JP2014177061A - 液滴吐出ヘッドの駆動方法、液滴吐出ヘッドおよび画像形成装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッドの駆動方法、液滴吐出ヘッドおよび画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低コストで、薄膜ピエゾアクチュエータの経時における変位特性の低下を抑えて安定した吐出性能を確保する。
【解決手段】PZTからなるアクチュエータを用いた液滴吐出ヘッドで、正負何れか一方の極性の電圧を出力し、上部電極にパルス形状の電圧を、下部電極に直流電圧を印加する駆動ICを介して圧電素子に駆動波形を印加して液滴を吐出させる。駆動波形と次の駆動波形との間で、回復波形として、上部電極に、下部電極に印加した直流電圧とにより駆動電界とは逆極性の回復用電界を形成する電圧部分し、メニスカス固有周期と共振しないパルス形状の電圧を印加する。
【選択図】図12

Description

本発明は、液滴吐出ヘッドの駆動方法、この駆動方法を採用した液滴吐出ヘッド、及び、この液滴吐出ヘッドを採用した画像形成装置に関するものである。
一般に、プリンタ、ファックス、複写機、プロッタ、或いはこれらの内の複数の機能を複合した画像形成装置としては、例えばインクの液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを備えたインクジェット記録装置がある。インクジェット記録装置では、媒体を搬送しながら液滴吐出ヘッドによりインク滴を用紙に付着させて画像形成を行う。ここでの媒体は「用紙」ともいうが材質を限定するものではなく、被記録媒体、記録媒体、転写材、記録紙なども同義で使用する。また、画像形成装置は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液滴を吐出して画像形成を行う装置を意味する。そして、画像形成とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与する(単に液滴を吐出する)ことをも意味する。また、インクとは、所謂インクに限るものではなく、吐出されるときに液滴となるものであれば特に限定されるものではなく、例えばDNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる液滴の総称として用いる。
インクジェット記録装置における液滴吐出ヘッドは、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する加圧液室(インク流路、加圧室、圧力室、吐出室、液室等とも称される)と、加圧液室内のインクを吐出するための圧力発生手段で構成されている。圧力発生手段としては、加圧液室の一壁面を構成する振動板上に配置した圧電素子を用い、振動板を変位させることでインク滴を吐出させるピエゾ型のものが挙げられる。
さらに、最近では半導体プロセスやMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の進歩により、加圧液室を形成するSi基板に、薄膜ピエゾアクチュエータ(以下、薄膜ピエゾという)を構成する振動板や圧電素子の構成層の薄膜を直接形成し高密度に作り込むものが実用化されている。圧電素子は、基板側電極、圧電体層、表面電極から構成される。圧電体層の薄膜としては、ペロブスカイト型結晶構造を有する一般式Pb(Ti,Zr,M)Oで表される、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等が用いられている。しかしながら、駆動波形を繰り返し印加して薄膜ピエゾの駆動をおこなっていると、駆動波形に対する変位量(以下、変位特性という)が低下し、経時で吐出特性が低下してしまうという問題が発生した。
薄膜ピエゾの変位特性の低下に対して、以下のような電圧を印加して、その回復を図るものが提案がされている。
特許文献1には、圧電体薄膜の鉛と水分との反応による変位低下を課題として、駆動波形と駆動波形の間で直流電圧を回復波形として印加するものが記載されている。
特許文献2には、駆動波形と駆動波形の間で駆動波形を反転した回復波形を印加するものが記載されている。
特許文献3には、圧電体薄膜の非活性領域の変形による変位低下を課題として、駆動波形中に逆極性の電圧を含むように構成することで、薄膜ピエゾに駆動電界とは逆方向の電界形成するものが記載されている。
本発明者らは研究の結果、ペロブスカイト結晶構造を有するPZT等の圧電体薄膜を用いた薄膜ピエゾにおいて、圧電素子を一方向の駆動電界を印加しつづけると、以下の現象に起因した変位特性の低化が発生することを見出した。
圧電素子を駆動するために印加された電界により、PZT中の鉛欠陥が負電圧側の電極に向かって引き寄せられる。引き寄せられた鉛欠陥は、負電圧側の電極との界面でトラップされることで電極界面に偏在してしまう。この偏在した鉛欠陥が内部電界を生じて駆動波形の実効電圧を低下させ、薄膜ピエゾの変位特性が低下する。
さらに、この鉛欠陥のトラップは非常に深い準位であり、一度トラップされてしまうと容易にデトラップされず、通常の液滴を吐出させる使用条件内ではほぼ不可逆的な変化となる。すなわち、鉛欠陥のトラップという不可逆的な変化に起因する薄膜ピエゾの変位特性の低下は、通常の使用条件内で回復することはできず、経時で変位特性の低下が進行していく。
上記特許文献1は、薄膜ピエゾの、鉛と水分の反応による変位低下を課題として、駆動波形と駆動波形の間で直流電圧を印加するものである。直流電圧のみで、上記鉛欠陥の偏在を解消しようとするとかなり長い印加時間が必要であり、駆動波形と駆動波形の間で印加するシーケンスとして成立し難い。
上記特許文献3では、駆動波形中に逆極性の電圧を含むように構成することで、薄膜ピエゾに駆動電界とは逆方向の電界が形成され、電極との界面における鉛欠陥のトラップを解消する効果が得られる。しかしながら、駆動波形中に圧電素子の変位低下を抑制するための特性を有する一定条件の逆極性の波形を導入しているため、駆動波形に制約ができてしまい、安定した吐出性能が得られない場合がある。
上記特許文献2では、駆動電圧の印加後に、駆動電圧と同じ波形で極性を反転した電圧が印加するものである。これによれば、駆動電界とは逆方向の電界が形成され、電極との界面における鉛欠陥のトラップを解消する効果が得られる。しかしながら、駆動電圧と同じ波形の反対極性の電圧を出力する電源を新たに設けると、駆動ICが大幅なコスト増加を招いてしまう。また、特許文献2では、スイッチを用いて駆動波形の極性を反転させているが、スイッチを設けることによっても駆動ICのコスト増加を招いてしまう。液滴吐出ヘッドの製品化するためには、駆動ICのコストアップを抑えて、経時における変位特性の低下を抑えて安定した吐出性能を確保することが重要であり、駆動ICのコストが高くなると、製品として成立しない場合もある。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、低コストで、薄膜ピエゾアクチュエータの経時における変位特性の低下を抑えて安定した吐出性能を確保できる液滴吐出ヘッドの駆動方法、液滴吐出ヘッド、及び、画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、ノズルに連通する加圧液室を形成する基板上に、振動板と、一般式Pb(Ti,Zr,M)Oで表されるペロブスカイト型結晶構造をもつ圧電体薄膜を一対の電極で挟んだ圧電素子とを積層形成したアクチュエータを用い、
駆動ICを介して該圧電素子に、該加圧液室内に液滴を吐出させるための圧力変動を発生させるための駆動波形の電圧を印加し、該駆動波形と次の駆動波形との間に該圧電素子の変位特性の低下を抑制するための回復波形の電圧を印加する液滴吐出ヘッドの駆動方法において、
上記駆動ICは、正負何れか一方の極性を有する電圧を出力し、上記一対の電極のうちの一方の電極にパルス形状の電圧を、他方の電極に直流電圧を印加するものであり、
上記駆動波形は、吐出させない状態に対応する第1電界を上記圧電体薄膜に生じさせる電圧部分と、吐出させる状態に対応する第2電界を該圧電体薄膜に生じさせる電圧部分とを有し、
上記回復波形における該パルス形状の電圧は、吐出させない状態に対応する第3電界を該圧電体薄膜に生じさせる電圧部分と、該他方の電極に印加する直流電圧と共に、該第1の電界と第2の電界とのうち、鉛欠陥のトラップを生じさせる電界とは逆向きの回復用電界を該圧電体薄膜に生じさせる所定時間継続の電圧部分とを有し、該所定時間は、メニスカス共振周期よりも長く、且つ、該メニスカス周期の整数倍の以外の時間であることを特徴とするものである。
本発明によれば、低コストで、アクチュエータの経時における変位特性の低下を抑えて安定した吐出性能を確保できるという優れた効果がある。
本実施形態の液滴吐出ヘッドにおける薄膜ピエゾアクチュエータの基本構成を示す断面図。 薄膜ピエゾアクチュエータの基本的層構成を示す断面図。 本実施形態の液滴吐出ヘッドの断面図であり、(a)は幅方向、(b)はノズル列方向を示す。 本実施形態の液滴吐出ヘッドの製造工程を示す工程断面図(その1)。 本実施形態の液滴吐出ヘッドの製造工程を示す工程断面図(その2)。 液滴吐出ヘッドで液滴を吐出させる駆動波形の一例を示す図。 圧電素子に対する印加電圧と変位量との関係の一例を示すグラフ。 変位量の計測方法の説明図。 バイアス電圧を印加した駆動波形の一例の説明図。 圧電素子のヒステリシスカーブ。 本実施形態中でのパルス幅時間、立上り時間、立下り時間の説明図。 本実施形態の駆動波形と回復波形の説明図。 メニスカス共振周期の説明図。 実施例1に係る回復波形の説明図。 実施例2に係る回復波形の説明図。 実施例3に係る回復波形の説明図。 実施例4に係る回復波形の説明図。 実施例5に係る回復波形の説明図。 比較例1に係る回復波形の説明図。 実施例及び比較例の吐出速度の評価結果を示すグラフ。 本実施形態のインクジェットプリンタの斜視図。 本実施形態のインクジェットプリンタの機構部の側面図。
以下、本発明の一実施形態に係る液滴吐出ヘッドについて説明する。
図1は、本実施形態の液滴吐出ヘッドにおける薄膜ピエゾアクチュエータの基本構成を示す断面図である。この液滴吐出ヘッド51は、ノズル板2と、液室基板4と、振動板55と、圧電素子56とを積層している。ノズル板2には、インク滴を吐出するノズル20が形成されている。ノズル板2、液室基板4、及び振動板55により、ノズル20に連通する加圧液室14(インク流路、加圧室、圧力室、吐出室、液室等とも称される)が形成されている。振動板55は、加圧液室14の一壁面を形成している。
薄膜ピエゾアクチュエータ200は振動板55と圧電素子56とからなる。圧電素子56は、基板側電極となる下部電極151と、圧電体薄膜152と、表面電極となる上部電極153とを有する。圧電素子56は、電気信号を機械的変位に変換する素子である。圧電素子56は、液室基板4の一方の面に成膜された振動板55の、加圧液室14に対応する位置に設けられている。
液滴吐出ヘッド51は、薄膜ピエゾアクチュエータ200を駆動することで、ノズル20からインクの液滴を吐出するヘッドである。具体的には、液滴吐出ヘッド51は、圧電素子56の下部電極151または上部電極153に電圧を印加することで圧電体薄膜152に応力を発生させて振動板55を振動させる。この振動板55の振動に伴ってノズル20から加圧液室14内のインクを液滴状に吐出する機能を有する。なお、加圧液室14内にインクを供給するインク供給手段、インクの流路、流体抵抗等についての図示及び説明は省略している。
図2は、薄膜ピエゾアクチュエータの基本的層構成を示す断面図である。上述のように、圧電素子56は、液室基板4と振動板55とを積層形成した上に、下部電極151と、圧電体薄膜152と、上部電極153を積層して形成される。圧電素子56を、図1に示す形状に形成するためには、圧電体薄膜152と、上部電極153を形成した後に、所望の形状に圧電体薄膜152と、上部電極153の形状をエッチング技術により形成する。また、図示しない保護層、層間絶縁層(図5,6参照)は所望の部分にのみ形成すれば良く、所望の形状となるようエッチング技術により形成する。
以下、各層に使用される材料およびその製造プロセスに関して説明を加える。
液室基板4としては、シリコン単結晶基板を用いることが好ましく、通常100〜600[μm]の厚みを持つことが好ましい。面方位としては、(100)、(110)、(111)と3種あるが、半導体産業では一般的に(100)、(111)が広く使用されている。本実施形態においては、主に(100)の面方位を持つ単結晶基板を主に使用する。
また、図1に示すような加圧液室14を作製していく場合、エッチングを利用してシリコン単結晶基板を加工していくが、この場合のエッチング方法としては、異方性エッチングを用いることが一般的である。異方性エッチングとは結晶構造の面方位に対してエッチング速度が異なる性質を利用したものである。
例えば、KOH等のアルカリ溶液に浸漬させた異方性エッチングでは、(100)面に比べて(111)面は約1/400程度のエッチング速度となる。従って、面方位(100)では約54°の傾斜を持つ構造体が作製できるのに対して、面方位(110)では深い溝をほることができるため、より剛性を保ちつつ、配列密度を高くすることができることが分かっている。本実施形態で(110)の面方位を持った単結晶基板を使用することも可能である。但し、この場合、マスク材であるSiOもエッチングされてしまうということが挙げられるため、この辺りも留意して利用している。
振動板55としては、図1に示すように圧電素子56によって発生した力を受けて変形変位し、加圧液室14内のインク滴を吐出させる。このような機能を有するため、振動板55は所定の強度を有したものであることが好ましい。材料としては、Si、SiO、SiをCVD法により作製したものが挙げられる。さらに、下部電極151と、圧電体薄膜152の線膨張係数に近い材料を選択することが好ましい。
後述のように、圧電体薄膜152としては、一般的にPZTが使用される。そのため、振動板55として、圧電体薄膜152の線膨張係数8×10−6(1/K)に近い、5×10−6〜10×10−6の線膨張係数を有した材料が好ましく、さらには、7×10−6〜9×10−6の線膨張係数を有した材料がより好ましい。具体的な材料としては、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化オスミウム、酸化レニウム、酸化ロジウム、酸化パラジウム及びそれらの化合物等である。これらをスパッタ法もしくは、Sol−Gel法を用いてスピンコータにて作製することができる。
振動板55の膜厚としては0.1〜10[μm]が好ましく、0.5〜3[μm]がさらに好ましい。この範囲より小さいと、図1に示すような加圧液室14の加工が難しくなり、この範囲より大きいと振動板55が変形変位しにくくなり、インク滴の吐出が不安定になる。
下部電極151、上部電極153としては、金属材料としては従来から高い耐熱性と低い反応性を有する白金が用いられている。しかし、鉛に対しては十分なバリア性を持つとはいえない場合もあり、イリジウムや白金−ロジウムなどの白金族元素や、これら合金膜も挙げられる。また、白金を使用する場合には下地(特にSiO)との密着性が悪いために、Ti、TiO、Ta、Ta、Ta等を先に密着層として積層することが好ましい。作製方法としては、スパッタ法や真空蒸着等の真空成膜が一般的である。膜厚としては、0.05〜1[μm]が好ましく、0.1〜0.5[μm]がさらに好ましい。
また、圧電体薄膜152の変位の経時的な疲労特性に対する懸念から、下部電極151と圧電体薄膜152、および、圧電体薄膜152と上部電極153との間にSrRuO、LaNiOなどの導電性酸化物を電極部として積層することが好ましい。
圧電体薄膜152としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を使用する。PZTとは、ジルコン酸鉛(PbTiO)とチタン酸鉛(PbTiO)の固溶体で、その比率により特性が異なる。一般的に優れた圧電特性を示す組成は、PbZrOとPbTiOの比率が53:47の割合で、化学式で示すとPb(Zr0.53、Ti0.47)O、一般にはPZT(53/47)と示されるPZT等を使用することができる。
圧電体薄膜152は、例えば、スパッタ法若しくはSol−Gel法を用いてスピンコータにて作製することができる。その場合は、パターニング化が必要となるので、フォトリソグラフィを用いたエッチング等により所望のパターンを得る。
PZTをSol−Gel法により作製した場合、出発材料に酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒としてメトキシエタノールに溶解させ均一溶液を得ことで、PZT前駆体溶液が作製できる。金属アルコキシド化合物は大気中の水分により容易に加水分解してしまうので、前駆体溶液に安定化剤としてアセチルアセトン、酢酸、ジエタノールアミンなどを適量添加しても良い。
振動板55の全面にPZT膜を得る場合、スピンコート等の溶液塗布法により塗膜を形成し、溶媒乾燥、熱分解、結晶化の各々の熱処理を施すことで得られる。塗膜から結晶化膜への変態には体積収縮が伴うので、クラックの発生しない膜を得るには一度の工程で100nm以下の膜厚が得られるように前駆体濃度の調整が必要になる。
圧電体薄膜152の膜厚としては0.5〜5[μm]が好ましく、1〜2[μm]がより好ましい。この範囲より小さいと十分な変位を発生することができなくなり、この範囲より大きいと何層も積層させていくため、工程数が多くなりプロセス時間が長くなる。
次に、上記アクチュエータを用いた液滴吐出ヘッド51について説明する。
図3は本実施形態の液滴吐出ヘッドの断面図であり(a)は幅方向断面図、(b)はノズル列方向断面図である。なお、便宜上、(a)では液滴吐出ヘッドの右半分を、(b)では二つの加圧液室14に対応する部分のみ示している。
液室基板4には、加圧液室14、流体抵抗部15などのインク流路となる溝部が形成されている。
液室基板4としては、シリコン基板上にシリコン酸化膜を介してシリコンが張り合わされたSOI基板を用いている。また、振動板55は、SOI基板のシリコン層(Si層)表面にパイロ酸化法を適用し、シリコン酸化膜を形成したものである。そして、この振動板55の上に圧電素子56を形成して、薄膜ピエゾアクチュエータ200を構成する。
圧電素子56は、振動板55の上に下部電極151となる白金膜、圧電体薄膜152となるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)の膜、上部電極153となる白金膜の多層構造を積層することで形成している。下部電極151は共通電極であり、上部電極153は個別電極である。圧電素子56は、シリコン基板をエッチングすることにより形成された加圧液室14に対向する領域に形成されている。
液室基板4は、下部電極151及び上部電極153のそれぞれに電位を印加する配線部材154を備える。配線部材154としては、下部電極パッド部157を下部電極151に電気的に接続する下配線部材154aと、上部電極パッド部158を上部電極153に電気的に接続する上配線部材154bとが設けられている。また、液室基板4は、下部電極151及び上部電極153と配線部材154との層間に配置する層間絶縁膜155を備える。さらに、液室基板4には、配線部材154を保護するためのパッシベーション膜156が薄膜ピエゾアクチュエータ200の上面及び側面を覆うように配置されている。
ノズル板2は、厚さ30〜50[μm]のSUS(ステンレス鋼)基板からなり、プレス加工と研磨加工とによりノズル20が形成されている。このノズル20はノズル板2と液室基板4とを組み付けたときに、液室基板4の加圧液室14と対向し、加圧液室14と外部空間とを連通するように形成される。
保護基板3は、圧電素子保護空間22を形成する基板である。この保護基板3には、共通液室18としてインク流路となる溝部と、圧電素子56の保護及び変位を妨げないための圧電素子保護空間22とが形成されている。また、液室基板4の液室隔壁4aの剛性を高めるために振動板55を介して液室隔壁4aを補強する補強壁23が形成されている。補強壁23は、液室隔壁4aを補強することで、液室隔壁4aによって形成される加圧液室14全体を支えている。
また、振動板55には、保護基板3に形成された共通液室18から液室基板4に形成された加圧液室14へインクを供給する流路となる部分に個別供給口60が設けられている。液室基板4に薄膜ピエゾアクチュエータ200を形成し、保護基板を接合した基板はアクチュエータ基板1と呼ばれる。
次に、本実施形態の液滴吐出ヘッド51の製造方法について、製造工程を示す工程断面図である図4及び図5に従って説明する。本製造方法では、液室基板4であるシリコン基板に振動板55の材料及び圧電素子56の材料を成膜していくことで薄膜ピエゾアクチュエータ200を作成していく。
先ず、図4(a)に示すように、厚み400[μm]の<100>シリコン層(シリコン基板)の表面に、0.2[μm]厚のシリコン酸化膜及び2.0[μm]厚のシリコンを張り合わせたSOI基板を用いる。このSOI基板表面にパイロ(Wet)酸化法によりシリコン酸化膜を0.3[μm]形成し、これを振動板55とする。
その後、圧電素子56の下部電極151となる下白金層をスパッタ法により0.2[μm]成膜し、パターニングすることで図4(b)に示す状態となる。更に、ゾルゲル法により圧電体薄膜152を2[μm]成膜し、さらに上部電極153となる上白金層を0.1[μm]成膜する。その後、フォトリソグラフィイを用いたエッチングにより上部電極153及び圧電体薄膜152をパターニングする。これにより、図4(c)に示す状態となる。
次に、プラズマCVD法により層間絶縁膜155となる絶縁体層を0.3[μm]成膜し、リソエッチ法により圧電素子56の上部に開口部155cを形成する。また、層間絶縁膜155には、上導通部155b、下導通部155a及び貫通部155dをパターニングによって形成する。これにより、図4(d)に示す状態となる。
図4(d)に示す上導通部155bは、次に形成する上配線部材154bと上部電極153との導通部であり、下導通部155aは次に形成する下配線部材154aと下部電極151との導通部である。また、貫通部155dは、共通液室18から各個別インク供給室24へのインク供給孔となる開口部である。
更に、アルミ材料により、上配線部材154b、下配線部材154aなどの配線部材154となる層を形成することで、図4(e)に示す状態となる。この配線部材154によって形成される上配線部材154bは、圧電素子56の駆動による振動板55の振動によって応力を受ける。このため、振動板55の振動によって上配線部材154bが断線しないように、配線部材154としては、やわらかい導電性材料(本実施形態ではアルミニウム)を使い、1[μm]程度の厚い層厚で形成されている。
次に、配線部材154を保護するためのパッシベーション膜156としてプラズマCVD法によるシリコン窒化膜を2[μm]成膜し、パターニングする。そして、振動板55の個別供給口60となる部分を事前にエッチングする。これにより、図4(f)に示す状態となる。
次に、金をメッキ法により積層して、上部電極パッド部158と下部電極パッド部157とを同時に形成することにより、図5(a)に示す状態となる。上部電極パッド部158は上配線部材154bにより上部電極153に接続される。また、下部電極パッド部157は下配線部材154aにより下部電極151に接続される。このように、上部電極パッド部158及び下部電極パッド部157を金で形成することで、図示しない駆動ICとの電気的接続を低温のワイヤボンディングで接続できる。また、金は抵抗値が低く、上部電極153及び下部電極151の抵抗値を下げる効果が大きい。
なお、下部電極パッド部157は、上部電極パッド部158と形成工程を分けて形成してもよい。また、上部電極パッド部158及び下部電極パッド部157の材料としては、金に限らず、銅やアルミニウムなどを使用することもできる。しかし、金以外の材料を用いる場合は、その表面が他の層で覆われない上部電極パッド部158に対しては、腐食から保護する保護層が必要となる場合もある。
また、上述した液室基板4に対する成膜等とは、別途に、ガラス基板にブラスト加工で柱を形成した保護基板3を作成する。そして、上部電極パッド部158と下部電極パッド部157とを形成した後、液室基板4となる部分の振動板55を挟んでパッシベーション膜156側に接合する。これにより、図5(b)に示す状態となる。
さらに、液室基板4となる部分の振動板55を挟んで保護基板3を接合した側とは反対側の液室基板4の表面を、液室基板4が所望の厚さとなるまで研磨する。
保護基板3はシリコン製の板状部材にフォトリソグラフィを用いたエッチングで凹部を加工したものでも良く、<100>シリコン製の板状部材をTMAH、KOHなどのアルカリエッチング液を用いたウェットエッチングにより加工したものでも構わない。
また、樹脂モールドやメタルインジェクションモールドなどの成型部品でも構わない。また、駆動ICをアクチュエータ基板上に一体形成する際に、パイロ酸化法で形成した酸化膜をLOCOS酸化法で形成し、酸化膜の形成領域を選択することで、駆動ICを同一基板上に形成することもできる。
図5(b)に示す状態から液室基板4が所望の厚さとなるまで研磨した後、液室基板4の振動板55とは反対側となる面に対して、ICP((Inductively Coupled Plasma)ドライエッチングを行う。このICPドライエッチングによって加圧液室14、流体抵抗部15及び個別インク供給室24となる凹部を形成する。これにより、図5(c)の状態となる。
液室基板4を形成した後、別途に作成したノズル板2を液室基板4の液室隔壁形成面に接着することで、図5(d)の状態になる。ここで、ノズル板2は、厚さ30〜50[μm]のSUS基板にプレス加工と研磨加工によりノズル20を形成したものである。液室基板4にノズル板2を接着した後、圧電素子56の上部電極153及び下部電極151に接続された上部電極パッド部158と下部電極パッド部157とを不図示の駆動ICに接続する。これにより、液滴吐出ヘッド51の主要部分が完成する。
次に、本実施形態の液滴吐出ヘッド51の特徴部である駆動方法について説明する。
図6は、液滴吐出ヘッドで液滴を吐出させる駆動波形の説明図である。駆動波形としては、吐出させない状態に対応する第1電界を圧電体薄膜152に生じさせる電圧部分(V1)と、吐出させる状態に対応する第2電界を圧電体薄膜152に生じさせる電圧部分(V2)とを有するパルス形状の電圧を印加する。具体的には、図6に示すように、吐出させる状態に対応する第2電界の電位が異なる複数のパルス波形を組み合わせて用いることで、吐出させる液滴の体積を、大滴、中滴、小滴のように制御している。なお、図6においてdは、メニスカスの乾燥防止のための微小振動波形である。
また、本実施形態では、駆動IC(不図示)より、圧電素子56に駆動波形を印加する際、個別電極である上部電極153に上部電極パッド部158を介して駆動信号に基づき、上記パルス形状の電圧を印加する。同時に、共通電極である下部電極151に下部電極パッド部157を介して直流電圧Vdcをバイアス電圧として印加する駆動方法を用いている。これにより、以下のようにして圧電素子56の変位効率の向上を図っている。
図7は、圧電素子に対する印加電圧と変位量との関係の一例を示すグラフである。なお、図7では、印加電圧は、電位差の関係が 上部電極153>下部電極151 である状態を正として表している。また、変位量は、図8に示すようにレーザードップラーで加圧液室14側から変位量を計測した結果を用いている。図7中、矢印eで示す変位は、印加電圧として正側の電圧のみを用いている。これに対して、図7中、矢印fで示す変位は、矢印eで示す変位と同じ電位差を設けているが、正側から抗電界以下の負側の電圧まで使用したほうが、圧電素子の変位量が大きくなることを示している。このため、下部電極151より直流電圧Vdcを印加してバイアス電圧とすることで、上部電極153から印加されたパルス形状を有する電圧により、正側から負側の抗電界以下の電圧まで範囲を使用できるようにしている。
図9は、バイアス電圧を印加した駆動波形の一例の説明図である。本実施形態では、負側の抗電界Ecに対して、第2電界を圧電体薄膜152に生じさせる電圧(V2)の最小値Vminと、バイアス電圧Vdcとは、Vmin−Vdc>Ec の関係を満たせばよい。本実施形態では、図10から得られる圧電素子のヒステリシスカーブから得られる負側の抗電界(Ec)は−4Vである。このため、上部電極153より最小値Vmin=3Vのパルス形状の電圧を印加し、下部電極151よりVdc=6Vの直流電圧を印加することで、負側の抗電界以下の領域を使用して変位効率を向上させることができる。本実施形態中での、立上り時間幅Tf,パルス時間幅Pw,立下り時間Trは図11に基づく時間により定義される。図9において、駆動波形の立上り時間幅Tf,パルス時間幅Pw,立下り時間Trは、Tf=1μs、Pw=1.7μs、Tr=1μsの条件を用いている。なお、パルス波形とパルス波形の間隔は吐出させる液滴の体積等に基づき適宜調整される。
さらに、この駆動波形を形成する駆動ICを利用して、駆動波形と駆動波形との間で圧電素子の変位特性を回復するための回復波形を印加する。
図12は、本実施形態の駆動波形と回復波形の説明図である。駆動波形は、下部電極151から直流電圧Vdcを印加し、上部電極153から上述のパルス形状の電圧を印加する。なお、パルス形状で、吐出させない状態に対応する第1電界を圧電体薄膜に生じさせる電圧を中間電位V1とし、吐出させる状態に対応する第2電界を圧電体薄膜に生じさせる電圧をV2としている。これにより、所望の液滴が吐出される。
また、回復波形としては、駆動ICを介して、下部電極151に直流電圧Vdcをバイアス電圧として印加する。これと共に、上部電極153より吐出させない状態に対応する第3電界を圧電体薄膜152に生じさせる電圧部分(V3)と、直流電圧Vdcよりも小さい電圧部分(V4)を有するパルス波形の電圧を印加する。この回復波形では、パルス波形のV4の領域で直流電圧Vdcを印加した下部電極151との間に、駆動波形で形成される鉛欠陥のトラップを生じさせる電界とは逆向きの回復用電界が形成される。この逆電界により、駆動電界を繰り返し形成したことにより発生した、下部電極151との界面におけるPZTの圧電体薄膜152中の鉛欠陥のトラップを解消することができる。
なお、回復波形として上部電極153から印加されるパルス波形の最小値V4は、駆動波形として上部電極153と印加されるパルス波形のV2の最小値Vminと同じく、負側の抗電界Ecに対して、V4−Vdc>Ec の関係を満たせばよい。なお、駆動波形のパルス波形のV2の最小値であるVminと回復波形のパルス波形の最小値であるV4は等しい必要はない。
しかしながら、回復波形として、上部電極153に単に駆動時と同じパルス時間幅Pwのパルス波形を印加すると、駆動波形と駆動波形との間で不要な液滴を吐出させてしまう。具体的には、パルス時間幅Pwがメニスカス共振周期の整数倍または1周以下の時間であると、回復波形により発生した圧電素子の変位がメニスカス共振を励起して、加圧液室14内に液滴を吐出させるための圧力変動を生じさせてしまう。駆動波形と駆動波形との間で不要な液滴吐出させないためには、回復波形のパルス時間幅Pwを、メニスカス共振周期よりも長く、且つ、メニスカス周期の整数倍の以外の時間とする。さらに、回復波形のパルス時間幅Pwをメニスカス共振周期の反共振周期となる反整数値倍とすることが好ましい。これにより、駆動波形と駆動波形との間で、加圧液室14内に液滴を吐出するような圧力発生が起こらない状態とすることができる。
ここで、メニスカス共振周期とは、図13(a)に示すように加圧液室14内の振動によってメニスカス面が変位してしまう、液室固有の周期(図13(b)である。このメニスカス固有周期(時間)に近いパルス時間幅Pwの波形は、加圧液室内の圧力増幅を発生させる。また、メニスカス固有周期よりも短い時間の圧力変動(立上り時間Tf、立下り時間Tr)も、この振動の励起に寄与してしまい、圧力増幅を発生させてしまう。一方、メニスカス共振周期の反共振周期をパルス時間幅にもつパルス電圧を印加すると、圧力増幅が発生せずに、駆動波形と駆動波形との間で液滴を吐出するような圧力発生が起こらない状態とすることができる。さらに、立上り時間Tf、立下り時間Trをメニスカス共振周期よりも長くすると、圧力増幅が発生せずに、駆動波形と駆動波形との間で液滴を吐出するような圧力発生が起こらない状態とすることができる。
本実施形態では、上述のように圧電素子に液滴を吐出させる駆動波形を形成するための駆動ICを用いて、駆動電界とは逆方向の電界を形成する回復波形を形成する。回復波形としては、駆動波形を印加する駆動ICを用いて、上部電極153に印加するパルス波形の最小値と、パルス時間幅を上述のように調整することだけで実現可能である。また,本実施形態の液滴吐出ヘッド51では、駆動ICは正極性の電圧を出力するものであり、上部電極153にパルス波形の電圧を印加し、下部電極151に直流電圧を印加する構成であれば良い。このため、駆動波形と反対極性のパルス波形を出力する構成や、スイッチを用いて駆動波形の極性を反転する構成に較べて、駆動ICのコストアップが抑えられる。
次に、上記駆動方法を用いて形成した回復波形を実施例に基づき詳細に説明する。駆動波形としては、駆動IC(不図示)より上部電極パッド部158を介して上部電極153に中間電位V1とV2とを有するパルス形状の電圧を印加し、下部電極パッド部157を介して下部電極151に直流電圧Vdcを印加する。これにより、正電圧側が抗電界を越える150kV/cm、負極性側は抗電界を越えない−15kV/cmの電圧幅を持つ駆動波形を形成する。なお、以下の圧電体薄膜152に形成される電界強度を用いて説明をおこなう。
<実施例1>
上記駆動波形を500ms印加したあと、上部電極153にパルス波形、下部電極151に直流電圧Vdcを印加して、正極性側の電界強度が150kV/cm、逆極性の電界強度−15kV/cmを持つ回復波形を500ms印加する。この駆動波形と回復波形の組み合わせを1シーケンスとした波形を印加した。図14は、実施例1に係る回復波形の一例の説明図である。回復波形のパルス波形の立上り時間Tf、パルス時間幅Pw,立下り時間Trはメニスカス共振周期より長い。本実施形態の液滴吐出ヘッド51のヘッド構成ではメニスカス共振周期Tc=3.7μsのため、立上り時間Tf=25μs、パルス幅時間=25μs、立下りTr=25μsのパルス波形を印加した。パルス波形の電圧V3は、正極性側が中間電位(図12のV3)で、最小値(図12のV4)が直流電圧Vdcよりも小さく、負極性側での抗電界を超えないよう、V4−Vdc>Ec を満足するものである。本実施例では、−15kV/cmの逆電界を形成するパルス波形を印加した。
<実施例2>
図15は、実施例2に係る回復波形の説明図である。実施例1と同様の駆動波形を500ms印加し、回復波形として、正極性側は200kV/cm、負極性側は−15kV/cmとなるパルス波形を500ms印加したものを1シーケンスとする。回復波形のパルス波形は、実施例1と同様、立上り時間Tf=25μs、パルス幅時間=25μs、立下りTr=25μsである。
<実施例3>
図16は、実施例3に係る回復波形の説明図である。実施例1と同様の駆動波形を500ms印加し、回復波形として、正極性側は150kV/cm、負極性側は−15kV/cmとなるパルス波形を100ms印加し、その後400ms間は波形を印加しないものを1シーケンスとする。回復波形のパルス波形は、実施例1と同様、立上り時間Tf=25μs、パルス幅時間25μs、立下りTr=25μsである。
<実施例4>
図17は、実施例4に係る回復波形の説明図である。実施例1と同様の駆動波形を500ms印加し、400ms間は波形を印加せず、その後回復波形として、正極性側は150kV/cm、負極性側は−15kV/cmとなるパルス波形を100ms印加したものを1シーケンスとする。回復波形のパルス波形は、実施例1と同様、立上り時間Tf=25μs、パルス幅時間25μs、立下りTr=25μsである。
<実施例5>
図18は、実施例5に係る回復波形の説明図である。実施例1と同様の駆動波形を500ms印加し、回復波形として正極性側は150kV/cm、負極性側は−15kV/cmとなるパルス波形を100ms印加し、400ms間は波形を印加せず、再び回復波形を100ms印加したものを1シーケンスとする。回復波形のパルス波形は、実施例1と同様、立上り時間Tf=25μs、パルス幅時間25μs、立下りTr=25μsである。
<比較例1>
図19は、実施例5に係る回復波形の説明図である。実施例1と同様の方法で、駆動波形を500ms印加し、その後の500msでは波形は印加していない。
上述の圧電素子56を用い、実施例1〜5、比較例1の波形を印加して、吐出速度の変動評価をおこなった。初期の吐出速度を基準としてとしたときの1010回繰り返し、上記波形を印加した後の吐出速度の変化率を評価した。ここでは、回復波形のパルス数はカウントしておらず、駆動波形のパルス数のみをカウントした。図20に、1010回駆動での吐出速度の評価結果を示す。また、表1に、1010回繰り返した後の吐出速度の変化率をまとめた。変化率については正符号となっているのは初期よりも吐出速度が速くなっている状態、負符号は初期の吐出速度よりも遅くなっている状態である。

Figure 2014177061
実施例1〜5については、すべて吐出速度の変動幅が5%内程度に収まっている。これは、上記駆動方法による回復波形により圧電素子の阻止の変位の変動が抑制されたために、吐出速度の変動が抑制されていることが分かる。これは、駆動波形を繰り返し形成したことにより発生した、PZTの圧電体薄膜152中の鉛欠陥の下部電極151との界面におけるトラップを、回復波形により形成される逆電界が取り除いているためである。さらに、回復波形は負極性側で抗電界Ecを超えていないため、圧電体薄膜152の分極状態は長期駆動を実施しても反転を繰り返すことはない。そのため、圧電素子56にかかる負担が小さく、安定した変位を得ることができるとともに、抗電界での分極反転に伴う電流増大といった問題も回避することができる。
実施例1の波形ではメニスカス固有周期よりも長い立上り時間、立下り時間を有するため、共振が抑えられ、液室内の圧力増幅を抑制し、回復動作時の液滴の吐出を抑えている。
実施例2においては回復波形の正側の電界強度を駆動波形の電界強度よりも高くしているが、電界強度を高くしても求める効果の発現が確認されている。回復波形の正側の電界強度は駆動波形の中間電位V1により形成される電界強度相当が好ましく、中間電位よりも高い方がなお好ましい。これは駆動波形以上の電圧幅で圧電体を動かすことで、駆動波形で用いる電圧内での圧電体の変形の仕方を安定化させるためである。
実施例3、4、5においては回復波形の印加時間が短くなっても効果の発現が達成できている。回復波形の印加時間が短くても、駆動波形の印加時間分でトラップされた欠陥の解消が出来ているためである。回復波形の印加時間は100ms以上が好ましい。また、回復波形の印加タイミングは駆動波形の直前もしくは直後が好ましく、前後ともに印加されることがより好ましい。これは、駆動波形の印加に伴うトラップされた電荷をリセットするため、駆動の直後または、直前に行うことでリセットの効果が最大限得られるためである。
また、パルス電圧の形状に関しては、特許文献1にように、負側の直流電圧だけを印加するものでは、本発明のような効果が十分に発現しなかった。これは抗電界以下では印加時間が十分に確保できない点、直流のみでは電極表面に電荷が過剰に蓄積し、その影響で回復効果を十分に得ることができなくなっているためと考えられる。このため、回復波形をパルス形状にすることで、電界を十分に圧電体に印加することを実現している。
比較例1では吐出速度の変動幅が大きくなっている。比較例1においては回復波形を印加していないため、駆動中にトラップされる電荷のリセットができていないため、経時的に電荷の偏在が進行しているためである。
次に、上記液滴吐出ヘッドを搭載する画像形成装置としてのインクジェットプリンタについて説明する。インクジェットプリンタには、騒音が極めて小さくかつ高速印字が可能であり、更にはインクの自由度があり安価な普通紙を使用できるなど多くの利点がある。そのため、プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像記録装置或いは画像形成装置として広く展開されている。
まず、インクジェットプリンタ(以下、プリンタという)の基本的な構成について説明する。図21は、プリンタ100の斜視図であり、図22は、プリンタ100主走査方向の図21中の手前側から見たときのインクカートリッジ102を含む断面における概略断面図である。
プリンタ100は、キャリッジ101と、液滴吐出ヘッド51と、インクカートリッジ102とを含んで構成される印字機構部103を本体内部に有している。キャリッジ101は、プリンタ100本体内部において、用紙Sの搬送方向に対して直交方向である主走査方向(図21中の矢印A方向、図22中の紙面に直交する方向)に移動可能な部材である。液滴吐出ヘッド51は、キャリッジ101に搭載した液滴吐出ヘッドの一例であるインクジェットヘッドであり、インクカートリッジ102は液滴吐出ヘッド51にタンク部102a内のインクを供給する。
図22に示すように、プリンタ100は、印字機構部103の下方に給紙機構部104を有している。プリンタ100は、詳細は後述するが、給紙機構部104の給紙トレイ230または手差しトレイ105から給送される用紙Sを装置内に取り込む。そして、印字機構部103によって所定の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ106に排紙する。
液滴吐出ヘッド51は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のインクを吐出するインク吐出ヘッドである。液滴吐出ヘッド51は、複数のインク吐出孔(後述する「ノズル20」)を、主走査方向に対して直交する副走査方向(図中の矢印B方向)に配列している。また、液滴吐出ヘッド51は、インクの吐出方向が下方となるようにキャリッジ101に装着されている。
印字機構部103のキャリッジ101には、液滴吐出ヘッド51に供給するためのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及び、ブラック(B)の各色のインクを収容した四つのインクカートリッジ102がそれぞれ交換可能に装着されている。
インクカートリッジ102のタンク部102aの上方(図22中の上方)には、大気と連通する不図示の大気口が備えられている。また、タンク部102aの下方には、タンク部102a内のインクを液滴吐出ヘッド51に向けて排出するインク排出口102bが設けられている。さらに、タンク部102aの内部には、インクが充填された不図示の多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力により液滴吐出ヘッド51へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。
液滴吐出ヘッド51としては、プリンタ100では、各色に対応した複数のヘッド部を用いる構成となっているが、各色のインクを吐出するノズルを有する一個のヘッド部でもよい。
印字機構部103はキャリッジ101を保持する保持手段として、プリンタ100本体の主走査方向の両側面板(100a及び100b)に横架したガイド部材として、主ガイドロッド107と従ガイドロッド108とを有する。主ガイドロッド107は、キャリッジ101の後方側(用紙搬送方向下流側、図22中の右側)を貫通する。また、従ガイドロッド108は、主ガイドロッド107と一定間隔をおいて並行に延在し、キャリッジ101の前方側(用紙搬送方向上流側、図22中の左側)が載置される。キャリッジ101は、主ガイドロッド107及び従ガイドロッド108によって主走査方向に移動可能なように摺動自在に保持されている。
また、印字機構部103は、キャリッジ101を主走査方向に移動走査するための移動手段として、タイミングベルト112を有する。さらに、印字機構部103は、タイミングベルト112を張架する駆動プーリ110及び従動プーリ111と、駆動プーリ110を回転駆動する主走査モータ109とを有している。図21に示すように、駆動プーリ110はプリンタ100本体の一方の側面板(100b)側に配置し、従動プーリ111は、本体の他方の側面板(100a)側に配置して、タイミングベルト112が主走査方向に平行に延在するようにしている。また、タイミングベルト112にはキャリッジ101が固定されている。
主走査モータ109は、駆動プーリ110を正逆回転させる駆動源であり、駆動プーリ110が回転すると、タイミングベルト112が主走査方向に沿って無端移動する。キャリッジ101は、タイミングベルト112に固定されているため、タイミングベルト112とともに主走査方向に移動する。このため、主走査モータ109によって駆動プーリ110を正逆回転させることで、キャリッジ101が主走査方向に往復移動される。
給紙機構部104は、用紙Sを積載した給紙トレイ230と、給紙ローラ113と、フリクションパッド114と、ガイド部材115と、搬送ローラ116とを備える。給紙トレイ230は、図22中の右側から複数枚の用紙Sの束を積載可能となっており、プリンタ100本体に対して着脱可能に装着されている。
給紙ローラ113及びフリクションパッド114は、用紙Sを、液滴吐出ヘッド51の下方に搬送するために、給紙トレイ230内にセットした用紙Sの束の最上段の一枚を分離給紙する。ガイド部材115は、給紙トレイ230から分離給紙された用紙Sを搬送ローラ116によって搬送される領域に案内する。
給紙ローラ113によって給紙され、ガイド部材115によって案内された用紙Sを、搬送ローラ116が反転させて、液滴吐出ヘッド51の下面と対向する位置に搬送する。また、搬送ローラ116の周囲には、搬送コロ117及び先端コロ118が配置されている。搬送コロ117は用紙Sを搬送ローラ116に押し付けて、用紙Sが搬送ローラ116から分離することを防止している。先端コロ118は、液滴吐出ヘッド51の下面と対向する位置に所定の送り出し角度で用紙Sを送り出す。搬送ローラ116は、副走査モータ130によって不図示のギヤ列を介して回転駆動が伝達され、図22中の時計周り方向に回転する。
液滴吐出ヘッド51の下面と対向する位置には、印写受け部材119が設けられている。印写受け部材119は、キャリッジ101の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ116から送り出された用紙Sを液滴吐出ヘッド51の下方側で案内する用紙ガイド部材である。この印写受け部材119の用紙搬送方向下流側には、用紙Sを排出方向に送り出すための印写後搬送ローラ120と、印写後搬送ローラ120に対向する印写後搬送拍車121とが配置されている。さらに、印写後搬送ローラ120によって送り出された用紙Sを排紙トレイ106に排出する排紙ローラ123と排紙ローラ123に対向する排紙拍車124とを備えている。また、印写後搬送ローラ120と排紙ローラ123との間には、排紙経路を形成する一対のガイド部材として下ガイド部材125及び上ガイド部材126が配設されている。
また、プリンタ100には、手差しで用紙Sを給紙するための手差しトレイ105が設けられている。この手差しトレイ105は、トレイ開閉軸105bを中心にプリンタ100本体に対して開倒可能に取り付けられている。この手差しトレイ105上に載置された用紙Sは、手差し給紙ローラ105aによって搬送ローラ116に搬送される。
印字機構部103における主走査方向のキャリッジ101の移動範囲の一端である、図21中の右手前側の記録領域を外れた位置には、液滴吐出ヘッド51の吐出不良を回復するための回復装置127を配置している。回復装置127は、キャッピング部材と吸引手段とクリーニング手段とを有している。印字待機中には、キャリッジ101を回復装置127側(図21中の右手前側)に移動し、不図示のキャッピング部材で液滴吐出ヘッド51をキャッピングする。これにより、液滴吐出ヘッド51のノズルを湿潤状態に保つことができ、インク乾燥による吐出不良を防止することができる。また、記録途中などに回復装置127と対向する位置にキャリッジ101を移動し、記録とは関係しないインクを吐出することにより、全てのノズルのインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持することができる。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング部材で液滴吐出ヘッド51下面のノズルを密封し、キャッピング部材に設けられた不図示のチューブを通して、吸引手段でノズルからインクとともに気泡等を吸い出す。さらに、ノズルが開口しているヘッド面(下面)に付着したインクやゴミ等は不図示のヘッド面クリーニング手段により除去され、吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、プリンタ100本体下部に設置された不図示の廃インクタンクに排出され、廃インクタンク内部のインク吸収体に吸収保持される。
次に、プリンタ100のプリント動作について説明する。
プリンタ100は、パーソナルコンピュータ等の外部装置から画像情報などの信号が送られ、プリント動作を実行する。プリント動作が実行されると、給紙トレイ230から給紙ローラ113によって、または、手差しトレイ105から手差し給紙ローラ105aによって、用紙Sが給紙される。給紙トレイ230から給紙された用紙Sは、ガイド部材115や搬送コロ117に案内されて、搬送ローラ116に搬送されつつ反転し、液滴吐出ヘッド51と対向する位置に搬送される。一方、手差しトレイ105から供給された用紙Sは、搬送コロ117に案内されて、搬送ローラ116に搬送されて液滴吐出ヘッド51と対向する位置に搬送される。
液滴吐出ヘッド51に対向する位置に搬送された用紙Sが所定位置に達したら、搬送ローラ116の回転を停止して用紙Sの移動を停止する。そして、キャリッジ101が画像信号に応じて主走査方向に往復移動しながら、停止した用紙Sの所定箇所に所定のインクを吐出して一行分の画像を用紙Sに形成する。ここで、一行とは、液滴吐出ヘッド51が用紙Sへ記録可能な副走査方向(液滴吐出ヘッド51に対向する位置での用紙Sの移動方向)の範囲を言う。
主走査方向に一行分の画像形成が終了したら、搬送ローラ116を所定時間回転させ、用紙Sを一行分、排紙トレイ106方向に移動させて停止する。そして、キャリッジ101が画像信号に応じて主走査方向に往復移動しながら一行分の画像を形成する。
このような工程を所定回数繰り返して行い、用紙Sに所望の画像をプリントする。外部装置から記録終了信号を受信して所望の画像がプリントされた場合、または、用紙Sの後端が記録領域に到達した信号を受信した場合には、用紙Sは、排紙トレイ106に排出される。このとき、用紙Sは、印写後搬送ローラ120及び印写後搬送拍車121と排紙ローラ123及び排紙拍車124とによって搬送され、排紙トレイ106に排出される。画像形成が終了すると、キャリッジ101を図21中右手前側の回復装置127と対向する位置に移動させ、図示しないキャッピング部材で液滴吐出ヘッド51のノズルをキャッピングする。
このように、このインクジェットプリンタにおいては、上記実施例1〜5の駆動波形および回復波形を有した波形で駆動させるインクジェットヘッドを搭載する。これにより、安定したインク滴吐出特性が得られて、画像品質が向上する。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次に態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
ノズル20に連通する加圧液室14を形成する液室基板4などの基板上に、振動板55と、一般式Pb(Ti,Zr,M)Oで表されるペロブスカイト型結晶構造をもつ圧電体薄膜152を下部電極151、上部電極153などの一対の電極で挟んだ圧電素子56とを積層形成した薄膜ピエゾアクチュエータ200などのアクチュエータを用い、駆動ICを介して圧電素子に、加圧液室内に液滴を吐出させるための圧力変動を発生させるための駆動波形の電圧を印加し、駆動波形と次の駆動波形との間に圧電素子の変位特性の低下を抑制するための回復波形の電圧を印加する液滴吐出ヘッドの駆動方法である。駆動ICは、正負何れか一方の極性を有する電圧を出力し、一対の電極のうちの一方の電極にパルス形状の電圧を、他方の電極に直流電圧を印加するものであり、駆動波形は、吐出させない状態に対応する第1電界を上記圧電体薄膜に生じさせる電圧部分と、吐出させる状態に対応する第2電界を圧電体薄膜に生じさせる電圧部分とを有し、回復波形におけるパルス形状の電圧は、吐出させない状態に対応する第3電界を圧電体薄膜に生じさせる電圧部分と、他方の電極に印加する直流電圧と共に、第1の電界とは第2の電界のうち、鉛欠陥のトラップを生じさせる電界とは逆向きの回復用電界を圧電体薄膜に生じさせる所定時間継続の電圧部分とを有し、所定時間は、メニスカス共振周期よりも長く、且つ、メニスカス周期の整数倍の以外の時間である。
(態様A)においては、駆動ICは正負何れか一方の極性の電圧を出力し、一方の電極にパルス形状の電圧を、他方の電極に直流電圧を印加するよう構成する。この駆動ICを用いて、駆動波形と駆動波形との間で、駆動電界とは逆方向の電界を形成する回復波形の電圧を印加する。これにより、駆動ICのコストを抑えつつ、経時における変位特性の低下を抑えて安定した吐出性能を確保するものである。
液滴吐出時は、上記第1電界と上記第2電界を形成する駆動波形の電圧を圧電素子に印加して圧電素子を駆動することで、加圧液室内に液滴を吐出させるための圧力変動を発生させる。回復波形として、一方の電極に、上記第3電界を形成する電圧部分と、他方の電極に印加する直流電圧と共に、鉛欠陥のトラップを生じさせる電界とは逆向きの回復用電界を生じさせる所定時間継続の電圧部分とを有するパルス形状の電圧を印加する。トラップを生じさせる電界とは逆向きの回復用電界が形成された所定時間では、圧電体薄膜の電極界面に偏在する鉛欠陥のトラップを解消する効果が得られる。
しかしながら、上記第3電界を形成する電圧部分と、上記回復用電界を形成する電圧部分を有する波形の電圧を圧電素子に印加すると、駆動波形と駆動波形との間で不要な液滴を吐出させてしまう虞がある。これは、回復用電界を生じさせる電圧の継続時間が、メニスカス共振周期の整数倍または1周以下の時間の場合である。この場合、回復波形により発生した圧電素子の変位がメニスカス共振を励起して、加圧液室内に液滴を吐出させるための圧力変動を生じさせてしまうためである。駆動波形と駆動波形との間で不要な液滴吐出させないためには、回復用電界を生じさせる電圧の継続時間を、メニスカス共振周期よりも長く、且つ、メニスカス周期の整数倍の以外の時間とする。これにより、上記第3電界と上記回復用電界を形成する波形の電圧を駆動波形と駆動波形との間で、加圧液室内に液滴を吐出するような圧力発生が起こらない状態とすることができる。
本発明の駆動方法では、駆動ICは正負何れか一方の極性の電圧を出力するものである。この駆動ICを用いて、一方の電極に印加するパルス形状の電圧の値とその継続時間を上述のように調整することだけで、液滴を吐出させずに回復用電界を形成することができる。このため、駆動ICのコストアップが、回復用電界を形成するために正負両極性のパルス形状の電圧を出力するような構成の駆動ICや、スイッチを用いて駆動波形の極性を反転する構成の駆動ICに較べて大幅に抑えられる。これにより、低コストで、薄膜ピエゾアクチュエータの経時における変位特性の低下を抑えて安定した吐出性能を確保できる。
(態様B)
(態様A)において、回復用電界は上記圧電素子の抗電界未満である。これによれば、圧電体薄膜の分極状態は長期駆動を実施しても反転を繰り返すことはない。このため、圧電素子にかかる負担が小さく、安定した変位を得ることができるとともに、抗電界での分極反転に伴う電流増大といった問題も回避することができる。
(態様C)
(態様A)または(態様B)において、上記一対の電極のうち下部電極151等の基板側の電極に直流電圧を印加し、上部電極153など反対側の電極に上記パルス電圧を印加する。これによれば、駆動電界を繰り返し形成したことにより基板側の電極との界面に発生した圧電体薄膜中の鉛欠陥のトラップを解消して、経時における変位特性の低下を抑制することができる。
(態様D)
(態様A)、(態様B)または(態様C)の何れかにおいて、駆動波形と次の駆動波形との間で、他方の電極に印加されるパルス波形の電圧の立上り時間Tf、及び、立下り時間Trがメニスカス共振周期よりも長い。メニスカス固有周期よりも短い時間の圧力変動(立上り時間Tf、立下り時間Tr)も、この振動の励起に寄与してしまい、圧力増幅を発生させてしまう。立上り時間Tf、立下り時間Trがメニスカス固有周期よりも短い時間であると、圧力増幅が発生せずに、駆動波形と駆動波形との間で液滴を吐出するような圧力発生が起こらない状態とすることができる。
(態様E)
(態様A)、(態様B)、(態様C)または(態様D)の何れかにおいて、回復波形における回復用電界を生じさせるための電圧を印加するパルス波形の電圧のパルス時間幅Pwはaメニスカス共振周期の半整数倍の時間である。これによれば、圧力増幅が発生せずに、駆動波形と駆動波形との間で液滴を吐出するような圧力発生が起こらない状態とすることができる。
(態様F)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)または(態様E)の何れかにおいて、駆動波形と次の駆動波形との間で、上記他方の電極に印加されるパルス電圧の最大値V4が、駆動波形として上記他方の電極に印加されるパルス電圧の最大値V1以上である。これによれば、駆動波形以上の電圧幅で圧電体を動かすことで、駆動波形で用いる電圧内での圧電体の変形の仕方を安定化させることができる。
(態様G)
ノズル20に連通する加圧液室を形成する液室基板4上に、振動板55と、一般式Pb(Ti,Zr,M)Oで表されるペロブスカイト型結晶構造をもつ圧電体薄膜152を一対の電極で挟んだ圧電素子とを積層形成した液滴吐出ヘッドにおいて、(態様A)乃至(態様F)の何れかの液滴吐出ヘッドの駆動方法により液滴吐出ヘッドを駆動する駆動ICを備える。これによれば、上記実施形態について説明したように、低コストで、薄膜ピエゾアクチュエータの経時における変位特性の低下を抑えて安定した吐出性能を確保できる。
(態様H)
媒体を搬送しながら、液滴吐出手段により吐出した液滴を媒体に付着させて画像形成を行う画像形成装置において、液滴吐出手段として(態様G)の液滴体吐出ヘッドを採用する。これによれば、低コストで、高品位な画像が得られる画像形成装置を提供できる。
1 アクチュエータ基板
2 ノズル板
4 液室基板
14 加圧液室
18 共通液室
20 ノズル
51 液滴吐出ヘッド
55 振動板
56 圧電素子
151 下部電極(基板側の電極)
152 圧電体薄膜
153 上部電極(表面側の電極)
154 配線部材
154a 下配線部材
154b 上配線部材
157 下部電極パッド部
158 上部電極パッド部
100 プリンタ
200 薄膜ピエゾアクチュエータ
特開2009−071113号公報 特許4594069号公報 WO2006/137528号公報 特許3797161号公報

Claims (8)

  1. ノズルに連通する加圧液室を形成する基板上に、振動板と、一般式Pb(Ti,Zr,M)Oで表されるペロブスカイト型結晶構造をもつ圧電体薄膜を一対の電極で挟んだ圧電素子とを積層形成したアクチュエータを用い、
    駆動ICを介して該圧電素子に、該加圧液室内に液滴を吐出させるための圧力変動を発生させるための駆動波形の電圧を印加し、該駆動波形と次の駆動波形との間に該圧電素子の変位特性の低下を抑制するための回復波形の電圧を印加する液滴吐出ヘッドの駆動方法において、
    上記駆動ICは、正負何れか一方の極性を有する電圧を出力し、上記一対の電極のうちの一方の電極にパルス形状の電圧を、他方の電極に直流電圧を印加するものであり、
    上記駆動波形は、吐出させない状態に対応する第1電界を上記圧電体薄膜に生じさせる電圧部分と、吐出させる状態に対応する第2電界を該圧電体薄膜に生じさせる電圧部分とを有し、
    上記回復波形における該パルス形状の電圧は、吐出させない状態に対応する第3電界を該圧電体薄膜に生じさせる電圧部分と、該他方の電極に印加する直流電圧と共に、該第1の電界と第2の電界とのうち、鉛欠陥のトラップを生じさせる電界とは逆向きの回復用電界を該圧電体薄膜に生じさせる所定時間継続の電圧部分とを有し、該所定時間は、メニスカス共振周期よりも長く、且つ、該メニスカス周期の整数倍の以外の時間であることを特徴とする液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  2. 請求項1の液滴吐出ヘッドの駆動方法において、上記回復用電界は上記圧電素子の抗電界未満であることを特徴とする液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  3. 請求項1または2の液滴吐出ヘッドの駆動方法において、上記駆動ICは、上記一対の電極のうち上記基板側の電極に直流電圧を印加し、反対側の電極に上記パルス形状の電圧を印加することを特徴とする液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  4. 請求項1、2または3の何れかの液滴吐出ヘッドの駆動方法において、上記回復波形におけるパルス形状の電圧の立上り時間、及び、立下り時間が上記メニスカス共振周期よりも長いことを特徴とする液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  5. 請求項1、2、3または4の何れかの液滴吐出ヘッドの駆動方法において、上記回復波形における上記回復用電界を生じさせるための電圧を印加する上記所定時間はメニスカス共振周期の半整数倍の時間であることを特徴とする液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  6. 請求項1、2、3、4または5の液滴吐出ヘッドの駆動方法において、上記第3電界は上記第1電界以上の大きさを有することを特徴とする液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  7. ノズルに連通する加圧液室を形成する基板上に、振動板と、一般式Pb(Ti,Zr,M)Oで表されるペロブスカイト型結晶構造をもつ圧電体薄膜を一対の電極で挟んだ圧電素子とを積層形成したアクチュエータを用いた液滴吐出ヘッドにおいて、
    請求項1乃至7の何れかの液滴吐出ヘッドの駆動方法により上記液滴吐出ヘッドを駆動する駆動ICを備えたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  8. 媒体を搬送しながら、液滴吐出手段により吐出した液滴を該媒体に付着させて画像形成を行う画像形成装置において、
    上記前記液滴吐出手段として請求項7の液滴体吐出ヘッドを採用したことを特徴とする画像形成装置。
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