JP2014164111A - 機能性フィルム - Google Patents

機能性フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2014164111A
JP2014164111A JP2013034938A JP2013034938A JP2014164111A JP 2014164111 A JP2014164111 A JP 2014164111A JP 2013034938 A JP2013034938 A JP 2013034938A JP 2013034938 A JP2013034938 A JP 2013034938A JP 2014164111 A JP2014164111 A JP 2014164111A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
functional film
film
liquid crystal
wavelength
cut
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013034938A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6098223B2 (ja
Inventor
Yutaka Yakabe
裕 矢賀部
Yasuhide Fujino
泰秀 藤野
Hiromasa Hashimoto
弘昌 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP2013034938A priority Critical patent/JP6098223B2/ja
Publication of JP2014164111A publication Critical patent/JP2014164111A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6098223B2 publication Critical patent/JP6098223B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Optical Filters (AREA)

Abstract

【課題】近紫外線を含む紫外線を効果的に遮断可能であり、且つ、可視光線は良好に透過させられる機能性フィルムを提供する。
【解決手段】基材と、前記基材上に形成された重合性液晶モノマーの重合体を含むUVカット膜とを備える機能性フィルムであって、前記UVカット膜の厚みが、5μm以下であり、前記機能性フィルムが、紫外線領域に、光透過率が1.0%以下となる波長領域B1を有し、前記波長領域B1の最大波長λB1が、350nm±5nmの範囲にある、機能性フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、紫外線を遮断できる機能性フィルムに関する。
太陽光線はその波長によって、紫外線(波長1nm以上400nm未満)、可視光線(波長400nm以上780nm以下)、及び赤外線(波長780nm超)の3領域に分けられる。このうち紫外線は、UV−A波(波長320nm以上400nm未満)、UV−B波(波長290nm以上320nm未満)と呼ばれる近紫外線を含む。
近紫外線は、通常、地表に到達するエネルギーの約6%程度である。しかし、人体においては日焼け、シミ及びソバカスの原因となる可能性が高いとされている。また、各種塗装物及び建材においても、大きなエネルギーを有する近紫外線は、構成材料の劣化を促進させる可能性がある。
そのため、例えば特許文献1及び2に記載するように、近紫外線を遮断しうる紫外線カットフィルムが、従来から開発されてきた。
また、特許文献3のような技術も知られている。
特開2007−304573号公報 特開2003−107242号公報 特表2001−519317号公報
特許文献1及び2に記載のような紫外線カットフィルムを用いれば、近紫外線を含む紫外線を遮断することは可能である。しかし、近紫外線は可視光線と波長が近い。そのため、近紫外線を遮断しうる従来の紫外線カットフィルムでは、可視光線も遮断することが多かった。
このように可視光線を遮断する紫外線カットフィルムを、例えば液晶表示装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置等の表示装置に用いると、画面の色味が設計どおりにならない可能性がある。そのため、近紫外線を含む紫外線を効果的に遮断可能であり、且つ、可視光線は良好に透過させられる機能性フィルムの開発が求められていた。
本発明は前記の課題に鑑みて創案されたもので、近紫外線を含む紫外線を効果的に遮断可能であり、且つ、可視光線は良好に透過させられる機能性フィルムを提供することを目的とする。
本発明者は前記の課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、重合性液晶モノマーの重合体を含むUVカット膜を備える機能性フィルムが、近紫外線を含む紫外線を効果的に遮断可能であり、且つ、可視光線は良好に透過させられることを見出した。さらに、この重合性液晶モノマーの重合体がコレステリック規則性を有する場合、そのコレステリック規則性を適切に制御することにより、紫外線を更に効果的に遮断できることを見出した。本発明は、前記の知見に基づき完成させられたものである。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕 基材と、前記基材上に形成された重合性液晶モノマーの重合体を含むUVカット膜とを備える機能性フィルムであって、
前記UVカット膜の厚みが、5μm以下であり、
前記機能性フィルムが、紫外線領域に、光透過率が1.0%以下となる波長領域B1を有し、
前記波長領域B1の最大波長λB1が、350nm±5nmの範囲にある、機能性フィルム。
〔2〕 前記基材と前記UVカット膜とが剥離可能である、〔1〕記載の機能性フィルム。
〔3〕 波長400nm〜波長700nmの可視光領域での最小光透過率が、50%以上である、〔1〕又は〔2〕記載の機能性フィルム。
〔4〕 基材と、前記基材上に形成された重合性液晶モノマーの重合体を含むUVカット膜とを備える機能性フィルムであって、
前記重合体が、コレステリック規則性を有し、
前記UVカット膜の厚みが、5μm以下であり、
前記機能性フィルムが、紫外線領域に、光透過率が1.0%以下となる波長領域B2を有し、
前記波長領域B2の最大波長λB2が、375nm±5nmの範囲にある、機能性フィルム。
〔5〕 前記基材と前記UVカット膜とが剥離可能である、〔4〕記載の機能性フィルム。
〔6〕 基材と、前記基材上に形成された重合性液晶モノマーの重合体を含む2枚以上のUVカット膜とを備える機能性フィルムであって、
前記重合体が、コレステリック規則性を有し、
前記UVカット膜の厚みが、5μm以下であり、
前記機能性フィルムが、紫外線領域に、光透過率が0.1%以下となる波長領域B3を有し、
前記波長領域B3の最大波長λB3が、390nm±5nmの範囲にある、機能性フィルム。
〔7〕 前記重合性液晶モノマーが、下記式(1)で示される構造を有する、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の機能性フィルム。
Figure 2014164111
(式(1)中、
は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、−OR、−O−C(=O)−R、および−C(=O)−ORからなる群より選ばれるいずれかを表す。ここで、Rは、水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。Rがアルキル基である場合、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、および−C(=O)−からなる群より選ばれるいずれかが介在していてもよい(ただし、−O−及び−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
nは、それぞれ独立に、2〜12の整数を表す。)
〔8〕 ハードコート層、防眩層及び反射防止層からなる群より選ばれる少なくとも一層を備える、〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の機能性フィルム。
本発明の機能性フィルムは、近紫外線を含む紫外線を効果的に遮断可能であり、且つ、可視光線は良好に透過させられる。
図1は、本発明の第一実施形態に係る機能性フィルムを模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の第二実施形態に係る機能性フィルムを模式的に示す断面図である。 図3は、本発明の第三実施形態に係る機能性フィルムを模式的に示す断面図である。 図4は、本発明の第四実施形態に係る機能性フィルムを模式的に示す断面図である。 図5は、本発明の第五実施形態に係る機能性フィルムを模式的に示す断面図である。 図6は、本発明の実施例及び比較例において測定された透過スペクトルのうち、波長400nm周辺の透過スペクトルを示すスペクトル図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に挙げる実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施してもよい。
以下の説明において、「1/2波長板」とは、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
また、「レターデーション」とは、別に断らない限り、面内レターデーションのことを意味する。フィルム又は層の面内レターデーションは、そのフィルム又は層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率nx、前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率ny、フィルム又は層の厚みdを用いて、(nx−ny)×dで表される値である。面内レターデーションは、市販の位相差測定装置(例えば、フォトニックラティス社製「WPA−micro」)あるいはセナルモン法を用いて測定しうる。
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る機能性フィルム100を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、機能性フィルム100は、基材10と、この基材10上に形成されたUVカット膜20とを備える。
基材10としては、通常、フィルム状の部材を用いる。この基材10の材料としては、可視光を透過させられる任意の材料を用いうる。通常は、1mm厚で全光線透過率が80%以上である材料が好適である。ここで、全光線透過率は、JIS K7361−1997に準拠して、濁度計(日本電色工業社製、NDH−300A)を用いて測定しうる。
基材10の材料の例としては、樹脂が挙げられる。これらの樹脂が含む重合体の例を挙げると、鎖状オレフィン重合体、シクロオレフィン重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、酢酸セルロース系重合体、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、鎖状オレフィン重合体及びシクロオレフィン重合体が好ましく、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、シクロオレフィン重合体が特に好ましい。
ここで、樹脂は、1種類の重合体を単独で含むものを用いてもよく、2種類以上の重合体を任意の比率で組み合わせて含むものを用いてもよい。また、樹脂には、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の配合剤を含ませてもよい。好適な樹脂の具体例を挙げると、日本ゼオン社製「ゼオノア1420」を挙げることができる。
基材10は、延伸されていない未延伸フィルムであってもよく、延伸された延伸フィルムであってもよい。また、基材10は、等方なフィルムであってもよく、異方性を有するフィルムであってもよい。
基材10は、一層のみを備える単層構造のフィルムであってもよく、二層以上の層を備える複層構造のフィルムであってもよい。生産性及びコストの観点からは、単層構造のフィルムを用いることが好ましい。また、例えば、UVカット膜20を製造する際に重合性液晶モノマーを良好に配向させる観点では、基材10は、UVカット膜20を形成される側に配向膜を有する複層構造のフィルムであってもよい。
配向膜は、例えば、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド等の重合体を含む樹脂により形成しうる。また、これらの重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。配向膜は、前記の重合体を含む溶液を塗布し、乾燥させ、ラビング処理を施すことにより製造しうる。
配向膜の厚みは、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下である。
基材10は、その片面又は両面に表面処理が施されたものであってもよい。表面処理を施すことにより、基材10の表面に直接形成される他の層との密着性を向上させることができる。表面処理としては、例えば、エネルギー線照射処理及び薬品処理などが挙げられる。
基材10の厚みは、製造時のハンドリング性、材料のコスト、薄型化及び軽量化の観点から、好ましくは30μm以上、より好ましくは60μm以上であり、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
UVカット膜20は、重合性液晶モノマーの重合体を含む層である。ここで重合性液晶モノマーとは、重合性を有し、且つ、適切な条件において液晶性を示しうるモノマーを意味する。このようなUVカット膜20は、例えば、重合性液晶モノマー及び溶媒を含む液晶性組成物を基材10上に塗布して前記液晶性組成物の層を形成し、重合性液晶モノマーを重合させることにより製造しうる。
重合性液晶モノマーとしては、好ましくは、下記式(1)で示される構造を有する化合物を用いる。下記式(1)で示される構造を有する化合物は、適切な条件においてネマチック液晶性を発現しうる化合物である。この式(1)で示される構造を有する化合物は、近紫外領域において高い吸収を有するので、UVカット膜20の紫外線を遮断する能力を高くできる。
Figure 2014164111
式(1)中、Rは、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、n−へプチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;−OR;−O−C(=O)−R;および−C(=O)−OR;からなる群より選ばれるいずれかを表す。
ここで、Rは、水素原子;又は置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。Rが置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基である場合、炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
が置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基である場合、アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;等が挙げられる。前記のアルキル基が有する置換基の数は1個でも2個以上でもよく、また、前記のアルキル基が有する置換基の種類は1種類でも2種類以上でもよい。
また、Rがアルキル基である場合、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、および−C(=O)−からなる群より選ばれるいずれかが介在していてもよい(ただし、−O−および−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。
は、水素原子;または、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;を表す。
また、nはそれぞれ独立に2〜12の整数を表し、6であるのが好ましい。
なかでも、Rは、−C(=O)−ORで表される基であることが好ましい。ここで、Rは、炭素数1〜10のアルキル基を表し、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−が介在していてもよい(ただし、−O−および−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。中でもRとしては、メチル基が好ましい。
以上より、前記式(1)で表される化合物は、下記式(2)で表される化合物であることが好ましい。また、下記式(2)において−(C=O)−ORは式(1)と同様である。
Figure 2014164111
また、重合性液晶モノマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記の式(1)で表される重合性液晶モノマーは、有機合成化学における公知の方法を組み合わせることによって製造しうる。例えば、特開2008−291218号公報に記載の方法により製造できる。
液晶性組成物が含む溶媒としては、例えば、ケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、およびエーテル類などの有機溶媒が挙げられる。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が好ましい。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
溶媒の量は、重合性液晶モノマー100重量部に対して、好ましくは40重量部以上、より好ましくは60重量部以上、特に好ましくは80重量部以上であり、好ましくは1000重量部以下、より好ましくは800重量部以下、特に好ましくは600重量部以下である。溶媒の量を前記の範囲にすることにより、液晶性組成物を塗布斑なく均一に塗布することができる。
また、液晶性組成物は、重合性液晶モノマー及び溶媒以外に任意の成分を含んでいてもよい。これらの任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
例えば、液晶性組成物は、重合性液晶モノマーと共重合しうる任意のモノマーを含んでいてもよい。任意のモノマーを用いることにより、重合性液晶モノマーと任意のモノマーとの共重合体によってUVカット膜を形成することができる。したがって、任意のモノマーの種類及び量を適切に調整することにより、UVカット膜の物性を適切に調製することが可能になる。
重合性液晶モノマーと共重合しうる任意のモノマーとしては、例えば、4−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸−4’−メトキシフェニル、4−(6−メタクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸ビフェニル、4−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸−4’−シアノビフェニル、4−(2−メタクリロリルオキシエチルオキシ)安息香酸−4’−シアノビフェニル、4−(2−メタクリロリルオキシエチルオキシ)安息香酸−3’,4’−ジフルオロフェニル、4−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸ナフチル、4−アクリロイルオキシ−4’−デシルビフェニル、4−アクリロイルオキシ−4’−シアノビフェニル、4−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)−4’−シアノビフェニル、4−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)−4’−メトキシビフェニル、4−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)−4’−(4”−フルオロベンジルオキシ)−ビフェニル、4−アクリロイルオキシ−4’−プロピルシクロヘキシルフェニル、4−メタクリロイル−4’−ブチルビシクロヘキシル、4−アクリロイル−4’−アミルトラン、4−アクリロイル−4’−(3,4−ジフルオロフェニル)ビシクロヘキシル、4−(2−アクリロイルオキシエチル)安息香酸(4−アミルフェニル)、4−(2−アクリロイルオキシエチル)安息香酸(4−(4’−プロピルシクロヘキシル)フェニル)等が挙げられる。また、任意のモノマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
任意のモノマーの量は、全重合性モノマー(すなわち、重合性液晶モノマー及び任意のモノマーの合計)100重量部に対して、50重量部以下が好ましく、30重量部以下がより好ましい。かかる範囲にあると、重合後に、ガラス転移温度(Tg)が高く、高い硬度を有する重合体を得ることができる。
また、例えば、液晶性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤としては、熱重合開始剤及び光重合開始剤のいずれを用いてもよい。中でも、より容易且つ効率よく重合を進められることから、光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、多核キノン化合物(米国特許第3046127号明細書、米国特許第2951758号明細書)、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書)、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号明細書、米国特許第2367670号明細書)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書)などが挙げられる。また、重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の量は、全重合性モノマー100重量部に対して、好ましくは1重量部以上であり、また、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。
また、例えば、液晶性組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤を用いることにより、液晶性組成物の層の表面張力を調整できる。界面活性剤としては、ノニオン系の界面活性剤が好ましく、分子量が数千程度のオリゴマーであることが好ましい。また、界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の量は、重合性液晶モノマー100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.03重量部以上、特に好ましくは0.05重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、特に好ましくは1重量部以下である。界面活性剤の量を前記の範囲にすることにより、配向欠陥のないUVカット膜20を形成できる。
UVカット膜20を製造する場合、前記の液晶性組成物を基材10上に塗布して、液晶性組成物の層を形成する。この際、液晶性組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延製膜法、バーコート法、ダイコート法、グラビア印刷法などが挙げられる。
こうして得られた液晶性組成物の層は、必要に応じて乾燥させてもよい。このときの乾燥方法に制限は無い。また、乾燥時の温度条件は、例えば、40℃〜150℃の範囲としうる。
また、得られた液晶組成物の層に対して、必要に応じて配向処理を施してもよい。配向処理は、例えば、50℃〜150℃で0.5分〜10分間加温することにより行いうる。配向処理を施すことにより、液晶組成物の層に含まれる重合性液晶モノマーを良好に配向させることができる。
その後、重合性液晶モノマーの重合を行う。例えば、重合開始剤として光重合開始剤を用いている場合、基材10上に形成された液晶組成物の層に光を照射してもよい。この際、通常は、紫外線を照射する。照射エネルギーは、好ましくは0.1mJ/cm以上であり、好ましくは50J/cm以下、より好ましくは800mJ/cm以下である。
前記のように重合性液晶モノマーを重合させることにより、基材10上に、重合性液晶モノマーの重合体を含むUVカット膜20が得られる。このUVカット膜20に含まれる重合体のモノマーが紫外線を吸収する能力を有するので、そのモノマーの重合体も同様に紫外線を吸収する能力を有する。したがって、このUVカット膜20によって、紫外線を遮断することができる。
UVカット膜20の1層当たりの厚みは、通常5μm以下、好ましくは4.8μm以下、より好ましくは4.5μm以下である。このようにUVカット膜20の厚みが薄くても、本実施形態に係る機能性フィルム100は紫外線を効果的に遮断できる。また、UVカット膜20の厚みがこのように薄いので、機能性フィルム100は可視光線を良好に透過させられる。UVカット膜20の1層当たりの厚みは、紫外線を効果的に遮断する観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.5μm以上、特に好ましくは3.0μm以上である。
また、UVカット膜20は、基材10から剥離可能であることが好ましい。機能性フィルム100において紫外線を遮断する能力は、主にUVカット膜20が有する。したがって、基材10とUVカット膜20とを剥離してUVカット膜20だけで取り扱うことにより、厚みが薄い部材によって高度な紫外線遮断能力を得ることができる。また、必要に応じて、UVカット膜20は別の部材と貼り合せて用いてもよい。
本実施形態に係る機能性フィルム100は、UVカット膜20を備えることにより、紫外線を遮断する能力を有する。具体的には、機能性フィルムは、波長400nm未満の紫外線領域に、光透過率が1.0%以下となる波長領域B1を有する。
また、機能性フィルム100の前記波長領域B1の最大波長λB1は、350nm±5nmの範囲にある。すなわち、機能性フィルム100は、この最大波長λB1以下の波長の光を遮断することができる。したがって、機能性フィルム100は近紫外線を遮断することが可能である。
このように、近紫外線を含む紫外線を遮断することができるので、機能性フィルム100は、UVカットフィルムとして好適に用いうる。また、この機能性フィルム100は有機材料により形成されたフィルムであるので、曲面への適用が可能である。さらに、有機材料により形成されているので、機能性フィルム100は可撓性を有し、ひび割れを生じ難い。したがって、機能性フィルム100は、紫外線による光劣化を防止したい物品の保護フィルムとして、好適に用いることができる。
さらに、機能性フィルム100は、可視光領域の光を良好に透過させうる。具体的には、機能性フィルム100は、波長400nm〜波長700nmの可視光領域での最小光透過率が、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、特に好ましくは80%以上であり、理想的には100%である。このように、機能性フィルム100は近紫外線を含む紫外線を選択的に遮断でき、可視光は遮断しないことが好ましい。
このような機能性フィルム100の性質を、機能性フィルム100を透過する光の透過スペクトルの波形で表すと、前記の透過スペクトルは、通常、最大波長λB1よりも直ぐ長波長の波長領域において光透過率が急激に大きくなる。したがって、機能性フィルム100は、特定の波長範囲の光を選択的に遮断し、それ以外の波長の光を良好に透過させることができる。そして、この機能性フィルム100を透過する光の透過率は、波長400nmにおいて、好ましくは前記の最小光透過率以上の値となる。
前記のように可視光を良好に透過させることができるので、機能性フィルム100を例えば液晶表示装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置等の表示装置に適用した場合でも、機能性フィルム100による画面の色の変色を防止できる。したがって、機能性フィルム100は、表示装置を構成する光学部材の保護フィルムとして好適に用いることができる。
また、機能性フィルム100は、通常、紫外線の照射に対して高い耐光性を有する。すなわち、UVカット膜20の紫外線遮断能力は、紫外線の照射を受けても低下し難い。したがって、機能性フィルム100は、通常、長期間にわたる太陽光線の照射に対しても、十分な耐光性を有する長寿命なフィルムである。一般に、有機材料は紫外線に対する耐光性が低いと考えられていたことに鑑みると、機能性フィルム100が紫外線に対して優れた耐光性を有することは、意外な利点である。
さらに、機能性フィルム100は、基材10上にUVカット膜20を上述した方法で形成することにより製造できるので、ロール・トゥ・ロールでの生産が可能である。したがって、機能性フィルム100は、生産性の点でも優れている。
[第二実施形態]
図2は、本発明の第二実施形態に係る機能性フィルム200を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、機能性フィルム200は、基材10と、UVカット膜20と、紫外線吸収フィルム層30とをこの順に備える。
機能性フィルム200において、基材10及びUVカット膜20は、第一実施形態と同様である。
紫外線吸収フィルム層30は、公知の紫外線吸収フィルムからなる層である。このような紫外線吸収フィルム層30としては、例えば、富士写真フィルム社製の紫外線吸収フィルタSC−38、SC−39、SC−40;三菱レーヨン社製のアクリプレンHBS、HBE、HBCなどが挙げられる。
UVカット膜20に紫外線吸収フィルム層30を組み合わせることにより、本実施形態にかかる機能性フィルム200は、通常は第一実施形態に係る機能性フィルム100と同程度に、好ましくは第一実施形態に係る機能性フィルム100よりも効果的に、紫外線を遮断することができる。
具体的には、機能性フィルム200は、第一実施形態に係る機能性フィルム100と同様に、紫外線領域に、光透過率が1.0%以下となる波長領域B1を有する。そして、この波長領域B1の最大波長λB1は、通常、350nm±5nmの範囲にある。したがって、機能性フィルム200は、第一実施形態に係る機能性フィルム100と同様に、効果的に紫外線を遮断することが可能である。
また、機能性フィルム200を透過する光の透過スペクトルにおいては、通常、最大波長λB1よりも直ぐ長波長の波長領域において光透過率が急激に大きくなる。またこの際、紫外線吸収フィルム層30を備えているので、最大波長λB1よりも直ぐ長波長の波長領域における光透過率の増大の程度は、好ましくは、第一実施形態にかかる機能性フィルム100よりも急激になる。したがって、機能性フィルム200は、特定の波長範囲の光を選択的に遮断し、それ以外の波長の光を良好に透過させることができる。
さらに、第二実施形態に係る機能性フィルム200は、通常、第一実施形態に係る機能性フィルム100と同様の利点を得ることができる。
前述の第二実施形態は、更に変更して実施してもよい。
例えば、前述の第二実施形態では、紫外線吸収フィルム層30は1層だけ設けたが、2層以上設けてもよい。
また、紫外線吸収フィルム層30を設ける位置は任意であり、例えば基材10とUVカット膜20との間に設けてもよく、基材10のUVカット膜20とは反対側に設けてもよい。
[第三実施形態]
図3は、本発明の第三実施形態に係る機能性フィルム300を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、機能性フィルム300は、基材10と、この基材10上に形成されたUVカット膜40とを備える。
機能性フィルム300において、基材10は、第一実施形態と同様である。
UVカット膜40は、重合性液晶モノマーの重合体を含む層である。また、UVカット膜40に含まれる重合体は、コレステリック規則性を有する。ここで「コレステリック規則性」とは、一平面上では分子軸が一定の方向に並んでいるが、それに重なる次の平面では分子軸の方向が少し角度をなしてずれ、さらに次の平面ではさらに角度がずれるというように、重なって配列している平面を順次透過して進むに従って当該平面中の分子軸の角度が連続的にずれて(ねじれて)いく構造である。このように分子軸の方向が連続的にねじれてゆく構造はらせん構造となる。該平面の法線(らせん軸)はUVカット膜40の厚み方向に略平行になっていることが好ましい。
前記のようにコレステリック規則性を有する重合体を含む膜は、通常、円偏光分離機能を有する。すなわち、コレステリック規則性を有する重合体を含む膜に光が入射すると、特定の波長領域の円偏光のうち、左回り及び右回りの何れか一方の円偏光のみが反射される。また、反射された円偏光以外の光は透過する。この円偏光が反射される波長領域を、選択反射帯域という。
らせん構造において分子軸が捩れる時の回転軸を表すらせん軸と、UVカット膜40の法線とが平行である場合、らせん構造のピッチ長pと反射される円偏光の波長λとは式(A)および式(B)の関係を有する。ここで、らせん構造のピッチ長pとは、らせん構造において分子軸の方向が平面を進むに従って少しずつ角度が連続的にずれていき、そして再びもとの分子軸方向に戻るまでの平面法線方向の距離である。
式(A):λ=n×p×cosθ
式(B):n×p×cosθ≦λ≦n×p×cosθ
式(A)及び式(B)中、λは選択反射帯域の中心波長を表し、nは重合性液晶モノマーの短軸方向の屈折率を表し、nは重合性液晶モノマーの長軸方向の屈折率を表し、nは(n+n)/2を表し、pはらせん構造のピッチ長を表し、θは光の入射角(面の法線との間になす角度)を表す。
したがって、選択反射帯域の中心波長λは、UVカット膜40におけるらせん構造のピッチ長pに依存する。このらせん構造のピッチ長pを変えることによって、選択反射帯域を変えることができる。
第三実施形態に係るUVカット膜40は、前記の円偏光の反射を利用して紫外線の遮断を行いうる膜である。したがって、UVカット膜40において、重合性液晶モノマーの重合体は、紫外線領域において円偏光の反射を行えるように、コレステリック規則性を調整されている。
このようなUVカット膜40は、例えば、重合性液晶モノマー、カイラル剤及び溶媒を含む液晶性組成物を基材10上に塗布して前記液晶性組成物の層を形成し、重合性液晶モノマーを重合させることにより製造しうる。
重合性液晶モノマーとしては、コレステリック液晶性を示しうるものを用いうる。すなわち、適切な条件においてコレステリック液晶となりうる重合性モノマーを用いうる。そのような重合性液晶モノマーとしては、例えば、特開平11−130729号公報、特開平8−104870号公報、特開2005−309255号公報、特開2005−263789号公報、特表2001−519317号公報、特表2002−533742号公報、特開2002−308832号公報、特開2002−265421号公報、特開昭62−070406号公報、特開平11−100575号公報、特開2008−291218号公報、特開2008−242349号公報、国際公開第2009/133290号等に記載のものを用いることができる。
中でも、重合性液晶モノマーとしては、その屈折率異方性Δnが大きいものを用いることが好ましい。重合性液晶モノマーの具体的な屈折率異方性Δnは、好ましくは0.21以上、より好ましくは0.22以上、特に好ましくは0.23以上である。前記の式(B)から分かるように、コレステリック規則性を有する重合体を含むUVカット膜40において反射可能な円偏光の帯域幅Δλはnとnとの差に依存し、ひいては重合性液晶モノマーの屈折率異方性Δnに依存する。したがって、屈折率異方性Δnが大きいほど、反射可能な円偏光の帯域幅Δλを広くできる。また、重合性液晶モノマーの屈折率異方性Δnは大きいほど好ましいが、現実的には0.35以下である。
上述した重合性液晶モノマーの中でも、前記の式(1)で表される構造を有する化合物を用いることが、特に好ましい。式(1)で表される構造を有する化合物を用いると、コレステリック規則性を有することによる円偏光の反射だけでなく、重合性液晶モノマー自体に由来する紫外線吸収能力によっても紫外線を遮断できるので、紫外線を更に効果的に遮断できる。
また、重合性液晶モノマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
液晶性組成物が含むカイラル剤としては、例えば、特開2003−66214号公報、特開2003−313187号公報、米国特許第6468444号明細書、国際公開第98/00428号等に掲載されたものが挙げられる。中でも、重合性液晶モノマーを捩じる効率を表す指標であるHTPの大きなものが、経済性の観点から好ましい。また、カイラル剤は、所望のコレステリック規則性を有する重合体が得られる限り、液晶性を示してもよく、示さなくてもよい。さらに、重合性液晶モノマーとの架橋度を上げ、重合体を安定化させる観点から、重合性基を有するカイラル剤が好ましい。ここで、カイラル剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
カイラル剤の量は、重合性液晶モノマー100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、特に好ましくは0.5重量部以上であり、好ましくは35重量部以下、より好ましくは25重量部以下、特に好ましくは15重量部以下である。カイラル剤の量を前記の範囲にすることにより、基材10上に形成される液晶性組成物の層において、液晶性を低下させることなく、重合性液晶モノマーにコレステリック規則性を発現させることができる。
液晶性組成物が含む溶媒としては、例えば、第一実施形態において例示した溶媒と同様のものを用いうる。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
さらに、溶媒の量は、第一実施形態において説明したのと同様の量にしうる。
また、液晶性組成物は、重合性液晶モノマー、カイラル剤及び溶媒以外に任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分としては、例えば、第一実施形態において例示した任意の成分と同様のものを用いうる。また、任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
さらに、任意の成分の量は、第一実施形態において説明したのと同様の量にしうる。
UVカット膜40を製造する場合、前記の液晶性組成物を基材10上に塗布して、液晶性組成物の層を形成する。この際、液晶性組成物の塗布方法としては、例えば、第一実施形態において液晶組成物の塗布方法として例示した方法と同様の方法を用いうる。
こうして得られた液晶性組成物の層は、必要に応じて乾燥させてもよい。このときの乾燥方法に制限は無く、例えば、第一実施形態と同様の条件で乾燥させうる。
また、得られた液晶組成物の層に対して、必要に応じて配向処理を施してもよい。このときの配向処理の方法に制限は無く、例えば、第一実施形態と同様の条件で行ってもよい。これにより、重合性液晶モノマーを確実に配向させることができるので、重合性液晶モノマーは安定してコレステリック規則性を有するようになる。
その後、重合性液晶モノマーの重合を行う。これにより、重合性液晶モノマーはコレステリック規則性を維持したままで重合する。そのため、得られた重合体もコレステリック規則性を有し、選択反射帯域において円偏光を反射することができる。この際、重合性液晶モノマーの重合は、第一実施形態と同様の条件で行いうる。
また、UVカット膜40において円偏光を反射できる選択反射帯域を広くしたい場合には、液晶性組成物の層において重合性液晶モノマーのらせん構造のピッチを厚み方向で変化させた状態で、重合性液晶モノマーを重合させてもよい。この操作は、得られるUVカット膜40の選択反射帯域を拡張する操作であるので、広帯域化処理と呼ばれる。
広帯域化処理は、例えば、1回以上の光照射及び加温処理により、らせん構造のピッチを連続的に変化させた状態で重合性液晶モノマーを重合させることにより、液晶性組成物の層を硬化させることによって行いうる。
光照射処理において、光照射に用いる光とは、可視光のみならず紫外線及びその他の電磁波をも含む。光照射は、例えば波長200nm〜500nmの光を、0.01秒〜3分照射することにより行いうる。光は、基材10の液晶性組成物の層を形成した側に照射しても、基材10の液晶性組成物の層とは反対側に照射してもよい。らせん構造のピッチの勾配を調整するためには、基材10の液晶性組成物の層とは反対側に光を照射することが好ましい。
また、加温処理の際の温度条件は、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは140℃以下である。また、加熱処理を行う時間は、好ましくは1秒以上、より好ましくは5秒以上であり、好ましくは3分以下、より好ましくは120秒以下である。
広帯域化処理において、光照射処理及び加熱処理の組み合わせは、少なくとも1回、好ましくは2回以上繰り返して行うことが好ましい。前記の光照射及び加温処理を繰り返す際、例えば、0.01mJ/cm2〜50mJ/cm2の微弱な紫外線の照射と加温処理とを複数回交互に繰り返すことにより、重合性液晶モノマーの重合体のらせん構造のピッチの大きさを、連続的に大きく変化させることができる。
前記の上記の微弱な紫外線照射による反射帯域の拡張を行った後に、例えば50mJ/cm2〜10,000mJ/cm2といった比較的強い紫外線を照射して重合性液晶モノマーを完全に重合させることにより、UVカット膜40を得ることができる。
上記の反射帯域の拡張及び強い紫外線の照射は、空気下で行ってもよく、又はその工程の一部又は全部を、酸素濃度を制御した雰囲気(例えば、窒素雰囲気下)中で行ってもよい。
前述した製造方法において、重合性液晶モノマーの重合体のコレステリック規則性は、そのコレステリック規則性により発現する円偏光分離機能の選択反射帯域が紫外線領域を含むように調整しておく。このようにコレステリック規則性を調整する手段に制限は無く、例えば特開2009−300662号公報などの従来公知の方法を用いうる。具体例を挙げると、カイラル剤の種類を変えたり、カイラル剤の量を調整したりすることにより、重合性液晶モノマーの重合体のらせん構造のピッチを調整することが好ましい。
UVカット膜40の1層当たりの厚みは、第一実施形態に係るUVカット膜20の1層当たりの厚みとして説明した範囲と同様にしうる。このようにUVカット膜40の厚みが薄くても、本実施形態に係る機能性フィルム300は紫外線を効果的に遮断できる。また、UVカット膜40の厚みがこのように薄いので、機能性フィルム400は可視光線を良好に透過させられる。
また、UVカット膜40は、第一実施形態に係るUVカット膜20と同様に、基材10から剥離可能であることが好ましい。
また、必要に応じて、UVカット膜40は別の部材と貼り合せて用いてもよい。
本実施形態に係る機能性フィルム300は、UVカット膜40を備えることにより、紫外線を遮断する能力を有する。具体的には、機能性フィルム300は、波長400nm未満の紫外線領域に、光透過率が1.0%以下となる波長領域B2を有する。
また、機能性フィルム300の前記波長領域B2の最大波長λB2は、375nm±5nmの範囲にある。すなわち、機能性フィルム300は、この最大波長λB2以下の波長の光を遮断することができる。したがって、機能性フィルム300は近紫外線を遮断することが可能である。
このように、近紫外線を含む紫外線を遮断することができるので、機能性フィルム300は、UVカットフィルムとして好適に用いうる。特に、機能性フィルム300は、第一実施形態に係る機能性フィルム100と同様の波長範囲の紫外線だけなく、それよりも長波長の紫外線も遮断できる。したがって、本実施形態に係る機能性フィルム300は、第一実施形態に係る機能性フィルム100よりも効果的に紫外線を遮断できる。
また、機能性フィルム300を透過する光の透過スペクトルにおいては、通常、最大波長λB2よりも直ぐ長波長の波長領域において光透過率が急激に大きくなる。したがって、機能性フィルム300は、特定の波長範囲の光を選択的に遮断し、それ以外の波長の光を良好に透過させることができる。
さらに、機能性フィルム300は、通常、第一実施形態に係る機能性フィルム100と同様の利点を得ることができる。
[第四実施形態]
前記の第三実施形態では、UVカット膜40の数を1枚にしたが、UVカット膜40の数は2枚以上であってもよい。これにより、遮断できる紫外線の波長範囲を広げたり、紫外線の透過率を更に下げたりすることが可能になる。中でも、コレステリック規則性を有する重合体により紫外線を遮断する場合、重合体の分子軸の捩れ方向が異なるUVカット膜を組み合わせて用いることが好ましい。以下、その場合について図面を示して説明する。
図4は、本発明の第四実施形態に係る機能性フィルム400を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、機能性フィルム400は、基材10と、UVカット膜40と、UVカット膜50とをこの順に備える。
機能性フィルム400において、基材10は、第一実施形態と同様である。
UVカット膜40及び50は、UVカット膜40及び50の一方に含まれる重合体の分子軸が右ねじれタイプであり、UVカット膜40及び50の他方に含まれる重合体の分子軸が左ねじれタイプである。この点以外は、UVカット膜40及び50は、第三実施形態に係るUVカット膜40と同様である。
このように分子軸の捩れ方向が異なる重合体を含むUVカット膜40及び50を組み合わせることにより、右円偏光及び左円偏光のうち、一方の円偏光は右捩れタイプの重合体を含むUVカット膜40で反射され、他方の円偏光は左捩れタイプの重合体を含むUVカット膜50で反射される。このため、機能性フィルム400においては、右円偏光及び左円偏光の両方を反射することが可能となり、全体として、反射できる紫外線の波長範囲を広げたり、より効率良く紫外線を遮断したりできる。
具体的には、機能性フィルム400は、紫外線領域に、光透過率が0.1%以下となる波長領域B3を有する。そして、この波長領域B3の最大波長λB3は、390nm±5nmの範囲にある。このように、機能性フィルム400は、第三実施形態に係る機能性フィルム300よりも長波長の紫外線を遮断することが可能となっている。したがって、機能性フィルム400は、よりも広い波長範囲において紫外線を遮断できるので、第三実施形態に係る機能性フィルム300よりも効果的に紫外線を遮断することが可能である。
また、機能性フィルム400を透過する光の透過スペクトルにおいては、通常、最大波長λB3よりも直ぐ長波長の波長領域において光透過率が急激に大きくなる。したがって、機能性フィルム400は、特定の波長範囲の光を選択的に遮断し、それ以外の波長の光を良好に透過させることができる。
さらに、第四実施形態に係る機能性フィルム400は、通常、第一実施形態に係る機能性フィルム100と同様の利点を得ることができる。
[第五実施形態]
第四実施形態では重合体の分子軸の捩れ方向が異なるUVカット膜を組み合わせることにより、右円偏光と左円偏光の両方の紫外線を遮断しうる機能性フィルム400を説明した。1/2波長板を用いれば、重合体の分子軸の捩れ方向が同じUVカット膜を組み合わせた場合でも、右円偏光と左円偏光の両方の紫外線を遮断しうる機能性フィルムを実現できる。以下、その場合について図面を示して説明する。
図5は、本発明の第五実施形態に係る機能性フィルム500を模式的に示す断面図である。
図5に示すように、機能性フィルム500は、基材10と、UVカット膜40と、1/2波長板60と、UVカット膜70とをこの順に備える。
機能性フィルム400において、基材10は、第一実施形態と同様である。
また、UVカット膜40及び70は、いずれも第三実施形態と同様であり、重合体の分子のねじれ方向が同一である。
1/2波長板は、UVカット膜40及び70の選択反射帯域の中心波長をλとしたとき、その波長λに対する面内レターデーションの値が、通常λ/2±40nm、より好ましくはλ/2±15nmの範囲にあるフィルムである。
このような1/2波長板としては、例えば、延伸フィルムを用いることができる。延伸フィルムの材料としては、例えば、樹脂を用いうる。この樹脂が含む重合体としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィン重合体等が挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、1/2波長板としては、例えば、液晶性化合物を配向させた膜、又は、その膜において液晶性化合物を重合させた膜などを用いてもよい。このような膜は、例えば、重合性基を有する棒状液晶性化合物を含む液晶性組成物をフィルム上に塗布して液晶性組成物の層を得て、その棒状液晶性化合物を重合させることにより、製造しうる。また、この場合、必要に応じて、重合の前に液晶性組成物の層を乾燥させたり、液晶性組成物の層において棒状液晶性化合物を配向させたりしてもよい。
この場合、棒状液晶性化合物としては、ネマチック相又はスメクチック相を発現しうる棒状液晶化合物が好適に用いられ、より好ましくはネマチック相を発現しうる棒状液晶化合物が用いられる。その例を挙げると、例えば、特開2002−030042号公報、特開2004−204190号公報、特開2005−263789号公報、特開2007−119415号公報、特開2007−186430号公報などに記載された重合性基を有する棒状液晶化合物を用いることができる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。さらに、液晶性組成物は、棒状液晶性化合物以外に、例えば溶媒、重合開始剤、界面活性剤、架橋剤等の任意の成分を含んでいてもよい。
このような機能性フィルム500においては、機能性フィルム500に入射する紫外光は、UVカット膜40、1/2波長板60及びUVカット膜70をこの順又はこの逆の順で通る。したがって、紫外線のうち、右円偏光及び左円偏光の一方がUVカット膜40及び70の一方で反射され、1/2波長板60で円偏光の向きを変換された後で、右円偏光及び左円偏光の他方がUVカット膜40及び70の他方で反射される。このため、機能性フィルム500においては、右円偏光及び左円偏光の両方を反射することが可能となり、全体として、反射できる紫外線の波長範囲を広げたり、より効率良く紫外線を遮断したりできる。
具体的には、機能性フィルム500は、第四実施形態に係る機能性フィルム400と同様に、紫外線領域に、光透過率が0.1%以下となる波長領域B3を有する。そして、この波長領域B3の最大波長λB3は、390nm±5nmの範囲にある。したがって、機能性フィルム500は、第四実施形態に係る機能性フィルム400と同様に、効果的に紫外線を遮断することが可能である。
また、機能性フィルム500を透過する光の透過スペクトルにおいては、通常、第四実施形態に係る機能性フィルム400と同様に、最大波長λB3よりも直ぐ長波長の波長領域において光透過率が急激に大きくなる。したがって、機能性フィルム500は、特定の波長範囲の光を選択的に遮断し、それ以外の波長の光を良好に透過させることができる。
さらに、第五実施形態に係る機能性フィルム500は、通常、第一実施形態に係る機能性フィルム100と同様の利点を得ることができる。
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されず、更に変更して実施してもよい。
例えば、機能性フィルムには、基材、UVカット膜及び1/2波長板以外に、任意の層を設けてもよい。任意の層としては、ハードコート層、防眩層及び反射防止層からなる群より選ばれる少なくとも一層を設けることが好ましい。
ハードコート層は、JIS K5600−5−4で示す鉛筆硬度試験(試験は、試験試料をガラス板に乗せた状態で測定する)で「2H」以上の硬度を示す層である。このようなハードコート層は、無機材料、樹脂又はこれらの混合物により形成しうる。中でも、生産性に優れるという観点から樹脂材料が好ましい。また、ハードコート層の厚みは、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.8μm以上、特に好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、特に好ましくは3μm以下である。
防眩層は、外部から照射された光の反射によって写り込みが生じることを防止する機能(防眩機能)を有する層である。このような防眩層は、例えば、表面に微細な凹部、凸部、又は、凹部及び凸部の両方を有し、当該表面において反射する光を散乱させうる層が挙げられる。
反射防止層は、外部から照射された光の反射量を抑制する機能(反射防止機能)を有する層である。このような反射防止層としては、例えば、屈折率が低い(例えば、屈折率が1.30〜1.45)層を最表面に有し、且つ、屈折率が低い層と屈折率が高い層とを交互に有する複層構造の層などが挙げられる。
また、機能性フィルムには、粘着層又は接着層を設けてもよい。このような粘着層又は接着層を用いることにより、機能性フィルムを構成する層を別々に用意し、それらの層を粘着層又は接着層で接着するという機能性フィルムの製造方法を採用できる。また、粘着層又は接着層を表面に備える機能性フィルムは、その粘着層又は接着層によって機能性フィルムを他の部材に容易に貼り合せることができる。
[機能性フィルムの物性]
機能性フィルムの可視光線透過率は、通常50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上である。上限は理想的には100%であるが、通常は99%以下である。上述した機能性フィルムは、紫外線領域の波長において光を遮断する能力に優れるが、それ以外の波長においては光を良好に透過させうる。したがって、前記のように高い可視光線透過率を奏しうる。
ここで、可視光線透過率は、JIS R3106に記載された方法により測定しうる。
機能性フィルムの厚みは、通常1μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、通常10mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは1mm以下である。
[用途]
上述した機能性フィルムは、紫外線を遮断することができるので、紫外線からの保護が望まれる任意の物品の保護フィルムとして用いることができる。例えば、医療用途に用いられる容器などの表面加工用の紫外線カット保護フィルムとして用いうる。また、上述した機能性フィルムは可視光線を良好に透過させることができるので、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置等の画像表示装置の構成部品に用いて好適である。
さらに、光学用途だけでなく、例えば、農業用途における紫外線を好む害虫駆除用の紫外線カットフィルムとして用いうる。さらに、例えば、精密加工用途における紫外線感光材料を取り扱う場所での紫外線カットフィルムとしても用いることができる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
[試薬の説明]
下記の実施例及び比較例で用いた試薬を、以下に説明する。
重合性液晶モノマーA、重合性液晶モノマーB、重合性液晶モノマーC及び重合性非液晶モノマーとしては、下記の構造を有する化合物を用いた。ここで、「Me」はメチル基を示す。
Figure 2014164111
Figure 2014164111
Figure 2014164111
Figure 2014164111
重合開始剤としては、チバ・ジャパン社製「イルガキュアOXEO2」を用いた。
カイラル剤としては、BASF社製「LC756」を用いた。
界面活性剤としては、ネオス社製「フタージェント209F」を用いた。
[評価方法]
機能性フィルムについて、分光光度計(日本分光社製「V−550」)を用いて、波長250nm以上700nm以下の波長範囲における透過スペクトルを測定した。
得られた透過スペクトルの波長400nm未満の紫外線領域において、光透過率が1.0%以下となる波長領域を検出し、その波長領域の最大波長を測定した。
また、得られた透過スペクトルの波長400nm以上700nm以下の可視光領域での最小光透過率を測定した。
[実施例1]
表1に示す配合割合で各成分を混合し、固形分濃度30.8%のネマチック液晶組成物を調製した。
シクロオレフィン重合体からなる透明基材フィルム(オプテス社製「ゼオノアフィルムZF14−100」)を用意した。この透明基材フィルムの片面に、コロナ放電処理を施した。このコロナ放電処理を施した面に、前記のネマチック液晶組成物を、♯10のワイヤーバーを使用して塗布して、ネマチック液晶組成物層を形成した。
前記のネマチック液晶組成物層に、140℃で2分間、配向処理を施した。その後、ネマチック液晶組成物層に紫外線を500mJ/cm照射して、乾燥膜厚4.7μmのUVカット膜を備える機能性フィルムを製造した。
この機能性フィルムの透過スペクトルを上述した要領で測定した。そして、この透過スペクトルの、波長400nm未満の紫外線領域において光透過率が1.0%以下となる波長領域の最大波長、及び、波長400nm以上700nm以下の可視光領域での最小光透過率を測定した。
[実施例2]
ネマチック液晶組成物の組成を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、機能性フィルムを製造し、評価した。
[実施例3]
表1に示す配合割合で各成分を混合し、固形分濃度31.4%のコレステリック液晶性組成物を調製した。
脂環式オレフィンポリマーからなる透明基材フィルム(オプテス社製「ゼオノアフィルムZF14−100」)を用意した。この透明基材フィルムの片面に、コロナ放電処理を施した。このコロナ放電処理を施した面に、前記のコレステリック液晶性組成物を、♯10のワイヤーバーを使用して塗布して、コレステリック液晶性組成物層を形成した。
前記のコレステリック液晶性組成物層に、140℃で2分間、配向処理を施した。その後、コレステリック液晶性組成物層に紫外線を500mJ/cm照射して、乾燥膜厚4.7μmのUVカット膜を備える機能性フィルムを製造した。
この機能性フィルムの透過スペクトルを上述した要領で測定した。そして、この透過スペクトルの、波長400nm未満の紫外線領域において光透過率が1.0%以下となる波長領域の最大波長を測定した。
[実施例4]
実施例3で製造した機能性フィルムのUVカット膜側の面に、粘着シート(巴川製紙所製「ノンキャリアTD06A」;粘着層厚み25μm)の粘着層を転写した。転写した粘着層に、1/2波長板(オプテス社製「ゼオノアフィルムZF−12」の延伸状態を調整したもの;波長360nmに対する面内レターデーションが180nm)を貼り合わせた。この1/2波長板の表面に、更に粘着シートの粘着層を転写した。転写した粘着層に、実施例3で製造した機能性フィルムのUVカット膜側の面を貼り合わせた。これにより、透明基材フィルム、UVカット膜、粘着層、1/2波長板、粘着層、UVカット膜及び透明基材フィルムをこの順に備える複層フィルムを、新たな機能性フィルムとして得た。
この機能性フィルムの透過スペクトルを上述した要領で測定した。そして、この透過スペクトルの、波長400nm未満の紫外線領域において光透過率が0.1%以下となる波長領域の最大波長を測定した。
ここで、前記の1/2波長板の面内レターデーションは、以下の要領で測定した。
1/2波長板について、400nm〜800nmの波長範囲で10nm間隔で面内レターデーションを測定し、面内レターデーションの波長分散を求めた。その波長分散の結果をコーシーの分散式でフィッティングした。フィッティングの結果から予想される、波長360nmに対する面内レターデーションの値を、前記1/2波長板の波長360nmに対する面内レターデーションとして求めた。
[比較例1]
ネマチック液晶組成物の組成を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、機能性フィルムを製造し、評価した。
[比較例2]
コレステリック液晶性組成物の組成を表1に示すように変更したこと以外は実施例3と同様にして、機能性フィルムを製造した。
この機能性フィルムの透過スペクトルを上述した要領で測定した。そして、この透過スペクトルの、波長400nm未満の紫外線領域において光透過率が1.0%以下となる波長領域の最大波長、及び、波長400nm以上700nm以下の可視光領域での最小光透過率を測定した。
[結果]
前記の実施例及び比較例の結果を、下記の表1に示す。また、各実施例及び比較例において測定された透過スペクトルのうち、波長400nm周辺の透過スペクトルを、図6に示す。
また、表1において、最大吸収波長とは、透過スペクトルの波長400nm未満の紫外線領域において、実施例1〜3及び比較例1,2では光透過率が1.0%以下となる波長領域の最大波長を示し、実施例4では光透過率が0.1%以下となる波長領域の最大波長を示す。また、可視光領域での最小光透過率とは、透過スペクトルの波長400nm以上700nm以下の可視光領域での最小光透過率を示す。
Figure 2014164111
[検討]
表1から分かるように、実施例においては、比較例よりも広い波長範囲で紫外線を遮断できる。また、実施例において紫外線を遮断できる波長範囲には、近紫外線領域が含まれる。したがって、本発明の機能性フィルムにより、近紫外線を含む紫外線を効果的に遮断できることが確認された。
また、図6から、実施例に係る機能性フィルムの透過スペクトルにおいては、近紫外線領域において光透過率が急激に大きくなっていることが分かる。したがって、実施例に係る機能性フィルムが、特定の波長領域(ここでは、紫外線領域が相当する。)を選択的に遮断でき、それ以外の波長領域の光は良好に透過させることができることが確認された。これに対し、比較例では光透過率の上昇は緩やかであり、特定の波長領域の光だけを選択的に遮断することはできていない。また、特に実施例1及び2では、波長400nm以上の可視光線領域において高い光透過率が得られている。したがって、本発明の機能性フィルムには、可視光線は良好に透過させられることが確認された。
100、200、300、400、500 機能性フィルム
10 基材
20 UVカット膜
30 紫外線吸収フィルム層
40 UVカット膜
50 UVカット膜
60 1/2波長板
70 UVカット膜

Claims (8)

  1. 基材と、前記基材上に形成された重合性液晶モノマーの重合体を含むUVカット膜とを備える機能性フィルムであって、
    前記UVカット膜の厚みが、5μm以下であり、
    前記機能性フィルムが、紫外線領域に、光透過率が1.0%以下となる波長領域B1を有し、
    前記波長領域B1の最大波長λB1が、350nm±5nmの範囲にある、機能性フィルム。
  2. 前記基材と前記UVカット膜とが剥離可能である、請求項1記載の機能性フィルム。
  3. 波長400nm〜波長700nmの可視光領域での最小光透過率が、50%以上である、請求項1又は2記載の機能性フィルム。
  4. 基材と、前記基材上に形成された重合性液晶モノマーの重合体を含むUVカット膜とを備える機能性フィルムであって、
    前記重合体が、コレステリック規則性を有し、
    前記UVカット膜の厚みが、5μm以下であり、
    前記機能性フィルムが、紫外線領域に、光透過率が1.0%以下となる波長領域B2を有し、
    前記波長領域B2の最大波長λB2が、375nm±5nmの範囲にある、機能性フィルム。
  5. 前記基材と前記UVカット膜とが剥離可能である、請求項4記載の機能性フィルム。
  6. 基材と、前記基材上に形成された重合性液晶モノマーの重合体を含む2枚以上のUVカット膜とを備える機能性フィルムであって、
    前記重合体が、コレステリック規則性を有し、
    前記UVカット膜の厚みが、5μm以下であり、
    前記機能性フィルムが、紫外線領域に、光透過率が0.1%以下となる波長領域B3を有し、
    前記波長領域B3の最大波長λB3が、390nm±5nmの範囲にある、機能性フィルム。
  7. 前記重合性液晶モノマーが、下記式(1)で示される構造を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の機能性フィルム。
    Figure 2014164111
    (式(1)中、
    は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、−OR、−O−C(=O)−R、および−C(=O)−ORからなる群より選ばれるいずれかを表す。ここで、Rは、水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。Rがアルキル基である場合、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、および−C(=O)−からなる群より選ばれるいずれかが介在していてもよい(ただし、−O−及び−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
    nは、それぞれ独立に、2〜12の整数を表す。)
  8. ハードコート層、防眩層及び反射防止層からなる群より選ばれる少なくとも一層を備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の機能性フィルム。
JP2013034938A 2013-02-25 2013-02-25 機能性フィルム Active JP6098223B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013034938A JP6098223B2 (ja) 2013-02-25 2013-02-25 機能性フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013034938A JP6098223B2 (ja) 2013-02-25 2013-02-25 機能性フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014164111A true JP2014164111A (ja) 2014-09-08
JP6098223B2 JP6098223B2 (ja) 2017-03-22

Family

ID=51614759

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013034938A Active JP6098223B2 (ja) 2013-02-25 2013-02-25 機能性フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6098223B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016113555A (ja) * 2014-12-16 2016-06-23 日本ゼオン株式会社 液晶性組成物、円偏光分離素子及びその製造方法、偽造防止用媒体及びその製造方法、輝度向上フィルム並びにセキュリティ媒体
WO2018143167A1 (ja) * 2017-01-31 2018-08-09 大日本印刷株式会社 光学フィルム、偏光板、および画像表示装置
JP2018161815A (ja) * 2017-03-27 2018-10-18 日本ゼオン株式会社 操作パネル用積層体及びその製造方法
JPWO2017150739A1 (ja) * 2016-03-04 2019-01-10 大日本印刷株式会社 光学積層体、画像表示装置又はタッチパネルセンサー
CN110260263A (zh) * 2018-03-12 2019-09-20 联嘉光电股份有限公司 车载双功能发光模块及车载双功能照明灯组
CN113050213A (zh) * 2016-12-26 2021-06-29 Agc株式会社 紫外线透射滤波器

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06145387A (ja) * 1992-11-09 1994-05-24 Central Glass Co Ltd 紫外線吸収透明体
JP2004126576A (ja) * 2002-09-13 2004-04-22 Dainippon Printing Co Ltd 紫外線反射機能付き位相差光学素子及び液晶表示装置
JP2007294215A (ja) * 2006-04-25 2007-11-08 Matsushita Electric Works Ltd 照明装置
JP2010256625A (ja) * 2009-04-24 2010-11-11 Nippon Zeon Co Ltd 断熱部材
JP2011007894A (ja) * 2009-06-24 2011-01-13 Bridgestone Corp 光学フィルタ、及びこれを用いたディスプレイ用光学フィルタ
JP2012014187A (ja) * 2011-09-15 2012-01-19 Konica Minolta Holdings Inc 偏光板及び表示装置

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06145387A (ja) * 1992-11-09 1994-05-24 Central Glass Co Ltd 紫外線吸収透明体
JP2004126576A (ja) * 2002-09-13 2004-04-22 Dainippon Printing Co Ltd 紫外線反射機能付き位相差光学素子及び液晶表示装置
JP2007294215A (ja) * 2006-04-25 2007-11-08 Matsushita Electric Works Ltd 照明装置
JP2010256625A (ja) * 2009-04-24 2010-11-11 Nippon Zeon Co Ltd 断熱部材
JP2011007894A (ja) * 2009-06-24 2011-01-13 Bridgestone Corp 光学フィルタ、及びこれを用いたディスプレイ用光学フィルタ
JP2012014187A (ja) * 2011-09-15 2012-01-19 Konica Minolta Holdings Inc 偏光板及び表示装置

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016113555A (ja) * 2014-12-16 2016-06-23 日本ゼオン株式会社 液晶性組成物、円偏光分離素子及びその製造方法、偽造防止用媒体及びその製造方法、輝度向上フィルム並びにセキュリティ媒体
US10908336B2 (en) 2016-03-04 2021-02-02 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Optical laminate, image display device, or touch panel sensor
JPWO2017150739A1 (ja) * 2016-03-04 2019-01-10 大日本印刷株式会社 光学積層体、画像表示装置又はタッチパネルセンサー
CN113050213B (zh) * 2016-12-26 2022-10-21 Agc株式会社 紫外线透射滤波器
CN113050213A (zh) * 2016-12-26 2021-06-29 Agc株式会社 紫外线透射滤波器
CN110226112A (zh) * 2017-01-31 2019-09-10 大日本印刷株式会社 光学膜、偏振片和图像显示装置
JPWO2018143167A1 (ja) * 2017-01-31 2019-11-21 大日本印刷株式会社 光学フィルム、偏光板、および画像表示装置
EP3579029A4 (en) * 2017-01-31 2020-10-14 Dai Nippon Printing Co., Ltd. OPTICAL FILM, POLARIZING PLATE AND IMAGE DISPLAY DEVICE
US10908333B2 (en) 2017-01-31 2021-02-02 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Optical film, polarization plate, and image display device
CN110226112B (zh) * 2017-01-31 2021-09-07 大日本印刷株式会社 光学膜、偏振片和图像显示装置
JP2022160466A (ja) * 2017-01-31 2022-10-19 大日本印刷株式会社 光学フィルム、偏光板、および画像表示装置
WO2018143167A1 (ja) * 2017-01-31 2018-08-09 大日本印刷株式会社 光学フィルム、偏光板、および画像表示装置
JP7331998B2 (ja) 2017-01-31 2023-08-23 大日本印刷株式会社 光学フィルム、偏光板、および画像表示装置
JP2023159190A (ja) * 2017-01-31 2023-10-31 大日本印刷株式会社 光学フィルム、偏光板、および画像表示装置
JP2018161815A (ja) * 2017-03-27 2018-10-18 日本ゼオン株式会社 操作パネル用積層体及びその製造方法
CN110260263A (zh) * 2018-03-12 2019-09-20 联嘉光电股份有限公司 车载双功能发光模块及车载双功能照明灯组
CN110260263B (zh) * 2018-03-12 2022-01-18 联嘉光电股份有限公司 车载双功能发光模块及车载双功能照明灯组

Also Published As

Publication number Publication date
JP6098223B2 (ja) 2017-03-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6098223B2 (ja) 機能性フィルム
KR100728552B1 (ko) 광학 보정기 및 액정 디스플레이 ⅰ
JP6132678B2 (ja) 偏光フィルターおよびその応用
JP6166977B2 (ja) 円偏光フィルターおよびその応用
KR100728558B1 (ko) 광학 보정기 및 액정 디스플레이 ⅲ
WO2004063779A1 (ja) 広帯域コレステリック液晶フィルム、その製造方法、円偏光板、直線偏光子、照明装置および液晶表示装置
JP6757424B2 (ja) 加飾フィルム
CN105492938A (zh) 应力显示部件及使用应力显示部件的应变测定方法
WO2016136231A1 (ja) 積層体及び光学フィルム
KR20180125593A (ko) 광반사 필름과 이를 이용한 광제어 필름 및 미러 디스플레이
JP2007065314A (ja) 円偏光分離シート
JP6254768B2 (ja) 光を利用した検知システムおよび検知方法
JP6479699B2 (ja) 車両用画像表示機能付きミラーおよびその製造方法
JP6999798B2 (ja) 光学フィルムおよび光学フィルムの製造方法
JP5025121B2 (ja) 円偏光分離シート及びその製法、並びにそれを用いた液晶表示装置
TWI383181B (zh) Method for manufacturing a wide-frequency twisted layer liquid crystal film, a circularly polarizing plate, a linear polarizing element, a lighting device, and a liquid crystal display device (2)
JP2014174468A (ja) 円偏光層、円偏光層の積層体、メガネおよび3d画像鑑賞システム
JP2017068111A (ja) 偏光板および液晶表示装置
JP2006003883A (ja) 光学積層体の製造方法、光学素子、偏光光源装置及び液晶表示装置
WO2007018258A1 (ja) 光学素子、偏光板、位相差板、照明装置、および液晶表示装置
WO2018212347A1 (ja) 加飾シート、光学デバイス、画像表示装置
JP6254770B2 (ja) 円偏光分離フィルムおよび円偏光分離フィルムの製造方法、ならびに赤外線センサー
JP2008225429A (ja) 円偏光分離シート及びその製法、並びにそれを用いた液晶表示装置
JP2018124431A (ja) 加飾フィルム
JP2011203426A (ja) 長尺状の光学積層体、輝度向上フィルム及び液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150925

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160518

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160524

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20160720

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160921

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170124

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170206

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6098223

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250