JP2014177541A - 包装材および包装体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明によれば、粘稠性内容物を包装するための単層または多層の包装材であって、最内層が、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂と、特定のシリル化ポリオレフィンもしくはその誘導体、またはこれらの混合物と、を特定の割合で含有する組成物から形成される層である、包装材が提供される。
【選択図】なし
Description
特許文献1、2は粘稠性固形物の身離れ性については開示がない。
特許文献2には、油性の内容物の液切れ性については開示がない。
特許文献3、4で使用される界面活性剤は、成形体の表面からブリードアウトしやすいため、その効果が長続きしにくいことが懸念される。
粘稠性内容物を包装するための単層または多層の包装材であって、最内層が、
熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂、100重量部と、
式(1)で表される構造単位を含有するケイ素含有化合物と、GPC法で求めた数平均分子量が100以上500,000以下であるビニル基含有化合物との反応(ただし、前記ケイ素含有化合物として1分子に2個以上のSiH基を有するものを用い、かつ前記ビニル基含有化合物として1分子あたり平均2.0個以上のビニル基を有するものを用いる場合は除く)によって得られる、シリル化ポリオレフィンもしくはその誘導体、またはこれらの混合物、0.01〜10,000重量部と、
を含有する組成物から形成される層である、包装材が提供される。
−Si(R1)H−Y1− (1)
(式(1)中、R1は、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、
Y1はO、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)である。)
また、本発明によれば、粘稠性内容物を前記包装材で包装した包装体が提供される。
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態によってさらに明らかになる。
−Si(R1)H−Y1− (1)
式(1)中、R1は、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、
Y1はO、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ乳酸樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。また、本発明で用いられる熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ポリオレフィン樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、それぞれ1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
(Ia)ポリオレフィン樹脂
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂は特に制限はなく、従来公知のポリオレフィン樹脂を使用することができる。具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂(塩素化ポリオレフィン)、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体などが挙げられる。中でも、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂が好ましく用いられる。
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂は、典型的には、芳香族ジオール(例えばビスフェノールA)とホスゲンとを反応することにより得られる樹脂である。
このようなポリカーボネート樹脂は市販されており、例えば商品名NOVAREX(登録商標)(三菱化学社製)、パンライト(登録商標)(帝人化成社製)、レキサン(登録商標)(日本ジーイープラスチックス社製)等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
本発明で用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂は、典型的には、ジカルボン酸とジオールとを重縮合させて得られる樹脂である。本発明においては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート等が好ましく用いられる。
本発明で用いられるABS樹脂は、典型的には、ポリブタジエンにアクリロニトリルおよびスチレンをグラフト重合させて得られる耐衝撃性樹脂である。本発明においては、ポリブタジエン成分が5〜40重量%であって、スチレン成分とアクリロニトリル成分の重量比(スチレン/アクリロニトリル)が70/30〜80/20であるものが好ましい。
本発明で用いられるポリアセタール樹脂は、典型的には、ホルマリンあるいはトリオキサンを、所望に応じてエチレンオキサイドと共に、カチオン触媒の存在下に開環重合して得られる樹脂であり、ポリオキシメチレン鎖を主骨格とする樹脂である。本発明においては、コポリマータイプのものが好ましい。
本発明で用いられるポリアミド樹脂は、典型的には、ジアミンとジカルボン酸との重縮合、あるいはカプロラクタムの開環重合等により得られる樹脂である。本発明においては、脂肪族ジアミンと脂肪族または芳香族ジカルボン酸の重縮合反応物が好ましい。
本発明で用いられるポリフェニレンオキシド樹脂は、典型的には、2,6−ジメチルフェノールを銅触媒の存在下に酸化カップリングさせて得られる。さらにこれを変性した変性ポリフェニレンオキシド樹脂も、本発明において用いることができる。
本発明においては、ポリフェニレンオキシド樹脂とスチレン系ポリマーのブレンド変性物が好ましい。
本発明で用いられるポリイミド樹脂は、典型的には、テトラカルボン酸とジアミンとを重縮合させ、主骨格にイミド結合を生成させて得られる樹脂である。
本発明で用いられるポリウレタン樹脂は、好ましくは、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネートとポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等のポリオールとを主原料とし、両者を混合、反応させた樹脂である。
本発明で用いられるポリ乳酸樹脂は、好ましくは、乳酸がエステル結合によって重合した樹脂であり、例えば、ジフェニルエーテルなどの溶媒中で乳酸を減圧下加熱し、水を取り除きながら重合させることによってポリ乳酸が得られる。
本発明で用いられるフラン樹脂としては、フルフリルアルコールを主成分として含む混合物を重縮合して得られる樹脂が挙げられる。このような樹脂としては、例えば、フルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類とを重縮合して得られる樹脂がある。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、グリオキザール、フルフラール等の従来公知のアルデヒド化合物を使用することができる。
本発明で用いられるシリコーン樹脂としては、ジアルキルジクロロシランをはじめとする各種のシラン類を加水分解させ、生成したシラノールを脱水縮合して得られる重合体などが挙げられる。このような重合体としては、例えば、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシランやテトラクロロシランを加水分解し、脱水縮合するクロロシラン法により得られる重合体、ジメチルジメトキシシラン、トリメトキシシランやテトラメトキシシランを加水分解し、脱水縮合するゾル−ゲル法により得られる重合体が挙げられる。
上記の各熱硬化性樹脂について詳述する。なお、以下の説明は、各樹脂の熱硬化前の状態についてのものである。
本発明で用いられるエポキシ樹脂は、典型的には、芳香族ジオール(例えば、ビスフェノールA)とエピクロルヒドリンとをアルカリの存在下に反応させることにより得られる樹脂である。本発明においては、エポキシ当量170〜5000のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂が好ましい。
本発明で用いられる熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂は、典型的には、脂肪族不飽和ジカルボン酸と脂肪族ジオールとをエステル化反応させることにより得られる樹脂である。本発明においては、マレイン酸やフマル酸等の不飽和ジカルボン酸と、エチレングリコールやジエチレングリコール等のジオールとをエステル化反応して得られる樹脂が好ましい。
本発明で用いられるフェノール樹脂は、ノボラック型およびレゾール型のいずれをも包含する。本発明において、ヘキサメチレンテトラミンで硬化させるノボラック型やジメチレンエーテル結合を主体とする固形レゾールが好ましい。
本発明で用いられる熱硬化性ポリオレフィンとしては、特に制限はないが、例えば、DCPD(ジシクロペンタジエン)、ポリブタジエン樹脂などを挙げることができる。このような樹脂は市販されており、例えばDCPD樹脂としては、商品名「PENTAM(登録商標)」、「METTON(登録商標)」(リムテック社製)から選ばれる樹脂が挙げられる。
−Si(R1)H−Y1− (1)
式(1)中、R1は、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、
Y1はO、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)である。
炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等の直鎖状または分岐状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基等のシクロアルキル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアリールアルキル基が挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
また上記の炭化水素基は、1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。具体的には、これらの基の少なくとも一つの水素が、ハロゲン原子、酸素、窒素、ケイ素、リン、イオウを含む基で置換された基が挙げられる。
R22−(Si(R21)H−Y21)m−Z−(Y22−Si(R23)H)n−R24 (2)
式(2)中、R21およびR23はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、
R22およびR24はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、または炭化水素基であり、
Y21およびY22はそれぞれ独立して、O、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)であり、
mは0または1であり、
nは0または1であり、
R21、R23、Y21およびY22が複数存在する場合、各基は同一であっても異なっていてもよく、
Zは、式(3)で表される2価の基である:
−Si(R41)(R41)−(Y23−Si(R41)(R41))l− (3)
式(3)中、R41は水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、各R41はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、Y23はそれぞれ独立して、O、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)であり、
lは0〜10,000の整数である。
ただし、上記式(2)において、m=n=0の場合、式(3)において、少なくとも1つのR41は水素原子である。
また、式(1)、(2)、(3)における炭化水素基として、炭素原子と水素原子とのみからなるものであることも1つの典型的な実施態様である。
特に好ましい別のケイ素含有化合物としては、上記式(2)および式(3)において、m=1、n=0であり、R21およびR41は全て炭化水素基である化合物が挙げられる。
HSi(CH3)2O−(−Si(CH3)2−O−)d−Si(CH3)3 (2a)
(式(2a)中、dは1以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)
このような化合物として、より具体的には、以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
C4H9−((CH3)2SiO)9−(CH3)2SiH
C4H9−((CH3)2SiO)65−(CH3)2SiH
Si(CH3)3O−(−Si(CH3)2−O−)e−(−SiH(CH3)−O−)−Si(CH3)3 (2b)
(式(2b)中、eは、0以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)
なお、−Si(CH3)2−O−単位と−SiH(CH3)−O−単位とが並ぶ順序には特に制限はなく、ブロック的であっても無秩序であっても統計的ランダム的であっても良い。
Si(CH3)3O−SiH(CH3)−O−Si(CH3)3
本発明のケイ素含有化合物としてはまた、SiH基を2個以上有する化合物が挙げられる。
(CH3)3SiO−(−SiH(CH3)−O−)f−Si(CH3)3 (2c)
(式(2c)中、fは2以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)
(CH3)3SiO−(−Si(CH3)2−O−)g−(−SiH(CH3)−O−)h−Si(CH3)3 (2d)
(式(2d)中、gは1以上の整数であり、hは2以上の整数であり、gとhとの合計の上限は、例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)
このような化合物として、より具体的には、以下に示す化合物が挙げられるが、これに限定されない。
HSi(CH3)2O−(−Si(CH3)2−O−)i−Si(CH3)2H (2e)
(式(2e)中、iは1以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)
HSi(CH3)2O−(−Si(CH3)2−O−)5−Si(CH3)2H
HSi(CH3)2O−(−Si(CH3)2−O−)8−Si(CH3)2H
HSi(CH3)2O−(−Si(CH3)2−O−)18−Si(CH3)2H
HSi(CH3)2O−(−Si(CH3)2−O−)80−Si(CH3)2H
HSi(CH3)2O−(−Si(CH3)2−O−)230−Si(CH3)2H
HSi(CH3)2O−(−SiH(CH3)−O−)j−Si(CH3)2H (2f)
(式(2f)中、jは1以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)
HSi(CH3)2O−(−Si(CH3)2−O−)k−(−SiH(CH3)−O−)l−Si(CH3)2H (2g)
(式(2g)中、kおよびlは、それぞれ1以上の整数であり、kとlとの合計の上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)
また、−Si(CH3)2−O−単位と−SiH(CH3)−O−単位とが並ぶ順序には特に制限はなく、ブロック的であっても無秩序であっても統計的ランダム的であっても良い。
ビニル基含有化合物は、通常炭素数2〜50のオレフィンから選ばれる1種以上を重合又は共重合して得られるものである。
塩化ビニル、フッ化ビニル、フッ化アリルなどのハロゲン化オレフィン;アクリロニトリル、2−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エンなどの不飽和シアノ化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどの不飽和エーテル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等の不飽和アミド;
メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどの官能基含有スチレン誘導体;N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
A−CH=CH2 (4)
ここで、式(4)中、Aは1種以上の炭素数2〜50のαオレフィン由来の構成単位を含む重合鎖である。
本発明で用いられるシリル化ポリオレフィンは、どのような方法によって製造されたものでも使用できるが、好ましくは遷移金属触媒の存在下で、ビニル基含有化合物とケイ素含有化合物とを反応させ(ただし、上記ケイ素含有化合物として1分子に2個以上のSiH基を有するものを用い、かつ上記ビニル基含有化合物として1分子あたり平均2.0個以上のビニル基を有するものを用いる場合は除く)ることにより得られたシリル化ポリオレフィンもしくはその誘導体、またはこれらの混合物である。
A−CH=CH2 (4)
(式(4)中、Aは1種以上の炭素数2〜50のαオレフィン由来の構成単位を含む重合鎖である。)
さらに好ましくは、ビニル基含有化合物は、−CH=CH2がポリマー主鎖の末端に存在する構造(構造4−2)を有する。
なおさらに好ましくは、ビニル基含有化合物は、−CH=CH2がポリマー主鎖の末端のみに存在する構造(構造4−3)を有する。
なおさらに好ましくは、ビニル基含有化合物は、Aが炭素数2〜20のα−オレフィンのみからなり、さらに−CH=CH2がポリマー主鎖の末端のみに存在する構造(構造4−5)(構造4−1と構造4−3との組み合わせ)を有する。
本発明の目的および効果を損なわない範囲で任意の添加剤、たとえばヒンダードフェノール等のような酸化防止剤、耐熱剤、耐候剤、光安定剤、離型剤、流動改質剤、着色剤、顔料、滑剤、帯電防止剤、結晶核剤、可塑剤および発泡剤等を必要に応じてその有効発現量配合してもよい。
樹脂とシリル化オレフィンとを含有する本発明の組成物は、任意の方法を用い製造することができる。例えば熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂、シリル化ポリオレフィン、およびその他の添加剤を融解混練させて得ることができる。あるいは同時にまたは任意の順序で、タンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、単軸或いは二軸の押出機などで溶融混合させて得ることができる。シリル化ポリオレフィンは樹脂100重量部に対し0.01〜10,000重量部含有することが好ましく、より好ましくは0.1〜1,000重量部、更に好ましくは0.1〜100重量部、特に好ましくは0.5〜50重量部、もっとも好ましくは1〜20重量部である。本発明の包装体は、少量のシリル化ポリオレフィンで、粘稠性内容物の液切れ性、身離れ性を向上させることができる点で、工業的に有利である。特にビニル基含有化合物として前述した式(4)で表され、かつビニル基を主鎖の末端にのみ有する化合物を用いることが好ましく、さらに加えて、ケイ素含有化合物として、上記構造(2−1)をとるもの、とりわけ構造(2−2)をとるものを用いた場合がより望ましい。
このようなマスターバッチの製法としては上記のタンブラー、ミキサー、ブレンダー、ロール、押し出し機などを用いた公知の混合法を用いることが出来る。また、樹脂と上記マスターバッチとを用いて組成物を調製する場合も同様の方法を用いることが出来る。
本発明の包装材は、上述の組成物を、押出成形法、射出成形法、溶液流延法、インフレーション成形法、圧縮成形法、トランスファー成形法、注型成形法、等といった公知の成形方法により成形することにより得られる。特に加熱する過程を有する成形法が好ましく、溶融成形法(押出成形法、射出成形法、インフレーション成形法、圧縮成形法、トランスファー成形法、など)により成形することが特に好ましい。また加熱せずに成形したのち、包装体をアニール等しても良い。溶融成形法の場合、通常は樹脂の融点以上であって成形に適した流動性を持つ程度の温度まで加熱して溶融させて成形することが通常である。
また射出成形等により溶融パリソンを形成し、このパリソンを所望の型で挟み、このパリソンの内部に空気を吹き込んで膨張させた後、冷却固化して包装材を形成することも好ましい。
最内層の厚みは特に限定されないが、例えば、1μm〜1mmとすることができる。
他の基材層としては、特に限定されるものではなく、例えば前記した熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられるが、好ましくはポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、スチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6やナイロン6,6のようなポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体のようなガスバリヤー性のある樹脂が挙げられる。 また、アルミニウム等の金属箔、あるいはアルミニウムやシリカ等を蒸着させた蒸着フィルムや紙等も挙げられる。これらは包装材の使用目的に応じて適宜選択使用される。他の基材層は、1種類のみならず、2種類以上を組み合わせて積層して使用することもできる。
凹凸構造は、エンボス加工、ブラスト加工、ローレット加工、しわ加工、縦・横縞加工等により、凹凸パターンを点状、面状、島状、ストライプ状等に施して形成したものである。
本発明の包装体は、前記の包装材で粘稠性内容物を包装したものである。
本発明の粘稠性内容物は、水性でも、油性でもよく、水と油を含有するエマルジョンでもよい。また本発明の粘稠性内容物は液体、固体、スラリー、半固体、半液体、湿体などのいずれの状態であってもよい。
粘稠性内容物としては、例えば食料品、調味料、食品原料、医薬品、血液、栄養剤、農薬、肥料、化粧料、接着剤、塗料などが挙げられる。
食品関連では練り餡やフラワーペーストを充填する業務用フィルム、
カレー、シチュー、ミートソース、ホワイトソースなどを内包するパウチ、
ケチャップ、マヨネーズ、各種ペースト、食用油、味噌、ジャム、ヨーグルトなどを内包する容器、ボトルやチューブ等を、
農薬関連では、粘性のある薬剤、肥料、油剤、乳剤、水分散剤などを内包する容器、ボトルやチューブ等を、
医薬関連では、粘性のある薬剤、血液などを内包するフィルム、ボトルなどが挙げられる。
分子量、融点(Tm)、収率、転化率および異性化率、メルトマスフローレイト(MFR)は以下に記載の方法で測定・計算した。
数平均分子量Mn、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、ミリポア社製GPC−150を用い以下のようにして測定した。すなわち、分離カラムは、TSK GNH HTであり、カラムサイズは直径7.5mm、長さ300mmのものを使用した。カラム温度は140℃とし、移動相にはオルトジクロロベンゼン(和光純薬)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025質量%を用い、1.0ml/分で移動させた。試料濃度は0.1質量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとした。検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し、常法に従ってポリエチレン換算の値に換算した。
なお、以下の合成例にて、原料ポリマーのモル数はすべてMnに基づいた値で表している。
融点(Tm)はDSCを用い測定して得られたピークトップ温度を採用した。装置は島津製作所製DSC−60Aを使用した。対照セルはアルミナを使用し、窒素流量は50ml/分の設定で行った。また10℃/分で30℃から300℃までの昇温条件で測定した。この昇温測定の前に、一旦、樹脂を200℃程度まで昇温し、5分間保持した後、20℃/分で常温(25℃)まで降温する操作を行い、樹脂の熱履歴を統一することが望ましい。
シリル化ポリオレフィンの収率、転化率、異性化率、末端不飽和率、炭素千個あたりの二重結合数は1H−NMRによって決定される。収率は原料のビニル基含有化合物のモル数に対して得られたシリル化ポリオレフィンのモル数の割合、転化率は原料のビニル基含有化合物のモル数に対する同消費モル数の割合、異性化率は原料のビニル基含有化合物のモル数に対して生成したビニレン体のモル数の割合、末端不飽和率は原料であるビニル基含有化合物の主鎖末端ビニル基と末端メチル基の合計に対する主鎖末端ビニル基の割合、炭素千個あたりのビニル基数はプロトン数から導き出される炭素数に対するビニル基数の割合を炭素千個あたりのビニル基数に補正したものと定義される。なお、末端不飽和率および炭素千個あたりのビニル基数は一般的には原料であるビニル基含有化合物に対して適用するが、ヒドロシリル化が十分でない場合などには未反応原料の残存量の指標としてシリル化ポリオレフィンにも適用することがある。
YLD(%)=(SC/3)/(SC/3+SD+SE)×100
CVS(%)={1−SE/(SC/3+SD+SE)}×100
ISO(%)=SD/(SC/3+SD+SE)×100
VE(%)=SE/(SE/2+SH/3)×100
VN(個/1000C)=(SE+SF)/3×1000/{(SD+SE+SF+SG+SH+SI)/2}
ビニル基含有化合物としてのポリエチレンのメルトマスフローレイト(MFR)は、東京精機社製メルトインデキサー T−111を用い、190℃、2.16kg荷重で測定した。また、熱可塑性樹脂としてのポリプロピレンのMFRは、東京精機社製メルトインデキサー T−111を用い、230℃、2.16kg荷重で測定した。
液切れ評価は包装体内面に対象液体が均一に広がるようにしたあと、包装体を立てて液切れの様子を観察した。評価結果はそれぞれの比較例による液切れ性の×評価に対して、極めて改善されている(液切れ速度が比較例の10倍以上);◎、改善されている(液切れ速度が比較例の2倍以上);○、同程度(液切れ速度が比較例の2倍未満);△とした。
国際公開2012/098865公報の合成例2に記載の方法により合成した。この片末端ビニル基含有エチレン重合体(P−2)(単体)の物性は以下の通りであった。
融点(Tm)123℃
Mw=4770、Mw/Mn=2.25(GPC)
末端不飽和率 97%
(白金触媒組成物(C−1)の調製)
マグネットスターラーチップを入れた50mlサンプル管中、塩化白金(II)0.50gを、下記構造のヒドロシランA(HS(A)、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、品番:XF40−C2195)(10ml)中に懸濁し、窒素気流下、室温で攪拌した。190時間攪拌した後、シリンジにて反応液を約0.4ml採取し、0.45μmPTFEフィルターを用いて濾過して10mlサンプル管中に濾液を採取し、白金濃度が3.8重量%の白金触媒組成物(C−1)を得た。
ヒドロシランA(HS(A)):HSi(CH3)2O−(−Si(CH3)2−O−)18−Si(CH3)2H
(末端ビニル基を有するポリエチレンのヒドロシランへの導入−1)
300mlの2ツ口フラスコに、[合成例1]で得た片末端ビニル基含有エチレン重合体(Mw=4770、Mw/Mn=2.25(GPC)、末端不飽和率 97%)25.1g(11.8mmol)を装入し、窒素雰囲気下、ヒドロシランA(HS(A))8.7g(5.9mmol;Si−H基として11.8mmol相当)と、[合成例2]で調製した白金触媒組成物(C−1)をヒドロシランA(HS(A))で200倍希釈したもの(C−1a)150μl(Pt換算で1.4×10−6mmol)を装入した。予め内温130℃に昇温しておいた油浴中に、上記反応器をセットし、攪拌した。約3分後ポリマーは融解した。次いで6時間後に冷却し、メタノール約200mlを加え、300mlビーカーに内容物を取り出し2時間攪拌した。その後、固体をろ取しメタノールで洗浄し、60℃、2hPa以下の減圧下で乾燥させることにより、白色固体のシリル化ポリオレフィン(A−1)33.1gを得た。NMR解析の結果、得られたシリル化ポリオレフィン(A−1)は収率98%、オレフィン転化率100%、異性化率2%であった。MFRは測定上限値以上(MFR>100g/10min)であり、分子式より計算される(A−1)中のポリオルガノシロキサン含量は26重量%であった。
ポリプロピレン(プライムポリマー社製ポリプロピレン F107、MFR6.6g/10分)94.4重量部に上記のシリル化ポリオレフィン(A−1)5.6重量部をドライブレンドし、東芝機械製TEM−26SS 2軸押出機(L/D=60)にてシリンダー温度200℃で溶融混合し、樹脂組成物(D−1)を得た。得られた樹脂組成物(D−1)についてサーモ・プラスティックス工業社製3種3層フィルム成形装置を用いてTダイ温度210℃でD−1の単層フィルムを成形した。厚みは50(μm)である。得られた単層フィルムを二つ折にし、内容量約500mlの袋状になるようにヒートシールした後、OilBLACK860(オリエント化学工業社製)0.1g添加で着色した植物油(BOSCO社製 エキストラバージンオリーブオイル)即ち着色油100mlを充填し、窒素で袋を膨らませた後充填口をヒートシールして密封した。得られた包装体内面に植物油が均一に広がるようにしたあと、袋を立てて液切れの様子を観察した。比較例1に用いたポリプロピレンのみの包装体に比較して明らかに良好な液切れ性を示した。結果は表1にまとめて示す。
実施例1の着色油の代わりに種々の液体を適用して同様に操作した。結果を表1にまとめて示す。
実施例1の樹脂組成物(D−1)に変えてポリプロピレン(プライムポリマー社製ポリプロピレン F107、MFR6.6g/10分)のみを使用し、同様に操作した。液切れの様子を観察した結果、液切れ性不良だった。結果は表1にまとめて示す。
比較例1の着色油の代わりに種々の液体を適用して同様に操作した。結果を表1にまとめて示す。
実施例1と同様に操作し単層フィルムを成形した。得られた単層フィルムを二つ折にし、内容量約500mlの袋状になるようにヒートシールした後、500gの練り餡を充填した。圧迫して、フィルムと内容物を均一に行き渡らせ、充填口をヒートシールした。得られた包装体を室温下24時間放置した後、包装体の前述の充填口を切開して逆さにし、内容物を取り出して観察した。比較例6に用いたポリプロピレンのみの包装体に比較して明らかに包装体への付着物量が少なかった。結果は表2にまとめて示す。
実施例6の練り餡の代わりに種々の粘性物を適用して同様に操作した。結果を表2にまとめて示す。
実施例6の樹脂組成物(D−1)に変えてポリプロピレン(プライムポリマー社製ポリプロピレン F107、MFR6.6g/10分)のみを使用し、同様に操作した。身離れの様子を観察した結果、ある程度の包装体への付着量が観察された。結果は表2にまとめて示す。
比較例6の練り餡の代わりに種々の粘性物を適用して同様に操作した。結果を表2にまとめて示す。
また、包装材表面からのブリードアウトもしにくいため、それらの効果が経時的に低減しにくいことが期待される。
Claims (9)
- 粘稠性内容物を包装するための単層または多層の包装材であって、最内層が、
熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂、100重量部と、
式(1)で表される構造単位を含有するケイ素含有化合物と、GPC法で求めた数平均分子量が100以上500,000以下であるビニル基含有化合物との反応(ただし、前記ケイ素含有化合物として1分子に2個以上のSiH基を有するものを用い、かつ前記ビニル基含有化合物として1分子あたり平均2.0個以上のビニル基を有するものを用いる場合は除く)によって得られる、シリル化ポリオレフィンもしくはその誘導体、またはこれらの混合物、0.01〜10,000重量部と、
を含有する組成物から形成される層である、包装材。
−Si(R1)H−Y1− (1)
(式(1)中、R1は、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、
Y1はO、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)である。) - 前記ケイ素含有化合物が、式(2)の構造式で表される、請求項1に記載の包装材。
R22−(Si(R21)H−Y21)m−Z−(Y22−Si(R23)H)n−R24 (2)
(式(2)中、R21およびR23はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、
R22およびR24はそれぞれ独立して、ハロゲン原子または炭化水素基であり、
Y21およびY22はそれぞれ独立して、O、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)であり、
mは0または1であり、
nは0または1であり、
R21、R23、Y21およびY22が複数存在する場合、各基は同一であっても異なっていてもよく、
Zは、式(3)で表される2価の基であり、
−Si(R41)(R41)−(Y23−Si(R41)(R41))l− (3)
(式(3)中、R41は水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、各R41はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、Y23はそれぞれ独立して、O、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)であり、
lは0〜10000の整数である。)
ただし、前記式(2)において、m=n=0の場合、前記式(3)において、少なくとも1つのR41は水素原子である。) - 前記ビニル基含有化合物が、式(4)で表される構造を有する、請求項1または2に記載の包装材。
A−CH=CH2 (4)
(式(4)中、Aは炭素数2〜50のα−オレフィン由来の構造を含む重合鎖である。) - 最内層の表面に凹凸が施されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装材。
- 前記組成物を溶融成形して得られる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装材。
- フィルム、シート、袋、ボトル、カップ、箱、缶、トレー、チューブ、蓋、樽、壷およびタンクから選ばれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装材。
- 粘稠性内容物を請求項1〜6のいずれか1項に記載の包装材で包装した包装体。
- 粘稠性内容物が、食料品、調味料、食品原料、医薬品、血液、栄養剤、農薬、肥料または化粧料である、請求項7に記載の包装体。
- 粘稠性内容物が、スラリー、ペーストまたは高粘度液体である、請求項7または8に記載の包装体。
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