JP2014166011A - 発電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】異音の発生やコイルの断線、電圧波形の乱れを抑制できる発電素子を提供すること。
【解決手段】導線が螺旋状に巻回されてコイル13が形成され、磁歪棒11がコイル13に内設される。磁性材料から棒状に構成される剛性棒12が磁歪棒11に並設され、磁歪棒11との間で磁気ループが形成される。磁歪棒11及び剛性棒12が並設される方向に磁歪棒11が振動することで発電が行われる。コイル13と磁歪棒11との間に間隔保持部50が介設され、振動する磁歪棒11とコイル13との衝突が間隔保持部50により阻止される。よって、磁歪棒11とコイル13との衝突による異音の発生およびコイル13(導線)の断線を防止できる。間隔保持部50により磁歪棒11がコイル13に衝突することを防止できるので、電圧波形の乱れを抑制できる。
【選択図】図4

Description

本発明は、磁歪材料の逆磁歪効果を利用して振動発電を行う発電素子に関し、特に異音の発生やコイルの断線、電圧波形の乱れを抑制できる発電素子に関するものである。
特許文献1には、磁歪材料の逆磁歪効果を利用して振動発電を行う発電素子が開示される。この発電素子について、図10(a)を参照して説明する。図10(a)は、従来の発電素子901の正面図であり、図10(b)は図10(a)の矢印Xb方向視における発電素子901の側面図である。なお、図10(a)において、コイル、永久磁石およびバックヨークの図示は省略する。
図10(a)及び図10(b)に示すように、発電素子901は、一対の磁歪棒911,912と、それら一対の磁歪棒911,912の一端を支持する第1ヨーク921と、一対の磁歪棒911,912の他端を支持すると共に質量体(可動マス)として機能する第2ヨーク922と、導線が螺旋状に巻回されると共に内側に一対の磁歪棒911,912がそれぞれ配設される一対のコイル931,932(但し、コイル932の図示は省略)と、一対の磁歪棒911,912の一端および他端にそれぞれ磁極を違えて配設される一対の永久磁石941,942と、それら一対の永久磁石941,942を連結することで一対の磁歪棒911,912にバイアス磁界を付与するバックヨーク950とを主に備える。
発電素子901は、第1ヨーク921を振動体に固着すると共に、第2ヨーク922を自由端とした状態で設置され、振動体の振動に伴って、磁歪棒911,912の軸直角方向へ第2ヨーク922を振り子運動(自由振動または強制振動)させることで、磁歪棒911,912の一方および他方に軸方向の伸張および収縮をそれぞれ発生させる。即ち、図10(a)に示すように、振り子運動により、磁歪棒911,912が曲げ変形されることで、一方(磁歪棒911)に軸方向の収縮が、他方(磁歪棒912)に軸方向の伸張が、それぞれ発生する。これにより、磁歪棒911,912の軸方向と平行な方向に磁束密度が変化し(逆磁歪効果)、磁歪棒911,912にそれぞれ巻回されたコイル931,932に電流が発生し、発電が行われる。
国際公開第2011/158473号(段落0078、図4Aなど)
しかしながら上述した従来の発電素子では、コイルの内側に配設された磁歪棒が振動するので、磁歪棒がコイルに繰返し衝突すると、衝突音(異音)が発生したりコイル(導線)が断線したりするという問題がある。また、磁歪棒がコイルに衝突する衝撃で、出力される電圧波形が乱れるという問題がある。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、異音の発生やコイルの断線、電圧波形の乱れを抑制できる発電素子を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段および発明の効果
請求項1記載の発電素子によれば、導線が螺旋状に巻回されてコイルが形成され、磁歪材料から棒状に構成される磁歪棒がコイルに内設される。磁性材料から棒状に構成される剛性棒が磁歪棒に並設され、磁歪棒との間で磁気ループが形成される。一対の保持部材により剛性棒および磁歪棒の軸方向両端がそれぞれ保持され、磁歪棒および剛性棒の軸方向一端側が固定される。磁歪棒および剛性棒が並設される方向に軸方向他端側が振動することで磁歪棒が軸方向に伸張または収縮して発電が行われる。
コイルと磁歪棒との間に間隔保持部が介設され、その間隔保持部により磁歪棒とコイルとの間隔が保持される。振動する磁歪棒とコイルとの衝突が間隔保持部により阻止されるので、磁歪棒とコイルとの衝突による異音の発生およびコイル(導線)の断線を防止できる効果がある。また、間隔保持部により磁歪棒がコイルに衝突することを防止できるので、電圧波形の乱れを抑制できる効果がある。
請求項2記載の発電素子によれば、導線が螺旋状に巻回されてコイルが形成され、磁歪材料から棒状に構成される磁歪棒がコイルに内設される。磁性材料から棒状に構成される剛性棒が磁歪棒に並設され、磁歪棒との間で磁気ループが形成される。一対の保持部材により剛性棒および磁歪棒の軸方向両端がそれぞれ保持され、磁歪棒および剛性棒の軸方向一端側が固定される。磁歪棒および剛性棒が並設される方向に軸方向他端側が振動することで磁歪棒が軸方向に伸張または収縮して発電が行われる。
コイルと磁歪棒との間に緩衝部が介設され、その緩衝部により磁歪棒とコイルとの衝突の衝撃が緩和される。振動する磁歪棒とコイルとの衝突の衝撃が緩衝部による緩和されるので、磁歪棒とコイルとの衝突による異音の発生およびコイルの断線を抑制できる効果がある。また、緩衝部により磁歪棒がコイルに衝突する衝撃を緩和するので、電圧波形の乱れを抑制できる効果がある。
請求項3記載の発電素子によれば、間隔保持部が弾性を有することで、間隔保持部は磁歪棒とコイルとの間で弾性変形する。その結果、磁歪棒の振動が間隔保持部を介してコイルにそのまま入力されることを防止できる。また、緩衝部が弾性を有することで、磁歪棒とコイルとの衝突の衝撃を緩衝部が吸収する。よって、磁歪棒の振動によりコイルに入力される曲げ荷重を抑制できる。また、コイルが弾性曲げ変形可能に構成されることにより、磁歪棒の振動(曲げ変形)によりコイルに作用する衝撃を抑制できる。従って、請求項1又は2に記載の効果に加え、コイルに入力される曲げ荷重によりコイル(導線)が断線することを防止できる効果がある。
請求項4記載の発電素子によれば、間隔保持部または緩衝部は、コイルの軸方向の一部に設けられるので、間隔保持部または緩衝部により磁歪棒の曲げ剛性が上昇することを抑制できる。磁歪棒の曲げ剛性の上昇を抑制することで、磁歪棒を振動させるために必要な加振エネルギーの増加を抑制できる。その結果、請求項1から3のいずれかの効果に加え、発電素子の発電効率(発電素子に入力された加振エネルギーに対する電力量の比率)を向上できる。また、間隔保持部または緩衝部による磁歪棒の曲げ剛性(ばね定数)の上昇を抑制できるので、磁歪棒の固有振動数(磁歪棒のばね定数の平方根に反比例する)が設計値からずれることを防止できる効果がある。
請求項5記載の発電素子によれば、間隔保持部または緩衝部は、少なくとも振動端側のコイルの軸方向端部に設けられる。振動端側のコイルの軸方向端部は、コイルの軸方向中央より、振動する磁歪棒との距離が近くなる。そのコイルの軸方向端部に間隔保持部または緩衝部が設けられるので、請求項1から4のいずれかの効果に加え、コイルと磁歪棒との衝突を効率良く抑制できる効果がある。
請求項6記載の発電素子によれば、間隔保持部または緩衝部は、振り子運動をする磁歪棒の少なくとも振動方向に設けられる。振り子運動をする磁歪棒の振動方向は、磁歪棒とコイルとの距離が近づく方向である。その磁歪棒の振動方向に間隔保持部または緩衝部が設けられるので、請求項1から5のいずれかの効果に加え、コイルと磁歪棒との衝突を効率良く抑制できる効果がある。
(a)は本発明の第1実施の形態における発電素子の平面図であり、(b)は矢印Ib方向視における発電素子の側面図である。 (a)は固定部材の正面図であり、(b)は図2(a)のIIb−IIb線における固定部材の断面図であり、(c)は図2(a)の矢印IIc方向視における固定部材の側面図である。 (a)はホルダ部材の正面図であり、(b)は図3(a)の矢印IIIb方向視におけるホルダ部材の側面図である。 (a)は図1(a)のIVa−IVa線におけるコイル及び磁歪棒の断面図であり、(b)は図1(b)のIVb−IVb線におけるコイル及び磁歪棒の断面図である。 第2実施の形態における発電素子のコイルの軸方向における断面図である。 (a)は第3実施の形態における発電素子のコイル及び磁歪棒の斜視図であり、(b)はコイル及び磁歪棒の正面図である。 第4実施の形態における発電素子のコイル及び磁歪棒の軸方向における断面図である。 実施例および比較例における発電素子の加振振幅に対する発電圧を示す図である。 実施例および比較例における発電素子により発生した電圧波形を示す図である。 (a)は従来の発電素子の正面図であり、(b)は図10(a)の矢印Xb方向視における発電素子の側面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。図1(a)は本発明の第1実施の形態における発電素子1の平面図であり、図1(b)は矢印Ib方向視における発電素子1の側面図である。なお、図1では、永久磁石14,15の磁極の向きの理解を容易とするために、その磁性を「N」「S」の表記を利用して便宜的に図中に図示する。
図1に示すように、発電素子1は、振動体に対し、一対の保持部材40の内の一方を固着すると共に他方を自由端とした状態で設置され、振動体の振動に伴って、磁歪棒11及び剛性棒12の軸直角方向(図1(b)上下方向)へ他方の保持部材40を振り子運動(自由振動または強制振動)させて使用される。この場合、振り子運動に伴う曲げ変形により軸方向の伸張および収縮が磁歪棒11に発生することで、磁歪棒11の軸方向と平行な方向に磁束密度が変化し、コイル13に電流が発生することで、発電が行われる。
発電素子1は、磁歪材料から構成される磁歪棒11及び磁性材料から構成される剛性棒12と、磁歪棒11に巻回されるコイル13と、磁歪棒11及び剛性棒12の軸方向一端側(図1(b)左側)及び他端側(図1(b)右側)においてこれら磁歪棒11及び剛性棒12の対向間に挟装される一対の永久磁石14,15と、磁歪棒11及び剛性棒12の軸方向一端側および他端側にそれぞれ取着され磁歪棒11及び剛性棒12の対向間に永久磁石14,15が挟装された状態を保持する一対の保持部材40とを備える。
磁歪棒11及び剛性棒12は、厚み寸法(図1(b)上下方向寸法)に対して高さ寸法(図1(a)上下方向寸法)が大きな断面長方形(即ち、断面が長辺(高さ方向に沿う辺)及び短辺(厚み方向に沿う辺)を有する長方形)から長尺板状に形成される。
これら磁歪棒11及び剛性棒12は、互いに同一形状(寸法)に形成されると共に、面積が大きな側面(即ち、断面において長辺を含む側面)同士を対向させて平行に配置される。なお、剛性棒12は、磁歪棒11よりも磁歪効果の低い磁性材料から構成される。本実施の形態では、磁歪棒11が鉄ガリウム合金から、剛性棒12が鉄鋼材料から、それぞれ構成される。
コイル13は、銅線から構成される線材(導線)を螺旋状に磁歪棒11に巻回したものであり、コイル13と磁歪棒11との間に隙間が設けられる。永久磁石14,15は、磁歪棒11にバイアス磁界を付与するための部材であり、それぞれ断面矩形の棒状に形成される。なお、永久磁石14,15は、挟持対向部22,23の対向方向(図1(b)上下方向)の寸法が厚み寸法とされる。
永久磁石14,15は、互いに磁極を違えて配設される。即ち、永久磁石14は、磁歪棒11に接続される面側(図1(b)上側)にN極、剛性棒12に接続される面側(図1(b)下側)にS極が配置される一方、これとは反対に、永久磁石15は、磁歪棒11に接続される面側にS極、剛性棒12に接続される面側にN極が配置される。
これにより、磁歪棒11と、剛性棒12と、永久磁石14,15とにより磁気ループが形成され、永久磁石14,15の起磁力によるバイアス磁界が磁歪棒11に付与される。その結果、磁歪棒11の磁化容易方向(磁化の方向または磁化が生じ易い方向)が、磁歪棒11の軸方向(長手方向)に設定される。
永久磁石14,15は、固定部材20に形成(凹設)された収容空間に配設される。この収容空間の内面(挟持対向部22,23の対向面22b,23b、規制部24の対向面および連結部25の対向面、図2参照)や磁歪棒11及び剛性棒12の側面と、永久磁石14,15の対向面(側面)との対向間には隙間が形成され、この隙間に充填した接着剤により、永久磁石14,15が固定部材20に固着される。
保持部材40は、磁歪棒11及び剛性棒12の軸方向一端側および他端側にそれぞれ取着される一対の固定部材20と、それら一対の固定部材20がそれぞれ圧入されるホルダ部材30とを備える。固定部材20及びホルダ部材30は、非磁性材料(本実施の形態では、アルミニウム合金)から構成される。ここで、図2及び図3を参照して、固定部材20及びホルダ部材30の詳細構成について説明する。
図2(a)は、固定部材20の側面図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb−IIb線における固定部材20の断面図であり、図2(c)は、図2(a)の矢印IIc方向視における固定部材20の側面図である。
図2に示すように、固定部材20は、ブロック状に形成されるベース部21と、そのベース部21の側面(図2(a)紙面手前側面)から突設されると共に所定間隔を隔てて対向される挟持対向部22,23と、それら挟持対向部22,23の対向間に位置しつつベース部21の側面から突設される規制部24と、挟持対向部22,23の対向間を連結しつつベース部21の側面から突設される連結部25とを備える。なお、固定部材20は、高さ方向(図2(a)上下方向)中央に位置する仮想平面(図示せず)に対して面対称に形成される。
挟持対向部22,23は、磁歪棒11及び剛性棒12を永久磁石14,15へ向かう方向に挟み込んで挟持する部位であり(図1参照)、対向面22a,22b及び対向面23a,23bがそれぞれ対向して形成される。対向面22a,22b及び対向面23a,23bの対向間に形成される空間に、磁歪棒11、剛性棒12及び永久磁石14,15がそれぞれ収容される(図1参照)。
なお、対向面22a,23aは互いに平行とされ、それら対向面22a,23aの対向間隔(図2(a)上下方向の寸法)は、磁歪棒11、剛性棒12及び永久磁石14,15の厚み寸法(図1(b)上下方向寸法)の合計よりも所定量(本実施の形態では0.02mm)だけ大きくされる。同様に、対向面22b,23bは互いに平行とされ、それら対向面23a,23bの対向間隔は、永久磁石14,15の厚み寸法よりも所定量(本実施の形態では0.02mm)だけ大きくされる。
ベース部21及び挟持対向部22,23(即ち、固定部材20)の上面側および下面側(図2(a)上側または下側)には、固定部材20をホルダ部材30へ圧入する際の圧入方向に沿って傾斜する傾斜面22c及び傾斜面23cが形成される。傾斜面22c及び傾斜面23cは、規制部24から連結部25へ向かうに従って互いに異なる方向に傾斜(図2(a)に示す側面視において、傾斜面22cは下降傾斜、傾斜面23cは上昇傾斜)する傾斜面として形成される。この傾斜(勾配)によって、固定部材20(ベース部21及び挟持対向部22,23)は、図2(a)に示す側面視において、磁歪棒11及び剛性棒12の軸方向中央から軸方向端部へ向かうに従って先細りとなる形状に形成される(図1参照)。
なお、傾斜面22c,23cは、水平面(上述した固定部材20の対称面となる仮想平面)に対し傾斜角度θ1で傾斜される。この傾斜角度θ1は、本実施の形態では、2度に設定される。
規制部24は、図2(a)に示す側面視形状が矩形とされる部位であり、挟持対向部22,23の対向面22a,23aに対して所定の間隔を隔てて配設される。規制部24と挟持対向部22,23の対向面22a,23aとの間の間隔(図2(a)上下方向寸法)は、磁歪棒11及び剛性棒12の厚み寸法(図1(b)上下方向寸法)と同等または若干大きくされる。また、規制部24は、挟持対向部22,23の対向方向(図2(a)上下方向)の寸法である厚み寸法W1が、永久磁石14,15の厚み寸法よりも大きくされる。なお、本実施の形態では、規制部24の厚み寸法W1が、連結部25側に位置する対向面22b,23bの対向間隔(図2(a)上下方向寸法)と同等に設定される。
挟持対向部22,23及び規制部24は、連結部25の反対側に位置する端面(図2(a)左側の面)が面一に形成されると共に、磁歪棒11及び剛性棒12の軸方向に垂直な平坦面として形成される(図1参照)。
連結部25は、固定部材20の先細りとなる側(規制部24の反対側、図2(a)右側)に位置し、ベース部21の側面からの高さ寸法(図2(b)上下方向寸法)が、挟持対向部22,23及び規制部24の高さ寸法と同一に設定される。連結部25が対向面22b,23bの間に介在することで、固定部材20をホルダ部材30へ圧入する際に、寸法公差が存在する場合や、圧入工程の精度が不足した場合でも、永久磁石14,15が対向面22b,23bに押圧されることを抑制して、かかる永久磁石14,15が破損することを抑制できる。
図3を参照して、ホルダ部材30について説明する。図3(a)は、ホルダ部材30の側面図であり、図3(b)は、図3(a)の矢印IIIb方向視におけるホルダ部材30の側面図である。
ホルダ部材30は、略直方体形状のベース部31と、そのベース部31の一側(図3(a)左側)から突設されると共に所定間隔を隔てて対向して配設される被圧入対向部32,33とを備える。なお、ホルダ部材30は、高さ方向(図3(a)上下方向)中央に位置する仮想平面(図示せず)に対して面対称に形成される。
被圧入対向部32,33は、固定部材20が圧入される部位であり、それら被圧入対向部32,33の互いに対向する面には、固定部材20をホルダ部材30へ圧入する際の圧入方向に沿って傾斜する傾斜面32a,33aが形成される。傾斜面32a,33aは、被圧入対向部32,33の突設先端側からベース部31へ向かうに従って互いに異なる方向に傾斜(図3(a)に示す側面視において、傾斜面32aは下降傾斜、傾斜面33aは上昇傾斜)する傾斜面として形成される。この傾斜(勾配)によって、傾斜面32a,33aの対向間隔は、ベース部31へ向かうに従って狭くなる。
なお、傾斜面32a,33aは、水平面(上述したホルダ部材30の対称面となる仮想平面)に対し傾斜角度θ2で傾斜される。この傾斜角度θ2は、本実施の形態では、傾斜角度θ1(図2(a)参照)と同一とされ、2度に設定される。
次に図4を参照して、コイル13と磁歪棒11との関係について説明する。図4(a)は図1(a)のIVa−IVa線におけるコイル13及び磁歪棒11の断面図であり、図4(b)は図1(b)のIVb−IVb線におけるコイル13及び磁歪棒11の断面図である。なお、図4(a)及び図4(b)では、剛性棒12の図示を省略している。
図4(a)及び図4(b)に示すように、螺旋状に形成されたコイル13は、磁歪棒11の幅(図4(b)左右方向寸法)より内径が大きく設定される。そのコイル13の内側に磁歪棒11が配設され、コイル13と磁歪棒11との間に間隔保持部50が介設される。間隔保持部50はコイル13と磁歪棒11との間隔を保持するための部材であり、ゴム状弾性体により構成され、コイル13の軸方向両端部にそれぞれ設けられている。本実施の形態では、間隔保持部50は、磁歪棒11の振動方向(図4(b)上下方向)を臨む一面とコイル13の内周面とに接着された第1間隔保持部51と、磁歪棒11の反対面を臨む一面とコイル13の内周面とに接着された第2間隔保持部52とを備えている。
次に発電素子1の組み立て方法について説明する。まず、自己融着線からなる導線同士が接着固定されたコイル13(空芯コイル)に磁歪棒11を挿通する。次いで、シリンジノズル(図示せず)の先端をコイル13の軸方向端部に近づけ、シリンジノズルの先端から弾性接着剤をコイル13と磁歪棒11との間に注入する。弾性接着剤は、磁歪棒11の振動方向(図4(b)上下方向)を臨む一面とコイル13の内周面との間に注入され、磁歪棒11の反対面を臨む一面とコイル13の内周面との間に注入される。注入された弾性接着剤は硬化後、第1間隔保持部51及び第2間隔保持部52となり、ゴム状弾性を維持する。
なお、弾性接着剤は、シリコーン系、変性シリコーン系、ポリウレタン系、ニトリルゴム系、合成ゴム系などの高分子化合物を含有するものが用いられる。また、弾性接着剤は、予め成分が混合された1成分型(1液性)、注入時に2液以上を混ぜる多成分型(2液性など)のいずれも用いることができる。
第1間隔保持部51及び第2間隔保持部52(間隔保持部50)が形成された後、磁歪棒11及び剛性棒12の軸方向端部を、固定部材20の収容空間に配設すると共に、永久磁石14,15を、固定部材20の収容空間(磁歪棒11及び剛性棒12の対向間)に配設し、接着剤により接着固定する。次いで、ホルダ部材30の被圧入対向部32,33の対向間へ固定部材20を、磁歪棒11及び剛性棒12の軸方向(図1(b)左右方向)を圧入方向として、圧入する。但し、永久磁石14,15の収容空間への取り付け(接着剤による接着固定)は、圧入が完了した後に行っても良い。
なお、固定部材20は、上述したように、ベース部21の側面から挟持対向部22,23が突設されることで、磁歪棒11及び剛性棒12と永久磁石14,15とを収容する収容空間が形成される(図2参照)。即ち、かかる収容空間は、ベース部21と反対側(即ち、磁歪棒11及び剛性棒12を挟み込む方向と磁歪棒11及び剛性棒12の軸方向とにそれぞれ直交する方向の一方側、図2(a)紙面手前側)が開放して形成されるので、かかる収容空間に磁歪棒11及び剛性棒12と永久磁石14,15とを容易に配設することができる。
また、固定部材20(挟持対向部22,23)の外面(傾斜面22c,23c)とホルダ部材30の被圧入対向部32,33の内面(傾斜面32a,33a)とが、圧入方向に沿って傾斜する傾斜面として形成されるので、圧入の進行に伴い、固定部材20(挟持対向部22,23)の傾斜面22c,23cが、ホルダ部材30の被圧入対向部32,33における傾斜面32a,33aにより押圧される。これにより、挟持対向部22,23が互いに近接する方向(永久磁石14,15及び規制部24を挟み込む方向)へ向けて撓み変形され、磁歪棒11及び剛性棒12が挟持される。その結果、発電素子1の組み立てが完了する。
以上のようにして組み立てられた発電素子1によれば、磁歪棒11及び剛性棒12の軸方向一端側が固定され、磁歪棒11及び剛性棒12が並設される方向(図1(b)上下方向)に軸方向他端側が振動することで磁歪棒11が軸方向に伸張または収縮して発電が行われる。コイル13と磁歪棒11との間に間隔保持部50が介設され、その間隔保持部50により磁歪棒11とコイル13との間隔が保持される。振動する磁歪棒11とコイル13との衝突が間隔保持部50により阻止されるので、磁歪棒11とコイル13との衝突による異音の発生およびコイル13(導線)の断線を防止できる。また、間隔保持部50により磁歪棒11がコイル13に衝突することを防止できるので、電圧波形の乱れを抑制できる。
また、弾性を有する間隔保持部50は、磁歪棒11の振動に伴い磁歪棒11とコイル13との間で弾性変形する。その結果、磁歪棒11の振動が間隔保持部50を介してコイルにそのまま入力されることを防止できる。よって、磁歪棒11の振動によりコイル13に入力される曲げ荷重を抑制できる。従って、コイル13に入力される曲げ荷重によりコイル13(導線)が断線することを防止できる。また、コイル13の剛性により磁歪棒11の振動が抑制されることを防止できるので、発電効率が低下することを抑制できる。
また、間隔保持部50は、コイル13の軸方向の一部に設けられるので、間隔保持部50により磁歪棒11の曲げ剛性が上昇することを抑制できる。磁歪棒11の曲げ剛性の上昇を抑制することで、磁歪棒11を振動させるために必要な加振エネルギーの増加を抑制できる。その結果、発電素子1の発電効率(発電素子1に入力された加振エネルギーに対する電力量の比率)を向上できる。また、間隔保持部50による磁歪棒11の曲げ剛性(ばね定数)の上昇を抑制できるので、磁歪棒11の固有振動数(磁歪棒11のばね定数の平方根に反比例する)が設計値からずれることを防止できる。
コイル13の軸方向端部は、コイル13の軸方向中央より、振動する磁歪棒11との距離が近くなる。そのコイル13の軸方向端部に間隔保持部50が設けられるので、コイル13と磁歪棒11との衝突を効率良く抑制できる。また、振り子運動をする磁歪棒11の振動方向(図4(b)上下方向)は、磁歪棒11とコイル13との距離が近づく方向である。その磁歪棒11の振動方向に間隔保持部50が設けられるので、コイル13と磁歪棒11との衝突を効率良く抑制できる。
また、コイル13に磁歪棒11を挿通した後、弾性接着剤がコイル13と磁歪棒11との間に注入されるので、注入された弾性接着剤によりコイル13と磁歪棒11との隙間に応じて間隔保持部50が形成される。よって、コイル13と磁歪棒11との隙間を見込んで間隔保持部を予め成形して準備しておくことを不要にできる。また、弾性接着剤によりコイル13と磁歪棒11とが接着されるので、コイル13と磁歪棒11とが軸方向に相対移動(位置ずれ)することを防止できると共に、磁歪棒11の振動により間隔保持部50が摩耗することを抑制できる。
また、磁歪棒11を固定部材20に固定する前に、弾性接着剤をコイル13と磁歪棒11との間に注入するので、固定部材20が弾性接着剤の注入の妨げ(コイル13と磁歪棒11との間へのシリンジノズルの挿入の妨げ)になることを防ぐことができ、コイル13の軸方向両端部に間隔保持部50を確実に設けることができる。
次に図5を参照して、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、間隔保持部50が磁歪棒11及びコイル13に接着される場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、間隔保持部60がコイル13に接着される一方、磁歪棒11を圧接する場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図5は第2実施の形態における発電素子のコイル13の軸方向における断面図である。図5では、便宜上、剛性棒12等の図示を省略する。
図5に示すように、間隔保持部60は、コイル13の軸方向両端部の内周面にそれぞれ設けられる。間隔保持部60は、熱硬化型の弾性接着剤がコイル13の内周面の対向位置に塗布された後、加熱により硬化・形成される。弾性接着剤が硬化すると、間隔保持部60がコイル13の内周面の対向位置に凸起状に形成される。対向する間隔保持部60の間隔(間隔保持部60の凸起間の隙間)は、磁歪棒11の厚さより少し狭めに設定される。次いで、間隔保持部60の対向間に磁歪棒11を圧入しつつコイル13に磁歪棒11を挿通する。その後、第1実施の形態と同様に、磁歪棒11及び剛性棒12を固定部材20に圧入して、発電素子1を組み立てる。
第2実施の形態によれば、磁歪棒11をコイル13に挿入する前に、弾性接着剤をコイル13の内周面に塗布して硬化させるので、磁歪棒11が、コイル13の内周面への弾性接着剤の塗布の妨げになることを防ぐことができ、コイル13の軸方向両端部に間隔保持部60を確実に設けることができる。
また、磁歪棒11をコイル13に挿入する前に、弾性接着剤をコイル13の内周面に塗布して硬化させるので、弾性接着剤の硬化条件により磁歪棒11の磁歪効果が低下することを防止できる。熱硬化型の弾性接着剤の場合、弾性接着剤を硬化させるためにコイル13が加熱されるだけでなくキュリー温度以上に磁歪棒11が加熱されると、磁歪効果が低下するからである。
なお、本実施の形態では、熱硬化型の弾性接着剤を用いる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、熱硬化型以外の他の弾性接着剤を採用することは当然可能である。他の弾性接着剤としては、例えば、光硬化型、紫外線硬化型、湿気硬化型が挙げられる。
次に図6を参照して、第3実施の形態について説明する。第1実施の形態および第2実施の形態では、磁歪棒11やコイル13に塗布した弾性接着剤を硬化させることにより間隔保持部50,60を形成する場合について説明した。これに対し第3実施の形態では、弾性を有する環状の部材に磁歪棒11を圧入する場合について説明する。なお、第1実施の形態で説明したものと同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図6(a)は第3実施の形態における発電素子のコイル13及び磁歪棒11の斜視図であり、図6(b)はコイル13及び磁歪棒11の正面図である。
図6(a)に示すように、緩衝部70は、磁歪棒11の軸方向に所定の間隔をあけて配置される一対の部材により形成される。本実施の形態では、一対の緩衝部70は、弾性を有する断面円形状の環状の部材(Oリング)により構成され、磁歪棒11の軸方向一端側および軸方向他端側がそれぞれ圧入される。一対の緩衝部70の間隔は、コイル13の軸方向長さより少し小さめに設定される。これにより、一対の緩衝部70が外装された磁歪棒11をコイル13に挿通すると、コイル13の軸方向両端と磁歪棒11との間に緩衝部70がそれぞれ介設される。
図6(b)に示すように、略一様の太さで形成された弾性を有する緩衝部70が磁歪棒11に外装されると、緩衝部70は磁歪棒11に倣って弾性変形する。磁歪棒11は厚さ(図6(b)上下方向寸法)が幅(図6(b)左右方向寸法)より小さく設定されているので、緩衝部70は磁歪棒11の幅方向に拡がる。コイル13の内径は、磁歪棒11に外装された緩衝部70の左右(磁歪棒11の幅方向)と同一の大きさに設定されているので、緩衝部70が外装された磁歪棒11がコイル13に挿通されると、緩衝部70の左右(磁歪棒11の幅方向)がコイル13の内周面に接触する。一方、緩衝部70の上下(磁歪棒11の厚さ方向)とコイル13の内周面とに隙間S1,S2が形成される。
磁歪棒11が加振振動されると(振動方向は図6(b)上下方向)、磁歪棒11は、隙間S1を拡げつつ隙間S2を狭くするか、又は、隙間S1を狭くしつつ隙間S2を拡げるように、繰り返しコイル13に対して相対変位する。振動する磁歪棒11とコイル13との衝突の衝撃が緩衝部70により緩和されるので、第1実施の形態で説明した効果に加え、磁歪棒11とコイル13との衝突による異音の発生およびコイルの断線を抑制できる。また、緩衝部70により磁歪棒11がコイル13に衝突する衝撃が緩和されるので、電圧波形の乱れを抑制できる。
また、緩衝部70の左右(磁歪棒11の幅方向)がコイル13の内周面に接触するので、その間の摩擦力により、緩衝部70とコイル13とが軸方向に相対移動(位置ずれ)することが抑制される。緩衝部70により磁歪棒11の角部がコイル13に衝突することが防止されるので、磁歪棒11の角部がコイル13に衝突する衝撃で導線が断線することを防止できる。
次に図7を参照して、第4実施の形態について説明する。第1実施の形態から第3実施の形態では、間隔保持部50,60や緩衝部70が弾性を有する場合について説明した。これに対し第4実施の形態では、間隔保持部111aが弾性変形不能に構成される一方、コイル113が弾性曲げ変形可能に構成される場合について説明する。なお、第1実施の形態で説明したものと同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図7は第4実施の形態における発電素子のコイル113及び磁歪棒111の軸方向における断面図である。図7では、便宜上、剛性棒12等の図示を省略する。
図7に示すように磁歪棒111は、コイル113の軸方向長さより少し小さめの間隔をあけて一対の間隔保持部111aが設けられている。間隔保持部111aは、磁歪棒111の厚さ方向(図7上下方向)両側に凸起状に形成される部位であり、本実施の形態では、磁歪棒111と一体に形成されている。間隔保持部111aの上下方向長さ(図7上下方向寸法)は、コイル113の内径(図7上下方向寸法)と同一乃至は少し小さめに設定されている。これにより、コイル113に磁歪棒111が挿通されると、コイル113と間隔保持部111aとは密接される。
コイル113は、螺旋状に巻回された導線同士を弾性接着剤で接着した空芯コイルであり、弾性曲げ変形可能に構成されている。その結果、磁歪棒111が振動すると(振動方向は図7上下方向)、間隔保持部111aの変位に追随してコイル113が弾性曲げ変形される。従って、コイル113に作用する衝撃を抑制できる。よって、コイル113に入力される曲げ荷重によりコイル113(導線)が断線することを防止できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。実施例、比較例1及び比較例2の発電素子は、いずれも同一材質かつ同一寸法の磁歪棒11、コイル13等の部品を用いて作成されている。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例)
第1実施の形態で説明した発電素子1を作成するために、コイル13に磁歪棒11を挿通した後、ペースト状の高分子化合物(シリコーン製)をコイル13の軸方向両端部と磁歪棒11との間に注入して、コイル13の軸方向両端部に間隔保持部50を形成した。シリコーン製の高分子化合物(間隔保持部50)が硬化した後、磁歪棒11、剛性棒12及び永久磁石14,15を一対の保持部材40により保持させた。これにより、実施例における発電素子を得た。
(比較例1)
コイル13に磁歪棒11を挿通した後、磁歪棒11、剛性棒12及び永久磁石14,15を一対の保持部材40により保持させた。これにより、比較例1における発電素子を得た。比較例1は、間隔保持部50を有していない点で、間隔保持部50を有する実施例と異なる。
(比較例2)
コイル13に磁歪棒11を挿通した後、磁歪棒11、剛性棒12及び永久磁石14,15を一対の保持部材40により保持させた。次いで、コイル13の軸方向両端部から磁歪棒11を通って保持部材40まで合成樹脂系(エラストマー製)の接着剤を連続的に塗布し硬化させた。これにより、比較例2における発電素子を得た。比較例2は、コイル13及び磁歪棒11から保持部材40まで弾性を有する接着剤が連続的に塗布されている点で、コイル13の軸方向両端部に間隔保持部50が形成された実施例と異なる。
なお、比較例2のように磁歪棒11、剛性棒12及び永久磁石14,15を一対の保持部材40により保持させた後に、コイル13と磁歪棒11との間に接着剤を塗布する場合は(図1(b)参照)、コイル13の軸方向両端部と保持部材40との間隔が狭いので、接着剤が、コイル13及び磁歪棒11から保持部材40まで連続的に塗布されてしまう。
(試験結果)
実施例、比較例1及び比較例2における発電素子の加振振幅と発生電圧との関係を測定した。一対の保持部材40の内、一方を固定端とし、他方を振動端として、振動端に加振振幅を与えた。図8は実施例および比較例における発電素子の加振振幅に対する発電圧(発生電圧)を示す図である。横軸は加振振幅(mm)であり、縦軸は発生電圧(V)である。図8に示すように、実施例および比較例1における発電素子は、0.03mm程度の加振振幅を与えると約2Vの発電圧が得られた。
これに対し、比較例2における発電素子は、0.1mm程度の加振振幅を与えないと約2Vの発電圧が得られないことがわかった。これは、比較例2における発電素子は、コイル13及び磁歪棒11から保持部材40まで連続的に接着剤が塗布されているので、磁歪棒11の曲げ剛性(ばね定数)が上がり、発電効率(発電素子に入力された加振エネルギーに対する電力量の比率)が低下したためであると推察される。
次に図9を参照して、実施例および比較例1における発電素子の電圧波形について説明する。図9は実施例および比較例における発電素子により発生した電圧波形を示す図である。横軸は時間(s)であり、縦軸は発生電圧(V)である。図9に示すように、実施例における発電素子は約0.007秒の周期で±4Vの電圧波形が得られた。
これに対し、比較例1における発電素子は、実施例の電圧波形(基本波)に、これよりも高い周波数をもった交流電圧が重畳することで、電圧波形が乱れている。電圧波形の乱れは過大な電流が流れることに繋がるので、機器の誤動作や過熱等の原因となる。電圧波形の乱れの原因は、コイル13に磁歪棒11が衝突する衝撃によるものであると推察される。
以上説明したように、実施例における発電素子1は、間隔保持部50により磁歪棒11とコイル13との間隔が保持されることで、振動する磁歪棒11とコイル13との衝突が阻止される。その結果、電圧波形の乱れを抑制できることが明らかになった。また、磁歪棒11とコイル13との衝突を阻止することで、磁歪棒11とコイル13との衝突による異音の発生およびコイル13(導線)の断線を防止できる。
なお、説明は省略したが、第2実施の形態から第4実施の形態における発電素子についても、実施例と同様に、電圧波形の乱れを抑制できることを確認した。また、磁歪棒とコイルとの衝突を阻止することで、磁歪棒とコイルとの衝突による異音の発生およびコイル(導線)の断線を防止できることは推察できる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施の形態では、保持部材40が固定部材20とホルダ部材30との2部材から構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、固定部材20とホルダ部材30とを一体に形成しても良い。なお、この場合には、圧入による磁歪棒11等の挟圧保持作用を得られないため、磁歪棒11等の保持部材40への固着を、接着剤による接着固定で行う。
上記各実施形態では、磁歪棒11のみにコイル13を巻回する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるのもではなく、磁歪棒11と剛性棒12との両者にそれぞれコイル13を巻回しても良い。なお、この場合には、磁歪棒11及び剛性棒12を同じ磁歪材料から構成する(即ち、剛性棒12を磁歪棒11よりも磁歪効果の低い材料で構成する必要はない)。
上記各実施形態では、発電素子1を例示して説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、「磁歪材料から構成される磁歪棒と、その磁歪棒に巻回されるコイルとを備え、磁歪棒の軸方向一端側が固定端とされると共に軸方向他端側が自由振動可能または強制振動可能な自由端(振動端)とされ、磁歪棒が軸方向に伸張または収縮されることで、逆磁歪効果により発電を行うもの」であれば、他の発電素子を採用することは当然可能である。
他の発電素子としては、例えば、永久磁石14,15に代えて、電磁石を利用するものを採用することができる。また、発電素子1の系外からの磁場により磁気回路に漏れ磁束が発生する構成であれば、発電素子1の系外に磁石を配置した構成とすることは可能である。また、永久磁石や電磁石の起磁力により磁歪棒11及び剛性棒12(磁歪棒)にバイアス磁化を印加するバックヨークを設けることも可能である。
上記各実施の形態では、磁歪棒11及び剛性棒12の寸法(即ち、厚み寸法および幅寸法)を同一とする場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、磁歪棒11の寸法に対し、剛性棒12の寸法を異なる値(厚み寸法および幅寸法の一方のみ又は両方が異なる値)としても良い。
上記各実施の形態では、磁歪棒11、剛性棒12を断面長方形に形成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の形状とすることは当然可能である。他の形状としては、断面正方形、断面円形、断面楕円形、断面多角形(例えば、断面六角形)などが例示される。
なお、例えば、磁歪棒11等を断面円形としたことで、永久磁石14,15と線接触となり、接触面積が確保できない場合には、永久磁石14,15の寸法または起磁力を大きくするか、或いは、磁歪棒11等と永久磁石14,15との間に磁性体からなり両者の形状に対応した形状(即ち、両者に面接触する形状)のスペーサを介在させ、接触面積を確保することが好ましい。これらにより、付与可能なバイアス磁界の増加を図ることができるからである。
上記各実施の形態では、間隔保持部50,60,111aや緩衝部70を、それぞれコイル13,113の軸方向両端部の2箇所に配置する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の部位に配置することは当然可能である。他の部位としては、コイル13,113の軸方向中央部の1箇所に配置すること、コイル13,113の振動端側の軸方向端部の1箇所に配置すること、コイル13,113の軸方向の複数箇所に配置することが例示される。
なお、間隔保持部50,60,111aや緩衝部70を2箇所以上に配置する場合には、少なくともコイル13,113の軸方向両端部に配置することが好ましい。コイル13,113の軸方向の全長に亘ってコイル13,113と磁歪棒11,111との干渉を防ぐことができるからである。また、間隔保持部50,60,111aや緩衝部70を1箇所に配置する場合には、振動端側(固定端から遠い側)のコイル13,113の軸方向端部に配置することが好ましい。コイル13,113の変位の大きいところでコイル13,113と磁歪棒11,111との干渉を防ぐことができるからである。
上記第3実施の形態では、磁歪棒11に外装される緩衝部70が、断面円形状のOリングとして形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、断面矩形状の形状にしたり、隙間S1,S2(図6(b)参照)を小さくするために部分的に厚くしたりする等、適宜選択できることは当然である。
上記第3実施の形態では、磁歪棒11に緩衝部70を装着する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、磁歪棒11にコーキング等の弾性接着剤を塗布・硬化させて、弾性を有する緩衝部を設けるようにすることは当然可能である。
上記第4実施の形態では、磁歪棒111と一体に間隔保持部111aを形成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、別部材として形成された間隔保持部111aを磁歪棒111に接着したり装着したりすることは当然可能である。また、別部材として形成された間隔保持部111aを磁歪棒111に装着する代わりに、間隔保持部111aをコイル113の内周側に装着することは当然可能である。これらの場合もコイル113と磁歪棒111との衝突による衝撃を抑制できるので、第4実施の形態と同様の効果を奏する。
1 発電素子
11,111 磁歪棒
12 剛性棒
13,113 コイル
40 保持部材
50,60,111a 間隔保持部
70 緩衝部

Claims (6)

  1. 導線が螺旋状に巻回されて形成されるコイルと、
    前記コイルに内設されると共に磁歪材料から棒状に構成される磁歪棒と、
    前記磁歪棒に並設されると共に磁性材料から棒状に構成され前記磁歪棒との間で磁気ループが形成される剛性棒と、
    前記剛性棒および前記磁歪棒の軸方向両端をそれぞれ保持する一対の保持部材とを備え、前記磁歪棒および前記剛性棒の軸方向一端側が固定され、前記磁歪棒および前記剛性棒が並設される方向に軸方向他端側が振動することで前記磁歪棒が軸方向に伸張または収縮して発電が行われる発電素子であって、
    前記コイルと前記磁歪棒との間に介設されると共に前記磁歪棒と前記コイルとの間隔を保持する間隔保持部を備えていることを特徴とする発電素子。
  2. 導線が螺旋状に巻回されて形成されるコイルと、
    前記コイルに内設されると共に磁歪材料から棒状に構成される磁歪棒と、
    前記磁歪棒に並設されると共に磁性材料から棒状に構成され前記磁歪棒との間で磁気ループが形成される剛性棒と、
    前記剛性棒および前記磁歪棒の軸方向両端をそれぞれ保持する一対の保持部材とを備え、前記磁歪棒および前記剛性棒の軸方向一端側が固定され他端側が振動することで前記磁歪棒が軸方向に伸張または収縮して発電が行われる発電素子であって、
    前記コイルと前記磁歪棒との間に介設されると共に前記磁歪棒と前記コイルとの衝突を緩和する緩衝部を備えていることを特徴とする発電素子。
  3. 前記間隔保持部若しくは前記緩衝部は弾性を有する、又は、前記コイルは弾性曲げ変形可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発電素子。
  4. 前記間隔保持部または前記緩衝部は、前記コイルの軸方向の一部に設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の発電素子。
  5. 前記間隔保持部または前記緩衝部は、少なくとも振動端側の前記コイルの軸方向端部に設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の発電素子。
  6. 前記間隔保持部または前記緩衝部は、振り子運動をする前記磁歪棒の少なくとも振動方向に設けられることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の発電素子。
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