JP2014167059A - 遷移金属含有含窒素高分子材料、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】各種電極材料用途において、多くの触媒の活性点を形成可能な遷移金属含有含窒素高分子材料を得る。
【解決手段】下記(i)〜(ii)の条件を満たす、遷移金属含有含窒素高分子材料。
(i)炭素原子に対する窒素原子のモル比率が0.3以上である。
(ii)遷移金属含有含窒素高分子材料の粒子の断面において、外周から内部へ少なくとも2μm以上の距離を有する領域における遷移金属濃度が0.01質量%以上15質量%以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、遷移金属含有含窒素高分子材料、及びその製造方法に関する。
従来から、含窒素炭素材料は電極材料として、具体的には、リチウムイオン二次電池負極、キャパシタ用電極、及び燃料電池電極の酸化還元触媒としての用途が有望視されている。
このような含窒素炭素材料の前駆体としては、青酸重合物、ポリアクリロニトリル、メラミン樹脂、尿素樹脂等の、含窒素高分子材料が有望であると考えられている。
前記含窒素高分子材料に関しては、従来から各種提案がなされている。
例えば、特許文献1には、青酸重合物が分子構造中に高い含有量で窒素原子を有することから、新規な含窒素炭素材料の前駆体として有用であることが記載されており、当該青酸重合物に不活性ガスで賦活処理を行い、燃料電池電極の酸化還元触媒用の含窒素炭素材料を製造する方法が記載されている。
また、特許文献2には、燃料電池電極触媒として、前記青酸重合物よりもさらに酸素還元活性を向上させるために、青酸重合物に鉄等の遷移金属を混合する技術が記載されている。詳細には、青酸重合物と遷移金属前駆体とを適切な溶媒下で混合した後に溶媒を除去することにより表面に遷移金属成分を担持した青酸重合物の製造方法及び当該遷移金属成分を表面に担持した青酸重合物に対して不活性ガスにより賦活処理を行うことにより燃料電池電極用の含窒素炭素材料を製造する技術が開示されている。
国際公開第2007/043311号 特開2011−256093号公報
上述したように、含窒素高分子材料は、含窒素炭素材料の前駆体として有望視されているが、燃料電池電極用触媒としての用途に鑑み、酸化還元活性をさらに向上させる技術が望まれている。
しかしながら、上述した引用文献2に記載されている技術のように、表面に遷移金属成分を担持させた青酸重合物においては、金属成分が偏析してしまうために、効率的に触媒の活性点を創出するのは困難であるという問題を有している。
本発明においては、従来技術の問題的に鑑みなされたものであり、より多くの触媒の活性点が形成可能な新規な遷移金属含有含窒素高分子材料、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、所定の炭素原子に対する窒素原子のモル比率を有し、かつ遷移金属含有含窒素高分子材料の断面において所定の遷移金属濃度を有する遷移金属含有含窒素高分子材料が、各種電極材料用途において、多くの触媒の活性点を形成可能であることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
下記(i)〜(ii)の条件を満たす、遷移金属含有含窒素高分子材料。
(i)炭素原子に対する窒素原子のモル比率が0.3以上である。
(ii)遷移金属含有含窒素高分子材料の粒子の断面において、外周から内部へ少なくとも2μm以上の距離を有する領域における遷移金属濃度が0.01質量%以上15質量%以下である。
〔2〕
前記(ii)の条件が、
(ii)遷移金属含有含窒素高分子材料の粒子の断面において、外周から内部へ少なくとも2μm以上の距離を有する、5μm四方で囲まれた領域における、SEM−EDX面分析測定により遷移金属濃度が0.01質量%以上15質量%以下、
である、前記〔1〕に記載の遷移金属含有含窒素高分子材料。
〔3〕
炭素原子に対する窒素原子のモル比率が0.3以上の含窒素モノマーを重合する工程において、遷移金属化合物を混合することにより製造される、前記〔1〕又は〔2〕に記載の遷移金属含有含窒素高分子材料。
〔4〕
炭素原子に対する窒素原子のモル比率が0.3以上の含窒素モノマーに、遷移金属化合物を混合し、その後、当該含窒素モノマーを重合することにより製造される、前記〔1〕又は〔2〕に記載の遷移金属含有含窒素高分子材料。
〔5〕
炭素原子に対する窒素原子のモル比率が0.3以上の含窒素モノマーを重合する、重合工程を有し、
前記重合工程中、遷移金属化合物を混合する、遷移金属含有含窒素高分子材料の製造方法。
〔6〕
炭素原子に対する窒素原子のモル比率が0.3以上の含窒素モノマーに、遷移金属化合物を混合し、当該含窒素モノマーを重合する重合工程を有する、遷移金属含有含窒素高分子材料の製造方法。
本発明によれば、各種電極材料用途において、多くの触媒の活性点を形成可能な遷移金属含有含窒素高分子材料、及びその製造方法が得られる。
本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料の、断面加工された粒子のSEM−EDX像の一例の模式図を示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。
本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔遷移金属含有含窒素高分子材料〕
本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料は、
下記(i)、(ii)の条件を満たす、遷移金属含有含窒素高分子材料である。
(i)炭素原子に対する窒素原子のモル比率が0.3以上である。
(ii)遷移金属含有含窒素高分子材料の粒子の断面において、外周から内部へ少なくとも2μm以上の距離を有する領域における、遷移金属濃度が、0.01質量%以上15質量%以下である。
(含窒素高分子材料)
本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料を構成する、含窒素高分子材料は、含窒素モノマーの重合体である。含窒素高分子材料の前駆体である含窒素モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、青酸、ジアミノマレオニトリル、アクリロニトリル、メラミン、尿素等が挙げられる。これらのモノマーについては後述する。
(炭素原子に対する窒素原子のモル比率)
本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料は、分子中に窒素原子を含む高分子材料に、さらに、遷移金属が含有されている構成を有している。
本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料は、炭素原子に対する窒素原子のモル比率(以下、「N/C」という場合がある。)が0.3以上である。
N/Cが0.3以上であることにより、含窒素高分子材料を前駆体として、焼成などの方法で含窒素炭素材料を調製した際に、窒素含有量の高い含窒素高分子材料を得ることができる。
遷移金属含有含窒素高分子材料のN/Cの値は、用いる含窒素モノマーのN/Cの値や、重合工程における窒素の脱離が反映されるため、含窒素モノマーや重合工程の条件の選択によって上限値が定まる。
N/Cが0.3以上の高分子材料としては、以下に限定されるものではないが、例えば、青酸重合物、ポリアクリロニトリル、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアミノマレオニトリル重合物等が挙げられる。
N/Cは、好ましくは0.6以上であり、より好ましくはN/C0.8以上である。そのような高分子材料として、青酸重合物、ジアミノマレオニトリル重合物、メラミン樹脂が挙げられる。
N/Cは、CHN分析装置を用いて、酸素とヘリウムを流通させて燃焼させる方法で分析を行い、求めることができ、具体的には、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
(遷移金属成分)
遷移金属成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、ランタノイド元素、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Auの元素、又はこれらの化合物が挙げられる。
好ましくは、含窒素炭素材料として燃料電池電極触媒として用いた際の、酸素還元活性の観点から、Fe、Co、Ni、Pt、Auの元素又はこれらの化合物であり、より好ましくは、Feの元素又はその化合物である。
(遷移金属濃度)
本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料は、当該遷移金属含有含窒素高分子材料の粒子の断面において、外周から内部へ少なくとも2μm以上の距離を有する領域における、遷移金属濃度が0.01質量%以上15質量%以下である。
遷移金属濃度を測定する領域は、粒子の断面において現れる、外周から内部へ少なくとも2μm以上の距離を有する領域であるものとし、例えば、5μm四方で囲まれた領域(以下、濃度測定用領域と記載する場合がある。)を選択して測定することが好ましい例として挙げられる。
本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料においては、粒子内部に、確実に遷移金属が均一に分散していることが好ましいという観点から、前記濃度測定用領域は、外周から内部へ少なくとも2μm以上の距離を有する部分を選択することが好ましく、5μm以上の距離を有する部分を選択することがより好ましく、7μm以上の距離を有する部分を選択することがさらに好ましい。外周から内部へ少なくとも2μm以上の距離を有するように領域を選択することにより、重合物粒子の内部まで遷移金属が均一に分散していることを確認できる。
前記濃度測定用領域は、7μm四方で囲まれた領域であることがより好ましく、10μm四方で囲まれた領域であることがさらに好ましい。5μm以上の四方で囲まれた領域を選択することにより、遷移金属濃度測定の精度を上げることができる。
遷移金属含有量は、例えば、断面加工された遷移金属含有含窒素高分子材料の粒子の、外周から内部へ少なくとも2μm以上の距離がある5μm四方で囲まれた領域に対し、SEM−EDX面分析測定を行うことにより測定することができる。
測定粒子数は、例えば20個以上であることが好ましく、50個以上であることがより好ましく、100個以上であることがさらに好ましい。遷移金属含有量は、測定値の平均値であるものとする。
遷移金属含有量を測定する際、遷移金属含有含窒素高分子材料の粒子の断面加工は、測定用の粒子を、エポキシ樹脂で包埋し、Arイオンミリングを行うことにより実施できる。さらに、Osコーティングを施した上で、SEM−EDX装置を用いて、加速電圧20kVの条件で測定することにより、当該遷移金属含有含窒素高分子材料の内部における遷移金属濃度が得られる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
図1に、本実施形態における遷移金属含有含窒素高分子材料の、断面加工された粒子のSEM−EDX像の一例の模式図を示す。
なお、図1は、SEM−EDX面分析測定による遷移金属濃度の測定方法を説明するための図であって、本実施形態における遷移金属含有含窒素高分子材料から得られるSEM−EDX像を何ら限定するものではない。
図1に示すように、SEM−EDX面分析測定は、枠線で囲った領域、すなわち粒子の外周から内部へ少なくとも2μm以上の距離がある例えば5μm四方の領域に対して実施することができる。このように測定領域を限定することで、粒子内部の遷移金属濃度を効率よく測定することができる。また、この広さの領域を確保できない微粒子については、測定精度の観点から測定対象から外すことが好ましい。このような粒子に対して遷移金属濃度を測定し、その平均値を、含窒素高分子材料中の遷移金属濃度とみなす。
上述したように、本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料の粒子断面において測定される、内部の遷移金属濃度は、0.01質量%〜15質量%である。
遷移金属濃度が0.01質量%以上であると、十分な酸化還元活性が得られ、15質量%以下とすることにより、遷移金属成分の凝集や析出を防止することができる。
好ましくは0.1質量%〜10質量%であり、特に好ましくは0.3質量%〜5質量%である。
本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料は、遷移金属成分が、粒子の内部にまで分散している点に特徴を有している。
遷移金属成分が分散していると、均一な物性が得られ、品質が一定に保たれるという利点を有する。さらに、遷移金属含有含窒素高分子材料を炭化し、含窒素炭素材料とした場合、燃料電池用負極に用いられる酸化還元触媒としての活性点が多く得られ、活性向上効果が得られる。また炭化処理後も表出しない遷移金属成分は、遷移金属含有含窒素高分子材料をボールミル粉砕等の方法で微粉化することにより、活性点を表面に出すことが可能である。本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料において、遷移金属成分の粒子形状は特に限定されない。
〔遷移金属含有含窒素高分子材料の製造方法〕
本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料の製造方法を説明する。
本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料の製造方法は、炭素原子に対する窒素原子のモル比率が0.3以上の含窒素モノマー(以下、含窒素モノマーと称す)を重合する工程(以下、重合工程と記載する場合がある。)を有し、当該重合工程前、又は重合工程中において、遷移金属化合物を混合する。
なお、含窒素モノマーの重合工程とは、含窒素モノマー溶液と、後述する塩基性化合物やラジカル発生剤等の重合開始剤とを混合し、又は含窒素モノマー溶液を加熱することにより重合を開始し、重合物を単離するまでを言う。
重合物を単離するとは、溶媒や原料、触媒等を、ろ過、蒸留等の方法で除去して重合物を得ることを言う。
(含窒素モノマー)
本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料のN/Cは、上述したように0.3以上である。このような重合物を得るためには、前駆体である含窒素モノマーとして、炭素原子に対する窒素原子のモル比率(N/C)が0.3以上の含窒素モノマーを使用すればよい。N/Cが0.3以上の含窒素モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、青酸、ジアミノマレオニトリル、アクリロニトリル、メラミン、尿素等が挙げられる。
なお、含窒素モノマーのN/Cは、当該含窒素モノマーの分子構造から判断することができ、複数種類のモノマーを組み合わせる場合は、各モノマーのN/C値と、混合モル比率から全体のN/Cを判断することができる。
<青酸>
青酸は、公知の方法で製造されるものを用いることができる。
以下に限定されるものではないが、例えば、プロピレン、イソブチレン、tert−ブチルアルコール、プロパン、又はイソブタンを、所定の触媒存在下にアンモニア、酸素含有ガスと反応させる気相接触反応によって、アクリロニトリルやメタクリロニトリルを製造する工程で副生させることができる。
このとき、メタノール等、アンモ酸化反応によって青酸を生成するような原料を、反応器に供給することにより青酸を得てもよく、青化ソーダ等を用いる実験室的な方法によって青酸を得てもよい。
<ジアミノマレオニトリル>
ジアミノマレオニトリルは、市販品を用いてもよいし、公知の方法(例えば、特開昭49−126619号公報、特開昭60−651158号公報等参照)に基づき製造してもよい。
ジアミノマレオニトリルは、再結晶等の方法により精製して純度を高めてもよいし、無精製のものを用いてもよい。
アクリロニトリルの製造方法としては、例えば、プロピレン、又はプロパンを所定の触媒存在下で、アンモニア、酸素含有ガスと反応させる気相接触反応方法が挙げられる。
<メラミン>
メラミンは、市販品を用いてもよいし、公知の方法で製造してもよい。
メラミンの製造方法としては、例えば、尿素を原料として、0.1〜1.0MPaの圧力にてアルミナやシリカを触媒とし、350〜400℃の条件下で反応させる方法が挙げられる。
<尿素>
尿素は、市販品を用いてもよいし、公知の方法で製造されるものを用いることができる。
尿素の製造方法としては、例えば、工業的にアンモニアと二酸化炭素から合成する方法、実験室的にシアン酸アンモニウムの熱分解により合成する方法等が挙げられる。
(溶媒)
前記各種含窒素モノマーは、溶媒と混合して含窒素モノマー溶液として用いることが好ましい。
含窒素モノマー溶液の溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)、アセトン、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、塩素系炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、四塩化炭素等)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、ラクタム類(N−メチル−2−ピロリドン等)、ジメチルスルホキシド、脂肪族炭化水素類(n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)、等が挙げられる。特に、水、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等が、モノマーの溶解度、重合速度、遷移金属化合物の溶解度等の観点から好ましいく、これらを用いることにより、反応系内に金属化合物を十分に溶解させることができ、均一な遷移金属含有含窒素高分子材料を製造することができる。
含窒素モノマー溶液中の含窒素モノマー濃度は1〜99質量%であることが好ましい。
含窒素モノマー濃度を1質量%以上とすることにより、実用上十分な重合速度を確保でき、99質量%以下とすることにより、急激な重合熱の発生を防止できる。好ましくは5〜90質量%、より好ましくは15〜60質量%であり、さらに好ましくは25〜50質量%である。
(重合工程)
含窒素モノマーの重合により、含窒素高分子材料を得る重合工程は、それぞれの含窒素モノマーに適した方法を用いて行う。
青酸を用いる場合は、塩基性化合物やラジカル発生剤等の重合開始剤を添加して重合してもよく、熱的に重合してもよい。
ジアミノマレオニトリルを用いる場合は、後述する塩基性化合物やラジカル発生剤等の重合開始剤を添加して重合してもよく、熱的に重合してもよい。
アクリロニトリルを用いる場合は、後述する塩基性化合物やラジカル発生剤等の重合開始剤を添加して重合することができる。
メラミンを用いる場合は、後述する塩基性化合物を添加してホルムアルデヒドと重縮合することによりメチロールメラミンとし、さらに加熱して網目状に架橋させることにより、メラミン樹脂が得られる。
尿素を用いる場合は、後述する塩基性化合物を添加してホルムアルデヒドと重縮合し、メタノールでエーテル化することにより尿素樹脂が得られる。
前記塩基性化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、アンモニア水、第1級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、カテコールアミン、フェネチルアミン、アマンタジン、トルイジン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、アリルアミン等)、第2級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等)、第3級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、N−メチルピロリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエタノールアミン等)、第4級アミン(テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド等)、環状アミン(ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピリミジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等)、多価アミン(トリメチレンジアミン、エチレンジアミン、ジエチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンエキサミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,2,3−トリアミノプロパン、トリアミノベンゼン、トリアミノフェノール、メラミン、スペルミジン、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、スペルミン等)、アルカリ金属塩(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化フランシウム、シアン化ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、シアン化カリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、ホウ酸カリウム、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウム、酸化フランシウム等)、アルカリ土類金属水酸化物(水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化ラジウム、シアン化マグネシウム、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、シアン化カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム等)、金属アルコキシド(リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウム−tert−ブトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、アルミニウムトリブトキシド等)、有機金属化合物(ジエチルマグネシウム、トリエチルアルミニウム、フェニルリチウム等)、グリニャール試薬(フェニルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、アリルマグネシウムヨージド等)、金属アミド化合物(リチウムアミド、琥珀酸イミドカリウム、アセトアミドカリウム等)が挙げられる。
これらの塩基性化合物の中でも、重合反応促進、取扱の容易さ、含窒素高分子材料の精製工程の観点から、アンモニア水、ジエチルアミン、トリエチルアミン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、等アミン類、シアン化カリウム等アルカリ金属塩、リチウム−tert−ブトキシド等金属アルコキシド等が好ましい。
前記ラジカル発生剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、油溶性アゾ系化合物(2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロ二トリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、[(シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド等)、水溶性アゾ系化合物(2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等)、有機過酸化物(ジイソブチリルパーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、tert−ブチルパーオキシマレイン酸、tert−ヘキシルパーオキシベンゾネート等)が挙げられる。
これらのラジカル発生剤の中でも、重合反応促進、取扱の容易さ、含窒素高分子材料の精製工程の観点から、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等の油溶性アゾ系化合物等が好ましい。
含窒素モノマーに混合する塩基性化合物及びラジカル発生剤等の重合開始剤のモル数aと、含窒素モノマーのモル数bとの比率xは、式(I)のように定義される。

x = a / b ・・・(I)
式(I)において、xは0.00001〜1であることが好ましい。より好ましくは0.0001〜0.1であり、さらに好ましくは0.001〜0.01である。
xが0.00001以上とすることにより、十分な反応速度を確保でき、1以下とすることにより、高分子量化を図ることができる。
(遷移金属化合物の混合)
本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料の製造方法においては、遷移金属化合物を混合する。遷移金属化合物を混合するタイミングは、重合工程で徐々に遷移金属成分が重合物に取り込まれることを考慮し、遅くとも重合物を単離するまでとする。すなわち重合工程前または重合工程中とし、重合物粒子の遷移金属の均一性の観点から、重合工程前の段階で、遷移金属化合物を混合することがより好ましい。
含窒素モノマーと遷移金属化合物とを混合させる際には、含窒素モノマーに対して遷移金属化合物を添加しておいてもよいし、溶媒に対して遷移金属化合物を添加しておいてもよいし、含窒素モノマー溶液に対して遷移金属化合物を添加してもよいし、塩基性化合物やラジカル発生剤等の重合開始剤に対して遷移金属化合物を添加しておいてもよい。メラミンや尿素を重合する場合、これらの原料となるホルムアルデヒドに対して遷移金属化合物を添加しておいてもよい。
遷移金属化合物は、含窒素モノマーの重合工程を実施する際、モノマーや溶媒、重合開始剤に溶解するものであればよい。
含窒素モノマーの重合が開始され、その重合度が増加するに伴い、重合系中に存在する遷移金属化合物が重合物中に取り込まれることにより、遷移金属成分が重合物粒子の内部に均一分散した本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子が製造できる。
遷移金属化合物は、それぞれの含窒素モノマーの重合条件に合わせて、選択することができる。
ここで「重合条件」とは、反応系の液性(特に塩基性度)、温度を言い、例えば重合条件が強塩基性の場合、遷移金属化合物としては、水酸化物より安定なシアノ錯体を選択することが好ましい。
遷移金属化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、シアノ錯体、ヒドロキシ錯体、クロロ錯体、アセチルアセトナート錯体、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、亜硝酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、又は種々の有機金属化合物等が挙げられる。好ましくは、反応系への溶解性、遷移金属成分の沈殿生成のしにくさの観点から、シアノ錯体、クロロ錯体、アセチルアセトナート錯体、硝酸塩、塩化物、臭化物であり、より好ましくはシアノ錯体、硝酸塩である。
前記シアノ錯体は、遷移金属と配位子との結合力が強いため、溶液の液性に関わらず沈殿物を形成しにくい傾向がある。例えば、鉄シアノ錯体であれば、鉄とシアノ基との結合が強固であるため、塩基性条件下でも水酸基との結合を妨げて沈殿物を形成しない。よって、シアノ錯体は、効率良く含窒素重合物の内部に取り込まれ、好適である。
本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料の製造方法において、含窒素モノマーの重合反応は塩基性条件下で進行するため、同条件下で沈殿を形成しにくいシアノ錯体は、特に有用である。重合環境下においてシアノ錯体を形成する遷移金属化合物も、シアノ錯体と同様に使用することができる。
例えば、重合工程において青酸重合を実施する際、遷移金属化合物として硝酸鉄(III)九水和物を使用する場合、3価の鉄イオンは通常は塩基性条件下で水酸化鉄(III)となり沈殿を形成するが、青酸やシアンイオンが存在する青酸重合反応環境では、水酸基よりシアノ基の方が鉄との結合が強く、配位子が置換され、シアノ錯体を形成するため、溶解した状態を保つことができる。同様に、通常は溶媒に溶解しない遷移金属化合物でも、上記と同様にシアノ基との配位子置換が起きてシアノ錯体を形成し、溶解するものであれば、好ましく使用することができる。
以下、本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料の製造方法において、含窒素モノマーと混合する遷移金属化合物の具体的な材料を挙げる。
遷移金属化合物としては、用途に応じて各種材料を選択でき、以下に限定されるものではないが、例えば、鉄原料、コバルト原料、ニッケル原料、白金原料、及び金原料が、特に好ましい材料として挙げられる。
<鉄原料>
鉄原料としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサシアノ鉄(II)酸アンモニウム三水和物、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物、ヘキサシアノ鉄(III)酸アンモニウム、ヘキサシアノ鉄(III)カリウム、ヘキサシアノ鉄(II)酸ナトリウム十水和物、ヘキサシアノ鉄(III)酸ナトリウム一水和物、硝酸鉄(II)六水和物、硝酸鉄(III)九水和物、塩化鉄(II)、塩化鉄(II)四水和物、塩化鉄(III)、塩化鉄(III)六水和物、臭化鉄(II)、臭化鉄(II)六水和物、臭化鉄(III)、臭化鉄(III)六水和物、チオシアン酸鉄(III)、炭酸鉄(II)、炭酸鉄(II)一水和物、ヘキサクロロ鉄(III)酸メチルアンモニウム、テトラクロロ鉄(II)酸テトラメチルアンモニウム、ペンタシアノニトロシル鉄(III)酸カリウム二水和物、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム鉄(III)水和物、ペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム二水和物、アンミンペンタシアノ鉄(II)酸ナトリウム三水和物、アクアペンタシアノ鉄(II)酸ナトリウム七水和物、チオシアン酸鉄(II)三水和物、酢酸鉄、シュウ酸鉄(III)五水和物、シュウ酸鉄(II)二水和物、クエン酸鉄(III)三水和物、ヨウ化鉄(II)、ヨウ化鉄(II)四水和物、硫酸鉄(III)、硫酸鉄(III)九水和物、テトラクロロ鉄(II)酸アンモニウム、過塩素酸鉄(II)六水和物、過塩素酸鉄(III)六水和物、アクアペンタフルオロ鉄(III)酸カリウム、硫酸カリウム鉄(III)十二水和物、ビス(スルファト)鉄(II)二アンモニウム六水和物、トリス(硫酸)鉄(III)酸ナトリウム三水和物、リン酸鉄(III)二水和物、リン酸鉄(II)八水和物、硫酸鉄(II)七水和物等が挙げられる。モノマー、溶媒への溶解性、沈殿生成が起きにくいとの観点から、好ましくは、ヘキサシアノ鉄(II)酸アンモニウム三水和物、ヘキサシアノ鉄(III)カリウム、硝酸鉄(III)九水和物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせてもよい。
<コバルト原料>
コバルト原料としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサシアノコバルト(III)酸カリウム、硝酸コバルト(II)六水和物、フッ化コバルト(II)、臭化コバルト(II)、臭化コバルト(II)六水和物、炭酸コバルト(II)、チオシアン酸コバルト(II)三水和物、酢酸コバルト(II)四水和物、酢酸コバルト(III)、塩化コバルト(II)、塩化コバルト(II)六水和物、テトラクロロコバルト(II)酸セシウム、ヘキサフルオロコバルト(III)酸カリウム、ヨウ化コバルト(II)、ヨウ化コバルト(II)六水和物、ヘキサニトロコバルト(III)酸カリウム、リン酸コバルト(II)、リン酸コバルト(II)八水和物、硫酸コバルト(II)、硫酸コバルト(II)七水和物等が挙げられる。モノマー、溶媒への溶解性、沈殿生成が起きにくいとの観点から、好ましくは、ヘキサシアノコバルト(III)酸カリウム、硝酸コバルト(II)六水和物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせてもよい。
<ニッケル原料>
ニッケル原料としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラシアノニッケル(II)酸カリウム一水和物、硝酸ニッケル(II)六水和物、フッ化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)二水和物、ビス(炭酸)六水酸化五ニッケル(II)四水和物、酢酸ニッケル(II)四水和物、チオシアン酸ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)六水和物、テトラフルオロニッケル(II)酸カリウム、ヘキサフルオロニッケル(IV)酸カリウム、ヘキサアンミンニッケル(II)塩化物、三塩化ニッケル(II)アンモニウム六水和物、過塩素酸ニッケル(II)六水和物、硫酸ニッケル(II)カリウム六水和物、硫酸ニッケル(II)六水和物、ビス(硫酸)ニッケル(II)二アンモニウム六水和物、ヨウ化ニッケル(II)、等が挙げられる。モノマー、溶媒への溶解性、沈殿生成が起きにくいとの観点から、好ましくは、テトラシアノニッケル(II)酸カリウム一水和物、硝酸ニッケル(II)六水和物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせてもよい。
<白金原料>
白金原料としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサシアノ白金(IV)酸カリウム、テトラシアノ白金(II)酸セシウム、テトラシアノ白金(II)酸カリウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物、ヘキサヒドロキソ白金(IV)酸、ジブロモジクロロジニトロ白金(IV)酸カリウム、ジブロモジクロロジニトロ白金(IV)酸カリウム、ジブロモジクロロジニトロ白金(IV)酸カリウム、ジブロモジクロロジニトロ白金(IV)酸カリウム、trans−ジブロモジクロロ白金(II)酸カリウム、ヘキサブロモ白金(IV)酸カリウム、ジブロモテトラシアノ白金(IV)酸カリウム、テトラクロロ白金(II)酸カリウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム、ヘキサクロロ白金酸(IV)、ヘキサフルオロ白金(IV)酸カリウム、テトラブロモ白金(II)酸カリウム二水和物、cis−ジアンミンジブロモ白金(II)、trans−ジアンミンジブロモ白金(II)、ヘキサブロモ白金(IV)酸アンモニウム、ヘキサブロモ白金(IV)酸ナトリウム六水和物、アンミントリクロロ白金(II)酸カリウム一水和物、テトラアンミン白金(II)塩化物一水和物、ペンタアンミンクロロ白金(IV)塩化物一水和物、ヘキサアンミン白金(IV)塩化物一水和物、cis−ジアンミンジクロロ白金(II)、trans−ジアンミンジクロロ白金(II)、cis−ジアンミンテトラクロロ白金(IV)、trans−ジアンミンテトラクロロ白金(IV)、テトラクロロ白金(II)酸アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸アンモニウム、cis−テトラアンミンジクロロ白金(IV)塩化物、テトラクロロ白金(II)酸テトラアンミン白金(II)、テトラクロロ白金(II)酸ナトリウム四水和物、ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム六水和物、ヘキサヨ−ド白金(IV)酸ナトリウム六水和物、ヘキサヨ−ド白金(IV)酸アンモニウム、テトラニトロ白金(II)酸カリウム二水和物、ヘキサヒドロキソ白金(IV)酸カリウム、cis−ジアンミンジニトロ白金(II)、ヘキサヨ−ド白金(IV)酸カリウム等が挙げられる。例示できる。モノマー、溶媒への溶解性、沈殿生成が起きにくいとの観点から、好ましくは、ヘキサシアノ白金(IV)酸カリウム、テトラシアノ白金(II)酸カリウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせてもよい。
<金原料>
金原料としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジシアノ金(I)酸カリウム、テトラシアノ金(III)酸カリウム、テトラクロロ金(III)酸四水和物、テトラクロロ金(III)酸アンモニウム、テトラヨ−ド金(III)酸カリウム、塩化金(III)、シアン化金(III)三水和物、テトラブロモ金(III)酸カリウム二水和物、テトラクロロ金(III)酸カリウム二水和物、テトラクロロ金(III)酸ナトリウム二水和物、テトラヒドロキソ金(III)酸カリウム一水和物、テトラニトラト金(III)酸三水和物等が挙げられる。モノマー、溶媒への溶解性、沈殿生成が起きにくいとの観点から、好ましくは、ジシアノ金(I)酸カリウム、テトラシアノ金(III)酸カリウム、テトラクロロ金(III)酸四水和物が挙げられる。
重合工程において、含窒素モノマーに混合する遷移金属化合物質量pと、含窒素モノマー質量qから算出できる遷移金属/含窒素モノマーの、質量比率yは、式(II)のように定義される。

y=p(g)×(遷移金属の原子量/遷移金属化合物の分子量)/q(g) ・・・(II)

(II)式において、本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料中の遷移金属濃度を所望の範囲に制御する観点から、yは0.0001〜0.15であることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.10であり、さらに好ましくは0.003〜0.05である。
(その他のモノマー)
本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料の製造方法の重合工程において、青酸やジアミノマレオニトリル等、窒素含有量の高いモノマーを用いる場合、これらは、その他のモノマーと組み合わせて共重合させてもよい。
なお、アクリロニトリルは、モノマー構造中の窒素含有量の観点から、単独で用いることが好ましいが、青酸、もしくはジアミノマレオニトリルとのみ共重合させてもよい。メラミンや尿素は、ホルムアルデヒドと重縮合するため、その他のモノマーを混合せず、単独で用いることが好ましい。
共重合させるその他のモノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、スチレン、メタクリル酸メチル等が挙げられる。
上述したその他のモノマーと共重合させる場合、その他のモノマーは、青酸、もしくはジアミノマレオニトリル溶液に混合してもよいし、青酸やジアミノマレオニトリルと混合した後、溶媒や重合開始剤をさらに混合してもよい。各成分及び溶媒の添加のタイミングは限定されない。
本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料の製造方法において、重合工程条件は、特に限定されるものではない。
例えば、重合反応温度は、反応速度と安全性の観点から、好ましくは10〜200℃であり、より好ましくは30〜150℃であり、さらに好ましくは50〜120℃である。重合反応圧力は、好ましくは0.05〜2.0MPaであり、より好ましくは0.08〜1.5MPaであり、さらに好ましくは0.1〜1.0MPaである。重合反応時間は、好ましくは1分〜240時間であり、好ましくは10分〜100時間であり、さらに好ましくは30分〜50時間である。重合反応は、バッチ式反応器を用いてもよいし、流通式反応器を用いてもよい。流通式反応器は完全混合槽でもよいし、管状反応器でもよいし、完全混合槽と管状反応器を組み合わせたものでもよい。 反応器内の雰囲気は、空気でもよいが、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスであってもよい。
上記した重合後、本実施形態の遷移金属含有含窒素高分子材料は固体として析出するため、吸引濾過などの液固分離方法により回収することができる。
回収した遷移金属含有含窒素高分子材料は、水やアセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキシド等を用いて洗浄、精製することができる。
精製した遷移金属含有含窒素高分子材料は、減圧乾燥等の方法で洗浄液を除去し、粉末状とすることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。したがって、当業者は以下に示す実施例に様々な変更を加えて本発明を実施することができる。
実施例及び比較例において適用した測定方法について以下に説明する。
(CHN分析)
遷移金属含有含窒素高分子材料の炭素、水素、窒素のモル比率を測定し、N/Cを算出した。
ジェイサイエンスラボ社製、MICRO CORDER JM10を用い、2500μgの試料を試料台に充填してCHN分析を行った。
試料炉は950℃、燃焼炉(酸化銅触媒)は850℃、還元炉(銀粒+酸化銅のゾーン、還元銅のゾーン、酸化銅のゾーンからなる)は550℃に設定した。
酸素は15mL/min、Heは150mL/minに設定した。
検出器は熱伝導度検出器(TCD)を用いた。
アンチピリン(Antipyrine)を用いてマニュアルに記載の方法でキャリブレーションを行った。
(遷移金属成分濃度の測定方法)
遷移金属含有含窒素高分子材料の断面における、特定領域中の遷移金属成分濃度は、下記に示すSEM−EDX装置を用いて測定した。
測定用の遷移金属含有含窒素高分子材料の粒子の断面加工を、試料をエポキシ樹脂で包埋し、Arイオンミリングを行うことにより実施した。
試料のエポキシ樹脂での包埋処理は、以下の手順で実施した。
市販のエポキシ樹脂(GATAN製G−2エポキシ)0.5g、硬化剤(GATAN製G−2硬化剤)0.1gに試料0.01gを混合した。上記混合物を長さ10mm、幅5mm、厚さ1mmの成型器に充填し、120℃で5分間加熱処理を行い、エポキシ樹脂を硬化させて、エポキシ樹脂包埋試料とした。
Arイオンミリングは、日立製作所製E3500装置を用いて実施した。加速電圧6kVでアルゴンガスをイオンビーム化し、上記エポキシ樹脂包埋試料の1mm四方の領域に12時間照射し、エポキシ樹脂成型体を深さ方向に0.1mmの削り出しを行った。
次に、上記試料にOsコーティングを施した上で、加速電圧20kVの条件でSEM−EDX測定を実施した。
断面加工された遷移金属含有含窒素高分子材料の粒子の外周から内部へ少なくとも2μm以上の距離がある5μm四方で囲まれた領域について、測定を行った。
100個の遷移金属含有含窒素高分子材料の粒子に対して測定を行い、当該100回の測定から得られた値の平均値を、遷移金属含有含窒高分子材料の粒子断面における遷移金属成分濃度とした。
測定用装置:株式会社日立ハイテクノロジーズ製超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(SEM)/株式会社堀場製作所製新型液体窒素レス検出器EMAX・Xmax(EDX)、加速電圧:20kV
〔実施例1〕
青酸(N/C=1)80gと、溶媒として水100gを混合して、青酸溶液とした。
さらに遷移金属化合物としてヘキサシアノ鉄(II)酸アンモニウム三水和物14.5g(このとき遷移金属/含窒素モノマーの質量比率y=0.03である。以下yについて同様。)を、上記青酸溶液に混合し、青酸・金属成分混合溶液とした。
また、重合開始剤として25%アンモニア水50gを用いた。
重合反応は、SUS316製、密閉系セパラブル反応器を用いて実施した。
密閉系反応器には撹拌羽が設置されており、撹拌機で常時撹拌した。
反応器上部を反応器下部にクランプで固定した後、反応器下部をオイルバスに浸した。
反応器上部に滴下ビュレットを接続し、まず上記青酸・金属成分混合溶液を反応器に充填し、反応器内の攪拌を開始した。
次に、同様に滴下ビュレットを用いて、前記25%アンモニア水を混合した。
バルブを閉じて反応器を密閉系とした後、オイルバスの温度を80℃に設定し、80℃で5時間維持した。反応器をオイルバスから外して反応器上部を取り外し、粗青酸重合物を、ADVANTEC社製、型式:No.5C(保留粒子径1μm(カタログ記載値))のろ紙を用いて吸引ろ過により回収した。
回収した前記粗青酸重合物を水で洗浄した後、アセトンでさらに洗浄し、真空乾燥機にて120℃で10時間減圧乾燥を行い、53gの青酸重合物を得た。
得られた青酸重合物のCHN分析を実施したところ、N/Cは0.96であった。また、青酸重合物の粒子断面を、上述した(遷移金属成分濃度の測定方法)に従って分析したところ、鉄濃度は1.8質量%であった。
〔実施例2〕
遷移金属化合物の種類を変更した以外は、上述した実施例1と同様の条件により、青酸重合物を製造した。
青酸(N/C=1)80gと、水100gとを混合して、青酸溶液とした。
遷移金属化合物としてヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム14.1g(y=0.03)を用い、上記青酸溶液に混合して、青酸・金属成分混合溶液とした。
また重合開始剤として25%アンモニア水50gを用いた。
上記青酸・金属成分混合溶液とアンモニア水とを反応器に充填して重合反応を実施し、粗青酸重合物を得、さらに洗浄処理、乾燥処理を施し、最終的に青酸重合物を48g得た。
得られた青酸重合物のCHN分析を実施したところ、N/Cは0.96であった。
また、青酸重合物の粒子断面を、上述した(遷移金属成分濃度の測定方法)に従って分析したところ、鉄濃度は、1.5質量%であった。
〔実施例3〕
遷移金属化合物の種類、金属/モノマー質量比率を変更した以外は、上述した実施例1と同様の条件により、青酸重合物を製造した。
青酸(N/C=1)80gと、水100gとを混合して、青酸溶液とした。
遷移金属化合物として硝酸鉄(III)九水和物58.0g(y=0.1)を用い、上記青酸溶液に混合して、青酸・金属成分混合溶液とした。
また重合開始剤として25%アンモニア水50gを用いた。
上記青酸・金属成分混合溶液とアンモニア水とを反応器に充填して重合反応を実施し、粗青酸重合物を得、さらに洗浄処理、乾燥処理を施し、最終的に青酸重合物を76g得た。
得られた青酸重合物のCHN分析を実施したところ、N/Cは0.92であった。
また、青酸重合物の粒子断面を、上述した(遷移金属成分濃度の測定方法)に従って分析したところ、鉄濃度は10.2質量%であった。
〔実施例4〕
遷移金属化合物の種類を変更した以外は、上述した実施例1と同様の条件により、青酸重合物を製造した。
青酸(N/C=1)80gと、水100gとを混合して、青酸溶液とした。
遷移金属化合物としてヘキサシアノコバルト(III)酸カリウム13.5g(y=0.03)を用い、上記青酸溶液に混合して、青酸・金属成分混合溶液とした。
また重合開始剤として25%アンモニア水50gを用いた。
上記青酸・金属成分混合溶液とアンモニア水とを反応器に充填して重合反応を実施し、粗青酸重合物を得、さらに洗浄処理、乾燥処理を施し、最終的に青酸重合物を71g得た。
得られた青酸重合物のCHN分析を実施したところ、N/Cは0.95であった。
また、青酸重合物の粒子断面を、上述した(遷移金属成分濃度の測定方法)に従って分析したところ、コバルト濃度は2.2質量%であった。
〔実施例5〕
遷移金属化合物の種類を変更した以外は、上述した実施例1と同様の条件により、青酸重合物を製造した。
青酸(N/C=1)80gと、水100gとを混合して、青酸溶液とした。
遷移金属化合物としてテトラシアノニッケル(II)酸カリウム一水和物10.6g(y=0.03)を用い、上記青酸溶液に混合して、青酸・金属成分混合溶液とした。
また重合開始剤として25%アンモニア水50gを用いた。
上記青酸・金属成分混合溶液とアンモニア水とを反応器に充填して重合反応を実施し、粗青酸重合物を得、さらに洗浄処理、乾燥処理を施し、最終的に青酸重合物を40g得た。
得られた青酸重合物のCHN分析を実施したところ、N/Cは0.95であった。
また、青酸重合物の粒子断面を、上述した(遷移金属成分濃度の測定方法)に従って分析したところ、ニッケル濃度は1.5質量%であった。
〔実施例6〕
遷移金属化合物の種類を変更した以外は、上述した実施例1と同様の条件により、青酸重合物を製造した。
青酸(N/C=1)80gと、水100gとを混合して、青酸溶液とした。
遷移金属化合物としてヘキサシアノ白金(IV)酸カリウム5.3g(y=0.03)を用い、上記青酸溶液に混合して、青酸・金属成分混合溶液とした。
また重合開始剤として25%アンモニア水50gを用いた。
上記青酸・金属成分混合溶液とアンモニア水とを反応器に充填して重合反応を実施し、粗青酸重合物を得、さらに洗浄処理、乾燥処理を施し、最終的に青酸重合物を27g得た。
得られた青酸重合物のCHN分析を実施したところ、N/Cは0.96であった。
また、青酸重合物の粒子断面を、上述した(遷移金属成分濃度の測定方法)に従って分析したところ、白金濃度は2.4質量%であった。
〔実施例7〕
遷移金属化合物の種類、遷移金属/含窒素モノマーの質量比率を変更した以外は、上述した実施例1と同様の条件により、青酸重合物を製造した。
青酸(N/C=1)80gと、水100gとを混合して、青酸溶液とした。
遷移金属化合物としてヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物2.1g(y=0.01)を用い、上記青酸溶液に混合して、青酸・金属成分混合溶液とした。
また重合開始剤として25%アンモニア水50gを用いた。
上記青酸・金属成分混合溶液とアンモニア水とを反応器に充填して重合反応を実施し、粗青酸重合物を得、さらに洗浄処理、乾燥処理を施し、最終的に青酸重合物を69g得た。
得られた青酸重合物のCHN分析を実施したところ、N/Cは0.91であった。
また、青酸重合物の粒子断面を、上述した(遷移金属成分濃度の測定方法)に従って分析したところ、白金濃度は0.8質量%であった。
〔実施例8〕
遷移金属化合物の種類を変更した以外は、上述した実施例1と同様の条件により、青酸重合物を製造した。
青酸(N/C=1)80gと、水100gとを混合して、青酸溶液とした。
遷移金属化合物としてテトラシアノ金(III)酸カリウム4.1g(y=0.03)を用い、上記青酸溶液に混合して、青酸・金属成分混合溶液とした。
また重合開始剤として25%アンモニア水50gを用いた。
上記青酸・金属成分混合溶液とアンモニア水とを反応器に充填して重合反応を実施し、粗青酸重合物を得、さらに洗浄処理、乾燥処理を施し、最終的に青酸重合物を45g得た。
得られた青酸重合物のCHN分析を実施したところ、N/Cは0.95であった。
また、青酸重合物の粒子断面を、上述した(遷移金属成分濃度の測定方法)に従って分析したところ、金濃度は2.7質量%であった。
〔実施例9〕
遷移金属化合物の混合のタイミングを変更した以外は、上述した実施例1と同様の条件により、青酸重合物を製造した。
青酸(N/C=1)80gと、水100gとを混合して、青酸溶液とした。
また重合開始剤として25%アンモニア水50gを用いた。
遷移金属化合物としてヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム14.1g(y=0.03)を用いた。
上記青酸溶液とアンモニア水を反応器に充填して重合反応を実施し、2時間経過した段階で一度反応器を開けて、上記のヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム14.1gを反応系に混合した。さらに3時間反応を実施し、粗青酸重合物を得、さらに洗浄処理、乾燥処理を施し、最終的に青酸重合物を45g得た。
得られた青酸重合物のCHN分析を実施したところ、N/Cは0.96であった。
また、青酸重合物の粒子断面を、上述した(遷移金属成分濃度の測定方法)に従って分析したところ、鉄濃度は1.4質量%であった。
〔実施例10〕
モノマー、溶媒、重合開始剤、遷移金属/含窒素モノマーの質量比率を変更した以外は、上述した実施例1と同様の条件により、ジアミノマレオニトリル重合物を製造した。
ジアミノマレオニトリル(N/C=1)80gと、N,N−ジメチルホルムアミド100gとを混合して、ジアミノマレオニトリル溶液とした。
さらに遷移金属化合物としてヘキサシアノ鉄(II)酸アンモニウム三水和物1.45g(y=0.003)を用い、上記ジアミノマレオニトリル溶液に混合して、ジアミノマレオニトリル・金属成分混合溶液とした。
また重合開始剤として1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)3.6gを用いた。
上記ジアミノマレオニトリル・金属成分混合溶液と、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)とを反応器に充填して重合反応を実施し、粗ジアミノマレオニトリル重合物を得、さらに洗浄処理、乾燥処理を施し、最終的にジアミノマレオニトリル重合物を9.6g得た。
得られたジアミノマレオニトリル重合物のCHN分析を実施したところ、N/Cは0.93であった。また、ジアミノマレオニトリル重合物の粒子断面を、上述した(遷移金属成分濃度の測定方法)に従って分析したところ、鉄濃度は0.2質量%であった。
〔実施例11〕
モノマー、溶媒、重合開始剤、遷移金属化合物の種類、遷移金属/含窒素モノマーの質量比率、重合温度を変更した以外は、上述した実施例1と同様の条件により、ジアミノマレオニトリル重合物を製造した。
ジアミノマレオニトリル(N/C=1)80gと、N,N−ジメチルホルムアミド100gとを混合して、ジアミノマレオニトリル溶液とした。
さらに遷移金属化合物として硝酸鉄(III)九水和物5.8g(y=0.01)を用い、上記ジアミノマレオニトリル溶液に混合して、ジアミノマレオニトリル・金属成分混合溶液とした。
また重合開始剤は使用しなかった。
上記ジアミノマレオニトリル・金属成分混合溶液を反応器に充填して160℃で重合反応を実施し、粗ジアミノマレオニトリル重合物を得、さらに洗浄処理、乾燥処理を施し、最終的にジアミノマレオニトリル重合物を68g得た。
得られたジアミノマレオニトリル重合物のCHN分析を実施したところ、N/Cは0.89であった。また、ジアミノマレオニトリル重合物の粒子断面を、上述した(遷移金属成分濃度の測定方法)に従って分析したところ、鉄濃度は0.9質量%であった。
〔比較例1〕
遷移金属化合物を重合前に混合せず、5時間の重合反応後に、粗青酸重合物を得、さらに洗浄処理、乾燥処理を施し、最終的に回収した青酸重合物に、前記遷移金属化合物を添加する方法を適用した。
その他は、実施例1と同様の条件により、青酸重合物を製造した。
青酸80gと、水100gとを混合して、青酸溶液とした。
また重合開始剤として25%アンモニア水50gを用いた。
上記青酸溶液とアンモニア水を反応器に充填して重合反応を実施し、粗青酸重合物を得、さらに洗浄処理、乾燥処理を施し、最終的に青酸重合物を72g得た。
ここで、特開2011−256093号公報に記載されている方法に従い、青酸重合物に金属成分の添加を行った。
すなわち、500mLのナス型フラスコに、上記の青酸重合物4g、ヘキサシアノ鉄(II)酸アンモニウム三水和物0.275g及び純水250gを加え、90℃のオイルバス中で1時間攪拌した。その後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去し、真空乾燥機にて80℃で8時間乾燥させて、遷移金属成分を添加させた青酸重合物を得た。
得られた青酸重合物のCHN分析を実施したところ、N/Cは0.96であった。
また、青酸重合物の粒子断面を、上述した(遷移金属成分濃度の測定方法)に従って分析したところ、鉄の存在は確認されなかった。
〔比較例2〕
モノマー、溶媒、重合開始剤、遷移金属化合物の種類、遷移金属/含窒素モノマーの質量比率、重合温度の条件を変更し、遷移金属化合物を重合前に混合せず、5時間の重合反応後に、粗ジアミノマレオニトリル重合物を得、さらに洗浄処理、乾燥処理を施し、最終的に回収したジアミノマレオニトリル重合物に、遷移金属化合物を添加する方法を適用した。その他の条件は、上述した実施例1と同様の条件により、ジアミノマレオニトリル重合物を製造した。
ジアミノマレオニトリル80gと、N,N−ジメチルホルムアミド100gとを混合して、ジアミノマレオニトリル溶液とした。
また重合開始剤は使用しなかった。
上記ジアミノマレオニトリル溶液を反応器に充填して重合反応を実施し、粗ジアミノマレオニトリル重合物を得、さらに洗浄処理、乾燥処理を施し、最終的にジアミノマレオニトリル重合物を76g得た。
ここで、特開2011−256093号公報に記載されている方法に従い、ジアミノマレオニトリル重合物に遷移金属化合物の添加を行った。
すなわち、500mLのナス型フラスコに、上記のジアミノマレオニトリル重合物4g、硝酸鉄(III)九水和物0.145g及びメタノール250gを加え、90℃のオイルバス中で1時間攪拌した。その後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去し、真空乾燥機にて80℃で8時間乾燥させて、遷移金属成分を添加させたジアミノマレオニトリル重合物を得た。
得られたジアミノマレオニトリル重合物のCHN分析を実施したところ、N/Cは0.89であった。また、ジアミノマレオニトリル重合物の粒子断面を、上述した(遷移金属成分濃度の測定方法)に従って分析したところ、鉄の存在は確認されなかった。
実施例1〜11、及び比較例1〜2における実験条件と得られた重合物の物性を、表1に示す。
表1中、「触媒」とは、重合開始剤を示す。
「x」は、重合開始剤のモル数aと含窒素モノマーのモル数の比率(x=a/b)を示す。
「y」は、遷移金属化合物質量pと、含窒素モノマー質量qとから算出される、遷移金属/含窒素モノマーの質量比率(y=p(g)×(遷移金属の原子量/遷移金属化合物の分子量)/q(g)を示す。
実施例1〜11の遷移金属含有含窒素高分子材料は、粒子内部においても、遷移金属の均一分散性が良好であり、活性点を多く確保でき、電極材料用として極めて有用であることが分かった。
本発明の遷移金属含有含窒素高分子材料は、燃料電池等の電極材料用途として有用である含窒素炭素材料の前駆体として産業上の利用可能性を有している。

Claims (6)

  1. 下記(i)〜(ii)の条件を満たす、遷移金属含有含窒素高分子材料。
    (i)炭素原子に対する窒素原子のモル比率が0.3以上である。
    (ii)遷移金属含有含窒素高分子材料の粒子の断面において、外周から内部へ少なくとも2μm以上の距離を有する領域における遷移金属濃度が0.01質量%以上15質量%以下である。
  2. 前記(ii)の条件が、
    (ii)遷移金属含有含窒素高分子材料の粒子の断面において、外周から内部へ少なくとも2μm以上の距離を有する、5μm四方で囲まれた領域における、SEM−EDX面分析測定により遷移金属濃度が0.01質量%以上15質量%以下、
    である、請求項1に記載の遷移金属含有含窒素高分子材料。
  3. 炭素原子に対する窒素原子のモル比率が0.3以上の含窒素モノマーを重合する工程において、遷移金属化合物を混合することにより製造される、請求項1又は2に記載の遷移金属含有含窒素高分子材料。
  4. 炭素原子に対する窒素原子のモル比率が0.3以上の含窒素モノマーに、遷移金属化合物を混合し、その後、当該含窒素モノマーを重合することにより製造される、請求項1又は2に記載の遷移金属含有含窒素高分子材料。
  5. 炭素原子に対する窒素原子のモル比率が0.3以上の含窒素モノマーを重合する、重合工程を有し、
    前記重合工程中、遷移金属化合物を混合する、遷移金属含有含窒素高分子材料の製造方法。
  6. 炭素原子に対する窒素原子のモル比率が0.3以上の含窒素モノマーに、遷移金属化合物を混合し、当該含窒素モノマーを重合する重合工程を有する、遷移金属含有含窒素高分子材料の製造方法。
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