JP2014172694A - グラブバケット - Google Patents

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Abstract

【課題】グラブバケットに搭載した流体圧発生源またはバッテリを回生できるようにしたグラブバケットを提供すること。
【解決手段】グラブバケットAは、一対のシェル2を有するグラブ1と、シェル2を開閉自在に支持した下部フレーム3と、グラブ1に吊りアーム4を介して連結した上部フレーム5と、上部フレーム5と下部フレーム3との間に配置された中間可動フレーム7と、中間可動フレーム7及び上部フレーム5に配置された滑車50と、各滑車50に巻き掛けられたワイヤロープ8と、下部フレーム3あるいは上部フレーム5等に搭載された流体圧駆動装置10と、流体圧駆動装置10に流体圧を供給する流体圧発生源13と、流体圧駆動装置10に電力を供給するバッテリBTと、を有する。滑車50の少なくとも1つには、滑車50の回転力で駆動されるエネルギー回生装置Bが設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、湾・河川・運河等の底面を浚って土砂等(被荷役物)を取り去る浚渫工事等を行う際や、木材チップ、粉粒状鉱石、土砂等のバラ物からなる被荷役物を移送する際等に用いられるグラブバケットに関し、特にエネルギー回生装置を搭載したグラブバケットに関する。
従来、そのような浚渫工事や、バラ物等の被荷役物の移送に用いられるグラブバケットとしては、例えば、特許文献1に開示されている単索式グラブバケットが知られている。
一般に、グラブバケットは、被荷役物を掬うグラブを構成する開閉可能な一対のシェルと、シェルを軸支した下部フレームと、下部フレームの上側に配置され、各シェルと吊りアームを介在して連結された上部フレームと、下部フレームに油圧シリンダを介在して連結された中間可動フレームと、中間可動フレーム及び上部フレームの各滑車に巻き掛けられた吊り下げ兼グラブ開閉用のワイヤロープと、油圧シリンダと、オイル流路を開閉することで油圧シリンダの動作を制御する油圧シリンダ制御手段と、遠隔操作用の無線装置と、電磁バルブ及び無線装置等に電力を供給するバッテリ(蓄電池)と、を備えている。
グラブバケットで被荷役物を搬送する場合は、グラブバケットをクレーンのロープで吊り下げ、一対のシェルで被荷役物を掬い揚げて浚渫船やダンプカーの荷台に積載する。グラブバケットは、グラブを開放するのに、無線装置で油圧シリンダを遠隔操作して一対のシェルを回動させている。このため、グラブバケットには、油圧シリンダ装置と、油圧シリンダ制御手段と、充電が必要なバッテリと、が搭載されている。
実公平7−56295号公報(段落0009、図5、図8)
しかし、特許文献1等に開示されている従来のグラブバケットは、電気によって駆動する電磁バルブ、制御装置、無線装置及びバッテリを搭載しているが、それらを使用することに伴ってバッテリの容量が減少するので、随時充電しなければならない。バッテリを充電する場合は、グラブバケット外に配置された電源とバッテリとを電線で接続して充電する充電作業が不可欠であるという問題点があった。
また、そのバッテリを充電する場合、充電するのに必要な充電時間もかなりかかる。その充電作業中や、または、バッテリ交換作業や、バッテリ切れをした場合は、グラブバケットを使用することができず、浚渫作業を中断しなければならないという問題点があった。
また、グラブバケットは、シェルを回動させてグラブを開閉させるための油圧シリンダと、油圧シリンダ制御装置とが搭載されている。一般に、油圧シリンダの動作は、各構成部品及び被荷役物の自重と、無線操作により油流路の開閉の制御を行う油圧シリンダ制御装置と、によって制御される。このため、グラブバケットの開閉動作も、グラブバケットの各構成部品及び被荷役物の自重と、油流路内の油流量とによってのみ行われ、グラブの開閉速度は一定以上の調整、制御ができないため、所望の荷役効率が得られないという問題点があった。
更に、被荷役物の搬送量(掬い取り量)は、被荷役物をシェルで掴む力と、掬い取り時間と、シェルの有効容積とによって決定されるが、シェルの動作は、上述のようにグラブバケットの各構成部品の自重により決定されるため調整できず、また、シェルの有効容積が被荷役物のシェル内付着等により減少したりした場合は、所望の荷役効率が得られないという問題点があった。
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、グラブバケットに流体圧駆動装置を搭載し、この流体圧駆動装置駆動用の流体圧発生源またはバッテリを回生可能とすることで、荷役効率を上げることを可能としたグラブバケットを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明に係るグラブバケットは、開閉可能な一対のシェルを有するグラブと、前記一対のシェルを開閉自在に支持した下部フレームと、該下部フレームの上方に配置されて前記グラブに吊りアームを介して連結した上部フレームと、前記上部フレームと前記下部フレームとの間に配置された中間可動フレームと、該中間可動フレーム及び前記上部フレームにそれぞれ配置された滑車と、各滑車に巻き掛けられたワイヤロープと、前記下部フレーム、前記上部フレーム、前記シェルあるいは前記中間可動フレームに搭載された流体圧駆動装置と、前記流体圧駆動装置に流体圧を供給する流体圧発生源と、前記流体圧駆動装置に電力を供給するバッテリと、を備えたグラブバケットであって、前記複数の滑車のうちの少なくとも1つには、その滑車の回転力を利用して駆動されるエネルギー回生装置が設けられ、前記エネルギー回生装置は、前記滑車の回転力を利用して駆動されて流体圧を生成する前記流体圧発生源、または、前記滑車の回転力を利用して駆動されて発電された電力で充電される前記バッテリを、回生駆動させることを特徴とする。
かかる構成によれば、グラブバケットは、滑車に流体圧発生源またはバッテリを回生するエネルギー回生装置が設けられていることによって、滑車が回転するのに伴って、エネルギー回生装置が駆動されて、流体圧発生源またはバッテリを回生させる。このため、流体圧発生源またはバッテリは、前記中間可動フレームの動作に伴ってワイヤロープが移動することにより、このワイヤロープが巻き掛けられた滑車が回転するので、浚渫作業を行うと自動的に回生される。その結果、グラブバケットは、流体圧を利用した流体圧駆動装置の搭載が可能となり荷役効率の向上が可能となり、または、バッテリや、シェルの有効容積等を回生させる際に中断される荷役作業の中断回数及び中断時間と、を大幅に削減して、長期に亘って使用可能にすることができる。
また、前記エネルギー回生装置は、前記バッテリを充電する発電機からなり、前記発電機は、前記中間可動フレームの自重により、前記ワイヤロープを介して前記滑車が回転されることによって駆動されて発電することが好ましい。
かかる構成によれば、エネルギー回生装置は、中間可動フレームの自重でワイヤロープを引っ張って滑車が回転されることにより、発電機が駆動されて発電し、その発電された電力でバッテリを充電して回生することができる。これにより、エネルギー回生装置は、バッテリを充電する充電時間及び充電作業時間を解消することができると共に、浚渫作業中にバッテリが突然バッテリ切れとなるのを防止することができる。
また、前記エネルギー回生装置は、前記流体圧発生源を駆動させる回転手段からなり、前記回転手段は、前記中間可動フレームの自重により、前記ワイヤロープを介して前記滑車が回転されることによって駆動される回転軸を備え、前記流体圧発生源は、前記回転軸によって回転駆動されて流体圧を生成することが好ましい。
かかる構成によれば、回生装置は、前記中間可動フレームの自重でワイヤロープを引っ張って滑車が回転されることにより、滑車の回転軸が流体圧発生源を回転駆動させて、流体圧発生源を回生させることができる。
また、前記流体圧駆動装置は、前記一対のシェルを開放して前記グラブ内の収容空間に収容した前記被荷役物を落下させる付着物除去装置からなり、前記付着物除去装置は、前記一対のシェルを開放して前記グラブ内の収容空間に収容した被荷役物を落下させた際に、前記グラブの内壁に沿って配置されて前記被荷役物を払い落すための風船体と、前記流体圧発生源で生成した流体圧を前記風船体に供給して前記風船体を前記収容空間側に膨縮させる流体圧供給管と、前記流体圧発生源から前記流体圧供給管を介して前記風船体に供給する流体圧を制御する制御弁と、前記制御弁を制御する制御装置と、を備えていることが好ましい。
かかる構成によれば、流体圧駆動装置は、シェルが開放されてグラブ内の被荷役物を落下させた際に、グラブの内壁に沿って配置された風船体に、流体圧発生源で生成した流体圧が供給されて、風船体を膨縮させることにより、グラブ内に付着した被荷役物に振動を与えてスムーズに落下させることができる。
また、前記流体圧駆動装置は、前記シェルを開閉駆動させるためのシェル開閉駆動装置からなり、前記シェル開閉駆動装置は、前記一対のシェルを開閉させるシリンダと、前記流体圧発生源で生成されて前記シリンダを駆動させる流体圧を制御する制御弁と、前記制御弁を制御する制御装置と、を備えていることが好ましい。
かかる構成によれば、流体圧駆動装置は、シェルを開閉駆動させるためのシェル開閉駆動装置からなることにより、シェルを開閉させるシェル開閉駆動装置をエネルギー回生装置によって回生させることができるので、シェルの開閉速度の調整が可能となると共に、シェルの掴み力が調整可能となることで、所定時間以内の被荷役物の掴み量が被荷役物の物性によって増減するという不都合を解消することができる。
本発明に係るグラブバケットは、グラブバケットに搭載した流体圧発生源またはバッテリを回生装置によって回生することができる。
本発明の実施形態に係るグラブバケットの一例を示す一部断面を有する概略正面図である。 図1に示すグラブバケットのシェルを開放させて下降させたときの状態を示す一部断面を有する概略正面図である。 本発明の実施形態に係るグラブバケットの概略右側面図である。 (a)はシェルで被荷役物を掬ったときの状態を示す要部縦拡大断面図、(b)はシェルを開放したときの状態を示す要部拡大縦断面図である。 本発明の実施形態に係るグラブバケットを示す図であり、シェルを開放したときの状態を示す要部拡大縦断面図である。 本発明の実施形態に係るグラブバケットを示す図であり、付着物除去装置を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係るグラブバケットの吊りロープ及び滑車の一例を示す概略斜視図である。 本発明の実施形態に係るグラブバケットの滑車に取り付けたエネルギー回生装置の一例を示す図であり、滑車の中央部縦断面図である。 図8のX−X断面図である。 本発明の実施形態に係るグラブバケットを開閉させる油圧機構を示す油圧回路図である。 本発明の実施形態に係るグラブバケットの開閉状態を示す図であり、(a)はシェル2が開放しているときの状態を示す正面図、(b)はシェルが閉鎖しているときの状態を示す正面図、(c)はシェルが閉鎖しているときの状態を示す側面図である。 本発明の実施形態に係るグラブバケットの変形例を示す図であり、シェルの内壁面に設けた付着物除去装置を示すブロック図である。
以下、図1〜図11を参照しながら本発明の実施形態に係るグラブバケットを説明する。なお、本発明のグラブバケットAは、正面視して略左右対称に形成されているため、そのどちらか一方側を説明して他方側の説明を適宜省略する。グラブバケットAを説明する前に、図1、図2及び図4(a)を参照し、そのグラブバケットAによって搬送される被荷役物Wと、クレーンCについて説明する。
≪被荷役物の構成≫
図2及び図4(a)に示すように、被荷役物Wは、グラブバケットAのグラブ1によって掬い揚げて搬送される搬送物であって、材質及び形状は特に限定されない。被荷役物Wは、例えば、湾、河川、運河等の底面にある土砂、その他の地上にある土砂、木材チップ、粉粒状鉱石等のバラ物からなる。グラブバケットAで搬送する被荷役物Wは、特に、付着性の高い粉粒状鉱石類、粘土質土類等の付着性を有するものに適している。
≪クレーンの構成≫
図1に示すように、クレーンCは、グラブ1を開放させて被荷役物Wを掬ったグラブバケットAを油圧等の動力手段(図示省略)を用いて吊り上げ、これを水平方向に移動させて運搬する装置であり、その形式等は特に限定されない。つまり、クレーンCは、例えば、浚渫船、クレーン車等に搭載される移動式クレーン、あるいは、固定式クレーンからなり、以下、浚渫船に搭載される場合を例に挙げて説明する。
クレーンCは、浚渫船の上甲板上に旋回可能に設置され、グラブバケットAを吊り揚げる吊りロープ(図示省略)の先端に、グラブバケットAの吊り具81に連結されるフックC1が取り付けられている。
≪グラブバケットの構成≫
図1に示すように、グラブバケットAは、被荷役物Wを掬うグラブ1を構成する開閉可能な一対のシェル2を備えた搬送装置であり、例えば、クレーンCのフックC1に吊り具81を掛止させて、浚渫作業、荷役作業を行うリモコン単索式グラブバケットからなる。
グラブバケットAは、開閉可能な一対のシェル2を有するグラブ1と、一対のシェル2をそれぞれ回動自在に軸支した下部フレーム3と、左右のシェル2の上部にそれぞれ下端部が連結されて上方に延設された吊りアーム4と、左右の吊りアーム4の上端部に連結された上部フレーム5と、シェル2を開閉駆動させるための油圧シリンダ装置6と、下部フレーム3及び油圧シリンダ61を介在して連結された中間可動フレーム7と、中間可動フレーム7及び上部フレーム5にそれぞれ配置された開閉用滑車71,72及び滑車50と、開閉用滑車71,72及び滑車50に巻き掛けられたワイヤロープ8と、下部フレーム3、上部フレーム5、シェル2あるいは中間可動フレーム7に搭載された流体圧駆動装置10と、流体圧駆動装置10に流体圧を供給する流体圧発生源13と、制御装置9に電力を供給するバッテリBTと、流体圧発生源13及びバッテリBTを駆動及び回生させるエネルギー回生装置Bと、を備えている。
≪グラブの構成≫
図2に示すように、グラブ1は、被荷役物Wを一対のシェル2で掴むようにして掬い揚げるための部材であり、左右一対のシェル2が、下部フレーム3に設けられた軸部2cを軸支して開閉自在に配置されている。グラブ1は、開放したシェル2を、図1に示すシェル2の開口部2dの開口端を互いに当接させた閉塞状態のときに、被荷役物Wをグラブ1の収容空間1a内に収容し、クレーンCで吊り揚げて運搬船上等に搬送するための部材である。
≪シェルの構成≫
図1に示すように、シェル2は、グラブ1の半体を形成する左右一対の略容器形状の部材であり、開口部2dを有する略容器形状に形成されている。シェル2は、縦断面視して略多角形(例えば、六角形)に形成され、内壁面2aに複数(例えば、4つ)の角部2eが形成されている。シェル2の内壁面2aには、各角部2e及び開口部2dの内周縁部に突出形成された枠形状の保持部材22と、保持部材22によって内壁面2aに沿って隙間2bを介し張設されたライナ21と、ライナ21とシェル2との間に介在された風船体15とが設けられている。シェル2の上部外面には、下部フレーム3に連結される軸部2cと、吊りアーム4の回動軸4aに連結される軸部(図示省略)と、が設けられている。
内壁面2aは、隙間2bを介して内壁面2aの略全面に亘って複数のライナ21が張設されている。内壁面2aの形状は、ライナ21を張設できる形状であれば、特にその形状は限定されない。
隙間2bは、内壁面2aとライナ21との間に形成された風船体設置空間であり、ライナ21を撓み変形し易くするための機能も果たす。内壁面2aからライナ21までの隙間2bの距離は、例えば、風船体15を膨縮させた際に、ライナ21が収容空間1a側及び内壁面2a側に撓んで振動し、ライナ21に付着した被荷役物Wを落下させることができる隙間とする。
軸部2cは、シェル2を下部フレーム3に対して回動自在に軸支する部位であり、シェル2の上端部に設けられている。
開口部2dは、略容器形状に形成されたシェル2の開口縁部であり、爪状保持部材22bと、補強部材24とが設けられている。
角部2eは、シェル2の壁部が折曲形成された部分であり、この角部2eの内壁面2aには、各ライナ21を保持する枠状保持部材22aがそれぞれ突出形成されている。
≪流体圧駆動装置の構成≫
図1に示すように、流体圧駆動装置10は、圧縮空気または油圧からなる流体圧によって駆動される装置であり、グラブバケットAにおいて、一対のシェル2を開放した際に、グラブ1内のライナ21に付着した被荷役物Wを落下させる付着物除去装置20と、シェル2を開閉駆動させるための油圧シリンダ装置6と、シェル2の開閉速度及びシェル2の掴み力を調整するためのシェル開閉駆動装置100と、からなる。
≪付着物除去装置の構成≫
図5に示すように、付着物除去装置20は、ライナ21とシェル2の内壁面2aとの間の隙間2bに、流体圧発生装置11からの圧縮空気を供給及び遮断することによって膨張及び収縮する風船体15を設け、その風船体15によってライナ21を振動させたり、撓ませたりして、ライナ21に付着した被荷役物Wを払い落す装置である。
この付着物除去装置20は、グラブ1の内壁に沿って配置されたライナ21と、一対のシェル2を開放してグラブ1内の収容空間1aに収容した被荷役物Wを落下させた際に、ライナ21を膨縮あるいは振動させることにより被荷役物Wを払い落す風船体15と、図6に示す流体圧を生成する流体圧発生装置11と、流体圧発生源13で生成した流体圧を風船体15に供給して風船体15を収容空間1a(図4参照)側に膨縮させる流体圧供給管12と、流体圧発生源13から流体圧供給管12を介して風船体15に供給する作動流体を制御する方向制御弁14(制御弁)と、方向制御弁14を制御する制御装置9と、方向制御弁14及び制御装置9に電力を供給する発電機B10と、を備え、下部フレーム3(図1参照)に設置されている。なお、付着物除去装置20で使用する圧力媒体(作動流体)として、以下、圧縮空気を使用した場合を例に挙げて説明する。
図1に示すように、ライナ21は、一対のシェル2で被荷役物Wを掬った際に、被荷役物Wに押圧されて撓んだり、一対のシェル2を開放した際に、被荷役物Wが落下することにより、被荷役物Wの荷重で押圧されていたライナ21がその荷重から解放されて振動したり、ライナ21の外側に配置された風船体15の膨縮で振動したりするライナプレートである。ライナ21は、ライナ21に付着していた被荷役物Wの自重によって引っ張られることで撓む可撓性材料から形成されている。
図3に示すように、ライナ21は、例えば、シート状の弾発性を有する耐摩耗性のゴム板材からなり、横長の矩形に形成されている。被荷役物Wが当接するライナ21の表面は、摩擦抵抗が小さく形成されて、被荷役物Wが付着し難く形成されていることが好ましい。図1に示すように、ライナ21は、矩形の枠状の保持部材22によって、内壁面2aとの間に隙間2b及び風船体15を介して張設されている。
保持部材22は、各ライナ21の外周部を保持する枠状部材であり、例えば、シェル2の内壁面2aの角部2eからシェル2内側に向けて突設されている。保持部材22は、例えば、角部2eに配置された枠状保持部材22aと、開口部2dの内縁に配置された爪状保持部材22bと、から形成されている。
図5に示すように、風船体15は、各ライナ21の背面側に配置されてそれぞれのライナ21を押圧する押圧部材であり、風船形状の厚板状ゴム部材からなる。風船体15は、この風船体15に供給された圧縮空気の供給及び排出が行われる出入口15aを有している。出入口15aは、各ライナ21に対向配置された内壁面2aにそれぞれ穿設された貫通孔2fに内嵌されている。
各貫通孔2fには、流体圧供給管12の供給口12aが連結されている。
図6に示すように、流体圧発生装置11は、圧縮空気を生成して風船体15内に供給したり、その供給を停止(または排出)したりする装置である。流体圧発生装置11は、流体圧の発生源である流体圧発生源13と流体圧発生源13を駆動させる滑車50と、滑車50の回転で発電する発電機B10に接続された制御装置9と、制御装置9に接続されたバッテリBTと、流体圧発生源13から第1チェック弁V1を介して配管で接続されたアキュムレータ16と、一方がアキュムレータ16に配管によって接続され、他方が大気中に開放されたリリーフ弁17と、アキュムレータ16から仕切弁V3及び第2チェック弁V2を介して配管で接続された方向制御弁14と、一方が方向制御弁14に接続され、他方に流体圧供給管12が接続された調整弁18と、一方が大気中に開放され、他端側が風船体15に連通された流体圧供給管12と、を備えている。
流体圧発生源13は、例えば、レシプロ式の圧縮機からなり、回転軸13a、クラッチ13b及び回転軸50dを介して固定滑車51(滑車50)に接続されて、シェル2の開閉に伴ってワイヤロープ8が移動することによって回転する固定滑車51の回転を利用して駆動される。
制御装置9は、後記する油圧シリンダ制御部9Aと、エネルギー回生制御部9Bと、流体圧発生装置11を制御する流体制御部9Cとを備え、グラブバケットA全体を制御する装置である。
流体制御部9Cは、受信器91(図1参照)で受信した駆動信号に基づいて、グラブ1の開閉制御を行う油圧シリンダ制御部9Aからのグラブ開閉信号に合わせて、方向制御弁14に電力を供給して起動させ、風船体15に送る作動流体を制御して風船体15を膨張・収縮させる制御部である。
アキュムレータ16は、流体圧発生源13によって加圧された圧縮空気を蓄える空気溜めであり、蓄えた大量の圧縮空気を瞬間的に方向制御弁14を介して風船体15に供給したり、配管の脈動や衝撃圧力を吸収したりする役目を果たす。
リリーフ弁17は、アキュムレータ16の圧縮空気を大気中に放出したり、圧縮空気の圧力を調整するための安全弁である。
第1チェック弁V1は、圧縮空気がアキュムレータ16側から流体圧発生源13側へ逆流するのを防止する一方向バルブである。
仕切弁V3は、アキュムレータ16と方向制御弁14との間の流路を遮断するための弁である。
第2チェック弁V2は、方向制御弁14側からアキュムレータ16側へ圧縮空気が逆流するのを防止する一方向バルブである。
方向制御弁14(制御弁)は、流体圧発生源13から供給された圧縮空気を流体圧供給管12を介して風船体15に供給する供給経路14aと、風船体15に供給された圧縮空気を大気中に排出する排出経路14bと、を切り換える切換用の電磁弁である。
調整弁18は、方向制御弁14から流体圧供給管12を介して風船体15に供給される圧縮空気の流量を調整するバルブである。
かかる構成によれば、グラブバケットAは、ライナ21の背面側に、ライナ21を押圧して撓ませたり、振動させたりする風船体15と、風船体15に圧縮空気を供給及び遮断する流体圧発生装置11と、を有する付着物除去装置20を備えていることによって、グラブ1の内壁のライナ21に被荷役物Wが付着しても、振り落とすことができる。
≪シェル開閉駆動装置の構成≫
図6に示すように、シェル開閉駆動装置100は、シェル2の端面上方に延伸された一対のレバー2gに回転自在に軸支されたシリンダ101と、一方がシリンダ101に配管121によって接続され、他方が大気中に開放されたリリーフ弁171と、前記アキュムレータ16から仕切弁V3及び第2チェック弁V2を介して配管141aで接続された方向制御弁141と、一方が方向制御弁141に接続され、他方が配管121を介してシリンダ101に接続された調整弁181と、前記流体圧発生装置11と、前記制御装置9と、を備えている。
シリンダ101は、油圧シリンダ制御部9Aからのグラブ開閉信号に合わせて、前記方向制御弁141に電力を供給して起動させ、流体圧供給管121に送る作動流体を制御することで、シリンダケース101a内のピストン101bが伸縮し、ピストンロッド101c及びレバー2gを介してシェル2の開閉動作を制御する。
方向制御弁141(制御弁)は、流体圧発生源13から供給された圧縮空気を供給用の配管121を介してシリンダ101内に供給する供給用の配管141aと、シリンダ101に供給された圧縮空気を大気中に排出する排出用の配管141bと、を切り換える切換用の電磁弁である。
かかる構成によれば、図11(a)〜(c)に示すように、グラブバケットAは、シェル2上方に延伸されたレバー2gに取り付けられたシリンダ101内のピストン101bの伸縮によって、シェル2の開閉力を付勢することができ、被荷役物Wを掴むシェル2の掴み力の調整及び開閉速度の調整を行うことができる。
≪下部フレームの構成≫
図1に示すように、下部フレーム3は、一対のシェル2及び中間可動フレーム7を保持する部材であり、一対のシェル2の上部に設けられている。下部フレーム3には、シェル2の軸部2cを回動自在に軸支する軸3aが設けられている。下部フレーム3には、油圧シリンダ61と、オイルタンクTと、バッテリBTと、油圧シリンダ制御部9A(制御装置9)と、受信器91と、が設置されている。
≪吊りアームの構成≫
吊りアーム4は、左右のシェル2を閉閉自在に吊るためのリンク状部材である。吊りアーム4は、下端部に、左右のシェル2の左右上部にそれぞれ回動自在に連結された回動軸4aを有し、上端部に、上部フレーム5の左右下端部に回動自在に連結された上部連結軸4bを有している。
≪上部フレームの構成≫
図3に示すように、上部フレーム5は、下部フレーム3の上側に中間可動フレーム7を介在して対向配置された略角筒状部材からなり、ワイヤロープ8が挿通されている。上部フレーム5は、上端部の左右にワイヤロープ8が巻き掛けられてエネルギー回生装置Bを備えた固定滑車51,52が回転自在に配置され、下端部に左右の吊りアーム4が回動自在に連結されている。
≪滑車の構成≫
図7に示すように、グラブバケットAには、2つの固定滑車51,52と、上下動する2つの開閉用滑車71,72の合計4つの滑車50が設けられている。複数の滑車50のうちの少なくとも1つには、流体圧発生源13またはバッテリBTを(図1参照)回生するエネルギー回生装置Bが設けられている。以下、その一例として、固定滑車51(滑車50)にエネルギー回生装置B(発電機B10及び回転手段B20)を設けた場合を例に挙げて説明する。
固定滑車51,52(滑車50)は、上部フレーム5内に回転自在に配置された一対のプーリであり、逆U字状に垂れ下がったワイヤロープ8の上端部にそれぞれ巻き掛けられている。固定滑車51,52は、グラブ1(図2参照)の開閉によりワイヤロープ8の移動に伴って同一回転するプーリであり、上部フレーム5の前後部位の対向した位置に軸支されている。
図8及び図9に示すように、固定滑車51には、ワイヤロープ8が巻き掛けられた滑車本体50aと、滑車本体50aの中心部に設置された固定軸50bと、固定軸50bの両側を軸支する筐体50cと、滑車本体50aと一体に回転する回転軸50dと、固定軸50bの外周部位と滑車本体50aの内周部位との間に設けられたエネルギー回生装置Bと、が設けられている。固定滑車52は、例えば、一般的な滑車であり、エネルギー回生装置Bを備えていない。
固定軸50bは、滑車本体50aと、この滑車本体50aと共に回転する磁石B12及びボビンB13と、を回転自在に支持する円柱形状の固定軸からなり、左右両端部が左右一対の筐体50cに軸支されている。
筐体50cは、ワイヤロープ8が巻き掛けられた滑車本体50aの前後左右及び上側を回動自在に覆うカバー部材であり、上部フレーム5に固定されて、下側が開口した金属製箱型部材からなる。筐体50cの前後側面には、固定軸50bを軸支するための軸孔が形成されている。
図9に示すように、回転軸50dは、固定滑車51の回転をクラッチ13b及び回転軸13aを介在して流体圧発生源13に伝達して駆動させる回転伝達軸である。回転軸50dは、一端部側が、滑車本体50a内に固定されると共に筐体50cに回転自在に軸支され、他端側に、クラッチ13bの駆動クラッチ板13dが固定されている。
≪エネルギー回生装置の構成≫
図1に示すように、エネルギー回生装置Bは、固定滑車51(滑車50)が回転したときの回転力を利用してグラブバケットAに搭載されたバッテリBTと、流体圧発生源13とを回生、駆動させる装置である。
エネルギー回生装置Bは、例えば、シェル2及び下部フレーム3の自重(位置エネルギー)を利用してグラブ1を開口させて、下部フレーム3に油圧シリンダ61を介して連結された中間可動フレーム7が下降したときに、中間可動フレーム7に相対的に移動するワイヤロープ8によって回転する固定滑車51の回転エネルギーを利用して発電機B10及び流体圧発生源13の回転軸13aを駆動させて、バッテリBTを充電すると共に、固定滑車51と一体に回転する回転手段B20(回転軸50d,13a及びクラッチ13b)を介在して回転させて流体圧発生源13を回生、駆動させる装置である。
図8及び図9に示すように、エネルギー回生装置Bは、中間可動フレーム7の自重により滑車50が回転されることによって駆動される回転軸50d,13aと、回転軸50d,13aによって回転駆動される流体圧発生源13(圧縮機)と、固定滑車51に設けられてバッテリBTを充電する発電機B10と、発電機B10(コイルB11)からエネルギー回生制御部9Bを介してバッテリBTに接続する電線Dと、バッテリBTの充電を制御するエネルギー回生制御部9B(制御装置9)と、を備えている(図6参照)。
<制御装置の構成>
図6に示すように、制御装置9は、シェル2を開閉させる油圧シリンダ61を制御する油圧シリンダ制御部9Aと、エネルギー回生装置Bを制御するエネルギー回生制御部9Bと、付着物除去装置20及びシェル開閉装置100を制御する流体制御部9Cと、を備えている。
図10に示すように、油圧シリンダ制御部9Aは、受信器91で受信した駆動信号に基づいて、電磁弁66に電力を供給して制御することによりグラブ1の開閉制御を行う制御装置である。
エネルギー回生制御部9Bは、発電機B10のコイルB11の周囲にある磁石B12(図9参照)の回転によってコイルB11に誘導起電力を発生させて、その誘導起電力をバッテリBTに供給して充電させるための蓄電制御装置である。
流体制御部9Cは、図6に示すように、受信器91で受信したグラブ開放信号に基づいて油圧シリンダ制御部9Aによるグラブ1の開放に合わせて、方向制御弁14に電力を供給して起動させて風船体15を膨張・収縮させるのを制御する制御部である。
<発電機の構成>
図8及び図9に示すように、発電機B10は、ワイヤロープ8の移動によって回転する固定滑車51の固定軸50bに設けられた磁石式発電機(「ダイナモ」ともいう)からなり、発電した電力をバッテリBTに充電用として供給する。発電機B10は、例えば、固定軸50bの外周部のボビンB13に巻回されたコイルB11と、このコイルB11の外周部に隙間を介して対向配置され固定滑車51内に固定された磁石B12と、を主に備えたアウターロータ型発電機からなる。
コイルB11は、固定軸50bの外周部に固定されたボビンB13に巻回され、電線Dにより制御装置9を介してバッテリBTに接続されている。
磁石B12は、例えば、コイルB11の外周部に、N極とS極とを交互に円環状に配置したマグネットロータからなり、固定滑車51と同一回転するようにその固定滑車51の中央部側内面に内設させている。
かかる構成によれば、発電機B10は、中間可動フレーム7の自重により固定滑車51(滑車50)が回転されることによって駆動されて発電すると共に、発電した電力をバッテリBTに供給することで、バッテリBTを充電することができる。
なお、発電機B10は、固定滑車51の回転を利用して発電するものであれば、その構造は特に限定されず、例えば、前記したのとは逆に、コイルが磁石を囲むように配置するインナーロータ型であっても構わない。
≪油圧シリンダ装置の構成≫
図1に示すように、油圧シリンダ装置6は、左右一対のシェル2を中央側の軸部2cを中心として回動させて開閉駆動させる装置であり、下部フレーム3から上部フレーム5の上方に亘って配置されている。
図10に示すように、油圧シリンダ装置6は、グラブ1(図1参照)を開閉させるための油圧シリンダ61(シリンダ)と、油圧シリンダ61の伸縮によって生じる油圧シリンダ61内の油の増減量を調整するためのオイルタンクTと、オイルタンクTの上部に配置されたエアブリーザ62と、油圧シリンダ61の駆動を制御する油圧回路63と、不図示の運転席の操作盤に配置された信号送信器(図示省略)からの指令信号を受信する受信器91と、この受信器91で受信した指令信号によって駆動する油圧シリンダ制御部9A(制御装置9)と、この油圧シリンダ制御部9Aに接続されたバッテリBTと、前記発電機B10と、を備えている。
油圧シリンダ61は、シリンダ部61aと、シリンダ部61a内に往復運動可能に収納されたピストン61bと、ピストン61bに連結され、シリンダ部61aの上端から出入り自在に突出したピストンロッド61cと、を備えて構成されている。
図2に示すように、シリンダ部61aの下端部は、下部フレーム3に固定されている。ピストンロッド61cの上端部は、中間可動フレーム7に連結されている。このため、下部フレーム3と中間可動フレーム7とは、油圧シリンダ61を介在して連結されている。
図10に示すように、エアブリーザ62は、オイルタンクT内の油面の上下動に伴ってオイルタンクTに侵入する空気をろ過して、オイルにゴミ等が入らないようにするものであり、給油口としての機能も果たす。
オイルタンクTは、オイルを貯留して閉塞されたタンクからなり、配管61fによってシリンダ部61aの下部側に接続されている。
油圧回路63は、シリンダ部61aの上側シリンダ室(ロッド側)に接続された配管61dと、シリンダ部61aの下側シリンダ室(ヘッド側)に接続された配管61eと、配管61d,61eに直列に接続されたパイロットチェック弁64と、パイロットチェック弁64に対して直列に接続された絞り弁65と、電磁弁66と、を備えている。
パイロットチェック弁64は、油圧シリンダ61のピストン61bの上側シリンダ室(ロッド側)から下側シリンダ室(ヘッド側)に向かって流れるオイルの流入を規制する一方向バルブである。
絞り弁65は、グラブ1の開放時に、シリンダ部61aの上側シリンダ室(ロッド側)から下側シリンダ室(ヘッド側)へ流れるオイルの流量を調節することによって、グラブ1の開放速度を調節可能にしている。
また、パイロットチェック弁64は、電磁弁66により開閉され、パイロットチェック弁64の閉弁時に、シリンダ部61a内の上側シリンダ室(ロッド側)内のオイルを堰き止めて油圧シリンダ61が下降するのを抑止し、パイロットチェック弁64の開弁時に、油圧シリンダ61内の下側シリンダ室(ヘッド側)へのオイルの流入が配管61eを介して可能となり、油圧シリンダ61がフリーの状態となる。
≪油圧シリンダ制御部の構成≫
図10に示すように、油圧シリンダ制御部9Aは、電磁弁66の開閉駆動を制御することによって、油圧シリンダ61の動作を制御する制御手段である。油圧シリンダ制御部9Aは、電磁弁66、受信器91及びバッテリBTにそれぞれ電気的に接続されている。
受信器91は、運転室内の無線信号発信器(図示省略)から発信された指令信号を受信する無線信号受信装置であり、その指令信号(無線信号)を受信することで、油圧シリンダ制御部9Aから油圧シリンダ61を駆動させる駆動信号を油圧回路63の電磁弁66に送り、油圧シリンダ61を駆動させてシェル2を開放させる。受信器91は、無線信号発信器(図示省略)からの電波を受信するアンテナ91aを備えている。
バッテリBTは、充電可能な蓄電池からなり、シェル2を回動させてグラブ1を開閉させた際に、コイルB11がワイヤロープ8の移動で固定滑車51と共に磁石B12が回転することによって、誘導起電力が発生して電流が流れ、この電流で充電されるように構成されている。
図1に示すように、電線Dは、上端側がコイルB11(図9参照)に接続され、下端側がそのコイルB11から下方に向けて配線されて、下部フレーム3に内設されたバッテリBTに接続されている。
≪中間可動フレームの構成≫
図2に示すように、中間可動フレーム7は、下部フレーム3に対して油圧シリンダ61を介在して連結されて、ピストンロッド61cを一体に上下動する可動部材である。図7に示すように、中間可動フレーム7は、中空部7aを有する角筒形状に形成され、左右側面下方側部位にそれぞれシーブケース73が設置されている。左右のシーブケース73内には、開閉用滑車71,72が回転自在に配置されている。
また、中間可動フレーム7は、上部フレーム5と下部フレーム3との間に配置されて、上部フレーム5に対し、ワイヤロープ8の移動によって相対的に昇降可能に配置されている。図3に示すように、中間可動フレーム7は、両側部に、ワイヤロープ8の両側の端部8a,8bを固定し、ワイヤロープ8を上部フレーム5の固定滑車51,52を介して開閉用滑車71,72にそれぞれ巻き掛けられている。
≪ワイヤロープの構成≫
ワイヤロープ8は、中間可動フレーム7及び上部フレーム5に配置された固定滑車51,52及び開閉用滑車71,72に巻き掛けられて、上方に延長された吊下げ兼グラブ開閉用のワイヤである。開閉用滑車71,72に巻き掛けられて上方に延長されたワイヤロープ8は、図1に示すように、その上端に、クレーンCのフックC1に吊り下げるための吊り具81が配置されている。
なお、吊り具81とフックC1は、クレーンCの吊りワイヤ(図示省略)と、グラブ1とを連結することが可能なものであれば、その形状及び材質は特に限定されない。
≪作用≫
次に、図1〜図11を参照しながら本発明の実施形態にグラブバケットの作用を浚渫作業を行う場合を例に挙げて作業工程順に説明する。
不図示の運転席の作業者は、制御盤(図示省略)を操作してクレーンCを駆動させ、図1に示すグラブバケットAを汚染防止枠(図示省略)上に配置させる。その後、ウインチ等を駆動させて吊りロープを下降させる。図2に示すように、初期状態のとき、グラブ1は、
下部フレーム3が自重で下降し、シェル2が自重によって回動軸4aを中心として回動して開いた状態で、クレーンCのフックC1に掛止されている。
次に、作業員は、制御盤(図示省略)を操作して、図2に示すように、シェル2を開放状態のまま、グラブ1を被荷役物W上に着床させる。さらに、作業員は中間可動フレーム7が、その自重によって下降し下部フレーム3に接触するまでクレーンCのフックC1を下降させる。このとき、パイロットチェック弁64は、可逆どちらでも油が流れるフリーフローの状態となっており、中間可動フレーム7の自重によってピストン61bが押し下げられ、下部側シリンダ室(ヘッド側)の油が配管61eからパイロットチェック弁64、絞り弁65、配管61dを通って上側シリンダ(ロッド側)へ流れる。これにより、中間可動フレーム7は、下部フレーム3に接触して止まるまで下降する。
さらに、作業員は、制御盤(図示省略)を操作して無線信号発信器からシェル2を閉鎖させる指令信号を発信させる。その閉鎖指令信号は、図10に示すアンテナ91aを介して受信器91によって受信されて、油圧シリンダ制御部9A及び流体制御部9Cに送信される。その油圧シリンダ制御部9Aは、電磁弁66に信号を送ってパイロットチェック弁64を閉弁させる。この状態で、油圧シリンダ61はロック状態となり、シリンダ6a、このシリンダ6aの下端に固定された下部フレーム3、及び、中間可動フレーム7はロック状態となる。また、これと同時に、流体制御部9Cは、シェル開閉駆動装置100の方向制御弁141(制御弁)に信号を送って、方向制御弁141を切り換え、アキュムレータ16内の圧縮空気をシリンダ101のヘッド側へ供給する。作業員が、クレーンCを操作して、下部フレーム3、油圧シリンダ61及び中間可動フレーム7を上方に吊り上げると、下部フレーム3に連結したシェル2の軸部2cが上昇し、シェル2の自重に加えてシリンダ101の付勢力によってシェル2が軸部2cを中心として閉鎖方向に回転して、被荷役物Wを掬い揚げて図1及び図4(a)に示す閉塞状態になる。
そして、作業員は、制御盤(図示省略)を操作して、クレーンCでグラブ1を吊り上げて旋回させることにより、グラブバケットAを運搬船上に移動させる。このとき、被荷役物Wは、図4(b)の二点鎖線で示すように、自重により当接しているライナ21を内壁面2a側に押圧して撓んだ状態にある。
次に、作業員は、無線信号発信器からシェル2を開放させる指令信号を発信させる。その開放指令信号は、アンテナ91aを介して受信器91によって受信されて、油圧シリンダ制御部9A及び流体制御部9Cに送信される。その油圧シリンダ制御部9A及び流体制御部9Cは、電磁弁66及び方向制御弁141に信号を送ってパイロットチェック弁64を閉弁させ、また、方向制御弁141を切り換えてシリンダ101のヘッド側を大気開放させる。すると、油圧シリンダ61の下部側シリンダ室のオイルが、配管61eからパイロットチェック弁64とを通って配管61d、上部側シリンダ室側に流れる。
このため、油圧シリンダ61及びシリンダ101は、フリーな状態となり、図2に示すように、10数トンの重さがある被荷役物W、シェル2及び下部フレーム3の荷重によって、油圧シリンダ61のシリンダ部61aと下部フレーム3とが下降し、シェル2が吊りアーム4の下端の回動軸4aを中心として回動し、シェル2が開放される。
前記一連のグラブ荷役作業時のシェル2の開閉動作によって、中間可動フレーム7が上昇、下降し、ワイヤロープ8が移動する(図3及び図7参照)。
図8及び図9に示すように、例えば、ワイヤロープ8が下方向(矢印b方向)に送り出されると、固定滑車51,52、回転軸13a,50d及びクラッチ13bも同方向(矢印d方向)に回転する。これに伴って、磁石B12がコイルB11の周囲を固定滑車51と同回転すると共に、回転軸13aも同回転して流体圧発生源13を駆動させる。
その結果、コイルB11に誘導起電力が発生し、その誘導起電力が、図1に示すように、電線Dから制御装置9を介してバッテリBTに供給されてバッテリBTが充電される。これにより、位置エネルギーを効率よく使用してバッテリBTを充電することができるため、バッテリ切れを解消させることができると共に、バッテリBTを取り外すなどして充電する作業を解消することもできる。また、流体圧発生源13は、駆動することによって圧縮空気が生成される。
特に、固定滑車51は、数トンの重さがある中間可動フレーム7の自重によって回動したときに、ワイヤロープ8の固定端側が下方向(矢印a方向)に引き下げられて、右方向(矢印c方向)に回転するので、慣性力を有効活用してバッテリBTを充電させると共に、流体圧発生源13によって風船体15を膨張させ、または、シェル開閉力を付勢するシリンダ101を伸縮させる圧縮空気を生成して付着除去装置、及び、シェル駆動装置の駆動を可能にする。
この状態で、前記同様に、無線送信器(図示省略)から受信器91にグラブ開放信号を送ってグラブバケットAのシェル2を開放させ、グラブ1内の被荷役物Wを運搬船上に落下させる。図6に示すように、シェル2の開放時には、グラブ開放信号で作動した制御装置9が方向制御弁14を駆動させることにより、流体圧発生源13から第1チェック弁V1、アキュムレータ16、仕切弁V3、第2チェック弁V2、方向制御弁14を介して風船体15に圧縮空気が供給されて風船体15が膨張すると共に、その後、方向制御弁14が、圧縮空気の供給を遮断して、流れる方向を風船体15から排出経路14bに切り換える動作を繰り返して風船体15を膨縮させる。
図4(b)に示すように、被荷役物Wによって内壁面2a側に押圧されて撓んでいたライナ21は、被荷役物Wの荷重から解放される反力でグラブ1の収容空間1a側に反動と、風船体15の膨縮と、でライナ21を振動させて、ライナ21の収容空間1a側の表面に付着していた被荷役物Wを落下させる。このとき、ライナ21は、被荷役物Wの自重によって下方向(矢印f方向)に引張られて撓みながら振動する。
なお、左右のシェル2を回動させてグラブ1を開放させるときの開放角度は、その角度を大きくすることにより、ライナ21に付着した被荷役物Wを自重によって落下し易くすることができる。
このため、ライナ21の表面に付着していた被荷役物Wは、粘着性があったとしても、ライナ21の収容空間1a側方向及び外側方向に撓むように振動するので、その振動によって下方向(矢印f方向)に振り落とされる。その結果、グラブ1は、シェル2を開放すると、被荷役物Wがグラブ1の内面に付着して残留することを解消して、グラブ1内の全ての被荷役物Wを所望位置に落下させて排出させることができる。また、被荷役物Wは、グラブ1内において、ライナ21が振動することによって、ライナ21の表面に付着しないため、流動性が向上されて、グラブ1外へ排出され易くなる。
また、さらに、前記同様に、グラブバケットAのシェル2を閉じ、グラブ1内に被荷役物Wを掬い取る作業のときには、無線信号機(図示省略)から受信器91にグラブ閉信号を送り、グラブ閉信号で作動した制御装置9が方向制御弁141を駆動させることにより、流体圧発生源13から第1チェック弁V1、アキュムレータ16、仕切弁V3、第2チェック弁V2、方向制御弁141を介してシリンダ101のヘッド側に圧縮空気が供給されてシリンダ101が延伸方向に駆動され、シェル2の被荷役物掴み力を付勢する。シリンダ101に発生する延伸力は、リリーフ弁171で調整することが可能であり、シェル2の閉鎖力によって調整可能である。シェル2の開放時は、方向制御弁141は、前記のグラブ開放信号により切り換り、シリンダ101内の圧縮空気は、排出用の配管141bを通って大気開放され、シリンダ101をフリーの状態にする。
このため、被荷役物Wの流動性、粒度等の物性に拘わらず、シェル2の掴み力を調整することで、所定の掬い取り量を、所定の時間内に掬い取ることができる。
また、シェル開閉駆動装置100は、シリンダ101によってシェル2の閉鎖力を増大させることができるので、左右のシェル2をしっかりと完全に閉鎖することができるため、閉鎖したシェル2とシェル2との間から被荷役物Wが落下するのを防止して、被荷役物Wを搬送する搬送効率及び作業効率を向上させることができる。
このようなことから、グラブバケットAは、浚渫作業中に、グラブ1を開閉することにより、中間可動フレーム7の位置エネルギー(慣性力)を有効利用してバッテリBTの充電と、流体圧発生源13の圧縮空気の生成とを同時に行いながら作業が行われるため、作業中の突然のバッテリ切れや、また、バッテリBTの充電作業を解消し、さらに、流体圧駆動装置10である付着物除去装置20及びシェル開閉駆動装置100を付加することが可能となり、作業効率を向上させることができる。
≪変形例≫
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論であり、図12を参照して変形例を説明する。なお、すでに説明した構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
図12は、本発明の実施形態に係るグラブバケットの変形例を示す図であり、シェルの内壁面に設けた付着物除去装置を示すブロック図である。
前記実施形態では、図6に示すように、流体圧発生装置11及び付着物除去装置20の一例として、圧縮空気を使用した場合を例に挙げて説明したが、流体圧であれば、油圧であっても構わない。その場合、図12に示すように、流体圧発生装置11A、付着物除去装置20A及びシェル開閉駆動装置100Aは、例えば、レシプロ式圧縮機からなる流体圧発生源13(圧縮機)と、オイルタンクTと、流体圧発生源13で生成されて付着物除去装置20Aの風船体15及びシェル開閉駆動装置100Aのシリンダ101Aを駆動させる油圧を制御する方向制御弁141A(制御弁)と、シリンダ101Aの延伸力を調整するリリーフ弁171Aと、方向制御弁141Aを制御する流体制御部9Cと、を主に備えている。
この場合、方向制御弁141Aは、圧縮空気供給用の配管141aが、流体圧発生装置11Aの方向制御弁14の供給経路14aに接続され、圧縮空気排出用の配管141bが第3チェック弁V4及び第4チェックV5を介して、流体圧発生装置11Aの方向制御弁14の排出経路14bに接続されている。また、リリーフ弁171Aは、一方がシリンダ101Aに接続され、他方が流体圧発生装置11Aの方向制御弁14の排出経路14bに接続されている。
流体圧発生装置11A、付着物除去装置20A及びシェル開閉駆動装置100Aは、このように構成することによって、流体圧発生源13で油圧を生成して、その油圧で風船体15を膨縮させ、また、シリンダ101Aを駆動することができる。また、グラブバケットAのシェル2は、シェル開閉駆動装置100Aのシリンダ101A内のピストン101bの伸縮によって、ピストン101bがピストンロッド101c及びレバー2gを介して左右のシェル2を開閉方向に駆動させるため、シェル2の掴み力及び開閉速度を調整したり、増強させたりすることができる。その結果、シェル開閉駆動装置100Aは、所定時間以内の被荷役物Wの掴み量が被荷役物Wの物性によって増減するという不都合を解消することができる。
また、ライナ21は、風船体15によって振動するものであれば、材質、形状、厚さ及び保持構造は特に限定されない。例えば、ライナ21は、ゴム製の平板材または波状部材に金属制の補強用芯材を水平方向等に沿って適宜な間隔で内設させたものであっても構わない。このようにすれば、ライナ21の強度を向上させることができる。
また、ライナ21は、保持部材をねじやボルト等の締結部材でシェル2の内壁面2aに対して適宜な隙間2bを介して配置してもよい。
また、ライナ21及び風船体15を配置する部位は、シェル2の内壁面2a全体でも、あるいは、被荷役物Wが付着し易い部位のみに設けもよい。
また、図9に示すように、滑車50の回転力を利用して駆動されて流体圧を生成する流体圧発生源13は、クラッチ13bの駆動クラッチ板13dと従動クラッチ板13cの連結を適宜制御することによって、中間可動フレーム7が上昇したときに駆動、中間可動フレーム7が下降したときに駆動、または、中間可動フレーム7が上昇及び下降したときに駆動するようにしてもよい。
これと同様に、発電機B10は、滑車本体50aと磁石B12との間などに適宜クラッチを介在させて、中間可動フレーム7が上昇したときに駆動、中間可動フレーム7が下降したときに駆動、または、中間可動フレーム7が上昇及び下降したときに充電するようにしてもよい。
1 グラブ
1a 収容空間
2 シェル
2a 内壁面
3 下部フレーム
4 吊りアーム
5 上部フレーム
6 油圧シリンダ装置
7 中間可動フレーム
8 ワイヤロープ
9 制御装置
9A 油圧シリンダ制御部
9B エネルギー回生制御部
9C 流体制御部
10 流体圧駆動装置
12 流体圧供給管
13 流体圧発生源(圧縮機)
13a,50d 回転軸
14 方向制御弁14(制御弁)
15 風船体
20,20A 付着物除去装置(流体圧駆動装置)
50 滑車
61 油圧シリンダ(シリンダ)
100 シェル開閉駆動装置(流体圧駆動装置)
101,101A シリンダ
141 方向制御弁(制御弁)
A グラブバケット
B エネルギー回生装置
B10 発電機
B20 回転手段
BT バッテリ
W 被荷役物

Claims (5)

  1. 開閉可能な一対のシェルを有するグラブと、
    前記一対のシェルを開閉自在に支持した下部フレームと、
    該下部フレームの上方に配置されて前記グラブに吊りアームを介して連結した上部フレームと、
    前記上部フレームと前記下部フレームとの間に配置された中間可動フレームと、
    該中間可動フレーム及び前記上部フレームにそれぞれ配置された滑車と、
    各滑車に巻き掛けられたワイヤロープと、
    前記下部フレーム、前記上部フレーム、前記シェルあるいは前記中間可動フレームに搭載された流体圧駆動装置と、
    前記流体圧駆動装置に流体圧を供給する流体圧発生源と、
    前記流体圧駆動装置に電力を供給するバッテリと、を備えたグラブバケットであって、
    前記複数の滑車のうちの少なくとも1つには、その滑車の回転力を利用して駆動されるエネルギー回生装置が設けられ、
    前記エネルギー回生装置は、前記滑車の回転力を利用して駆動されて流体圧を生成する前記流体圧発生源、または、前記滑車の回転力を利用して駆動されて発電された電力で充電される前記バッテリを、回生駆動させることを特徴とするグラブバケット。
  2. 前記エネルギー回生装置は、前記バッテリを充電する発電機からなり、
    前記発電機は、前記中間可動フレームの荷重により、前記ワイヤロープを介して前記滑車が回転されることによって駆動されて発電することを特徴とする請求項1に記載のグラブバケット。
  3. 前記エネルギー回生装置は、前記流体圧発生源を駆動させる回転手段からなり、
    前記回転手段は、前記中間可動フレームの荷重により、前記ワイヤロープを介して前記滑車が回転されることによって駆動される回転軸を備え、
    前記流体圧発生源は、前記回転軸によって回転駆動されて流体圧を生成することを特徴とする請求項1に記載のグラブバケット。
  4. 前記流体圧駆動装置は、前記一対のシェルを開放して前記グラブ内の収容空間に収容した前記被荷役物を落下させる付着物除去装置からなり、
    前記付着物除去装置は、前記一対のシェルを開放して前記グラブ内の収容空間に収容した被荷役物を落下させた際に、前記グラブの内壁に沿って配置されて前記被荷役物を払い落すための風船体と、
    前記流体圧発生源で生成した流体圧を前記風船体に供給して前記風船体を前記収容空間側に膨縮させる流体圧供給管と、
    前記流体圧発生源から前記流体圧供給管を介して前記風船体に供給する流体圧を制御する制御弁と、
    前記制御弁を制御する制御装置と、を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のグラブバケット。
  5. 前記流体圧駆動装置は、前記シェルを開閉駆動させるためのシェル開閉駆動装置からなり、
    前記シェル開閉駆動装置は、前記一対のシェルを開閉させるシリンダと、
    前記流体圧発生源で生成されて前記シリンダを駆動させる流体圧を制御する制御弁と、
    前記制御弁を制御する制御装置と、を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のグラブバケット。
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