JP2014173067A - 乳化重合用安定剤 - Google Patents

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雅己 加藤
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Abstract

【課題】優れた乳化重合安定性を発揮することができ、高粘度であるとともに流動性にも優れるエマルジョンを得ることができる乳化重合用安定剤の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、[A]アルキル変性ビニルアルコール系重合体と、[B]特定のハンセン溶解度パラメーターの有機化合物[B1]、下記式(I)で表される化合物[B2]、シクロデキストリン[B3]又はそれらの組み合わせとを含有し、[A]アルキル変性ビニルアルコール系重合体が、炭素数5以上29以下のアルキル基を有する単量体単位を含有し、この単量体単位の含有率が0.05モル%以上5モル%以下であり、かつ[A]アルキル変性ビニルアルコール系重合体のけん化度が20モル%以上99.99モル%以下である乳化重合用安定剤である。
Figure 2014173067

【選択図】なし

Description

本発明は、重合安定性に優れ、チキソトロピー性を有するエマルジョンを与える乳化重合用安定剤に関する。
ポリビニルアルコールに代表されるビニルアルコール系重合体(以下、「PVA」と略記することがある。)は、水溶性の合成高分子として知られており、合成繊維であるビニロンの原料、紙加工剤、繊維加工剤、接着剤、乳化重合及び懸濁重合用の安定剤、無機物のバインダー、フィルム等の用途に広く用いられている。特に、PVAは酢酸ビニルに代表されるビニルエステル系単量体の乳化重合用保護コロイドとして知られており、これを乳化重合用安定剤として用い、乳化重合して得られるビニルエステル系水性エマルジョンは、紙用、木工用、プラスチック用等の各種接着剤、含浸紙用及び不織製品用等の各種バインダー、混和剤、打継ぎ材、塗料、紙加工、繊維加工等の分野で広く用いられている。
かかるPVAを乳化重合用安定剤として用いる場合、乳化重合時にエマルジョンの凝集を抑制し、重合安定性を発揮させることが求められる。一方、PVAは水溶性であるため、乳化重合で得られるエマルジョンから形成される皮膜の耐水性が低下してしまう、得られるエマルジョン粘度の温度依存性が大きい等の欠点を有しており、これらの性質は乳化重合に用いたPVAに依るところが大であることが知られている。そこで、PVAの特定の性能を向上させるために、結晶性の制御、官能基の導入等による各種変性PVAの開発が行われており、例えばシリル基を有する不飽和単量体単位を特定の割合で含有する変性PVAを乳化重合用安定剤とし、分散質がエチレン性不飽和単量体から選ばれる一種又は二種以上の単量体の重合体である水性エマルジョン組成物が提案されている(特開2007−23148号公報参照)。
また、得られるエマルジョンには、上記特性に加え、例えば接着剤として用いられる場合は高粘度であるとともに、接着剤の伸びが良好であり基材に塗工し易い等、流動性に優れることも要求されている。しかしながら、上記従来の乳化重合用安定剤で得られるエマルジョンでは、これらをともに満足することができていない。
特開2007−23148号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、優れた乳化重合安定性を発揮することができ、高粘度であるとともに流動性にも優れるエマルジョンを得ることができる乳化重合用安定剤の提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、
[A]アルキル変性ビニルアルコール系重合体と、[B]特定のハンセン溶解度パラメーターの有機化合物[B1]、下記式(I)で表される化合物[B2]、シクロデキストリン[B3]又はそれらの組み合わせとを含有し、
[A]アルキル変性ビニルアルコール系重合体が、炭素数5以上29以下のアルキル基を有する単量体単位を含有し、この単量体単位の含有率が0.05モル%以上5モル%以下であり、かつ[A]アルキル変性ビニルアルコール系重合体のけん化度が20モル%以上99.99モル%以下であり、
上記有機化合物[B1]のハンセン溶解度パラメーターにおけるδdが14MPa0.5以上18MPa0.5以下、δpが5MPa0.5以上9MPa0.5以下、δhが9MPa0.5以上13MPa0.5以下である乳化重合用安定剤である。
Figure 2014173067
(式(I)中、Rは、炭素数7〜29の、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基又はアルキル芳香族基である。Xは、カルボキシル基若しくはその塩、スルホン酸基若しくはその塩、硫酸基若しくはその塩又はリン酸基若しくはその塩である。)
当該乳化重合用安定剤が、上記特定の[A]アルキル変性PVA及び上記特定の[B]成分を含有することで、優れた乳化重合安定性を発揮することができ、かつ得られるエマルジョンは高粘度であるとともに流動性にも優れる。当該乳化重合用安定剤が、上記構成を有することで、上記効果を奏する理由は必ずしも明確ではないが、例えば以下のように推察することができる。すなわち、[B]成分は、[A]アルキル変性PVAのアルキル基同士の疎水性相互作用を適度に阻害することができると考えられる。その結果、[A]アルキル変性PVAの水酸基による親水性とともに、[A]アルキル変性PVAのアルキル基による疎水性を適度に発揮させることができる。その結果、当該乳化重合用安定剤は、優れた乳化重合安定性を発揮することができ、また、得られるエマルジョンは、アルキル基の疎水性相互作用に起因する高粘度を発揮するとともに、流動時には粘度が低下して流動性が向上すると考えられる。
上記単量体単位は、下記式(II)で表されることが好ましい。
Figure 2014173067
(式(II)中、Rは、炭素数5〜29のアルキル基である。Rは、水素原子又はメチル基である。)
上記単量体単位を上記特定構造とすることで、当該乳化重合用安定剤は、さらに優れた乳化重合安定性を発揮することができ、得られるエマルジョンの粘度及び流動性をさらに高めることができる。
[A]アルキル変性PVAは、下記式(III)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をけん化することにより得られたものであるとよい。
Figure 2014173067
(式(III)中、R及びRの定義は、上記式(II)と同様である。)
当該乳化重合用安定剤が含有する[A]アルキル変性PVAが上記特定の不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をけん化することにより得られたものであることで、[A]アルキル変性PVAのけん化度等の調整が容易となり、当該乳化重合用安定剤の乳化重合安定性、得られるエマルジョンの粘度及び流動性をより高めることができる。
[A]アルキル変性PVAの粘度平均重合度としては、100以上5,000以下が好ましい。[A]アルキル変性PVAの粘度平均重合度を上記範囲とすることで、当該乳化重合用安定剤は、さらに優れた乳化重合安定性を発揮することができ、かつ得られるエマルジョンの粘度及び流動性をさらに高めることができる。
[B]成分と[A]アルキル変性PVAとの質量比としては、0.1/99.9以上80/20以下が好ましい。[B]成分の[A]アルキル変性PVAに対する質量比を上記範囲とすることで、当該乳化重合用安定剤は、さらに優れた乳化重合安定性を発揮することができ、かつ得られるエマルジョンの流動性等をさらに高めることができる。
当該乳化重合用安定剤は、上述のような効果を有するので、酢酸ビニルを51質量%以上含むエチレン性不飽和単量体の重合に好適に用いられる。
以上説明したように、本発明の乳化重合用安定剤は、優れた乳化重合安定性を発揮することができ、得られるエマルジョンは高粘度であるとともに流動性にも優れる。従って、当該乳化重合用安定剤を用いて得られるエマルジョンは、各種接着剤、塗料、繊維加工剤、紙加工剤、無機物バインダー、セメント混和剤、モルタルプライマー等に好適に用いられる。
<乳化重合用安定剤>
本発明の乳化重合用安定剤は、以下に詳説する[A]アルキル変性PVA及び[B]成分を含有する。
<[A]アルキル変性PVA>
[A]アルキル変性PVAは、炭素数5以上29以下のアルキル基を有する単量体単位を含有する。すなわち、上記アルキル変性PVAは、炭素数5以上29以下のアルキル基を有する単量体単位と、ビニルアルコール単量体単位(−CH−CHOH−)との共重合体であり、さらに他の単量体単位を有していてもよい。このアルキル基の炭素数が5未満の場合、このアルキル基と後述する[B]成分との相互作用が十分に発現しないため、得られるエマルジョンの粘度が低下する。一方、このアルキル基の炭素数が29を超える場合、[A]アルキル変性PVAの水溶性が低下し、エマルジョン重合が困難となって取扱性が低下する場合がある。上記アルキル基の炭素数としては、5以上24以下が好ましく、5以上20以下がより好ましく、7以上20以下がさらに好ましく、9以上20以下が特に好ましい。
上記炭素数5〜29のアルキル基を有する単量体単位としては、
1−オクテン、1−デセン等のα−オレフィン類に由来する単量体単位;
ペンチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のビニルエーテル類に由来する単量体単位;
下記式(II)で表される単量体単位が好ましく、下記Rが炭素数5以上24以下のアルキル基である単量体単位がより好ましい。
Figure 2014173067
上記式(II)中、Rは、炭素数5〜29のアルキル基である。Rは、水素原子又はメチル基である。
上記Rで表される炭素数5以上29以下のアルキル基としては、例えばペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、ヘキサコシル基等が挙げられる。これらのうち、炭素数5以上24以下のアルキル基が好ましく、炭素数5以上20以下のアルキル基がより好ましく、炭素数7以上20以下のアルキル基がさらに好ましく、炭素数9以上20以下のアルキル基が特に好ましい。
なお、上記Rで表されるアルキル基は、本発明の趣旨が損なわれない範囲であれば、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよいが、これらの置換基を有していないことが好ましい。
[A]アルキル変性PVAにおける炭素数5〜29のアルキル基を有する単量体単位の含有率は、0.05モル%以上5モル%以下であり、0.05モル%以上2モル%以下が好ましく、0.1モル%以上2モル%以下がより好ましく、0.2モル%以上1モル%以下がさらに好ましい。なお、本明細書における炭素数5〜29のアルキル基を有する単量体単位の含有率とは、[A]アルキル変性PVAを構成する全構造単位のモル数に占める炭素数5〜29のアルキル基を有する単量体単位のモル数の割合をいう。
炭素数5〜29のアルキル基を有する単量体単位の含有率が5モル%を超えると、[A]アルキル変性PVA一分子あたりに含まれる疎水基の割合が高くなり、[A]アルキル変性PVAの水溶性が低下することで取扱性が低下する。一方、炭素数5〜29のアルキル基を有する単量体単位の含有量が0.05モル%未満の場合、[A]アルキル変性PVAの水溶性は優れているものの、[A]アルキル変性PVA中に含まれるアルキル基の数が少なく、得られるエマルジョンの粘度が低下する。
炭素数5〜29のアルキル基を有する単量体単位の含有率は、上記アルキル変性PVAの前駆体であるアルキル変性ビニルエステル系重合体のプロトンNMRから求めることができる。具体的には、n−ヘキサン/アセトンでアルキル変性ビニルエステル系重合体の再沈精製を3回以上十分に行った後、50℃の減圧下で乾燥を2日間行い、分析用のサンプルを作製する。このサンプルをCDClに溶解させ、500MHzのプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて室温で測定する。
この際、例えば、上記アルキル変性ビニルエステル系重合体が、上記式(II)で表される単量体単位以外のアルキル変性単量体単位を含まず、かつ、Rが直鎖状であり、さらにRが水素原子である場合、以下の方法にて算出できる。すなわち、アルキル変性ビニルエステル系重合体の主鎖メチンに由来するピークα(4.7〜5.2ppm)と、アルキル基Rの末端メチル基に由来するピークβ(0.8〜1.0ppm)とから、下記式を用いて、上記式(II)で表される単量体単位の含有率Sを算出する。
S(モル%)
={(βのプロトン数/3)/(αのプロトン数+(βのプロトン数/3))}×100
[A]アルキル変性PVAの粘度平均重合度としては、100以上5,000以下が好ましく、500以上2,700以下がより好ましく、1,000以上2,300以下がさらに好ましい。なお、粘度平均重合度を単に重合度と呼ぶことがある。この重合度が5,000を超えると、[A]アルキル変性PVAの生産性が低下するおそれがある。
この粘度平均重合度(P)は、JIS−K6726:1994年に準じて測定される。すなわち、[A]アルキル変性PVAを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](単位:デシリットル/g)から次式により求められる。
P=([η]×10/8.29)(1/0.62)
[A]アルキル変性PVAのけん化度は、20モル%以上99.99モル%以下であり、40モル%以上99.95モル%以下が好ましく、70モル%以上99.9モル%以下がより好ましい。このけん化度が20モル%未満の場合には、[A]アルキル変性PVAの水溶性が低下し、その結果、上記水性エマルジョンの調製が困難になる。逆に、このけん化度が99.99モル%を超えると、[A]アルキル変性PVAの生産が困難になるので実用的でない。なお、上記アルキル変性PVAのけん化度は、JIS−K6726:1994年に準じて測定される。
上記水性エマルジョンにおける[A]アルキル変性PVAの濃度は特に限定されないが、0.5質量%以上50質量%以下が好ましく、0.8質量%以上30質量%以下がより好ましく、1質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。
([A]アルキル変性PVAの製造方法)
[A]アルキル変性PVAを製造する方法は特に制限されないが、下記式(III)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合を行い、得られるアルキル変性ビニルエステル系重合体(共重合体)をけん化する方法が好ましい。[A]アルキル変性PVAが上記特定の単量体の共重合体をけん化することにより得られるものであることで、[A]アルキル変性PVAのけん化度等の調整が容易となり、得られるエマルジョンの粘度をより高めることができる。ここで、上記共重合はアルコール系溶媒中又は無溶媒で行うことが好ましい。
Figure 2014173067
上記式(III)中、R及びRの定義は、上記式(II)と同様である。
上記式(III)で表される不飽和単量体としては、例えばN−ペンチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−デシルアクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド、N−ヘキサコシルアクリルアミド、N−ペンチルメタクリルアミド、N−オクチルメタクリルアミド、N−デシルメタクリルアミド、N−ドデシルメタクリルアミド、N−オクタデシルメタクリルアミド、N−ヘキサコシルメタクリルアミド等が挙げられる。これらのうち、N−オクタデシルアクリルアミド、N−ペンチルメタクリルアミド、N−オクチルメタクリルアミド、N−デシルメタクリルアミド、N−ドデシルメタクリルアミド、N−オクタデシルメタクリルアミド、N−ヘキサコシルメタクリルアミドが好ましく、N−オクタデシルアクリルアミド、N−ドデシルメタクリルアミド、N−オクタデシルメタクリルアミドがより好ましく、N−オクタデシルアクリルアミド、N−オクタデシルメタクリルアミドがさらに好ましい。
上記ビニルエステル系単量体としては、例えばギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられる。これらのうち、酢酸ビニルが好ましい。
上記式(III)で表される不飽和単量体と上記ビニルエステル系単量体との共重合に際して、本発明の趣旨を損なわない範囲で他の単量体を共重合してもよい。使用しうる他の単量体としては、例えば
エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン等のα−オレフィン類;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;
塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;
塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類;
酢酸アリル、2,3−ジアセトキシ−1−アリルオキシプロパン、塩化アリル等のアリル化合物類;
ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物類;
酢酸イソプロペニル等が挙げられる。
また、上記式(III)で表される不飽和単量体と上記ビニルエステル系単量体との共重合に際し、得られる共重合体の重合度を調節すること等を目的として、本発明の趣旨を損なわない範囲で連鎖移動剤を添加してもよい。この連鎖移動剤としては、例えば
アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド類;
アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;
2−ヒドロキシエタンチオール等のメルカプタン類;
トリクロロエチレン、パークロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;
ホスフィン酸ナトリウム1水和物等のホスフィン酸塩類等が挙げられる。これらのうち、アルデヒド類、ケトン類が好ましい。
上記連鎖移動剤の添加量としては、添加する連鎖移動剤の連鎖移動定数及び目的とするアルキル変性ビニルエステル系重合体の重合度、ひいてはアルキル変性PVAの重合度に応じて決定することができるが、一般にビニルエステル系単量体に対して0.1質量%以上10質量%以下が好ましい。
上記式(III)で表される不飽和単量体と上記ビニルエステル系単量体との共重合を行う際に採用される温度としては、0℃〜200℃が好ましく、30℃〜140℃がより好ましい。共重合を行う温度が0℃より低い場合は、十分な重合速度が得られにくい。また、重合を行う温度が200℃より高い場合、本発明で規定するアルキル基を有する単量体単位の含有率を満足するアルキル変性PVAを得られにくい。共重合を行う際に採用される温度を0℃〜200℃に制御する方法としては、例えば、重合速度を制御することで、重合反応による発熱と反応器の表面からの放熱とのバランスをとる方法や、適当な熱媒を用いた外部ジャケットにより制御する方法等が挙げられる。これらの方法のうち、安全性の面からは適当な熱媒を用いた外部ジャケットにより制御する方法が好ましい。
上記式(III)で表される不飽和単量体と上記ビニルエステル系単量体との共重合を行うのに用いられる重合方式としては、例えば回分重合、半回分重合、連続重合、半連続重合等が挙げられる。重合方法としては、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等公知の方法を用いることができる。これらのうち、無溶媒又はアルコール系溶媒中で重合を行う塊状重合法、溶液重合法が好適に採用され、高重合度の共重合物の製造を目的とする場合は乳化重合法が採用される。
上記アルコール系溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの溶媒は2種類以上を混合して用いることができる。
上記式(III)で表される不飽和単量体と上記ビニルエステル系単量体との共重合に使用される開始剤としては、重合方法に応じて従来公知のアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤等を用いることができる。
上記アゾ系開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
上記過酸化物系開始剤としては、例えば
ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物;
t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシデカネート等のパーエステル化合物;
アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート等が挙げられる。さらには、上記開始剤に過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等を組み合わせて開始剤とすることもできる。
上記レドックス系開始剤としては、例えば上記過酸化物と、亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリット等の還元剤とを組み合わせたもの等が挙げられる。
なお、上記式(III)で表される不飽和単量体と上記ビニルエステル系単量体との共重合を高い温度で行った場合、ビニルエステル系単量体の分解に起因するPVAの着色等が見られることがある。この場合には、着色防止の目的で重合系に酒石酸のような酸化防止剤を、ビニルエステル系単量体に対して1〜100ppm程度添加するのがよい。
上記共重合により得られたアルキル変性ビニルエステル系共重合体のけん化反応には、公知の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド等の塩基性触媒又はp−トルエンスルホン酸等の酸性触媒を用いた加アルコール分解反応又は加水分解反応を適用することができる。
上記けん化反応に使用し得る溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。なお、これらの溶媒は単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記けん化反応としては、メタノール、又はメタノール/酢酸メチル混合溶液を溶媒とし、水酸化ナトリウムを触媒として用いて行う方法が簡便であり好ましい。
<[B]成分>
[B]成分は、ハンセン溶解度パラメーターにおけるδdが14MPa0.5以上18MPa0.5以下、δpが5MPa0.5以上9MPa0.5以下、δhが9MPa0.5以上13MPa0.5以下である有機化合物(以下、「[B1]化合物」ともいう)、下記式(I)で表される化合物(以下、「[B2]化合物」ともいう)、シクロデキストリン(以下、「[B3]化合物」ともいう)又はそれらの組み合わせである。
Figure 2014173067
式(I)中、Rは、炭素数が7〜29であり、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基又はアルキル芳香族基である。Xは、カルボキシル基若しくはその塩、スルホン酸基若しくはその塩、硫酸基若しくはその塩又はリン酸基若しくはその塩である。なお、「硫酸基」とは、−O−SO−OHを意味する。また、「リン酸基」とは、−O−P(O)(OR’)−OH(R’は、水素原子又は1価の有機基である)を意味する。
([B1]化合物)
[B1]化合物は、ハンセン溶解度パラメーターにおけるδdが14MPa0.5以上18MPa0.5以下、δpが5MPa0.5以上9MPa0.5以下、δhが9MPa0.5以上13MPa0.5以下の有機化合物である。
ハンセン溶解度パラメーターは、ヒルデブランド(Hildebrand)によって導入された溶解度パラメーターを、分散項δd、極性項δp及び水素結合項δhの3成分に分割し、3次元空間に表したものである。分散項δdは無極性相互作用のよる効果、極性項δpは双極子間力による効果、水素結合項δhは水素結合力の効果を示す。多くの溶剤や樹脂についてのハンセン溶解度パラメーターの値が調べられており、例えば、Wesley L.Archer著、Industrial Solvents Handbookに記載されている。本発明において、このハンセン溶解度パラメーターは、Hansen Solubility Parameters:A User’s Handbookより抜粋した値を用いている。
このような特定のハンセン溶解度パラメーターを有する[B1]化合物は、上述の[A]アルキル変性PVAのアルキル基同士の疎水性相互作用を適度に阻害することができると考えられる。その結果、[A]アルキル変性PVAの水酸基による親水性とともに、[A]アルキル変性PVAのアルキル基による疎水性を適度に発揮させることができる。その結果、当該乳化重合用安定剤は、優れた乳化重合安定性を発揮することができ、また、得られるエマルジョンは、アルキル基の疎水性相互作用に起因する高粘度を発揮するとともに、流動時には粘度が低下して流動性が向上すると考えられる。
[B1]化合物としては、ハンセン溶解度パラメーターが上記範囲のものであれば特に限定されないが、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEMB:δd=16.0、δp=7.0、δh=10.6)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(DPMB:δd=15.7、δp=6.5、δh=10.0)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM:δd=15.5、δp=5.7、δh=11.2)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPM:δd=15.3、δp=5.5、δh=10.4)、エチレングリコールモノブチルエーテル(EMB:δd=16.0、δp=5.1、δh=12.3)、エチレングリコールモノ‐t‐ブチルエーテル(ETB:δd=15.3、δp=6.1、δh=10.8)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PM:δd=15.5、δp=5.7、δh=11.2)等の多価アルコールのモノアルキルエーテルが好ましく、グリコールのモノアルキルエーテルが好ましい。
上記グリコールのモノアルキルエーテルとしては、下記式(IV)で表される化合物が好ましい。
HO−(C−O)−C−O−R (IV)
上記式(IV)中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基であり、ブチル基が好ましい。また、nは0〜3の整数であり、1が好ましい。上記式(IV)で表される化合物の中でも、DEMBが特に好ましい。
([B2]化合物)
[B2]化合物は、上記式(I)で表される化合物である。[B2]化合物は、疎水性のRと親水性のXとを有する。このような[B2]化合物は上述の[A]アルキル変性PVAのアルキル基同士の疎水性相互作用を適度に阻害することができると考えられる。その結果、[A]アルキル変性PVAの水酸基による親水性とともに、[A]アルキル変性PVAのアルキル基による疎水性を適度に発揮させることができる。その結果、当該乳化重合用安定剤は、優れた乳化重合安定性を発揮することができ、また、得られるエマルジョンは、アルキル基の疎水性相互作用に起因する高粘度を発揮するとともに、流動時には粘度が低下して流動性が向上すると考えられる。
上記Xとしては、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、硫酸基又はその塩が好ましく、カルボキシル基の塩、スルホン酸基の塩、硫酸基の塩がより好ましく、スルホン酸基の塩、硫酸基の塩がさらに好ましい。ここで、上記それぞれの塩におけるカウンターカチオンとしては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のカチオン;カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属のカチオン;アンモニウムイオン等が挙げられる。これらの中で、入手容易性の観点から、ナトリウムカチオンが好ましい。上記Xが、このような特定の基であることで、[A]アルキル変性PVAが有するアルキル基同士の疎水性相互作用の阻害が適度に促進され、当該乳化重合用安定剤の乳化重合安定性、得られるエマルジョンの粘度及び流動性をより向上させることができる。
上記Rで表される炭素数7〜29の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えば、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、2−ヘキシルオクチル基、n−ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基、n−ヘンイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基、n−ペンタコシル基、n−ヘキサコシル基、n−ヘプタコシル基、n−オクタコシル基、n−ノナコシル基等が挙げられる。これらの中で、2−エチルヘキシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基が好ましい。
上記Rで表される炭素数7〜29の直鎖状又は分岐状のアルケニル基としては、例えば、n−オクテニル基、n−ノネニル基、n−デセニル基、n−ドデセニル基、n−テトラデセニル基、n−ヘキサデセニル基、n−ヘプタデセニル基、n−オクタデセニル基、n−イコセニル基、n−ドコセニル基、n−テトラコセニル基、n−ヘキサコセニル基、n−ノナコセニル基等が挙げられる。これらの中で、n−ヘプタデセニル基が好ましい。
上記Rで表される炭素数7〜29のアルキル芳香族基における芳香族基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等の芳香族炭化水素基;ピリジル基、ピローリル基、チエニル基、フリル基等のヘテロ芳香族基等が挙げられる。
上記アルキル芳香族基における芳香環を置換するアルキル基としては、例えば、上記Rとして例示したアルキル基と同様の基等が挙げられる。
上記アルキル芳香族基としては、例えば、オクチルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基、テトラデシルフェニル基、ヘキサデシルフェニル基、オクタデシルフェニル基、イコシルフェニル基等が挙げられる。これらの中で、ドデシルフェニル基が好ましい。
上記Rの炭素数としては、7〜24が好ましく、7〜20がより好ましく、8〜18がさらに好ましく、12〜18が特に好ましい。Rの炭素数を上記範囲とすることで、[A]アルキル変性PVAのアルキル基とRとの相互作用が適度に高まり、その結果、当該乳化重合用安定剤の乳化重合安定性、得られるエマルジョンの粘度及び流動性がより向上する。
[B2]化合物としては、上記式(I)で表される化合物であれば特に限定されないが、例えば、炭素数7〜29の鎖状飽和カルボン酸又はその塩、炭素数7〜29の鎖状不飽和カルボン酸又はその塩、炭素数7〜29のアルキル芳香族カルボン酸又はその塩、炭素数7〜29のアルキル芳香族スルホン酸又はその塩、炭素数7〜29のアルキル硫酸又はその塩、炭素数7〜29のアルケニル硫酸又はその塩、炭素数7〜29のモノアルキルリン酸又はその塩、炭素数7〜29のジアルキルリン酸又はその塩、炭素数7〜29のモノアルケニルリン酸又はその塩、炭素数7〜29のジアルキルリン酸又はその塩等が挙げられる。これらの中で、不飽和カルボン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキル芳香族スルホン酸塩が好ましく、n−オクタデセン酸ナトリウム、2−エチルヘキシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、n−オクタデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
([B3]化合物)
[B3]化合物は、シクロデキストリンであり、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、これらのメチル化体、エチル化体、プロピル化体又はそれらの組み合わせが好ましい。ここで、「シクロデキストリン」とは、シクロデキストリンだけでなく、その誘導体を含む概念である。
[B3]化合物は環状構造を形成しており、この環状構造の内部に比較的小さな分子を包接できる程度の空孔を有する。また、[B3]化合物はヒドロキシ基を有し、このヒドロキシ基は上記空孔の外側にあるため、空孔内部は疎水性となっている。そのため、上述の[A]アルキル変性PVAのアルキル基を[B3]化合物に包接させることができる。従って、[B3]化合物は、上述の[A]アルキル変性PVAのアルキル基同士の疎水性相互作用を適度に阻害することができると考えられる。その結果、[A]アルキル変性PVAの水酸基による親水性とともに、[A]アルキル変性PVAのアルキル基による疎水性を適度に発揮させることができる。その結果、当該乳化重合用安定剤は、優れた乳化重合安定性を発揮することができ、また、得られるエマルジョンは、アルキル基の疎水性相互作用に起因する高粘度を発揮するとともに、流動時には粘度が低下して流動性が向上すると考えられる。
[B]成分と[A]アルキル変性PVAとの質量比([B]成分の質量/[A]アルキル変性PVAの質量)としては、0.1/99.9以上80/20以下が好ましく、3/97以上25/75以下がより好ましく、7/93以上30/70以下がさらに好ましく、10/90以上35/65以下が特に好ましい。[B]成分と[A]アルキル変性PVAとの質量比を上記範囲とすることで、当該乳化重合用安定剤の乳化重合安定性、得られるエマルジョンの粘度及び流動性を向上させることができる。
<水性エマルジョン>
本発明の乳化重合用安定剤は、エチレン性不飽和単量体から選ばれる少なくとも1種の単量体の(共)重合体(以下、「[C]重合体」ともいう)を乳化重合により得るのに好適に用いられ、これにより、高粘度であるとともに流動性にも優れる水性エマルジョンを得ることができる。上記水性エマルジョンは、当該乳化重合用安定剤を分散剤として、[C]重合体を分散質として含有する。
上記エチレン性不飽和単量体としては、
エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン;
塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニリデンクロリド、ビニリデンフルオリド等のハロゲン化オレフィン;
ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル;
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステル;
アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル及びこれらの四級化物、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそのナトリウム塩等のアクリルアミド系単量体;
スチレン、α−メチルスチレン、p−スチレンスルホン酸及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩等のスチレン系単量体;
ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系単量体;
その他、N−ビニルピロリドン等が挙げられ、これらは単独又は二種以上混合して重合に用いられる。上記エチレン性不飽和単量体の中でも、ビニルエステル、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン及びジエン系単量体が好ましく、ビニルエステル単独、エチレンとビニルエステルとの併用及びビニルエステルと(メタ)アクリル酸エステルの併用であって、ビニルエステル、好ましくは酢酸ビニルが51質量%以上であるものがより好ましい。
(水性エマルジョンの調製)
上記水性エマルジョンは、当該乳化重合用安定剤分散剤に用いて、水溶液中で、重合開始剤の存在下、上記エチレン性不飽和単量体を一時又は連続的に添加して、このエチレン性不飽和単量体を乳化重合することにより調製される。また、エチレン性不飽和単量体を、あらかじめ[A]アルキル変性PVA水溶液を用いて乳化したものを、連続的に重合反応系に添加する乳化重合法も採用できる。[A]アルキル変性PVAの使用量は特に限定されないが、[C]重合体100質量部に対し1〜30質量部が好ましく、2〜20質量部がより好ましい。
上記水性エマルジョンには、乳化重合開始前、乳化重合中又は乳化重合後に、上述の[B]成分が添加されている。[B]成分の添加量としては、エチレン性不飽和単量体の重合体100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましく、1〜5質量部がさらに好ましい。
このようにして得られるエマルジョンは、そのまま、若しくは従来公知の添加剤を添加して各種の用途に利用される。例えば、各種接着剤、塗料、繊維加工剤、紙加工剤、無機物バインダー、セメント混和剤、モルタルプライマー等広範な用途に利用される。さらには、得られたエマルジョンを噴霧乾燥等により粉末化したいわゆる粉末エマルジョンとしても有効に利用される。
以下、実施例及び比較例により、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例及び比較例において「部」及び「%」は、特に断りのない限り質量を基準とする。
下記製造例により得られたPVA(アルキル変性PVA及び無変性PVA)の物性値について、以下の方法に従って測定した。また、得られた水性エマルジョンの粘度は、下記の方法で評価した。
[変性率]
各PVAの変性率(PVAにおけるアルキル基を有する単量体単位の含有率)は、上述のプロトンNMRを用いた方法により求めた。
[重合度]
各PVAの粘度平均重合度は、JIS−K6726:1994年に記載の方法により求めた。
[けん化度]
各PVAのけん化度は、JIS−K6726:1994年に記載の方法により求めた。
[水性エマルジョンの粘度]
BH型粘度計(トキメック製)を用い、30℃において、得られた水性エマルジョンの2rpmにおける粘度(η2rpm)及び20rpmにおける粘度(η20rpm)を測定した。
<PVAの製造>
[製造例1](PVA1の製造)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、コモノマー滴下口及び開始剤の添加口を備えた3Lの反応器に、酢酸ビニル750g、メタノール250g及びN−オクタデシルメタクリルアミド1.1gを仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。また、ディレー溶液としてN−オクタデシルメタクリルアミドをメタノールに溶解して濃度5%としたコモノマー溶液を調製し、窒素ガスのバブリングにより窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.25gを添加し重合を開始した。ディレー溶液を滴下により添加し、重合溶液中のモノマー組成(酢酸ビニルとN−オクタデシルメタクリルアミドとの比率)が一定となるようにしながら、60℃で3時間重合した後、冷却して重合を停止した。用いたコモノマー(N−オクタデシルメタクリルアミド)の総量(仕込み+添加)は4.8gであった。酢酸ビニルの重合率は40%であった。また重合停止時の固形分濃度は29.9%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、アルキル変性ビニルエステル系重合体(アルキル変性PVAc)のメタノール溶液(濃度35%)を得た。さらに、これにメタノールを加えて調製したアルキル変性PVAcのメタノール溶液771.4g(溶液中のアルキル変性PVAc200.0g)に、27.9gのアルカリ溶液(水酸化ナトリウムの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。ここで、けん化溶液におけるアルキル変性PVAc濃度は25%、アルキル変性PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比は0.0075であった。アルカリ溶液を添加後約1分でゲル状物が生成したので、これを粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル500gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノール2,000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られた白色固体を乾燥機中65℃で2日間放置してアルキル変性PVA(PVA1)を得た。
[製造例2〜18](PVA2〜18の製造)
酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量、重合時に使用するアルキル基を有する不飽和単量体の種類や添加量等の重合条件、酢酸ビニルの重合率、けん化時におけるアルキル変性PVAcの濃度、酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件を表1に示すように変更したこと以外は、製造例1と同様の方法により各種のアルキル変性PVA(PVA2〜18)を製造した。
[製造例19](PVA19の製造)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管及び開始剤の添加口を備えた3Lの反応器に、酢酸ビニル750g、メタノール250g、及びオクタデシルビニルエーテル57.3gを仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0gを添加し重合を開始した。60℃で2時間重合した後、冷却して重合を停止した。酢酸ビニルの重合率は40%であった。重合停止時の固形分濃度は30.4%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、アルキル変性ビニルエステル系重合体(アルキル変性PVAc)のメタノール溶液(濃度35%)を得た。さらに、これにメタノールを加えて調製したアルキル変性PVAcのメタノール溶液792.9g(溶液中のアルキル変性PVAc200.0g)に、7.0gのアルカリ溶液(水酸化ナトリウムの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。ここで、けん化溶液のアルキル変性PVAc濃度は25%、アルキル変性PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比は0.0075であった。アルカリ溶液を添加後約12分でゲル状物が生成したので、これを粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル500gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノール2,000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られた白色固体を乾燥機中65℃で2日間放置してアルキル変性PVA(PVA19)を得た。
[製造例20](PVA20の製造)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管及び開始剤の添加口を備えた3Lの反応器に、酢酸ビニル900g及びメタノール100gを仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.25gを添加し重合を開始し、60℃で3時間重合した後、冷却して重合を停止した。酢酸ビニルの重合率は35%であった。重合停止時の固形分濃度は31.0%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、ポリ酢酸ビニル(PVAc)のメタノール溶液(濃度30%)を得た。さらに、これにメタノールを加えて調製したPVAcのメタノール溶液971.1g(溶液中のPVAc200.0g)に、27.9gのアルカリ溶液(水酸化ナトリウムの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。ここで、けん化溶液のPVAc濃度は20%、PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比は0.03であった。アルカリ溶液を添加後約1分でゲル状物が生成したので、これを粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル500gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノール2,000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られた白色固体を乾燥機中65℃で2日間放置して無変性PVA(PVA20)を得た。
Figure 2014173067
[実施例1]
[乳化重合用安定剤の乳化重合安定性]
(酢酸ビニルの乳化重合)
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を供えた1Lガラス製重合容器に、イオン交換水350g、PVA1(重合度1,700、けん化度88%、アルキル変性率0.4モル%)12.6g及び[B]成分としてのジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEMB)18.4gを仕込み95℃で完全に溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、200rpmで撹拌しながら酢酸ビニル16.8gを加え、60℃に昇温した後、5%過酸化水素4.6g/20%酒石酸2.0gのレドックス開始剤を添加して重合を開始した。重合開始15分後から酢酸ビニル151.6gを3時間にわたって連続的に添加した後、5%過酸化水素0.6g/20%酒石酸0.2gを添加して重合を完結させ、固形分濃度34.8%、粒径2μmのポリ酢酸ビニルエマルジョンを得た。得られたポリ酢酸ビニルエマルジョンの凝集・ゲル化がなくエマルジョン粒子が分散しており、乳化重合が安定に進行したものを「A」、比較的エマルジョン粒子が分散しており、乳化重合が安定に進行したが、ろ過残分が僅かに見られるものを「B」、エマルジョンの粗粒が見られ、濾過残分が多く、重合が不安定であったものを「C」と評価した。各乳化重合用安定剤の乳化重合安定性を表2に示す。なお、表2中、「※1」は、[B]成分を添加しなかったことを示す。「※2」は、PVAが水溶液に対して完全に溶解しないため、エマルジョン重合ができなかったことを示し、「※3」は、PVA水溶液の粘度が高くエマルジョン重合ができなかったことを示す。
[水性エマルジョンの粘度]
上記得られたポリ酢酸ビニルエマルジョンの固形分100質量部に対して、可塑剤としてジブチルフタレート5質量部を添加混合した。得られた水性エマルジョンの粘度を上述の方法により測定し、水性エマルジョンの粘度を測定した。その結果を表2に合わせて示す。
[実施例2〜25及び比較例1〜6]
上記用いたPVA1に代えて、表2に示したPVA及び[B]成分を用い、添加量を表2に示すように変更したこと以外は、実施例1の[乳化重合用安定剤の乳化重合安定性]、[水性エマルジョンの粘度]と同様にして当該乳化重合用安定剤の乳化重合安定性、並びに得られた水性エマルジョンの粘度を評価した。その結果を表2に併せて示す。
Figure 2014173067
Figure 2014173067
Figure 2014173067
Figure 2014173067
表2に示されるように、実施例1〜25の乳化重合用安定剤は、乳化重合安定性に優れることが分かる。また、表2に示されるように、実施例1〜25で得られた水性エマルジョンは、高粘度であるとともに流動性に優れる、即ちチキソトロピー性を有することが分かる。さらに、PVAの粘度平均重合度、アルキル変性率、けん化度、単量体単位の構造、[B]成分の種類、及び[B]成分とPVAとの質量比を特定した、実施例1、2、4、9、12、13、15〜22、24及び25の乳化重合用安定剤は乳化重合安定性に特に優れると共に、得られた水性エマルジョンの粘度が特に高く、流動性も良好である。なお、実施例3、5〜8、10、11、14、23の乳化重合用安定剤は乳化重合安定性、得られた水性エマルジョンの粘度及び流動性が若干低下することが分かる。これは、変性率、重合度、及び単量体単位等の構造が違うこと、[B]成分の種類や有無等に起因するものと考えられる。
一方、PVAが規定の要件を満たさない場合又は[B]成分が規定の要件を満たさない場合や未添加である場合(比較例1〜6)、PVA自体の水溶性が低下する、溶液粘度が高くなる等取扱性が低下したり、乳化重合用安定剤の乳化重合安定性が低下する、得られた水性エマルジョンの粘度が低下することが分かる。
本発明の乳化重合用安定剤は、優れた乳化重合安定性を発揮することができ、得られるエマルジョンは高粘度であるとともに流動性にも優れる。従って、当該乳化重合用安定剤を用いて得られるエマルジョンは、各種接着剤、塗料、繊維加工剤、紙加工剤、無機物バインダー、セメント混和剤、モルタルプライマー等に好適に用いられる。

Claims (6)

  1. [A]アルキル変性ビニルアルコール系重合体と、[B]特定のハンセン溶解度パラメーターの有機化合物[B1]、下記式(I)で表される化合物[B2]、シクロデキストリン[B3]又はそれらの組み合わせとを含有し、
    [A]アルキル変性ビニルアルコール系重合体が、炭素数5以上29以下のアルキル基を有する単量体単位を含有し、この単量体単位の含有率が0.05モル%以上5モル%以下であり、かつ[A]アルキル変性ビニルアルコール系重合体のけん化度が20モル%以上99.99モル%以下であり、
    上記有機化合物[B1]のハンセン溶解度パラメーターにおけるδdが14MPa0.5以上18MPa0.5以下、δpが5MPa0.5以上9MPa0.5以下、δhが9MPa0.5以上13MPa0.5以下である乳化重合用安定剤。
    Figure 2014173067
    (式(I)中、Rは、炭素数7〜29の、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基又はアルキル芳香族基である。Xは、カルボキシル基若しくはその塩、スルホン酸基若しくはその塩、硫酸基若しくはその塩又はリン酸基若しくはその塩である。)
  2. 上記単量体単位が、下記式(II)で表される請求項1に記載の乳化重合用安定剤。
    Figure 2014173067
    (式(II)中、Rは、炭素数5〜29のアルキル基である。Rは、水素原子又はメチル基である。)
  3. [A]アルキル変性ビニルアルコール系重合体が、下記式(III)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をけん化することにより得られる請求項1又は請求項2に記載の乳化重合用安定剤。
  4. [A]アルキル変性ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度が、100以上5,000以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の乳化重合用安定剤。
  5. [B]成分と[A]アルキル変性ビニルアルコール系重合体との質量比が、0.1/99.9以上80/20以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の乳化重合用安定剤。
  6. 酢酸ビニルを51質量%以上含むエチレン性不飽和単量体の重合に用いられる請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の乳化重合用安定剤。
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