JP2014167138A - 非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器 - Google Patents

非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】磁歪が小さい非晶質合金粉末、この非晶質合金粉末を用いて製造された高性能の圧粉磁心、この圧粉磁心を備えた高性能の磁性素子、およびこの磁性素子を備えた信頼性の高い電子機器を提供すること。
【解決手段】チョークコイル10は、圧粉磁心11と導線12とを有する。圧粉磁心11は、Feが主成分であり、Crが1原子%以上2.5原子%以下の割合で含まれ、Mnが1原子%以上3原子%以下の割合で含まれ、Siが10原子%以上14原子%以下の割合で含まれ、Bが8原子%以上13原子%以下の割合で含まれ、Cが1原子%以上3原子%以下の割合で含まれており、Crの含有率をa原子%とし、Mnの含有率をb原子%とし、Cの含有率をe原子%とするとき、e/(a+b)が0.2以上0.95以下である非晶質合金粉末を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器に関するものである。
近年、ノート型パソコンのようなモバイル機器の小型化・軽量化が顕著である。また、ノート型パソコンの性能は、デスクトップ型パソコンの性能と遜色ない程度まで向上が図られつつある。
このように、モバイル機器の小型化および高性能化を図るためには、スイッチング電源の高周波数化が必要となる。現在、スイッチング電源の駆動周波数は数100kHz程度まで高周波数化が進んでいるが、それに伴って、モバイル機器に内蔵されたチョークコイルやインダクター等の磁性素子の駆動周波数も高周波数化への対応が必要となる。
例えば、特許文献1には、Fe、M(ただし、Mは、Ti、V、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選ばれた少なくとも1種の元素)、Si、B、Cを含む非晶質合金からなる薄帯が開示されている。また、この薄帯を積層し、打ち抜き加工等を施すことにより製造された磁心が開示されている。このような磁心により、交流磁気特性の向上が図られることが期待されている。
しかしながら、薄帯から製造された磁心では、磁性素子の駆動周波数がさらに高周波数化した場合、渦電流によるジュール損失(渦電流損失)の著しい増大が避けられないおそれがある。
かかる問題を解決するため、軟磁性粉末と結合材(バインダー)との混合物を加圧・成形した圧粉磁心が使用されている。
一方、非晶質合金材料で構成された軟磁性粉末は、電気抵抗値が高いため、このような軟磁性粉末を含む磁心では、渦電流損失の抑制が図られることとなる。その結果、高周波における鉄損を低下させることができる。特にFe基非晶質合金は、飽和磁束密度が高いため、磁性デバイス用の軟磁性材料として有用である。
しかしながら、Fe基非晶質合金は磁歪が高いことから、特定周波数下でうなりを発生させるとともに、磁気特性の向上(例えば低保磁力化および高透磁率化)を阻害するという問題がある。
特開2007−182594号公報
本発明の目的は、磁歪が小さい非晶質合金粉末、この非晶質合金粉末を用いて製造された高性能の圧粉磁心、この圧粉磁心を備えた高性能の磁性素子、およびこの磁性素子を備えた信頼性の高い電子機器を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の非晶質合金粉末は、Fe、Cr、Mn、Si、BおよびCが含まれる非晶質合金粉末であって、
Feが主成分であり、
Crが1原子%以上2.5原子%以下の割合で含まれ、
Mnが1原子%以上3原子%以下の割合で含まれ、
Siが10原子%以上14原子%以下の割合で含まれ、
Bが8原子%以上13原子%以下の割合で含まれ、
Cが1原子%以上3原子%以下の割合で含まれており、
Crの含有率をa原子%とし、Mnの含有率をb原子%とし、Cの含有率をe原子%とするとき、e/(a+b)が0.2以上0.95以下であることを特徴とする。
これにより、磁歪が小さい非晶質合金粉末であって、高透磁率と低保磁力とを両立した圧粉磁心を製造可能な非晶質合金粉末が得られる。
また、これにより、非晶質化が特に促進され、結晶磁気異方性が特に小さくなるので、磁歪をとりわけ小さくすることができる。その一方、飽和磁束密度の低下を最小限に抑えられるので、低保磁力と高飽和磁束密度とを高度に両立した圧粉磁心を製造可能な非晶質合金粉末が得られる。
本発明の非晶質合金粉末では、a+bが2.1以上5.3以下であることが好ましい。
これにより、非晶質合金粉末の耐食性が特に向上するとともに、粒子間の電気抵抗の増大を図ることができ、渦電流損失の小さい圧粉磁心を製造可能な非晶質合金粉末が得られる。また、非晶質の原子配置を阻害することなく、磁歪を低下させることができるので、低保磁力化と高透磁率化とを両立させることができる。
本発明の非晶質合金粉末では、b/aが0.4以上1未満であることが好ましい。
これにより、非晶質合金粉末の耐食性が向上するとともに、非晶質化がより進行することとなり、それによって磁歪がより小さくなる。その結果、磁歪がより小さく、耐食性により優れた非晶質合金粉末が得られる。
本発明の非晶質合金粉末では、b/aが1以上2以下であることが好ましい。
これにより、非晶質合金粉末の磁歪がより小さくなる。その結果、磁歪が特に小さい非晶質合金粉末が得られる。
本発明の非晶質合金粉末では、Siの含有率をc原子%とし、Bの含有率をd原子%とするとき、
b/(c+d)が0.04以上0.15以下であることが好ましい。
これにより、Mnの添加による磁歪の低減とSiおよびBによる電気抵抗値の上昇とが互いに打ち消し合うことなく最適化が図られる。その結果、渦電流損失の最小化を図ることができる。また、非晶質合金材料の溶融時において融点が低い状態で酸化マンガンと酸化ケイ素の双方がより多く析出し、非晶質合金粉末の粒子表面の絶縁性の向上を果たすことができる。これにより、飽和磁束密度および透磁率が高く、かつ渦電流損失の小さい圧粉磁心を製造可能な非晶質合金粉末が得られる。
本発明の非晶質合金粉末では、保磁力が4[Oe]以下であることが好ましい。
これにより、圧粉磁心においてヒステリシス損を確実に抑制することができ、鉄損を十分に低下させることができる。
本発明の非晶質合金粉末では、酸素含有率が質量比で150ppm以上3000ppm以下であることが好ましい。
これにより、非晶質合金粉末は、低鉄損、高飽和磁束密度および耐候性を高度に両立し得るものとなる。
本発明の非晶質合金粉末では、水アトマイズ法または高速回転水流アトマイズ法のいずれかで製造されたものであることが好ましい。
これにより、とりわけ速く溶湯を冷却することができるので、広い合金組成において非晶質化度の高い非晶質合金粉末が得られる。
本発明の圧粉磁心は、Fe、Cr、Mn、Si、BおよびCが含まれる非晶質合金粉末を有する圧粉磁心であって、
Feが主成分であり、
Crが1原子%以上2.5原子%以下の割合で含まれ、
Mnが1原子%以上3原子%以下の割合で含まれ、
Siが10原子%以上14原子%以下の割合で含まれ、
Bが8原子%以上13原子%以下の割合で含まれ、
Cが1原子%以上3原子%以下の割合で含まれており、
Crの含有率をa原子%とし、Mnの含有率をb原子%とし、Cの含有率をe原子%とするとき、e/(a+b)が0.2以上0.95以下である非晶質合金粉末を有することを特徴とする。
これにより、高透磁率と低保磁力とを両立した高性能の圧粉磁心が得られる。
本発明の磁性素子は、本発明の圧粉磁心を備えることを特徴とする。
これにより、小型で高性能の磁性素子が得られる。
本発明の電子機器は、本発明の磁性素子を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
本発明の磁性素子の第1実施形態を適用したチョークコイルを示す模式図(平面図)である。 本発明の磁性素子の第2実施形態を適用したチョークコイルを示す模式図(透過斜視図)である。 本発明の磁性素子を備える電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。 本発明の磁性素子を備える電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の磁性素子を備える電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
以下、本発明の非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
[非晶質合金粉末]
本発明の非晶質合金粉末は、必要に応じて粒子表面に絶縁膜が形成され、絶縁性の結着剤を介して粒子同士を結着させるとともに所定の形状に成形されることで、圧粉磁心となる。このような圧粉磁心は、高周波数下での磁気特性に優れることから、各種の磁性素子に用いられている。
本発明の非晶質合金粉末は、Fe、Cr、Mn、Si、BおよびCが含まれる非晶質合金材料で構成された粉末であって、Feが主成分であり、Crの含有率が1原子%以上2.5原子%以下であり、Mnの含有率が1原子%以上3原子%以下であり、Siの含有率が10原子%以上14原子%以下であり、Bの含有率が8原子%以上13原子%以下であり、Cの含有率が1原子%以上3原子%以下であることを特徴とする。そして、Crの含有率をa原子%とし、Mnの含有率をb原子%とし、Cの含有率をe原子%とするとき、e/(a+b)が0.2以上0.95以下であることを特徴とする。
このような非晶質合金粉末は、適量のCrとMnとを含むとともに、各元素の比率が最適化されていることによって磁歪が低いものとなる。したがって、この非晶質合金粉末を用いることにより、磁歪が小さい圧粉磁心を得ることができる。このような圧粉磁心は、低保磁力および高透磁率の特徴を併せ持つものとなるため、高周波数下においても低鉄損であり、かつ高周波数下においても磁気応答性が良好な圧粉磁心が得られる。
以下、非晶質合金粉末についてさらに詳述する。
上述したように、本発明の非晶質合金粉末は、Fe、Cr、Mn、Si、BおよびCが含まれる非晶質合金材料で構成された粉末である。
各元素のうち、Cr(クロム)は、特に非晶質合金材料の耐食性を向上させるよう作用する。これは、Crの添加によって非晶質合金材料がより非晶質化し易くなること、および、Crの酸化物(Cr等)を主とする不働態皮膜が粒子表面に形成されること等に起因していると考えられる。耐食性の向上によって非晶質合金材料の経時的な酸化が抑えられ、酸化に伴う磁気特性の低下や鉄損の増加等を防止することができる。
また、Crは、Mnとともに用いられることで、上記耐食性の向上において相乗的に作用する。すなわち、上述した組成の非晶質合金粉末は、Mnが添加されない場合に比べて、より耐食性の高いものとなる。これは、粒子表面にCrの酸化物を主とする不働態皮膜が形成されるとともに、MnまたはMnの酸化物がこの不働態皮膜に何らかの影響を与え、不働態皮膜の強化につながっているためであると考えられる。しかも、Mnの原子サイズはCrの原子サイズに非常に近いことから、MnとCrを併用したとしても、Crの添加による非晶質化の向上が阻害されないと考えられる。したがって、CrとMnとが適度な割合で添加されていることにより、磁気特性の低下を招くことなくとりわけ耐食性の高い非晶質合金粉末を得ることができる。なお、耐食性の高い非晶質合金粉末は、際限なく酸化が進行することが防止可能であるため、例えば製造、保管が容易であるとともに、耐候性の高い圧粉磁心の実現に寄与する。
さらには、耐食性の高い不働態皮膜の形成により、粒子表面に強固な絶縁性皮膜が形成されることとなる。このため、粒子間に形成される電流経路における電気抵抗(粒子間抵抗)の増大が図られることとなり、渦電流の流れる経路をより小さく分断することができる。その結果、渦電流損失の小さい圧粉磁心を製造可能な非晶質合金粉末が得られる。
非晶質合金粉末に含まれるCrの含有率は、1原子%以上2.5原子%以下である。Crの含有率が前記下限値を下回ると、磁歪の低下が不十分になるため、圧粉磁心の低保磁力化および高透磁率化が図られなくなる。また、耐食性が低下し、例えば非晶質合金粉末の粒子表面に錆が発生して飽和磁束密度等の磁気特性が経時的に悪化することが懸念される。一方、Crの含有率が前記上限値を上回ると、非晶質化が阻害されるため、結晶磁気異方性が大きくなり、磁歪も大きくなる。その結果、圧粉磁心の低保磁力化および高透磁率化が困難になる。また、飽和磁束密度の大幅な低下も招くこととなる。
なお、Crの含有率は、好ましくは1.5原子%以上2.4原子%以下とされ、より好ましくは1.7原子%以上2.3原子%以下とされる。
また、各元素のうち、Mn(マンガン)は、特に非晶質合金材料の磁歪を低下させるよう作用する。磁歪の低下によって保磁力も低下する。これにより、ヒステリシス損が減少し、鉄損が低下するため、高周波数下における鉄損の低減が可能になる。また、磁歪の低下に伴って透磁率が上昇し、高周波の外部磁界に対する磁気応答性が向上する。
このような現象が起きる理由は明確ではないが、Mnの原子サイズがFeの原子サイズに非常に近く、Feの原子をMnの原子によって容易に置換可能であることから、一定量のMnを含むことによって非晶質の原子配置を阻害することなく、磁場印加による長さの変化が抑えられることとなり、その結果、磁歪が低下するためであると考えられる。このようにして低保磁力化および高透磁率化が図られるものと考えられる。しかしながら、過剰なMnの添加は、磁歪の上昇や飽和磁束密度の低下を招くため、Mn添加量の最適化が重要である。
また、Mnは、Crと併用されることにより、上記効果をより顕在化させることができる。その理由についても明らかではないが、理由の1つとして、Mnの原子サイズがCrの原子サイズに非常に近いことから、適量のMnとCrを併用することにより、Crの添加による非晶質化の向上、そしてそれによる磁歪の低下という効果はそのまま維持されつつ、Mnの添加による磁歪の低下という効果が相乗的に加わることが挙げられる。これにより、磁歪を確実に低下させることができ、また、MnとCrを適量ずつ併用することで、その合計の添加量を抑えることができ、MnやCrが添加されることによる飽和磁束密度の低下を抑制することができる。したがって、MnがCrと併用されることによって、低保磁力化および高透磁率化はもとより、飽和磁束密度の向上を図ることができる。
非晶質合金材料に含まれるMnの含有率は、1原子%以上3原子%以下である。Mnの含有率が前記下限値を下回ると、磁歪の低下が限定的になり、低鉄損化および高透磁率化を図ることができない。一方、Mnの含有率が前記上限値を上回ると、非晶質化が阻害されるため、結晶磁気異方性が大きくなり、磁歪も大きくなる。その結果、圧粉磁心の低保磁力化および高透磁率化が困難になる。また、飽和磁束密度の大幅な低下も招くこととなる。
なお、Mnの含有率は、好ましくは1.3原子%以上2.8原子%以下とされ、より好ましくは1.5原子%以上2.5原子%以下とされる。
また、CrとMnは、上述したように併用されることによって上記の効果を奏するが、Crの含有率をa原子%とし、Mnの含有率をb原子%としたとき、a+bは2.1以上5.3以下であるのが好ましく、2.5以上5.0以下であるのがより好ましい。このような関係を満足するようにCrおよびMnが添加されることによって、CrとMnとを併用することによる効果が必要かつ十分に現れるとともに、飽和磁束密度の低下を防ぐことができる。すなわち、a+bが前記下限値を下回ると、CrとMnによる併用効果が十分に現れないおそれがあり、a+bが前記上限値を上回ると、飽和磁束密度が低下するおそれがある。
ここで、CrとMnの各添加量は、前述したように原子サイズが非常に近く、非晶質合金粉末中において全率固溶的に併存させ得ると考えられるが、互いの大小関係を変えることによって非晶質合金粉末の特性を適宜調整することができる。具体的には、b/aを好ましくは0.4以上1未満とし、より好ましくは0.5以上0.9未満とした場合、MnよりCrの添加量が相対的に多くなるので、特にCrを添加したことによる効果が強く現れる。これにより、非晶質合金粉末の耐食性は向上するとともに、非晶質化がより進行することとなり、それによって磁歪がより小さくなる。その結果、磁歪がより小さく、耐食性により優れた非晶質合金粉末が得られる。
一方、b/aを好ましくは1以上2以下とし、より好ましくは1.2以上1.5以下とした場合、CrよりMnの添加量が相対的に多くなるので、特にMnを添加したことによる効果が強く現れる。これにより、非晶質合金粉末の磁歪がより小さくなる。その結果、磁歪が特に小さい非晶質合金粉末が得られる。
また、Siの含有率をc原子%とし、Bの含有率をd原子%としたとき、c+dに対するbの割合が、0.04≦b/(c+d)≦0.15の関係を満足するのが好ましく、0.05≦b/(c+d)≦0.13の関係を満足するのがより好ましく、0.06≦b/(c+d)≦0.12の関係を満足するのがさらに好ましい。これにより、Mnの添加による磁歪の低減とSiおよびBによる電気抵抗値の上昇とが互いに打ち消し合うことなく最適化が図られる。その結果、渦電流損失の最小化を図ることができる。また、非晶質合金材料の溶融時において融点が低い状態で酸化マンガンと酸化ケイ素の双方がより多く析出し、非晶質合金粉末の粒子表面の絶縁性の向上を果たすことができる。これにより、飽和磁束密度および透磁率が高く、かつ渦電流損失の小さい圧粉磁心を製造可能な非晶質合金粉末が得られる。
各元素のうち、C(炭素)は、非晶質合金材料の溶融時の粘性を下げ、非晶質化および粉末化を容易にする。このため、非晶質合金材料の電気抵抗値を高めることができ、非晶質合金粉末の渦電流損失を抑制することができる。また、結晶磁気異方性が小さくなり、磁歪も小さくなる。その結果、圧粉磁心の低保磁力化を図ることができる。さらに、非晶質合金材料の溶融時の粘性が下がることにより、微細化および球形化をより容易に図ることができるようになるので、粒径が小さく比較的真球に近い非晶質合金粉末が得られる。このような非晶質合金粉末は、圧粉成形時の充填性が高いので、成形密度が高い圧粉磁心の製造に寄与する。そして、このような圧粉磁心は、充填率が高いことにより、透磁率および飽和磁束密度に優れたものとなる。
非晶質合金粉末に含まれるCの含有率は、1原子%以上3原子%以下である。Cの含有率が前記下限値を下回ると、非晶質合金材料を溶融したときの粘性が高くなり、非晶質化し難くなるので、電気抵抗値が低下し、渦電流損失が増加したり、磁歪が大きくなるので、低保磁力化が困難になる。一方、Cの含有率が前記上限値を上回ると、かえって非晶質化し難くなり、磁歪の増大を招く。また、相対的にFeの含有率が低下する分、飽和磁束密度が低下することとなる。
なお、Cの含有率は、好ましくは1.3原子%以上2.7原子%以下とされ、より好ましくは1.5原子%以上2.4原子%以下とされる。
また、Cは、前述したCrと同様、非晶質化を促進させると考えられるが、磁気特性の観点から、その添加量が適宜調整されるのが好ましい。具体的には、Cの含有率をe原子%としたとき、a+eは2.2以上5.5以下であるのが好ましく、2.5以上5.0以下であるのがより好ましい。a+eを前記範囲内に設定することにより、飽和磁束密度等の磁気特性の悪化を最小限に抑えつつ、非晶質合金粉末の非晶質化を確実に促進させ、磁歪を十分に小さくすることができる。
さらに、e/(a+b)は、0.2以上0.95以下とされ、好ましくは0.3以上0.9以下、より好ましくは0.4以上0.85以下とされる。このような関係を満足するようにCr、MnおよびCの添加量を設定することにより、非晶質化が特に促進され、結晶磁気異方性が特に小さくなるので、磁歪をとりわけ小さくすることができる。その一方、飽和磁束密度の低下を最小限に抑えられるので、低保磁力と高飽和磁束密度とを高度に両立した圧粉磁心を製造可能な非晶質合金粉末が得られる。
各元素のうち、Si(ケイ素)は、非晶質合金材料の透磁率を高めることに寄与する。また、一定量のSiを添加することにより、非晶質合金材料の電気抵抗値を高めることができるので、非晶質合金粉末の渦電流損失を抑制することができる。さらには、一定量のSiを添加することにより、保磁力も低下させることができる。
非晶質合金材料に含まれるSiの含有率は、10原子%以上14原子%以下とされ、好ましくは10.3原子%以上13.5原子%以下とされ、より好ましくは10.5原子%以上13原子%以下とされる。Siの含有率が前記下限値を下回ると、非晶質合金材料の組成によっては、非晶質合金材料の透磁率および電気抵抗値を十分に高めることができず、外部磁界に対する磁気応答性の向上や渦電流損失の低下を十分に果たすことができないおそれがある。一方、Siの含有率が前記上限値を上回ると、非晶質合金材料の組成によっては、非晶質化が阻害されるとともに、飽和磁束密度が低下し、鉄損の低下と磁気特性の向上とを両立させることができないおそれがある。
各元素のうち、B(ホウ素)は、非晶質合金材料の融点を低下させ、非晶質化を容易にする。このため、非晶質合金材料の電気抵抗値を高めることができ、非晶質合金粉末の渦電流損失を抑制することができる。
非晶質合金材料に含まれるBの含有率は、8原子%以上13原子%以下とされ、好ましくは8.3原子%以上12原子%以下とされ、より好ましくは8.5原子%以上11.5原子%以下とされる。Bの含有率が前記下限値を下回ると、非晶質合金材料の組成によっては、非晶質合金材料の融点を十分に低下させることができず、非晶質化が困難になるおそれがある。一方、Bの含有率が前記上限値を上回ると、非晶質合金材料の組成によっては、飽和磁束密度が低下し、鉄損の低下と磁気特性の向上とを両立させることができないおそれがある。
なお、非晶質合金材料に含まれるSiの含有率をc原子%とし、Bの含有率をd原子%としたとき、(a+b)/(c+d+e)については、0.09≦(a+b)/(c+d+e)≦0.27の関係を満足するのが好ましく、0.12≦(a+b)/(c+d+e)≦0.25の関係を満足するのがより好ましく、0.15≦(a+b)/(c+d+e)≦0.23の関係を満足するのがさらに好ましい。この関係を満足するように各元素を添加することにより、Fe以外の元素の添加量をできるだけ抑えつつ、非晶質化および微細化を促進させることができる。これにより、飽和磁束密度が高く、かつ、磁歪の小さい非晶質合金粉末をより確実に得ることができる。
また、Feは、非晶質合金材料のうち含有率(原子比)が最も高い成分、すなわち主成分であり、非晶質合金粉末の基本的な磁気特性や機械的特性に大きな影響を与える。
なお、Cr、Mn、Si、B、CおよびFe以外に、非晶質合金の特性に悪影響を及ぼさない範囲内で、その他の元素(不純物)が含まれていてもよい。その他の元素としては、例えば、N(窒素)、P(リン)、S(硫黄)、Al、Mg、Sc、Ti、V、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Os、Ir、Pt、Au、Pb、Bi等が挙げられる。これらは意図的に添加されたものであっても、製造時に不可避的に混入するものであってもよいが、いずれの場合であってもその混入量は0.1原子%未満であるのが好ましく、0.05原子%以下であるのがより好ましい。
なお、非晶質合金材料の構成元素および組成比は、例えば、JIS G 1257に規定された原子吸光法、JIS G 1258に規定されたICP発光分析法、JIS G 1253に規定されたスパーク発光分析法、JIS G 1256に規定された蛍光X線分析法、JIS G 1211〜G 1237に規定された重量・滴定・吸光光度法等により特定することができる。具体的には、SPECTRO社製固体発光分光分析装置(スパーク発光分析装置)、モデル:SPECTROLAB、タイプ:LAVMB08Aが挙げられる。
また、C(炭素)およびS(硫黄)の特定に際しては、特に、JIS G 1211に規定された酸素気流燃焼(高周波誘導加熱炉燃焼)−赤外線吸収法も用いられる。具体的には、LECO社製炭素・硫黄分析装置、CS−200が挙げられる。
さらに、N(窒素)およびO(酸素)の特定に際しては、特に、JIS G 1228に規定された鉄および鋼の窒素定量方法、JIS Z 2613に規定された金属材料の酸素定量方法も用いられる。具体的には、LECO社製酸素・窒素分析装置、TC−300/EF−300が挙げられる。
なお、非晶質合金粉末を構成する非晶質合金材料が「非晶質」であるか否かは、例えばX線回折法により得られるスペクトルから判断することができる。具体的には、X線回折スペクトルにおいて、明瞭な回折ピークが認められない場合、その被検物は非晶質であると判断することができる。
また、本発明の非晶質合金粉末の平均粒径は、3μm以上100μm以下であるのが好ましく、4μm以上80μm以下であるのがより好ましく、5μm以上60μm以下であるのがさらに好ましい。このような粒径の非晶質合金粉末を用いることにより、渦電流が流れる経路を短くすることができるので、渦電流損失が十分に抑制された圧粉磁心を得ることができる。
なお、平均粒径は、レーザー回折法により、質量基準で累積量が50%になるときの粒径として求められる。
また、非晶質合金粉末の平均粒径が前記下限値を下回った場合、非晶質合金粉末を加圧・成形する際の成形性が低下するため、得られる圧粉磁心の密度が低下し、圧粉磁心の飽和磁束密度や透磁率が低下するおそれがある。一方、非晶質合金粉末の平均粒径が前記上限値を上回った場合、圧粉磁心中で渦電流が流れる経路が長くなるため、渦電流損失が増大するおそれがある。
また、非晶質合金粉末の粒度分布は、できるだけ狭いのが好ましい。具体的には、非晶質合金粉末の平均粒径が前記範囲内であれば、最大粒径が200μm以下であるのが好ましく、150μm以下であるのがより好ましい。非晶質合金粉末の最大粒径を前記範囲内に制御することにより、非晶質合金粉末の粒度分布をより狭くすることができ、局所的に渦電流損失が増大する等の問題が解消される。
なお、上記の最大粒径とは、質量基準で累積量が99.9%となるときの粒径のことをいう。
また、非晶質合金粉末の粒子の短径をS[μm]とし、長径をL[μm]としたとき、S/Lで定義されるアスペクト比の平均値は、0.4以上1以下程度であるのが好ましく、0.7以上1以下程度であるのがより好ましい。このようなアスペクト比の非晶質合金粉末は、その形状が比較的球形に近くなるので、圧粉成形された際の充填率が高められる。その結果、飽和磁束密度および透磁率の高い圧粉磁心を得ることができる。
なお、前記長径とは、粒子の投影像においてとりうる最大長さであり、前記短径とは、その最大長さに直交する方向の最大長さである。
また、本発明の非晶質合金粉末は、粒子断面の中心部のビッカース硬度が、850以上1200以下であるのが好ましく、900以上1000以下であるのがより好ましい。このような硬度の粒子で構成された非晶質合金粉末は、高硬度ではあるものの、成形時にはわずかに塑性変形可能であり、非晶質合金粉末の充填性を高めるのに寄与する。したがって、ビッカース硬度が前記下限値を下回ると、粒子が変形し易くなるため、充填性は上がるものの、粒子表面に絶縁膜が形成されているとき、粒子の変形に伴って絶縁膜が破れるおそれがある。その結果、渦電流損失が増大するおそれがある。一方、ビッカース硬度が前記上限値を上回ると、成形時に塑性変形し難くなるので、非晶質合金粉末の充填性が低下するおそれがある。
なお、粒子断面の中心部とは、粒子の最大長さである長軸を通過するように粒子を切断したとき、その切断面上の長軸の中点にあたる部位である。また、中心部のビッカース硬度は、マイクロビッカース硬さ試験機により測定することができる。
さらには、本発明の非晶質合金粉末の見かけ密度は、3g/cm以上であるのが好ましく、3.5g/cm以上であるのがより好ましい。このように見かけ密度が大きい非晶質合金粉末を用いて圧粉磁心を製造した場合、各粒子の充填率が高くなるため、特に高密度の圧粉磁心が得られる。これにより、透磁率および飽和磁束密度の特に高い圧粉磁心が得られる。
なお、本発明における見かけ密度は、JIS Z 2504に規定の方法で測定されたものとする。
また、本発明の非晶質合金粉末は、前述したような合金組成を有することにより、好ましくは4[Oe](318A/m)以下、より好ましくは1.5[Oe](119A/m)以下まで低保磁力化が図られる。このような範囲まで低保磁力化が図られることにより、ヒステリシス損を確実に抑制することができ、鉄損を十分に低下させることができる。
なお、非晶質合金粉末の保磁力は、非晶質合金粉末を圧粉成形した圧粉磁心に対し、交流磁気特性を測定可能な交流磁気測定装置により測定することができる。
また、非晶質合金粉末の飽和磁束密度は、できるだけ大きければよいが、0.8T以上であるのが好ましく、1.0T以上であるのがより好ましい。非晶質合金粉末の飽和磁束密度が前記範囲内であれば、性能を落とすことなく圧粉磁心を十分に小型化することができる。
また、本発明の非晶質合金粉末は、微量の酸素を含んでいてもよい。その場合、酸素含有率が質量比で150ppm以上3000ppm以下であるのが好ましく、200ppm以上2500ppm以下であるのがより好ましく、200ppm以上1500ppm以下であるのがさらに好ましい。酸素含有率を前記範囲内に抑えることにより、非晶質合金粉末は、低鉄損、高飽和磁束密度および耐候性を高度に両立し得るものとなる。すなわち、酸素含有率が前記下限値を下回る場合には、非晶質合金粉末の粒径によっては、非晶質合金粉末の粒子に適度な厚さの酸化物被膜が形成されない等の理由から非晶質合金粉末の粒子間絶縁性が低下し、鉄損が増大したり耐候性が低下するおそれがあり、一方、酸素含有率が前記上限値を上回る場合には、酸化物被膜が厚くなり過ぎ、その分、飽和磁束密度等が低下するおそれがある。
以上のような非晶質合金粉末は、例えば、アトマイズ法(例えば、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、高速回転水流アトマイズ法等)、還元法、カルボニル法、粉砕法等の各種粉末化法により製造される。
このうち、本発明の非晶質合金粉末は、アトマイズ法により製造されたものであるのが好ましく、水アトマイズ法または高速回転水流アトマイズ法により製造されたものであるのがより好ましい。アトマイズ法は、溶融金属(溶湯)を、高速で噴射された流体(液体または気体)に衝突させることにより、溶湯を微粉化するとともに冷却して、金属粉末(非晶質合金粉末)を製造する方法である。非晶質合金粉末をこのようなアトマイズ法によって製造することにより、極めて微小な粉末を効率よく製造することができる。また、得られる粉末の粒子形状が表面張力の作用により球形状に近くなる。このため、圧粉磁心を製造したとき充填率の高いものが得られる。すなわち、透磁率および飽和磁束密度の高い圧粉磁心を製造可能な非晶質合金粉末を得ることができる。
なお、アトマイズ法として、水アトマイズ法を用いた場合、溶融金属に向けて噴射される水(以下、「アトマイズ水」という。)の圧力は、特に限定されないが、好ましくは75MPa以上120MPa以下(750kgf/cm以上1200kgf/cm以下)程度とされ、より好ましくは、90MPa以上120MPa以下(900kgf/cm以上1200kgf/cm以下)程度とされる。
また、アトマイズ水の水温も、特に限定されないが、好ましくは1℃以上20℃以下程度とされる。
さらに、アトマイズ水は、溶湯の落下経路上に頂点を有し、外径が下方に向かって漸減するような円錐状に噴射される場合が多い。この場合、アトマイズ水が形成する円錐の頂角θは、10°以上40°以下程度であるのが好ましく、15°以上35°以下程度であるのがより好ましい。これにより、前述したような組成の非晶質合金粉末を、確実に製造することができる。
また、水アトマイズ法(特に高速回転水流アトマイズ法)によれば、とりわけ速く溶湯を冷却することができる。このため、広い合金組成において非晶質化度の高い非晶質合金粉末が得られる。
また、アトマイズ法において溶湯を冷却する際の冷却速度は、1×10℃/s以上であるのが好ましく、1×10℃/s以上であるのがより好ましい。このような急速な冷却により、溶湯の状態における原子配列、すなわち、各種の原子が均一に混じり合った状態が保存されたまま固化に至るので、とりわけ非晶質化度の高い非晶質合金粉末が得られるとともに、非晶質合金粉末の粒子間における組成比のバラツキが抑えられることとなる。その結果、均質で磁気特性の高い非晶質合金粉末が得られる。
また、上述したような方法で製造された後、非晶質合金粉末に対しては必要に応じて焼鈍処理を施すようにしてもよい。この焼鈍処理における加熱条件は、非晶質合金材料における結晶化温度Tx−250℃以上Tx未満の温度範囲であれば、5分以上120分以下の時間範囲であるのが好ましく、非晶質合金材料の結晶化温度Tx−100℃以上Tx未満の温度範囲であれば、10分以上60分以下の時間範囲であるのがより好ましい。このような加熱条件で焼鈍処理を施すことにより、非晶質合金材料で構成された非晶質合金粉末が焼鈍され、粉末製造時に生じた急冷凝固による残留応力を緩和することができる。これにより、残留応力に伴う非晶質合金粉末の歪みが緩和され磁気特性を向上させることができる。
なお、このようにして得られた非晶質合金粉末に対し、必要に応じて、分級を行ってもよい。分級の方法としては、例えば、ふるい分け分級、慣性分級、遠心分級のような乾式分級、沈降分級のような湿式分級等が挙げられる。
また、必要に応じて、得られた非晶質合金粉末を造粒するようにしてもよい。
さらには、必要に応じて、得られた非晶質合金粉末の各粒子表面に絶縁膜を成膜するようにしてもよい。この絶縁膜の構成材料としては、例えば、後述する結合材の構成材料と同様のものが挙げられる。
[圧粉磁心および磁性素子]
本発明の磁性素子は、チョークコイル、インダクター、ノイズフィルター、リアクトル、トランス、モーター、発電機のように、磁心を備えた各種磁性素子に適用可能である。また、本発明の圧粉磁心は、これらの磁性素子が備える磁心に適用可能である。
以下、磁性素子の一例として、2種類のチョークコイルを代表に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の磁性素子の第1実施形態を適用したチョークコイルについて説明する。
図1は、本発明の磁性素子の第1実施形態を適用したチョークコイルを示す模式図(平面図)である。
図1に示すチョークコイル10は、リング状(トロイダル形状)の圧粉磁心11と、この圧粉磁心11に巻き回された導線12とを有する。このようなチョークコイル10は、一般に、トロイダルコイルと称される。
圧粉磁心(本発明の圧粉磁心)11は、本発明の非晶質合金粉末と結合材(バインダー)と有機溶媒とを混合し、得られた混合物を成形型に供給するとともに、加圧・成形して得られたものである。
圧粉磁心11の作製に用いられる結合材の構成材料としては、例えば、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等の有機材料、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、リン酸マンガン、リン酸カドミウムのようなリン酸塩、ケイ酸ナトリウムのようなケイ酸塩(水ガラス)等の無機材料等が挙げられるが、特に、熱硬化性ポリイミドまたはエポキシ系樹脂が好ましい。これらの樹脂材料は、加熱されることによって容易に硬化するとともに、耐熱性に優れたものである。したがって、圧粉磁心11の製造容易性および耐熱性を高めることができる。
また、非晶質合金粉末に対する結合材の割合は、作製する圧粉磁心11の目的とする飽和磁束密度や、許容される渦電流損失等に応じて若干異なるが、0.5質量%以上5質量%以下程度であるのが好ましく、1質量%以上3質量%以下程度であるのがより好ましい。これにより、非晶質合金粉末の各粒子同士を確実に絶縁しつつ、圧粉磁心11の密度をある程度確保して、圧粉磁心11の飽和磁束密度や透磁率が著しく低下するのを防止することができる。その結果、より飽和磁束密度および透磁率が高く、かつ、より低損失の圧粉磁心11が得られる。
また、有機溶媒としては、結合材を溶解し得るものであれば特に限定されないが、例えば、トルエン、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、酢酸エチル等の各種溶媒が挙げられる。
なお、前記混合物中には、必要に応じて、任意の目的で各種添加剤を添加するようにしてもよい。
以上のような結合材により、非晶質合金粉末の粒子同士が結着されるとともに絶縁される。これにより、圧粉磁心11に高周波数で変化する磁場を付与しても、この磁場変化に対する電磁誘導で発生する起電力に伴う誘導電流は、各粒子の比較的狭い領域にしか及ばない。このため、この誘導電流によるジュール損失(渦電流損失)を小さく抑えることができる。また、各粒子の保磁力は小さいので、ヒステリシス損失を小さく抑えることもできる。
一方、導線12の構成材料としては、導電性の高い材料が挙げられ、例えば、Cu、Al、Ag、Au、Ni等の金属材料、またはかかる金属材料を含む合金等が挙げられる。
なお、導線12の表面に、絶縁性を有する表面層を備えているのが好ましい。これにより、圧粉磁心11と導線12との短絡を確実に防止することができる。かかる表面層の構成材料としては、例えば、各種樹脂材料等が挙げられる。
次に、チョークコイル10の製造方法について説明する。
まず、本発明の非晶質合金粉末と、結合材と、各種添加剤と、有機溶媒とを混合し、混合物を得る。
次いで、混合物を乾燥させて塊状の乾燥体を得た後、この乾燥体を粉砕することにより、造粒粉を形成する。
次に、この混合物または造粒粉を、作製すべき圧粉磁心の形状に成形し、成形体を得る。
この場合の成形方法としては、特に限定されないが、例えば、プレス成形、押出成形、射出成形等の方法が挙げられる。なお、この成形体の形状寸法は、以後の成形体を加熱した際の収縮分を見込んで決定される。
次に、得られた成形体を加熱することにより、結合材を硬化させ、圧粉磁心11を得る。このとき、加熱温度は、結合材の組成等に応じて若干異なるものの、結合材が有機材料で構成されている場合、好ましくは100℃以上500℃以下程度とされ、より好ましくは120℃以上250℃以下程度とされる。また、加熱時間は、加熱温度に応じて異なるものの、0.5時間以上5時間以下程度とされる。
以上により、本発明の非晶質合金粉末を加圧・成形してなる圧粉磁心11、および、かかる圧粉磁心11の外周面に沿って導線12を巻き回してなるチョークコイル(本発明の磁性素子)10が得られる。かかるチョークコイル10は、長期にわたる耐食性に優れ、かつ、高周波数域での損失(鉄損)が小さい低損失のものとなる。
また、本発明の非晶質合金粉末によれば、磁気特性に優れた圧粉磁心11を容易に得ることができる。これにより、圧粉磁心11の磁束密度の向上や、それに伴うチョークコイル10の小型化や定格電流の増大、発熱量の低減を容易に実現することができる。すなわち、高性能のチョークコイル10が得られる。
なお、圧粉磁心11の形状は、上述したリング状に限定されず、例えば棒状、E型、I型等の形状であってもよい。
<第2実施形態>
次に、本発明の磁性素子の第2実施形態を適用したチョークコイルについて説明する。
図2は、本発明の磁性素子の第2実施形態を適用したチョークコイルを示す模式図(透過斜視図)である。
以下、第2実施形態にかかるチョークコイルについて説明するが、それぞれ、前記第1実施形態にかかるチョークコイルとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかるチョークコイル20は、図2に示すように、コイル状に成形された導線22を、圧粉磁心21の内部に埋設してなるものである。すなわち、チョークコイル20は、導線22を圧粉磁心21でモールドしてなる。
このような形態のチョークコイル20は、比較的小型のものが容易に得られる。そして、このような小型のチョークコイル20を製造するにあたって、飽和磁束密度および透磁率が大きく、かつ、損失の小さい圧粉磁心21を用いることにより、小型であるにもかかわらず、大電流に対応可能な低損失・低発熱のチョークコイル20が得られる。
また、導線22が圧粉磁心21の内部に埋設されているため、導線22と圧粉磁心21との間に隙間が生じ難い。このため、圧粉磁心21の磁歪による振動を抑制し、この振動に伴う騒音の発生を抑制することもできる。
以上のような本実施形態にかかるチョークコイル20を製造する場合、まず、成形型のキャビティ内に導線22を配置するとともに、キャビティ内を本発明の非晶質合金粉末で充填する。すなわち、導線22を包含するように、非晶質合金粉末を充填する。
次に、導線22とともに、非晶質合金粉末を加圧して成形体を得る。
次いで、前記第1実施形態と同様に、この成形体に熱処理を施す。これにより、チョークコイル20が得られる。
[電子機器]
次いで、本発明の磁性素子を備える電子機器(本発明の電子機器)について、図3〜図5に基づき、詳細に説明する。
図3は、本発明の磁性素子を備える電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部100を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、例えばスイッチング電源用のチョークコイルやインダクター、モーター等の磁性素子1000が内蔵されている。
図4は、本発明の磁性素子を備える電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部100が配置されている。このような携帯電話機1200には、例えばインダクター、ノイズフィルター、モーター等の磁性素子1000が内蔵されている。
図5は、本発明の磁性素子を備える電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて撮像した画像を表示する構成になっており、表示部は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。このようなディジタルスチルカメラ1300にも、例えばインダクター、ノイズフィルター等の磁性素子1000が内蔵されている。
なお、本発明の磁性素子を備える電子機器は、図3のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図4の携帯電話機、図5のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、移動体制御機器類(例えば、自動車駆動用制御機器等)、フライトシミュレーター等に適用することができる。
以上、本発明の非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、前記実施形態では、本発明の非晶質合金粉末の用途例として圧粉磁心を挙げて説明したが、用途例はこれに限定されず、例えば磁性流体、磁気遮蔽シート、磁気ヘッド等の磁性デバイスであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.圧粉磁心およびチョークコイルの製造
(サンプルNo.1)
[1]まず、原材料を高周波誘導炉で溶融するとともに、高速回転水流アトマイズ法(各表では、「回転水」と表記する。)により粉末化して非晶質合金粉末を得た。次いで、目開き150μmの標準ふるいを用いて分級した。得られた非晶質合金粉末の合金組成を表1に示す。なお、合金組成の特定には、SPECTRO社製固体発光分光分析装置(スパーク発光分析装置)、モデル:SPECTROLAB、タイプ:LAVMB08Aを用いた。また、C(炭素)の定量分析には、LECO社製炭素・硫黄分析装置、CS−200を用いた。
[2]次に、得られた非晶質合金粉末について、粒度分布測定を行った。なお、この測定は、レーザー回折方式の粒度分布測定装置(マイクロトラック、HRA9320−X100 日機装株式会社製)により行った。そして、粒度分布から非晶質合金粉末の平均粒径を求めた。
[3]次に、得られた非晶質合金粉末と、エポキシ樹脂(結合材)、トルエン(有機溶媒)とを混合して、混合物を得た。なお、エポキシ樹脂の添加量は、非晶質合金粉末100質量部に対して2質量部とした。
[4]次に、得られた混合物を撹拌したのち、温度60℃で1時間加熱して乾燥させ、塊状の乾燥体を得た。次いで、この乾燥体を、目開き500μmのふるいにかけ、乾燥体を粉砕して、造粒粉末を得た。
[5]次に、得られた造粒粉末を、成形型に充填し、下記の成形条件に基づいて成形体を得た。
<成形条件>
・成形方法 :プレス成形
・成形体の形状:リング状
・成形体の寸法:外径28mm、内径14mm、厚さ10.5mm
・成形圧力 :20t/cm(1.96GPa)
[6]次に、成形体を、大気雰囲気中において、温度450℃で0.5時間加熱して、結合材を硬化させた。これにより、圧粉磁心を得た。
[7]次に、得られた圧粉磁心を用い、以下の作製条件に基づいて、図1に示すチョークコイル(磁性素子)を作製した。
<コイル作製条件>
・導線の構成材料:Cu
・導線の線径 :0.5mm
・巻き数(透磁率等測定時):7ターン
・巻き数(鉄損測定時) :1次側30ターン、2次側30ターン
(サンプルNo.2〜15)
非晶質合金粉末として表1に示すものをそれぞれ用いるようにした以外は、サンプルNo.1と同様にして圧粉磁心を得るとともに、この圧粉磁心を用いてチョークコイルを得た。
Figure 2014167138
(サンプルNo.16〜20)
非晶質合金粉末として表2に示すものをそれぞれ用いるようにした以外は、サンプルNo.1と同様にして圧粉磁心を得るとともに、この圧粉磁心を用いてチョークコイルを得た。
Figure 2014167138
(サンプルNo.21〜23)
非晶質合金粉末として表3に示すものをそれぞれ用いるようにした以外は、サンプルNo.1と同様にして圧粉磁心を得るとともに、この圧粉磁心を用いてチョークコイルを得た。
Figure 2014167138
なお、一部のサンプルNo.のものについては、高速回転水流アトマイズ法に代えて水アトマイズ法(各表では、「W−atm」と表記する。)を用いるようにした。
(サンプルNo.24〜30)
非晶質合金粉末として表4に示すものをそれぞれ用いるようにした以外は、サンプルNo.1と同様にして圧粉磁心を得るとともに、この圧粉磁心を用いてチョークコイルを得た。
Figure 2014167138
なお、一部のサンプルNo.のものについては、高速回転水流アトマイズ法に代えて水アトマイズ法(各表では、「W−atm」と表記する。)を用いるようにした。
(サンプルNo.31〜38)
非晶質合金粉末として表5に示すものをそれぞれ用いるようにした以外は、サンプルNo.1と同様にして圧粉磁心を得るとともに、この圧粉磁心を用いてチョークコイルを得た。
Figure 2014167138
なお、一部のサンプルNo.のものについては、高速回転水流アトマイズ法に代えて水アトマイズ法(各表では、「W−atm」と表記する。)を用いるようにした。
また、各表においては、各サンプルNo.の非晶質合金粉末のうち、本発明に相当するものについては「実施例」、本発明に相当しないものについては「比較例」と示した。
2.非晶質合金粉末、圧粉磁心およびチョークコイルの評価
2.1 非晶質合金粉末の酸素含有率の測定
各実施例および各比較例で得られた非晶質合金粉末について、その酸素含有率を酸素窒素同時分析装置(LECO社製、TC−300/EF−300)により測定した。
2.2 非晶質合金粉末の磁気特性の測定
各実施例および各比較例で得られた非晶質合金粉末について、その保磁力および飽和磁束密度を以下の測定条件に基づいて測定した。
<測定条件>
・測定最大磁界:10kOe
・測定装置 :振動試料型磁力計(玉川製作所製、VSM1230−MHHL)
2.3 チョークコイルの磁気特性の測定
各実施例および各比較例で得られたチョークコイルについて、それぞれの透磁率μ’および鉄損(コアロスPcv)を以下の測定条件に基づいて測定した。
<透磁率μ’の測定条件>
・測定周波数 :100kHz、1000kHz
・測定装置 :インピーダンスアナライザー(日本ヒューレットパッカード社製、HP4194A)
<鉄損(コアロスPcv)の測定条件>
・測定周波数 :100kHz
・最大磁束密度:50mT
・測定装置 :交流磁気特性測定装置(岩通計株式会社製、B−HアナライザSY8258)
2.4 耐食性の評価
各実施例および各比較例で得られたチョークコイルについて、それぞれの高温高湿環境下での外観を観察、比較することにより、圧粉磁心の耐食性を評価した。
なお、高温高圧環境の作製は恒温恒湿機(大研理化学器械製)で行い、温度85℃、相対湿度90%とした。この高温高湿環境下にチョークコイルを入れ、5日間経過後の外観を試験前のものと比較し、以下の評価基準にしたがって評価した。
<耐食性の評価基準>
◎◎:さびが発生した面積が表面積の1%未満である
◎ :表面積の1%以上10%未満にさびの発生が認められる
〇 :表面積の10%以上25%未満にさびの発生が認められる
△ :表面積の25%以上50%未満にさびの発生が認められる
× :表面積の50%以上にさびの発生が認められる
以上の評価結果を各表に示す。
各表から明らかなように、各実施例で得られた非晶質合金粉末およびチョークコイルは、保磁力が小さく、透磁率μ’が高いことが認められた。このことから、このチョークコイルに用いられた非晶質合金粉末は、各比較例で得られた非晶質合金粉末に比べて、磁歪が小さいものであると認められる。また、各実施例で得られた非晶質合金粉末およびチョークコイルは、優れた耐食性を示すことが認められた。
10、20……チョークコイル 11、21……圧粉磁心 12、22……導線 100……表示部 1000……磁性素子 1100……パーソナルコンピューター 1102……キーボード 1104……本体部 1106……表示ユニット 1200……携帯電話機 1202……操作ボタン 1204……受話口 1206……送話口 1300……ディジタルスチルカメラ 1302……ケース 1304……受光ユニット 1306……シャッターボタン 1308……メモリー 1312……ビデオ信号出力端子 1314……入出力端子 1430……テレビモニター 1440……パーソナルコンピューター

Claims (11)

  1. Fe、Cr、Mn、Si、BおよびCが含まれる非晶質合金粉末であって、
    Feが主成分であり、
    Crが1原子%以上2.5原子%以下の割合で含まれ、
    Mnが1原子%以上3原子%以下の割合で含まれ、
    Siが10原子%以上14原子%以下の割合で含まれ、
    Bが8原子%以上13原子%以下の割合で含まれ、
    Cが1原子%以上3原子%以下の割合で含まれており、
    Crの含有率をa原子%とし、Mnの含有率をb原子%とし、Cの含有率をe原子%とするとき、e/(a+b)が0.2以上0.95以下であることを特徴とする非晶質合金粉末。
  2. a+bが2.1以上5.3以下である請求項1に記載の非晶質合金粉末。
  3. b/aが0.4以上1未満である請求項2に記載の非晶質合金粉末。
  4. b/aが1以上2以下である請求項2に記載の非晶質合金粉末。
  5. Siの含有率をc原子%とし、Bの含有率をd原子%とするとき、
    b/(c+d)が0.04以上0.15以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の非晶質合金粉末。
  6. 保磁力が4[Oe]以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の非晶質合金粉末。
  7. 酸素含有率が質量比で150ppm以上3000ppm以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の非晶質合金粉末。
  8. 水アトマイズ法または高速回転水流アトマイズ法のいずれかで製造されたものである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の非晶質合金粉末。
  9. Fe、Cr、Mn、Si、BおよびCが含まれる非晶質合金粉末を有する圧粉磁心であって、
    Feが主成分であり、
    Crが1原子%以上2.5原子%以下の割合で含まれ、
    Mnが1原子%以上3原子%以下の割合で含まれ、
    Siが10原子%以上14原子%以下の割合で含まれ、
    Bが8原子%以上13原子%以下の割合で含まれ、
    Cが1原子%以上3原子%以下の割合で含まれており、
    Crの含有率をa原子%とし、Mnの含有率をb原子%とし、Cの含有率をe原子%とするとき、e/(a+b)が0.2以上0.95以下である非晶質合金粉末を有することを特徴とする圧粉磁心。
  10. 請求項9に記載の圧粉磁心を備えることを特徴とする磁性素子。
  11. 請求項10に記載の磁性素子を備えることを特徴とする電子機器。
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