JP2014159534A - 耐水性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐水性が求められる用途に適用できる、アルキル変性PVAを含む耐水性組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、(A)アルキル変性PVA及び(B)両親媒性化合物を含有し、(A)上記アルキル変性PVAが炭素数5〜29のアルキル基を有する単量体単位を含有し、この単量体単位の含有率が0.05モル%以上5モル%以下であり、(A)アルキル変性PVAのけん化度が20モル%以上99.99モル%以下であり、(B)両親媒性化合物が(B1)下記式(I)で表される化合物又は(B2)シクロデキストリン化合物である耐水性組成物である。
Figure 2014159534

【選択図】なし

Description

本発明は、アルキル変性ビニルアルコール系重合体を含有する耐水性組成物に関する。
ビニルアルコール系重合体(以下、「PVA」と略記することもある)は、数少ない結晶性の水溶性高分子であり、優れた造膜性、界面特性及び強度特性を有する。このため、PVAは増粘剤、紙用塗工剤、接着剤、繊維加工剤、バインダー、エマルジョン安定剤、フィルム及び繊維の原料等として広く利用されている。またPVAの特定の性能を向上させるために、結晶性の制御、官能基の導入等による変性PVAの開発が行われている。
このような変性PVAの一つであるアルキル変性PVAは、高粘度溶液を与えることが知られている。このため、アルキル変性PVAは、塗料や接着剤の増粘剤として有用であり、各種単量体単位を含有するアルキル変性PVAが開発されている(特開2008−291120号公報及び特開平10−338714号公報参照)。アルキル変性PVAは、耐水性が求められる用途への適用も試みられている。しかし、従来のアルキル変性PVAは耐水性が不十分であり、耐水性が求められる用途への適用には限界がある。
特開2004−43644号公報 特開2008−291120号公報 特開平10−338714号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、耐水性が求められる用途に適用できる、アルキル変性PVAを含む耐水性組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、
(A)アルキル変性PVAとの重量比及び(B)両親媒性化合物を含有し、
上記(A)アルキル変性PVAが炭素数5〜29のアルキル基を有する単量体単位を含有し、この単量体単位の含有率が0.05モル%以上5モル%以下であり、かつ上記(A)アルキル変性PVAのけん化度が20モル%以上99.99モル%以下であり、
上記(B)両親媒性化合物が、(B1)下記式(I)で表される化合物又は(B2)シクロデキストリン化合物である耐水性組成物である。
Figure 2014159534
(式(I)中、Rは、炭素数7〜29の、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基又はアルキル芳香族基である。Xは、カルボキシル基若しくはその塩、スルホン酸基若しくはその塩、硫酸基若しくはその塩又はリン酸基若しくはその塩である。)
当該耐水性組成物は、(B)両親媒性化合物として、(B1)上記式(1)で表される化合物(以下「化合物(I)」と略記することもある)又は(B2)シクロデキストリン化合物を含有している。(B1)化合物(I)は、疎水性のRと親水性のXとを有するものである。一方、(B2)シクロデキストリン化合物は、環構造の内側が疎水性、外側が親水性を有するものである。そのため、(B1)化合物(I)及び(B2)シクロデキストリン化合物は、(A)アルキル変性PVAとの相溶性に優れることから、(A)アルキル変性PVAの溶解性が高められる。これにより、(A)アルキル変性PVAを含む溶液等を調製するときの取り扱いが容易となる。(B1)化合物(I)及び(B2)シクロデキストリン化合物は、(A)アルキル変性PVAが有するアルキル基同士の疎水性相互作用を阻害すると考えられる。これにより、当該耐水性組成物は、アルキル基同士の疎水性相互作用が阻害されることでアルキル基による疎水性が十分に発揮され、当該耐水性組成物から形成された皮膜等の耐水性を向上させることができる。その結果、当該耐水性組成物は、耐水性が要求される用途への幅広い適用が期待できるようになる。
上記(B2)シクロデキストリン化合物としては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリン、並びにこれらのメチル化体、エチル化体及びプロピル化体からなる群より選択される少なくとも1種であるがより好ましい。このような(B2)シクロデキストリン化合物を含有させることで、(A)アルキル変性PVAの溶解性を適切に高めることで取り扱い性を高め、アルキル基同士の疎水性相互作用を適切に阻害することで、より有効に耐水性を改善できる。
上記単量体単位は、下記式(II)で表されることが好ましい。
Figure 2014159534
(式(II)中、Rは、炭素数5〜29のアルキル基である。Rは、水素原子又はメチル基である。)
上記単量体単位が上記特定構造を有することで、PVAに対するアルキル変性による効果、すなわち耐水性の改善効果をより有効に奏することができる。
上記(A)アルキル変性PVAとしては、下記式(III)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をけん化することにより得られたものが好ましい。
Figure 2014159534
(式(III)中、R及びRの定義は、上記式(II)と同様である。)
(A)アルキル変性PVAが上記特定の単量体の共重体をけん化したものであるから、(A)アルキル変性PVAの量(変性率)によって目的とする耐水性に調整することが容易であり、また(A)アルキル変性PVAのけん化度を調整することで溶解性等の調整を容易に行える。
(A)アルキル変性PVAの粘度平均重合度としては、100以上5,000以下が好ましい。(A)アルキル変性PVAの粘度平均重合度を上記範囲とすることで、(A)アルキル変性PVAの耐水性の改善効果をより有効に奏することができる。
上記(B)両親媒性化合物と上記(A)アルキル変性PVAとの質量比としては、0.1/99.9以上80/20以下が好ましい。(B)両親媒性化合物と(A)アルキル変性PVAとの質量比を上記範囲とすることで、(A)アルキル変性PVAの耐水性の改善効果をより有効に奏することができる。
以上説明したように、本発明の耐水性組成物は、特定のアルキル変性PVA及び特定の両親媒性化合物を含むことで、高い耐水性を発揮することができる。従って、耐水性が要求される用途への幅広い適用が期待できるようになる。
以下、本発明の耐水性組成物について詳説する。
[耐水性組成物]
本発明の耐水性組成物は、以下に詳説する(A)アルキル変性PVA及び(B)両親媒性化合物を含有する。また、当該耐水性組成物は、本発明の趣旨を損なわない限り、任意成分を含有していてもよい。以下、これらの成分について詳述する。
<(A)アルキル変性PVA>
当該耐水性組成物に含まれる(A)アルキル変性PVAは、炭素数5〜29のアルキル基を有する単量体単位を含有する。すなわち、(A)アルキル変性PVAは、上記炭素数5〜29のアルキル基を有する単量体単位と、ビニルアルコール系単量体単位とを含有する共重合体であり、さらに他の単量体単位を含有していてもよい。このアルキル基の炭素数が5未満の場合、このアルキル基と(B)両親媒性化合物との相互作用が十分に発現しないため、耐水性が低下する。一方、このアルキル基の炭素数が29を超える場合、耐水性を十分に改善することができない。上記アルキル基の炭素数としては、耐水性をより確実に改善する観点から、5〜24が好ましく、5〜20がより好ましく、7〜20がさらに好ましく、9〜20が特に好ましい。
上記炭素数5〜29のアルキル基を有する単量体単位としては、
1−オクテン、1−デセン等のα−オレフィン類に由来する単量体単位;
ペンチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のビニルエーテル類に由来する単量体単位;
下記式(II)で表される単量体単位が好ましく、下記Rが炭素数5〜24のアルキル基である単量体単位がより好ましい。
Figure 2014159534
上記式(II)中、Rは、炭素数5〜29のアルキル基である。Rは、水素原子又はメチル基である。
上記Rで表される炭素数5〜29のアルキル基としては、例えばペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、ヘキサコシル基等が挙げられる。これらのうち、耐水性を十分に発揮させる観点から、炭素数5〜24のアルキル基が好ましく、炭素数5〜20のアルキル基がより好ましく、炭素数7〜20のアルキル基がさらに好ましく、炭素数9〜20のアルキル基が特に好ましい。
なお、上記Rで表されるアルキル基は、本発明の趣旨が損なわれない範囲であれば、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよいが、これらの置換基を有していないことが好ましい。
(A)アルキル変性PVAにおける炭素数5〜29のアルキル基を有する単量体単位の含有率は0.05モル%以上5モル%以下であることが重要であり、0.05モル%以上2モル%以下が好ましく、0.1モル%以上2モル%以下がより好ましく、0.2モル%以上1モル%以下がさらに好ましい。なお、本明細書における炭素数5〜29のアルキル基を有する単量体単位の含有率とは、(A)アルキル変性PVAを構成する全構造単位のモル数に占める炭素数5〜29のアルキル基を有する単量体単位のモル数の割合である。
炭素数5〜29のアルキル基を有する単量体単位の含有率が5モル%を超えると、(A)アルキル変性PVA一分子あたりに含まれる疎水基の割合が高くなり、この(A)アルキル変性PVAの水溶性が低下する。一方、炭素数5〜29のアルキル基を有する単量体単位の含有量が0.05モル%未満の場合、(A)アルキル変性PVAの水溶性は優れているものの、(A)アルキル変性PVA中に含まれるアルキル基の数が少なく、アルキル変性に基づく耐水性改善効果が小さい。
炭素数5〜29のアルキル基を有する単量体単位の含有率は、(A)アルキル変性PVAの前駆体であるアルキル変性ビニルエステル系重合体のプロトンNMRから求めることができる。具体的には、n−ヘキサン/アセトンでアルキル変性ビニルエステル系重合体の再沈精製を3回以上十分に行った後、50℃の減圧下で乾燥を2日間行い、分析用のサンプルを作製する。このサンプルをCDClに溶解させ、500MHzのプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて室温で測定する。
この際、例えば、上記アルキル変性ビニルエステル系重合体が、上記式(II)で表される単量体単位以外のアルキル変性単量体単位を含まず、かつ、Rが直鎖状であり、さらにRが水素原子である場合、以下の方法にて算出できる。すなわち、アルキル変性ビニルエステル系重合体の主鎖メチンに由来するピークα(4.7〜5.2ppm)と、アルキル基Rの末端メチル基に由来するピークβ(0.8〜1.0ppm)とから、下記式を用いて、上記式(II)で表される単量体単位の含有率Sを算出する。
S(モル%)
={(βのプロトン数/3)/(αのプロトン数+(βのプロトン数/3))}×100
(A)アルキル変性PVAのけん化度は20モル%以上99.99モル%以下であり、40モル%以上99.95モル%以下が好ましく、70モル%以上99.9モル%以下がより好ましく、95モル%以上99.9モル%以下が特に好ましい。このけん化度が20モル%未満の場合には、(A)アルキル変性PVAの水溶性が低下し、その結果、(A)アルキル変性PVAを含む耐水性組成物の調製が困難になる。逆に、このけん化度が99.99モル%を超えると、(A)アルキル変性PVAの生産が困難になるので実用的でない。なお、(A)アルキル変性PVAのけん化度は、JIS−K6726:1994年に準じて測定される。
(A)アルキル変性PVAの粘度平均重合度は、100以上5,000以下であることが好ましく、500以上2,700以下がより好ましく、1,000以上2,300以下がさらに好ましい。なお、粘度平均重合度を単に重合度と呼ぶことがある。この重合度が5,000を超えると、(A)アルキル変性PVAの生産性が低下するおそれがある。逆に、この重合度が100未満の場合、(A)アルキル変性PVAを含む耐水性組成物の高粘性等の物性が発現しないおそれがある。
この粘度平均重合度(P)は、JIS−K6726:1994年に準じて測定される。すなわち、(A)アルキル変性PVAを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](単位:デシリットル/g)から次式により求められる。
P=([η]×10/8.29)(1/0.62)
当該耐水性組成物における(A)アルキル変性PVAの濃度は特に限定されないが、0.5質量%以上50質量%以下が好ましく、0.8質量%以上30質量%以下がより好ましく、1質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。
<(A)アルキル変性PVAの製造方法>
(A)アルキル変性PVAを製造する方法は特に制限されないが、下記式(III)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合を行い、得られるアルキル変性ビニルエステル系重合体(共重合体)をけん化する方法が好ましい。当該当該耐水性組成物が含有する(A)アルキル変性PVAが上記特定の単量体の共重合体をけん化することにより得られるものであると、(A)アルキル変性PVAのけん化度等の調整が容易となり、当該当該耐水性組成物の粘度を調整することができる。ここで、上記共重合はアルコール系溶媒中又は無溶媒で行うことが好ましい。
Figure 2014159534
上記式(III)中、R及びRの定義は、上記式(II)と同様である。
上記式(III)で表される不飽和単量体としては、例えばN−ペンチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−デシルアクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド、N−ヘキサコシルアクリルアミド、N−ペンチルメタクリルアミド、N−オクチルメタクリルアミド、N−デシルメタクリルアミド、N−ドデシルメタクリルアミド、N−オクタデシルメタクリルアミド、N−ヘキサコシルメタクリルアミド等が挙げられる。これらのうち、N−オクタデシルアクリルアミド、N−ペンチルメタクリルアミド、N−オクチルメタクリルアミド、N−デシルメタクリルアミド、N−ドデシルメタクリルアミド、N−オクタデシルメタクリルアミド、N−ヘキサコシルメタクリルアミドが好ましく、N−オクタデシルアクリルアミド、N−ドデシルメタクリルアミド、N−オクタデシルメタクリルアミドがより好ましく、N−オクタデシルアクリルアミド、N−オクタデシルメタクリルアミドがさらに好ましい。
上記ビニルエステル系単量体としては、例えばギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられる。これらのうち、酢酸ビニルが好ましい。
上記式(III)で表される不飽和単量体と上記ビニルエステル系単量体との共重合に際して、本発明の趣旨を損なわない範囲で他の単量体を共重合してもよい。使用し得る他の単量体としては、例えば
エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン等のα−オレフィン類;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;
塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;
塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類;
酢酸アリル、2,3−ジアセトキシ−1−アリルオキシプロパン、塩化アリル等のアリル化合物類;
ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物類;
酢酸イソプロペニル等が挙げられる。
また、上記式(III)で表される不飽和単量体と上記ビニルエステル系単量体との共重合に際し、得られる共重合体の重合度を調節すること等を目的として、本発明の趣旨を損なわない範囲で連鎖移動剤を添加してもよい。この連鎖移動剤としては、例えば
アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド類;
アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;
2−ヒドロキシエタンチオール等のメルカプタン類;
トリクロロエチレン、パークロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;
ホスフィン酸ナトリウム1水和物等のホスフィン酸塩類等が挙げられる。これらのうち、アルデヒド類、ケトン類が好ましい。
上記連鎖移動剤の添加量としては、添加する連鎖移動剤の連鎖移動定数及び目的とするアルキル変性ビニルエステル系重合体の重合度、ひいては(A)アルキル変性PVAの重合度に応じて決定することができるが、一般にビニルエステル系単量体に対して0.1質量%以上10質量%以下が好ましい。
上記式(III)で表される不飽和単量体と上記ビニルエステル系単量体との共重合を行う際に採用される温度としては、0℃〜200℃が好ましく、30℃〜140℃がより好ましい。共重合を行う温度が0℃より低い場合は、十分な重合速度が得られにくい。また、重合を行う温度が200℃より高い場合、本発明で規定するアルキル基を有する単量体単位の含有率を満足するアルキル変性PVAを得られにくい。共重合を行う際に採用される温度を0℃〜200℃に制御する方法としては、例えば、重合速度を制御することで、重合反応による発熱と反応器の表面からの放熱とのバランスをとる方法や、適当な熱媒を用いた外部ジャケットにより制御する方法等が挙げられる。これらの方法のうち、安全性の面からは適当な熱媒を用いた外部ジャケットにより制御する方法が好ましい。
上記式(III)で表される不飽和単量体と上記ビニルエステル系単量体との共重合を行うのに用いられる重合方式としては、例えば回分重合、半回分重合、連続重合、半連続重合等が挙げられる。重合方法としては、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等公知の方法を用いることができる。これらのうち、無溶媒又はアルコール系溶媒中で重合を行う塊状重合法、溶液重合法が好適に採用され、高重合度の共重合物の製造を目的とする場合は乳化重合法が採用される。
上記アルコール系溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの溶媒は2種類以上を混合して用いることができる。
上記式(III)で表される不飽和単量体と上記ビニルエステル系単量体との共重合に使用される開始剤としては、重合方法に応じて従来公知のアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤等を用いることができる。
上記アゾ系開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
上記過酸化物系開始剤としては、例えば
ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物;
t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシデカネート等のパーエステル化合物;
アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート等が挙げられる。さらには、上記開始剤に過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等を組み合わせて開始剤とすることもできる。
上記レドックス系開始剤としては、例えば上記過酸化物と、亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリット等の還元剤とを組み合わせたもの等が挙げられる。
なお、上記式(III)で表される不飽和単量体と上記ビニルエステル系単量体との共重合を高い温度で行った場合、ビニルエステル系単量体の分解に起因するPVAの着色等が見られることがある。この場合には、着色防止の目的で重合系に酒石酸のような酸化防止剤を、ビニルエステル系単量体に対して1〜100ppm程度添加するのがよい。
上記共重合により得られたアルキル変性ビニルエステル系共重合体のけん化反応には、公知の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド等の塩基性触媒又はp−トルエンスルホン酸等の酸性触媒を用いた加アルコール分解反応又は加水分解反応を適用することができる。
上記けん化反応に使用し得る溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。なお、これらの溶媒は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記けん化反応としては、メタノール、又はメタノール/酢酸メチル混合溶液を溶媒とし、水酸化ナトリウムを触媒として用いて行う方法が簡便であり好ましい。
<(B)両親媒性化合物>
当該耐水性組成物に含有させる(B)両親媒性化合物としては、(B1)下記式(I)で表される化合物又は(B2)シクロデキストリン化合物を使用することができる。(B1)化合物(I)及び(B2)シクロデキストリン化合物は、単独で使用してもよいし、両者を併用してもよい。
((B1)化合物(I))
(B1)化合物(I)は、下記式(I)で表される化合物である。
Figure 2014159534
式(I)中、Rは、炭素数が7〜29であり、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基又はアルキル芳香族基である。Xは、カルボキシル基若しくはその塩、スルホン酸基若しくはその塩、硫酸基若しくはその塩又はリン酸基若しくはその塩である。なお、「硫酸基」とは、−O−SO−OHを意味する。また、「リン酸基」とは、−O−P(O)(OR’)−OH(R’は、水素原子又は1価の有機基である)を意味する。
(B1)化合物(I)は、疎水性のRと親水性のXとを有し、(A)アルキル変性PVA及び水との相溶性に優れるので、(A)アルキル変性PVAの溶解が促進され、当該耐水性組成物、その溶液等の調製が容易となり、取り扱い性が向上する。また、(B1)化合物(I)は、(A)アルキル変性PVAが有するアルキル基同士の疎水性相互作用を阻害すると考えられる。そのため、アルキル基による疎水性を十分に発揮させ、当該耐水性組成物から形成される皮膜等の耐水性を向上させることができる。その結果、当該耐水性組成物は、耐水性が要求される用途への幅広い適用が期待できるようになる。
上記(I)式中のXとしては、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、硫酸基又はその塩が好ましく、カルボキシル基の塩、スルホン酸基の塩、硫酸基の塩がより好ましく、スルホン酸基の塩、硫酸基の塩がさらに好ましい。ここで、上記それぞれの塩におけるカウンターカチオンとしては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のカチオン;カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属のカチオン;アンモニウムイオンなどが挙げられる。これらの中で、入手容易性の観点から、ナトリウムカチオンが好ましく、硫酸基の塩がより好ましい。上記Xが、このような特定の基であることにより、(A)アルキル変性PVAが有するアルキル基同士の疎水性相互作用の阻害が適切に促進されるものと考えられるため、耐水性の改善を十分に図ることができる。
上記Rで表される炭素数7〜29の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えば、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、2−ヘキシルオクチル基、n−ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基、n−ヘンイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基、n−ペンタコシル基、n−ヘキサコシル基、n−ヘプタコシル基、n−オクタコシル基、n−ノナコシル基等が挙げられる。これらの中で、2−エチルヘキシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基が好ましい。
上記Rで表される炭素数7〜29の直鎖状又は分岐状のアルケニル基としては、例えば、n−オクテニル基、n−ノネニル基、n−デセニル基、n−ドデセニル基、n−テトラデセニル基、n−ヘキサデセニル基、n−ヘプタデセニル基、n−オクタデセニル基、n−イコセニル基、n−ドコセニル基、n−テトラコセニル基、n−ヘキサコセニル基、n−ノナコセニル基等が挙げられる。これらの中で、n−ヘプタデセニル基が好ましい。
上記Rで表される炭素数7〜29のアルキル芳香族基における芳香族基としては、例えば、
フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等の芳香族炭化水素基;
ピリジル基、ピローリル基、チエニル基、フリル基等のヘテロ芳香族基などが挙げられる。
上記アルキル芳香族基における芳香環を置換するアルキル基としては、例えば、上記Rとして例示したアルキル基と同様の基等が挙げられる。
上記アルキル芳香族基としては、例えば、オクチルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基、テトラデシルフェニル基、ヘキサデシルフェニル基、オクタデシルフェニル基、イコシルフェニル基等が挙げられる。これらの中で、ドデシルフェニル基が好ましい。
上記Rの炭素数としては、7〜24が好ましく、7〜20がより好ましく、8〜18がさらに好ましく、12〜18が特に好ましい。Rの炭素数を上記範囲とすることで、(A)アルキル変性PVAのアルキル基とRとの相互作用が高まり、その結果耐水性が向上する。
(B1)化合物(I)としては、上記式(I)で表される化合物であれば特に限定されないが、例えば炭素数7〜29の鎖状飽和カルボン酸又はその塩、炭素数7〜29の鎖状不飽和カルボン酸又はその塩、炭素数7〜29のアルキル芳香族カルボン酸又はその塩、炭素数7〜29のアルキル芳香族スルホン酸又はその塩、炭素数7〜29のアルキル硫酸又はその塩、炭素数7〜29のアルケニル硫酸又はその塩、炭素数7〜29のモノアルキルリン酸又はその塩、炭素数7〜29のジアルキルリン酸又はその塩、炭素数7〜29のモノアルケニルリン酸又はその塩、炭素数7〜29のジアルキルリン酸又はその塩等が挙げられる。これらの中で、不飽和カルボン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキル芳香族スルホン酸塩が好ましく、ラウリル硫酸ナトリウム、2−エチルヘキシル−硫酸エステルナトリウム、n−オクタデセン酸ナトリウム、n−ドデシル硫酸ナトリウム、n−オクタデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムがより好ましく、ラウリル硫酸ナトリウム、2−エチルヘキシル−硫酸エステルナトリウムが特に好ましい。
((B2)シクロデキストリン化合物)
(B2)シクロデキストリン化合物は、D−グルコースがα−1−4結合で環状構造を形成したシクロデキストリン又はその誘導体である。このシクロデキストリン化合物は、環状構造の内側は疎水性かつ外側は親水性であるという特性を有する。この疎水性である内側には、(A)アルキル変性PVAが有するアルキル基が包接されうる。このようなシクロデキストリン化合物は、(A)アルキル変性PVA及び水との相溶性に優れるので、(A)アルキル変性PVAの溶解が促進され、当該耐水性組成物の調製が容易になる。また、(B2)シクロデキストリン化合物は、上述のアルキル基の包接等により、(A)アルキル変性PVAが有するアルキル基同士の疎水性相互作用を阻害すると考えられる。そのため、アルキル基による疎水性を十分に発揮させ、当該耐水性組成物から形成された皮膜等の耐水性を向上させることができる。その結果、当該耐水性組成物は、耐水性が要求される用途への幅広い適用が期待できるようになる。
上記シクロデキストリン化合物としては、例えば、
α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、δ−シクロデキストリン、ε−シクロデキストリン等のシクロデキストリン;
上記シクロデキストリンのメチル化体、エチル化体、プロピル化体、ブチル化体、ペンチル化体等のアルキル化体;
上記シクロデキストリンのヒドロキシエチル化体、ヒドロキシプロピル化体、ヒドロキシブチル化体等のヒドロキシアルキル化体;
上記シクロデキストリンのホルミル化体、アセチル化体、プロピオニル化体等のアシル化体;
上記シクロデキストリンのグリコシル化体、マルトシル化体等の糖化体などが挙げられる。
これらの中で、(A)アルキル変性PVAの粘度をより低減できる観点から、シクロデキストリン、シクロデキストリンのアルキル化体が好ましく、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、メチル化α−シクロデキストリン、メチル化β−シクロデキストリン、メチル化γ−シクロデキストリン、エチル化α−シクロデキストリン、エチル化β−シクロデキストリン、エチル化γ−シクロデキストリン、プロピル化α−シクロデキストリン、プロピル化β−シクロデキストリン、プロピル化γ−シクロデキストリンがより好ましく、入手容易性の観点から、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、メチル化β−シクロデキストリンがさらに好ましい。
(B)両親媒性化合物と(A)アルキル変性PVAとの質量比((B)両親媒性化合物の質量/(A)アルキル変性PVAの質量)としては、0.1/99.9以上80/20以下が好ましく、3/97以上60/40以下がより好ましく、7/93以上50/50以下がさらに好ましく、10/90以上40/60以下が特に好ましい。(B)両親媒性化合物と(A)アルキル変性PVAとの質量比を上記範囲とすることで、当該耐水性組成物は、調製容易性、耐水性等を向上させることができる。上記質量比が0.1/99未満の場合は、調製容易性が低下し、耐水性を十分に改善できないおそれがある。逆に、上記質量比が80/20を超える場合は、(A)アルキル変性PVAの溶解性が低下するおそれがある。
<任意成分>
(添加剤)
当該耐水性組成物は、アルキル変性PVA、上記シクロデキストリン化合物及び水以外に、各種可塑剤、消泡剤、紫外線吸収剤、充填材、pH調整剤、耐水化剤等の添加剤を本発明の趣旨を損なわない範囲で含有していてもよい。
(他の水溶性高分子)
当該耐水性組成物は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、当該耐水性組成物が含有する上述のアルキル変性PVA以外の公知の各種PVA、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の他の水溶性高分子を含有していてもよい。これらの他の水溶性高分子の配合量は、当該耐水性組成物が含有する上記アルキル変性PVA100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましい。
(用途等)
当該耐水性組成物は、感温性バインダー、ゲル化剤、感温性接着剤、増粘剤等として好適に用いることができる。具体的には、例えば、紙用コーティング剤;内添サイズ剤;繊維加工剤;染料;グラスファイバーのコーティング剤;金属やガラスの表面コート剤;防曇剤等の被覆剤;木材、紙、アルミ箔、プラスチック等の接着剤;不織布バインダー;繊維状バインダー;石膏ボード及び繊維板等の建材用バインダー;各種エマルジョン系接着剤の増粘剤;尿素樹脂系接着剤の添加剤;セメント及びモルタル用添加剤;ホットメルト型接着剤;感圧接着剤等の各種接着剤;エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル等の各種エチレン系不飽和単量体の乳化重合用分散剤;塗料、接着剤等の顔料分散用安定剤;塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル等の各種エチレン性不飽和単量体の懸濁重合用分散安定剤;繊維、フィルム、シート、パイプ、チューブ、水溶性繊維、暫定皮膜等の成形物;疎水性樹脂への親水性付与剤;土質改良剤;土質安定剤等を構成する成分として用いることができる。
以下、実施例及び比較例により、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例及び比較例において「部」及び「%」は、特に断りのない限り質量を基準とする。
[評価]
下記製造例により得られたPVA(アルキル変性PVA及び無変性PVA)について、以下の方法に従って評価を行った。
<変性率>
各PVAの変性率(PVAにおけるアルキル基を有する単量体単位の含有率)は、上述のプロトンNMRを用いた方法により求めた。
<重合度>
各PVAの粘度平均重合度は、JIS−K6726:1994年に記載の方法により求めた。
<けん化度>
各PVAのけん化度は、JIS−K6726:1994年に記載の方法により求めた。
[PVAの製造]
<製造例1>(PVA1の製造)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、コモノマー滴下口及び開始剤の添加口を備えた3Lの反応器に、酢酸ビニル750g、メタノール250g及びN−オクタデシルメタクリルアミド1.1gを仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。また、ディレー溶液としてN−オクタデシルメタクリルアミドをメタノールに溶解して濃度5%としたコモノマー溶液を調製し、窒素ガスのバブリングにより窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.25gを添加し重合を開始した。ディレー溶液を滴下により添加し、重合溶液中のモノマー組成(酢酸ビニルとN−オクタデシルメタクリルアミドとの比率)が一定となるようにしながら、60℃で3時間重合した後、冷却して重合を停止した。用いたコモノマー(N−オクタデシルメタクリルアミド)の総量(仕込み+添加)は7.2gであった。酢酸ビニルの重合率は40%であった。また重合停止時の固形分濃度は29.9%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、アルキル変性ビニルエステル系重合体(アルキル変性PVAc)のメタノール溶液(濃度35%)を得た。さらに、これにメタノールを加えて調製したアルキル変性PVAcのメタノール溶液771.4g(溶液中のアルキル変性PVAc200.0g)に、3.3gのアルカリ溶液(水酸化ナトリウムの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。ここで、けん化溶液におけるアルキル変性PVAc濃度は25%、アルキル変性PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比は0.0350であった。アルカリ溶液を添加後約1分でゲル状物が生成したので、これを粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル500gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノール2,000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られた白色固体を乾燥機中65℃で2日間放置してアルキル変性PVA(PVA1)を得た。
<製造例2〜14>(PVA2〜14の製造)
酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量、重合時に使用するアルキル基を有する不飽和単量体の種類や添加量等の重合条件、酢酸ビニルの重合率、けん化時におけるアルキル変性PVAcの濃度等のけん化条件を表1に示すように変更したこと以外は、製造例1と同様の方法により各種のアルキル変性PVA(PVA2〜14)を製造した。
<製造例15>(PVA15の製造)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管及び開始剤の添加口を備えた3Lの反応器に、酢酸ビニル750g、メタノール250g、及びオクタデシルビニルエーテル57.3gを仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0gを添加し重合を開始した。60℃で2時間重合した後、冷却して重合を停止した。酢酸ビニルの重合率は40%であった。重合停止時の固形分濃度は30.4%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、アルキル変性ビニルエステル系重合体(アルキル変性PVAc)のメタノール溶液(濃度35%)を得た。さらに、これにメタノールを加えて調製したアルキル変性PVAcのメタノール溶液792.9g(溶液中のアルキル変性PVAc200.0g)に、3.3gのアルカリ溶液(水酸化ナトリウムの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。ここで、けん化溶液のアルキル変性PVAc濃度は25%、アルキル変性PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比は0.0350であった。アルカリ溶液を添加後約12分でゲル状物が生成したので、これを粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル500gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノール2,000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られた白色固体を乾燥機中65℃で2日間放置してアルキル変性PVA(PVA15)を得た。
<製造例16>(PVA16の製造)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管及び開始剤の添加口を備えた3Lの反応器に、酢酸ビニル750g及びメタノール250gを仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.25gを添加し重合を開始し、60℃で3時間重合した後、冷却して重合を停止した。酢酸ビニルの重合率は40%であった。重合停止時の固形分濃度は31.0%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、ポリ酢酸ビニル(PVAc)のメタノール溶液(濃度30%)を得た。さらに、これにメタノールを加えて調製したPVAcのメタノール溶液971.1g(溶液中のPVAc200.0g)に、3.3gのアルカリ溶液(水酸化ナトリウムの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。ここで、けん化溶液のPVAc濃度は25%、PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比は0.0350であった。アルカリ溶液を添加後約1分でゲル状物が生成したので、これを粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル500gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノール2,000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られた白色固体を乾燥機中65℃で2日間放置して無変性PVA(PVA16)を得た。
Figure 2014159534
<実施例1>耐水性組成物の製造
攪拌機付きの300mLのセパラブルフラスコに、水98.15g及び(B)両親媒性化合物としての(B1)化合物(I)であるラウリル硫酸ナトリウム0.075gを加えて溶解させた。次に、1.50gのPVA1を室温で加え、攪拌しながら90℃まで昇温し、溶解させた。その後、室温まで冷却し、PVA1を1.5質量%の濃度で含有する耐水性組成物を得た。
<実施例2〜16及び比較例1〜5>
実施例1において用いたPVA1及び両親媒性化合物に代えて、表2に示したPVA及び両親媒性化合物を用い、それらの添加量を調整した以外は、実施例1と同様にして耐水性組成物を製造した。
<評価>
得られた耐水性組成物を流延し、20℃で乾燥して無色透明の皮膜(厚み100μ)を得た。この皮膜について耐水性を評価した。
(耐水性)
皮膜の耐水性は、膨潤度及び溶出率により評価した。膨潤度及び溶出率は、以下に従って算出した。
膨潤度(倍)=B/(A×E/D)
溶出率(%)=[{(A×E/D)−C}/(A×E/D)]×100
A:浸漬前のシート状物の重量(g)
B:20℃の水中に24時間浸漬後引き上げたシート状物の重量(g)
C:20℃の水中に24時間浸漬後引き上げ、105℃で24時間乾燥した後の重量(g)
D:別途切り出したシート状物の重量(g)
E:Dで切り出したシート状物を、105℃で24時間乾燥した後の重量(g)
Figure 2014159534
Figure 2014159534
Figure 2014159534
表2に示されるように、実施例1〜16の皮膜は膨潤度及び溶出率ともに低く、耐水性が良好であることが分かる。さらに、PVAの粘度平均重合度、変化率、けん化度、単量体単位の構造、両親媒性化合物の種類、及び両親媒性化合物とPVAとの重量比を特定した、実施例1〜3,6〜8,10〜16の皮膜は、耐水性に特に優れている。なお、実施例4,5,9の皮膜は耐水性が若干低下することが分かる。これは変性率、重合度、及び単量体単位等の構造が違うことに起因するものと考えられる。
一方、PVAが規定の要件を満たさない場合又は両親媒性化合物が未添加である場合(比較例1〜5)、膨潤度及び溶出率が共に高く、耐水性が悪化するか、PVA自体の水溶性が低下することが分かる。
本発明の耐水性組成物は、特定のアルキル変性ビニルアルコール及び特定の両親媒性化合物を含むことで、高い耐水性を発揮することができる。従って、耐水性が要求される用途への幅広い適用が期待できるようになる。

Claims (6)

  1. (A)アルキル変性ビニルアルコール系重合体及び(B)両親媒性化合物を含有し、
    上記(A)アルキル変性ビニルアルコール系重合体が炭素数5〜29のアルキル基を有する単量体単位を含有し、この単量体単位の含有率が0.05モル%以上5モル%以下であり、かつ上記(A)アルキル変性ビニルアルコール系重合体のけん化度が20モル%以上99.99モル%以下であり、
    上記(B)両親媒性化合物が、(B1)下記式(I)で表される化合物又は(B2)シクロデキストリン化合物である耐水性組成物。
    Figure 2014159534
    (式(I)中、Rは、炭素数7〜29の、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基又はアルキル芳香族基である。Xは、カルボキシル基若しくはその塩、スルホン酸基若しくはその塩、硫酸基若しくはその塩又はリン酸基若しくはその塩である。)
  2. 上記(B2)シクロデキストリン化合物がα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリン、並びにこれらのメチル化体、エチル化体及びプロピル化体からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載の耐水性組成物。
  3. 上記単量体単位が下記式(II)で表される請求項1又は請求項2に記載の耐水性組成物。
    Figure 2014159534
    (式(II)中、Rは、炭素数5〜29のアルキル基である。Rは、水素原子又はメチル基である。)
  4. 上記(A)アルキル変性ビニルアルコール系重合体が、下記式(III)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をけん化することにより得られたものである請求項3に記載の耐水性組成物。
    Figure 2014159534
    (式(III)中、R及びRの定義は、上記式(II)と同様である。)
  5. 上記(A)アルキル変性ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度が、100以上5,000以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の耐水性組成物。
  6. 上記(B)両親媒性化合物と上記(A)アルキル変性ビニルアルコール系重合体との質量比が、0.1/99.9以上80/20以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の耐水性組成物。
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