JP2014175981A - 発振器 - Google Patents

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Abstract

【課題】更なる周波数安定度を達成し得る発振器を提供する。
【解決手段】発振部20は、水晶振動素子11に対して周波数温度特性を補償する温度補償電圧Vaを用いることにより、一定の発振周波数fからなる出力信号Foutを生成するとともに、補正電圧Vcを入力して発振周波数fを補正する。恒温槽15は、少なくとも発振部20及び水晶振動素子11を収容する。温度制御部13は、温度センサ12で検出された槽内温度Tが一定範囲T1〜T2に収まるように、ヒータ14を制御する。周波数補正部30は、温度センサ12で検出された槽内温度Tに基づき補正電圧Vcを生成し、補正電圧Vcを発振部20へ出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電素子を用いた発振器に関する。
従来、発振器としては、種々のものが開発されており、例えば温度補償水晶発振器(以下「TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator」という。)や恒温槽付水晶発振器(以下「OCXO:Oven Controlled Crystal Oscillator」という。)が知られている。TCXOは、圧電素子として使用する水晶振動素子の周波数温度特性を補償するための温度補償回路を有し、例えば携帯電話機やパーソナル・ナビゲーション・デバイス(PND)などの電子機器に搭載される。
図5に、従来のTCXOの一例として、特許文献1に開示された発振器100の構成を示す。発振器100は、圧電素子としての水晶振動素子110と、水晶振動素子110と電気的に接続されたICチップ120とを有し、所望の発振周波数を有する出力信号Foutを生成する。
ICチップ120の内部には、水晶振動素子110に接続された水晶発振回路130と、水晶振動素子110の周波数温度特性を補償するための温度補償回路140とが形成されている。
より具体的には、水晶振動素子110の一端は、水晶発振回路130のうち、帰還抵抗としての抵抗素子131の一端に接続されるとともに、インバータ132の入力端子に接続されている。また、水晶振動素子110の一端とグランドGNDとの間には、可変容量素子134が接続されている。
一方、水晶振動素子110の他端は、水晶発振回路130のうち、抵抗素子131の他端に接続されるとともに、インバータ132の出力端子に接続されている。また、水晶振動素子110の他端とグランドGNDとの間には、可変容量素子135が接続されている。
インバータ132の出力端子には、バッファとしてのインバータ133の入力端子が接続され、インバータ133の出力端子から、所望の発振周波数を有する出力信号Foutが出力される。
温度補償回路140は、温度の変化にかかわらず、一定の発振周波数を有する出力信号Foutを発振器100から出力させるため、水晶振動素子110の周波数温度特性を補償するための回路である。
具体的には、温度補償回路140は、水晶振動素子110の周囲の温度を測定するための温度センサを有し、当該温度センサによって得られた温度に基づいて、所定の温度補償電圧を生成する。
そして、温度補償回路140は、この温度補償電圧を可変容量素子134,135に印加し、可変容量素子134,135の容量を変化させることにより、出力信号Foutの発振周波数を調整して温度補償を行う。
このようにして、発振器100は、所望の発振周波数を有する出力信号Foutを生成し、これを外部に出力する。すなわち、発振器100では、周波数温度特性を補償することにより、周囲温度が変化しても所望の発振周波数が得られるように動作を調整している。
図6に、発振器100の周波数温度特性(周囲温度の変化に対する周波数偏差の変化)を示す。図6において、曲線A10は補償前の周波数温度特性であり、曲線B10は温度補償電圧による補償用の周波数温度特性であり、曲線C10は補償後の周波数温度特性である。なお、周波数偏差は、周囲温度が例えば25℃のときに「0」となるように設定されている。
特開2011−035482号公報(図3) 特開2004−236079号公報(図2) 特開2007−325033号公報(図3)
TCXOとは、周波数温度特性を周囲温度に合わせて補償することにより、周波数を一定に保つ発振器である。また、OCXOとは、温度の影響力の大きい部品を恒温槽の中に入れて、周囲温度に関係なく恒温槽の中を一定温度になるように制御することにより、周波数を一定に保つ発振器である。OCXOは、周囲温度を一定にするため、TCXOよりも周波数安定度に優れている。しかし、OCXOといえども、周囲温度を完全に一定できるわけではなく、ある温度範囲に収めているに過ぎないので、その温度範囲において周波数が変化する。
その一方、近年の電子機器の高性能化に伴い、発振器にも従来のTCXOやOCXOを超え得る更なる周波数安定度が求められている。
そこで、本発明の目的は、更なる周波数安定度を達成し得る発振器を提供することにある。
本発明に係る発振器は、
周波数温度特性を有する圧電素子と、
この圧電素子に対して前記周波数温度特性を補償する温度補償電圧を用いることにより一定の発振周波数からなる出力信号を生成するとともに、補正電圧を入力して前記発振周波数を補正する発振部と、
この発振部及び前記圧電素子を収容する恒温槽と、
この恒温槽内に対して熱を供給又は吸収する熱源と、
前記恒温槽内の温度である槽内温度を検出する温度センサと、
この温度センサで検出された前記槽内温度が一定範囲に収まるように前記熱源を制御する温度制御部と、
前記温度センサで検出された前記槽内温度に基づき前記補正電圧を生成し、当該補正電圧を前記発振部へ出力する周波数補正部と、
を備えたものである。
本発明に係る発振器によれば、恒温槽内において圧電素子の周波数温度特性を補償する温度補償電圧を用いて一定の発振周波数からなる出力信号を生成するとともに、恒温槽内のわずかな温度変動に対しても槽内温度に基づく補正電圧を用いてその発振周波数を補正するので、従来のTCXOやOCXOを超える更なる周波数安定度を達成できる。
実施形態1の発振器を示す回路図である。 図2[1]は、実施形態1における水晶振動子の周波数温度特性を示すグラフである。図2[2]は、実施形態1における温度センサの入出力特性を示すグラフである。 図3[1]は、実施形態1における温度補償回路による周波数温度特性の変化を示すグラフである。図3[2]は、実施形態1における補正電圧出力回路による周波数温度特性の変化を示すグラフである。 実施形態2の発振器を示す回路図である。 従来の発振器を示す回路図である。 従来の発振器における周波数温度特性を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については同一の符号を用いる。
図1は、実施形態1の発振器を示す回路図である。以下、この図面に基づき説明する。
発振器10は、圧電素子としての水晶振動素子11、温度センサ12、温度制御部13、熱源としてのヒータ14、恒温槽15、発振部20、周波数補正部30などを備えている。水晶振動素子11は、周波数温度特性を有する。発振部20は、水晶振動素子11に対して周波数温度特性を補償する温度補償電圧Vaを用いることにより、一定の発振周波数fからなる出力信号Foutを生成するとともに、補正電圧Vcを入力して発振周波数fを補正する。恒温槽15は、少なくとも発振部20及び水晶振動素子11を収容する。ヒータ14は、恒温槽15内に対して熱を供給する。温度センサ12は、恒温槽15内の温度である槽内温度Tを検出する。温度制御部13は、温度センサ12で検出された槽内温度Tが一定範囲T1〜T2に収まるように、ヒータ14を制御する。周波数補正部30は、温度センサ12で検出された槽内温度Tに基づき補正電圧Vcを生成し、補正電圧Vcを発振部20へ出力する。
周波数補正部30は、補正電圧出力回路31とメモリ32とを有する。メモリ32は、一定範囲T1〜T2における槽内温度Tごとの補正電圧Vcに関するデータを予め記憶している。補正電圧出力回路31は、温度センサ12で検出された槽内温度Tのデータを入力し、このデータとメモリ32のデータとに基づき槽内温度Tに対応する補正電圧Vcを生成し、補正電圧Vcを発振部20へ出力する。後述するように、本実施形態1では、槽内温度Tのデータとは検出電圧Vtであり、槽内温度Tごとの補正電圧Vcに関するデータとはオペアンプのゲインである。
発振部20は、一定範囲T1〜T2における槽内温度Tごとの温度補償電圧Vaを生成する温度補償回路21と、温度補償回路21で生成された温度補償電圧Vaと補正電圧出力回路31から出力された補正電圧Vcとを加算する加算回路22と、水晶振動素子11を含む発振ループ内に設けられ、加算回路22で加算された電圧Va+Vcが印加される可変容量素子26,27と、を有する。
恒温槽15は、密閉空間16を有する箱状である。密閉空間16内には、発振部20及び水晶振動素子11に加え、ヒータ14、温度センサ12、温度制御部13及び周波数補正部30が収容されている。
次に、各構成要素について更に詳しく説明する。
温度センサ12は、槽内温度Tに対応する検出電圧Vtを槽内温度Tのデータとして出力する、例えばICチップ化に適した半導体温度センサである。半導体温度センサには、半導体の抵抗値の温度依存性やpn接合の順方向電圧の温度依存性を利用したものが知られている。例えば、シリコンのpn接合の場合、その順方向電圧は−2mV/℃で変化する。また、温度センサ12は、抵抗値や順方向電圧の温度情報(槽内温度T)を使いやすい大きさのアナログ電圧(検出電圧Vt)に変換する回路を内蔵したものとしてもよい。
温度制御部13は、温度センサ12から出力された検出電圧Vtを入力し、検出電圧Vtが一定範囲に収まるように(すなわち槽内温度Tが一定範囲T1〜T2に収まるように)、ヒータ14へ供給する電力を制御する。その制御方法は、一般的なオンオフ制御やPID(Proportional Integral Differential)制御を用いることができる。
ヒータ14は、例えば、ジュール熱を発する電気抵抗体である。熱源としては、加熱に加え冷却も可能なペルチェ素子などを用いてもよい。
恒温槽15は、例えばセラミックスや金属などからなり、断熱性の観点から密閉空間16を有する箱状であることが望ましい。ただし、製造コストなどを優先するのであれば、開放空間を有する例えば板状又は皿状の構造体を、実質的な恒温槽として用いることも可能である。
発振部20は、前述の温度補償回路21、加算回路22、可変容量素子26,27の他に、帰還用の抵抗素子23、発振用のインバータ24、緩衝用のインバータ25、メモリ28などを有する。水晶振動素子11の一端には抵抗素子23の一端、インバータ24の入力端及び可変容量素子26の一端が接続され、水晶振動素子11の他端には抵抗素子23の他端、インバータ24の出力端及び可変容量素子27の一端が接続され、可変容量素子26,27の他端にはグランドGNDが接続されている。水晶振動素子11、抵抗素子23、インバータ24及び可変容量素子26,27によって、発振ループが構成されている。つまり、水晶振動素子11、抵抗素子23、インバータ24,25及び可変容量素子26,27は、電圧制御水晶発振器(VCXO:Voltage Controlled Crystal Oscillator)となっている。なお、インバータ24へ定電流を供給する可変定電流源を設け、その定電流の値を補正電圧Vcで変えることにより発振周波数fを補正するようにしてもよい。
可変容量素子26,27は例えば可変容量ダイオードである。その場合、可変容量ダイオードのカソードが可変容量素子26,27の一端に相当し、可変容量ダイオードのアノードが可変容量素子26,27の他端に相当し、可変容量ダイオードのカソードに補正電圧Vc及び温度補償電圧Vaが印加される。可変容量ダイオードに印加される逆方向電圧が大きいほど、可変容量ダイオードの空乏層の厚みが増すことにより容量値が減少するので、発振周波数fは上昇する。
温度補償回路21は、例えば、槽内温度Tを測定する温度センサと、温度補償電圧Vaを出力するオペアンプを含むゲイン調整器とを内蔵し、槽内温度Tごとのオペアンプのゲインを記憶する不揮発性のメモリ28を付設したものである。そのオペアンプは、温度センサから出力された検出電圧を、槽内温度Tごとのゲインで増幅し、これを温度補償電圧Vaとして出力する。その温度センサは、内蔵せずに、前述の温度センサ12を利用してもよい。本実施形態1では、間接型アナログ温度補償方式を採用しているが、直接型アナログ温度補償方式や間接型ディジタル温度補償方式などを用いてもよい。
加算回路22は、例えばオペアンプを中心とした演算回路である。
補正電圧出力回路31は、例えば、オペアンプなどからなり、検出電圧Vtを入力すると、これに対応する補正電圧Vcを出力する。
メモリ32は、例えば、不揮発性半導体メモリ付きのディジタル・ポテンショメータであり、補正電圧出力回路31を構成するオペアンプのゲインを書き込むための書込み端子を有する。
図2[1]は、水晶振動素子11の周波数温度特性を示すグラフである。図2[2]は、温度センサ12の入出力特性を示すグラフである。図3[1]は、温度補償回路21による周波数温度特性の変化を示すグラフである。図3[2]は、補正電圧出力回路31による周波数温度特性の変化を示すグラフである。以下、図1乃至図3に基づき、更に詳しく説明する。
図2[1]は、水晶振動素子11の周波数温度特性の一例を示し、横軸が槽内温度Tであり、縦軸が周波数偏差df/fである。水晶振動素子11がATカットの水晶片によって構成されている場合、その周波数温度特性は曲線A1のような三次関数となる。この三次関数は、極大値Ta及び極小値Tbを有し、周囲温度が25℃のときに周波数偏差df/fが「0」になるように設計されている。槽内温度Tは一定範囲T1〜T2に保たれる。一定範囲T1〜T2は、極大値Ta及び極小値Tbを含まないように設定され、かつ、熱源として加熱機能のみのヒータ14を用いているので室温よりも高温側に設定される。
図2[2]は、温度センサ12の入出力特性の一例を示し、横軸が入力情報すなわち槽内温度Tであり、縦軸が出力情報すなわち検出電圧Vtである。この例では、検出電圧Vtが槽内温度Tの一次関数となっている。
図3[1]は、温度補償回路21による周波数温度特性の変化の一例を示し、横軸が槽内温度Tであり、縦軸が周波数偏差df/fである。曲線A1は補償前の周波数温度特性であり、直線B1は温度補償電圧Vaによる補償用の周波数温度特性であり、曲線C1は補償後の周波数温度特性である。
一定範囲T1〜T2が極大値Ta及び極小値Tbを含まないように設定されているため、一定範囲T1〜T2の曲線A1における補償前の周波数偏差df/fは、槽内温度Tの正の二次関数として近似できる。したがって、この補償前の周波数温度特性(曲線A1)を打ち消すには、厳密には負の二次関数又は大まかには一次関数の補償用の周波数温度特性を用いればよい。本実施形態1では、補償用の周波数温度特性として一次関数である直線B1を採用している。そのため、補償後の周波数温度特性(曲線C1)は、かなり安定化されているものの、補償前の周波数温度特性(曲線A1)の痕跡が残る正の二次関数となっている。
直線B1は、温度補償電圧Vaのみの影響を受けた補償用の周波数温度特性であり、補償用の周波数偏差df/fが槽内温度Tの一次関数となることを示している(下記式<1>)。また、一定範囲T1〜T2であれば補償用の周波数偏差df/fは温度補償電圧Vaの一次関数とみなせるので(下記式<2>)、補償用の周波数偏差df/fが槽内温度Tの一次関数であれば(下記式<1>)、温度補償電圧Vaも槽内温度Tの一次関数となる(下記式<3>)。
df/f=a・T+b ・・・<1>
df/f=c・Va+d ・・・<2>
∴a・T+b=c・Va+d
∴Va=(a/c)・T+(b−d)/c ・・・<3>
ただし、a〜dは任意の定数とする。
温度補償電圧Vaが槽内温度Tの一次関数となるのであれば、温度補償回路21は、検出電圧Vtを入力して一定ゲインで出力するだけであるから、構成が極めて簡素になる。また、厳密に補償するために負の二次関数からなる周波数温度特性を用いた場合も、三次関数からなる補償用の周波数温度特性を用いたときに比べて、温度補償回路21の構成が簡素になる。その場合の温度補償回路21は、例えば、二次関数発生回路及びゲイン調整器から構成できる。特に二次関数発生回路は、三次関数発生回路に比べて構成が極めて簡素である(特許文献2参照)。
なお、従来のTCXOにおける温度補償回路では、周囲温度に対して正の三次曲線となる周波数偏差を打ち消すような、周囲温度に対して負の三次曲線となる温度補償電圧を生成していた。このような三次曲線の温度補償電圧は、例えば温度領域ごとの直線を合わせて折れ線近似した温度補償電圧として生成する(例えば特許文献3参照)。したがって、従来技術における温度補償回路は、構成が複雑化していた。
図3[2]は、補正電圧出力回路31による周波数温度特性の変化の一例を示し、横軸が槽内温度Tであり、縦軸が周波数偏差df/fである。曲線C1は温度補償回路21による補償後かつ補正前の周波数温度特性であり、曲線B2は補正電圧Vcによる補正用の周波数温度特性であり、曲線C2は補正後の周波数温度特性である。
一定範囲T1〜T2の曲線C1における補償後かつ補正前の周波数偏差df/fは、槽内温度Tの正の二次関数となっている。したがって、この補正前の周波数温度特性(曲線C1)を打ち消すには、負の二次関数の補正用の周波数温度特性(曲線B2)を用いればよい。すなわち、曲線B2は、df/f=0の直線を中心に曲線C1を反転させた形状である。これにより、補正後の周波数温度特性(曲線C2)は、一定範囲T1〜T2において周波数偏差df/fがほぼ「0」となっている。
曲線B2は、補正電圧Vcのみの影響を受けた補正用の周波数温度特性であり、補正用の周波数偏差df/fが槽内温度Tの負の二次関数となることを示している(下記式<4>)。また、一定範囲T1〜T2であれば補正用の周波数偏差df/fは補正電圧Vcの一次関数とみなせるので(下記式<5>)、補正用の周波数偏差df/fが槽内温度Tの二次関数であれば(下記式<4>)、補正電圧Vcも槽内温度Tの二次関数となる(下記式<6>)。
df/f=a・T+b・T+c ・・・<4>
df/f=d・Vc+e ・・・<5>
∴a・T+b・T+c=d・Vc+e
∴Vc=(a/d)・T+(b/d)・T+(c−e)/d ・・・<6>
ただし、a〜eは任意の定数とする。
メモリ32には、槽内温度Tごとの補正電圧Vcに関するデータに相当する、オペアンプのゲインが書き込まれている。一例を述べれば、槽内温度Tのある値をTa1,Ta2,Ta3,・・・,Tan(Ta1<Ta2<Ta3<・・・<Tan)としたとき、Ta1≦T<Ta2ではゲインをα1すなわち補正電圧Vc=α1・Vtとし、Ta2≦T<Ta3ではゲインをα2すなわち補正電圧Vc=α2・Vtとし、・・・、Ta(n−1)≦T≦Tanではゲインをα(n−1)すなわち補正電圧Vc=α(n−1)・Vtとする。このようにして、温度領域ごとに異なるゲインを有する補正電圧出力回路31の構成を得る(例えば特許文献3参照)。
なお、補正電圧Vcが槽内温度Tの二次関数となることにより、周波数補正部30は、例えば二次関数発生回路及びゲイン調整器によって構成することもできる。前述したように、二次関数発生回路は、三次関数発生回路に比べて構成が極めて簡素である。
以上の説明では、理解しやすくするために、温度補償電圧Vaによる補償の後に補正電圧Vcによる補正をするとしたが、実際には図1に示すように電圧Va+Vcによって補償及び補正が同時に実行される。
次に、発振器10の動作について説明する。
電源電圧を投入すると、発振器10が起動する。つまり、発振部20は出力信号Foutを出力し始め、温度補償回路21は温度補償電圧Vaを出力し始め、温度センサ12は検出電圧Vtを出力し始め、補正電圧出力回路31は補正電圧Vcを出力し始め、温度制御部13はヒータ14を制御し始める。温度補償電圧Vaと補正電圧Vcとは、加算回路22で加算され、電圧Vc+Vaとなって可変容量素子26,27に印加される。すると、水晶振動素子11を含む発振ループのインピーダンスが変化することにより、出力信号Foutの発振周波数fが補償及び補正される。
次に、発振器10の効果について説明する。
(1)恒温槽15内において水晶振動素子11の周波数温度特性を補償する温度補償電圧Vaを用いて一定の発振周波数fからなる出力信号Foutを生成するとともに、恒温槽15内のわずかな温度変動に対しても槽内温度Tに基づく補正電圧Vcを用いて発振周波数fを補正するので、従来のTCXOやOCXOを超える更なる周波数安定度を達成できる。また、従来のTCXOに比べて、狭い温度範囲での周波数制御になるので、より高精度な周波数制御が可能である。
(2)周波数補正部30が補正電圧出力回路31及びメモリ32を有する場合は、一定範囲T1〜T2という狭い温度範囲におけるデータをメモリ32に記憶すればよいので、広い温度範囲におけるデータを記憶する場合に比べて、メモリ容量を維持するならば高精度なデータを記憶でき、精度をそれほど必要としなければメモリ容量を減少できる。
(3)発振部20が温度補償回路21、加算回路22及び可変容量素子26,27を有する場合は、一定範囲T1〜T2という狭い温度範囲に対して温度補償電圧Vaを生成すればよいので、広い温度範囲に対して温度補償電圧を生成する場合に比べて、温度補償回路21の複雑さを維持するならば高精度な温度補償電圧Vaを生成でき、精度をそれほど必要としなければ温度補償回路21を簡素化できる。
(4)水晶振動素子11の周波数温度特性が三次関数で表わされる場合に、この三次関数の極大値Ta及び極小値Tbを含まないように一定範囲T1〜T2を設定したときは、一定範囲T1〜T2における周波数温度特性を二次関数で近似できるので、これを打ち消すための周波数温度特性も二次関数又は一次関数でよくなり、三次関数の周波数温度特性を打ち消す場合に比べて、周波数補正部30又は温度補償回路21の構成を簡素化できる。
(5)恒温槽15が密閉空間16内に発振部20、水晶振動素子11、ヒータ14、温度センサ12、温度制御部13及び周波数補正部30を収容する場合は、水晶振動素子11の周波数温度特性のみならず、他の構成要素に起因する周波数温度特性も含めた全体的な周波数安定度を向上できる。
図4は、実施形態2の発振器を示す回路図である。以下、この図面に基づき説明する。
本実施形態2の発振器50は、発振部60の構成が実施形態1と異なる。発振部60は、温度補償回路21、抵抗素子23、インバータ24,25、可変容量素子26,26a,27,27a、メモリ28などを有する。可変容量素子26aと可変容量素子26とは並列に接続され、可変容量素子26aに温度補償電圧Vaが印加され、可変容量素子26に補正電圧Vcが印加される。可変容量素子27aと可変容量素子27とは並列に接続され、可変容量素子27aに温度補償電圧Vaが印加され、可変容量素子27に補正電圧Vcが印加される。つまり、本実施形態2では、温度補償電圧Va及び補正電圧Vcが、加算されることなくそれぞれ別々に、可変容量素子26a,27a及び可変容量素子26,27に印加される。
発振器50の動作中において、温度補償回路21は温度補償電圧Vaを出力し、補正電圧出力回路31は補正電圧Vcを出力し、温度補償電圧Vaは可変容量素子26a,27aに印加され、補正電圧Vcは可変容量素子26,27に印加される。温度補償電圧Va及び補正電圧Vcが変化すると、可変容量素子26,26a,27,27a(例えば可変容量ダイオード)に印加される逆方向電圧が変化し、可変容量素子26,26a,27,27aの容量値が変化することにより、出力信号Foutの発振周波数fが補償及び補正される。
また、水晶振動素子11及び発振部60は、四つの外部端子61〜64を有する既存のTCXOを利用することができる。外部端子61は周波数制御ピン、外部端子62はGNDピン、外部端子63は出力ピン、外部端子64は電源電圧ピンである。そのようなTCXOとしては、例えば京セラクリスタルデバイス株式会社からKT1612シリーズとして市販されている。つまり、そのTCXOを、周波数補正部30、温度センサ12、温度制御部13及びヒータ14とともに、恒温槽15に収納することにより、発振器50を組み立てることができる。
本実施形態2は、実施形態1に比べて、可変容量素子26a,27aが必要になるものの、加算器が不要になる。一般に加算器よりも可変容量素子の方が単純な構造になるので、本実施形態2によれば実施形態1よりも構成を簡素化できる。また、本実施形態2によれば、市販されているTCXOをそのまま利用できるので、そのTCXOに相当する部分を新たに設計及び製造する場合に比べて、製造方法の容易化及び製造コストの低減化を達成できる。
本実施形態2におけるその他の構成、作用及び効果は、実施形態1におけるそれらと同様である。
以上、上記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記各実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
本発明は、例えば水晶やセラミックスからなる圧電素子を用いた発振器に利用可能である。
10,50 発振器
11 水晶振動素子(圧電素子)
12 温度センサ
13 温度制御部
14 ヒータ(熱源)
15 恒温槽
16 密閉空間
20,60 発振部
21 温度補償回路
22 加算回路
23 抵抗素子
24,25 インバータ
26,27,26a,27a 可変容量素子
28 メモリ
61,62,63,64 外部端子
30 周波数補正部
31 補正電圧出力回路
32 メモリ
T 槽内温度
Va 温度補償電圧
Vc 補正電圧
Fout 出力信号
f 発振周波数
df/f 周波数偏差
GND グランド
Vt 検出電圧
100 発振器
110 水晶振動素子
120 ICチップ
130 水晶発振回路
140 温度補償回路
131 抵抗素子
132,133 インバータ
134,135 可変容量素子

Claims (5)

  1. 周波数温度特性を有する圧電素子と、
    この圧電素子に対して前記周波数温度特性を補償する温度補償電圧を用いることにより一定の発振周波数からなる出力信号を生成するとともに、補正電圧を入力して前記発振周波数を補正する発振部と、
    この発振部及び前記圧電素子を収容する恒温槽と、
    この恒温槽内に対して熱を供給又は吸収する熱源と、
    前記恒温槽内の温度である槽内温度を検出する温度センサと、
    この温度センサで検出された前記槽内温度が一定範囲に収まるように前記熱源を制御する温度制御部と、
    前記温度センサで検出された前記槽内温度に基づき前記補正電圧を生成し、当該補正電圧を前記発振部へ出力する周波数補正部と、
    を備えた発振器。
  2. 前記周波数補正部は、
    前記一定範囲における前記槽内温度ごとの前記補正電圧に関するデータを予め記憶するメモリと、
    前記温度センサで検出された前記槽内温度のデータを入力し、このデータと前記補正電圧に関するデータとに基づき前記槽内温度に対応する前記補正電圧を生成し、この補正電圧を前記発振部へ出力する補正電圧出力回路とを有する、
    請求項1記載の発振器。
  3. 前記発振部は、
    前記一定範囲における前記槽内温度ごとの前記温度補償電圧を生成する温度補償回路と、
    前記圧電素子を含む発振ループ内に設けられ、前記温度補償回路で生成された前記温度補償電圧と前記補正電圧出力回路から出力された前記補正電圧とが印加される可変容量素子とを有する、
    請求項2記載の発振器。
  4. 前記周波数温度特性は温度の三次関数となる周波数偏差として表わされ、この三次関数の極大値及び極小値を含まないように前記一定範囲が設定された、
    請求項1乃至3のいずれか一つに記載の発振器。
  5. 前記恒温槽は、密閉空間を有する箱状であり、
    この密閉空間内に、前記発振部及び前記圧電素子に加え、前記熱源、前記温度センサ、前記温度制御部及び前記周波数補正部が収容された、
    請求項1乃至4のいずれか一つに記載の発振器。
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