7 突起部
8 振動モータ
100 制御部
101 周波数測定部
102 データ処理部
Claims (9)
- 外力が加わったときの水晶片の撓みによる容量変化を圧電片の周波数の変化として捉えて、外力を検出するための装置において、
圧電片の両面側に夫々一方の励振電極及び他方の励振電極を設けて構成した圧電振動部と、
外力により撓むように縁部が基部に支持された水晶片と、
前記他方の励振電極に電気的に接続するように前記水晶片に設けられた可変容量形成用の可動電極と、
前記水晶片とは離間して、前記可動電極に対向するように設けられ、前記水晶片の撓みにより前記可動電極との間の容量が変化してこれにより可変容量を形成する固定電極と、
前記一方の励振電極、他方の励振電極、可動電極及び固定電極を含む発振ループが形成されるように設けられると共に、リアクタンスが調整可能な可変リアクタンス素子がその負荷側に接続された発振回路と、
前記発振回路の発振周波数に対応する周波数情報を測定する周波数測定部と、
前記水晶片に強制的に外力を与えるための外力印加部と、
前記可変リアクタンス素子のリアクタンスを調整するためのリアクタンス調整部と、を備えたことを特徴とする外力検出装置。 - 前記可変リアクタンス素子は、印加される電圧に応じて容量が変化する可変容量素子であり、前記リアクタンス調整部は、前記電圧を調整する電圧調整部であることを特徴とする請求項1記載の外力検出装置。
- 前記水晶片は、前記圧電片を兼用していることを特徴とする請求項1又は2記載の外力検出装置。
- 前記水晶片は、前記基部に片持ちで支持されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の外力検出装置。
- 前記外力印加部により前記水晶片に外力を与えた状態で、前記リアクタンス調整部により前記可変リアクタンス素子のリアクタンスを掃引し、前記リアクタンスに応じた値と前記周波数情報との関係に対応するデータを取得するステップと、前記データに基づいて前記リアクタンス調整部を介して可変リアクタンス素子のリアクタンスを校正するステップと、を実行する制御部と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の外力検出装置。
- 前記外力印加部は、振動発生部であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の外力検出装置。
- 前記外力印加部により前記水晶片に印加される外力の大きさは、外力の大きさの検出範囲内であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載の外力検出装置。
- 前記可変リアクタンス素子のリアクタンスの値は、前記リアクタンスを横軸にとり、周波数情報を縦軸にとったときに、周波数情報が立ち上がった後、立ち下がる山形部分の中に含まれるように校正されることを特徴とする請求項5記載の外力検出装置。
- 前記発振ループは、発振回路から一方の励振電極、他方の励振電極、可動電極及び固定電極を経て発振回路に戻るように形成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一つに記載の外力検出装置。
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