JP2014167342A - 防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な加工で弾性体の耐久性を高めた防振装置。
【解決手段】振動発生部及び振動受部の何れか一方にブラケット14を介して連結され、円筒状の筒部26と、筒部26の軸方向一端が円盤状に拡径されたフランジ部28と、からなる外筒18と、筒部26の内周側に同軸配置され、振動発生部及び振動受部の何れか他方にボルト42で締結される円筒状の内筒22と、外筒18の内周面と内筒22の外周面との間を連結する弾性変形部20と、を備え、外筒18と内筒22の間に弾性変形部20を形成した後に、軸方向他端に向けて拡径された略円錐状の筒を直管状に絞り弾性変形部20を径方向に圧縮して筒部26を形成した防振装置。
【選択図】図3

Description

本発明は、防振装置に関する。
車両に設置される防振装置としては、例えばエンジンと車体との間に取付けられるエンジンマウントがある。この種のエンジンマウントは、エンジンが搭載される防振本体と、防振本体を車体へ取付けるためのブラケットから構成されている。防振本体は振動発生部であるエンジンから発生した振動を吸収し、振動受け部である車体へ振動が伝達するのを抑制している。
代表的な防振装置の構造としては、例えばボルトを挿入可能な内筒と、この内筒の周囲に配置される外筒と、内筒と外筒との間に弾性体とを備え、2個を一組として軸方向に圧縮してブラケットを挟み込む構造がある。弾性体は内外筒間における弾性体に一体化して、内筒のフランジと外筒のフランジとの間にも弾性体が充填形成されている。この防振装置を2個一組でブラケットの穴を挟むように圧入または嵌合し、一対の外筒でブラケットの穴を挟持する一方で、内筒同士をボルトで締結すると共に車体を共締めする。
さらに弾性体は、その耐久性を向上させるため径方向に予備圧縮される場合もある。ここでいう予備圧縮は、例えば絞り治具を用いて、外筒を径方向に絞り加工することにより行われる。
すなわち、上記のエンジンマウントにおいて、直管状の外筒を、フランジから遠い外筒端にかけて径が狭くなるテーパー状に絞り、ブラケットの穴に嵌合して、軸方向に圧縮して取り付ける構造が知られている。
また、外筒の筒部基端部を径方向内側に縮径させた外筒において、基端部より先の筒部を直管状に絞り、ブラケットの穴に圧入もしくは嵌合し、軸方向に圧縮しないで取り付ける構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
上記の例では筒部とフランジとの境目(コーナー部)に生じる弾性体の局部歪みを少なくして、製品寿命の向上を図る目的で外筒を直管状に絞っている。
しかし、前者の構造においては、外筒が嵌合するブラケットの穴を、テーパー状の外筒形状に合わせて、テーパー状に加工する必要があり、工数とコストが増大する虞があった。また、締結された際に内筒と外筒に挟まれて対向する弾性体の表面積が小さいため、入力を受けた際の外筒と内筒間における軸方向の大変形時に、内外筒間で押し出される弾性体の変形量が大きく、弾性体の耐久性が損なわれる虞がある。
また後者の構造においては、外筒の筒部がブラケットの穴に圧入されている場合、入力によって一方の弾性体が圧縮方向に変形した際、もう一方の弾性体は引張方向に変形する為、弾性体が破損し易い。すなわち対向する弾性体は取付の際に圧縮方向/引張り方向に加圧されていないので、一方が圧縮された際には他方が引張られ、引張り変形によって耐久性が損なわれる虞がある。
又、筒部がブラケットの穴に嵌合されているとき、一方の弾性体が圧縮方向に変形した際、他方の外筒フランジ部はブラケットから離れる為、異音や金具割れが発生し易い虞がある。
特開平10−238576号公報
本発明は上記事項を考慮し、簡単な加工で弾性体の耐久性を高めた防振装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の防振装置は、振動発生部及び振動受部の何れか一方にブラケットを介して連結され、円筒状の筒部と、前記筒部の軸方向一端が円盤状に拡径されたフランジ部と、からなる外筒と、前記筒部の内周側に同軸配置され、前記振動発生部及び前記振動受部の何れか他方にボルトで締結される円筒状の内筒と、前記外筒の内周面と前記内筒の外周面との間を連結する弾性変形部と、を備え、前記外筒と前記内筒との間に前記弾性変形部を形成した後に、軸方向他端に向けて拡径された略円錐状の筒を直管状に絞り弾性変形部を径方向に圧縮して前記筒部を形成したことを特徴とする。
請求項1に記載の防振装置では、予め内側に弾性変形部が形成され略円錐状に拡径された外筒を、直管状に絞り加工することで、外筒が挿入されるブラケットの穴をテーパ状などに加工する必要がなく、また内部で予め成形された弾性変形部が絞り加工の際に径方向に圧縮されるので、表面積に余裕が生じ、入力の際に軸方向の大変形を起こした時には、内外筒の間に押し出される弾性変形部の変形量が減少し、耐久性を向上させることができる。
請求項2に記載の防振装置は、前記ブラケットに設けられた穴に両面から前記筒部を挿入し、前記内筒にボルトを挿通し、前記ブラケットを前記フランジ部で挟み、前記弾性変形部を軸方向に圧縮して締結したことを特徴とする。
請求項2に記載の防振装置では、ブラケットに嵌合した際、軸方向に圧縮して組み付ける為、予め予備圧縮量以内の軸方向入力時であれば外筒のフランジ部とブラケット側の接触面が離れることは無く、異音やフランジ部の割れ等が生じる虞がない。さらに一方の弾性変形部が圧縮方向に変形した際、もう一方の弾性変形部が引張方向に変形しても、予備圧縮量以内であれば引張り変形に転じない為、耐久性を向上させることができる。
請求項3に記載の防振装置は、前記筒部は直管状であり、前記フランジ部と前記筒部との屈曲部は前記筒部の内面よりも径方向内側に突出していないことを特徴とする。
請求項3に記載の防振装置では、筒部は直管状であり、フランジ部と筒部との屈曲部は筒部の内面より径方向内側には突出していないので、筒部内側の弾性変形部の径方向厚さを維持することができる。
本発明は、上記の構成としたので、簡単な加工で弾性体の耐久性を高めた防振装置とすることができる。
本願発明の実施形態に係る防振装置の、外筒に対する絞り加工前の形状を示す断面図である。 本願発明の実施形態に係る防振装置の、外筒に対する絞り加工後の形状を示す断面図である。 本願発明の実施形態に係る防振装置の、ブラケットに嵌合しボルトで締結された状態を示す断面図である。
<基本構造>
以下、図を参照しながら本願発明の実施形態に係る防振装置について説明する。
図3に示すように、本実施形態に係る防振装置10は、防振本体12と、防振本体12の外側に嵌合されるブラケット14とで構成されている。また、防振本体12は、ブラケット14の穴16に挿入、嵌合する金属製の外筒18、外筒18を弾性変形可能に支持している弾性変形部20、及び弾性変形部20によって外筒18と加硫接着された金属製の内筒22によって構成されている。
防振本体12は略円柱パイプ状であり、防振本体12の径方向中央には軸方向に貫通するように内筒22が設けられている。内筒22は円筒形状とされており、径方向中央にボルト穴24が設けられ、軸方向に貫通している。
外筒18は略円柱形状の筒部26と、筒部26の一端が拡径したフランジ部28とからなり、一対の外筒18を他端同士が対向するように突き合わせ、図3に示すようにブラケット14の穴16に嵌合して表裏方向から挟持する。
このとき筒部26とフランジ部28の境界には応力が集中し易いことに加え、ブラケット14の穴16の角部をクリアするために、筒部26の軸方向一端側に突出したRとなる角部30が設けられていてよい。
ただし角部30は軸方向に突出したRとなっていても、径方向内側に縮径している必要はなく、さらに穴16が例えば座ぐり加工され、角部が面取りされていれば角部30と穴16とが干渉する虞はないので、この構造は必須ではない。
すなわち筒部26とフランジ部28の境界は単純に90度曲げた曲げ加工であってよく、内部に設けられた弾性変形部20の径方向厚さを確保するためにも、筒部26自体が予め縮径するように絞り加工された箇所はない。
外筒18と内筒22とは同軸状に配置され、間には例えば天然ゴム等の比較的強度の強い素材からなる弾性変形部20が両者と加硫接着され、外筒18に対して内筒22を弾性支持している。
加硫接着時、外筒18は図1に示すように筒部26の他端側が拡径した略ラッパ状に先端が広がっており、内部に加硫接着された弾性変形部20もまた当該構造に合わせた形状とされている。このため、この状態ではブラケット14の穴16に嵌合しない。
次いで図2に示すように、外筒18の筒部26を絞り器などの手段を用いて略ラッパ状から直管状に細く絞る。これによりブラケット14の穴16が通常の円形断面をもつ貫通穴であれば嵌合可能となる。
さらに絞り加工によって、筒部26の内周面と内筒22の外周面との間に加硫接着された弾性変形部20は、弾性変形部20が成形されたのち、筒部26が縮径した影響で径方向に圧縮され、その状態で保持される。
すなわち筒部26と内筒22との間に存在する弾性変形部20は径方向に圧縮され、図2に示す凹面32のように表面に凹凸をもつ、圧縮された弾性体とされている。
弾性変形部20は、図1、2に示すように内筒22の軸方向に内筒22の長さよりも膨出していてもよく、また外筒18から遠い側の一端においては、締結時の変形を考慮して内筒22との接触部近傍に凹部34が設けられていてもよい。
<締結>
本実施形態に係る防振本体12を用いてエンジンなどの振動発生部を車体などの振動受部に保持させる工程について以下に説明する。
図3に示すように、先ず前述のように形成された防振本体12を、外筒18の筒部26同士を対向させるように、ブラケット14の表裏両側から穴16に嵌合させる。ブラケット14は図示しないエンジンなどの振動発生部に固定されており、特に外筒18および内筒22の軸方向の振動を吸収/遮断し、車体などの振動受部への振動伝達を防止したいものとする。
図3に示すように一対の外筒18がブラケット14を表裏両側から挟持した状態でも、外筒18同士は軸方向に接触している必要はなく、それぞれに形成された弾性変形部20で対向する内筒22同士を軸方向に離間させる方向に付勢している。
次に内筒22の軸方向外側端、つまり長手方向両端の少なくとも一方を、車体などの振動受部に固定された支持部材36に締結する。支持部材36にはボルト穴38が設けられており、内筒22のボルト穴24と位置を合わせ、ボルト42を挿通しナット40で締結する。支持部材36は例えば車体などの振動受部に設けられた一対の鋼板などでもよく、あるいはアームなどの支持部材でも、単純な突起でもよい。内筒22の一方のみを支持部材36に締結する際には、充分な強度を備えた金属板などで他方を締結する。
ここで内筒22は、前述のように弾性変形部20によって、外筒18から軸方向外側へ常に付勢されるように保持されている。このため一対の外筒18がブラケット14を表裏両側から挟持した状態でも、対向する内筒22同士はまだ接触していない。
次いで内筒22に挿通したボルト42をナット40に締め込んで行くと、軸方向に内筒22同士が接触し、金属板などの剛体からなる支持部材36と内筒22とが圧着される状態となり、これ以上は締め込まれない状態となる。
このとき図1、2に示すように弾性変形部20の軸方向外側端は内筒22の端よりも突出しているので、ボルト42による締結でこの弾性変形部20を軸方向に押し潰すように押圧し、図3に示す矢印P方向(軸方向)に圧縮しながら締結する。
<効果>
本実施形態に係る防振装置10は、上記の構造としたことで以下のような優れた特徴を有する。すなわち外筒18が絞り加工によって円筒形状とされているため、ブラケット14の穴16をテーパー状などに加工する必要がなく、コストと工数を低減することが出来る。
また、内筒22と外筒18とに挟まれた弾性変形部20には、加硫接着などで形成された際の図1に示すような外筒18の筒部26の形状を、略ラッパ形状から絞り加工で円筒形に絞った際に凹部32が形成される。凹部32は径方向に圧縮された状態とされている。
さらに、一対の防振本体12がブラケット14を挟んで締結される際、前述のように軸方向に圧縮して締結されている。これにより弾性変形部20は軸方向に予め予備圧縮された状態とされている。
ここで図示しないエンジンから発生した振動がブラケット14から外筒18へ伝達された際、一方向にブラケット14が移動すれば一方の防振本体12は図3に示す矢印Pのように圧縮されるが、他方の防振本体12は矢印Pとは逆の方向に引張られる。
このとき矢印Pと逆の方向に引張られた防振本体12の弾性変形部20は、引張り変形を受けるため損傷し易いが、本実施形態においては予め筒部26が径方向に絞られた際に内部の弾性変形部20もまた圧縮され、言わば予備圧縮された状態にある。このため弾性変形部20は引張り変形に対して、予備圧縮量以内の変形であれば弾性変形部20に破損の生じる虞がない利点がある。
また、筒部26がブラケット14の穴16に嵌合されているとき、ブラケット14が振動した際に、対向する防振本体12の一方が圧縮方向に変形したとき、他方で引張られる側の外筒18のフランジ部28がブラケット14から離間する場合が考えられる。振動の波が反転すると、弾性変形部20は引張り変形から圧縮変形に転じるため、ブラケット14から離間したフランジ部28がブラケット14に衝突し異音や金具割れの原因となる虞がある。
本実施形態においては前述のように弾性変形部20が予め圧縮され、言わば予備圧縮された状態にある。このため弾性変形部20の予備圧縮量以内の変形であれば、他方で引張られる側の弾性変形部20が変形を吸収し、外筒18のフランジ部28がブラケット14から離間することなく常にブラケット14を外筒18が挟持し続けるので、異音の発生や金具割れなどの生じる虞がない利点がある。
また当然、エンジンなどからの振動は圧縮方向(図3の矢印P方向)のみならず径方向の振動も存在するものと考えねばならず、このときはブラケット14と指示部材36との間で生じる径方向の振動を、上記と同様に吸収する。
すなわち、筒部26内部の弾性変形部20は絞り加工によって予備圧縮されているので、引張り変形に対して、予備圧縮量以内の変形であれば弾性変形部20に破損の生じる虞がない利点がある。
また同様に弾性変形部20の予備圧縮量以内の変形であれば、径方向の一方で圧縮された際に、径方向の他方で引張られる側の弾性変形部20が変形を吸収し、外筒18のフランジ部28がブラケット14から離間することなく常にブラケット14を外筒18が挟持し続けるので、異音の発生や金具割れなどの生じる虞がない利点がある
また当然、上記とは逆に、図示しない車体側から発生した振動は、支持部材36に伝達される。支持部材36に伝達された振動は内筒22を介して防振本体12の弾性変形部20を弾性変形させることで、減衰吸収される。これにより、ブラケット14側に振動が伝達されるのを抑制する。
さらに当然、この際にも上記のように弾性変形部20の予備圧縮量以内の変形であれば、弾性変形部20に破損の生じる虞がない利点、およびブラケット14と外筒18のフランジ部28が離間することから異音の発生や金具割れなどの生じる虞がない利点がある。
以上、本発明の実施形態に係る防振装置について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
10 防振装置
12 防振本体
14 ブラケット
16 穴
18 外筒
20 弾性変形部
22 内筒
24 ボルト穴
26 筒部
28 フランジ部
36 支持部材
38 ボルト穴
40 ナット
42 ボルト

Claims (3)

  1. 振動発生部及び振動受部の何れか一方にブラケットを介して連結され、円筒状の筒部と、前記筒部の軸方向一端が円盤状に拡径されたフランジ部と、からなる外筒と、
    前記筒部の内周側に同軸配置され、前記振動発生部及び前記振動受部の何れか他方にボルトで締結される円筒状の内筒と、
    前記外筒の内周面と前記内筒の外周面との間を連結する弾性変形部と、を備え、
    前記筒部は前記外筒と前記内筒との間に前記弾性変形部が形成された後に、軸方向他端に向けて拡径された略円錐状の筒を直管状に絞った防振装置。
  2. 板状とされた前記ブラケットの両面から前記ブラケットに設けられた穴を挟んで軸方向に圧縮して締結される請求項1に記載の防振装置。
  3. 前記筒部は直管状であり、前記フランジ部と前記筒部との屈曲部は前記筒部の内面よりも径方向内側に突出していない請求項1または請求項2に記載の防振装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104455137A (zh) * 2014-12-19 2015-03-25 山东重特机械有限公司 一种组合式减震结构

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