JP2014177902A - ベーンポンプ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回転軸21に結合されて回転するロータ22と、ロータ22の放射方向に複数設けたベーン溝に進退可能に保持される複数のベーン24と、内側にカム面を形成する内周面30Cを有する筒状に形成されてロータ22を囲い隣り合うベーン24との間に流体を区画するポンプ室40を形成するとともに、ポンプ室40への流体の吸込経路を形成する一端側吸込ポート60(第1吸込ポート61)およびポンプ室40からの流体の吐出経路を形成する一端側吐出ポート70(第1吐出ポート71)を有するカムリング30とを備える。そして、第1吸込ポート61は、カムリング30の軸方向の側部にて内周から外周にかけて所定の幅を維持しながら形成された溝で構成され、隣り合うベーン24によって内周面30Cに形成されるベーン24の接触箇所のベーン間隔Svよりも長い吸込吐出間距離Scを有して第1吐出ポート71から離れて側部に配置される。
【選択図】図8
Description
ここで、ベーンポンプ装置の性能の向上を図るには、カムリングに形成される吸込部における流体の吸込効率を向上させることが好ましい。
本発明は、カムリングに形成される吸込部における流体の吸込効率を向上させることを目的とする。
ここで、吸込部は、第1吸込部と、カムリングの中心を通る直線上において第1吸込部と一対に配置される第2吸込部とを備えて構成されることを特徴とすることができる。
また、少なくともカムリングを覆うハウジングと、ハウジングに設けられて装置外部から装置内部へと流体を吸い込む吸込口と、をさらに備え、吸込部は、吸込口から吸込部へと流体を導く経路である吸込通路の向く方向に沿ってカムリングの側部に形成されることを特徴とすることができる。
図1は、本実施形態が適用されるベーンポンプ1の全体図である。図2は、図1に示すII−II線の断面図である。図3は、図1に示すIII−III線の断面図である。図4は、ポンプユニット20の内部を説明するための図である。
(ベーンポンプ1の構成・機能の説明)
ベーンポンプ1は、例えば車両の内燃機関の動力により駆動され、作動流体の一例としての作動油を、例えば油圧式パワーステアリングや油圧式無段変速機などの流体機器に供給するためのオイルポンプとして用いられる。
図1に示すベーンポンプ1は、固定容量式のものである。そして、本実施形態のベーンポンプ1は、ハウジング11と、ハウジング11の開口を覆うカバープレート12と、ハウジング11およびカバープレート12の内側に収容されるポンプユニット20とを備えている。
さらに、図3に示すように、ハウジング11の収容部11Aの最奥部に、後述するインナサイドプレート31によって区画される高圧力室54を形成する。
また、カバープレート12およびポンプユニット20は、位置決めピン33Aおよび位置決めピン33Bがそれぞれ貫通して取り付けられ、周方向において各部材の相対的な位置決めがなされている。
なお、本実施形態では、図4に示すように、回転軸21(ロータ22)は、図4中CW方向に回転するように構成されている。
ベーン溝23は、ロータ22の外周部において、放射方向(径方向)に複数設けられる。ベーン溝23は、ロータ22の外周面および両側面にそれぞれ開口する溝である。そして、ベーン溝23は、各ベーン24を進退可能に収容し、各ベーン24をベーン溝23に沿う半径方向に摺動自在に保持する。また、ベーン溝23は、底部(ロータ22の中心側)に底部空間23Aを有している。
また、ベーン24は、ベーン溝23の底部空間23Aに導入された高圧吐出油の圧力によりベーン24の先端をカムリング30の内周の後述する内周面30Cに押し当てて当接される。なお、この高圧吐出油の圧力によりベーン24を内周面30Cに当接させる機構については後に詳しく説明する。
そして、ロータ22の1回転中で、このロータ22とともに回転するベーン24が上述の吐出領域から吸込領域に向かう間の回転角度位置(ベーン24の最大押込回転位置という)にあるとき、ベーン24はカムリング30の後述する内周面30Cによりベーン溝23内に最も深く押し込まれる。また、ベーン24が上述の吸込領域から吐出領域に向かう間の回転角度位置(ベーン24の最大押出回転位置という)にあるとき、ベーン24はカムリング30の後述する内周面30Cによりベーン溝23外に最も大きく押し出される。
そして、カムリング30は、外周面にてハウジング11に形成される吸込通路42に対峙し、内周面30Cにてロータ22を囲う。そして、内周面30Cとロータ22との間には油室Yが形成される。ここで、上記のとおりカムリング30の内周面30Cはカム曲線を形成し、ロータ22は概形が円形状をしている。そのため、油室Yは、内周面30Cとロータ22の外周部との間にて間隔が広い領域や間隔が狭い領域が形成されるように、カムリング30の周方向において形成される領域の大きさが異なる。
なお、カムリング30の構成・機能については後に詳しく説明する。
インナサイドプレート31は、図5に示すように、概形が円板形状を有した部材であって、中心部に回転軸21(図4参照)が貫通される軸孔31Aを備えている。そして、インナサイドプレート31は、外周部に吸込ポート41と高圧油供給ポート55とを備える。さらに、インナサイドプレート31は、中心部の周囲に高圧油導入ポート56Aおよび溝56Bを有している。
そして、インナサイドプレート31は、ハウジング11の収容部11Aに設けられるとともに、カムリング30の軸方向における一方の側部と対向するように取り付けられる(図2および図3参照)。
アウタサイドプレート32は、図6に示すように、概形が円板形状をした部材であって、中心部に回転軸21(図4参照)が貫通される軸孔32Aを備えている。そして、アウタサイドプレート32は、外周部に吸込ポート44と吐出ポート51とを備える。また、アウタサイドプレート32は、中心部の周囲に背圧溝57を有する。さらに、アウタサイドプレート32は、吐出ポート51に連通する溝部Tを備えている。
そして、アウタサイドプレート32は、ハウジング11の収容部11Aに設けられるとともに、カムリング30の軸方向におけるインナサイドプレート31とは逆側の側部と対向するように取り付けられる(図2および図3参照)。
なお、図7(a)はカムリング30の側面図であり、図7(b)は図7(a)に示すカムリング30のVIIb−VIIb線の断面図であり、図7(c)は図7(a)に示すカムリング30のVIIc−VIIc線の断面図である。
図7(a)に示すように、カムリング30は、楕円に近似するカム曲線によりカム面を形成する内周面30Cと、円形の外周面30Sとを有する筒形状をしている。また、カムリング30は、ロータ22の軸方向における一方の側部にて幅広の環形状を有する一端側部30Aと、他方の側部にて幅広の環形状を有する他端側部30Bとを有する。さらに、カムリング30は、位置決めピン33Aおよび位置決めピン33B(図4参照)を通すピン孔30Hをそれぞれ備えている。
一端側部30Aには、外周面30Sから内周面30Cのポンプ室40への作動油の吸い込み経路を構成する吸込部の一例としての一端側吸込ポート60と、ポンプ室40からの作動油の吐き出し経路を構成する吐出部の一例としての一端側吐出ポート70とが形成される。
一端側吸込ポート60は、本実施形態では、一対の第1吸込部(吸込部)の一例としての第1吸込ポート61と第2吸込部(吸込部)の一例としての第2吸込ポート62とを備えて構成される。
一端側吐出ポート70は、本実施形態では、一対の第1吐出ポート71と第2吐出ポート72とを備えて構成される。
そして、第1吸込ポート61と第1吐出ポート71とが組みとなり、第2吸込ポート62と第2吐出ポート72とが組みとなって、それぞれポンプ室40への作動油の吸い込みおよびポンプ室40からの作動油の吐き出しの一連の作用を実現する。
図7(b)および図7(c)に示すように、他端側部30Bには、ポンプ室40への作動油の吸い込み経路を構成する吸込部の一例としての他端側吸込ポート80と、ポンプ室40からの作動油の吐き出し経路を構成する吐出部の一例としての他端側吐出ポート90とが形成される。
他端側吸込ポート80は、本実施形態では、一対の第1吸込部の一例としての第1吸込ポート81と第2吸込部の一例としての第2吸込ポート82とを備えて構成される。
他端側吐出ポート90は、本実施形態では、一対の第1吐出ポート91と第2吐出ポート92とを備えて構成される。
そして、第2吸込ポート82と第2吐出ポート92とが組みとなって、それぞれポンプ室40への作動油の吸い込みおよびポンプ室40からの作動油の吐き出しの一連の作用を実現する。
また、他端側吐出ポート90は、一端側部30Aに形成される一端側吐出ポート70と表裏の位置にて他端側部30Bに配置される。具体的には、図7(c)に示すように、第1吐出ポート91と第1吐出ポート71とが表裏に配置される。また、図7(b)に示すように、第2吐出ポート92と第2吐出ポート72とが表裏に配置される。
一端側吸込ポート60(第1吸込ポート61および第2吸込ポート62)は、内周面30Cから外周面30Sまで径方向に開放して設けられる溝として形成される。そして、一端側吸込ポート60は、底面部601と傾斜部602とを備えて構成される。
底面部601は、一端側部30Aにおける他の面(以下、主面とよぶ)と比較して厚み方向に窪んだ平面である。底面部601の幅は、内周面30Cから外周面30Sにかけて等しくなるように形成される。
傾斜部602は、一端側部30Aにおける主面から底面部601に向けて傾斜した面であり、内周面30Cから外周面30Sに向けて延びて設けられる。また、傾斜部602は、周方向において対向するように2つ配置される。そして、対向する傾斜部602同士の間隔は、内周面30Cから外周面30Sにかけて等しく形成される。
なお、本実施形態では、一端側吸込ポート60の幅Wは、対向する2つの傾斜部602を外側の縁の間隔として説明する。
本実施形態では、一端側吸込ポート60の幅Wを維持して形成した直線形状にすることにより、例えば従来技術のカムリングのように外周面30Sから内周面30Cに向けて次第に幅が狭まる形状を有する場合と比較して、作動油の流れの抵抗が小さくなり作動油の吸入効率を高めている。
本実施形態では、第1吸込ポート61および第2吸込ポート62を直径方向に一対に配置することで、例えばロータ22の回転軸21にかかる偏心荷重を低減させることが可能になる。
第1吸込ポート61および第2吸込ポート62においては、隣り合うベーン24により形成されるポンプ室40が移動し、吸込開始位置60sにポンプ室40を形成するベーン24が到達することでポンプ室40への作動油の吸い込みが開始され、吸込終了位置60eをポンプ室40が通過することで作動油の吸い込みが終了する(後述の図8(a)参照)。
一端側吐出ポート70は、図7(a)に示すように、内周面30Cのみに開放して設けられる溝として形成される。一端側吐出ポート70は、底面部701と、傾斜部702と、貫通孔703とを備えて構成される。
底面部701は、一端側部30Aの主面と比較して厚み方向に窪んだ平面である。
傾斜部702は、一端側部30Aの主面から底面部701に向けて傾斜した面であり、内周面30Cから外周面30Sに向けて延びて設けられる。また、傾斜部702は、周方向において対向するように2つ配置される。
貫通孔703は、底面部701に形成され、他端側吐出ポート90との間を貫通する。そして、カムリング30の一端側部30Aと他端側部30Bとの間において吐出油を連通可能にする。
第1吐出ポート71および第2吐出ポート72においては、隣り合うベーン24により形成されるポンプ室40が移動し、吐出開始位置70sにポンプ室40を形成するベーン24が到達することでポンプ室40からの作動油の吐き出しが開始され、吐出終了位置70eをポンプ室40が通過すると作動油の吐き出しが終了する(後述の図8(a)参照)。
以上のように、本実施形態では、吸込通路42から流入する作動油がスムーズに一端側吸込ポート60へと流れるように構成することで、装置全体としての作動油の吸い込み効率を向上させている。
吸込通路42に対して設けられる第1吸込ポート61および第2吸込ポート62は、カムリング30において以下のように配置される。
ロータ22に設けられる複数のベーン24は、隣り合うベーン24と予め定めた角度であるベーン角度θvを成す。例えば、本実施形態では、10枚のベーン24が周方向に均等配置されるため、ベーン角度θvは36度になる。
そして、一端側吸込ポート60(第1吸込ポート61,第2吸込ポート62)は、ベーン角度θvに基づき、一端側吐出ポート70(第1吐出ポート71,第2吐出ポート72)との関係でポンプ室40を介して直接的に連通しないように所定の位置に配置される。
そして、第1吸込ポート61は、吸込開始位置60sと吸込終了位置60eとが破線L1および破線L2に挟まれた角度の範囲内に設けられる。
そして、第2吸込ポート62は、吸込開始位置60sと吸込終了位置60eとが破線L3および破線L4に挟まれた角度の範囲内に設けられる。
そして、第1吐出ポート71に対して、第1吸込ポート61は、ベーン間隔Svよりも長い距離を有する吸込吐出間距離Scが設定される。これは、各一端側吸込ポート60と各一端側吐出ポート70との位置関係において同様である。すなわち、一端側吸込ポート60は、周方向に隣り合う一端側吐出ポート70に対して、ベーン間隔Svよりも長い距離を有するように吸込吐出間距離Scが設定される。
また、ピン孔30Hを例えば第1吸込ポート61よりも第2吐出ポート72に近づけて配置することで、カムリング30の強度低下を抑制しても良い。すなわち、本実施形態では、第1吸込ポート61は内周面30Cから外周面30Sまで開放して形成されるのに対し、第2吐出ポート72は内周面30Cから外周面30Sの途中までしか形成されない。従って、周辺の強度としては、第1吸込ポート61に比べて第2吐出ポート72が比較的高い。そこで、例えば第1吸込ポート61よりも第2吐出ポート72側にピン孔30Hを近づけて配置することで、局所的な強度低下が低減される。
すなわち、破線L1と内周面30Cとの交点X1と、破線L3と内周面30Cとの交点X3とを結ぶ線を直線Lm1とする。この直線Lm1は、第1吐出ポート71に対して両方向にカム面を形成する内周面30Cに沿ってベーン角度θvだけ離れた位置として定まるものである。
また、破線L2と内周面30Cとの交点X2と、破線L4と内周面30Cとの交点X4とを結ぶ線を直線Lm2とする。この直線Lm2は、第2吐出ポート72に対して両方向にカム面を形成する内周面30Cに沿ってベーン角度θvだけ離れた位置として定まるものである。
なお、直線Lm1から直線Lm2まで形成することで、第1吸込ポート61の幅Wおよび第2吸込ポート62の幅W(図7(a)参照)が最も大きく形成される。このように最大限に形成することで、第1吸込ポート61の幅Wおよび第2吸込ポート62からの作動油の吸い込み量を最も大きくするとともに、本実施形態では外周面30Sから内周面30Cまで流路幅が狭まらないために流路抵抗が低減された状態でポンプ室40へと作動油を供給することが可能になる。
以上のように構成されるベーンポンプ1は、図4に示すように、例えば不図示の内燃機関による駆動を受けて回転軸21が回転することでロータ22が回転する。このロータ22の回転に伴い、複数のベーン24の先端がカムリング30の内周の内周面30Cに押当てられながら回転する状態になる。
ここで、ベーンポンプ1では、吸込口43から供給された作動油が吸込通路42を介しカムリング30の一端側吸込ポート60および他端側吸込ポート80に流れ込んだ状態になっている。そして、ロータ22の回転方向の上流側の吸込領域で、ロータ22の回転とともに拡張されるポンプ室40にインナサイドプレート31の吸込ポート41およびアウタサイドプレート32の吸込ポート44からの作動油が吸い込まれる。一方で、ロータ22の回転方向の下流側の吐出領域では、ロータ22の回転に伴って圧縮されるポンプ室40からの作動油が吐出ポート51に対して吐出される。吐出ポート51へと吐出された高圧吐出油は、吐出通路52を通って吐出口53から吐出される。
以上のようにして、本実施形態が適用されるベーンポンプ1では、吸込口43にて吸い込まれた作動油が吐出口53から吐出されるというポンプ作用が発揮される。
図3に示すように、ロータ22の回転により吐出ポート51から吐出された高圧吐出油は、ロータ22の一部のベーン溝23の底部空間23Aおよび高圧油供給ポート55を通って高圧力室54に供給される。さらに、高圧力室54に満たされた高圧吐出油は、インナサイドプレート31の高圧油導入ポート56Aおよびロータ22の一部のベーン溝23の底部空間23Aを介して、アウタサイドプレート32の環状の背圧溝57に供給される。
そして、環状の背圧溝57に供給された高圧吐出油は、背圧溝57が連通しているロータ22の全部のベーン溝23の底部空間23Aに同時に導入される状態が形成され、このベーン溝23の底部空間23Aに導入された高圧吐出油の圧力によってベーン24の先端がカムリング30の内周の内周面30Cに押し当てられる。
さらに、本実施形態では、一端側吸込ポート60を構成する第1吸込ポート61と第2吸込ポート62とが直径方向となる直線上に配置される。そのため、位置決めが容易となるうえに、この場合にも例えば切削工具を一方向に移動させるだけで、これら第1吸込ポート61と第2吸込ポート62とをカムリング30の側部に形成することができるため製造効率が向上する。
Claims (3)
- 回転軸に結合されて回転するロータと、
前記ロータの放射方向に複数設けたベーン溝に進退可能に保持される複数のベーンと、
内側にカム面を有する筒状に形成されて前記ロータを囲い隣り合う前記ベーンとの間に流体を区画するポンプ室を形成するとともに、当該ポンプ室への流体の吸込経路を形成する吸込部および当該ポンプ室からの流体の吐出経路を形成する吐出部を有するカムリングと、を備え、
前記吸込部は、前記カムリングの軸方向の側部にて内周から外周にかけて所定の幅を維持しながら形成された溝で構成され、隣り合う前記ベーンによって前記カム面に形成される当該ベーンの接触箇所の間隔よりも長い距離を有して前記吐出部から離れて当該側部に配置されることを特徴とするベーンポンプ装置。 - 前記吸込部は、第1吸込部と、前記カムリングの中心を通る直線上において当該第1吸込部と一対に配置される第2吸込部とを備えて構成されることを特徴とする請求項1に記載のベーンポンプ装置。
- 少なくとも前記カムリングを覆うハウジングと、当該ハウジングに設けられて装置外部から装置内部へと流体を吸い込む吸込口と、をさらに備え、
前記吸込部は、前記吸込口から当該吸込部へと流体を導く経路である吸込通路の向く方向に沿って前記カムリングの側部に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のベーンポンプ装置。
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