JP2014167179A - 束状構造を有するゲルファイバー集合体の製造方法 - Google Patents

束状構造を有するゲルファイバー集合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた力学的強度を有する束状のゲルファイバー集合体の製造方法の提供。
【解決手段】a)第1のプレゲル剤及び第2のプレゲル剤を含む溶液を調製する工程;b)前記溶液をマイクロ流路に注入する工程;c)前記マイクロ流路中に第1の架橋剤を注入することにより、前記第1のプレゲル剤をゲル化させて、糸状に伸長した形状を有する鋳型ゲルファイバーを形成する工程;d)前記鋳型ゲルファイバーを含む溶液に第2の架橋剤を添加することにより、前記鋳型ゲルファイバーの骨格内部に束状の形状で保持された状態で前記第2のプレゲル剤を架橋させ、前記第2のプレゲル剤が架橋してなるゲルが前記鋳型ゲルファイバーに被覆された構造のゲルファイバー複合体を形成する工程;及びe)前記ゲルファイバー複合体を含む溶液にゲル除去剤を添加することによって前記鋳型ゲルファイバーを除去して、束状構造を有するゲルファイバー集合体を得る工程、を含む方法
【選択図】なし

Description

本発明は、束状構造を有するゲルファイバー集合体の製造方法、及び、当該方法により得られる束状構造を有するゲルファイバー集合体に関する。
ハイドロゲルは、3次元的に架橋した網状構造の親水性ポリマーを含むゲル状の材料であり、その内部に水を保持できる能力及び優れた生体適合性等の特性から、生体組織の癒着防止、シーリング、ドラッグデリバリー、コンタクトレンズなどの医療目的に加えて、センサーや表面コーティングなどの様々な用途への応用が期待されている材料である(例えば、特許文献1及び2)。
近年、上記の用途に応じて様々な形状のゲルを形成することが試みられており、例えば、一定の方向に直線的に伸長した繊維状のゲルファイバー、さらにそのようなゲルファイバーを複数整列させて束状にしたゲルファイバーの集合体が注目されている。一般に、糸などの束状物質を得るためには、1本1本の繊維を複数本撚り合わせ手法が用いられる。同様の手法によって束状のゲルファイバーを得るためには、高強度なゲルファイバーを大量に調製し単離すること、及び当該ゲルファイバーを安定に撚る技術が必要となる。しかしながら、束の構成単位となる1本のゲルファイバーの強度は十分ではなく、また、ゲルファイバーの単離や外力によって撚ることも非常に困難であるうえ、その間ゲルが乾燥してしまうという問題があった。従って、一定の方向に直線的に伸長した複数のゲルファイバーを束状とした構造を有するゲルファイバーを得る方法が確立されていないのが現状である。
特開平11−189626号公報 特開2005−60570号公報
そこで、本発明は、1次元的に伸長した複数本のゲルファイバーを束状とすることで優れた力学的強度を有する束状のゲルファイバー集合体を簡便に作製可能な新規な方法、及び当該方法により得られる束状構造を有するゲルファイバー集合体を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、動的な流れ中の反応場と分子の凝集効果を組み合わせることにより、溶液中で相分離し凝集しているプレゲル剤マイクロ流路中において架橋させて束状構造を有するゲルファイバー集合体を簡便な工程によって得ることができることを見出した。より詳細には、マイクロ流路を反応場として、まず、短時間でゲル化可能な第1のプレゲル剤によって糸状に伸長した形状を有する鋳型ゲルファイバーを形成させ;相分離して凝集している第2のプレゲル剤を、流路のシェアストレスによって鋳型ゲルファイバーの骨格内部に取り込ませ、そこに保持させた状態でゲル化させて異なる2種類のゲルファイバーからなる複合体を形成させ;その後、鋳型ゲルファイバーを除去することによって、マイクロオーダーの外径を有する束状構造のゲルファイバー集合体が得られることを見出した。かかる知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一態様において、
(1)1次元的に伸長した複数本のゲルファイバーが束状となった構造を有するゲルファイバー集合体の製造方法であって、a)第1のプレゲル剤及び第2のプレゲル剤を含む溶液を調製する工程、ここで、前記第1のプレゲル剤は前記溶液中に溶解した状態であり、前記第2のプレゲル剤は前記溶液中に凝集した状態で存在する、当該工程;b)前記溶液をマイクロ流路に注入する工程;c)前記マイクロ流路中に第1の架橋剤を注入することによって、流れ場において前記第1のプレゲル剤をゲル化させて、糸状に伸長した形状を有する鋳型ゲルファイバーを形成する工程、ここで、前記第2のプレゲル剤は前記鋳型ゲルファイバーの骨格内部に束状の形状で保持される、当該工程;d)前記鋳型ゲルファイバーを含む溶液に第2の架橋剤を添加することによって、前記鋳型ゲルファイバーの骨格内部に束状の形状で保持された状態で前記第2のプレゲル剤を架橋させ、それにより、前記第2のプレゲル剤が架橋してなるゲルが前記鋳型ゲルファイバーに被覆された構造のゲルファイバー複合体を形成する、当該工程;及び、e)前記ゲルファイバー複合体を含む溶液にゲル除去剤を添加することによって前記鋳型ゲルファイバーを除去して、束状構造を有するゲルファイバー集合体を得る工程、を含む、該方法
に関する。
好ましい態様では、本発明は、
(2)前記ゲルファイバー集合体が、ハイドロゲルである、上記(1)に記載の方法、
(3)前記第1のプレゲル剤のゲル化速度が、前記第2のプレゲル剤のゲル化速度よりも速い、上記(1)又は(2)に記載の方法、
(4)前記第2のプレゲル剤が、相転移温度を有する高分子である、上記(1)乃至(3)のいずれか1に記載の方法、
(5)前記相転移温度を有する高分子が、疎水基と親水基を有する両親媒性高分子である、上記(4)に記載の方法、
(6)前記相転移温度を有する高分子が、糖鎖高分子である、上記(4)又は(5)に記載の方法、
(7)前記糖鎖高分子がヒドロキシプロピルセルロースである、上記(6)に記載の方法、
(8)前記第2の架橋剤が、ジビニルスルホン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、、エチレングルコールジメタクリレート、又はグルタルアルデヒドから選択される、上記(1)乃至(7)のいずれか1に記載の方法、
(9)前記第1のプレゲル剤が、イオン架橋によってゲル化し得る高分子である、上記(1)乃至(8)のいずれか1に記載の方法、
(10)前記イオン架橋によってゲル化し得る高分子が、アルギン酸ナトリウム又はアルギン酸カリウムであり、及び前記第1の架橋剤が、2価以上の金属イオンの塩である、上記(9)に記載の方法、
(11)前記ゲル除去剤が、キレート剤である、上記(10)に記載の方法、
(12)前記第1のプレゲル剤がアルギン酸ナトリウムであり、前記第2のプレゲル剤がヒドロキシプロピルセルロースである、上記(1)に記載の方法、
(13)前記工程a)で調製される第1のプレゲル剤及び第2のプレゲル剤を含む溶液が、塩基性の水溶液である、上記(12)に記載の方法、
(14)前記塩基性の水溶液中におけるアルギン酸ナトリウムの濃度が1.0wt%であり、及びヒドロキシプロピルセルロースの濃度が4.0wt%以上である、上記(13)に記載の方法、
に関する。
別の態様において、本発明は、
(15)1次元的に伸長した複数本のゲルファイバーが束状となった構造を有するゲルファイバー集合体であって、相転移温度を有する高分子が互いに共有結合で架橋された構造を有する、当該ゲルファイバー集合体、
に関する。
当該ゲルファイバー集合体の好ましい態様として、本発明は、
(16)前記ゲルファイバー集合体が、ハイドロゲルである、上記(15)に記載のゲルファイバー集合体、
(17)100〜500μmの外径を有する、上記(15)又は(16)に記載のゲルファイバー集合体、
(18)前記相転移温度を有する高分子が、下限臨界溶液温度(LCST)を有する高分子である、上記(15)乃至(17)のいずれか1に記載のゲルファイバー集合体、
(19)前記相転移温度を有する高分子が、ヒドロキシプロピルセルロースである、上記(18)に記載のゲルファイバー集合体、
(20)3kPa以上のヤング率を有する、上記(15)乃至(19)のいずれか1に記載のゲルファイバー集合体、
(21)5kPa以上の単位断面積あたりの破断荷重を有する、上記(15)乃至(19)のいずれか1に記載のゲルファイバー集合体、
に関する。
本発明によれば、外径がマイクロサイズの束状構造を有するゲルファイバー集合体を簡素なプロセスで容易に作製することができる。また、束状の構造を有することで力学的強度に優れたゲルファイバー集合体、特にハイドロゲルファイバーの集合体を得ることが可能となる。
加えて、本発明は、第1及び第2のプレゲル剤の疎水性と親水性のバランスに応じて、当該プレゲル剤を含む溶液中における二成分系相分離の形態を様々なパターンとすることができるため、それに応じて、最終的に得られるゲルの形状を制御することができる。
さらに、本発明を用いて、生体適合性の高分子で束状ゲルファイバー集合体を構築することによって、軟骨、腱、平滑筋層などの比較的強度の高い力学的強度を有する生体組織の模倣への応用、或いは、刺激応答性の高分子でゲルファイバー集合体を構築することによって、外部刺激に応答して性質が変化するマイクロアクチュエーターの形成などへの応用が可能である。また、セルロース誘導体等でゲルを構築した場合には、セルラーゼ等の酵素で容易に分解することができるため、本発明のゲルファイバー集合体を鋳型として、更なる化学架橋ゲルを形成し、形成後に分解除去することによってマイクロ細孔を有するゲルを得ることできる。従って、神経や血管等の細胞足場材料、及びドラッグデリバリーシステムへの応用も期待できる。
図1は、本発明による束状ゲルファイバー集合体の作製工程を示す模式図である。 図2は、下限臨界溶液温度を有する高分子における状態変化を説明するものである。 図3は、代表的な同軸フロー型マイクロ流路デバイスの構造及び流路内の流れを説明する図である。 図4は、Na−Alg存在下及び非存在下における、HPC溶液の光学密度(O.D.)のpH依存性及びHPC濃度依存性を示すグラフである。 図5は、Na−Algの存在下、種々のHPC濃度における光学密度(O.D.)の温度依存性を示すグラフである。 図6は、本発明の実施例で用いた同軸フロー型のマイクロ流路デバイスの図である。 図7は、本発明の実施例における工程を示すフロー図である。 図8は、種々のHPC濃度条件において得られたアルギン酸ゲル及びゲルファイバー複合体の光学顕微鏡画像である。 図9は、本発明の束状のゲルファイバー集合体を示す光学顕微鏡画像である。 図10は、本発明の束状のゲルファイバー集合体について、引張試験によって得られたヤング率及び単位断面積あたりの破断荷重を示すグラフである。ここで、「BF」は本発明の束状ゲルファイバー集合体、「NF」はシリコーンチューブ内で形成したHPCのみから構成される比較例の非束状ゲルである。 図11は、本発明の束状のゲルファイバー集合体による細胞の接着状況を示す倒立顕微鏡画像である。ここで、「BF」は本発明の束状ゲルファイバー集合体、「NF」はシリコーンチューブ内で形成したHPCのみから構成される比較例の非束状ゲルである。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
図1は、本発明の代表的な態様によって束状構造のゲルファイバー集合体製造工程の概略を示すものである。第1のプレゲル剤及び第2のプレゲル剤を含む溶液(プレゲル溶液)を調製し、これをマイクロ流路に射出する(図1a)。当該マイクロ流路が反応場となる。ここで、当該プレゲル溶液中において、第2のプレゲル剤(図では、HPCで示されている)は、図1aに示されるように相転移により溶液中で凝集した状態となっている。まず、短時間でゲル化可能な第1のプレゲル剤に第1の架橋剤を注入し、流路の流れによって発生するシェアストレスによって糸状に伸長した形状を有する鋳型ゲルファイバーを形成させる。(図1b)ここで、溶液中で相分離して凝集していた第2のプレゲル剤は、シェアストレスによって鋳型ゲルファイバーの骨格内の空間に取り込まれ、鋳型ゲルファイバーの骨格内部の束状に伸長した空間内に保持される。
次に、第2のプレゲル剤が鋳型ゲルファイバーの骨格内に保持された状態で第2の架橋剤を添加し、第2のプレゲル剤を鋳型ゲルファイバー内部において架橋させて、ゲル化させる(図1c)。当該第2の架橋剤は、上記第1の架橋剤と同様に、マイクロ流路中に添加されてもよいし、或いは、第2のプレゲル剤が鋳型ゲルファイバーの骨格内部に取り込まれた後であれば、マイクロ流路から流出した溶液を別の容器等に捕集し、当該容器中に添加することもできる。これによって、異なる2種類のゲルファイバーから構成される複合体が得られる。当該複合体は、図1に示すように、第2のプレゲル剤が架橋して形成されたゲルを鋳型ゲルファイバーが被覆する構造となっている。
その後、ゲル除去剤を添加して、鋳型ゲルファイバーを除去することによって、マイクロオーダーの外径を有する本発明の束状構造のゲルファイバー集合体が得られる(図1d)。図1中では、3本のゲルファイバーが束になった構造が例示されているが、言うまでもなく、実際にはより多くの本数のゲルファイバーによって束が形成される。
(1)第1のプレゲル剤及び第1の架橋剤
本発明において用いられる第1のプレゲル剤は、ゲル化して鋳型ゲルファイバーを形成するものである。第1のプレゲル剤は、マイクロ流路の流れによって発生するシェアストレスによって、流路の流れ方向に配向して糸状に伸長した形状を有するゲルを形成し得るものであれば、人工物及び天然物のいずれであっても良く、親水性高分子、糖鎖高分子、多糖類などを含む当該技術分野において公知のプレゲル剤を用いることができる。しかしながら、マイクロ流路中でゲル化し得るためには、架橋剤の添加によって短時間で、好ましくは瞬時にゲル化し得るものであることが望ましい。好ましくは、第1のプレゲル剤は、イオン架橋によってゲル化し得る高分子であり、そのような高分子としては、例えば、2価の金属イオンの添加によって瞬時にゲル化する性質を有する、アルギン酸ナトリウムやアルギン酸カリウム等のアルギン酸塩が挙げられる。これらのなかでも、アルギン酸ナトリウムが好ましい。
第1のプレゲル剤をゲル化するための第1の架橋剤は、上記第1のプレゲル剤の種類に応じて当業者であれば適宜選択することができるであろう。例えば、第1のプレゲル剤がアルギン酸塩である場合には、第1の架橋剤は、2価以上の金属イオンの塩であることができ、好ましくは、カルシウム塩又はマグネシウム塩であり、より好ましくは、塩化カルシウムである。
また、ゲルファイバー複合体が得られた後、最終段階において、第1のプレゲル剤による鋳型ゲルファイバーを除去するために用いられるゲル除去剤は、第2のプレゲル剤によって形成された束状ゲルファイバーには影響を与えることなく、鋳型ゲルファイバーのゲル化のみを解消できるものであれば、特に限定されない。例えば、鋳型ゲルファイバーがアルギン酸ゲルである場合(すなわち、第1のプレゲル剤がアルギン酸塩である場合)、第1のプレゲル剤の分子間を架橋させているカルシウムイオン(Ca2+)等を除去できるものであればよい。そのようなゲル除去剤の例としては、クエン酸ナトリウム、或いは、EDTA等の任意のキレート剤が挙げられる。好ましくは、クエン酸ナトリウムである。
(2)第2のプレゲル剤及び第2の架橋剤
本発明において用いられる第2のプレゲル剤は、ゲル化して、最終的に束状構造のゲルファイバー集合体を構成することとなる個々のゲルファイバーとなるものである。また、第2のプレゲル剤は、ハイドロゲルを形成し得ることが好ましく、特に、細胞培養用足場などに用いる場合は生分解性であることが好ましい。
別の側面において、本発明において用いられる第2のプレゲル剤は、上記のようにマイクロ流路に射出されるプレゲル溶液中において、相転移により凝集した状態であることが必要である。これは、第2のプレゲル剤が、マイクロ流路のシェアストレスによって、鋳型ゲルファイバーの骨格内の空間に取り込ませることによって、そのゲル化の前に鋳型ゲルファイバーと同様に糸状に伸長した複数のパターンの形状に保持させるためである。
従って、第2のプレゲル剤は、プレゲル溶液中で相分離し得るもので化合物であることが望ましい。そのような化合物であれば、人工物及び天然物のいずれであっても良く、疎水基と親水基を有する両親媒性高分子、糖鎖高分子、多糖類などを含む当該技術分野において公知のプレゲル剤を用いることができる。好ましくは、相転移温度を有する化合物であり、特に、下限臨界溶液温度(LCST)又は上限臨界溶液温度(UCST)を有する高分子(天然物及び合成高分子のいずれも含まれる)であることが好ましい。ここで、「下限臨界溶液温度を有する高分子」は、図2に示すように、可逆的にある温度以上において分子内で収縮して或いは分子間で凝集して水等の溶媒に不溶化するが、当該温度以下では当該溶媒に可溶化する性質を有する。好ましくは、第2のプレゲル剤は、セルロース誘導体、ペクチン、又はポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)であり、より好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)である。ヒドロキシプロピルセルロースは、水中で約45℃の下限臨界溶液温度を有する。
また、第2のプレゲル剤をゲル化するための第2の架橋剤は、上記第2のプレゲル剤の種類に応じて当業者であれば適宜選択することができるであろう。第2の架橋剤は、共有結合によって第2のプレゲル剤の分子間を架橋するものであることが好ましく、水溶性であることが好ましい。そのような水溶性の架橋剤例としては、ジビニルスルホン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、又はグルタルアルデヒドが挙げられ、好ましくはジビニルスルホンである。さらに、カップリングのためのスペーサーおよび反応性基を両端に含有する二官能性架橋剤を使用してもよい。適切な二官能性架橋剤は当該技術分野で広く知られており、1,6−ジアミノヘキサンなどのジアミン、グルタルアルデヒドなどのジアルデヒド、エチレングリコール−ビス(コハク酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、ジスクシンイミジルグルタラート、ジスクシンイミジルスベラート、およびエチレングリコール−ビス(スクシンイミジルスクシナート)などのビスN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート、1,4ブタンジイルジグリシジルエーテルなどのビスオキシラン、及び、スクシニルジサリチレートなどのジカルボン酸などが挙げられるが、これに限定されるものではない。各末端に異なる反応性基を含有するヘテロ二官能性架橋剤もまた使用することができる。ヘテロ二官能性架橋剤の非限定的な例としては、3−マレイミドプロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルが挙げられる。これらの試薬のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル基は、アミンまたはアルコール基と反応するのに対し、マレイミド基はチオール基と反応する。なお、これら架橋剤を用いて、共有結合によって第2のプレゲル剤をゲル化させる手法以外にも、光重合や電子線架橋など、当該技術分野において周知の架橋手法を用いて第2のプレゲル剤をゲル化させてもよい。
第1のプレゲル剤と第2のプレゲル剤の好ましい組み合わせは、アルギン酸ナトリウムとヒドロキシプロピルセルロースである。
(3)プレゲル溶液
上記のように、マイクロ流路の内流として射出される溶液(プレゲル溶液)は、第1のプレゲル剤及び第2のプレゲル剤を含む溶液である。プレゲル溶液は、好ましくは水溶液であるが、水と混じりあう性質を有する水性有機溶媒、例えばエタノール、アセトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシドなどを含むこともできる。溶媒の組成は、用いる第1及び第2のプレゲル剤の種類に応じて、適宜選択することができる。
また、プレゲル溶液において、第1のプレゲル剤は溶液中に溶解した状態であり、第2のプレゲル剤は溶液中に凝集した状態で存在する。従って、プレゲル溶液は、第2のプレゲル剤が、相分離により凝集した状態となるような条件、例えば、温度、pH、各プレゲル剤の濃度、塩濃度、溶媒組成等について適宜設定することができる。
例えば、第1のプレゲル剤と第2のプレゲル剤が、アルギン酸ナトリウムとヒドロキシプロピルセルロースの組み合わせである場合、プレゲル溶液は、塩基性の水溶液であることが好ましく、pH13の水溶液であることがより好ましい。また、各プレゲル剤の濃度は、アルギン酸ナトリウムが1.0wt%において、ヒドロキシプロピルセルロースの濃度が4.0wt%以上であることができる。好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロースの濃度が4.0〜10wt%、より好ましくは、4.0〜7.0wt%である。
(4)マイクロ流路デバイス
本発明において用いられるマイクロ流路デバイスは、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができるが、流路中で2層の流体流れを形成し得る同軸フロー型のマイクロ流路デバイスが好ましい。同軸フロー型マイクロ流路デバイスの構造は、例えば、Kiriyaら、Angew.Chem.Int.Ed.,2012,51,1553−1557等で具体的に説明されている。かかるマイクロ流路デバイスによれば、図3に示すように、2つの成分の異なる流体を同軸となるように内流及び外流に分けて射出することができる。マイクロ流路デバイスの内径は、100〜1000μmの範囲であることが好ましい。
このような構造のマイクロ流路デバイスを用いることにより、例えば、内流に第1のプレゲル剤を含むプレゲル溶液、及び外流に第1の架橋剤を用い、その内流と外流の流量比を適宜調製することによって、これらの混合により流路中で形成される鋳型ゲルファイバーの直径の大きさを制御することが可能となる。
マイクロ流路内の流速は、第1のプレゲル剤を糸状に伸長した形状の鋳型ゲルファイバーとするため、及び溶液中で凝集している第2のプレゲル剤を鋳型ゲルファイバー骨格内部に取り込ませるために十分なシェアストレスが流路内を生じさせるように、適宜選択されるべきものである。代表的な例として、第1のプレゲル剤及び第2のプレゲル剤を含むプレゲル溶液の射出速度(内流)は、100〜500μL/分の流速であることができ、また、第1の架橋剤を含む溶液(外流)は、1〜10ml/分であることができるが、当該内流と外流は任意の比率とすることができる。また、上記のように、これらの流速の比によって、鋳型ゲルファイバーの直径を制御することができ、結果として、最終的に得られる束状ゲルファイバー集合体の本数や外径を制御することができる。
(5)束状構造ゲルファイバー
本発明のゲルファイバー集合体は、1次元的に伸長した複数本のゲルファイバーが束状となった構造を有することを特徴とする。上記のように、好ましくは、ゲルファイバー集合体はハイドロゲルで構成される。「束状となった構造」とは、整列した2以上のゲルファイバーを含む集合体を形成していることを意味する。「整列した」という用語は、複数のゲルファイバーが全体として概ね平行関係を維持していることが好ましいが、2以上のゲルファイバーにおいて部分的に平行関係が失われている場合や、複数のゲルファイバーの一部又は全体がねじれて重なり合う場合なども含まれると解釈されるべきである。
束状の集合体に含まれるゲルファイバーの数は2以上であれば特に限定されないが、一般的には5以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上である。上限も特に限定されないが、好ましくは10000以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは50以下である。
ゲルファイバー集合体を形成する各ゲルファイバーの外径は特に限定されないが、一般的には10〜5000nm程度であり、概ね同一の外径を有するが、それぞれ異なった外径を有していてもよい。各ゲルファイバーの断面は概ね円形であるが、用いるプレゲル剤の種類などに応じて円形以外の断面を与える場合もある。複数のゲルファイバーは一般的には概ね同一の外径を有するが、それぞれ異なった外径を有していてもよい。
束状ゲルファイバー集合体の断面形状としては、円形、楕円系、又は四角形や五角形などの多角形など多様な形状であってもよいが、断面形状としては円形が好ましい。束状ゲルファイバー集合体の外径も特に限定されず、ファイバーの本数に応じて適宜選択することができ、例えば100nm〜500μmであることができるが、外径は用途によって適宜選択可能である。当該外径は、マイクロ流路の流速によって鋳型ゲルファイバーの直径を制御することによって、選択することができる。当該束状のゲルファイバー集合体の長さは特に限定されないが、数百マイクロメートル以上、好ましくは数ミリメートル以上であり、数センチメートル程度の長さを有する場合もある。
本発明の束状ゲルファイバー集合体は、優れた力学的強度を有し、例えば、3kPa以上、好ましくは4kPa以上のヤング率を有する。また、5kPa以上、好ましくは10kPa以上の単位断面積あたりの破断荷重を有する。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.プレゲル溶液の調製
第1のプレゲル剤としてアルギン酸ナトリウム(Na−Alg)、第2のプレゲル剤としてヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を用いて、マイクロ流路の内流として射出するプレゲル溶液の調製を行った。
まず、当該プレゲル溶液の調製にあたり、第2のプレゲル剤であるHPCが凝集状態となる条件の検討を行った。図4に示すように、HPCは、Na−Algの非存在下ではいずれのpHでも白濁しないが、1wt%のNa−Algの存在下では、HPCが3wt%以上かつpHが13では溶液が白濁し、すなわちHPCが凝集体を形成することが確認された。また、Na−Algの存在下、種々のHPC濃度における白濁の温度依存性を図5に示す。pH7の条件ではHPC濃度にかかわらず室温では白濁を示さないが、pH13の条件では白濁を示した。この結果は、Na−Algの存在下のpH13以上のアルカリ溶液とすることによって、HPCのLCSTが室温以下に制御できることを示すものであり、このことから上記のHPC凝集体の形成が理由付けられる。
2.束状構造を有するゲルファイバー集合体の作製
図6に示す同軸フロー型のマイクロ流路デバイスを用いて、上記のように調製したNa−Alg及びHPCを含むプレゲル溶液を内流として射出し、HPCゲルファイバー集合体を作製した。プレゲル溶液は,所定量の蒸留水中にNa−Algが1.0wt%でかつHPCが2.0〜7.0wt%となるように溶解後、NaOHによってpHを13以上としたものを用いた。Na−Algをイオン架橋によってゲル化するための架橋剤として、塩化カルシウム(CaCl)水溶液を用いた。また、HPCを共有結合によって架橋しゲル化させるための架橋剤として、ジビニルスルホン(DVS)水溶液を用いた。また、アルギン酸ゲルを除去するための除去剤として、クエン酸ナトリウム水溶液を用いた。
具体的な操作手順としては、図7に示すように、マイクロ流路中にプレゲル溶液を内流として射出し(流速:300μL/分)、次いで、外流としてCaCl水溶液を注入し(流速:2.5mL/分)、鋳型となるアルギン酸ゲルのゲルファイバーを形成させた。マイクロ流路から流出したゲルファイバーを容器に捕集し、DVS水溶液を添加してHPCをゲル化した。これにより、アルギン酸ゲルの骨格内部にHPCがゲル化したゲルファイバー複合体を得た。
プレゲル中のHPC濃度が2.0、3.0、4.0、5.0、及び7.0wt%の各条件において、得られたアルギン酸ゲル及びゲルファイバー複合体の光学顕微鏡画像を図8に示す。これによれば、HPC濃度が4.0wt%以上において、HPCがアルギン酸ゲルの骨格内部に繊維状の形状に保持された状態でゲル化されていることが分かった。複合体の直径は、いずれも400μm程度であった。
得られた複合体にクエン酸ナトリウム水溶液を添加し、鋳型のアルギン酸ゲルを分解除去した結果、4.0wt%以上のHPC濃度においてHPCを主骨格とする束状のゲルファイバー集合体が得られることが確認された。HPC濃度が、2.0wt%と7.0wt%の光学顕微鏡像を図9に示す。7.0wt%ではきれいな束状の形成が確認できるのに対し、2.0wt%ではそのような構造は認識されなかった。
3.ゲルファイバー集合体の力学的特性の評価
本発明の束状ゲルファイバー集合体の力学的特性を評価するため、水中における引張試験を行った。具体的には,最終濃度で1%のAlgと7%のHPCよりなる混合水溶液から調製した本発明の束状ゲルファイバー集合体(BF)、及びシリコーンチューブ内(7%HPC水溶液)で形成したHPCのみから構成される比較例の非束状ゲルを水中にて垂直方向に引き上げることで各ゲルが持つヤング率、破断強度を算出した。ファイバーの断面積は、NFでは調製の際に用いたシリコンチューブの内径(500μm)を、BFでは使用したマイクロ流路デバイスから作成される典型的なファイバーの直径(400μm)を用いた。
結果を図10に示す。
図10に示すように、本発明のBFは、比較例NFの約2倍のヤング率を有し、NFよりも著しく大きい単位断面積あたりの破断荷重を有することが明らかとなった。また、BFは、破断までに初期値の3〜5倍程度の伸びを示し(NFは1.5倍程度)、かつ段階的に破断することが観測された。これらの結果は、本発明の束状ゲルファイバー集合体は、非束状のHPCゲルに比して、伸びやすく、かつ切れ難いという優れた力学的特性を有することを示すものである。
4.ゲルファイバー集合体における細胞接着評価
本発明の束状構造を有するゲルファイバー集合体の細胞培養の足場材料への適性を評価した。具体的には,ヒト臍帯静脈由来内皮細胞(HUVECs)を本発明の束状ゲルファイバー集合体(BF)及びシリコーンチューブ内で形成したHPCのみから構成される比較例の非束状ゲル(NF)へそれぞれ播種し、培養2時間後及び48時間後の細胞の接着状況を観察した。
材料は、
・ヒト臍帯静脈由来内皮細胞,EGM2培地
・リピジュア(細胞非接着性ポリマー)
・35mm ペトリディッシュ
・Live/Dead試薬(Calcein−AM,Ethidium homodimer−1)、Hoechst 33342(核染色)
を用いた。実験手順は、以下のとおりである。
1) リピジュア(10 w/v% in ethanol)を35mmペトリディッシュに上に50μL滴下し、クリーンベンチ内で風乾させた。
2) 1にEGM−2を加えBF及びNFファイバーを入れた。
3) 2に細胞を最終濃度100000cells/cmとなるように加えた。
4) シェーカー上でゆっくりと振とうさせながら培養を行った。
5) 倒立顕微鏡を用いて、2時間後、48時間後の細胞を観察した。48時間後については,核をHoecsht33342及びLive/Dead試薬で染色し、細胞の生死と接着形態を評価した。
結果を図11に示す。培養2時間後、HUVECsはBF上へ接着性(丸い形態)を示した。48時間後、接着細胞は減少し、形態は丸い状態で伸展細胞はみられなかった。一方で,NFにおいては,培養48時間後も細胞接着は観察されなかった。以上より,BFは細胞接着性を示したことから細胞足場へ応用可能であることが明らかとなった。
以上の実施例の結果は、同軸フロー型のマイクロ流路デバイスにおいて、流路中の動的流れによるシェアストレスを利用することにより、まず鋳型となるゲルファイバーを形成させたうえ、その骨格中に更なるゲルファイバーを形成させるという2−Stepのゲル化法を用いて、異なる2種のゲルファイバーによって構成される複合体が得られること、そして、当該複合体から鋳型ゲルファイバーを除去することにより、複数のゲルファイバーが束状に集まった新規ゲルファイバー集合体が得られることを実証するものである。また、かかるゲルファイバー集合体が、鋳型ゲルを用いずに作成した非束状のゲルに対して、優れた力学的強度を有し、細胞培養のための足場材料として有用であることを示すものである。従って、本発明のゲルファイバー集合体は、ドラッグデリバリーシステム等の生体材料、或いは刺激応答性のマイクロアクチュエーターへの応用も期待できる。
以上、本発明の具体的態様を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。また、特許請求の範囲に記載の発明には、以上の例示した具体的態様を種々変更したものが含まれ得る。

Claims (21)

  1. 1次元的に伸長した複数本のゲルファイバーが束状となった構造を有するゲルファイバー集合体の製造方法であって、
    a)第1のプレゲル剤及び第2のプレゲル剤を含む溶液を調製する工程、ここで、前記第1のプレゲル剤は前記溶液中に溶解した状態であり、前記第2のプレゲル剤は前記溶液中に凝集した状態で存在する、当該工程、
    b)前記溶液をマイクロ流路に注入する工程、
    c)前記マイクロ流路中に第1の架橋剤を注入することによって、流れ場において前記第1のプレゲル剤をゲル化させて、糸状に伸長した形状を有する鋳型ゲルファイバーを形成する工程、ここで、前記第2のプレゲル剤は前記鋳型ゲルファイバーの骨格内部に束状の形状で保持される、当該工程、
    d)前記鋳型ゲルファイバーを含む溶液に第2の架橋剤を添加することによって、前記鋳型ゲルファイバーの骨格内部に束状の形状で保持された状態で前記第2のプレゲル剤を架橋させ、それにより、前記第2のプレゲル剤が架橋してなるゲルが前記鋳型ゲルファイバーに被覆された構造のゲルファイバー複合体を形成する、当該工程、及び
    e)前記ゲルファイバー複合体を含む溶液にゲル除去剤を添加することによって前記鋳型ゲルファイバーを除去して、束状構造を有するゲルファイバー集合体を得る工程、
    を含む、該方法。
  2. 前記ゲルファイバー集合体が、ハイドロゲルである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1のプレゲル剤のゲル化速度が、前記第2のプレゲル剤のゲル化速度よりも速い、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 前記第2のプレゲル剤が、相転移温度を有する高分子である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記相転移温度を有する高分子が、疎水基と親水基を有する両親媒性高分子である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記相転移温度を有する高分子が、糖鎖高分子である、請求項4又は5に記載の方法。
  7. 前記糖鎖高分子がヒドロキシプロピルセルロースである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記第2の架橋剤が、ジビニルスルホン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、又はグルタルアルデヒドから選択される、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記第1のプレゲル剤が、イオン架橋によってゲル化し得る高分子である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記イオン架橋によってゲル化し得る高分子が、アルギン酸ナトリウム又はアルギン酸カリウムであり、及び前記第1の架橋剤が、2価以上の金属イオンの塩である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記ゲル除去剤が、キレート剤である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記第1のプレゲル剤がアルギン酸ナトリウムであり、前記第2のプレゲル剤がヒドロキシプロピルセルロースである、請求項1に記載の方法。
  13. 前記工程a)で調製される第1のプレゲル剤及び第2のプレゲル剤を含む溶液が、塩基性の水溶液である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記塩基性の水溶液中におけるアルギン酸ナトリウムの濃度が1.0wt%であり、及びヒドロキシプロピルセルロースの濃度が4.0wt%以上である、請求項13に記載の方法。
  15. 1次元的に伸長した複数本のゲルファイバーが束状となった構造を有するゲルファイバー集合体であって、相転移温度を有する高分子が互いに共有結合で架橋された構造を有する、当該ゲルファイバー集合体。
  16. 前記ゲルファイバー集合体が、ハイドロゲルである、請求項15に記載のゲルファイバー集合体。
  17. 100〜500μmの外径を有する、請求項15又は請求項16に記載のゲルファイバー集合体。
  18. 前記相転移温度を有する高分子が、下限臨界溶液温度(LCST)を有する高分子である、請求項15乃至17のいずれか1項に記載のゲルファイバー集合体。
  19. 前記相転移温度を有する高分子が、ヒドロキシプロピルセルロースである、請求項18に記載のゲルファイバー集合体。
  20. 3kPa以上のヤング率を有する、請求項15乃至19のいずれか1項に記載のゲルファイバー集合体。
  21. 5kPa以上の単位断面積あたりの破断荷重を有する、請求項15乃至19のいずれか1項に記載のゲルファイバー集合体。
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