以下、本発明の一実施形態に係る空気調和装置について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る空気調和装置1の概略構成を表す。空気調和装置1は、複数の室外機2と、各室外機2に対応して設けられる複数の室内機3と備えている。各室外機2および各室内機3は、それぞれ構成が同じであるため、図1においては各一台を示している。一台の室外機2に対して室内機3の数は、任意に設定することができる。室外機2は、ガスエンジン10と、圧縮機20と、発電機30と、冷媒配管22と、室外熱交換器24と、膨張弁25と、四方切換弁26と、アキュムレータ27と、クラッチ28と、室外ファン40と、エンジン冷却ユニット60と、空調コントローラ100とを備える。室内機3は、室内熱交換器23と、室内ファン50とを備える。室内機3が設けられる部屋には、室内機リモコン70が設けられる。
ガスエンジン10は、ガス配管11からガス燃料の供給を受けて駆動する。このガスエンジン10は、出力軸12を備え、出力軸12からガスエンジン10の駆動力が外部に取り出される。出力軸12には、第1プーリ13および第2プーリ14が出力軸12と同軸的に連結している。ガスエンジン10は、スタータモータ80によって始動するように構成される。また、ガスエンジン10の作動は、エンジン制御回路15によって制御される。エンジン制御回路15は、空調コントローラ100からの出力された回転数指令を入力し、エンジン回転数が回転数指令で指定される回転数に追従するようにガスエンジン10の回転を制御する。
圧縮機20は、同軸配置された第1入力軸211と第2入力軸212を備える。第2入力軸212が回転した場合に圧縮機20が駆動される。第1入力軸211には第3プーリ213が同軸的に連結している。第1プーリ13と第3プーリ213との間にベルトが巻かれている。したがって、ガスエンジン10の出力軸12の回転駆動力は、第1プーリ13および第3プーリ213を介して第1入力軸211に伝達される。
第1入力軸211と第2入力軸212の途中にクラッチ28が取付けられる。クラッチ28は、例えば2枚のクラッチ板が対面配置されるように構成され、それぞれのクラッチ板が接触した接触状態と離間した離間状態とを採り得ることが可能に構成されていてもよい。クラッチ28は、ガスエンジン10と圧縮機20との接続状態を、ガスエンジン10の動力が圧縮機20に伝達される伝達状態と伝達されない遮断状態とに切り替えることができるように作動する。クラッチ28の作動は、空調コントローラ100により制御される。
圧縮機20は、吸入口21aおよび吐出口21bを有する。圧縮機20が駆動した場合、吸入口21aから冷媒配管22中の低圧ガス冷媒を吸入し、吸入した低圧ガス冷媒を内部で圧縮するとともに、圧縮した高圧ガス冷媒を吐出口21bから冷媒配管22に吐出する。以下、吸入口21aに接続される部分となる冷媒配管22を冷媒吸入管22aと呼び、吐出口21bに接続される部分となる冷媒配管22を冷媒吐出管22bと呼ぶ。
室内熱交換器23および室外熱交換器24は、それぞれ冷媒配管22内の冷媒を導入するとともに、導入した冷媒と周囲空気とを熱交換させる。図1からわかるように、室内熱交換器23と室外熱交換器24とをつなぐ冷媒配管22の途中に膨張弁25が介装される。膨張弁25はそこを通る冷媒配管22内の冷媒を膨張(低圧化)させる。
四方切換弁26にはそれぞれ独立した2つの通路が内部に形成される。この四方切換弁26は、暖房接続状態と冷房接続状態とを選択的に切り換えることができるように構成される。四方切換弁26が暖房接続状態であるときは、圧縮機20の吐出口21bと室内熱交換器23とが四方切換弁26に形成された一方の通路で連通され、圧縮機20の吸入口21aと室外熱交換器24とが四方切換弁26に形成された他方の通路で連通される。一方、四方切換弁26が冷房接続状態であるときは、圧縮機20の吐出口21bと室外熱交換器24とが四方切換弁26に形成された一方の通路で連通され、圧縮機20の吸入口21aと室内熱交換器23とが四方切換弁26に形成された他方の通路で連通される。暖房運転時に四方切換弁26は暖房接続状態とされ、冷房運転時に四方切換弁26は冷房接続状態とされる。
次に、この空気調和装置1の空調運転(暖房運転、冷房運転)について簡単に説明する。まず、暖房運転について説明する。圧縮機20がガスエンジン10により駆動されると、吸入口21aから低圧ガス冷媒が圧縮機20に吸入されるとともに吸入された低圧ガス冷媒が圧縮される。そして圧縮された高圧ガス冷媒が吐出口21bから吐出される。吐出口21bから吐出された高圧ガス冷媒は四方切換弁26を経由して室内熱交換器23に導入される。室内熱交換器23に導入された高圧ガス冷媒は室内熱交換器23内を流通する間に室内空気に熱を吐き出して凝縮する。このとき高圧ガス冷媒から吐き出された熱によって室内空気が暖められて、室内暖房される。
室内空気に熱を吐き出して凝縮した冷媒は一部液化して室内熱交換器23から排出される。そして、膨張弁25で膨張することにより蒸発しやすいように低圧化された後に室外熱交換器24に導入される。室外熱交換器24に導入された冷媒は室外熱交換器24内を流通する間に外気の熱を奪って蒸発する。
外気の熱を奪って蒸発した冷媒は一部気化して室外熱交換器24から排出され、四方切換弁26を経由してアキュムレータ27に供給される。アキュムレータ27では冷媒が液冷媒と低圧のガス冷媒とに分離される。そして、低圧ガス冷媒のみが圧縮機20の吸入口21aから圧縮機20に帰還する。
次に、冷房運転について説明する。圧縮機20がガスエンジン10により駆動されると、圧縮機20の吐出口21bから高圧ガス冷媒が吐出される。吐出口21bから吐出された高圧ガス冷媒は四方切換弁26を経由して室外熱交換器24に導入される。室外熱交換器24に導入された高圧ガス冷媒は室外熱交換器24内を流通する間に外気に熱を吐き出して凝縮する。
外気に熱を吐き出して凝縮した冷媒は一部液化して室外熱交換器24から排出される。そして、膨張弁25で膨張することにより蒸発しやすいように低圧化された後に室内熱交換器23に導入される。室内熱交換器23に導入された冷媒は室内熱交換器23内を流通する間に室内空気の熱を奪って蒸発する。このとき冷媒が室内空気の熱を奪うことによって室内空気が冷やされて、室内冷房される。
室内空気の熱を奪って蒸発した冷媒は一部気化して室内熱交換器23から排出され、四方切換弁26を経由してアキュムレータ27に供給される。そして、低圧ガス冷媒のみが圧縮機20の吸入口21aから圧縮機20に帰還する。
室内ファン50は、室内熱交換器23に送風することによって室内熱交換器23内を流れる冷媒と室内空気との間の熱交換を促進させる。室外ファン40は室外熱交換器24に送風することによって室外熱交換器24内を流れる冷媒と外気との間の熱交換を促進させる。なお、室外ファン40は後述するラジエータ61にも送風する。
発電機30は入力軸31を有する。入力軸31には第4プーリ32が同軸的に連結している。第2プーリ14と第4プーリ32との間にベルトが巻き付けられる。したがって、ガスエンジン10の出力軸12の回転は、第2プーリ14および第4プーリ32を介して発電機30の入力軸31に伝達される。入力軸31が回転駆動することにより、発電機30で発電される。
エンジン冷却ユニット60は、ラジエータ61、冷却水ポンプ62および冷却水配管63を備える。冷却水ポンプ62は冷却水配管63の途中に介装される。冷却水ポンプ62が駆動することによって冷却水配管63内を冷却水が流れる。冷却水配管63は、内部の冷却水がガスエンジン10を冷却することができるようにガスエンジン10に接続される。また、冷却水配管63は、ラジエータ61内を流れることができるようにラジエータ61にも接続される。このラジエータ61は、図1からわかるように室外ファン40に対面して配置される。したがって、室外ファン40はラジエータ61にも送風する。室外ファン40が駆動してラジエータ61に送風されることで、ラジエータ61内を流れる冷却水が冷却される。
室内機リモコン70は、空気調和装置1の運転の開始および停止の指示や、空調条件等の設定を行うことができるように構成される。そして、設定された条件が空調コントローラ100に受信できるように、室内機リモコン70が空調コントローラ100と通信可能に構成される。空調コントローラ100は、室内機リモコン70で設定された条件や各種センサからの情報に基づいて室外機2の作動を制御する。また、室内機リモコン70は、室内ファン50の作動を制御する。
空気調和装置1の運転を開始させる場合、ユーザが室内機リモコン70の起動スイッチを押圧操作(オン操作)して、空調起動信号を空調コントローラ100に送信する。これにより、空調コントローラ100はスタータモータ80を駆動する。空調コントローラ100は、スタータモータ80の駆動回路(図示略)を内蔵しており、この駆動回路からスタータモータ80に駆動電力を供給する。スタータモータ80の駆動によってガスエンジン10が始動する。ガスエンジン10が一旦始動すれば、その後はガス燃料の供給によりガスエンジン10の駆動が継続されるため、空調コントローラ100は、スタータモータ80の作動を停止させる。
また、空調コントローラ100は、ガスエンジン10が始動された後に、ガスエンジン10と圧縮機20との接続状態が伝達状態となるようにクラッチ28を作動させる。これによりガスエンジン10に動力伝達可能に連結された圧縮機20が駆動される。圧縮機20が駆動することによって、冷媒配管22中を冷媒が循環して空調運転が開始される。
また、ガスエンジン10が始動されると、ガスエンジン10に動力伝達可能に連結された発電機30も作動して発電を開始する。発電機30に関しては、クラッチを介していないため、ガスエンジン10が作動している場合には、常にガスエンジン10から駆動力の供給を受ける。空調コントローラ100は、空調負荷に応じてガスエンジン10の回転数を設定し、回転数指令をエンジン制御回路15に出力する。ガスエンジン10の回転数(エンジン回転数と呼ぶ)は、空調負荷が大きいほど大きな値に設定される。尚、エンジン回転数は、後述するように低負荷時においては、空調負荷の大きさとは関係ない発電を優先とした値に設定される場合もある。また、クラッチ28の作動についても、低負荷時においては、ガスエンジン10と圧縮機20との接続状態が遮断状態に設定される場合もある。
また、空気調和装置1においては、クラッチ28の接続状態を伝達状態と遮断状態とに切り替えることにより、運転モードを自立空調モードと自立発電モードとに切り替えることができる。自立空調モードにおいては、クラッチ28が伝達状態に維持され、空調動作を行いながら、室外機2内の電気機器および外部負荷に発電電力を供給する。従って、商用電源からの電力供給が停止した場合でも空気調和装置1を自立運転させることができる。また、自立発電モードにおいては、クラッチ28が遮断状態に維持され、発電機30のみがガスエンジン10により駆動される。従って、空調動作を停止させた状態で、大きな電力を外部負荷に供給することができる。
次に、空気調和装置1の電力供給系統について説明する。空気調和装置1の室外機2は、商用電源から供給される交流電力だけでなく、発電機30によって発電された電力によっても作動することができるように構成されている。従って、商用電源からの電力供給の有無にかかわらず、発電電力により室外機2の動作を継続することができる。また、発電電力を室内機3に設けられた電気機器(例えば、室内ファン50、以下、室内機負荷と呼ぶ)や、空気調和装置1以外の電気機器(以下、ユーザ負荷と呼ぶ)にも供給できるように、外部電力出力機能を有する。以下、室内機負荷とユーザ負荷とをあわせて外部負荷と呼ぶ。
空気調和装置1は、複数の室外機2の発電電力の出力系統(自立系統と呼ぶ)を相互に接続した系統である連結自立系統から外部負荷に電力供給するように構成されている。従って、外部負荷に電力供給する場合、全ての室外機2で同じような発電状態とする必要はなく、特定の室外機2において発電負担を大きくし、他の室外機2において発電負担を小さくすることができる。
ガスエンジン10のトルクには制約があるため、空調に利用するトルクと発電に利用するトルクとの関係で発電機30から出力する発電量が決定される。従って、大きな空調能力が必要となる場合には、発電量が少なくなる。また、空調負荷が少ない場合、つまり、要求される空調能力が低い場合においては、過剰な燃料消費をしないようにエンジン回転数が低く設定されるため発電量が少なくなる(発電機過熱保護により過電流制限が働くため発電量が制限される)。
こうした制約を考慮して、本実施形態の空気調和装置1においては、それぞれの室外機2における発電負担と空調負担とのバランスを調整できるようにして、ガスエンジン10の高効率駆動と、連結自立系統から出力する発電量の維持とを両立を図る。そのために、空気調和装置1は、各室外機2の圧縮機20を並列に接続している。
図2は、空気調和装置1の電力供給系統、および、圧縮機20の冷媒吸入・吐出通路を概略的に表した図である。ここでは、空気調和装置1が2台の室外機2を有するものとして説明するが、空気調和装置1は、3台以上の室外機2を有するものであってもよい。2台の室外機2の構成は同一であるため、その一方について説明するが、2台の何れかを特定する場合には、一方を1号機と呼び、他方を2号機と呼ぶ。
室外機2は、商用電力入力部110と、電力変換装置120と、交流系統切替スイッチ111と、充電器112と、バッテリ113と、商用系統コンバータ114と、自立電力出力部115を備えている。
商用電力入力部110は、商用電源5から供給された交流電力(商用電力と呼ぶ)を室外機2に取り込む受電盤であって、受電した商用電力を交流系統切替スイッチ111と商用系統コンバータ114とに供給する。
電力変換装置120は、発電機30の発電した電力を入力し、入力した発電電力を商用電源5の電圧波形と同じ波形の交流電力に変換する。電力変換装置120は、コンバータ130とインバータ140とを備えている。コンバータ130は、図3に示すように、発電機30の出力する三相交流電力を入力して直流に変換するコンバータ回路131と、コンバータ回路131の出力電圧が一定の目標電圧に維持されるようにコンバータ回路131を制御するコンバータコントローラ132とから構成される。インバータ140は、コンバータ回路131の出力する電力を入力して交流に変換するインバータ回路141と、インバータ回路141の出力電圧が商用電源と同様な波形となるようにインバータ回路141を制御するインバータコントローラ142とから構成される。
コンバータ回路131は、MOS−FET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体スイッチング素子S1〜S6をブリッジ接続した3相ブリッジ回路であって、コンバータコントローラ132から出力されるゲート信号にしたがってスイッチング素子S1〜S6のオン/オフ状態が切り替えられて三相交流電力を直流電力に変換する。コンバータ回路131は、2本の直流ライン133,134を介してインバータ回路141と接続されており、変換した直流電力をインバータ回路141に出力する。直流ライン133には、ダイオード135が設けられている。
2本の直流ライン133,134間には、平滑用コンデンサ(電解コンデンサ)150が設けられている。また、直流ライン133,134間の電圧を検出する直流電圧センサ136が設けられている。直流電圧センサ136は、その検出値である直流電圧Vdcをコンバータコントローラ132に出力する。コンバータコントローラ132は、直流電圧Vdcをフィードバックして、直流電圧Vdcが目標直流電圧Vdc*と一致するようにデューティ比を設定したゲート信号をコンバータ回路131の各スイッチング素子S1〜S6に出力する。これにより、コンバータ回路131の出力直流電圧が目標直流電圧Vdc*に維持される。
インバータ回路141は、MOS−FETやIGBTなどの半導体スイッチング素子S7〜S10をブリッジ接続したHブリッジ回路であって、インバータコントローラ142から出力されるゲート信号にしたがってスイッチング素子S7〜S10のオン/オフ状態が切り替えられて直流電力を単相交流電力に変換する。上アームとなるスイッチング素子S7と下アームとなるスイッチング素子S8との接続部に交流ライン143が接続され、他方の上アームとなるスイッチング素子S9と下アームとなるスイッチング素子S10との接続部に交流ライン144が接続される。
インバータ回路141の出力側には、フィルタ回路170が設けられている。フィルタ回路170は、交流ライン143、144に直列に設けられるリアクトル171,172と、交流ライン143、144間に設けられるコンデンサ173を備えおり、出力電流のリップルを低減する。フィルタ回路170の出力が電力変換装置120の出力となる。インバータコントローラ142は、交流出力電圧を検出する電圧センサ145の検出値を入力して、検出した交流出力電圧Vacが目標交流電圧Vac*(商用電源と同じ波形電圧)に追従するようにインバータ回路141のスイッチング素子S7〜S10のデューティ比を制御する。電力変換装置120によって変換された交流電力を自立電力と呼ぶ。電力変換装置120の出力は、自立電力出力部115に供給される。自立電力出力部115は、自立電力を室外機2の外部に出力する接続端子を有する配電盤である。
電力変換装置120においては、コンバータ130の出力する直流電力を、室外機2内に設けられたインバータ機器である室外ファンモータユニット41およびポンプモータユニット65にも供給する。
交流系統切替スイッチ111は、2入力1出力形式の切替スイッチで、商用電源5から供給される商用電力と、電力変換装置120から出力される自立電力とを入力し、何れか一方の電力を選択して充電器112に出力する。この交流系統切替スイッチ111は、商用電力を優先使用し商用電力の供給が停電したときに自動的に自立電力に切り替わるスイッチであってもよいし、あるいは、自立電力を優先使用し自立電力の供給が停電したときに自動的に商用電力に切り替わるスイッチであってもよい。また、オペレータが手動で商用電力と自立電力とを切り替えるものでもよい。
充電器112は、入力した交流電力を使ってバッテリ113を充電する。バッテリ113は、空調コントローラ100に直流電力を供給する。空調コントローラ100は、図示しないマイコン、入出力インターフェース、通信インターフェース、電源回路、駆動回路等を主要部として備えており、バッテリ113から電源回路に電力供給を受ける。空調コントローラ100は、このバッテリ113の出力電力を使って、スタータモータ80、電磁弁26(四方切換弁26等)、クラッチ28、エンジン制御回路14を作動させる。従って、室外機2は、バッテリ113の電力によってガスエンジン10を起動させて空調運転および発電を開始できるようになっている。
商用系統コンバータ114は、商用電力を直流に変換する整流回路で、例えば、ダイオードブリッジ回路にて構成される。商用系統コンバータ114は、商用電力が電圧変動の少ない安定した交流電力であるため、常に一定電圧となる直流電力を出力することができる。商用系統コンバータ114の出力電圧は、コンバータ130の出力電圧よりも低く設定されている。商用系統コンバータ114の出力する直流電力と、コンバータ130の出力する直流電力とは、共通の電力ラインを介して室外ファンモータユニット41およびポンプモータユニット65に供給される。この場合、商用系統コンバータ114の出力電圧がコンバータ130の出力電圧よりも低くなるように設定されているため、コンバータ130が直流電力を出力している場合には、自動的にコンバータ130から室外ファンモータユニット41およびポンプモータユニット65に電力供給される。一方、コンバータ130が直流電力を出力していない場合には、自動的に商用電源5から室外ファンモータユニット41およびポンプモータユニット65に電力供給される。
室外ファンモータユニット41は、図3に示すように、室外ファン40を駆動するファンモータ42と、ファンモータ42に交流電力を供給するモータドライバであるインバータ回路43とを備えている。インバータ回路43は、MOS−FETやIGBTなどの半導体スイッチング素子S11〜S16をブリッジ接続した3相ブリッジ回路である。ファンモータ42には、回転数センサ44が設けられている。回転数センサ44は、ファンモータ42の回転数Nf(室外ファン40の回転数に相当する)を表す検出信号を空調コントローラ100に出力する。空調コントローラ100は、回転数センサ44により検出されたモータ回転数Nfが、空調負荷に応じて設定された目標モータ回転数Nf*に追従するようにインバータ回路43の各スイッチング素子S11〜S16のデューティ比を制御する。尚、図3は、インバータ回路43から直流電力が室外ファンモータユニット41およびポンプモータユニット65に供給される場合の回路を表している。
ポンプモータユニット65は、図3に示すように、冷却水ポンプ62を駆動するポンプモータ66と、ポンプモータ66に交流電力を供給するモータドライバであるインバータ回路67とを備えている。インバータ回路67は、MOS−FETやIGBTなどの半導体スイッチング素子S21〜S26をブリッジ接続した3相ブリッジ回路である。ポンプモータ66には、回転数センサ68が設けられている。回転数センサ68は、ポンプモータ66の回転数Npを表す検出信号を空調コントローラ100に出力する。空調コントローラ100は、回転数センサ68により検出されたモータ回転数Npが、空調負荷に応じて設定された目標モータ回転数Np*に追従するようにインバータ回路67の各スイッチング素子S21〜S26のデューティ比を制御する。
空気調和装置1は、連結自立電力出力部200を備えている。この連結自立電力出力部200は、外部に電力供給をする配電盤であって、本実施形態においては、室外機2の筐体外に設けられるが、何れか一方の室外機2の筐体内に設けてもよい。連結自立電力出力部200は、自立系統の数だけ用意された入力端子200a,200bと、出力端子200cとを備えている。出力端子200cは、外部出力系統を複数に分ける場合には、その系統数だけ用意するとよい。例えば、室内機負荷に電力供給する系統と、ユーザ負荷に電力供給する系統とに分ける場合には、2つの出力端子を備えているとよい。
1号機の自立電力出力部115は、自立系統配線116aを介して連結自立電力出力部200の入力端子200aに接続され、2号機の自立電力出力部115は、自立系統配線116bを介して連結自立電力出力部200の入力端子200bに接続される。連結自立電力出力部200は、入力端子200a,200bと出力端子200cとを電気的に接続する。従って、連結自立電力出力部200は、各室外機2の電力変換装置120を電気的に並列に接続して、並列接続された電力変換装置120から外部に電力供給する構成となっている。
これにより、連結自立系統から供給される交流電力(連結自立電力と呼ぶ)を出力端子200cから出力することができる。出力端子200cには、外部配線(図示略)を介して外部負荷が接続される。これにより、連結自立電力を外部負荷に供給することができる。
尚、連結自立電力出力部200、商用電力入力部110、自立電力出力部115は、図示しない漏電ブレーカ、過電流ブレーカ等の開閉器を備えている。
各室外機2に設けられた空調コントローラ100は、通信ライン101を介して相互に通信可能に接続されており、そのうちの一台が親機として機能し、それ以外が子機として機能する。親機となる空調コントローラ100は、予め設定されており、子機となる空調コントローラ100に対して親子関係を表す情報を送信する。これにより、子機となる空調コントローラ100は、自身が子機であることを認識する。また、各空調コントローラ100は、室外機2の運転状況を表す運転情報を互いに送受信することにより、自身の制御対象となる室外機2の運転状況だけでなく、他の室外機2の運転状況も把握できるようになっている。つまり、全ての室外機2の運転状況情報を共有できるようになっている。以下、親機の空調コントローラ100が設けられる室外機2を1号機とし、子機の空調コントローラ100が設けられる室外機を2号機として説明する。
2号機の空調コントローラ100は、1号機の電力変換装置120の目標交流電圧Vac*を1号機の空調コントローラ100を介して取得して、2号機の電力変換装置120の目標交流電圧Vac*に設定することで、連結自立電力出力部200に入力される2系統の自立電力の電圧波形が位相を含めて同一となるようにしている。
各室外機2は、自立系統において連結されているだけでなく、図2に示すように、圧縮機20においても並列に連結されている。各圧縮機20に接続される冷媒吸入管22aは、連結吸入管22cによって互いに連結される。また、各圧縮機20に接続される冷媒吐出管22bは、連結吐出管22dによって互いに連結される。これにより、室外機2間において冷媒配管22を共用して、一方の室外機2から他方の室外機2に冷媒を循環させることができる。
このように、自立系統を連結し、圧縮機20を並列接続したことにより、それぞれの室外機2における発電負担と空調負担とのバランスを調整することができるようになり、以下のように空調負荷が少ない場合でも、大きな連結自立電力を出力することができるようになる。
図4は、1号機の空調コントローラ100の実行する空調・発電制御ルーチンを表す。以下、空調コントローラ100を1号機のものと2号機のものと区別する場合には、1号機の空調コントローラ100を親コントローラと呼び、2号機の空調コントローラ100を子コントローラと呼ぶ。本ルーチンは、所定の演算周期にて繰り返し実行される。
まず、親コントローラ100は、ステップS101において、全ての室外機2の空調負荷(空調に必要な能力)を表す情報を取得する。この例では、1号機の空調負荷P1と2号機の空調負荷P2とを表す情報を取得する。各空調コントローラ100は、室内機リモコン70で設定された設定条件や各種センサからの情報に基づいて空調負荷を計算する。例えば、各空調コントローラ100は、当該室外機2に接続された各室内機3の吸込温度、設定温度、容量等に基づいて全ての室内機3における空調負荷の合計を計算する。
続いて、親コントローラ100は、ステップS102において、各室外機2の空調負荷の合計値であるトータル負荷Psumを計算する。室外機2を2台とした例では、子コントローラ100から2号機の空調負荷P2を表す情報を取得し、1号機の空調負荷P1と2号機の空調負荷P2とを加算することによりトータル負荷Psum(=P1+P2)を算出する。続いて、親コントローラ100は、ステップS103において、トータル負荷Psumが低負荷判定閾値Pref未満であるか否かを判断する。低負荷判定閾値Prefは、例えば、1台の圧縮機20を作動させなくても、残りの圧縮機20の能力で空調負荷に対応する出力が可能か否かを判断する閾値である。圧縮機20の空調能力はガスエンジン10の回転数に対応するため、ガスエンジン10を適正回転数範囲内で作動させるという条件で低負荷判定閾値Prefが設定されている。
親コントローラ100は、トータル負荷Psumが低負荷判定閾値Pref未満となる場合(以下、低負荷時と呼ぶ)には、ステップS104において、自立発電対象機を選択する。この場合、各室外機2における最大能力の合計値(空気調和装置1の最大能力)からトータル負荷Psumを減算した値である余力に基づいて、自立発電対象機の台数を決定する。例えば、余力を室外機2における最大能力で除算した値(小数点以下切り捨て)で台数を決めるとよい。また、後述するように、親コントローラ100は、室外機2ごとに自立発電対象機とされた作動回数あるいは作動時間を履歴情報として記憶しており、この履歴情報から、自立発電機として作動した頻度(回数頻度あるいは時間頻度)の最も少ないものから優先的に自立発電対象機を選択する。室外機2を2台とした例では、1台が自立発電対象機に設定される。
続いて、親コントローラ100は、ステップS105において、各子コントローラに対して運転モードを特定する運転モード指令を送信する。つまり、自立発電対象機の子コントローラ100に対して自立発電モードの指令を送信し、自立発電対象機に設定されていない室外機2の子コントローラ100に対して自立空調モードの指令を送信する。以下、自立発電対象機に設定されていない室外機2を自立空調対象機と呼ぶ。室外機2を2台とした例では、例えば、親コントローラ100が子コントローラ100に対して自立発電モードあるいは自立空調モードを指令するとともに、自身の1号機の発電モードを自立空調モードあるいは自立発電モードに設定する。
続いて、親コントローラ100は、ステップS106において、トータル負荷Psumを自立発電モードに設定された室外機2の台数で除算して1台あたりの空調負荷担当分を算出し、各室外機2の子コントローラ100に空調負荷担当分を指令する。続いて、親コントローラ100は、ステップS107において、自立発電対象機に設定した室外機2を特定する室外機コード情報を不揮発性メモリに記憶する。あるいは、自立発電対象機に代えて自立空調対象機に設定した室外機2の室外機コード情報を記憶するようにしてもよい。
親コントローラは、ステップS107の処理を行うと、本ルーチンを一旦終了する。そして、所定の演算周期で本ルーチンを繰り返す。この場合、自立発電対象機(自立空調対象機)を頻繁に切り替える必要はないため、自立空調対象機の必要台数が変化しない状況であれば、空気調和装置1の作動が停止するまで、あるいは、空気調和装置1の作動が所定時間継続されるまでは、ステップS104,S105,S107の処理をスキップするとよい。
自立発電モードが設定された室外機2においては、クラッチ28の接続状態が遮断状態に維持される。従って、発電機30のみがガスエンジン10に連結され、圧縮機20はガスエンジン10から動力を受けない状態となる。この自立発電モードでは、エンジン回転数が予め設定された自立発電用回転数に設定される。自立発電用回転数は、例えば、ガスエンジン10の適正回転数範囲内の最大値に設定される。この場合、ガスエンジン10の出力トルクを空調に利用せずに発電のみに利用できること、および、空調負荷に関係なくエンジン回転数を高く設定できることから、発電機30から最大の発電電力を出力することができる。尚、ユーザが、自立発電用回転数をコントローラ100(あるいは室内機リモコン70)への入力操作によって任意に設定できるようにしてもよい。
また、自立空調モードが設定された室外機2においては、クラッチ28の接続状態が伝達状態に維持される。従って、発電機30と圧縮機20との両方がガスエンジン10に連結される。空調コントローラ100は、空調負荷とエンジン回転数との関係を設定したマップを記憶しており、空調負荷担当分に対応する設定回転数をエンジン制御回路15に指令する。こうして、ガスエンジン10が設定回転数で回転する。これにより、ガス冷媒が冷媒配管22を循環する。この場合、自立発電対象機の冷媒配管22に対しても、連結吸入管22c、連結吐出管22dを介してガス冷媒が流れる。これにより、空気調和装置1全体で適切な空調を行うことができる。
一方、ステップS103において、トータル負荷Psumが低負荷判定閾値Pref以上であると判断された場合(S103:No、以下、高負荷時と呼ぶ)には、親コントローラ100は、ステップS108において、各子コントローラ100に対して自立発電モードの指令を送信する。この場合、全ての室外機2が自立空調対象機となる。続いて、ステップS109において、トータル負荷Psumを室外機2の台数で除算して1台あたりの空調負荷担当分を算出し、各室外機2の子コントローラ100に空調負荷担当分を指令し、本ルーチンを一旦終了する。そして、所定の演算周期で本ルーチンを繰り返す。従って、高負荷時においては、全ての圧縮機20を作動させて空調を行うことができる。
以上説明した本実施形態の空気調和装置1によれば、クラッチ28の接続状態の設定により、複数の室外機2を、圧縮機20を作動させずに発電を優先して行う自立発電対象機と、圧縮機20を作動させながら発電を行う自立空調対象機とに分けることができる。従って、ガスエンジン10の回転に対するガス冷媒を循環させる空調能力と発電能力とのバランスを変更することができる。このため、低負荷時においては、自立発電対象機で空調動作によって制約されないように発電することができる。この結果、低負荷時においては、外部負荷に供給可能な連結自立電力を大きくすることができる。
例えば、図5に示すように、1号機を自立空調モード、2号機を自立発電モードに設定した場合には、2号機において最大の発電電力を出力させることができる。従って、連結自立電力も大きくなる。比較例として、仮に、低負荷時に1号機、2号機ともに自立空調モードにした場合には、空調負荷に対応するエンジン回転数が小さく設定されるため、それぞれの発電電力が小さくなってしまう。また、エンジン回転数は、適正回転数範囲があるため、空調負荷が小さくても最小回転数を下回らせることができない。このため、本来なら最小回転数よりも小さい回転数で圧縮機20を駆動しても空調負荷要求に応えられる場合であっても、エンジン回転数を最小回転数よりも下げることができず、ガスエンジン10の出力トルクが無意味にガス冷媒の循環に利用されてしまい、出力トルクを効率よく発電に利用することができない。
これに対して、本実施形態においては、トータル負荷から計算される空気調和装置1の余力に基づいて、圧縮機20を作動させずに発電を優先して行う自立発電対象機を設定するため、空調を行う自立空調対象機においても高いエンジン回転数を設定することができ、ガスエンジン10の出力トルクを空調と発電とに有効に利用することができる。
また、高負荷時においては、図6に示すように、1号機、2号機ともに自立空調モードに設定される。この場合は、各室外機の空調負荷が均等に配分されるため、何れの室外機2のガスエンジン10も最小回転数より高い回転数で駆動することができる。このため、ガスエンジン10の出力トルクを有効利用することができる。尚、図5,図6における横軸は時間を表している。
また、自立空調対象機とされる頻度(自立発電対象機とされる頻度)が各室外機2間において均等になるため、各室外機2における空調運転時間のバランスが良好となる。これにより、空気調和装置1のメンテナンスを行うサイクルを長くすることができ、維持管理費を低減することができる。
以上、本実施形態に係る空気調和装置1について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、クラッチ28の接続状態の切替によって、ガスエンジン10の回転に対する冷媒を循環させる能力と発電能力とのバランスを変更しているが、冷媒配管22に絞り弁を設け、空調コントローラ100により絞り弁の開度を変更することにより、ガスエンジン10の回転に対する冷媒を循環させる能力と発電能力とのバランスを変更してもよい。この場合、例えば、図2に破線で示すように、冷媒吐出管22bに絞り弁29を設けて、空調コントローラ100が絞り弁29を制御して、冷媒吐出管22bの流路を絞った絞りモードと、絞っていない通常モードとに切り替える。絞りモードにおいては、図7に示すように、エンジン回転数に対して空調能力(冷媒を循環させる能力)を低くすることができる。従って、低負荷時においても高いエンジン回転数にて圧縮機20を駆動させることができ、空調能力よりも発電能力を高めて、連結自立電力を大きくすることができる。
例えば、2台の室外機2を備えている例では、1号機と2号機ともに絞り弁29のモードを絞りモードとし、運転モードを自立空調モードに設定してもよい。また、特に、空調負荷が小さい場合には、1号機のみについて絞り弁29のモードを絞りモード、運転モードを自立空調モードに設定し、2号機を自立発電モードに設定するようにしてもよい。また、絞り弁29は、2段階に開度を切り替えるタイプものに限るものではなく、例えば、開度をリニアに変化させるタイプのものであってもよい。また、絞り弁29をクラッチ28と併用して使用することにより、冷媒を循環させる能力と発電能力とのバランス変更を細かく調整するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、親コントローラ100が子コントローラ100に運転モード(自立空調モード、自立発電モード)、および、空調負荷担当分を指令しているが、親コントローラ100が子コントローラ100に指令を出すのではなく、子コントローラ100が他の室外機2における運転状況を把握して、自身の室外機2における運転モードを切り替えるようにしてもよい。
また、本実施形態においては、ステップS104で自立発電対象機を選択しているが、自立空調対象機を選択するようにしても実質的に同一である。同様に、ステップS107で自立空調対象機を記憶するようにしても実質的に同一である。
また、本実施形態においては、要求される空調負荷に応えるように空調能力を確保したうえで発電能力を設定しているが、空調能力と発電能力との比率をユーザが設定できるようにしてもよい。例えば、震災時等のように必要となる発電電力が大きい場合には、空調コントローラ100(あるいは室内機リモコン70)への所定の入力操作によって自立空調モードとする室外機2の比率を下げて自立発電モードとする室外機2の比率を上げるように調整できるようにしてもよい。この場合、例えば、ステップS103で用いるトータル負荷Psumを小さくするように補正することで、ステップS104において、自立発電対象機を多く選択するようにすることができる。また、自立発電モードのみを選択できるようにしてもよい。逆に、発電電力の供給が少なくても良い場合には、コンバータ130の出力制限を大きくするようにしてもよい。また、コンバータ130の作動を停止させて、発電を停止させるようにしてもよい。この場合、発電を制限することにより発電機30の負荷トルクが軽くなるため、その分を空調出力増加にまわすことができる。
また、本実施形態においては、ガスエンジン10にて圧縮機20および発電機30を駆動するが、エンジンの形式はガス燃料の供給を受けるものに限るものではなく、ガソリン等の液体燃料の供給を受けるものであってもよい。
また、本実施形態においては、全ての室外機2で運転モードを自立空調モードと自立発電モードとに切り替えることができるように構成されているが、運転モードの切替機能については、全ての室外機2に設ける必要はなく、少なくとも1つの室外機2に備えられていればよい。
また、本実施形態においては、通信ライン101により空調コントローラ100を相互に接続しているが、空調コントローラ100の相互接続は、無線通信により行うようにしてもよい。