JP2014166977A - 点眼剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】増粘剤又はテルペノイド化合物を含有する点眼剤において1滴量を少なくしても、滴下量のばらつきが抑制された点眼剤を提供する。
【解決手段】本発明の点眼剤は、(A)増粘剤又はテルペノイド化合物、及び、(B)ホウ酸緩衝剤を含有する点眼剤であって、1滴あたりの滴下量が5〜25μLであることを特徴とする。本発明の点眼剤の1滴量のばらつき抑制方法は、点眼剤に(A)増粘剤又はテルペノイド化合物、及び、(B)ホウ酸緩衝剤を含有させ、かつ該点眼剤の1滴あたりの滴下量が5〜25μLとなるように設計することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、点眼剤に関する。
点眼剤は、目の疾患を治療する為の医薬品として多くの種類が販売されており、使用方法としては1日数回、1回1〜3滴を点眼して用いる方法が一般的である。
点眼剤の1回の使用量は、通常29.5〜53μLであることが知られており(非特許文献1)、眼内から溢れだした薬液による眼周囲皮膚炎等の発生を回避する事を目的として、点眼容器のノズルにアダプタを装着したり、ノズルの撥水性を上げたりすることにより、点眼剤の1滴量を少量とする技術が知られているが(特許文献1〜2)、そのような技術と点眼液に実際に配合される成分との関係については十分に研究されていないのが現状である。
一方、増粘剤、テルペノイド化合物、ホウ酸緩衝剤は、それぞれ点眼剤の配合成分として公知であるが、1滴量が少ない点眼剤における挙動についてはよく知られていない。
特開2005−211184号公報 特開2011−105339号公報
池田博昭、他5名、「適正使用に必要な医療用点眼剤の情報」、病院薬学、1998年、24(6)、p.595−600
本発明者らは、増粘剤或いはテルペノイド化合物のいずれか一方を含有する点眼剤において1滴量を少量とした場合、滴下量がばらつくという新たな課題を見出した。本発明は、増粘剤又はテルペノイド化合物を含有する点眼剤において1滴量を少なくしても、滴下量のばらつきが抑制された点眼剤を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の課題を解決するため、鋭意研究を行った結果、所定の成分を含有し、かつ、所定の1滴量で点眼できるように設計された点眼剤により課題を解決できることを見出した。即ち、本発明は、下記(1)〜(7)を提供するものである。
(1)本発明の点眼剤は、(A)増粘剤又はテルペノイド化合物、及び、(B)ホウ酸緩衝剤を含有する点眼剤であって、1滴あたりの滴下量が5〜25μLであることを特徴とする。
(2)本発明の点眼剤は、内容積が4〜30mLである容器に充填されたことが好ましい。
(3)本発明の点眼剤は、滴下口における内径が1.5mm未満であるノズルを有する容器に充填されたことが好ましい。
(4)本発明の点眼剤は、前記増粘剤が、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、及びヒアルロン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
(5)本発明の点眼剤は、前記テルペノイド化合物が、dl−メントール、l−メントール、dl−カンフル、d−カンフル、d−ボルネオール、及びゲラニオールからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
(6)本発明の点眼剤の1滴量のばらつき抑制方法は、点眼剤に(A)増粘剤又はテルペノイド化合物、及び、(B)ホウ酸緩衝剤を含有させ、かつ該点眼剤の1滴あたりの滴下量が5〜25μLとなるように設計することを特徴とする。
(7)本発明の容器入り点眼剤の製造方法は、(A)増粘剤又はテルペノイド化合物、及び、(B)ホウ酸緩衝剤を含有する点眼剤を、1滴あたりの滴下量が5〜25μLとなるように設計された容器に充填することを特徴とする。
本発明によれば、点眼剤の1滴量を少量とした場合でも、滴下量のばらつきを抑制できる。
本発明の点眼剤が充填された容器に装着される滴下ノズルの一例である。 本発明の点眼剤が充填された容器に装着される滴下ノズルの一例である。
1.点眼剤及び容器入り点眼剤
本発明は、(A)成分として増粘剤又はテルペノイド化合物、及び、(B)成分としてホウ酸緩衝剤を含有し、1滴あたりの滴下量が5〜25μLとなるように設計された点眼剤であることを特徴とする。
本明細書において含有量の単位「%」は「w/v%」を意味し、「g/100mL」
と同義である。
本明細書中、特に記載の無い限り、略号「POE」はポリオキシエチレンを、略号「P
OP」はポリオキシプロピレンを、それぞれ意味する。
(1)増粘剤、テルペノイド化合物[(A) 成分]
本発明の点眼剤は、(A)増粘剤又はテルペノイド化合物(以下、単に「(A)成分」と記載することもある。)を含有する。
(A)成分として使用される増粘剤については、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される限り、特に制限されない。このような増粘剤として、具体的には、ビニル系増粘剤[例えば、ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン(K25,K30,K90など)、カルボキシビニルポリマーなど]、セルロース系増粘剤[例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(2208,2906,2910など)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ニトロセルロース又はそれらの塩など]、ポリエチレングリコール(マクロゴール300,マクロゴール400,マクロゴール1500,マクロゴール4000など)又はムコ多糖[例えば、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、ヒアルロン酸又はそれらの塩など]などが挙げられる。これらの増粘剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。尚、上記増粘剤の塩としては、例えば無機塩基との塩が挙げられ、好ましくはアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が挙げられ、さらに好ましくはナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩又はマグネシウム塩であり、特にナトリウム塩が好ましい。
これらの中で、滴下量ばらつき抑制作用を一層高めるという観点から、好ましくはビニル系増粘剤、セルロース系増粘剤、ポリエチレングリコール又はムコ多糖である。より好ましくは、ビニル系増粘剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマーであり、セルロース系増粘剤としてはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はその塩であり、ポリエチレングリコールとしてはマクロゴール300,マクロゴール400であり、ムコ多糖としてはコンドロイチン硫酸又はその塩、アルギン酸またはその塩、ヒアルロン酸又はその塩である。さらに好ましくは、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、ヒアルロン酸ナトリウムであり、特に好ましくはポリビニルピロリドン(K25、K90)、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(2208,2906,2910)であり、最も好ましくはポリビニルピロリドンK25、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906である。
さらに、これらの増粘剤の中でも1.0w/v%となるように精製水に溶解した場合の25℃における粘度が以下の値を示すものが好ましい。尚、粘度の測定は、実施例に記載の方法に従う。
ポリビニルピロリドン :好ましくは0.1〜5.0mPa・s、さらに好ましくは0.3〜3.5mPa・s、特に好ましくは0.5〜2.0mPa・s。
カルボキシビニルポリマー :好ましくは1〜30000mPa・s、さらに好ましくは200〜5000mPa・s、特に好ましくは400〜3000mPa・s。
ヒドロキシエチルセルロース :好ましくは1〜5000mPa・s、さらに好ましくは5〜1000mPa・s、特に好ましくは15〜600mPa・s。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース :好ましくは1〜3000mPa・s、さらに好ましくは50〜800mPa・s、特に好ましくは100〜400mPa・s。
(A)成分として使用されるテルペノイド化合物については、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される限り、特に制限されない。このようなテルペノイド化合物として、具体的には、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、シトロネロール、メントン、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、リナロール、酢酸リナリル、これらの誘導体等が挙げられる。これらの化合物はd体、l体又はdl体のいずれでもよい。また、本発明において、テルペノイド化合物として、上記化合物を含有する精油を使用してもよい。このような精油としては、例えば、ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油、ハッカ油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ローズ油等が挙げられる。これらのテルペノイド化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
これらの中で、滴下量ばらつき抑制作用を一層高めるという観点から、好ましくは、dl−メントール、l−メントール、dl−カンフル、d−カンフル、d−ボルネオール、ゲラニオールからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられ、これらを含有する好ましい精油としてクールミント油、ペパーミント油、ハッカ油、樟脳油等が例示される。さらに好ましくは、dl−メントール、l−メントール、dl−カンフル、d−カンフル、d−ボルネオールゲラニオールが挙げられ、特に好ましくは、l−メントール、d−カンフル、dl−カンフル、最も好ましくはl−メントールが挙げられる。
本発明の点眼剤において、(A)成分の含有量は特に限定されず、(A)成分の種類、該点眼剤の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。(A)成分の含有量として、例えば、本発明の点眼剤の総量を基準に、(A)成分の総含有量が、0.0001〜10w/v%であることが好ましく、0.0005〜5w/v%であることがさらに好ましく、0.001〜3w/v%であることが特に好ましく0.001〜1w/v%であることが最も好ましい。
(A)成分が増粘剤の場合、本発明の点眼剤の総量を基準に、増粘剤の含有量が、総量で、0.01〜10w/v%であることが好ましく、0.01〜5w/v%であることがさらに好ましく、0.1〜3%が特に好ましく、0.1〜1%であることが最も好ましい。
(A)成分がテルペノイド化合物の場合、本発明の点眼剤の総量を基準に、テルペノイド化合物の含有量が、総量で、0.0001〜0.2w/v%であることが好ましく、0.0005〜0.1w/v%であることがより好ましく、0.001〜0.08w/v%であることがさらに好ましい。なお、テルペノイド化合物を含む精油を使用する場合は、点眼剤中に含有される精油中のテルペノイド化合物が上記含有量を満たすように設定することができる。上記テルペノイド化合物の含有量は、滴下量ばらつき抑制作用を向上させるという観点から好適である。
(2)ホウ酸緩衝剤[(B) 成分]
本発明の点眼剤は、(B)ホウ酸緩衝剤(以下、単に「(B)成分」と記載することもある。)を含有する。
(B)成分として使用されるホウ酸緩衝剤については、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される限り、特に制限されない。このようなホウ酸緩衝剤として、具体的には、ホウ酸又はその塩が挙げられる。ホウ酸の塩としては、例えばホウ酸の無機酸塩、好ましくはホウ酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩、更に好ましくはホウ酸のアルカリ金属塩の組み合わせが挙げられる。ホウ酸塩の具体例として、好ましくは、ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂等が挙げられ、特に好ましくはホウ砂である。
これらのホウ酸又はその塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。好ましくは、ホウ酸とホウ酸のアルカリ金属塩との組み合わせ、さらに好ましくはホウ酸とホウ砂との組み合わせである。
本発明の点眼剤において、(B)成分の含有量は特に限定されず、(B)成分の種類、併用する(A)成分の種類及び含有量、該点眼剤の用途、製剤形態、使用方法等に応じて、適宜設定される。(B)成分の含有量としては、例えば、本発明の点眼剤の総量を基準として、(B)成分の総含有量が、0.01〜10w/v%が好ましく、0.05〜5w/v%がより好ましく、0.1〜2w/v%であることがさらに好ましい。上記(B)成分の含有量は、滴下量ばらつき抑制作用を向上させるという観点から好適である。
また、本発明の点眼剤において、(B)成分の含有比率は特に限定されず、(B)成分の種類、併用する(A)成分の種類及び含有量、該点眼剤の用途、製剤形態、使用方法等に応じて、適宜設定される。(A)成分に対する(B)成分の含有比率としては、例えば、本発明の点眼剤に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、(B)成分の総含有量が、0.01〜10000質量部であることが好ましく、0.05〜5000質量部であることがより好ましく、0.1〜2000質量部であることがさらに好ましい。前記(A)成分又は前記(B)成分の一方を含有しつつ1滴あたりの滴下量が少量となるように設計された点眼剤においては、滴下量のばらつきが生じ易いと言う新たな課題に対し、(B) 成分の含有比率が上記範囲内にある場合、前記(A)成分の有する上述した効果を損なうことなく、滴下量のばらつきを効果的に抑制できる。
(A)成分が増粘剤の場合、例えば、本発明の点眼剤に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、(B)成分の総含有量が、0.01〜500質量部であることが好ましく、0.05〜50質量部であることがさらに好ましく、0.1〜20重量部であることが特に好ましい。
(A)成分がテルペノイド化合物の場合、例えば、本発明の点眼剤に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、(B)成分の総含有量が、0.5〜10000質量部であることが好ましく、0.625〜5000質量部であることがさらに好ましく、1.25〜2000重量部であることが特に好ましい。
(3)その他の成分[任意成分]
本発明の点眼剤は、(A)成分及び(B)成分に加えて、さらに点眼剤において汎用される有効成分(薬理活性成分や生理活性成分等)を配合することができる。このような成分の種類は特に制限されず、例えば、抗炎症薬成分又は収斂薬成分、抗アレルギー薬成分、ビタミン類、アミノ酸類、抗菌薬成分又は殺菌薬成分、局所麻酔薬成分、緑内障治療成分、白内障治療成分等が例示できる。本発明において好適な薬理活性成分及び生理活性成分としては、例えば、次のような成分が挙げられる。
充血除去成分:テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、エピネフリン、エフェドリン、メチルエフェドリン等。
眼筋調節薬成分:例えば、アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、具体的にはメチル硫酸ネオスチグミン、トロピカミド、ヘレニエン硫酸アトロピン等。
抗炎症薬成分又は収斂薬成分:硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、アラントイン、イプシロン−アミノカプロン酸、塩化リゾチーム、プラノプロフェン、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、ブロムフェナクナトリウム、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリンなど。
抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分:アシタザノラスト、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、トラニラスト、クロモグリク酸ナトリウム、ペミロラストカリウムなど。
ビタミン:酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、酢酸トコフェロール、など。
アミノ酸:アミノエチルスルホン酸(タウリン)、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム・カリウム混合物、イプシロン−アミノカプロン酸など。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
抗菌薬成分又は殺菌薬成分:アルキルポリアミノエチルグリシン、スルファメトキサゾール、スルフイソキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソミジンナトリウムなど。
また、本発明の点眼剤は、発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途や形態に応じて、常法に従い、様々な成分や添加物を適宜選択し、一種またはそれ以上を併用して含有させることができる。それらの成分または添加物として、例えば、液剤の調製に一般的に使用される担体(水性溶媒、水性又は油性基剤など)、界面活性剤、防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤、pH調節剤、等張化剤、キレート剤、緩衝剤、安定化剤等の各種添加剤が挙げられる。
担体:水、含水エタノールなどの水性溶媒など。
界面活性剤:POE-POPブロックコポリマー (具体的には、ポロクサマー407など)、エチレンジアミンのPOE-POPブロックコポリマー付加物(具体的には、ポロキサミンなど)、POEソルビタン(具体的には、ポリソルベート80など)、POE硬化ヒマシ油(具体的には、POE(60)硬化ヒマシ油、POE(40)硬化ヒマシ油など)、POEヒマシ油(具体的には、POE(10)ヒマシ油、POE(35)ヒマシ油など)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(具体的には、ステアリン酸ポリオキシル40など)の非イオン性界面活性剤;アルキルジアミノエチルグリシンなどのグリシン型両性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩(具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなど)などの陽イオン界面活性剤など。なお、括弧内の数字は付加モル数を示す。
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:塩化ポリドロニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、ポリヘキサメチレンビグアニド又はその塩酸塩など)など。
pH調節剤:塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、硫酸、リン酸、ジエタノールアミンなど。
等張化剤:塩化カリウム、塩化ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコールなど。
キレート剤:エデト酸ナトリウム、クエン酸、又はこれらの水和物など。
安定化剤:ジブチルヒドロキシトルエン、トロメタモール、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど。
植物油 :ゴマ油、ヒマシ油など。
(4)点眼剤の物性
本発明の点眼剤のpHについては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば特に限定されない。点眼剤のpHとしては、例えば、4.0〜9.5であることが好ましく、5.0〜9.0であることがより好ましく、5.5〜8.5であることが更に好ましい。
また、本発明の点眼剤の浸透圧については、生体に許容される範囲内であれば、特に制限されない。点眼剤の浸透圧比としては、例えば、0.5〜5.0であることが好ましく、0.6〜3.0であることがより好ましく、0.7〜2.0であることが更に好ましく、0.9〜1.55であることが特に好ましい。浸透圧の調整は、無機塩、多価アルコール、糖アルコール、又は糖等を用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。浸透圧比は、第十六改正日本薬局方に基づき、286mOsm(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧)に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)を参考にして測定する。なお、浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)については、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500〜650℃で40〜50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いることができる。
上述した成分を含有する本発明の点眼剤の粘度は、1.1〜9000mPa・sであることが好ましい。
本発明において、粘度の測定は、第16改正日本薬局方の一般試験法に記載の粘度測定法に準拠し、25℃における粘度が100mPa・s以上である場合は(2)単一円筒形回転粘度計(ブルックフィールド型粘度計)、25℃における粘度が100mPa・s未満である場合は(3)円すい−平板形回転粘度計(コーンプレート型粘度計)にて行う。本発明においては、ロータや回転速度等の条件の選定は、装置の取扱説明書に準拠し、25℃における粘度を測定する。
(5)点眼剤の1滴量
本発明の点眼剤は、1滴あたりの滴下量が5〜25μLとなるように設計されている。点眼剤の1滴あたりの滴下量が、結膜嚢の容量内である5〜25μLとなるように設計されていることによって、溢れ出た点眼剤が眼の周りに付着し、使用者が不快感を生じるといったおそれがない。
また、本発明の点眼剤は、1滴あたりの滴下量が7〜20μLとなるように設計されていることが好ましく、9〜15μLとなるように設計されていることがより好ましい。
(6)点眼剤の容器等
本発明の点眼剤は、内容積が4〜30mLである容器に充填されてなることが好ましく、5〜20mLである容器に充填されてなることがより好ましく、6.0〜10mLである容器に充填されてなることが特に好ましい。
本発明の点眼剤を充填する容器の内容積が上記範囲内にある場合、1滴量が少量であっても点眼しやすく、本発明の効果をより一層顕著に奏することができる。また、後述するように、小さい径の点眼ノズルを用いて点眼する場合にも、滴下量のばらつきを抑制するという観点から特に好ましい。尚、このような点眼剤として、マルチドーズ型の点眼剤、即ち製品を一旦開封した後、数回以上に亘り使用される点眼剤であることが好ましい。
本発明の点眼剤は、少量を滴下するために滴下口を以下のような値にすることが好ましい。
本発明の点眼剤が充填された容器に装着される滴下ノズルの一例としては、図1、図2に示す形状のものが挙げられる。本発明の点眼剤が充填された容器に装着される滴下ノズルとしては、滴下口における内径D1が、1.5mm未満であることが好ましく、0.01〜1.0mmであることがさらに好ましく、0.05〜0.8mmであることが特に好ましく、0.1〜0.5mmであることが更に特に好ましく、0.1〜0.4mmであることが最も好ましい。滴下口とは、点眼剤を該容器に充填し、該ノズルを装着した後に、開口した状態で倒立状態にしたときに液滴が形成される出口部を指す。
また、本発明の点眼剤が充填された容器に装着される滴下ノズルの外径としては、ノズルの形状、材質、目的等に応じて適宜設定され、一概に規定することはできないが、例えば8mm以下が好ましく、0.1〜5mmであることが更に好ましく、0.3〜3mmであることが特に好ましく、0.5〜2mmであることが更に特に好ましく、0.5〜1.5mmであることが最も好ましい。本発明における滴下ノズルの外径とは、滴下口付近の注出管胴部における外径を示し、ノズルの先端(滴下口)部を丸める加工が施してあってもよい。
本発明の点眼剤を充填する容器のノズル口径における上記範囲は、1滴あたりの滴下量を5〜25μLとするために適している。
かかるノズルの形状とすることにより、点眼剤の1滴あたりの滴下量を5〜25μLとする事が容易となり、例えば、1滴あたりの滴下量が15μLとなるように点眼剤を効率よく用いることができる。
ノズルは、容器本体とは別成形された構造のものでも、ノズルと容器本体とが一体成型された構造のもの(例えば、1回使い切りタイプの点眼剤など)のいずれであってもよい。
本発明の点眼剤を充填する容器は、プラスチック製が好ましい。該プラスチック容器の構成材質については、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、エラストマーの何れか1種、これらの共重合体、又はこれらの2種以上の混合体が挙げられる。特に押出の加減等で本願発明の効果を発揮し易い点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート若しくはこれらの共重合体、又はこれらの2種以上の混合体が好ましく、特にポリエチレンテレフタレート製容器が好ましい。
なお、本発明において例えばポリエチレンテレフタレート製容器と記載する場合は、容器の構成材質中にポリエチレンテレフタレートが含有されているものであれば特に限定されないが、容器の構成材質全体の重量に対し、ポリエチレンテレフタレートが50w/w%以上であるものが好ましい。
本発明の点眼剤は、このような材料を主材料とする透明容器(異物を観察するのに差し支えない程度の透明性を備えた容器)に充填されてもよいし、遮光された容器に充填されてもよい。遮光は、例えば上記した透明容器材料に着色剤を添加することにより行ってもよいし、容器をシュリンクフィルムや外箱などで覆うことにより、遮光してもよい。
またノズルの構成素材については、例えば、プラスチック製が好ましい。本発明の点眼剤の液切れを一層良好にさせ、滴下量のばらつきも抑制するという観点からは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート又はエラストマーを構成素材として含むノズルが好ましい。ポリエチレンの種類としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等が挙げられ、中でも低密度ポリエチレンを構成素材として含むノズルが好ましい。
(7)容器入り点眼剤の物性
本発明の点眼剤は、所定の1滴量を滴下するのに適した容器入りであることが好ましい。係る容器入り点眼剤のスクイズ力は、0.5〜12Nであることが好ましく、1〜10Nであることがさらに好ましく、1.5〜8Nであることが特に好ましい。スクイズ力とは、点眼剤を1滴滴下する際に必要な容器を押す力を示す。本発明の容器入り点眼剤のスクイズ力が上記範囲内にある場合、滴下量のばらつき抑制効果をより一層顕著に奏することができる。
スクイズ力の測定は、実施例に記載の方法に従って行う。
また、本発明の容器入り点眼剤の滴下時における容器の変位は、0.01〜2.0mmであることが好ましく、0.05〜1.0mmであることが更に好ましく、0.05〜0.5mmであることが特に好ましく、0.07〜0.3mmであることが最も好ましい。
容器入り点眼剤の滴下時における容器の変位とは、点眼剤を1滴滴下する際に必要な容器の変位である。本発明の容器入り点眼剤の滴下時における容器の変位が上記範囲内にある場合、滴下量のばらつき抑制効果をより一層顕著に奏することができる。
滴下時における容器の変位の測定は、実施例に記載の方法に従って行う。
(8)点眼剤の用途
本発明に係る点眼薬は、一般点眼薬のほか、抗菌性点眼薬、人工涙液及びコンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む。
なお、上記コンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤は、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズを含むあらゆるコンタクトレンズに適用可能である。また、ソフトコンタクトレンズとは、イオン性及び非イオン性の双方を包含し、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ(以下、SHCLと略記することもある。)及び非シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ(シリコーンハイドロゲルレンズでは無いソフトコンタクトレンズ)の双方を包含する。
(9)点眼方法
本発明の点眼剤の滴下方法は特に限定されず、点眼容器、ノズルの形状、使用目的等に応じて、あらゆる角度から点眼することが可能である。本発明の滴下量のばらつき抑制効果を一層顕著に奏するという観点から、滴下口を真下に向けて滴下するのが好ましい。
2.1滴量のばらつき抑制方法
また、前述したように、本発明の点眼剤は、(A)増粘剤又はテルペノイド化合物、及び、(B)ホウ酸緩衝剤を含有し、1滴あたりの滴下量が5〜25μLとなるように設計されることによって、1滴量のばらつきを抑制することができる。
従って、本発明は、さらに別の観点から、点眼剤に(A)成分として増粘剤又はテルペノイド化合物、及び、(B)成分としてホウ酸緩衝剤を含有させ、かつ該点眼剤の1滴あたりの滴下量が5〜25μLとなるように該点眼剤を設計する、1滴量のばらつきを抑制する方法をも提供する。
上記方法において、(A)成分、(B)成分が共存するのであれば、それらの添加は同時であっても、別々であってもよく、その順序も特に限定されない。使用する(A)成分、(B)成分の種類、それらの含有量(または配合量)、それらの含有比率、1滴あたりの滴下量、その他に配合する成分の種類、含有量(または配合量)、点眼剤の製剤形態、容器の種類、ノズルの種類、その組み合わせ、実施方法等については、前記「1.点眼剤」と同様である。
なお、本明細書において、点眼剤の1滴量のばらつきが抑制されているか否かは、後述の実施例に記載の方法によって判定することが可能である。
以下に、実施例及び試験例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等によって限定されるものではない。
また、平均滴下量(μL)は、各容器入り点眼剤における平均滴下量(mg)を求め、比重を1として算出した。平均滴下量(mg)の測定方法としては、容器入り点眼剤のノズルの滴下口をほぼ垂直に下に向けて滴下し、1滴滴下毎に滴下重量を測定し、この操作を20回繰り返した値から算出した。
また、各表における組成の単位は、w/v%である。
(1)試料の調製
表1〜2に示す組成を有する各点眼剤を以下の方法で調製した。即ち、攪拌下に、精製水にヒドロキシエチルセルロース等の増粘剤を添加し分散させ、次いで、pH調整剤(水酸化ナトリウム又は塩酸)以外の成分を添加して攪拌溶解した。更に、水酸化ナトリウム又は塩酸を用いてpHを調整した後、精製水を適量加えて所定の濃度となるよう調製した。
調製した各点眼剤に関して、粘度の測定を行い、また、点眼剤を所定の容器に充填した容器入り点眼剤に関して、スクイズ力の測定、滴下時における容器の変位の測定、及び滴下量のばらつき試験を行った。
(2)物性測定方法
(2−1)粘度測定
各点眼剤の粘度を以下の方法で測定した。
25℃における粘度が100mPa・s以上のものは、第16改正日本薬局方 一般試験法 粘度測定法 第2法回転粘度計法に記載されている「(2)単一円筒形回転粘度計(ブルックフィールド型粘度計)」の試験法に準拠して、以下の条件で25℃における粘度を測定した。
測定装置、回転数、ローターNo.設定時間
・以下の増粘剤の1w/v%水溶液−カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906:
測定装置_TV−10M、回転数_12rpm、ローターNo._M2、測定時間1分後の粘度
25℃における粘度が100mPa・s未満のものは第16改正日本薬局方 一般試験法 粘度測定法 第2法回転粘度計法に記載されている「(3)円すい−平板形回転粘度計(コーンプレート型粘度計)」の試験法に準拠して、以下の条件で25℃における粘度を測定した。

測定装置、回転数、ローターNo.及び設定時間
・実施例2−1、ヒドロキシエチルセルロースの1w/v%水溶液:
測定装置_RC−550、回転数_20rpm、ローター_標準コーンローター(1°34’ ×R24) 、設定時間_3分後の粘度
・実施例2−1以外:
測定装置_RC−550、回転数_50rpm、ローター_標準コーンローター(1°34’ ×R24)、設定時間_1分後の粘度
・ポリビニルピロリドンK25の1w/v%水溶液:
測定装置_RC−550、回転数_100rpm、ローター_標準コーンローター(1°34’ ×R24)、設定時間_3分後の粘度
(2−2)スクイズ力測定
各容器入り点眼剤のスクイズ力を以下の方法で測定した。
試験対象の容器入り点眼剤を、充填後未使用の状態で、滴下口を真下に向けて、2滴滴下した。次に、該容器入り点眼剤を滴下口を真下に向けて垂直な壁面に指で押さえ固定した。次いで、デジタルプッシュプルゲージ(CPU GAUGE 9520A ,アイコーエンジニアリング(株)製)の先端に直径5mmの平板型の治具を取り付けた状態で、容器の側面に圧力を加え、1滴滴下するときのスクイズ力( N ) を測定した。測定は10回(10滴分)実施し、その平均を求めた。
(2−3)滴下時における容器の変位測定
各容器入り点眼剤の滴下時における容器の変位を、以下の方法で測定した。
試験対象の容器入り点眼剤について、充填後未使用の状態で、オートグラフ(製品名:AUTO GRAPH AGS−X 5kN TRAPEZIUM (SHIMADZU製))を用いて変位とスクイズ力の関係を求めた。その後、予め上記(2−2)の方法に従って求めておいたスクイズ力に相当する容器の変位の値を求めた。

尚、オートグラフの測定条件は以下の通りである。
・クロスヘッドスピード :100mm/min
・治具 :Φ5mm
(3)試薬
増粘剤は、1.0w/v%となるように精製水に溶解した場合の25℃における粘度が以下の値を示すものを使用した (測定条件は(2)物性測定方法(2−1)粘度測定に記載の方法に準じた。) 。
カルボキシビニルポリマー :1911mPa・s
ヒドロキシエチルセルロース :18.6mPa・s
ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906 :258.5mPa・s
ポリビニルピロリドンK25 :1.2mPa・s
[試験1]滴下量のばらつき評価1
常法により、表1に示す組成に従って各処方例(点眼剤)を調製し、内容積7.7mLのポリエチレンテレフタレート製点眼容器に6mL充填し、この容器にポリエチレン製ノズルを装着した。ポリエチレン製ノズルとしては、(i)5〜15μLの滴下に適したノズル(滴下口の内径0.3mm、外径0.9mm、ノズル以下ノズル(i) と表記することもある)、及び(ii)30〜50μLの滴下に適したノズル(内径2mm、外径6mm、以下ノズル(ii)と表記することもある)の2種類のノズルを使用した。この容器入り点眼剤をノズルの滴下口をほぼ垂直に下を向けて滴下し、1滴滴下毎に滴下重量を測定した。この操作を20回繰り返すことによって求めた平均滴下量(AVG:mg)、標準偏差(SD:mg)から、下記式(I)によって滴下量のばらつき(変動係数CV:%)を算出した。結果を表1に併せて示す。
Figure 2014166977
Figure 2014166977
*実施例1−1のスクイズ力は2.0Nであり、滴下時の容器の変位は0.08mmであった。
表1に示すとおり、増粘剤としてヒドロキシエチルセルロース(以下、HECと表記することもある)を含有する処方例1−Aを点眼容器に充填後、ノズル(ii)を装着し滴下した場合(参考例1−1)に比較して、ノズル(i)を装着した場合には、滴下量のばらつきが格段に増大することが確認された(比較例1−1)。一方、リン酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤をそれぞれ含有させた処方例(比較例1−2、比較例1−3)、及び、ヒドロキシエチルセルロースとリン酸緩衝剤を共に含有させた処方例(比較例1−4)においても、ノズル(i)を装着した場合には、ほぼ一定して、滴下量がばらつくことが確認された。
一方、全く意外なことに、ヒドロキシエチルセルロースとホウ酸緩衝剤を共に含有させた場合(実施例1−1)においては、変動計数が顕著に改善され、参考例1−1とほぼ同程度まで滴下量のばらつきを抑制できることが確認された。
また、健常人2名が実施例1−1を片眼に1滴ずつ両眼に点眼したところ、刺激が無く、非常に良好な使用感であった。
[試験2]滴下量のばらつき評価2
表2に示す組成に従って各処方例(点眼剤)を調製し、内容積7.7mLのポリエチレンテレフタレート製点眼容器に6mL充填し、この容器にポリエチレン製ノズルを装着した。処方例を表2に記載のものに変更し、ポリエチレン製ノズルとして、全てノズル(i)を用いたこと以外は、試験1と同様の方法でばらつき評価試験を実施し、上記式(I)によって滴下量のばらつき(変動係数CV:%)を算出した。さらに、下記式(II)を用いて、対応する比較例に対するばらつき改善率(%)を求めた。結果を表2に示す。
尚、対応する比較例は、実施例2-1、実施例2−2、実施例2−3、実施例2−4についてはそれぞれ、比較例2-1、比較例2−2、比較例2−3、比較例2−4である。
Figure 2014166977
Figure 2014166977
*各容器入り点眼剤におけるスクイズ力(N)は下記の通りであった。
実施例2−1 4.6
実施例2−2 2.3
実施例2−3 2.2
実施例2−4 2.5
*各容器入り点眼剤における滴下時の容器の変位(mm)は下記の通りであった。
実施例2−1 0.20
実施例2−2 0.10
実施例2−3 0.10
実施例2−4 0.12
増粘剤としてカルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906を用いた場合において、共にリン酸緩衝剤を含有させた比較例(比較例2−1、比較例2−2)に対して、ホウ酸緩衝剤を含有させた実施例(実施例2−1、実施例2−2)は、滴下時のばらつきが顕著に改善されることがわかった。
さらに、l−メントール、d−カンフルを含有させた場合においても、共にリン酸緩衝剤を含有させた比較例(比較例2−3、2−4)に対して、ホウ酸緩衝剤を配合した実施例(実施例2−3、実施例2−4)は、滴下時のばらつきが顕著に改善されることが確認された。
また、健常人2名が実施例2−2を片眼に1滴ずつ両眼に点眼したところ、刺激が無く、非常に良好な使用感であった。
[試験3]滴下量のばらつき評価3
表3に示す組成に従って各処方例(点眼剤)を調製し、内容積7.7mLのポリエチレンテレフタレート製点眼容器に6mL充填し、この容器にポリエチレン製ノズルを装着した。処方例を表3に記載のものに変更し、ポリエチレン製ノズルとして、全てノズル(i)を用いたこと以外は、試験1と同様の方法でばらつき評価試験を実施し、上記式(I)によって滴下量のばらつき(変動係数CV:%)を算出した。さらに、式(II)を用いて、対応する比較例に対するばらつき改善率(%)を求めた。結果を表3に併せて示す。
尚、対応する比較例は、実施例3−1については比較例3−1、実施例3−2については比較例3−2、実施例3−3については比較例3−3である。
Figure 2014166977
*各容器入り点眼剤におけるスクイズ力(N)は下記の通りであった。
実施例3−1 2.1
実施例3−2 1.8
実施例3−3 7.0
*各容器入り点眼剤における滴下時の容器の変位(mm)は下記の通りであった。
実施例3−1 0.09
実施例3−2 0.07
実施例3−3 0.31
ポリビニルピロリドンK25等の増粘剤、又は、l−メントール、dl−カンフル、ベルガモット油等のテルペノイド化合物と、ホウ酸緩衝剤を含有させた場合(実施例3−1、実施例3−2、実施例3−3)には、意外なことに滴下量のばらつきが改善されることが確認された。
[製剤例]
表4及び表5、並びに、表6及び表7に示す製剤処方例(点眼剤)を調製し、所定の容器に充填した後所定のノズルを装着したものを製剤例(容器入り点眼剤)とした。
・製剤例1〜13:製剤処方例1〜13を内容積6mLの容器に充填した後、滴下口における内径が0.1mmであり、外径が0.4mmであるノズルを装着したもの(滴下量:9μL)
・製剤例14〜26:製剤処方例1〜13を内容積8mLの容器に充填した後、滴下口における内径が0.3mmであり、外径が1.0mmであるノズルを装着したもの(滴下量:15μL)
・製剤例27〜39:製剤処方例1〜13を内容積10mLの容器に充填した後、滴下口における内径が0.5mmであり、外径が1.2mmであるノズルを装着したもの(滴下量:18μL)
Figure 2014166977
Figure 2014166977
Figure 2014166977
Figure 2014166977
本発明の点眼剤の滴下量のばらつき改善方法は、増粘剤又はテルペノイド化合物を含有する点眼剤において、1滴量を少なくして点眼する場合に、滴下量のばらつきを抑制できる。従って、本発明の点眼剤は、実用性に富み、使用感が良好である。

Claims (7)

  1. (A)増粘剤又はテルペノイド化合物、及び、(B)ホウ酸緩衝剤を含有する点眼剤であって、1滴あたりの滴下量が5〜25μLであることを特徴とする点眼剤。
  2. 内容積が4〜30mLである容器に充填された請求項1に記載の点眼剤。
  3. 滴下口における内径が1.5mm未満であるノズルを有する容器に充填された請求項1又は2に記載の点眼剤。
  4. 前記増粘剤が、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、及びヒアルロン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一項に記載の点眼剤。
  5. 前記テルペノイド化合物が、dl−メントール、l−メントール、dl−カンフル、d−カンフル、d−ボルネオール、及びゲラニオールからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか一項に記載の点眼剤。
  6. 点眼剤に(A)増粘剤又はテルペノイド化合物、及び、(B)ホウ酸緩衝剤を含有させ、かつ該点眼剤の1滴あたりの滴下量が5〜25μLとなるように設計することを特徴とする点眼剤の1滴量のばらつき抑制方法。
  7. (A)増粘剤又はテルペノイド化合物、及び、(B)ホウ酸緩衝剤を含有する点眼剤を、1滴あたりの滴下量が5〜25μLとなるように設計された容器に充填することを特徴とする容器入り点眼剤の製造方法。
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