JP2014172982A - 重合体膜、及び、該重合体膜その製造方法 - Google Patents

重合体膜、及び、該重合体膜その製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014172982A
JP2014172982A JP2013046227A JP2013046227A JP2014172982A JP 2014172982 A JP2014172982 A JP 2014172982A JP 2013046227 A JP2013046227 A JP 2013046227A JP 2013046227 A JP2013046227 A JP 2013046227A JP 2014172982 A JP2014172982 A JP 2014172982A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
polymer film
general formula
polymer
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013046227A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6123363B2 (ja
Inventor
Satoshi Yamamoto
諭 山本
Daisuke Goto
大輔 後藤
Satoshi Miyagawa
聡志 宮川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2013046227A priority Critical patent/JP6123363B2/ja
Publication of JP2014172982A publication Critical patent/JP2014172982A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6123363B2 publication Critical patent/JP6123363B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】耐溶剤性と有機半導体特性が優れるポリフェニレン構造を有する重合体膜及びその製造方法の提供。
【解決手段】下記反応式(I)に示す式(1)又は(2)の重合体の構造を(3)の構造に変換する。
Figure 2014172982

[反応式(I)中、(X1、X2、X3)又は(Y1、Y2、Y3)の一方は、炭素数1以上のエーテル基、又はアシルオキシ基、他方は水素原子。Q1〜Q6はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又は、1価の有機基で、隣り合う基で環を形成してもよい。Q1乃至Q6の1つ又は環は1価の結合手を有する。]。
【選択図】図1

Description

本発明は、外部刺激を印加することによって可溶性前駆体重合体から得られる重合体膜とその製造方法に関し、特に、ポリフェニレン重合体膜とその製造方法に関する。
無修飾ポリフェニレンなどの剛直な重合体は、溶媒に不溶であり、しかも熱的に不融であるため、形成加工が困難で、薄膜化ができないという問題点がある。そのため、例えば、非特許文献1には、下記構造式で示すような、側鎖に枝分かれを有する溶解置換基を修飾することで溶解させ、成膜する方法が報告されている。
しかしこれは、溶解置換基を有しているために電子移動を司る部位が相対的に減少するために有機半導体特性が期待できない点や、薄膜としたときの溶剤への安定性や熱に対するに欠けるという問題がある。
Figure 2014172982
また、非特許文献2には、モノマーを蒸着してポリフェニレンを作製している例も報告されている。しかしこれは、真空プロセスが必要なため簡便なウェットプロセスへの適応は不可能である。
また、特許文献1には、パラフェニレンとメタフェニレンとを所望の割合で共重合することで、溶媒に対する溶解性を向上させた高分子化合物が例示されている。
このようにポリフェニレンなどの剛直な重合体を可溶化するアプローチは、多々あるものの、溶媒に対する溶解性が高く、成膜・加工形成が容易な一方で、加工後には耐溶剤性を有する、加工容易性と耐溶剤性とを両立できる材料及び重合体の製造法は、未だ開示されていない。特に、不溶不融のポリフェニレン重合体を容易に成型し、薄膜化する方法は開示されていない。
本発明者らは、重合体膜ではないが、溶媒溶解性と加工後の耐溶剤性とを両立させたπ電子共役化合物として、可溶な構造から不溶な構造へ変換する前駆体を用いる方法を開示している。(特許文献2、特許文献3)
このような、可溶な構造から不溶な構造へ変換する前駆体を用いる、重合体の成膜方法が提案されている(非特許文献3、4、5)。
例えば、下記(A)に示す工程や下記(B)に示す工程により重合体を成膜する方法がある。
Figure 2014172982
前記(A)に示す方法では、加熱することでビニレン基が生成し、π電子共役系の重合体膜を形成できる。しかし、脱離成分が重合体膜中に化学的にドーピングされてしまう可能性があり、前記脱離成分がテトラヒドロチオフェンやHClであるため、有機半導体特性上よくなく、またオレフィン部位が熱的に安定でない。
また、前記(B)に示す、ポリチオフェンにエステル基を導入し、加熱することでアルケンを脱離させる方法では、必然的に主鎖にカルボン酸残基が生成するため、有機半導体特性に問題が出てくることが懸念され、例えば、無置換ポリフェニレン重合体を得る根本的解決策とはならない。
また、非特許文献5、非特許文献6には、重合体膜ではないが、無置換ポリフェニレン重合体を得る下記(C)に示す前駆体法が開示されている。
Figure 2014172982
前記(C)に示す方法では、例えば、2−メトキシカルボニル−1,4−ジクロロベンゼンのカップリング反応により,エステル基を側鎖に有するポリ(1,4−フェニレン)を合成し,この加水分解,脱炭酸によりポリ(1,4−フェニレン)が得られる。
しかし、これらの方法では、粉末しか得られていないことと、無置換のポリパラフェニレンのみに限定されており、他の無置換ポリフェニレン重合体へ発展性されるものではなく、前記方法が報告されてから未だ進展をなしていないのが現状である。
本発明は、耐溶剤性の高い不溶・難溶なポリフェニレン重合体膜を塗布加工で形成でき、かつ、有機半導体特性が優れるポリフェニレン構造を有する重合体膜の製造方法、及び、ポリフェニレン構造を有する重合体膜の提供を目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、剛直な構造を有しながらも高い溶媒溶解性を有する、特定の脱離基を有する部分構造を有する重合体前駆動体を用い、該重合体前駆体に、外部エネルギーを印加することで、簡便に、不溶・難溶で、かつ有機半導体特性が優れるポリフェニレン構造を有する重合体膜が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題は、本発明の、下記(1)〜(4)によって解決される。
(1)「下記反応式(I)に示す、一般式(1)または一般式(2)で表わされる構造部分を有する重合体を、一般式(3)で表わされる構造部分を有する重合体に変換する工程を有することを特徴とする重合体膜の製造方法。
Figure 2014172982
[反応式(I)中、(X1、X2、X3)または(Y1、Y2、Y3)の一方は、置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基、または、置換されていてもよい炭素数1以上のアシルオキシ基であり、他方は水素原子である。Q1乃至Q6はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または、1価の有機基であり、隣り合った基同士でそれぞれ結合して環を形成していてもよい。ただし、Q1乃至Q6のうちの1つまたは環は1価の結合手を有する。]」、
(2)「下記反応式(II)に示す変換工程を有することを特徴とする前記第(1)項に記載の重合体膜の製造方法。」、
Figure 2014172982
[反応式(II)中、Aは一般式(1)または一般式(2)で表わされる構造を表し、Bは一般式(3)で表わされる構造を示し、(X1、X2、X3)または(Y1、Y2、Y3)の一方は、置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基、または、置換されていてもよい炭素数1以上のアシルオキシ基であり、他方は水素原子である。nは繰り返しを示す0から5の整数であり、R1からR4はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基から選ばれる基である。n>2の場合、R1からR4は同一であっても異なっていてもよい。]」、
(3)「下記反応式(III)に示す変換工程を有することを特徴とする前記第(1)項に記載の重合体膜の製造方法。
Figure 2014172982
[反応式(III)中、Aは一般式(1)または一般式(2)で表わされる構造を表し、Bは一般式(3)で表わされる構造を示し、(X1、X2、X3)または(Y1、Y2、Y3)の一方は、置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基、または、置換されていてもよい炭素数1以上のアシルオキシ基であり、他方は水素原子である。nは繰り返しを示す0から5の整数であり、R1からR4はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基から選ばれる基である。n>2の場合、R1からR4は同一であっても異なっていてもよい。mはベンゼン環への修飾の数を表し、1から4の整数である。m>2の場合、R1からR4、n、Q1からQ6、(X1、X2、X3)および(Y1、Y2、Y3)は同一であっても異なっていてもよい。]、
(4)「前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の重合体膜の製造方法によって得られた重合体膜」、
(5)「前記第(4)項に記載の重合体膜を用いたヘテロ積層物」。
本発明によれば、溶媒に可溶な重合体前駆体から、溶剤に不溶・難溶なポリフェニレン構造を有する重合体膜も形成でき、塗布等の簡便な方法によりポリフェニレン構造を有する重合体膜を容易に作製できる。
実施例で作製した重合体膜の変換(加熱)前のIRである。
以下、本発明について実施の形態を示して、説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
ここで、本発明に用いる一般式(1)または一般式(2)で表わされる構造は、π電子共役部位の前駆体であり、該前駆体から得られる一般式(3)で表わされる構造は、π電子共役系部位である。さらにこれらについて具体的に説明する。
<π電子共役部位の前駆体、それから得られるπ電子共役部位>
本発明で用いられる一般式(1)または一般式(2)で表わされる構造の特徴は、特定の溶媒可溶性置換基を有する「π電子共役部位の前駆体」の構造を有していることである。
前記前駆体に外部刺激を加え、前記溶媒可溶性置換基を脱離させることにより、π電子共役系部位を得られることが特徴である。なお、「π電子共役部位の前駆体」は、単に「前駆体」と表記することがある。
前記「π電子共役部位の前駆体」は、シクロヘキサジエン構造を部分的に有する下記一般式(1)、または、シクロヘキセン構造を部分的に有する一般式(2)で表される構造を有するものであり、外部エネルギーを印可することにより、反応式(I)に示すように、一般式(3)で表わされる構造を有する重合体に変換するものである。
Figure 2014172982

前記一般式(1)及び一般式(2)において、X1〜X3、Y1〜Y3で表される基は、水素原子または置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基またはアシルオキシ基であり、Xの群またはYの群のうち少なくとも一方は、置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基、または、置換されていてもよい炭素数1以上のアシルオキシ基であり、他方は水素原子である。この部分構造とシクロヘキセンまたはシクロヘキサジエン基を有することにより剛直な構造のπ電子共役部位を有する前駆体に溶媒溶解性を付与することができ、その結果、高い成膜加工性を得ることができる。
前記置換されていても良い炭素数1以上のエーテル基としては、炭素数1以上の置換されていてもよい直鎖または環状の脂肪族アルコール、および、炭素数4以上の芳香族アルコール等、アルコール由来のエーテル基が挙げられる。
また、前記エーテル中の酸素原子が硫黄原子に置き換わったチオエーテル基も含めることができるが、得られる重合体膜の半導体特性の観点から、アルコール由来のエーテル基であることが好ましい。
具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ピバロイル基、ペントキシ基、ヘキシロキシ基、ラウリロキシ基、トリフルオロメトキシ基、3,3,3−トリフルオロプロポキシ基、ペンタフルオロプロポキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロヘキシロキシ基、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基等が挙げられ、エーテル結合部位の酸素を硫黄に置き換えた対応するチオエーテル類も同様に含まれる。
前記置換されていてもよい炭素数1以上のアシルオキシ基としては、ホルミルオキシ基、炭素数2以上のハロゲン原子を含んでいてもよい直鎖または環状の脂肪族カルボン酸および炭酸ハーフエステル、炭素数4以上の芳香族カルボン酸等、カルボン酸および炭酸ハーフエステル由来のアシルオキシ基が挙げられる。
また、前記カルボン酸の酸素原子が硫黄に置き換わったチオカルボン酸も含めることができる。
具体的には、例えば、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ラウロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ、3,3,3−トリフルオロプロピオニルオキシ、ペンタフルオロプロピオニルオキシ、シクロプロパノイルオキシ、シクロブタノイルオキシ、シクロヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等が挙げられる。加えて、上記例示したアシルオキシ基のカルボニル基とアルキル基あるいはアリール基の間に酸素原子または硫黄原子を挿入した、炭酸ハーフエステル由来の炭酸エステルも挙げることができる。加えて、エーテル結合部位およびカルボニル部位の酸素の一つ以上を硫黄に置き換えた対応するアシルチオオキシ類、チオアシルオキシ類も同様に含まれる。
前記置換基X1〜X3、Y1〜Y3の例を以下に示す。
Figure 2014172982
Figure 2014172982
Figure 2014172982
Figure 2014172982
Figure 2014172982
Figure 2014172982
また、本発明における前記Q1乃至Q6は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または、1価の有機基であり、隣り合った基同士でそれぞれ結合して環を形成していてもよい。ただし、Q1乃至Q6のうちの1つまたは環は1価の結合手を有するものであり、Q1乃至Q6で表される基としては、前述のように、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、あるいは一価の有機基(但し、Q1乃至Q6においては置換されていても良い炭素数1以上のエーテル基またはアシルオキシ基以外の1価の有機基)が用いられる。
前記一価の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシル基、チオアルコキシル基、アリールオキシ基、チオアリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオオキシ基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、チオール基、アミノ基などが挙げられる。
上記アルキル基は、直鎖または分岐または環状の置換または無置換のアルキル基を表す。
直鎖または分岐のアルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデカン基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロオクチル基、トリフルオロドデシル基、トリフルオロオクタデシル基、2−シアノエチル基が挙げられる。
環状のアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、ペンタフルオロシクロヘキシル基が挙げられる。
以下に説明する他の一価の有機基において、「アルキル基」は、前記アルキル基を示す。
前記アルケニル基は、直鎖または分岐または環状の置換または無置換のアルケニル基を表す。直鎖または分岐のアルケニル基の例としては、前記したアルキル基のうち炭素数2以上のアルキル基の任意の炭素―炭素単結合を1つ以上二重結合としたものが挙げられ、例えば、エテニル基(ビニル基)、プロペニル基(アリル基)、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、2−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、4−ヘプテニル基、1−オクテニル基、2−オクテニル基、3−オクテニル基、4−オクテニル基、1, 1,1−トリフルオロ−2−ブテニル基が挙げられる。
環状のアルケニル基としては、上記した炭素数3以上のシクロアルキル基の任意の炭素−炭素単結合を1つ以上二重結合としたものが挙げられ、例えば、1−シクロアリル基、1−シクロブテニル基、1−シクロペンテニル基、2−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、1−シクロヘプテニル基、2−シクロヘプテニル基、3−シクロヘプテニル基、4−シクロヘプテニル基、3−フルオロ−1−シクロヘキセニル基等が挙げられる。
なお、該アルケニル基はトランス(E)体及びシス(Z)体等の立体異性体が存在する場合は、その何れであってもよく、またそれらの任意の割合からなる混合物であってもよい。
上記アルキニル基としては、好ましくは置換または無置換の炭素数2以上のアルキニル基であり、上記した炭素数2以上のアルキル基の任意の炭素―炭素単結合を1つ以上三重結合としたものが挙げられる。このようなアルキニル基として、例えば、エチニル基、プロパギル基、トリメチルシリルエチニル基、トリイソプロピルシリルエチニル基が挙げられる。
上記アリール基としては、好ましくは置換または無置換の炭素数6以上のアリール基であり、例えば、フェニル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、p−クロロフェニル、p−フルオロフェニル、p−トリフルオロフェニル、ナフチル等が挙げられる。
上記ヘテロアリール基としては、好ましくは5または6員の置換または無置換の、芳香族性もしくは非芳香族性のヘテロ環化合物〔例えば、2−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−チエノチエニル、2−ベンゾチエニル、2−ピリミジル等〕が挙げられる。
上記アルコキシル基およびチオアルコキシル基としては、好ましくは置換または無置換のアルコキシル基およびチオアルコキシル基であり、上記に例示したアルキル基およびアルケニル基およびアルキニル基の結合位に酸素原子あるいは硫黄原子を挿入してアルコキシ基あるいはチオアルコキシ基としたものが具体例として挙げられる。
上記アリールオキシ基およびチオアリールオキシ基としては、好ましくは置換または無置換のアリールオキシ基およびアリールチオオキシ基であり、上記に例示したアリール基の結合部位に酸素原子あるいは硫黄原子を挿入してアリールオキシ基あるいはチオアルコキシ基としたものが具体例として挙げられる。
上記ヘテロアリールオキシ基およびヘテロチオアリールオキシ基としては、好ましくは置換または無置換のヘテロアリールオキシ基およびヘテロアリールチオオキシ基であり、上記に例示したヘテロアリール基の結合部位に酸素原子あるいは硫黄原子を挿入してヘテロアリールオキシ基あるいはヘテロアリールチオアリールオキシ基としたものが具体例として挙げられる。
上記アミノ基としては、好ましくはアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアニリノ基、〔例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基〕、アシルアミノ基[好ましくは、ホルミルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、〔例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基〕]、アミノカルボニルアミノ基[好ましくは、炭素置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、〔例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基〕]等が挙げられる。
前記Q1乃至Q6で表される一価の有機基としては、前述した範囲で表すことが可能であるが、好ましくは置換基を有していてもよいアリール基またはヘテロアリール基であるか、または隣り合う基同士で環状構造を形成していることである。さらに好ましくは、前記環状構造が置換していても良いアリール基またはヘテロアリール基からなることである。
前記環の結合、縮環形式の一例としては下記に示す様な構造が挙げられる。
Figure 2014172982
<π電子共役部位を有する前駆体からの変換によるπ電子共役部位の生成方法>
本発明で用いるπ電子共役部位の前駆体の脱離反応によるπ電子共役部位の生成方法について、詳細に説明する。
π電子共役部位の前駆体がシクロヘキサジエン基である場合について説明する。
本発明で用いられる下記式(A)で表されるπ電子共役部位の前駆体は、エネルギー付与により、式(B)で表されるπ電子共役部位(特定構造)と、X−Yで表される化合物(脱離成分)とに、変換する。
Figure 2014172982
前記式(A)で表される化合物には、置換基の立体的な配置が異なる異性体が複数存在するが、いずれも前記式(B)で示される特定化合物へと変換され、脱離成分は同一であることに変わりはない。
式(A)で表される化合物から脱離する基であるXおよびYは、「脱離性置換基」と定義され、それらが結合して生成したX−Yは、「脱離成分」と定義される。脱離成分は、固体、液体、気体の3態を取りえるが、系外への除去を考えると、脱離成分が液体または気体であることが好ましく、特に好ましくは常温で気体であることまたは、脱離反応を行う温度において気体となることである。
前記脱離成分の沸点としては大気圧(1013hPa)において、500℃以下であることが好ましく、系外への除去の容易さと生成するπ共役化合物の分解・昇華温度を考えると、400℃以下であることがより好ましく、特に好ましくは300℃以下である。
以下に、前記式(A)におけるXが置換されていてもよいアシルオキシ基であり、YおよびQ1, Q6が水素原子である場合を一例とし、下記にその離脱反応による変換の式を示す。なお、本発明の置換基脱離化合物の離脱反応による変換はこれに限定されるものではない。
Figure 2014172982
上記の例の場合、エネルギー付与(加熱)により、式(C)で表されるシクロヘキサジエン環構造から、脱離成分として式(E)で表されるアルキル鎖を有するカルボン酸が脱離し、式(D)で表されるベンゼン環を含む構造の特定化合物に変換される。
加熱温度がカルボン酸の沸点を超えている場合にはカルボン酸は速やかに気体となる。
また、π電子共役部位の前駆体がシクロヘキセン基である場合について説明する。
式(F)で表される化合物から脱離成分が脱離する機構について下記反応式(スキーム)により概略を示す。
本発明でもちいられるシクロヘキサジエン環構造からの脱離成分の脱離機構は、下記式(F)から下記式(H)への変換である。説明を補足するため、シクロヘキセン環(下記式(G))の場合の脱離機構も含めて示す。なお下記式中、R3は置換又は無置換のアルキル基を示す。
Figure 2014172982
上記反応式に示すように、式(F)で表されるシクロヘキセン環の場合、六員環状の遷移状態をとることで、β−炭素上の水素原子がカルボニルの酸素原子上へと1,5−転位することで協奏的な脱離反応が起こり、カルボン酸化合物が脱離し、シクロヘキセン環構造から一般式(H) で表されるようなベンゼン環構造へと変換される。
2つアシルオキシ基を有するシクロヘキセン構造を有する化合物(一般式(F))の場合、脱離反応は2段階で進行すると考えられ、先ず一つのカルボン酸が脱離して前記式(G)で表されるシクロヘキサジエン環構造となる。
このとき、式(F)で表される2置換体からカルボン酸1分子を脱離させるために必要な活性化エネルギーは、式(G)で表される1置換体から同1分子を脱離させるのに要するそれに比べて、十分に大きいため、反応は速やかに2段階進行し、式(H)で表される構造まで変換される。
ここで、置換基(アシルオキシ基と水素等)の位置関係の違いによる、複数の立体異性体が存在する場合においても、反応の速度は異なるが上記反応は進行する。
上記シクロヘキサジエン骨格の、脱離反応の低温化はアシルオキシ基だけに限られるわけではなく、エーテル基などでも同様の効果が見られる。
上記反応式においてβ炭素上の水素原子の引き抜き、転移が反応の第一段階であるため、酸素原子の水素原子を引きつける力が強いほど反応は起こりやすいと考えられる。その度合いは、例えば、アシルオキシ基側のアルキル鎖によっても変わってくるし、酸素原子を同じく第16族の元素である硫黄、セレン、テルル、ポロニウムなどのカルコゲン原子などに変えることによっても変化する。
この脱離反応を行なうために付与(印加)するエネルギーとしては、熱、光、電磁波が挙げられるが、反応性および収率、後処理の観点から、熱エネルギーあるいは光エネルギーが望ましく、特に熱エネルギーが好ましい。また、酸または塩基の存在下で上記エネルギーを印加してもよい。
通常、前記脱離反応には、官能基の構造にも依存するが、反応速度および反応率の観点から加熱が必要となることが多い。脱離反応を行なうための加熱の方法には、支持体上で加熱する方法、オーブン内で加熱する方法、マイクロ波の照射による方法、レーザーを用いて光を熱に変換して加熱する方法、光熱変換層を用いる等種々の方法を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
脱離反応を行なうための加熱温度については、室温(およそ25℃)〜500℃の範囲を用いることが可能であり、下限温度は材料の熱安定性および脱離成分の沸点を考え、上限温度ではエネルギー効率や、未変換分子の存在率、変換後の化合物の分解、昇華等を考慮すると、40℃〜500℃の範囲が好ましく、さらに置換基脱離化合物の合成時の熱安定性を考慮すると、より好ましくは60℃〜500℃の範囲であり、特に好ましくは80℃〜400℃である。
上記加熱の時間については、高温であるほど反応時間は短く、低温であるほど脱離反応に必要な時間は長くなる。また、置換基脱離化合物の反応性、量にもよるが、通常0.5分〜120分、好ましくは1分〜60分、特に好ましくは1分〜30分である。
光を外部刺激として用いる場合は、赤外線ランプや、化合物が吸収する波長の光を照射すること(例えば、405nm以下の波長に露光)等を利用してもよい。その際に半導体レーザーを用いてもよい。例えば、近赤外域のレーザー光(通常は780nm付近の波長のレーザー光)、可視レーザー光(通常は、630nm〜680nmの範囲の波長のレーザー光)、波長390〜440nmのレーザー光が挙げられる。特に好ましくは波長390〜440nmのレーザー光であり、440nm以下の範囲の発振波長を有する半導体レーザー光が好適に用いられる。中でも好ましい光源としては、390〜440(更に好ましくは390〜415nm)の範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザー光、中心発振波長850nmの赤外半導体レーザー光を光導波路素子を使って半分の波長にした中心発振波長425nmの青紫色SHGレーザー光を挙げることができる。
前記脱離性置換基の脱離反応において、酸または塩基は触媒として働き、より低温での変換が可能となる。これらの使用方法は特に限定はされないが、置換基脱離化合物に対してそのまま添加してもよいし、任意の溶媒に溶解させ溶液にして添加してもよいし、気化させてその雰囲気中で加熱処理を行ってもよく、光酸発生剤および光塩基発生剤等を添加し、光照射によって系内で酸および塩基を得てもよい。
上記、酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸、蟻酸、リン酸等、2−ブチルオクタン酸等を用いることができる。
光酸発生剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等のイオン性発生剤とイオン性光酸発生剤イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジスルホニルジアゾメタン、ニトロベンジルスルホネート等の非イオン性発生剤を用いることができる。
また、塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、トリエチルアミン、ピリジン等のアミン類、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン等のアミジン類などを用いることができる。
また、光塩基発生剤としては、カルバマート類、アシルオキシム類、アンモニウム塩等を用いることができる。
中でも揮発性の酸または塩基の雰囲気中に行うのが、反応後の酸塩基の系外への除去の容易さを考えると好ましい。
脱離反応を行なう際の雰囲気については、上記触媒の有無に関わらず大気下においても行なうことが可能であるが、酸化等の副反応および水分の影響を除くため、さらに脱離した成分の系外への排除を促すために、不活性ガス雰囲気下また減圧下で行なうことが望ましい。
脱離性置換基となるアシルオキシ基等の形成方法については、後述のアルコールとカルボン酸クロライドもしくはカルボン酸無水物を反応させるまたはハロゲン原子とカルボン酸銀もしくはカルボン酸−4級アンモニウム塩の交換反応によってカルボン酸エステルを得る方法以外にも、ホスゲンとアルコールを反応させ炭酸エステルを得る方法、アルコールに二硫化炭素を加えた後、ヨウ化アルキルを反応させキサントゲン酸エステルを得る方法、三級アミンと過酸化水素あるいはカルボン酸を反応させアミンオキシドを得る方法、アルコールにオルトセレノシアノニトロベンゼンを反応させセレノキシドを得る方法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記π電子共役部位を有する前駆体からの変換によるπ電子共役部位の生成方法は、下記反応式(II)及び反応式(III)で表される反応でも同様である。
Figure 2014172982
[反応式(II)中、Aは一般式(1)または一般式(2)で表わされる構造を表し、Bは一般式(3)で表わされる構造を示し、(X1、X2、X3)または(Y1、Y2、Y3)の一方は、置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基、または、置換されていてもよい炭素数1以上のアシルオキシ基であり、他方は水素原子である。nは繰り返しを示す0から5の整数であり、R1からR4はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基から選ばれる基である。n>2の場合、R1からR4は同一であっても異なっていてもよい。]
Figure 2014172982
[反応式(III)中、Aは一般式(1)または一般式(2)で表わされる構造を表し、Bは一般式(3)で表わされる構造を示し、(X1、X2、X3)または(Y1、Y2、Y3)の一方は、置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基、または、置換されていてもよい炭素数1以上のアシルオキシ基であり、他方は水素原子である。nは繰り返しを示す0から5の整数であり、R1からR4はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基から選ばれる基である。n>2の場合、R1からR4は同一であっても異なっていてもよい。mはベンゼン環への修飾の数を表し、1から4の整数である。m>2の場合、R1からR4、n、Q1からQ6、(X1、X2、X3)および(Y1、Y2、Y3)は同一であっても異なっていてもよい。
<π電子共役部位を有する重合体前駆体と、それを変換した重合体>
本発明で用いられる重合体の主鎖は、用途に合せて、任意の適切なポリマー(複数可)を主鎖に使用することができる。
好ましくは、剛直である芳香族ポリマー(複数可)を主鎖に使用することができる。例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリ(フェニルアセチレン)、ポリジアセチレン、ポリフェニレン(パラ、メタ、オルト)、ポリナフタレン、ポリアントラセン、ポリピレン、ポリアズレン、ポリチオフェン、ポリセレノフェン、ポリイソチアナフテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンビニレンなどが挙げられる。これらはホモポリマーであってもよいし、共重合体であってもよい。ブロック重合していてもよい。
本発明の重合体の一例として、ポリフェニレン構造を主鎖として有する場合の詳細な例示として以下のものが挙げられる。
Figure 2014172982
より具体的には以下の構造を有するものが挙げられる。
Figure 2014172982
上述の通り、例示化合物(1)〜(12)変換前は、外部エネルギーを印加することにより、それぞれ、以下の例示化合物(1)〜(12)変換後に変換され、変換前の重合体を塗布し形成加工し、外部エネルギーを印加することで所望の形態の重合膜を得ることができる。
Figure 2014172982
<本発明で用いられる重合体の合成例>
さらに、本発明で用いられる重合体の合成例を、モノマーから誘導する具体的方法を開示するが、本発明に関わる合成方法はこれらの合成例に限定されるものではない。
以下に本発明の製造方法の一例を示す。
Figure 2014172982
<モノマーの製造例>
[工程1]AIBNとNBSを用いた臭素化もしくはBrを用いた臭素化により製造することができる。
[工程2]一般的なエステル化方法、エーテル化方法を用いることができるが、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド5水和物とR−COOH、DBUと塩基およびR−COOHを用いることでも形成することができる。Williamsonエーテル合成を用いることでエーテル基を形成することも容易である。これにより本発明で用いられるアシルオキシ基、例えば前記(3)の化合物を形成することができる。
[工程3]ジブロモジヨードベンゼン(4)とジボロン体とのSuzukiカップリングによって得られる。ジボロンエステルが好ましく用いられ、例えば、ビス(カテコラート)ジボロン、ビス(ヘキシレングリコラート)ジボロン、ビス(ピナコラート)ジボロン、ビス(ネオペンチル)ジボロンなどが好ましく用いられる。
[工程4]ジヨードベンゼンとのSuzukiカップリング反応により製造できる。
[工程5]工程3と同様に製造することができる。
[工程6]アシルオキシ基を有する化合物(3)とジボロン体(7)のSuzukiカップリング反応により製造できる。
[工程7]ジボロンジブロモ化合物とビフェニルボロン酸化合物とのSuzukiカップリング反応により製造できる。
[工程8]化合物(9)を脱水極低温の状態で、有機リチウム、例えばn−BuLiを加えリチオ化し、トリメチルスズクロライドと反応することで、トリメチルスズ体(10)を得ることができる。
これにより本発明で用いられるモノマーを製造することができる。
<ポリマーの製造例>
(製造例1)
前述した化合物(8)とジボロン酸とのSuzukiカップリング反応を用いることで、共重合体を合成することができる。
Figure 2014172982
(製造例2)
前述した化合物(8)とジボロンとのSuzukiカップリング反応を用いることで、ホモカップリングを行うことができる。化合物(8)をもちいてYamamoto反応を用いることでも得ることができる。
Figure 2014172982
(製造例3)
前述した化合物(8)と化合物(10)とのStilleカップリング反応を用いることで共重合体を得ることができる。
Figure 2014172982
<重合体の製造方法>
以下本発明で用いる重合体の重合法についてさらに詳しく述べる。
本発明の重合体の製造法は、電界重合法、酸化的重合、化学的重合などの方法が挙げられるが、化学的重合が好ましく、結合部位が選択的に結合し、高分子量でありながら、溶媒に可溶な重合体が得られやすい。
本発明の重合体を製造するには、モノマーが必要であるが、モノマーの製造方法は一般的な有機合成で製造することができる。
本発明の重合体の製造方法において、縮合重合の方法としては、縮合重合に関与する置換基に応じて、既知の縮合反応を用いることができる。例えば、該当するモノマーをSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Stilleカップリング反応により重合する方法、Ni(0)錯体により重合する方法、FeCl3等の酸化剤により重合する方法、又は電気化学的に酸化重合する方法など、公知の方法が例示される。
これらのうち、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Stilleカップリング反応により重合する方法、ニッケルゼロ価錯体により重合する方法が、構造制御がしやすいので好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これら実施例によって制限されるものではない。
[実施例1]
以下の方法により本発明で用いるπ電子共役部位を有する重合体前駆体を合成した。
100mLのフラスコに、メカニカルスターラーをセットし、下記(2)に示すアシルオキシ化合物(1.29g、1.0mM)、下記(1)に示すジトリメチルスズ体(656mg、1.0mM)、及び、脱水トルエン20mLを加え30分アルゴン脱気した。
その後、Pd(PPh(0.05mM、58mg)を加え、80度で加熱した。
16時間加熱したのち、ブロモベンゼン(31mg、0.2M)を加え1時間加熱しさらにトリメチル(フェニル)チン(48mg、0.2mM)を加え、2時間加熱した。
反応溶液を、メタノールを用いて再沈殿し、固形物をろ過した。メタノールを用いてソックスレーを用い、固形物の不純物を溶出し、さらにトルエンでソックスレーを行うことで固形物を抽出した。エバポレーターで濃縮し、メタノールで再沈殿を行うことで黄色固体の重合体(3)を得た。(収量 1.0g)
平均分子量は11000(ポリスチレン換算)であった。
上記で得た重合体(3)を、テトラヒドロフラン0.5wt%に溶かした。
UV/O表面処理した石英基板(10mm*10mm)、Si(nドープ、酸化膜、HMDS処理,10mm*10mm)基板を用意し、それぞれ、1000rpsでスピンコートし真空乾燥させて重合体膜を作製した。
Figure 2014172982
この重合体膜を、遮光不活性雰囲気下でホットプレートにより加熱した。250度30分加熱することで薄い褐色のフィルムを得た。
Figure 2014172982
加熱前の重合体膜のIRと、重合体膜のIRを図1に示す。
加熱前後のIRから、前記変換が行われていることがわかる。
また、本実施例で得た膜をテトラヒドロフランへの再溶解を試みたが、テトラヒドラフランにはまったく溶解しなかった。
本実施例が示すように、本発明によれば、高い溶解性を有する可溶性前駆体の重合体を用い、熱などの外部エネルギーを印加することにより簡便に不溶/難溶な重合膜が得られる。
さらに、本発明で得られる重合体膜およびその製造方法によれば、脱離成分による有機半導体特性の低下がないヘテロ積層物を容易に作製することができ、例えば、エレクトロルミネッセンス素子用薄膜、電子デバイス用薄膜、高分子電解質膜に特に有用である。
特許第3733527号公報 特開2012−41327号公報 特開2012−216669号公報
Journal of the American Chemical Society. 2008, 130, 4216−17 Nature Vol466, 470−473. Macromolecules 2000, 33, 5634. Journal of the American Chemical Society. 2004, 126, 9487 Macromolecules, 26, 2607 (1993). Journal of the American Chemical Society.1992, 114, 3169

Claims (5)

  1. 下記反応式(I)に示す、一般式(1)または一般式(2)で表わされる構造部分を有する重合体を、一般式(3)で表わされる構造部分を有する重合体に変換する工程を有することを特徴とする重合体膜の製造方法。
    Figure 2014172982
    [反応式(I)中、(X1、X2、X3)または(Y1、Y2、Y3)の一方は、置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基、または、置換されていてもよい炭素数1以上のアシルオキシ基であり、他方は水素原子である。Q1乃至Q6はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または、1価の有機基であり、隣り合った基同士でそれぞれ結合して環を形成していてもよい。ただし、Q1乃至Q6のうちの1つまたは環は1価の結合手を有する。]
  2. 下記反応式(II)に示す変換工程を有することを特徴とする請求項1に記載の重合体膜の製造方法。
    Figure 2014172982
    [反応式(II)中、Aは一般式(1)または一般式(2)で表わされる構造を表し、Bは一般式(3)で表わされる構造を示し、(X1、X2、X3)または(Y1、Y2、Y3)の一方は、置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基、または、置換されていてもよい炭素数1以上のアシルオキシ基であり、他方は水素原子である。nは繰り返しを示す0から5の整数であり、R1からR4はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基から選ばれる基である。n>2の場合、R1からR4は同一であっても異なっていてもよい。]
  3. 下記反応式(III)に示す変換工程を有することを特徴とする請求項1に記載の重合体膜の製造方法。
    Figure 2014172982
    [反応式(III)中、Aは一般式(1)または一般式(2)で表わされる構造を表し、Bは一般式(3)で表わされる構造を示し、(X1、X2、X3)または(Y1、Y2、Y3)の一方は、置換されていてもよい炭素数1以上のエーテル基、または、置換されていてもよい炭素数1以上のアシルオキシ基であり、他方は水素原子である。nは繰り返しを示す0から5の整数であり、R1からR4はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基から選ばれる基である。n>2の場合、R1からR4は同一であっても異なっていてもよい。mはベンゼン環への修飾の数を表し、1から4の整数である。m>2の場合、R1からR4、n、Q1からQ6、(X1、X2、X3)および(Y1、Y2、Y3)は同一であっても異なっていてもよい。]
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の重合体膜の製造方法によって得られた重合体膜。
  5. 請求項4に記載の重合体膜を用いたヘテロ積層物。
JP2013046227A 2013-03-08 2013-03-08 重合体膜の製造方法 Expired - Fee Related JP6123363B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013046227A JP6123363B2 (ja) 2013-03-08 2013-03-08 重合体膜の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013046227A JP6123363B2 (ja) 2013-03-08 2013-03-08 重合体膜の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014172982A true JP2014172982A (ja) 2014-09-22
JP6123363B2 JP6123363B2 (ja) 2017-05-10

Family

ID=51694571

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013046227A Expired - Fee Related JP6123363B2 (ja) 2013-03-08 2013-03-08 重合体膜の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6123363B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014154654A (ja) * 2013-02-07 2014-08-25 Ricoh Co Ltd 積層デバイスの製造方法及び積層デバイス

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6303474B2 (ja) * 2013-12-16 2018-04-04 株式会社リコー カーボン膜の製造方法

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59206455A (ja) * 1983-04-06 1984-11-22 インペリアル・ケミカル・インダストリ−ズ・ピ−エルシ− 導電性重合体組成物及びその製造法
JPS6470726A (en) * 1987-07-13 1989-03-16 Ici Plc Liquid crystal array layer and liquid crystal display and manufacture of liquid crystal array layer
JPH05239147A (ja) * 1981-10-06 1993-09-17 Imperial Chem Ind Plc <Ici> 芳香族環含有重合体の製造方法及びそのような重合体組成物
US7888397B1 (en) * 2008-04-30 2011-02-15 Sandia Corporation Poly(phenylene)-based anion exchange membrane
JP2011213705A (ja) * 2010-01-12 2011-10-27 Ricoh Co Ltd 置換基脱離化合物および有機半導体材料およびその膜およびそれを用いた有機トランジスタ
JP2012041327A (ja) * 2009-09-11 2012-03-01 Ricoh Co Ltd ベンゼン環を有するπ電子共役系化合物を含有する膜状体の製法、及び該π電子共役系化合物の製法。
JP2012193316A (ja) * 2011-03-17 2012-10-11 Ricoh Co Ltd π電子共役系化合物前駆体を用いた電子デバイス用インク組成物ならびにその用途
JP2013224412A (ja) * 2012-03-22 2013-10-31 Ricoh Co Ltd 新規重合体、これを含むインク、有機膜、電子デバイス、及びエレクトロルミネッセンス素子及び有機トランジスタ
JP2014154654A (ja) * 2013-02-07 2014-08-25 Ricoh Co Ltd 積層デバイスの製造方法及び積層デバイス

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05239147A (ja) * 1981-10-06 1993-09-17 Imperial Chem Ind Plc <Ici> 芳香族環含有重合体の製造方法及びそのような重合体組成物
JPS59206455A (ja) * 1983-04-06 1984-11-22 インペリアル・ケミカル・インダストリ−ズ・ピ−エルシ− 導電性重合体組成物及びその製造法
JPS6470726A (en) * 1987-07-13 1989-03-16 Ici Plc Liquid crystal array layer and liquid crystal display and manufacture of liquid crystal array layer
US7888397B1 (en) * 2008-04-30 2011-02-15 Sandia Corporation Poly(phenylene)-based anion exchange membrane
JP2012041327A (ja) * 2009-09-11 2012-03-01 Ricoh Co Ltd ベンゼン環を有するπ電子共役系化合物を含有する膜状体の製法、及び該π電子共役系化合物の製法。
JP2011213705A (ja) * 2010-01-12 2011-10-27 Ricoh Co Ltd 置換基脱離化合物および有機半導体材料およびその膜およびそれを用いた有機トランジスタ
JP2012193316A (ja) * 2011-03-17 2012-10-11 Ricoh Co Ltd π電子共役系化合物前駆体を用いた電子デバイス用インク組成物ならびにその用途
JP2013224412A (ja) * 2012-03-22 2013-10-31 Ricoh Co Ltd 新規重合体、これを含むインク、有機膜、電子デバイス、及びエレクトロルミネッセンス素子及び有機トランジスタ
JP2014154654A (ja) * 2013-02-07 2014-08-25 Ricoh Co Ltd 積層デバイスの製造方法及び積層デバイス

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014154654A (ja) * 2013-02-07 2014-08-25 Ricoh Co Ltd 積層デバイスの製造方法及び積層デバイス

Also Published As

Publication number Publication date
JP6123363B2 (ja) 2017-05-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5779234B2 (ja) ブロック共重合体および光電変換素子
JP6875991B2 (ja) 分岐アルキル鎖を有するdppまたは(および)分岐アルキル鎖を有する縮合チオフェン、並びにそれらの半導体コポリマーの分子量を増加させるための設計戦略
JP5991324B2 (ja) 高分子化合物及び有機光電変換素子
WO2012124627A1 (ja) π電子共役系ブロック共重合体および光電変換素子
JP5138422B2 (ja) ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン構造を含む重合体
TW201130782A (en) Leaving substituent-containing compound, organic semiconductor material, organic semiconductor film containing the material, organic electronic device containing the film, method for producing film-like product, pi-electron conjugated compound and method
TW201331255A (zh) 用於製造石墨烯奈米帶之聚合性先質及其製備方法
JP2013189602A (ja) π電子共役重合体および光電変換素子
JP6175818B2 (ja) 新規重合体、これを含むインク、有機膜、電子デバイス、及びエレクトロルミネッセンス素子及び有機トランジスタ
JP6123363B2 (ja) 重合体膜の製造方法
JP5004071B2 (ja) 縮合環化合物の製造方法
JP6003399B2 (ja) 高分子化合物及びそれを用いた有機光電変換素子
WO2017019964A1 (en) Graphitic compounds and methods of making and use thereof
KR101707028B1 (ko) 신규한 벤조티아디아졸기를 포함한 유기 반도체 화합물, 이의 제조방법 및 이를 채용한 유기 반도체 소자
JP2018095692A (ja) モノマーセグメントとして新規なスルファニル置換ジチエニルチエノピラジン誘導体構造を含む共役系高分子化合物、その製造方法及びそれを用いた光電変換素子
TW201441275A (zh) 有機半導體材料及薄膜電晶體
JP2013237813A (ja) π電子共役重合体及びそれを用いた有機半導体デバイス
JP6016891B2 (ja) 有機半導体化合物及びその製造方法、並びにそれを採用した有機半導体デバイス
JP5190784B2 (ja) 重合体
KR101626363B1 (ko) 안트라세닐계 교호 공중합체, 그 제조 방법 및 이를 이용한 유기 박막 트랜지스터
Chang et al. Synthesis and characterization of graft polystyrenes with para-substituted π-conjugated oligo (carbazole) and oligo (carbazole-thiophene) moieties for organic field-effect transistors
JP2012138563A (ja) 高分子化合物及びそれを用いた有機光電変換素子
JP6205737B2 (ja) 積層デバイスの製造方法及び積層デバイス
JP6303474B2 (ja) カーボン膜の製造方法
US20140200322A1 (en) Processes for preparing diketopyrrolopyrrole copolymers

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20150624

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150703

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170126

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170307

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170320

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6123363

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees