JP2016079291A - モノマーセグメントとしてスルファニル置換チエノピラジン誘導体を含む共役系高分子化合物、その製造方法およびそれを用いた有機薄膜太陽電池 - Google Patents

モノマーセグメントとしてスルファニル置換チエノピラジン誘導体を含む共役系高分子化合物、その製造方法およびそれを用いた有機薄膜太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】有機薄膜太陽電池に好適な、チエノピラジン誘導体由来のセグメントを少なくともモノマーセグメントに含む共役系高分子化合物およびその製造方法の提供。
【解決手段】式(1)で表されるモノマーセグメントを含む共役系高分子化合物及びその製造方法。
Figure 2016079291

[R及びRは各々独立に置換/未置換の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基、置換/未置換のアリール基又は置換/未置換のアラルキル基;Aは多環式芳香族化合物又はヘテロ原子を含む複素環式芳香族化合物]
【選択図】なし

Description

本発明は、光電変換素子に好適に用いられるチエノピラジン誘導体由来のセグメントを少なくとも含む共役系高分子化合物、その製造方法およびその用途に関する。
縮合環系[3,4−b]ピラジン誘導体は、医農薬分野において溶解性や活性部位の修飾のために、様々な誘導体が合成されて研究対象とされている重要な化合物である。また、近年、機能材料科学の分野において、ピラジン環と縮合したチエノピラジン誘導体やキノキサリン誘導体などは、低バンドギャップ(Eg<1.5eV)共役系高分子化合物のモノマーとして、利用できると考えられている。
共役系高分子化合物のバンドギャップを低下させることは荷電体から伝導体への電子遷移を容易にし、キャリアの増大をもたらすため、これらのポリマーは導電性の向上、吸収・発光スペクトルの長波長シフトなどの良好な特性を有する。
低バンドギャップ共役系高分子化合物のモノマーとしては、多くの複素環化合物が用いられており、チオフェン、チエノチオフェン、チエノピラジン、ベンゾジチオフェンまたはカルバゾールなどが挙げられる。
チエノピラジンを用いた低バンドギャップ共役ポリマーは多くの報告がされており、近年その高い耐光性、電子受容性が注目されている。しかしチエノピラジンのような縮合環ユニットはo−芳香族ジアミンとα−ジケトンとの反応によって合成されるため、合成できる誘導体が限定される。そのため、様々な置換基を有するチエノピラジンの開発と、そのチエノピラジン誘導体を含むモノマーセグメント(繰り返し単位)を含む低バンドギャップ共役系高分子化合物の開発が望まれている。
特開2012−56991号公報(特許文献1)には下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する導電性チエノピラジン共重合体組成物を開示する:
Figure 2016079291
特許文献1の化学式は重合体の繰り返し単位を示すものであり、またRとRはアリール基、炭素数1〜20のアルキル基であってもよく、メチル基、フェニル基は例示されているが、アリール基の置換基については記載がない。
近年、これらの低バンドギャップ共役系高分子化合物は、有機EL素子用電荷輸送材料、有機薄膜トランジスタ材料および光電変換材料などの用途開発が検討されている。
光電変換材料とは、光電効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する事が可能な材料である。光電変換材料に光が照射されると、その材料内の原子に束縛されていた電子が光エネルギーにより自由に動けるようになり、これによって自由電子と自由電子の抜け孔(正孔)が発生して、これら自由電子と正孔が効率よく分離し、連続的にエネルギーを取り出すことが可能となる。
光電変換材料は、このような特性を利用して、種々の用途に応用されているが、その一つとして、太陽電池が挙げられる。太陽電池には、色素増感太陽電池、固体太陽電池、有機薄膜太陽電池などの種類がある。
有機薄膜太陽電池などに利用される高分子系p型有機半導体高分子は、官能基化モノマーの触媒重合によって合成できる。更に現在では、鈴木重合反応によるホウ素官能基、Stilleカップリングによるスズ官能基の他、根岸、熊田・玉尾、Heck型を含めたトランスメタル化による触媒重合が応用され、かつ官能基やリガンド、さらには反応メディアなどの外部パラメーターの変更による反応の効率化の検討が精力的に行われている。
特に、チエノチオフェン−ベンゾジチオフェン系の共役系高分子化合物では、有機薄膜太陽電池デバイスのp型半導体として7.4%という高変換効率が報告されており(Adv. Mater. 2010, 22, 1−4:非特許文献1)、このような低バンドギャップ共役系高分子化合物の重合反応において、生成物の重合度を上げることは、素子化によるアニール化や太陽光吸収効率の向上において重要である。
非特許文献1におけるチエノチオフェン−ベンゾジチオフェン系共役系高分子化合物(PTB−7)を始めとして、現在報告されている多くの高性能なp型有機半導体材料の合成ではStilleカップリング反応が用いられている。このカップリング反応は環境毒性の強いスズ官能基を有するモノマーを用いているため、安全面や環境的な側面から工業的大規模製造が困難であると考えられる。このため、低バンドギャップ共役系高分子化合物の工業化を行なうには、Stilleカップリング反応を用いた従来方法よりも、環境毒性の低い、安全性の高い製造方法が望まれている。
特開2012−56991号公報
Adv. Mater. 2010, 22, 1−4
本発明は、有機薄膜太陽電池用途に用いられる光電変換素子に好適な低バンドギャップ共役系高分子化合物および、有機スズを用いない環境負荷の低い、作業安全性の高い、チエノピラジン誘導体由来のセグメントを少なくともモノマーセグメントに含む低バンドギャップ共役系高分子化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のチエノピラジン誘導体由来のセグメントを少なくともモノマーセグメントに含む低バンドギャップ共役系高分子化合物は、有機半導体材料、光電変換材料に有用であり、更にその共役系高分子化合物の環境負荷の小さい有益な製造方法を提供する。
即ち、本発明は、下記一般式(1)で表されるモノマーセグメントを含む共役系高分子化合物を提供する:
Figure 2016079291

[式(1)中、RおよびRは同一でも、異なっていても良く、置換基を有していてよい直鎖または分岐鎖のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基であり、
Aは炭素骨格からなる多環式芳香族化合物またはヘテロ原子を含む複素環式芳香族化合物由来のセグメントである。]
本発明は、また、一般式(1)においてAがカルバゾール誘導体由来のセグメントである一般式(2)で表されるモノマーセグメントを含む共役系高分子化合物を提供する:
Figure 2016079291

[式(2)中、RおよびRは同一でも、異なっていても良く、置換基を有していてよい直鎖または分岐鎖のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基でありであり、Rは置換基を有していてよい分岐鎖のアルキル基である。]
前記一般式(2)において、Rは好ましくは、炭素数3〜20の分岐鎖のアルキル基である。
並びに、本発明は、本発明の共役系高分子化合物を用いた光電変換材料を提供する。
並びに、本発明は、本発明の光電変換材料を用いた光電変換素子を提供する。
並びに、本発明は、本発明の光電変換素子を用いた有機薄膜太陽電池を提供する。
本発明はまた、下記一般式(3)、
一般式(3):
Figure 2016079291

[式(3)中、RおよびRは同一でも、異なっていても良く、置換基を有していてよい直鎖または分岐鎖のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基である。Xはハロゲン原子である。]
で表されるハロゲン化チエノピラジン誘導体と、下記一般式(4)
Figure 2016079291

[式(4)中、Aは炭素骨格からなる多環式芳香族化合物またはヘテロ原子を含む複素環式芳香族化合物由来のセグメントであり、Rはボロン酸またはそのエステルからの残基である。]
で表される共役系高分子化合物のモノマーを反応溶媒中で、パラジウム触媒と有機リン化合物の存在下、鈴木重合反応させることを特徴とする、下記式(1)
Figure 2016079291

[式(1)中、RおよびRは同一でも、異なっていても良く、置換基を有していてよい直鎖または分岐鎖のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基であり、
Aは炭素骨格からなる多環式芳香族化合物またはヘテロ原子を含む複素環式芳香族化合物由来のセグメントである。]
で表されるモノマーセグメントを含む共役系高分子化合物の製造方法を提供する。
本発明によると、共役系高分子化合物にp−スルファニル置換フェニル基を有するチエノピラジン由来のセグメントを少なくとも含む、新規な高耐光性および高溶解性、低バンドギャップ性の共役系高分子化合物を提供する事ができる。また本発明の共役系高分子化合物は導電性ポリマーとして有用であり、導電性材料に用いる高分子として最適である。
更に、パラジウム触媒および有機リン化合物(特に、高電子供与性基を有する有機リン化合物)存在下、チエノピラジン誘導体とカルバゾール誘導体とを鈴木重合反応することで、従来の環境毒性の高い有機スズを含有する廃液を排出するStilleカップリングと比べ、有機スズを含まない安全な製造作業が可能で、環境負荷も低減した製造を行なうことができる。
図1は、光電変換素子の概略模式図である。(A)は順型光電変換素子の概略模式図であり、(B)は逆型光電変換素子の概略模式図である。 図2は、実施例5で測定した実施例2の共役系高分子化合物PL02と比較例1の比較共役系高分子化合物1の紫外可視分光スペクトルを示す図である。 図3は、実施例5で測定した実施例1〜4および比較例1の共役系高分子化合物の紫外可視分光スペクトルを示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明の共役系高分子化合物のセグメントとは重合反応に用いる原料モノマー由来の部分構造を示し、モノマーセグメントとは、セグメントで構成された共役系高分子化合物の繰り返し単位を示す。
以下、本発明のp−スルファニル置換フェニル基を有するチエノピラジン誘導体由来のセグメントを少なくとも含むモノマーセグメントからなる共役系高分子化合物について、詳しく説明する。
(チエノピラジン誘導体由来のセグメントを含むモノマーセグメント)
本発明の共役系高分子化合物のセグメントであるチエノピラジン由来のセグメントを含むモノマーセグメントは、下記一般式(1)
Figure 2016079291

[式(1)中、RおよびRは同一でも、異なっていても良く、置換基を有していてよい直鎖または分岐鎖のアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基であり、
Aは炭素骨格からなる多環式芳香族化合物またはヘテロ原子を含む複素環芳香族化合物由来のセグメントである。]で表される。
本発明の共役系高分子化合物のセグメントAは、炭素骨格からなる多環式芳香族化合物由来のセグメントまたはヘテロ原子を含む複素環式芳香族化合物由来のセグメントを示す。炭素骨格からなる多環式芳香族化合物由来のセグメントとしては、ナフタレン、アズレン、フルオレンが挙げられる。ヘテロ原子を含む複素環式芳香族化合物由来のセグメントとしては、チオフェン環、チアゾール環、チアジアゾール環、カルバゾール環、ピロール環などの硫黄原子または窒素原子を含有する複素環骨格が挙げられる。これらの中でも、本発明の共役系高分子化合物を光電変換材料として用いた場合に、電子供与性の観点から高い電子供与性を有するカルバゾール骨格からなる複素環式芳香族化合物由来のセグメントがより好ましい。
共役系高分子化合物の好ましいモノマーセグメント構造としては一般式(2)を示すことができる。
Figure 2016079291

[式(2)中、RおよびRは前記と同意義であり、Rは置換基を有していてよい分岐鎖のアルキル基である。]
本発明の共役系高分子化合物は、上記のモノマーセグメントが連続することにより形成される。モノマーセグメントの数は、分子量に応じて変化するものである。一般式(1)のモノマーセグメントの数をmとし、一般式(2)モノマーセグメントの数をnとすると、mおよびnは好ましくは10〜500である。mおよびnが10未満であるとπ電子共役系が充分に伸張しないため、充分な太陽光吸収効率が得られず好ましくない。また、mおよびnが500を超えると、溶解性が低下するため、均一な光電変換層の作成が困難となる。そのため、mおよびnとしては共に、好ましくは20〜300、より好ましくは40〜150である。
また、式(1)で表される共役系高分子化合物の数平均分子量としては、上記観点から好ましくは10,000〜500,000、好ましくは15,000〜200,000、更に好ましくは30,000〜100,000である。
上記一般式(1)および一般式(2)中のRおよびRにおける直鎖または分岐鎖のアルキル基は、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、または炭素数3〜18の脂環式アルキル基が挙げられる。
炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、ラウリル基またはステアリル基が挙げられる。
また、炭素数3〜18の脂環式アルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基またはシクロオクチル基などが挙げられる。RおよびRは、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖のアルキル基であるのが好ましく、特に、炭素数3〜10の分岐鎖のアルキル基が好ましく、更にi−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、i−ペンチル基または2−エチルヘキシル基がより好ましい。
上記一般式(1)および一般式(2)中のRおよびRにおける置換基を有していてもよいアリール基は、例えば炭素数6〜18のアリール基であり、具体的にはフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
上記一般式(1)および一般式(2)中のRおよびRにおける置換基を有していてもよいアラルキル基は、例えば炭素数7〜19のアラルキル基であり、具体的にはベンジル基、フェニルエチル基またはα,α’−ジメチルベンジル基などが挙げられる。
上記のアリール基またはアラルキル基に有してもよい置換基としては、直鎖または分岐鎖のアルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、水酸基などが挙げられる。
前記直鎖または分岐鎖のアルキル基は、好ましくは、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基が挙げられ、より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、ラウリル基、ステアリル基などをあげることができる。特に炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖のアルキル基であるのが好ましく、更にi−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、2−エチルヘキシル基が好ましい。
上述のアルコキシ基としては、炭素数1〜18であるアルコキシ基が挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、neo−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基などが挙げられる。
上述のハロアルキル基は、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)が付加したアルキル基であり、アルキル基としては、前記の炭素数1〜18のアルキル基が例示できる。ハロゲン原子としてはフッ素が好ましい。より具体的にはCF基、C基、n−C基、n−C、n−C15基などで例示されるペルフルオロアルキル基C2p+1−基(p=1〜18);CHF基、CHF基、CH(CF基などで例示されるパーシャルフルオロアルキル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、炭素数6〜18のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記へテロアリール基としては、例えば、炭素数4〜10のヘテロアリール基であって、具体的にはチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基などが挙げられる。
一般式(1)中、セグメントAは、炭素骨格からなる多環式芳香族化合物またはヘテロ原子を含む複素環式芳香族化合物由来のセグメントである。炭素骨格からなる多環式芳香族化合物の具体的としては、ナフタレン、アズレンまたはフルオレンなどが挙げられる。またヘテロ原子を含む複素環式芳香族化合物の具体例としては、硫黄原子または窒素原子を含有する、チオフェン、チアゾール、カルバゾール、ピロールなどを含む複素環式芳香族化合物が挙げられる。複素環式芳香族化合物の具体例としては、ベンゾジチオフェン、ベンゾチアゾール、カルバゾール、ベンゾピロールなどがあげられる。これらの中でも、本発明の共役系高分子化合物を光電変換材料として用いた場合に、電子供与性の観点からセグメントAはカルバゾール誘導体好ましい。
本発明の共役系高分子化合物は、ハロゲン化されたチエノピラジン誘導体(前記式(3))とホウ素化されたモノマー(前記式(4);このモノマーを以後、明細書において「Aモノマー」と表記する。)から重合された共役系高分子化合物であり、その製造方法は、下記に示す反応スキーム(5a)、反応スキーム(5b)の順に従って、行われる。
Figure 2016079291

Figure 2016079291

[式(5a)または式(5b)中、R、RおよびAは前記と同意義であり、
はボロン酸またはそのエステルからなる残基である。]
本発明の製造方法の第一段階である反応スキーム(5a)では、チエノピラジン誘導体のハロゲン化が行われる。この反応に用いられるチエノピラジン誘導体は、下記一般式(6):
Figure 2016079291

[式(6)中、RおよびRは前記と同意義である。]
で表される。なお、上記式(6)中のRおよびRは、記載の通り前記と同意義であり、一般式(1)において説明したRおよびRと同じ定義範囲である。
本発明に用いられるチエノピラジン誘導体(6)の具体例について、置換基RおよびRがアルキル基の具体例を表1に例示し、並びに置換基RおよびRがアリール基な場合の具体例を表2に例示する。下記の表の置換基として記載した、i−Proはイソプロピル基、i−Penはイソペンチル基、n−Octはオクチル基、n−Dcyはデシル基、2−EtHxは2−エチルヘキシル基、CyHxはシクロヘキシル基をそれぞれ略記したのである。なお、本発明に用いられるチエノピラジン誘導体はこれらに何ら限定されるものではない。
Figure 2016079291
下記チエノピラジン誘導体である式(1’)は、チエノピラジン誘導体(6)のRおよびRが置換基を有するフェニル基の場合を示す例である。表2には、この式のフェニル−S−基の置換基とその置換位置の具体例を示す。
Figure 2016079291
Figure 2016079291
前記反応スキーム(5a)は、チエノピラジン誘導体を一般的なハロゲン化剤を用いて、ハロゲン化反応が行われる。ハロゲン化剤としては、公知ハロゲン化剤を適宜選択できるが、具体的には、N−フルオロベンゼンスルホンイミド、N−ブロモスクシンイミド、ジブロモイソシアヌル酸、N−ヨードスクシンイミド、1,3−ジヨード−5,5’−ジメチルヒダントイン、ヨウ化カリウム/過ヨウ素酸カリウム、ヨウ化銅などが挙げられる。
本発明に用いるハロゲン化チエノピラジン誘導体は、以下の一般式(3)を有する:
Figure 2016079291

[式(3)中、R、RおよびXは前記と同意義である。]
ハロゲン化チエノピラジン誘導体(3)の具体例を、以下の表3に示す。なお、本発明の誘導体はこれらに限定されるものではない。また表3において、※は硫黄原子との結合部位を示す。
Figure 2016079291
本発明の製造方法の第二段階である反応スキーム(5b)は、上記で得られたハロゲン化チエノピラジン誘導体(3)とボロン酸またはそのエステル化されたAモノマー(4)とを用い、鈴木重合反応を行い、共役系高分子化合物を得る工程を表す。より具体的には、パラジウム触媒および有機リン化合物、更に塩基の存在下に、ハロゲン化チエノピラジン誘導体(3)とボロン酸またはそのエステル化されたAモノマー(4)とを鈴木重合反応し、共役系高分子化合物を製造する。
上記ボロン酸またはそのエステル化されたAモノマーは、前述のように、下記の一般式:
Figure 2016079291

[式(4)中、Aは炭素骨格からなる多環式芳香族化合物またはヘテロ原子を含む複素環式芳香族化合物由来のセグメントであり、Rはボロン酸またはそのエステルからの残基である。]
で表されるものである。
上記Rはボロン酸からの残基、またはボロン酸とジオールまたはモノアルコールとの反応で得られたボロン酸エステルからの残基である。より具体的にはRは、ホウ素とピナコール、カテコール、ネオペンチルグリコール、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオールなどの炭素数1〜7のジオールやメタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノールなどの炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖のアルキル基を有するアルコールと結合したホウ素官能基である。
前記ボロン酸エステルの残基としては、公知のジオールまたはモノアルコールとホウ素からなるボロン酸エステルの残基を用いることができる。例えば、下記式(a)〜(f)で表される基が挙げられる。
Figure 2016079291

[上記式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。]
上記一般式(4)のAで表される炭素骨格からなる多環式芳香族化合物由来のセグメントとしては、ナフタレン、アズレンまたはフルオレンが挙げられる。また上記のヘテロ原子を含む複素環式芳香族化合物由来のセグメントとしては、チオフェン環、チアゾール環、チアジアゾール環、カルバゾール環、ピロール環などの硫黄原子または窒素原子を含有する複素環骨格が挙げられる。好ましくはカルバゾール骨格を有する複素環式芳香族化合物由来のセグメントが挙げられる。
より具体的に炭素骨格からなる多環式芳香族化合物または、硫黄原子または窒素原子を含有する複素環式芳香族化合物から得られるセグメントであるセグメントAの例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。但しRは前記と同意義とする。
Figure 2016079291
好ましいAモノマーとしては、下記一般式(7)に示されるボロン酸またはそのエステル化されたカルバゾール誘導体として、:
Figure 2016079291

[式(7)中、RおよびRは前記と同意義である。]で表され、公知の種々の方法にて合成することができる。
本発明の共役系高分子化合物の原料であるカルバゾール誘導体(7)は、例えば下記式(8)に従い、2,7−ジブロモ−9−H−カルバゾール(東京化成製)を出発原料とし、塩基存在下、p−アルキルトシラート(R−OTs)と反応することにより簡便に合成することができる。
Figure 2016079291
上記Rにおけるアルキル基は、炭素数3〜20の分岐鎖のアルキル基、または炭素数3〜20の脂環式アルキル基が挙げられる。炭素数3〜20の分岐鎖のアルキル基の具体例としては、i−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、neo−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、9−ヘプタデシル基が挙げられる。また、炭素数3〜18の脂環式アルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。Rは、溶解性の向上およびポリマーのフェイスオン配向による電荷輸送性の向上の点から炭素数5〜20の分岐鎖のアルキル基であるのが好ましく、更にi−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、9−ヘプタデシル基などがより好ましい。
上記ホウ素官能基化を行なう際に、前述のボロン酸エステル基(c)を導入するには2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(上記ボロンエステル基(c))を用い、前述のボロン酸エステル基(e)を導入する場合には2−イソプロポキシ−4,4,6−トリメチル−1,3,2−ジオキサボリナン(東京化成株式会社製)などを用いることができる。
反応式(8)におけるp−アルキルトシラート(R−OTs)の具体例としては直鎖または分岐鎖のp−アルキルトシラート、例えばメチルp−トルエンスルフォネート、ブチルp−トルエンスルフォネート、t−ブチルp−トルエンスルフォネート、ヘプチルp−トルエンスルフォネート、ヘプタデカンp−トルエンスルフォネートなどが挙げられる。市販品としては9−ヘプタデカン−p−トルエンスルフォネート(東京化成工業社製)を例示することができる。
上記のボロン酸またはそのエステル化されたカルバゾール誘導体(7)として、具体的に下記の表に例示する。
Figure 2016079291

Figure 2016079291
反応スキーム(5b)に用いるパラジウム触媒としては、公知の0価又は2価のパラジウム触媒が挙げられる。
0価のパラジウム触媒としては、Pd(PPhで表されるテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムやPd(dba)で表されるトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、Pd(dba)で表されるビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム等が挙げられる。なかでも、重合性の観点からトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等を用いることが好ましい。
2価のパラジウム触媒としては、Pd(II)Clで表される塩化パラジウムやPd(II)(OAc)で表される酢酸パラジウム、Pd(II)(acac)で表されるビス(アセチルアセトン)パラジウム、Pd(II)(dppf)Clで表されるビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム、Pd(II)(PPhClで表されるビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム等が挙げられる。なかでも、重合性の観点から塩化パラジウム、酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどを用いることが好ましい。
反応スキーム(5b)に用いるパラジウム触媒の量は、鈴木重合反応が進行する触媒量であれば、特に限定はないが、例えば1molのハロゲン化チエノピラジン誘導体に対して、0.001mol%〜10.0mol%、好ましくは0.01mol%〜5.0mol%であり、より好ましくは0.1mol%〜1.0mol%である。0.001mol%未満であると、反応が完結しないなどの問題があり、10.0mol%より多く加えると、製造コストが上がるなどの問題がある。
反応スキーム(5b)に用いる有機リン化合物は、具体的には高い電子供与性を有する有機リン化合物であり、その例としては、SPhosで表される2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニルやPhPで表されるトリフェニルホスフィン、(o−tolyl)Pで表されるトリス(o−トリル)ホスフィン、(t−Bu)Pで表されるトリ(t−ブチル)ホスフィン、CyPで表されるトリシクロヘキシルホスフィンなどが挙げられる。なかでも上記反応には重合性の観点からトリス(o−トリル)ホスフィン((o−tolyl)P)を用いることが好ましい。
反応スキーム(5b)に用いられる高い電子供与性基を有する有機リン化合物は、パラジウム触媒と配位し、パラジウム触媒の配位子になると推定される。このパラジウムと有機リン化合物からなる触媒を用いることにより、反応性並びに重合性が高くなり、容易に反応が進行すると共に、高分子量化を行なうことが可能となる。上記のパラジウム触媒と有機リン化合物を、使用する反応溶媒などで予め混合してから系内に投入することが望ましい。
上記の有機リン化合物量は、鈴木重合反応が進行する量であれば、特に限定は無いが、例えばハロゲン化チエノピラジン誘導体に対して、0.5mol%〜10.0mol%が好ましい。
上記反応スキーム(5b)では、通常塩基の存在下に反応が行われる。塩基としては、一般的な塩基であれば、適宜選択して使用できるが、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸三カリウムなどの無機塩基や水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムなどの有機塩基が製造の面で好ましい。特に水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムなどの有機塩基は反応系において塩基の役割と共に相間移動触媒となるため、重合性の面で特に好ましい。塩基の量は、鈴木重合反応が進行する塩基量であれば、特に限定はないが、ハロゲン化チエノピラジン誘導体に対して2当量以上が好ましい。
上記の鈴木重合における反応溶媒は、使用するハロゲン化チエノピラジン誘導体(3)および/またはAモノマー(4)が溶解する溶媒であれば、使用を妨げないが、例えばアミド系溶媒であるジメチルホルムアミド(DMF)やフラン系溶媒であるテトラヒドロフラン(THF)、芳香族系溶媒であるトルエン、キシレン、含ハロゲン系溶媒であるオルトジクロロベンゼン、クロロホルムなどの有機溶剤を単独または混合して用いることができる。また、これらの有機溶媒と水との混合溶媒も使用することができる。特に芳香族炭化水素系溶媒と水の二相系混合溶媒は、原料モノマーと相間移動触媒の役割を果たす塩基を溶解するために好ましい。その一例としてはトルエンと水の二相系混合溶媒が挙げられる。
本発明における鈴木重合反応の反応温度は50℃〜150℃、好ましくは80℃〜130℃である。50℃未満では反応の進行が遅く、150℃より反応温度が高い場合、分解し、低分子量の共役系高分子化合物が生成する場合がある。
本発明における共役系高分子化合物の取り出し方法は、特に限定しない。例えば室温まで放冷後、水とメタノールの混合溶液に投入し、スラリー化すると、未反応のモノマーと分離することができるため、容易に得られた固形物をろ過などの方法で取り出すことができる。このろ過の方法としては、特に限定されないが、例えば、ヌッチェ、加圧式ろ過器、遠心分離、フィルタープレスなどを用いることができる。更に得られた共役系高分子化合物をメタノールおよび/または水で洗浄しても良い。
本発明におけるパラジウム触媒の除去方法は、特に限定されないが、例えば得られた共役系高分子化合物をクロロホルムなどの有機溶媒に溶解した後に濾過によって除去できる。
本発明の共役系高分子化合物の製造方法は乾燥する工程を包含することもできる。乾燥方法としては公知な方法を用いる事ができる。より具体的には熱により乾燥する方法、真空により乾燥する方法があり、またその組み合わせにより乾燥することもできる。
(有機光電変換素子)
本発明の共役系高分子化合物を用いた光電変換素子は、例えば、図1の概略図に示す通りである。前記光電変換素子は、支持体と一対の電極と正孔輸送層や電子輸送層などのバッファー層、p型有機半導体材料(電子供与性材料)とn型有機半導体材料を(電子受容性材料)混合し製膜した光電変換層を積層した構造を少なくとも構成されたものである。積層する順により順型光電変換素子、逆型光電変換素子と分類されるが、Japanese J Applied Physics 53,05FJ08(2014)の記載のように、近年は金などの非腐食性金属を上部に積層する逆型光電変換素子が、有機薄膜太陽電池デバイスの耐久性の面で着目されている。
本発明の光電変換素子における、支持体としては、電極を安定して保持することができれば、特に材質を問わないが、光電変換素子において使用される所定の波長領域の光を透過する必要がある。そのためガラスや透明ポリマーフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなど)などを用いることができる。
本発明の有機光電変換素子の電極材料としては、特に限定されないが、順型の光電変換素子における陰極の場合、電子受容性材料のLUMOレベルに対してエネルギー障壁が小さく、仕事関数が比較的小さなものから選ばれ、例えば、Al、Pt,Ir、Cr、ZnO、CNT、およびそれらの合金、複合体等が挙げられる。一方、逆型の光電変換素子における陽極の場合、金などの高仕事関数の金属を用いることができる。
前述した順型光電変換素子の陰極または逆型光電変換素子の陽極と対となる電極には透明性を有する必要があるため、酸化チタン、酸化亜鉛,ITO(スズドープ酸化インジウム)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、PEDOT:PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)などの透明性を有する材料を用いることができる。
電極の形成方法としては、特に制限はされず、例えば、真空蒸着、各種スパッタリング等の方法が挙げられる。
バッファー層における正孔輸送層には、光電変換層にて発生した電子をカソード電極に流さない整流効果を持つ材料が好適に用いられる。より具体的にはPEDOT:PSSやトリアリールアミン系化合物、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化タングステン等の金属酸化物を用いることもできる。
バッファー層における電子輸送層には、光電変換層にて発生した正孔をアノード電極に流さない整流効果を持つ材料が好適に用いられる。より具体的には酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ガリウム等の無機酸化物やフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物を用いることもできる。
また、p型半導体材料およびn型半導体材料を含む光電変換層の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、スピンコートおよびバーコート等の塗布法、真空蒸着法等が挙げられる。これらの中でも、p型半導体材料およびn型半導体材料を含む溶液を塗布する方法が好ましい。この溶液に含まれる溶媒としては、特に限定されず、例えば、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン等を用いることができる。
本発明の共役系高分子化合物は電子供与性に優れているため、p型有機半導体材料として、用いることができる。
一方、n型有機半導体材料としては、特に限定されず、例えばオキサゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、フラーレン化合物、カーボンナノチューブ(CNT)、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体にシアノ基を導入した誘導体(CN−PPV)等が挙げられる。これらの中でも、安定でキャリア移動度の高いn型半導体材料であることから、フラーレン化合物が好ましい。
上記フラーレン化合物の具体例としては、例えば、[6,6]−フェニルC61ブチリックアシッドメチルエステル(PC60BM)、[6,6]−フェニルC71−ブチリックアシッドメチルエステル(PC70BM)等が挙げられる。これらの中でも、優れた電子受容性を有する観点から、PC60BMやPC70BMが好ましい。なお、これらのn型半導体材料は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
光電変換層がバルクヘテロ接合型の活性層であり、それを塗布法により形成する場合、
光電変換率向上の観点から上記溶媒に0.1重量%〜10重量%の低分子量の化合物を添加しても良い。前記低分子量の化合物の例としては、置換基を有するアルカン、置換基を有するアルカンチオール、芳香族化合物などが挙げられる。
置換基を有するアルカンとしては1,4−ジヨードブタン、1,5−ジヨードペンタン、1,6−ジヨードヘキサン、1,7−ジヨードペンタン、1,8−ジヨードオクタン、1,9−ジヨードノナン、1,10−ジヨードデカンなどのハロゲン化アルカン類が好適な例として挙げられる。
置換基を有するアルカンチオールとしては1,4−ブタンジチオール、1,5−ヘキサンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,7−ヘプタンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,10−デカンジチオールなどのアルカンチオール類が好適な例として挙げられる。
芳香族化合物としては、1−クロロナフタレン、1−ブロモナフタレンなどが好適な例として挙げられる。
(有機薄膜太陽電池)
本発明の有機薄膜太陽電池は、本発明の光電変換素子を含む。図1には順型光電変換素子(A)と逆型光電変換素子(B)を示したが、これに限定されるものではない。
従来の順型光電変換素子のカソード電極としてはアルミニウムが用いられている。このアルミニウムは大気中の酸素と反応して絶縁性になりやすく、有機薄膜太陽電池のデバイスとして用いた場合に、耐久性の低下や、光電変換率の低下の原因となる。そこで本発明では光を取り入れる側から順に、ガラス基板、カソード電極である透明なITO電極、電子輸送層、光電変換層、正孔輸送層、アノード電極として金などの酸化されにくい金属を用いた逆型光電変換素子のほうが、有機薄膜太陽電池に本発明の光電変換素子を用いた場合に耐腐食性、高耐久性の観点から好ましい。
以下に本発明の実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
実施例1
(1−a)ジケトンの合成
1,2−ジ(4−n−オクチルスルファニルフェニル)エタンジオンの合成
50ml三口フラスコにN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)14ml、炭酸カリウム0.38g(2.7mmol, 2.0eq.)、ジブロモベンジル0.5g(1.36mmol)および1−オクタンチオール0.42g(2.86mmol)を投入し、60℃で9時間加熱撹拌を行った。3時間後と6時間後に炭酸カリウム0.38gを順次追加した。9時間加熱撹拌し室温まで放冷した後、300mlの分液漏斗に、反応液と水50ml、酢酸エチル50mlを投入した。有機層を分離し、水層を酢酸エチル50mlにて抽出を2回行い、さらに有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100ml、水100ml、飽和塩化ナトリウム水溶液100mlにて順次洗浄を行った。硫酸マグネシウムを加え、有機層を脱水した後、加えた硫酸マグネシウムをろ過し、エバポレーターを用いて有機溶媒を減圧留去した。黄色の固体が0.75g得られた。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル70g、トルエン:ヘキサン=1:1を1.4L)にてRf=0.7の黄色フラクションを分取した。エバポレーターにて濃縮し、黄色固体1,2−ジ(4−n−オクチルスルファニルフェニル)エタンジオンを0.26g(収率38.2%)得た。
Figure 2016079291
(1−b)チエノピラジン誘導体の合成
2,3−ジ(4−n−オクチルスルファニルフェニル)チエノ[3,4−b]ピラジンの合成
25mlのナスフラスコにエタノール10ml、3,4−ジアミノチオフェン22.9mg(0.20mmol)、実施例1で合成した1,2−ジ(4−nオクチルスルファニルフェニル)エタンジオン0.1g(0.2mmol)および酢酸0.07ml(1.2mmol,6.0eq.)を加え、室温で23時間撹拌を行った。氷浴下で冷却し、固体をろ取後、冷エタノール5mlで洗浄を行い、30℃で20時間減圧乾燥を行い、薄緑色の固体2,3−ジ(4−n−オクチルスルファニルフェニル)チエノピラジン(化合物例1)を0.10g(収率86.3%)得た。
Figure 2016079291

(1−c)チエノピラジン誘導体のハロゲン化
2,3−ジ(4−n−オクチルスルファニルフェニル)−5,7−ジヨードチエノ[3,4−b]ピラジンの合成
100mlのフラスコに(1−b)で合成した2,3−ジ(4−n−オクチルスルファニルフェニル)チエノ[3,4−b]ピラジン1.0gおよびDMF100mlを加え、氷浴下でN−ヨードコハク酸イミド0.97g(4.3mmol)を加えて、室温に戻した後、21時間撹拌を行った。21時間撹拌終了後、氷浴下で、反応溶液をトルエン200mlと飽和塩化アンモニウム水溶液200mlの混合溶液に加えた。有機層を分離し、水層をトルエン100mlで3回抽出を行った。有機層を合わせ、飽和塩化アンモニウム水溶液200mlにて2回、水200mlにて1回順次洗浄を行った。硫酸マグネシウムで脱水、ろ過後、エバポレーターで溶媒を減圧留去し、黄色固体を得た。さらに、シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:ヘキサン=1:1)にてRf=0.3の黄色フラクションを分取し、黄色の固体を得た。さらに、クロロホルムとヘキサンで再沈精製を行い、黄色固体として2,3−ジ(4−n−オクチルスルファニルフェニル)−5,7−ジヨードチエノ[3,4−b]ピラジン(化合物例35)を0.66g(収率45.8%)得た。
Figure 2016079291
得られた化合物例35について、元素分析装置(EA:パーキンエルマージャパン社製 2400II 全自動元素分析装置)およびH−核磁気共鳴装置,13C−核磁気共鳴装置(NMR:日本電子社製 JNM−AL300)、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR:日本電子社製 JIR−SPX60S)、ガスクロマトグラフィー質量分析計(GC/MS:アジレントテクノロジーズ社製 GC/MS Spectrometer 6890N/5973N)、示差熱・熱重量測定(TG/DTA:SIIナノテクノロジーズ社製 TG/DTA6200)の測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、化合物例35が前記式(11)の構造であることを確認した。
Figure 2016079291
H NMR(CDCl、300MHz)δ(ppm):
0.88(6H,t,JH−H=6.3),1.28(16H,s),1.43(4H,m),1.68(4H,m),2.95(4H,t,JH−H=7.5),7.22(4H,m),7.44(4H,m)
13C NMR(CDCl、75.45MHz)δ(ppm):
14.1,22.6,28.9,29.2,29.2,31.8,32.6,74.9,127.1,130.4,134.9,139.9,143.5,153.7
IR(KBr)(cm−1):
2948(m),2921(vs),2848(s),1591(s),1467(w),1396,1286(m),1265,1189,1097(s),1012(w),979(w),958,833(m),821(w),725,611(w),511(m)
LC−MS m/z=828.53(APCI+)
m.p.:114.5℃
(1−d)カルバゾールの誘導体のアルキル化
1Lのセパラブルフラスコを窒素置換し、2,7−ジブロモ−9−H−カルバゾール30.0g(92.9mmol 東京化成社工業社製)、ジメチルスルホキシド 225mlおよび粉末水酸化カリウム26.1g(465mmol、5.0eq.)を加え、これに9−ヘプタデカン−p−トルエンスルフォネート 76.2g(186mmol,2.0eq.)のジメチルスルホキシド150ml溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で20時間撹拌を行った。反応溶液を水0.5L中に加え、ヘキサン0.5Lで4回抽出を行った。有機層を合わせ、水0.5Lにて2回洗浄を行った。硫酸マグネシウムで脱水後、ろ過し、エバポレーターにて溶媒を減圧留去した。この濃縮液にアセトニトリル150mlを加えて固体を析出させ、ろ取後、アセトニトリル50mlで洗浄した。さらにろ液を濃縮後析出した固体をアセトニトリル50mlで洗浄し、オレンジ色の固体合計41.6gを得た。得られた固体をヘキサン200mlにて再沈精製を行い、白色の固体としてN−9’−ヘプタデカニル−2,7−ジブロモカルバゾール33.6g(64.5%)を得た。
Figure 2016079291
(1−e)ボロン酸またはそのエステル化されたカルバゾール誘導体の合成
[化合物例41]2,7−ビス(4’,4’,5’,5’−テトラメチル−1’,3’,2’−ジオキサボロラン−2’−イル)−N−9’’−ヘプタデカニルカルバゾール
窒素置換した500mlの4つ口フラスコに、(1−d)で合成したN−9’−ヘプタデカニル−2,7−ジブロモカルバゾール20.0g(35.6mmol)、テトラヒドロフラン360mlを加え、ドライアイス/エタノール浴にて−78℃まで冷却した。1.6Mブチルリチウム/ヘキサン溶液89.4ml(143mmol、4.0eq.)を滴下し、−78℃で1時間撹拌を行った。1時間撹拌後、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン29.2ml(143mmol、4.0eq.)を加え、さらに−78℃で1時間撹拌を行った。室温に戻し、室温で21時間撹拌を行った。メタノール80mlを加えてクエンチを行い、反応液をエバポレーターにて濃縮を行った。析出した固体を50%メタノール水溶液500mlで2回分散洗浄を行い、さらにメタノール500mlで2回分散洗浄を行った。得られた固体を50℃で14時間減圧乾燥を行った。乾燥終了後、アセトン/メタノールで再沈精製を行い、40℃で16時間減圧乾燥を行い、白色の固体として2,7−ビス(4’,4’,5’,5’−テトラメチル−1’,3’,2’−ジオキサボロラン−2’−イル)−N−9’’−ヘプタデカニルカルバゾール(化合物例41)を14.6g(62.4%)得た。
Figure 2016079291
得られた化合物例41について、実施例1と同様に元素分析およびH−NMR、13C−NMR、IR、LC/MS、TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、化合物例41が前記式(13)の構造であることを確認した。
Figure 2016079291
H NMR(CDCl、300MHz)δ(ppm):
0.81(6H,t,JH−H=6.9),0.97(2H,m),1.12(22H,m),1.39(24H,s),1.94(2H,m),2.31(2H,m),4.69(1H,m),7.66(2H,d,JH−H=7.2),7.89(1H,s),8.02(1H,s),8.12(2H,t,JH−H=8.7)
13C NMR(CDCl、75.45MHz)δ(ppm):
14.1,22.6,24.9,26.8,29.2,29.3,29.5,31.8,33.8,56.4,83.7,115.4,118.1,119.7,120.0,124.6,126.0,138.7,142.0
IR(KBr)(cm−1):
2977(w),2925(s),2854(m),1621,1596,1560,1481(m),1452(w),1430(w),1349(vs),1336(s),1267(m),1143(s),1078(m),970(w),858,825,690(m)
LC−MS m/z=657.93(APCI+)
m.p.:146.2℃
(1−f)鈴木重合を用いた共役系高分子化合物の合成
耐圧試験管反応器にトルエン 1.5ml、20%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液 0.75ml、(1−c)で合成した2,3−ジ(4−n−オクチルスルファニルフェニル)−5,7−ジヨードチエノ[3,4−b]ピラジン 0.10g(0.12mmol)、(1−e)で合成した2,7−ビス(4’,4’,5’,5’,−テトラメチル−1’,3’,2’−ジオキサボロラン−2’−イル)−N−9’ ’−ヘプタデカニルカルバゾール 0.084g(0.13mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム 1.1mg(1.0mol%)およびトリス(o−トリル)ホスフィン 1.4mg(4.0mol%)を加え、90℃で32時間加熱撹拌を行った。ヨードベンゼンを1滴投入し、90℃で1時間加熱撹拌を行った。1時間攪拌後、(4’,4’,5’,5’,−テトラメチル−1’,3’,2’−ジオキサボロラン−2’−イル)ベンゼンを1滴投入し90℃で6時間、加熱撹拌を行った。反応溶液を90%メタノール水溶液100mlに投入し、スラリーをろ取し、90%メタノール水溶液50ml、メタノール50mlで洗浄を行った。50℃で3時間減圧乾燥を行い、緑色固体を得た。
得られた固体とメタノール70mlをセパラブルフラスコに加え、加熱還流下、1時間攪拌を行った。加熱攪拌終了後、熱時ろ過を行った。同様の操作を、アセトンで1回、ヘキサンで2回繰り返し行なった。操作終了後さらに溶媒にトルエンを用いて1時間還流撹拌、熱時ろ過を行い、ろ液をエバポレーターで10mlまで濃縮し、この溶液にメタノール50mlを加えてスラリー化し、固体をろ取した。得られた固体をメタノール20mlで洗浄後、減圧乾燥機にて50℃で16時間減圧乾燥を行い、緑色固体として共役系高分子化合物例PL01を57.9mg(収率48.7%)得た。
Figure 2016079291
得られた共役系高分子化合物例PL01について、実施例1と同様に元素分析およびH−NMR、13C−NMR、IR、LC/MS、TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、共役系高分子化合物例PL01が前記式(14)の構造であることを確認した。
IR(ATR)(cm−1):
2952(w),2921(s),2850(m),1592(m),1454(s),1432(m),1336(m),1267,1247,1222,1097(vs),1014,979,823(m),796(s),725(w),651(w),611(w),538,522
実施例2
(2−a)ジケトンの合成
1,2−(4−i−ペンチルスルファニルフェニル)エタンジオンの合成
200mlの四口フラスコにDMF140ml、炭酸カリウム3.8g(27mmol, 2.0eq.)、ジブロモベンジル5.0g(14mmol)およびi−ペンタンチオール3.0g(29mmol)を投入し、60℃で9時間加熱撹拌を行った。反応中、3時間経過後、6時間経過後に炭酸カリウム3.8gを順次追加した。反応終了後、室温まで放冷し、1Lの分液漏斗に反応液と水道水200ml、酢酸エチル200mlを投入した。有機層を分離し、水層を酢酸エチル200mlにて抽出を2回行い、先ほど分離した有機層に加え、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液200ml、水道水200ml、飽和塩化ナトリウム水溶液200mlにて順次洗浄を行った。硫酸マグネシウムを加え、有機層を脱水した後、加えた硫酸マグネシウムをろ過し、エバポレーターを用いて有機溶媒を減圧留去した。黄色の液体が6.2g得られた。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル120g、トルエン:ヘキサン=1:1を1.5L)にてRf=0.6の黄色フラクションを分取した。エバポレーターにて濃縮し、黄色液体1,2−ジ(4−i−ペンチルスルファニルフェニル)エタンジオンを3.3g(収率63.0%)得た。
Figure 2016079291
(2−b)チエノピラジン誘導体の合成
2,3−ジ(4−i−ペンチルスルファニルフェニル)チエノ[3,4−b]ピラジンの合成
500mlの四口フラスコにエタノール110mlおよび(2−a)で合成した1,2−ジ(4−i−ペンチルスルファニルフェニル)エタンジオン 1.0 g(2.8mmol)を加え、氷浴下にて冷却した。そこに3,4−ジアミノチオフェン 0.35g(2.8 mmol)および酢酸0.9ml(16.5mmol, 6.0eq.)を投入し、氷浴下30分間攪拌し、室温に戻した後、3時間撹拌を行った。次に酢酸エチル200mlおよび水200mlを投入した。有機層を分離し、水層を酢酸エチル100mlにて2回抽出を行い、有機層を合わせ、水100ml、飽和塩化アンモニウム水溶液100mlにて順次洗浄を行った。硫酸マグネシウムにて脱水、ろ過、エバポレーターを行い、黄色の固体が1.2g得られた。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル100g、トルエン:酢酸エチル=20:1を1.0L)にてRf=0.4の黄色フラクションを分取し、溶媒をエバポレーターにて留去し、黄色固体が1.2g得られた。さらにクロロホルム3ml/ヘキサン30mlにて再沈精製を行い、40℃にて16時間減圧乾燥を行うと、黄色の固体2,3−ジ(4−i−ペンチルスルファニルフェニル)チエノ[3,4−b]ピラジン 化合物例3を1.0g(収率74.8%)得た。
Figure 2016079291
(2−c)チエノピラジン誘導体のハロゲン化
2,3−ジ(4−i−ペンチルスルファニルフェニル)−5,7−ジヨードチエノ[3,4−b]ピラジンの合成
500mlのフラスコに(2−b)で合成した2,3−ジ(4−i−ペンチルスルファニルフェニル)チエノ[3,4−b]ピラジン 2.0g、DMF 180mlを投入し、氷浴下でN−ヨードコハク酸イミド4.12g(18.3mmol)を加え、室温で4時間撹拌を行った。氷浴下、トルエン400mlと飽和塩化アンモニウム水溶液400mlの混合溶液に反応溶液を加えた。有機層を分離し、水層をトルエン200mlで3回抽出を行った。有機層を合わせ、飽和塩化アンモニウム水溶液300mlにて3回、水200mlにて1回順次洗浄を行った。硫酸マグネシウムで脱水、ろ過後、ろ液をエバポレーターで濃縮し、3.0gの茶色固体を得た。さらに、シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:ヘキサン=1:1)にてRf=0.4の黄色フラクションを分取し、溶媒をエバポレーターにて減圧留去し、黄色の固体を得た。さらに、クロロホルムとヘキサンで再沈精製を行い、黄色固体として2,3−ジ(4−i−ペンチルスルファニルフェニル)−5,7−ジヨードチエノ[3,4−b]ピラジン 化合物例21を1.2g(収率39.7%)得た。
Figure 2016079291
得られた化合物例21について、実施例1と同様に元素分析およびH−NMR、13C−NMR、IR、LC/MS、TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、化合物例21が前記式(17)の構造であることを確認した。
Figure 2016079291
H NMR(CDCl、300MHz)δ(ppm):
0.94(12H,d,JH−H=6.6),1.57(4H,m),1.72(2H,m),2.95(4H,t,JH−H=7.5),7.22(4H,m),7.44(4H,m)
13C NMR(CDCl、75.45MHz)δ(ppm):
22.3,27.5,30.7,37.8,74.9,127.1,130.4,134.9,139.8,143.5,153.7
IR(KBr)(cm−1):
2952(s),2929,2865(w),1589(s),1484,1465,1398(w),1386(m),1367,1353,1284(s),1265(m),1189,1097(vs),1064,1012(m),979(m),958,833(s),819(m),727,622,611(m),511(s)
LC−MS m/z=745.07(APCI+)
m.p.:183.5℃
実施例2の(2−d)(2−e)は、実施例1の(1−d)(1−e)と同様に行った。
(2−f)鈴木重合を用いた共役系高分子化合物の合成
耐圧試験管反応器にトルエン 1.5ml、20%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液 0.75ml、実施例2(2−c)で合成した2,3−ジ(4−i−ペンチルスルファニルフェニル)−5,7−ジヨードチエノ[3,4−b]ピラジン 0.10g(0.13mmol)、実施例2(2−e)で合成した2,7−ビス(4’,4’,5’,5’,−テトラメチル−1’,3’,2’−ジオキサボロラン−2’−イル)−N−9’’−ヘプタデカニルカルバゾール 0.093g(0.14mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム 1.2mg(1.0mol%)および「トリス(o−トリル)ホスフィン1.6mg(4.0mol%)を投入し、90℃で15時間加熱撹拌を行った。ヨードベンゼンを1滴投入し90℃で1時間加熱攪拌を行った。1時間攪拌後、(4’,4’,5’,5’,−テトラメチル−1’,3’,2’−ジオキサボロラン−2’−イル)ベンゼンを1滴投入し90℃で6時間加熱撹拌を行った。攪拌終了後、反応溶液を90%メタノール水溶液100mlに投入し、スラリーをろ取、90%メタノール水溶液50ml、メタノール50mlで洗浄を行った。40℃で2時間減圧乾燥を行い、緑色固体を得た。
得られた固体とメタノール70mlをセパラブルフラスコに加え、加熱還流下、1時間攪拌を行った。加熱攪拌終了後、熱時ろ過を行った。同様の操作を、アセトンで1回、ヘキサンで2回繰り返し行なった。操作終了後さらに溶媒にトルエンを用いて1時間還流撹拌、熱時ろ過を行い、ろ液をエバポレーターで10mlまで濃縮し、この溶液にメタノール50mlを加えてスラリー化し、固体をろ取した。得られた固体をメタノール20mlで洗浄後、減圧乾燥機にて50℃で16時間減圧乾燥を行い、緑色固体として共役系高分子化合物例PL02を67.1mg(収率56.7%)得た。
Figure 2016079291
得られた共役系高分子化合物例PL02について、実施例1と同様に元素分析およびH−NMR、13C−NMR、IR、LC/MS、TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、共役系高分子化合物例PL02が前記式(18)の構造であることを確認した。
IR(ATR)(cm−1):
2952(w),2921(s),2852(m),1592(m),1454(s),1432(m),1336(m),1268,1247,1222,1097(vs),1014,979,823(m),796(s),727(w),649(w),609(w),538,522
実施例3
(3−a)ジケトンの合成
300mlの四口フラスコにDMF 150ml、炭酸カリウム3.8g(27.2mmol, 2.0eq.)、ジブロモベンジル5.0g(13.6mmol)およびp−メトキシベンゼンチオール4.0g(28.5mmol, 2.1eq.)を加え、60℃にて4時間撹拌を行った。4時間攪拌終了後、炭酸カリウム0.94g(6.8mmol)および4−メトキシベンゼンチオール0.95g(6.8mmol)を追加し、さらに2時間加熱撹拌を行った。攪拌終了後、室温まで放冷し、1Lの分液漏斗に反応液と水道水300ml、酢酸エチル300mlを加え、有機層を分離し、水層を酢酸エチル100mlにて抽出を2回行った。得られた有機層を合わせ、水300ml、飽和塩化ナトリウム水溶液300mlにて順次洗浄を行った。硫酸マグネシウムを加え、有機層を脱水した後、加えた硫酸マグネシウムをろ過し、エバポレーターを用いて有機溶媒を減圧留去した。得られた固体をヘキサン100mlに加え、不溶物をろ取後、ヘキサン50mlで洗浄を行った。得られた固体を40℃で64時間減圧乾燥を行い、黄色固体1,2−ジ(4−(p−メトキシフェニル)スルファニルフェニル)エタンジオンを6.1g(収率92.3%)得た。
Figure 2016079291
(3−b)チエノピラジン誘導体の合成
2,3−ジ(4−(p−メトキシフェニル)スルファニルフェニル)チエノ[3,4−b]ピラジンの合成
500mlの三口フラスコにエタノール300ml、3,4−ジアミノチオフェン0.7g(6.2mmol)、(3−a)で合成した1,2−ジ(4−(p−メトキシフェニル)スルファニルフェニル)エタンジオン 3.0g (6.2mmol)および酢酸2.2ml(37.0mmol、6.0eq.)を加え、40℃で2時間、室温で16時間撹拌を行った。攪拌終了後、反応溶液を氷浴下で10分間撹拌し、析出物をろ取した。この析出物を冷エタノール50mlで洗浄を行った。得られた固体を40℃で5時間減圧乾燥を行い、薄黄緑色の固体2,3−ジ(4−(p−メトキシフェニル)スルファニルフェニル)チエノ[3,4−b]ピラジン 化合物例17を3.3g(収率95.4%)得た。
Figure 2016079291
(3−c)チエノピラジン誘導体のハロゲン化
100mlのフラスコに(3−b)で合成した2,3−ジ(4−(p−メトキシフェニル)スルファニルフェニルチエノ[3,4−b]ピラジン 1.0g、DMF 80mlを加え、氷浴下でN−ヨードコハク酸イミド0.8g(3.5mmol、2.0eq.)を加え、氷浴下で1.5時間、室温で4時間撹拌を行った。さらにN−ヨードコハク酸イミド0.02g(0.09mmol)を追加し、室温で7時間撹拌した。氷浴下、反応溶液を酢酸エチル300mlと飽和塩化アンモニウム水溶液300mlの混合溶液に加えた。有機層を分離し、水層を酢酸エチル150mlで2回抽出を行った。有機層を合わせ、飽和塩化アンモニウム水溶液200mlにて2回、水200mlにて1回順次洗浄を行った。硫酸マグネシウムで脱水、ろ過後、得られたろ液をエバポレーターを用いて溶媒を減圧留去し、茶色固体を得た。さらに、シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:ヘキサン=1:1)にてRf=0.3のオレンジ色フラクションを分取し、黄色の固体を得た。さらに、クロロホルムとメタノールで再沈精製を行い、黄色固体として2,3−ジ(4−(p−メトキシフェニル)スルファニルフェニル−5,7−ジヨードチエノ[3,4−b]ピラジン 化合物例32を0.89g(収率61.8%)得た。
Figure 2016079291
得られた化合物例32について、実施例1と同様に元素分析およびH−NMR、13C−NMR、IR、LC/MS、TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、化合物例32が前記式(21)の構造であることを確認した。
Figure 2016079291
H NMR(CDCl、300MHz)δ(ppm):
3.85(6H,s),6.94(4H,m),7.04(4H,m),7.37(4H,m),7.46(4H,m)
13C NMR(CDCl、75.45MHz)δ(ppm):
55.4,74.9,115.2,122.6,126.6,130.4,135.0,136.3,141.6,143.5,153.6,160.3
IR(KBr)(cm−1):
2998,2956,2938,2832,1591(s),1492(vs),1459,1396,1286(w),1245(s),1172(m),1099,1087(m),1029(m),1014,979,958,827(m),798,611(w),512(w)
LC−MS m/z=816.27(APCI+)
m.p.:159.7℃
実施例3の(3−d)(3−e)は、実施例1の(1−d)(1−e)と同様に行った。
(3−f)鈴木重合を用いた共役系高分子化合物の合成
耐圧試験管反応器にトルエン1.5ml、20%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液0.75ml、(3−c)で合成した2,3−ジ(4−(p−メトキシフェニル)スルファニルフェニル−5,7−ジヨードチエノ[3,4−b]ピラジン0.10g(0.12mmol)、(3−e)で合成した2,7−ビス(4’,4’,5’,5’,−テトラメチル−1’,3’,2’−ジオキサボロラン−2’−イル)−N−9’’−ヘプタデカニルカルバゾール0.085g(0.129mmol、1.05eq.)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム1.12mg(1.0mol%)およびトリス(o−トリル)ホスフィン1.48mg(4.0mol%)を加え、90℃で25時間加熱撹拌を行った。ヨードベンゼンを1滴加え、90℃で1時間加熱撹拌を行った。1時間加熱攪拌後、(4’,4’,5’,5’,−テトラメチル−1’,3’,2’−ジオキサボロラン−2’−イル)ベンゼンを1滴投入し90℃で5時間加熱撹拌を行った。反応終了後、反応溶液を90%メタノール水溶液100mlに投入し、スラリーをろ取、90%メタノール水溶液50ml、メタノール50mlで洗浄を行った。40℃で2時間減圧乾燥を行い、緑色固体を得た。
得られた固体とメタノール100mlをセパラブルフラスコに加え、加熱還流下、1時間攪拌を行った。加熱攪拌終了後、熱時ろ過を行った。同様の操作を、アセトンで1回、ヘキサンで2回繰り返し行なった。操作終了後さらに溶媒にトルエンを用いて1時間還流撹拌、熱時ろ過を行い、ろ液をエバポレーターで10mlまで濃縮し、この溶液にメタノール50mlを加えてスラリー化し、固体をろ取した。得られた固体をメタノール20mlで洗浄後、減圧乾燥機にて40℃で2時間減圧乾燥を行い、緑色固体として共役系高分子化合物例PL03を40.7mg(収率34.5%)得た。
Figure 2016079291
得られた共役系高分子化合物例PL03について、実施例1と同様に元素分析およびH−NMR、13C−NMR、IR、LC/MS、TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、共役系高分子化合物例PL03が前記式(22)の構造であることを確認した。
IR(ATR)(cm−1):
2950,2923(w),2852,1591(m),1492(s),1454,1338(w),1243(vs),1170(w),1087,1031,979,825(s),796(m),727
実施例4
(4−a)ジケトンの合成
50mlの三口フラスコにDMF 14ml、炭酸カリウム0.38g(2.7mmol, 2.0eq.)、ジブロモベンジル0.5g(1.36mmol)およびp−トリフルオロメチルベンゼンチオール0.55g(2.86mmol)を加え、60℃で4時間、80℃で4時間加熱撹拌を行った。3時間後、6時間後に炭酸カリウム0.38gを順次追加した。8時間後、室温まで放冷し、300mlの分液漏斗に反応液と水道水50ml、トルエン50mlを投入した。有機層を分離し、水層をトルエン50mlにて抽出を2回行った。さらに有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100ml、水道水100ml、飽和塩化ナトリウム水溶液100mlにて順次洗浄を行った。硫酸マグネシウムを加え、有機層を脱水した後、加えた硫酸マグネシウムをろ過し、エバポレーターを用いて有機溶媒を減圧留去した。黄色の固体が0.62g得られた。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル70g、トルエン:ヘキサン=1:1を0.5L)にて、Rf=0.6の黄色フラクションを分取した。エバポレーターにて濃縮し、ヘキサン40mlにて再沈精製を行うと、白色固体1,2−ジ(4−(p−トリフルオロメチルフェニル)スルファニルフェニル)エタンジオンを0.10g(収率13.4%)得た。
Figure 2016079291
(4−b)チエノピラジン誘導体の合成
2,3−ジ(4−(p−トリフルオロメチルフェニル)スルファニルフェニルチエノ[3,4−b]ピラジンの合成
100mlの三口フラスコに(4−a)で合成した1,2−ジ(4−(p−トリフルオロメチルフェニル)スルファニルフェニル)エタンジオン0.40g(0.71mmol)およびエタノール40mlを加え、室温で10分撹拌を行なった。10分攪拌後、3,4−ジアミノチオフェン0.081g(0.71mmol)および酢酸0.24ml(4.26mmol、6.0eq.)を加え、室温で2時間、50℃に昇温して1時間撹拌した。TLCにて原料がなくなったことを確認し、氷浴下で5℃まで冷却後、析出物をろ取し、析出物を10℃以下のエタノール25mlで洗浄し、40℃で16時間減圧乾燥して緑色固体2,3−ジ(4−(p−トリフルオロメチルフェニル)スルファニルフェニル)チエノ[3,4−b]ピラジン 化合物例18 を収量0.38g(収率83.5%)を得た。
Figure 2016079291
(4−c)チエノピラジン誘導体のハロゲン化
2,3−ジ{4−(p−トリフルオロメチルフェニル)スルファニルフェニル}−5,7−ジヨードチエノ[3,4−b]ピラジン
50mlのフラスコに(4−b)で合成した2,3−ジ{4−(p−トリフルオロメチルフェニル)スルファニルフェニル}チエノ[3,4−b]ピラジン 0.28gおよびDMF 25mlを投入し、氷浴下でN−ヨードコハク酸イミド0.22g(1.0mmol)を加え、室温で18時間撹拌を行った。さらに、N−ヨードコハク酸イミド0.12g(0.52mmol)を追加し、室温で24時間撹拌を行った。氷浴下、トルエン50mlと飽和塩化アンモニウム水溶液50mlの混合溶液に反応液を投入した。有機層を分離し、水層をトルエン30mlで3回抽出を行った。有機層を合わせ、飽和塩化アンモニウム水溶液100mlで3回、水道水100mlで1回順次洗浄を行った。硫酸マグネシウムで脱水後、ろ過し、ろ液をエバポレーターで濃縮を行い、0.3gの茶色固体を得た。さらに、シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:ヘキサン=1:2)にてRf=0.3の黄色フラクションを分取し、黄色の固体を得た。さらに、クロロホルムとヘキサンで再沈精製を行い、黄色固体として2,3−ジ{4−(p−トリフルオロメチルフェニル)スルファニルフェニル}−5,7−ジヨードチエノ[3,4−b]ピラジン 化合物例36を0.15g(収率38.5%)得た。
Figure 2016079291
得られた化合物例36について、実施例1と同様に元素分析およびH−NMR、13C−NMR、19F−NMR、IR、LC/MS、TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、化合物例36が前記式(25)の構造であることを確認した。
Figure 2016079291
H NMR(CDCl、300MHz)δ(ppm):
7.36(8H,m),7.49(4H,m),7.53(4H,m)
13C NMR(CDCl、75.45MHz)δ(ppm):
75.64,118.5,122.1,125.7,125.9,126.0,126.1,126.1,128.4,128.8,129.2,129.3,129.7,130.0,131.0,131.5,135.9,137.5,140.7,143.6,153.2
19F NMR(CDCl、300MHz)δ(ppm):
(6F,s)
IR(KBr)(cm−1):
1606(w),1589,1402(w),1326(vs),1282,1166,1126(m),1106(w),1085(m),1062(m),1014(m),979,958,827(m),613,511
LC−MS m/z=892.60(APCI+)
m.p.:174.8℃
実施例4の(4−d)(4−e)は、実施例1の(1−d)(1−e)と同様に行った。
(4−f)鈴木重合を用いた共役系高分子化合物の合成
耐圧試験管反応器にトルエン 1.5ml、20%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液 0.75ml、(4−c)で合成した2,3−ジ{4−(p−トリフルオロメチルフェニル)スルファニルフェニル}−5,7−ジヨードチエノ[3,4−b]ピラジン 0.10g(0.11mmol)、(4−e)で合成した2,7−ビス(4’,4’,5’,5’,−テトラメチル−1’,3’,2’−ジオキサボロラン−2’−イル)−N−9’ ’−ヘプタデカニルカルバゾール 0.077g(0.12mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム 1.0mg(1.0mol%)およびトリス(o−トリル)ホスフィン1.4mg(4.0mol%)を投入し、90℃で22時間加熱撹拌を行った。ヨードベンゼンを1滴投入し1時間、(4’,4’,5’,5’,−テトラメチル−1’,3’,2’−ジオキサボロラン−2’−イル)ベンゼンを1滴投入し6時間、90℃で加熱撹拌を行った。反応溶液を90%メタノール水溶液100mlに投入し、スラリーをろ取、90%メタノール水溶液50ml、メタノール50mlで洗浄を行った。50℃で3時間減圧乾燥を行い、緑色固体を得た。
得られた固体とメタノール70mlをセパラブルフラスコに加え、加熱還流下、1時間攪拌を行った。加熱攪拌終了後、熱時ろ過を行った。同様の操作を、アセトンで1回、ヘキサンで2回繰り返し行なった。操作終了後さらに溶媒にトルエンを用いて1時間還流撹拌、熱時ろ過を行い、ろ液をエバポレーターで10mlまで濃縮し、この溶液にメタノール50mlを加えてスラリー化し、固体をろ取した。得られた固体をメタノール20mlで洗浄後、減圧乾燥機にて50℃で16時間減圧乾燥を行い緑色固体として共役系高分子化合物例PL04を49.3mg(収率42.1%)得た。
Figure 2016079291
得られた共役系高分子化合物例PL04について、実施例1と同様に元素分析およびH−NMR、13C−NMR、19F−NMR、IR、LC/MS、TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、共役系高分子化合物例PL04が前記式(26)の構造であることを確認した。
IR(ATR)(cm−1):
2952,2923(w),2850,1606,1454,1322(vs),1164(w),1122(m),1085(w),1062(m),1012(m),823(m),798,651,611,592,522(w)
比較例1
(比較1−b) 比較チエノピラジン誘導体の合成
500mlセパラブルフラスコに1,2−ジ(4−イソペンチルオキシフェニル)エタンジオン2.0g(5.23mmol)およびエタノール200mlを投入し氷浴下で10分間撹拌した後、3,4−ジアミノチオフェン0.60g(5.23mmol)、酢酸1.80ml(31.4mmol、6.0eq.)を投入し、氷浴下で30分、室温で3時間撹拌した。TLCにて原料消費を確認後、反応液を氷浴下で5℃まで冷却、析出物をろ取し、10℃以下のエタノール60mlで洗浄した。40℃で16時間減圧乾燥して薄緑色粉体2,3−ジ(4−イソ−ペンチルフェノキシ)チエノ[3,4−b]ピラジンを収量 1.89g、収率78.4gで得た。
Figure 2016079291
(比較1−c) 比較チエノピラジン誘導体のハロゲン化
比較1−cは、実施例1の(1−c)と同様に行った。
比較例1の(比較1−d)(比較1−e)は、実施例1の(1−d)(1−e)と同様に行った。
(比較1−f)鈴木重合を用いた共役系高分子化合物の合成
耐圧試験管反応器にトルエン 1.5ml、20%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液 0.75ml、(比較1−e)で合成した2,3−ジ(4−i−ペンチルフェノキシ)−5,7−ジヨードチエノ[3,4−b]ピラジン 0.10g(0.14mmol)、実施例1の(1−e)で合成した2,7−ビス(4’,4’,5’,5’,−テトラメチル−1’,3’,2’−ジオキサボロラン−2’−イル)−N−9’ ’−ヘプタデカニルカルバゾール 0.097g(0.15mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム 1.3mg(1.0mol%)およびトリス(o−トリル)ホスフィン1.7mg(4.0mol%)を投入し、90℃で55時間加熱撹拌を行った。ヨードベンゼンを1滴投入し1時間、(4’,4’,5’,5’,−テトラメチル−1’,3’,2’−ジオキサボロラン−2’−イル)ベンゼンを1滴投入し6時間、90℃で加熱撹拌を行った。反応溶液を90%メタノール水溶液100mlに投入し、スラリーをろ取、90%メタノール水溶液50ml、メタノール50mlで洗浄を行った。50℃で3時間減圧乾燥を行い、青紫色固体を得た。
得られた固体を用いてメタノール70ml、アセトン70ml、ヘキサン70ml×2で1時間還流撹拌、熱時ろ過を順次行い、各溶剤の溶解物を取り除いた。さらにトルエン70mlを用いて1時間還流撹拌、熱時ろ過を行い、ろ液をエバポレーターにて10mlまで濃縮、メタノール50mlを用いてスラリー化、ろ取、メタノール20mlで洗浄した。50℃で16時間減圧乾燥を行い、青紫色固体として比較共役系高分子化合物1を44.9mg(収率36.5%)得た。
Figure 2016079291
得られた比較共役系高分子化合物1について、実施例1と同様に元素分析およびH−NMR、13C−NMR、IR、LC/MS、TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、比較共役系高分子化合物1が前記式(28)の構造であることを確認した。
IR(ATR)(cm−1):
2954,2921(w),2850,1604(m),1510(m),1454(w),1432,1243(vs),1222(w),1172(s),977,831(s),796(m),651(w),538
(実施例5)
実施例5においては、実施例1〜4で得られた共役系高分子化合物PL01〜PL04および比較例1で得られた比較共役系高分子化合物1を試験評価した。
紫外可視分光スペクトルの測定
上記実施例1〜4で得られた共役系高分子化合物PL01〜PL04および比較例1で得られた比較共役系高分子化合物1について、紫外可視分光スペクトルを下記の測定条件で測定した。
紫外可視分光曲線の測定条件
共役系高分子化合物PL01〜PL04、比較共役系高分子化合物1はクロロホルムを、各2.0mg/100mlの濃度に調製した溶液を作成し、紫外可視分光光度計(島津製作所製 商品名:UV−1700)を用い、測定を行った。
図2には、実施例2の共役系高分子化合物PL02と比較例1の比較共役系高分子化合物1の紫外可視分光スペクトルを示した。図3には実施例1〜4および比較例1の共役系高分子化合物の紫外可視分光スペクトルを示した。得られたスペクトルから、最大吸収波長(λmax)とモル吸光係数εを求めた結果を表10に記載する。
共役系高分子化合物の重量平均分子量の測定
得られた共役系高分子化合物の分子量分布を、Waters 515 HPLCシステム(日本Waters社製)により、以下の測定条件にて測定を行い、分子量分布、重量平均分子量を確認した。
GPC測定条件としては、測定対象サンプル2mgをクロロホルム100mlに溶解させ、ポア径が0.5μmの耐溶剤性メンブレンフィルターで濾過してサンプル溶液とし、以下の条件で測定した。
カラム:迅速分析用ダウンサイズカラム Shodex KF−604×2
カラムオーブン温度:40℃ 検出波長:254nm
また、試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン(昭和電工社製 Shodex STANDARD SM−105)により作成した分子量校正曲線を使用した。上記測定条件により測定を行なった、重量平均分子量の結果を表10に示す。
Figure 2016079291
以上の結果より、実施例2の共役系高分子化合物PL02と比較例1の比較共役系高分子化合物1は、フェニル基への結合元素が、硫黄と酸素の違いだけであるが、それらの紫外可視分光スペクトルを比べると、長波長シフトしており、より広範囲の波長の光を吸収することがわかる。これは、硫黄の最外殻電子の影響と考えられる。また硫黄と酸素の結合角の差異からバルクヘテロ活性層のモルホロジーやp−n材料のHOMO−LUMOへ影響を及ぼすことが予想され、光電変換効率の向上が期待できる。
本発明のp−スルファニル置換フェニル基を有するチエノピラジン誘導体を少なくともモノマーセグメントに含む共役系高分子化合物は、鈴木重合反応により合成することで、低環境負荷の安全性の高い製造を行なうことができる。また本発明のp−スルファニル置換フェニル基を有するチエノピラジン誘導体を、少なくともモノマーセグメントに含む共役系高分子化合物は、低バンドギャップを示し、更に素子化することにより、有効な有機薄膜太陽電池として用いることができる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 2016079291

    [式(1)中、RおよびRは同一でも、異なっていても良く、置換基を有していてよい直鎖または分岐鎖のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基であり、
    Aは炭素骨格からなる多環式芳香族化合物またはヘテロ原子を含む複素環式芳香族化合物由来のセグメントである。]
    で表されるモノマーセグメントを含む共役系高分子化合物。
  2. 前記一般式(1)が、下記一般式(2):
    Figure 2016079291

    [式(2)中、RおよびRは同一でも、異なっていても良く、置換基を有していてよい直鎖または分岐鎖のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基であり、Rは置換基を有していてよい分岐鎖のアルキル基である。]
    で表されるモノマーセグメントである請求項1記載の共役系高分子化合物。
  3. 前記一般式(2)において、Rが炭素数3〜20の分岐鎖のアルキル基である請求項2記載の共役系高分子化合物。
  4. 請求項1〜3記載の共役系高分子化合物を用いた光電変換材料。
  5. 請求項4記載の光電変換材料を用いた光電変換素子。
  6. 請求項5記載の光電変換素子を用いた有機薄膜太陽電池。
  7. 一般式(3):
    Figure 2016079291

    [式(3)中、RおよびRは、同一でも、異なっていても良く、置換基を有していてよい直鎖または分岐鎖のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基であり、Xはハロゲン原子である。]
    で表されるハロゲン化チエノピラジン誘導体と
    一般式(4):
    Figure 2016079291

    [式(4)中、Aは炭素骨格からなる多環式芳香族化合物またはヘテロ原子を含む複素環式芳香族化合物由来のセグメントであり、Rはボロン酸またはそのエステルからの残基である。]
    で表されるモノマーを反応溶媒中で、パラジウム触媒と有機リン化合物の存在下、鈴木重合反応させることを特徴とする請求項1記載の共役系高分子化合物の製造方法。
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