JP2014177595A - 脱硫装置、燃料電池システム及び炭化水素系燃料の脱硫方法 - Google Patents

脱硫装置、燃料電池システム及び炭化水素系燃料の脱硫方法 Download PDF

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Abstract

【課題】脱硫装置の脱硫性能を向上させる技術を提供する。
【解決手段】ある態様の脱硫装置50は、炭化水素系燃料から硫黄化合物を除去するための脱硫器52と、脱硫器52を加熱する加熱部54と、脱硫器52内の温度が45℃以上120℃以下となるように加熱部54を制御する制御部200と、を備える。炭化水素系燃料は、硫黄化合物と、水及びメタノールの少なくとも一方とを含む。脱硫器52は、シリカ/アルミナモル比が5以上40以下であり、脱硫剤の全質量に対して2質量%以上8質量%以下の銅を担持するゼオライトで構成される脱硫剤を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、脱硫装置、燃料電池システム及び炭化水素系燃料の脱硫方法に関する。
天然ガス、LPG、ナフサ、灯油等の炭化水素系燃料は、燃料電池用の燃料ガスの原料等として広く用いられている。このような炭化水素系燃料には、通常スルフィドやジスルフィド、メルカプタン等の硫黄化合物が含まれる。この硫黄化合物が含まれる炭化水素を燃料として用いると、硫黄酸化物が発生し、大気汚染の原因となることが問題となる。また、硫黄化合物を含む炭化水素を燃料電池用の燃料ガスの原料として用いると、燃料ガスとしての水素製造工程等において触媒毒として作用することが問題となる。
燃料電池用の炭化水素系燃料から硫黄成分を除去する方法としては、例えば、金属担持ゼオライトを脱硫剤として用いる方法などが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−286753号公報
燃料電池用の燃料ガスの原料となる炭化水素系燃料には、硫黄以外にも様々な不純物が含まれる場合がある。例えば、都市ガス中には、脱硫剤の一時被毒物となる水が含まれることがある。また、LPG中には、原料に含まれる水分が凍結することを防止するため、メタノールが添加される場合がある。このように、原料に水やメタノールを含む場合には、脱硫剤の性能が低下するという問題があった。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、脱硫装置の脱硫性能を向上させる技術を提供することにある。
本発明のある態様は、脱硫装置である。当該脱硫装置は、炭化水素系燃料から硫黄化合物を除去するための脱硫器と、脱硫器を加熱する加熱部と、脱硫器内の温度が45℃以上120℃以下となるように加熱部を制御する制御部と、を備える。炭化水素系燃料は、硫黄化合物と、水及びメタノールの少なくとも一方とを含む。脱硫器は、シリカ/アルミナモル比が5以上40以下であり、脱硫剤の全質量に対して2質量%以上8質量%以下の銅を担持するゼオライトで構成される脱硫剤を有する。
本発明のある態様は、燃料電池システムである。当該燃料電池システムは、上述した態様の脱硫装置と、脱硫装置で脱硫された炭化水素系燃料を改質ガスに改質する改質器と、改質ガスを用いて発電する燃料電池と、を備える。
本発明のある態様は、炭化水素系燃料の脱硫方法である。当該炭化水素系燃料の脱硫方法は、シリカ/アルミナモル比が5以上40以下であり、脱硫剤の全質量に対して2質量%以上8質量%以下の銅を担持するゼオライトで構成される脱硫剤を有し、器内が45℃以上120℃以下の温度に調節された脱硫器に、硫黄化合物と、水及びメタノールの少なくとも一方とを含む炭化水素系燃料を流通させることを含む。
本発明によれば、脱硫装置の脱硫性能を向上させる技術を提供することができる。
実施の形態に係る脱硫装置を備える燃料電池システムを示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、実施の形態に係る脱硫装置を備える燃料電池システムを示す概略図である。本実施の形態に係る燃料電池システム100は、主な構成として水タンク10、燃料タンク30、脱硫装置50、気化器60、改質器70、燃料電池80を有する。
水タンク10は、水蒸気改質に用いられる水を貯蔵する。水タンク10に貯蔵されている水は、水ポンプ12により気化器60に供給される。
燃料タンク30は、硫黄原子換算で0.6〜8質量ppmの硫黄化合物が含まれる炭化水素を燃料(炭化水素系燃料)として格納する。炭化水素系燃料としては、例えば都市ガス、LPガス、ナフサ、ガソリン、灯油などが用いられる。また、LPガスは、一般的に冬季に300ppm以上2400ppm以下のメタノールを含有する。メタノールは、燃料に混入している水分が特に冬期において凍結し、バルブ等を詰まらせるなどの不都合が生じることを防ぐ目的で人為的に添加される。また、都市ガスにおいては、製造過程及び供給過程において水分が混入する場合がある。
炭化水素系燃料に含まれる硫黄化合物としては、元来、不純物として含まれる硫黄化合物とガス漏れ検知のための付臭剤に含まれる化合物が挙げられる。不純物として含まれる硫黄化合物としては、無機硫黄類、メルカプタン類、スルフィド類、ジスルフィド類、チオフェン類等が挙げられる。また、付臭剤としては、アルキルスルフィド、メルカプタンの単独又は混合物等が用いられ、例えば、ジエチルスルフィド(DES)、ジメチルスルフィド(DMS)、エチルメチルスルフィド(EMS)、テトラヒドロチオフェン(THT)、tert−ブチルメルカプタン(TBM)、イソプロピルメルカプタン、ジメチルジスルフィド(DMDS)、ジエチルジスルフィド(DEDS)などが用いられる。
燃料タンク30に格納されている炭化水素系燃料は、燃料ポンプ14により、脱硫装置50を経て、水タンク10から供給される水に混合される。また、燃料タンク30に格納されている炭化水素系燃料の一部は、改質器70を加温するためのバーナ17に供給される。バーナ17への燃料の供給量は、燃料ポンプ14の下流側に設けられた分配弁15の分配比を調整することにより適宜変更される。分配弁15の調整は、後述する制御部200によって制御される。
脱硫装置50は、脱硫器52と、脱硫器52を加熱する加熱部54と、加熱部54を制御する、後述する制御部200とを備える。脱硫器52は、脱硫剤を有する。燃料タンク30から供給された炭化水素系燃料は、加熱部54で内部が加熱された脱硫器52を通過する際に、脱硫剤により脱硫される。加熱部54には、例えばヒータ、温水等を用いることができる。脱硫剤及び脱硫方法については、後に詳細に説明する。
気化器60は、水タンク10から供給された水が水蒸気になるように加熱する。気化器60によって生成した水蒸気と燃料は、改質器70に供給される。改質器70は、バーナ17の燃焼熱によって所定の温度に加熱される。
改質器70は、脱硫装置50で脱硫された炭化水素系燃料を改質ガスに改質する。例えば、改質器70は、水蒸気改質用触媒を有し、改質器70において燃料が水蒸気改質により改質される。改質器70で生成した水素リッチな改質ガスは、後述する燃料電池80のアノード84に供給される。改質器70の改質方式は水蒸気改質に限定されず、例えば、部分酸化改質、自己熱改質、その他の改質方式を採用することができる。
本実施の形態の燃料電池80は、例えば固体酸化物型燃料電池(SOFC)である。燃料電池80は、電解質82、アノード84及びカソード86を有する。
電解質82は、SOFCの電解質として公知のものを使用することができ、例えば、サマリウム(Sm)やガドリニウム(Gd)等をドープしたセリア系酸化物、ストロンチウム(Sr)やマグネシウム(Mg)をドープしたランタン・ガレード系酸化物、スカンジウム(Sc)やイットリウム(Y)を含むジルコニア系酸化物などの酸素イオン伝導性セラミックス材料を用いることができる。
アノード84は、電解質82の一方の側に設けられる。アノード84は、例えば、金属触媒と酸化物イオン導電体からなるセラミックス粉末材料を含む。アノード84に用いられる金属触媒としては、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)や、貴金属(白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)等)等が挙げられる。
カソード86は、電解質82の他方の側に設けられる。カソード86は、例えば、マンガン(Mn)、Fe、Co、Ni等を含むペロブスカイト型酸化物により形成される。
アノード84に改質器70で生成した改質ガスが供給され、カソード86に酸化剤として空気が供給されると、燃料電池80において電極反応が進行する。電極反応に伴い、電気負荷90を含む外部回路において、アノード84からカソード86に向かって電子が移動し、電力が取り出される。
アノード84から排出されるアノードオフガスは、バーナ17に供給され、バーナ17の燃料用燃料として用いられる。また、カソード86から排出されるカソードオフガスは、必要に応じて熱回収された後、系外に排出される。
なお、燃料電池80はSOFCに限定されず、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)や固体高分子形燃料電池(PEFC)、リン酸形燃料電池(PAFC)等であってもよい。燃料電池80がPEFCやPAFCである場合、改質ガスは、シフト工程を含む方法、CO選択酸化工程を含む方法、あるいはこれらを組み合わせた方法等によって、ガス中の一酸化炭素が除去された後に使用されることが好ましい。
制御部200は、燃料電池80の起動、停止や燃料電池80の発電量の制御を行う。具体的には、制御部200は、水ポンプ12を制御し、水蒸気改質に用いられる水の供給量を調整するとともに、燃料ポンプ14を制御し、改質器70に供給される燃料の量を調整する。また、制御部200は、バーナ17の燃焼熱による改質器70の加温を制御する。具体的には、制御部200は、分配弁15の分配比を調節することでバーナ17に供給される燃料の量を調節するとともに、送風ファン(図示せず)等を制御して、バーナ17に供給される空気の量を調節することにより、改質器70の温度が所定の範囲になるように、バーナ17の燃焼状態を制御する。また、制御部200は、加熱部54による脱硫器52の加温を制御する。したがって、制御部200は、脱硫装置50の一部を構成する。
(脱硫剤)
続いて、脱硫器52が有する脱硫剤について説明する。本実施の形態において、脱硫剤は、活性金属としのて銅(Cu)を担持するゼオライトで構成される。このゼオライトは、シリカ/アルミナモル比(SiO/Alモル比)が5以上40以下である。シリカ/アルミナモル比を5以上とすることで、ゼオライトの疎水性を高めて炭化水素系燃料中のメタノールや水分がゼオライトに吸着することをより確実に抑制し、硫黄のゼオライトへの吸着を促進させることができる。また、活性金属としてのCuの担持量は、ゼオライト中のアルミナの量に依存する。そのため、シリカ/アルミナモル比を40以下とすることで、所定量の硫黄吸着に必要なCuの量を確保して、脱硫剤の活性をより確実に発揮させることができる。シリカ/アルミナモル比が5以上40以下のゼオライトとしては、例えばY型、β型、USY型、ZSM−5型等を挙げることができる。本実施の形態では、Y型、USY型、β型及びZSM−5型のゼオライトからなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。シリカ/アルミナモル比は、ICP発光分光分析法による組成分析により測定することができる。
ゼオライトへのCuの担持方法としては、特に限定されないが、イオン交換法が好ましく使用される。イオン交換に用いるゼオライトは、ナトリウム型、アンモニウム型、プロトン型など様々な形態のものを用いることができるが、ナトリウム型が最も好ましく使用される。一方、Cuは通常カチオンとして水に溶解した形態で準備される。その具体例としては、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、酢酸銅などの水溶液、銅アンミン錯体イオンのような銅錯体イオンの水溶液、などを挙げることができる。
イオン交換の方法には特に制限はないが、通常は上記のカチオン性のCuを含む溶液にゼオライトを加え、通常0〜90℃、好ましくは20〜70℃の温度範囲において1時間ないし数時間程度、好ましくは撹拌しながらイオン交換処理する。ついで、固形物をろ過などの手段で分離し、水などで洗浄した後、50〜200℃、好ましくは80〜150℃の温度で乾燥処理する。このイオン交換処理は繰り返し行うことができる。次に必要であれば、200〜600℃、好ましくは300〜500℃で数時間程度焼成処理してもよい。このような方法により、目的の銅イオン交換ゼオライトを得ることができる。
Cuの担持量は、脱硫剤の全質量に対して2質量%以上8質量%以下であることが好ましく、3質量%以上7質量%以下であることがより好ましい。Cuの担持量を2質量%以上とすることで、硫黄吸着点を確保して、脱硫剤の脱硫性能をより確実に発揮させることができる。また、Cuの担持量を8質量%以下とすることで、上述したシリカ/アルミナモル比においてCuをより高分散の状態でゼオライトに担持させることができ、これにより脱硫剤の脱硫性能を高めることができる。
上記の方法で製造されたCuを担持したゼオライトは、バインダーとしてのアルミナ、シリカ、粘土鉱物など、もしくはベーマイトなどのこれらの前駆体を加えて、押出成型、打錠成型、転動造粒、スプレードライ及び必要に応じて焼成するなど、通常の方法で成型して使用できる。また、ゼオライトを予め成型し、その後にイオン交換法を適用することも好ましく採用される。
(脱硫方法)
続いて、炭化水素系燃料の脱硫方法について説明する。本実施の形態に係る炭化水素系燃料の脱硫方法では、脱硫器52内の温度が45℃以上120℃以下、好ましくは60℃以上90℃以下に調節される。器内温度の調節は、制御部200が加熱部54を制御することで実現される。例えば、制御部200は、燃料タンク30からの炭化水素系燃料を脱硫装置50に供給する前に、予め加熱部54により脱硫器52を加温しておく。また、燃料電池80の発電中は、加熱部54による脱硫器52の加熱を維持する。そして、脱硫器52に硫黄化合物を含む炭化水素系燃料が流通される。炭化水素系燃料は、脱硫器52内で上述した脱硫剤と接触し、脱硫剤を構成するゼオライトのCuによって硫黄化合物が除去される。脱硫反応の温度を45℃以上とすることで、炭化水素系燃料中のメタノールや水分により脱硫剤の活性が低下することをより確実に抑制することができる。また、脱硫反応の温度を120℃以下とすることで、脱硫剤からの硫黄の脱離をより抑制することができる。
制御部200による加熱部54の制御は、脱硫器52に温度センサ(図示せず)を設け、温度センサで検出された脱硫器52の内部温度に基づくフィードバック制御を行う方法や、加熱部54の加熱時間と脱硫器52の内部温度との関係を事前にメモリ等にデータとして保持し、このデータに基づいて加熱部54のオンオフを制御する方法を採用することができる。
都市ガスなど常温、常圧で気体である炭化水素系燃料を用いる場合、GHSV(Gas hourly space velocity)は10〜20000h−1、好ましくは10〜7000h−1の間で選択することができる。GHSVを10h−1以上とすることで、使用する脱硫剤量を抑えて脱硫器52が過大となることを回避できる。また、GHSVを20000h−1以下とすることで、より確実に十分な脱硫性能を得ることができる。なお、液体燃料を炭化水素系燃料として使用することもでき、その場合には、LHSV(Liquid hourly space velocity)として0.01〜100h−1の範囲を選択することができる。脱硫反応の圧力条件は、通常、大気圧条件下で実施される。
以上説明した本実施の形態に係る脱硫装置50は、シリカ/アルミナモル比が5以上40以下の疎水性であり、脱硫剤の全質量に対して2質量%以上8質量%以下のCuを担持するゼオライトで構成される脱硫剤を有する脱硫器52と、加熱部54と、脱硫器52内の温度を加熱部54で45℃以上120℃以下に調節する制御部200を備える。そのため、炭化水素系燃料中に含まれる水分やメタノールがゼオライトに吸着して、これによりCuの活性が低下することを抑制することができる。よって、水やメタノールの存在下において脱硫装置50の脱硫性能を長期間にわたって維持することができる。したがって、脱硫装置50の脱硫性能を向上させることができる。
以下に実施例を挙げて本発明の効果をさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<脱硫剤の作製>
(実施例1)
ゼオライトとして、市販のNa−Y型ゼオライト(東ソー社製、商品名:HSZ−320NAA、SiO/Alモル比5.5)を用意した。このゼオライトは、バインダーとしてアルミナ20質量%を用いて、ゼオライトを円柱形のペレット(直径1mm、長さ=3〜4mm)に成形したものである。一方、硫酸銅を蒸留水に溶解して0.9mol/kg硫酸銅水溶液を調製した。そして、Na−Y型ゼオライト5gに硫酸銅水溶液27gを添加し、30℃で3時間撹拌してNaイオンをCuイオンに交換した。その後、ゼオライトを蒸留水で5回洗浄し、120℃で12h乾燥させて、実施例1に係る脱硫剤(Cu−Y)を得た。この脱硫剤のCuの担持量は、脱硫剤の全質量に対して7%であった。Cuの担持量は、ICP発光分光分析法により測定した。
(実施例2)
ゼオライトとして、市販のH−USY型ゼオライト(東ソー社製、商品名:HSZ−350HUA、SiO/Alモル比10)を用い、イオン交換時に28%アンモニア水1.2gを添加した以外は実施例1と同じ方法で、実施例2に係る脱硫剤(Cu−USY10)を得た。この脱硫剤のCuの担持量は、脱硫剤の全質量に対して6%であった。
(実施例3)
ゼオライトとして、市販のH−USY型ゼオライト(東ソー社製、商品名:HSZ−360HUA、SiO/Alモル比15)を用い、イオン交換時に28%アンモニア水1.2gを添加した以外は実施例1と同じ方法で、実施例3に係る脱硫剤(Cu−USY15)を得た。この脱硫剤のCuの担持量は、脱硫剤の全質量に対して5%であった。
(実施例4)
ゼオライトとして、市販のNH3−β型ゼオライト(東ソー社製、商品名:HSZ−930NHA、SiO/Alモル比28)を用いた以外は実施例1と同じ方法で、実施例4に係る脱硫剤(Cu−β)を得た。この脱硫剤のCuの担持量は、脱硫剤の全質量に対して4%であった。
(実施例5)
ゼオライトとして、市販のH−ZSM5型ゼオライト(東ソー社製、商品名:HSZ−820HOA、SiO/Alモル比29)を用い、イオン交換時に28%アンモニア水1.2gを添加した以外は実施例1と同じ方法で、実施例5に係る脱硫剤(Cu−ZSM5)を得た。この脱硫剤のCuの担持量は、脱硫剤の全質量に対して3%であった。
(比較例1)
ゼオライトとして、市販のNa−X型ゼオライト(東ソー社製、商品名:F9−HA、SiO/Alモル比3)を用いた以外は実施例1と同じ方法で、比較例1に係る脱硫剤(Cu−X)を得た。この脱硫剤のCuの担持量は、脱硫剤の全質量に対して9%であった。
<脱硫性能の評価>
各実施例及び比較例の脱硫剤について硫黄成分の飽和吸着量を評価した。まず、各実施例及び比較例の脱硫剤1ccをそれぞれ流通式反応管に充填した。また、炭化水素系燃料として、メタノール900質量ppm、水200質量ppm及びDMS6質量ppm(硫黄換算)を含有するLPガスを用意した。そして、LPガスをGHSV:20000h−1、温度30℃又は60℃、大気圧の条件下で反応管に流通させた。反応管の入口部と出口部の硫黄濃度を、GC−SCD(化学発光硫黄検出器付きガスクロマトグラフ)にて測定し、入口硫黄濃度と出口硫黄濃度が同一になった時点で試験を終了した。入口硫黄濃度と出口硫黄濃度の差異より、脱硫剤の飽和硫黄吸着量[吸着したSの質量(g)/乾燥触媒質量(kg)]を算出した。結果を表1に示す。なお、以下では適宜、飽和硫黄吸着量の単位を(S-g/drycat-kg)と表記する。また、表1中の「nd」は、データ無しを意味する。
Figure 2014177595
表1に示されるように、シリカ/アルミナモル比が3であり、Cuの担持量が9質量%であるゼオライトで構成される比較例1の脱硫剤は、反応温度60℃での飽和硫黄吸着量が0.2(S-g/drycat-kg)と低い値であった。一方、シリカ/アルミナモル比が5以上40以下であり、Cuの担持量が2質量%以上8質量%以下であるゼオライトで構成される、実施例1〜5の脱硫剤は、反応温度30℃では飽和硫黄吸着量が0.5〜5.9(S-g/drycat-kg)と低い値であったが、反応温度60℃では飽和硫黄吸着量が9.2〜16.1(S-g/drycat-kg)と、実用可能な程度に高い値であった。このことから、脱硫剤として、シリカ/アルミナモル比が5以上40以下であり、脱硫剤の全質量に対して2質量%以上8質量%以下のCuを担持するゼオライトを用い、反応温度を45℃以上120℃以下に調節することで、水分及びメタノールの存在下において脱硫性能が向上することが確認された。また、ZSM−5型ゼオライトで構成される実施例5の脱硫剤は、反応温度60℃では他の実施例の脱硫剤に比べてより高い飽和硫黄吸着量であることが確認された。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
50 脱硫装置、 52 脱硫器、 54 加熱部、 70 改質器、 80 燃料電池、 100 燃料電池システム、 200 制御部。

Claims (4)

  1. シリカ/アルミナモル比が5以上40以下であり、脱硫剤の全質量に対して2質量%以上8質量%以下の銅を担持するゼオライトで構成される脱硫剤を有し、硫黄化合物と、水及びメタノールの少なくとも一方とを含む炭化水素系燃料から前記硫黄化合物を除去するための脱硫器と、
    前記脱硫器を加熱する加熱部と、
    脱硫器内の温度が45℃以上120℃以下となるように前記加熱部を制御する制御部と、
    を備えることを特徴とする脱硫装置。
  2. 前記ゼオライトは、Y型ゼオライト、USY型ゼオライト、β型ゼオライト及びZSM−5型ゼオライトからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の脱硫装置。
  3. 請求項1又は2に記載の脱硫装置と、
    前記脱硫装置で脱硫された炭化水素系燃料を改質ガスに改質する改質器と、
    前記改質ガスを用いて発電する燃料電池と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  4. シリカ/アルミナモル比が5以上40以下であり、脱硫剤の全質量に対して2質量%以上8質量%以下の銅を担持するゼオライトで構成される脱硫剤を有し、器内が45℃以上120℃以下の温度に調節された脱硫器に、硫黄化合物と、水及びメタノールの少なくとも一方とを含む炭化水素系燃料を流通させることを特徴とする炭化水素系燃料の脱硫方法。
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