以下、図1〜図9を参照して、本願発明のエンジン装置及び当該エンジン装置を備える作業機械の実施形態(第1の実施形態)を図面に基づいて説明する。なお、以下では、本実施形態における作業機械として、ローダ装置を作業部として備えるホイルローダを一例に挙げ、その構成の詳細を説明する。
図1〜図4に示すホイルローダ211は、左右一対の前輪213及び後輪214を有する走行機体216を備えている。走行機体216には、操縦部217とエンジン1とが搭載されている。走行機体216の前側部には、作業部であるローダ装置212を装着し、ローダ作業を行うことが可能に構成されている。操縦部217には、オペレータが着座する操縦座席219と、操縦ハンドル218と、エンジン1等を出力操作する操作手段や、ローダ装置212用の操作手段としてのレバー又はスイッチ等が配置されている。
ホイルローダ211の前部であって前輪213の上方には、前述したように、作業部であるローダ装置212を備えている。ローダ装置212は、走行機体216の左右両側に配置されたローダポスト222と、各ローダポスト222の上端に上下揺動可能に連結された左右一対のリフトアーム223と、左右リフトアーム223の先端部に上下揺動可能に連結されたバケット224とを有している。
各ローダポスト222とこれに対応したリフトアーム223との間には、リフトアーム223を上下揺動させるためのリフトシリンダ226がそれぞれ設けられている。左右リフトアーム223とバケット224との間には、バケット224を上下揺動させるためのバケットシリンダ228が設けられている。この場合、操縦座席219のオペレータがローダレバー(図示省略)を操作することによって、リフトシリンダ226やバケットシリンダ228が伸縮作動し、リフトアーム223やバケット224を上下揺動させ、ローダ作業を実行するように構成している。
このホイルローダ211において、エンジン1は、操縦座席219の下側で、フライホイールハウジング10が走行機体216の前部側に位置するように配置される。すなわち、エンジン1は、エンジン出力軸の向きがローダ装置212とカウンタウェイト215とが並ぶ前後方向に沿うように、エンジン1が配置されている。そして、このエンジン1の後方において、冷却ファン9の正面後側にラジエータ24が配置されるとともに、冷却ファン9及びラジエータ24の上方に排気ガス浄化装置2が配置される。
排気ガス浄化装置2は、ディーゼルパティキュレート(DPF)としての第1浄化装置2aと、尿素選択触媒還元(SCR)システムとして第2浄化装置2bとを直列に連結させて構成される。そして、第1浄化装置2a及び第2浄化装置2bはそれぞれ、その内部を流れる排気ガスの移動方向が左右方向に平行となるように設置される。このとき、第1及び第2浄化装置2a,2bがそれぞれ平行に配置されるとともに、この第1浄化装置2aの出口側と第2浄化装置2bの入口側とが、尿素混合管172を介して接続される。
また、エンジン1上方において、第1浄化装置2aがエンジン1側(前側)に配置されるとともに、第2浄化装置2bがラジエータ24側(後側)に配置される。そして、第1及び第2浄化装置2a,2bがそれぞれ、その排気ガスの移動方向が同方向になるように設置される一方、尿素混合管172が第1及び第2浄化装置2a,2bと逆方向に排気ガスが流れるように設置される。すなわち、排気ガス浄化装置2は、尿素混合管172を介して第1及び第2浄化装置2a,2bを連結した構成とすることで、略S字形状となる。
したがって、エンジン1から排出される排気ガスは、まず、第1浄化装置2aを右側から左側へ流れて、粒子状物質(PM)が除去される。第1浄化装置2aから排気された排気ガスは、尿素混合管172を左側から右側へ流れて、管内に噴射された尿素水より生成されるアンモニアと混合され、第2浄化装置2bに流入する。そして、第2浄化装置2bでは、アンモニアと混合された排気ガスが右側から左側へ流れて、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)が低減される。この排気ガス浄化装置2で浄化された排気ガスは、第2浄化装置2bの排気側に接続されたテールパイプ135より外気に放出される。
また、エンジン1は、その左側方で、新気(外部空気)を吸引するエアクリーナ32と連結する。エアクリーナ32は、エンジン1の左側後方であって、排気ガスに基づく排熱により加温される排気ガス浄化装置2から離間された位置に配置される。すなわち、エアクリーナ32は、エンジン1後方のラジエータ24の左側方であって、排気ガス浄化装置2からの熱に影響されない位置に配置される。したがって、樹脂成型品などで構成されて熱的に弱いエアクリーナ32が、排気ガス浄化装置2を通過する排ガスに基づく排熱による、変形などといった影響が及ぶことを抑制できる。
このように、操縦座席219下側及び後方に配置される、エンジン1、排気ガス浄化装置2、ラジエータ24及びエアクリーナ32は、カウンタウェイト215の上側に配置されるボンネット220によって覆われる。このボンネット220は、操縦部217の後方部分が開閉可能に構成されるとともに、操縦部217内の部分が、操縦部217の床面から突起したシートフレーム221として構成される。
ボンネット220のシートフレーム221の上側には、操縦座席219が着脱可能に設置される。これにより、シートフレーム221から操縦座席219を離脱したときに、シートフレーム221上面が開放されるため、シートフレーム221下側のエンジン1等について、メンテナンスが可能となる。なお、操縦座席219を着脱可能とする構成に限定されるものではなく、操縦座席219がシートフレーム221の上方で前側に傾動することで、シートフレーム221上面を開放させるものとしてもよい。このとき、図3に示す例のように、操縦座席219が固設されたシートフレーム221自体が、前側に傾動することで、エンジン1等の上側が開放されるものとしてもよい。
一方、シートフレーム221後方において、ボンネット220は、シートフレーム221の上面よりも上方に突出させたボンネットカバー(突出カバー部)229を備える。このボンネットカバー229は、カウンタウェイト上側に配置されることで、エンジン1後方に配置される排気ガス浄化装置2を覆うとともに、開閉可能に構成される。すなわち、図4に示す例のように、ボンネットカバー229の前方上側に配置されたヒンジ部230が、ボンネットカバー229を回動可能に軸支する構成とし、ボンネットカバー229を前側上方に回動させて、エンジン1後方上側が開放されるものとしてもよい。このとき、ボンネットカバー229が油圧ダンパー等を介して走行機体216と連結されることで、ボンネットカバー229を開いたときに支持される構成としてもよい。
ボンネット220が、その後方に開閉可能なボンネットカバー229を備えることで、ボンネットカバー229を閉じたとき、ボンネットカバー229が、エンジン1後方上側に配置される排気ガス浄化装置2を覆う。したがって、風雨等に起因しての排気ガス浄化装置2の温度低下を抑制でき、排気ガス浄化装置2を適正温度に維持し易い。また、作業者が排気ガス浄化装置2に触れるおそれを少なくできる。一方、ボンネットカバー229を開いたとき、エンジン1後方上側が開放されるため、エンジン1後方上側に配置される排気ガス浄化装置2へのアクセスが容易になるため、メンテナンス作業が行いやすい。
エンジン1は、フライホイールハウジング10の前面側にミッションケース132が連結されている。エンジン1からフライホイール11を経由した動力は、ミッションケース132にて適宜変速され、前輪213及び後輪214やリフトシリンダ226及びバケットシリンダ228等の油圧駆動源133に伝達されることになる。
次に、図5〜図9を参照して、本願発明のエンジン装置について、上記ホイルローダ211等の作業機械に原動機として搭載されるディーゼルエンジン1を例に挙げて、以下に説明する。上記したように、ディーゼルエンジン1は、第1及び第2浄化装置2a,2bで構成される排気ガス浄化装置2を備える。この排気ガス浄化装置2のうち、第1浄化装置2aは、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の粒子状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を低減する作用を備える。一方、第2浄化装置2bは、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の窒素酸化物質(NOx)を低減する作用を備える。
ディーゼルエンジン1は、エンジン出力用クランク軸3とピストン(図示省略)を内蔵するシリンダブロック4を備える。シリンダブロック4にシリンダヘッド5を上載している。シリンダヘッド5の左側面に吸気マニホールド6を配置する。シリンダヘッド5の右側面に排気マニホールド7を配置する。シリンダヘッド5の上側面にヘッドカバー8を配置する。シリンダブロック4の後側面に冷却ファン9を設ける。シリンダブロック4の前側面にフライホイールハウジング10を設ける。フライホイールハウジング10内にフライホイール11を配置する。
クランク軸3(エンジン出力軸)にフライホイール11を軸支する。作業車両(バックホウやフォークリフト等)の作動部に、クランク軸3を介してディーゼルエンジン1の動力を取出すように構成している。また、シリンダブロック4の下面にはオイルパン12を配置する。オイルパン12内の潤滑油は、シリンダブロック4の側面に配置されたオイルフィルタ13を介して、ディーゼルエンジン1の各潤滑部に供給される。
シリンダブロック4の側面のうちオイルフィルタ13の上方(吸気マニホールド6の下方)には、燃料を供給するための燃料供給ポンプ14を取付ける。電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ(図示省略)を有する4気筒分の各インジェクタ15をディーゼルエンジン1に設ける。各インジェクタ15に、燃料供給ポンプ14及び円筒状のコモンレール16及び燃料フィルタ(図示省略)を介して、作業車両に搭載される燃料タンク(図示省略)を接続する。
前記燃料タンクの燃料が燃料供給ポンプ14からコモンレール16に圧送され、高圧の燃料がコモンレール16に蓄えられる。各インジェクタ15の燃料噴射バルブをそれぞれ開閉制御することによって、コモンレール16内の高圧の燃料が各インジェクタ15からディーゼルエンジン1の各気筒に噴射される。
シリンダブロック4の前面左寄りの部位には、冷却水循環用の冷却水ポンプ21が冷却ファン9のファン軸と同軸状に配置されている。クランク軸3の回転にて、冷却ファン駆動用Vベルト22を介して、冷却ファン9と共に冷却水ポンプ21が駆動される。作業車両に搭載されるラジエータ24内の冷却水が、冷却水ポンプ21の駆動にて、冷却水ポンプ21に供給される。そして、シリンダブロック4及びシリンダヘッド5に冷却水が供給され、ディーゼルエンジン1を冷却する。なお、冷却水ポンプ21の左側方にはオルタネータ23が設けられている。
シリンダブロック4の左右側面に機関脚取付け部19がそれぞれ設けられている。各機関脚取付け部19には、防振ゴム35を有するとともに機体フレーム94の左右側壁に連結された機関脚体34がそれぞれボルト締結される。ディーゼルエンジン1は、各機関脚体34を介して、上記ホイルローダ211等の作業車両における走行機体216の機体フレーム94に防振支持される。これにより、ディーゼルエンジン1の振動が、機体フレーム94へ伝達することを抑止できる。
さらに、EGR装置26(排気ガス再循環装置)を説明する。上向きに突出する吸気マニホールド6の入口部に、EGR装置26(排気ガス再循環装置)を介してエアクリーナ32を連結する。新気(外部空気)が、エアクリーナ32から、EGR装置26を介して吸気マニホールド6に送られる。
EGR装置26は、ディーゼルエンジンの排気ガスの一部(排気マニホールドからのEGRガス)と新気(エアクリーナ32からの外部空気)とを混合させて吸気マニホールド6に供給するEGR本体ケース27(コレクタ)と、エアクリーナ32に吸気管33を介してEGR本体ケース27を連通させる吸気スロットル部材28と、排気マニホールド7にEGRクーラ29を介して接続される還流管路としての再循環排気ガス管30と、再循環排気ガス管30にEGR本体ケース27を連通させるEGRバルブ部材31とを備えている。
すなわち、吸気マニホールド6と新気導入用の吸気スロットル部材28とがEGR本体ケース27を介して接続されている。そして、EGR本体ケース27には、排気マニホールド7から延びる再循環排気ガス管30の出口側が連通している。EGR本体ケース27は長筒状に形成されている。吸気スロットル部材28は、EGR本体ケース27の長手方向の一端部にボルト締結されている。EGR本体ケース27の下向きの開口端部が、吸気マニホールド6の入口部に着脱可能にボルト締結されている。
また、再循環排気ガス管30の出口側が、EGRバルブ部材31を介してEGR本体ケース27に連結されている。再循環排気ガス管30の入口側は、EGRクーラ29を介して排気マニホールド7の下面側に連結されている。EGRバルブ部材31内のEGRバルブ(図示省略)の開度を調節することにより、EGR本体ケース27へのEGRガスの供給量を調節する。
上記の構成により、エアクリーナ32から吸気スロットル部材28を介してEGR本体ケース27内に新気(外部空気)を供給する一方、排気マニホールド7からEGRバルブ部材31を介してEGR本体ケース27内にEGRガス(排気マニホールドから排出される排気ガスの一部)を供給する。エアクリーナ32からの新気と、排気マニホールド7からのEGRガスとが、EGR本体ケース27内で混合された後、EGR本体ケース27内の混合ガスが吸気マニホールド6に供給される。すなわち、ディーゼルエンジン1から排気マニホールド7に排出された排気ガスの一部が、吸気マニホールド6からディーゼルエンジン1に還流されることによって、高負荷運転時の最高燃焼温度が低下し、ディーゼルエンジン1からのNOx(窒素酸化物)の排出量が低減される。
ラジエータ24は、ディーゼルエンジン1の後方において、冷却ファン9と対向する位置に、ファンシュラウド(図示省略)を介して配置される。このラジエータ24は、その上側が防振ゴム59を有する上部支持ブラケット57を介して機体フレーム94の左右側壁部と連結されて、防振支持される。すなわち、上部支持ブラケット57が、機体フレーム94の左右側壁部に固着された支持部材95,96とボルト締結され、機体フレーム94の左右側壁部の上側を架橋するように固定される。ラジエータ24は、その上面が上部支持ブラケット57に接続されることで、防振ゴム59を介して防振支持される。また、ラジエータ24の前面には、冷却ファン9と対向するよう、オイルクーラ25が配置される。
このように、ラジエータ24及びオイルクーラ25は、ディーゼルエンジン1の後方の冷却ファン9に対向する位置において、その放熱量が小さい順に、冷却風の吐き出し方向に向けて一列に配置される。したがって、冷却ファン9が回転駆動することで、ディーゼルエンジン1後方から外気を吸引することにより、熱交換器であるラジエータ24及びオイルクーラ25はそれぞれ、外気(冷却風)が吹き付けられ、空冷されることになる。
エアクリーナ32は、その一端側が吸気スロットル部材28の吸気口と連結する吸気管33の他端側と連結する。この吸気管33がディーゼルエンジン1の後方に向かって延設されることで、エアクリーナ32は、ディーゼルエンジン1の左側後方に配置される。すなわち、エアクリーナ32は、ディーゼルエンジン1の後方に配置されるラジエータ24の左側に配置されることとなる。
次いで、図5〜図9を参照して、排気ガス浄化装置2について説明する。排気ガス浄化装置2は、上述したように、DPFである第1浄化装置2aの排気側と、SCRである第2浄化装置2bの吸気側とを、尿素混合管172を介して連結させて構成される。まず、この排気ガス浄化装置2における第1浄化装置2aについて、以下に説明する。
第1浄化装置2aは、DPF入口管(排気ガス入口管)36及びDPF出口管(排気ガス出口管)37を有するDPFケース(排気ガス浄化ケース)38を備える。このDPFケース38は、水平方向に長く延びた略円筒形状に構成される。そして、DPFケース38の内部に、二酸化窒素(NO2)を生成する白金等のディーゼル酸化触媒39(ガス浄化体)と、捕集した粒子状物質(PM)を比較的低温で連続的に酸化除去するハニカム構造のスートフィルタ40(ガス浄化体)とを、排気ガスの移動方向に直列に並べている。
上記の構成により、ディーゼル酸化触媒39の酸化作用によって生成された二酸化窒素(NO2)が、スートフィルタ40内に一側端面(取入れ側端面)から供給される。ディーゼルエンジン1の排気ガス中に含まれた粒子状物質(PM)は、スートフィルタ40に捕集されて、二酸化窒素(NO2)によって連続的に酸化除去される。ディーゼルエンジン1の排気ガス中の粒状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の含有量が低減される。
また、DPFケース38には、サーミスタ形の上流側ガス温度センサと下流側ガス温度センサが付設される。これにより、ディーゼル酸化触媒39のガス流入側端面の排気ガス温度を、上流側ガス温度センサにて検出するとともに、ディーゼル酸化触媒39のガス流出側端面の排気ガス温度を、下流側ガス温度センサにて検出する。このDPFケース38には、排気ガス圧力センサとしての差圧センサも付設される。これにより、スートフィルタ40の上流側と下流側間の排気ガスの圧力差を、差圧センサが検出する。すなわち、スートフィルタ40の上流側と下流側間の排気圧力差に基づき、スートフィルタ40における粒子状物質の堆積量が演算され、スートフィルタ40内の詰り状態を把握できるように構成している。
上記の構成により、スートフィルタ40の流入側の排気ガス圧力と、スートフィルタ40の流出側の排気ガス圧力の差(排気ガスの差圧)が、DPFケース38に付設された差圧センサを介して検出される。スートフィルタ40に捕集された排気ガス中の粒子状物質の残留量が排気ガスの差圧に比例するから、スートフィルタ40に残留する粒子状物質の量が所定以上に増加したときに、上記差圧センサの検出結果に基づき、スートフィルタ40の粒子状物質量を減少させる再生制御(例えば排気温度を上昇させる制御)が実行される。また、再生制御可能範囲以上に、粒子状物質の残留量がさらに増加したときには、DPFケース38を着脱分解して、スートフィルタ40を掃除し、粒子状物質を人為的に除去するメンテナンス作業が行われる。
次いで、排気ガス浄化装置2における第2浄化装置2bについて、以下に説明する。第2浄化装置2bは、SCR入口管(排気ガス入口管)52及びSCR出口管(排気ガス出口管)53を有するSCRケース(排気ガス浄化ケース)54を備える。このSCRケース54は、DPFケース38と同様、水平方向に長く延びた略円筒形状に構成される。そして、SCRケース54の内部に、窒素酸化物(NOx)を還元して窒素に変える、尿素選択触媒還元用のSCR触媒63と、窒素酸化物(NOx)の浄化反応に寄与しかったアンモニアを窒素に変える、酸化触媒64とを、排気ガスの移動方向に直列に並べている。なお、SCRケース54の一側部を消音器41にて形成し、消音器41には、テールパイプ135と連結されるSCR出口管53を設けている。
また、第1及び第2浄化装置2a,2bの間に接続される尿素混合管172は、DPFケース38の排気ガス移動方向下流側(以下、単に「下流側」とする。)の側端面に設けられたDPF出口管37と、尿素水噴射管173を介して連結される。DPF出口管37は、DPFケース38の側面方向から上向きに屈曲したエルボ管形状を有することで、DPFケース38の上記側端面から上向きに排気ガスを誘導する。そして、尿素水噴射管173の排気ガス入口側が、DPF出口管37の上方に配置されるとともに、DPF出口管37の排気ガス出口側に対して、蛇腹形状のフレキシブル管174を介して接続される。
また、金属製のフレキシブル管174を介してDPF出口管37と連結した尿素水噴射管173は、SCR入口管52に向かって屈曲したエルボ管形状を有する。これにより、尿素水噴射管173を流れる排気ガスは、第1浄化装置2aから排気されて上方に流れた後、SCR入口管52に向かって、第1浄化装置2aにおける排気ガス移動方向と平行かつ逆向きに流れる。更に、この尿素水噴射管173の排気ガス出口側を尿素混合管172の一端側に連結させると共に、尿素混合管172の他端側にSCR入口管52をフランジ体140にて連結する。
すなわち、フレキシブル管174と、尿素水噴射管173と、尿素混合管172を介して、DPF出口管37にSCR入口管52を接続させ、DPFケース38にSCRケース54を連通させ、DPFケース38からSCRケース54に排気ガスを移動させるように構成する。なお、フレキシブル管174は、蛇腹形状で、折曲げ可能及び伸縮可能に形成している。
更に、尿素水噴射管173には、尿素混合管172に尿素を供給するべく、尿素水を噴霧する尿素水噴射ノズル176が、ノズル支持部178により支持されている。この尿素水噴射ノズル176は、尿素水タンク(図示省略)に貯蔵された尿素水が尿素水噴射電動ポンプ(図示省略)により圧送されることで、尿素混合管172に向かって尿素水を噴射する。なお、尿素混合管172の内部に向けて尿素水噴射ノズル176から噴射された尿素水は、排気ガス温度にて加水分解され、アンモニアとして生成される。
上記の構成により、尿素水噴射ノズル176から尿素水が尿素水噴射管173内に噴射され、尿素水噴射管173または尿素混合管172の内部で、ディーゼルエンジン1からの排気ガスに、尿素水噴射ノズル176からの尿素水がアンモニアとして混合される。アンモニア(尿素水)が混合された排気ガスはSCRケース54(SCR触媒63、酸化触媒64)を通過して、排気ガス中の窒素酸化物質(NOx)が低減され、SCR出口管53から外部に放出される。
このとき、排気ガス中に尿素水を噴霧することにより、排気ガス中にアンモニアガスが生成され、そのアンモニアガスと排気ガスが混合されてSCR入口管52からSCRケース54内部に導入される。SCRケース54内部では、アンモニアガスと混合された排気ガス(混合ガス)がSCR触媒63を通過して、その還元反応により、窒素酸化物質(NOx)が窒素に変換される。更に、SCR触媒63を通過した混合ガスが酸化触媒64を通過して、窒素酸化物質(NOx)の浄化反応に寄与しなかったアンモニアガスを窒素に変化する。このようにして、混合ガスが触媒63,64を通過することで、排気ガスから窒素酸化物質(NOx)及びアンモニアガスが除去された後に、SCR出口管53と接続されたテールパイプ135より外部に放出される。
次に、図7〜図9を参照して、排気ガス浄化装置2の取付け構造を説明する。第1浄化装置2aにおけるDPFケース38は、冷却ファン9の上方に配置される第1支持フレーム100上に載置される。この第1支持フレーム100は、機体フレーム94の左右側壁部に固着された連結用ブラケット101,102と連結し、機体フレーム94の左右側壁部の上方を架橋するように固定される。これにより、連結用ブラケット101,102を介して機体フレーム94と連結した第1支持フレーム100が、ディーゼルエンジン1後方の冷却ファン9の上に配置される。
このとき、図7〜図9に示すように、機体フレーム94、連結用ブラケット101,102、及び第1支持フレーム100がそれぞれボルト締結されることにより、互いに連結するものであってもよい。また、DPFケース38を支持する支持部材が、第1支持フレーム100と連結用ブラケット101,102とが一体となる部材により構成されるものであってもよい。
一方、DPFケース38は、下流側の出口挟持フランジ45に連結脚体(左ブラケット)80がボルト締結により着脱可能に取り付けられるとともに、固定脚体(右ブラケット)81が溶接固着される。このとき、連結脚体80の取り付けボス部が、出口挟持フランジ45の円弧体に設けられた貫通穴付きの脚体締結部に、ボルト締結されて取り付けられる。また、固定脚体81が、DPF入口管36側で、DPFケース38の外周面に対して溶接で固着される。すなわち、固定脚体81が、DPFケース38の入口側(上流側)に設置され、連結脚体80が、DPFケース38の出口側(下流側)に設置される。なお、連結脚体80は、出口挟持フランジ45に限らず、DPFケース38を組み立てる際に締結される中央挟持フランジなどの別の挟持フランジに締結されるものとしてもよい。
このDPFケース38の外周に設けられた連結脚体80及び固定脚体81それぞれが、機体フレーム94に固定されている支持フレーム100の上面に、ボルト締結される。これにより、第1浄化装置2aは、支持フレーム100を介して機体フレーム94の上方を架橋するように支持される。すなわち、第1浄化装置2aは、ディーゼルエンジン1から振動伝達が抑制されている機体フレーム94に支持される。したがって、ディーゼルエンジン1による第1浄化装置2aへの振動伝達を防ぐことができるため、第1浄化装置2aの耐久性向上や長寿命化を図れる。
第1浄化装置2aのDPF入口管36と中継管66とを連結する排気管72は、その一部に、蛇腹形状のフレキシブル管73を有する。このフレキシブル管73が排気管72に設けられることで、ディーゼルエンジン1との接続経路となる排気管72において、ディーゼルエンジン1の振動に基づく負荷をフレキシブル管73で吸収できる。したがって、排気管72の損傷を防止できるだけでなく、第1浄化装置2aをディーゼルエンジン1の振動から保護できる。
また、第2浄化装置2bにおけるSCRケース54は、ラジエータ24の上方に配置される第2支持フレーム105上に載置される。この第2支持フレーム105は、機体フレーム94の左右側壁部に固着された連結用ブラケット106,107と連結し、機体フレーム94の左右側壁部の上方を架橋するように固定される。これにより、連結用ブラケット106,107を介して機体フレーム94と連結した第2支持フレーム105が、ディーゼルエンジン1後方で冷却ファン9に対面するラジエータ24の上に配置される。
このとき、連結用ブラケット106,107及び第2支持フレーム105は、連結用ブラケット101,102及び第1支持フレーム100と同様、ボルト締結されることにより互いに固定されるとともに、機体フレーム94に支持されるものとしてもよい。また、SCRケース38を支持する支持部材が、第2支持フレーム105と連結用ブラケット106,107とが一体となる部材により構成されるものであってもよい。
一方、SCRケース54は、DPFケース38と同様、下流側の出口挟持フランジ74に連結脚体(左ブラケット)82がボルト締結により着脱可能に取り付けられるとともに、固定脚体(右ブラケット)83が溶接固着される。すなわち、固定脚体83が、SCRケース54の入口側(上流側)に設置され、連結脚体82が、SCRケース54の出口側(下流側)に設置される。そして、SCRケース54の外周に設けられた連結脚体82及び固定脚体8それぞれが、機体フレーム94に固定されている支持フレーム105の上面に、ボルト締結される。
これにより、第2浄化装置2bについても、支持フレーム105を介して機体フレーム94の上方を架橋するように支持される。すなわち、第2浄化装置2bも、第1浄化装置2aと同様、ディーゼルエンジン1から振動伝達が抑制されてる機体フレーム94に支持されるため、ディーゼルエンジン1による振動伝達を防止でき、第2浄化装置2bの耐久性向上や長寿命化を図れる。
なお、上記したように、第1浄化装置2aと第2浄化装置2bとの連結部分の途中にフレキシブル管174を配置する構成としたが、第1浄化装置2a及び第2浄化装置2bが共に、同一振動系の機体フレーム94に支持されることから、フレキシブル管174を省いた構成としてもよい。すなわち、第1浄化装置2aのDPF出口管37は、尿素水噴射管173と直接連結するとともに、この尿素水噴射管173と連結する尿素混合管172に第2浄化装置2bのSCR入口管52が連結する構成として構わない。
上記のような構造により排気ガス浄化装置2が支持されるとき、支持フレーム100が冷却ファン9の最上端部よりも高位置に配置されるとともに、支持フレーム105が、支持フレーム100よりも高位置に配置される。これにより、機体フレーム94及び支持フレーム100を介して、冷却ファン24の最上端部よりもDPFケース38を高位置に支持させるとともに、機体フレーム94及び支持フレーム105を介して、DPFケース38よりもSCRケース54をさらに高位置に支持させるように構成している。
次いで、図5に示す如く、排気マニホールド7にEGRガス取出し管61を一体的に形成する。また、排気マニホールド7に管継ぎ手部材62をボルト締結する。EGRクーラ29のEGRガス入口部をEGRガス取出し管61にて支持すると共に、再循環排気ガス管30を接続する管継ぎ手部材62にて、EGRクーラ29のEGRガス出口部を支持することにより、EGRクーラ29はシリンダブロック4(具体的には左側面)から離間して配置される。
一方、図5、図7、図9に示す如く、ディーゼルエンジン1の排気圧を高める排気絞り装置65を備える。排気マニホールド7の排気出口を上向きに開口させている。排気マニホールド7の排気出口は、ディーゼルエンジン1の排気圧を調節するための排気絞り装置65を介して、エルボ状の中継管66に着脱可能に連結されている。排気絞り装置65は、排気3を内蔵する絞り弁ケース68と、排気絞り弁を開動制御するモータ(アクチュエータ)からの動力伝達機構などを内蔵するアクチュエータケース69と、絞り弁ケース68にアクチュエータケース69を連結する水冷ケース70を有する。前記動力伝達機構により、前記モータは、その回転軸が、絞り弁ケース68内の前記排気絞り弁の回転軸とギア等で連動可能に構成される。
排気マニホールド7の排気出口に絞り弁ケース68を上載し、絞り弁ケース68に中継管66を上載し、4本のボルトにて排気マニホールド7の排気出口体に絞り弁ケース68を介して中継管66を締結する。排気マニホールド7の排気出口体に絞り弁ケース68の下面側が固着される。絞り弁ケース68の上面側に中継管66の下面側開口部が固着される。排気管72を介してDPF入口管36に中継管66の横向き開口部を連結する。したがって、上記した排気ガス浄化装置2に、中継管66及び排気絞り装置65を介して排気マニホールド7が接続される。排気マニホールド7の出口部から、DPF入口管36を介して排気ガス浄化装置2内に移動した排気ガスは、排気ガス浄化装置2にて浄化されたのち、SCR出口管53からテールパイプ135に移動して、最終的に機外に排出されることになる。
上記の構成により、前記差圧センサにて検出された圧力差に基づいて排気絞り装置65の前記モータを作動させることにより、スートフィルタ40の再生制御が実行される。すなわち、スート(すす)がスートフィルタ40に堆積したときは、排気絞り装置65の前記排気絞り弁を閉動する制御にて、ディーゼルエンジン1の排気圧を高くすることにより、ディーゼルエンジン1から排出される排気ガス温度を高温に上昇させ、スートフィルタ40に堆積したスート(すす)を燃焼する。その結果、スートが消失し、スートフィルタ40が再生する。
また、負荷が小さく排気ガスの温度が低くなり易い作業(スートが堆積し易い作業)を継続して行っても、排気絞り装置65を排気圧の強制上昇にて排気昇温機構として作用させて、スートフィルタ40を再生でき、排気ガス浄化装置2の排気ガス浄化能力を適正に維持できる。また、スートフィルタ40に堆積したスートを燃やすためのバーナー等も不要になる。なお、排気ガス浄化装置2の排気ガス浄化能力を維持させる排気昇温機構として、に送られる排気ガス温度を直接高めるためのヒータを備えるものとしてもよい。また、エンジン1始動時も、排気絞り装置65の制御にてディーゼルエンジン1の排気圧を高くすることにより、ディーゼルエンジン1からの排気ガスの温度を高温にして、ディーゼルエンジン1の暖機を促進できる。
上記したように、排気絞り装置65が、上向きに開口させた排気マニホールド7の排気出口に、絞り弁ケース68の排気ガス取入れ側を締結することで、排気管72が、絞り弁ケース68を介して排気マニホールド7に接続される。したがって、高剛性の前記排気マニホールド7に排気絞り装置65を支持でき、排気絞り装置65の支持構造を高剛性に構成できるものでありながら、例えば排気マニホールド7に中継管66を介して絞り弁ケース68を接続する構造に比べ、排気絞り装置65の排気ガス取入れ側の容積を縮小し、排気マニホールド7内の排気圧を高精度に調節できる。例えば、排気ガス浄化装置2などに供給する排気ガスの温度を、排気ガスの浄化に適した温度に簡単に維持できる。
また、排気マニホールド7の上面側に絞り弁ケース68を締結し、絞り弁ケース68の上面側にエルボ状の中継管66を締結し、排気マニホールド7に対して絞り弁ケース68と中継管66を多層状に配置し、最上層部の中継管66に排気管72を連結している。したがって、排気絞り装置65の支持姿勢を変更することなく、また中継管66の仕様を変更することなく、例えば排気ガス浄化装置2の取付け位置などに合わせて中継管66の取付け姿勢(排気管72の連結方向)を変更できる。
また、排気マニホールド7の排気出口を上向きに開口し、排気マニホールド7の上面側に絞り弁ケース68を設け、絞り弁ケース68の上面側に絞り弁ガス出口を形成すると共に、絞り弁ケース68の下方に、排気マニホールド7を挟んで、EGRガス冷却用のEGRクーラ29を配置している。したがって、エンジン1の一側面に沿わせて、排気マニホールド7と、排気絞り装置65と、EGRクーラ29をコンパクトに設置できるものでありながら、例えば排気ガス浄化装置2の配置などに対応して、絞り弁ケース68の絞り弁ガス出口から、横向きまたは上向きに排気管72を延設できる。したがって、作業車両のエンジンルーム内外(ディーゼルエンジン1以外の構成部品)に排気ガス浄化装置2を機能的に支持できる。また、排気マニホールド7の外側面を利用して、排気絞り装置65及びEGRクーラ29に接続する冷却水配管(絞り出口側パイプ77、絞り入口側パイプ78など)をコンパクトに支持できる。
一方、ディーゼルエンジン1の左側方(排気マニホールド7側)に、EGRクーラ29及び排気絞り装置65に冷却水ポンプ21を接続する冷却水配管経路(可とう性冷却水戻りホース75、中間パイプ76、絞り出口側パイプ77、絞り入口側パイプ78、冷却水取出しホース79など)を設ける。冷却水ポンプ21からの冷却水は、ディーゼルエンジン1の水冷部に供給されるだけでなく、その一部をEGRクーラ29及び排気絞り装置65に送るように構成されている。
前記戻りホース75に合金製中間パイプ76の一端側を接続し、合金製中間パイプ76の他端側に可とう性ホース76aを介して合金製絞り出口側パイプ77の一端側を接続する。排気絞り装置65の水冷ケース70に絞り出口側パイプ77の他端側を可とう性ホース(図示省略)等を介して接続すると共に、水冷ケース70に合金製絞り入口側パイプ78の一端側を可とう性ホース(図示省略)等を介して接続し、EGRクーラ29の冷却水排水口に絞り入口側パイプ78の他端側を可とう性ホース(図示省略)等を介して接続する。なお、EGRクーラ29の冷却水取入れ口が冷却水取出しホース79を介してシリンダブロック4に接続されている。
すなわち、冷却水ポンプ21に、EGRクーラ29及び排気絞り装置65が直列に接続されている。そして、前記各ホース75,76a,79及び前記各パイプ76〜78などにて形成する冷却水流通経路中では、冷却水ポンプ21とEGRクーラ29の間に排気絞り装置65が配置される。EGRクーラ29の上流側に、排気絞り装置65が位置している。冷却水ポンプ21からの冷却水の一部は、シリンダブロック4からEGRクーラ29を介して排気絞り装置65に供給され、循環することになる。
このように冷却水の一部が供給される排気絞り装置65は、絞り出口側パイプ77から冷却水が供給されるとともに絞り入口側パイプ78に冷却水を排出する。したがって、水冷ケース70への冷却水の給水位置と排水位置が、絞り弁ケース68内を流れる排気ガスの吸気位置と排気位置と逆となる。すなわち、水冷ケース70の冷却水の給水位置が排水位置に比べて上側となるため、水冷ケース70内を流れる冷却水の逆流をより確実に防止できる。
図10及び図11を参照して、フォークリフトカー120に前記ディーゼルエンジン1を搭載した構造を説明する。図10及び図11に示す如く、フォークリフトカー120は、左右一対の前輪122及び後輪123を有する走行機体124を備えている。走行機体124には、操縦部125とエンジン1とが搭載されている。走行機体124の前側部には、荷役作業のためのフォーク126を有する作業部127が設けられている。操縦部125には、オペレータが着座する操縦座席128と、操縦ハンドル129と、エンジン1等を出力操作する操作手段や、作業部127用の操作手段としてのレバー又はスイッチ等が配置されている。
作業部127の構成要素であるマスト130には、フォーク126が昇降可能に配置されている。フォーク126を昇降動させて、荷物を積んだパレット(図示省略)をフォーク126に上載させ、走行機体124を前後進移動させて、前記パレットの運搬等の荷役作業を実行するように構成している。
このフォークリフトカー120において、エンジン1は、操縦座席128の下側に配置されるとともに、第1浄化装置2aと第2浄化装置2bとが連結した排気ガス浄化装置2がエンジン1の後方上側に配置される。すなわち、エンジン1の後方に設けた冷却ファン9の上方に、第1浄化装置2aが配置される。そして、この第1浄化装置2aと尿素混合管172を介して連結する第2浄化装置2bが、エンジン1後方に配置されたラジエータ24上方に配置される。
また、エンジン1の後方には冷却ファン9に対峙する位置に、ラジエータ24が配置され、エンジン1の左側方に接続されるエアクリーナ32が、エンジン1の左側後方となるラジエータ24の左側方に配置される。このように、操縦座席128下側及び後方に配置される、エンジン1、排気ガス浄化装置2、ラジエータ24及びエアクリーナ32は、カウンタウェイト131の上側に配置されるボンネット136によって覆われる。そして、ボンネット136は、ボンネット136内のエンジン1や排気ガス浄化装置2へ作業者がアクセス可能となるように、その後方が開閉可能に構成される。
ディーゼルエンジン1は、フライホイールハウジング10が走行機体124の前部側に位置するように配置されている。すなわち、エンジン1のクランク軸3の向きが作業部127とカウンタウェイト131とが並ぶ前後方向に沿うように、ディーゼルエンジン1が配置されている。フライホイールハウジング10の前面側にはミッションケース132が連結されている。ディーゼルエンジン1からフライホイール11を経由した動力は、ミッションケース132にて適宜変速され、前輪122及び後輪123やフォーク126の油圧駆動源133に伝達されることになる。
上述の実施形態におけるエンジン装置は、図5〜図9に示すように、排気ガス浄化装置2が機体フレーム94に接続される構成とした。これにより、排気ガス浄化装置2が、ディーゼルエンジン1の振動から断絶された構造物で支持されることとなる。したがって、上述のように、排気管72にフレキシブル管73を設置して、ディーゼルエンジン1の振動が排気管72から排気ガス浄化装置2に伝達することを抑制している。
なお、本願発明は、前述の実施形態(第1の実施形態)に限定されるものではなく、様々な態様に具体化できる。例えば本願発明に係るエンジン装置は、前述のようなフォークリフトカー120及びホイルローダ211に限らず、コンバイン、トラクタ等の農作業機やクレーン車等の特殊作業用車両のような各種作業機械に対して広く適用できる。また、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
以下、本願発明の別の実施形態(第2の実施形態)によるエンジン装置について、図12及び図13を参照して説明する。なお、図12及び図13に示す構成において、図1〜図9と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付している。本実施形態のエンジン装置は、上述の実施形態におけるエンジン装置(図5〜図9参照)と異なり、排気ガス浄化装置2の内の第1浄化装置2aがディーゼルエンジン1に固定された構成となる。したがって、以下では、排気ガス浄化装置2の固定構造について説明する。
図12及び図13に示すように、排気ガス浄化装置2のうち、第1浄化装置2aは、ディーゼルエンジン1のシリンダヘッド5に立設させた第1支持脚体181と第2支持脚体182により支持される。すなわち、シリンダヘッド5の対向する左右側面に、第1支持脚体181と第2支持脚体182を立設させ、シリンダヘッド5を跨ぐ姿勢にDPFケース38を支持する。このとき、DPFケース38は、第1支持脚体181によりDPF入口管36側が支持されるとともに、第2支持脚体182によりDPF出口管37側が支持される。また、DPFケース38は、シリンダヘッド5の上方に、第1支持脚体81と第2支持脚体82を介して着脱可能に固着されている。
この排気ガス浄化装置2において、第1浄化装置2aの支持構造が、上述のように、ディーゼルエンジン1による一体化させた構造となる。したがって、第1浄化装置2aのDPF入口管36とディーゼルエンジン1の中継管66とを連結する排気管72は、振動伝達を防止する構成が不要となり、フレキシブル管73を省略した構成とできる。また、第1浄化装置2aをディーゼルエンジン1に一体として組み付けることができるため、エンジン組立工場で、第1浄化装置2aをディーゼルエンジン1に組み付けて出荷することができる。
一方、第1浄化装置2aと連結される第2浄化装置2bは、ディーゼルエンジン1と異なる振動系となる機体フレーム94に支持される。しかしながら、第1浄化装置2aとの連結途上において、フレキシブル管174が接続されるため、ディーゼルエンジン1からの振動伝達が抑制される。したがって、尿素混合管172及び尿素水噴射管173の損傷を防止できるだけでなく、第2浄化装置2bをディーゼルエンジン1の振動から保護できる。
また、上述の各実施形態において、排気ガス浄化装置2(図1〜図9参照)として、第1浄化装置(DPF)と第2浄化装置(SCR)とを連結させた構成を例として本願発明を説明したが、第1浄化装置(DPF)のみで構成されるものであっても構わない。以下、本願発明の更に別の実施形態(第3の実施形態)として、図14〜図17を参照して説明する。なお、図14〜図17に示す構成において、図1〜図9と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
本実施形態のエンジン装置は、上述の実施形態におけるエンジン装置(図5〜図9参照)と異なり、第1浄化装置2c(DPF)のみで構成される排気ガス浄化装置2xを有する。すなわち、排気ガス浄化装置2xは、第1の実施形態における排気ガス浄化装置2(図5〜図9参照)から、第2浄化装置2b(SCR)、尿素混合管172、尿素水噴射管173、フレキシブル管174、及び尿素水噴射ノズル176が省かれた構成となる。
そして、この排気ガス浄化装置2xにおける第1浄化装置2cは、その一側部を消音器41にて形成するDPFケース38aを有するとともに、消音器41に、テールパイプ135と連結されるDPF出口管37が設けられる。この第1浄化装置2cは、この排気ガス出口側の構成以外については、第1の実施形態における第1浄化装置2aと同様となる。
このように第1浄化装置2cのみで構成される排気ガス浄化装置2xの取付け構造は、図16及び図17に示すように、機体フレーム94の左右側壁部に固着された連結用ブラケット101,102と連結した第1支持フレーム100により、第1浄化装置2cが冷却ファン9の上方に配置された構造となる。すなわち、機体フレーム94の左右側壁部を架橋するように支持された第1支持フレーム100上面に、DPFケース38xの連結脚体80及び固定脚体81がボルト締結され、第1浄化装置2cが、冷却ファン9の上方で支持される。
また、第1浄化装置2cのDPF入口管36と中継管66とを連結する排気管72が、第1の実施形態と同様、その一部に、蛇腹形状のフレキシブル管73を有することで、ディーゼルエンジン1の振動に基づく負荷をフレキシブル管73で吸収できる。排気管72の損傷を防止できるだけでなく、第1浄化装置2cをディーゼルエンジン1の振動から保護できる。
このように構成されるエンジン装置を搭載した作業機械として、図14〜図16に示すホイルローダ211を一例に挙げる。本実施形態においても、第1の実施形態と同様、操縦座席219下側及び後方に、配置される、エンジン1、排気ガス浄化装置2、ラジエータ24及びエアクリーナ32が配置される。そして、これらのエンジン1、排気ガス浄化装置2、ラジエータ24及びエアクリーナ32は、カウンタウェイト215の上側に配置されるボンネット220によって覆われる。
また、ボンネット220は、第1の実施形態と同様、その前方のシートフレーム221の上側には、操縦座席219が着脱可能に設置されるとともに、その後方には、シートフレーム221の上面よりも上方に突出させたボンネットカバー(突出カバー部)229を備える。そして、ボンネットカバー229は、図16に示すように、カウンタウェイト上側に配置されることで、エンジン1後方に配置される排気ガス浄化装置2xを覆うとともに、開閉可能に構成される。
したがって、ボンネットカバー229を閉じたとき、ボンネットカバー229が、エンジン1後方上側に配置される排気ガス浄化装置2xを覆われるため、風雨等に起因しての排気ガス浄化装置の温度低下を抑制でき、排気ガス浄化装置を適正温度に維持し易い。一方、ボンネットカバー229を開いたとき、エンジン1後方上側に配置される排気ガス浄化装置2xへのアクセスが容易になるため、メンテナンス作業が行いやすい。
なお、本実施形態において、第1の実施形態と同様、第1浄化装置2cがディーゼルエンジン1と振動系の異なる機体フレーム94で支持されるもとしたが、第2の実施形態と同様、ディーゼルエンジン1と一体に連結される構成としても構わない。すなわち、シリンダヘッド5の対向する左右側面に立設させた第1及び第2支持脚体181,182により、DPFケース38aを支持することで、第1浄化装置2cの支持構造が、ディーゼルエンジン1による一体化させた構造とされる。