JP2014163029A - 可染性繊維組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルキル基の炭素数が10以上のアルキルベンゼンスルホン酸イオンを層間アニオンとする面間隔が25Å以上であるハイドロタルサイト類をポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン繊維、またはポリウレタン繊維に混練分散後紡糸する。染色後高分子型ポリアニオンで処理、またはこの後さらに多価金属イオンで処理する。
【選択図】なし
Description
したがって、紡糸する前に顔料を樹脂に添加し、染色する方法が行われている。そのため、市場ニーズの変化に対応して染色できる柔軟性がない不都合さがあり、色の種類も染料による染色法に比べ少ない等の理由で、可染性繊維に比べポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維が使用される用途が限られてきた。
また、染色性はあるが、染色力が相対的に弱い。例えばポリウレタン繊維は別の問題がある。それは、単独で使用されることが少なく、殆どの場合、ナイロンとかポリエステルと混紡して使用されるため、混紡するナイロンとかポリエステルとポリウレタンとの間に、染色むらが生じ、商品価値を低下させる問題がある。
ところが、染色工程全体を詳細に検討した結果、ポリプロピレン等の乾式紡糸工程で経済的な生産性を確保するためには、紡糸温度を約280〜300℃にする必要があり、この温度では、第3の技術であるハイドロタルサイト類の層間にある高級脂肪酸イオンが一部熱分解することが判った。
したがって、第1の課題は、約300℃以上の耐熱性を有する青色を含むすべての色に染色できる可染性繊維を提供することである。
好ましいアニオンとしては、たとえば直鎖デシルベンゼンスルホン酸イオン(n−C10H21C6H4SO3 −)、直鎖ウンデシルベンゼンスルホン酸イオン(n−C11H23C6H4SO3 −)、直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸イオン(n−C12H25C6H4SO3 −)、直鎖トリデシルベンゼンスルホン酸イオン(n−C13H27C6H4SO3 −)、直鎖テトラデシルベンゼンスルホン酸イオン(n−C14H29C6H4SO3 −)等である。
(A)テトラポリリン酸、ヘキサメタリン酸、酸性ヘキサメタリン酸等のポリリン酸またはそれらのアルカリ金属またはアンモニウム塩、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸またはそのアルカリ金属またはアンモニウム塩、オレフィン・マレイン酸共重合物、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸部分アルキルエステル等の高分子型ポリアニオン(ポリカルボン酸類、ポリスルホン酸類)の酸またはそれらのアルカリ金属またはアンモニウム塩、の中から選択された少なくとも1種以上の高分子型ポリアニオン溶液を染色後の繊維に添加、表面処理する。好ましくは、A処理後さらに(B)Ca,Mg,Zn,Al等の多価金属イオン溶液を添加し、該高分子型ポリアニオンと反応させて難溶性の膜を形成させる。
上記高分子型ポリアニオンによりプラスに荷電しているハイドタルサイト類の結晶表面が被覆される。これだけでも層間アニオンの遊離防止に効果があるが、次に添加する多価金属イオンが、ポリアニオンの一部のアニオンと反応して難溶性の被膜を形成し、ハイドロタルサイト類の層間にある染料の溶媒への遊離がより強く阻止される。
本発明の可染性繊維組成物は、繊維だけでなく、紡糸前の可染性樹脂組成物も含む。
染色機としては、液流染色機、ウインス染色機およびエアーフロー染色機等の通常の染色機を用いることができる。
(1)ハイドロタルサイト類の単位層厚の測定
粉末X線回折法により、X線回折パターンを測定し、最も低角側にある最強ピーク 位置から、ブラッグの式により求めた。
(2)BET比表面積
液体窒素吸着法により測定した。
(3)粒度分布の測定
試料粉末をエタノールに入れて、超音波で5分間処理した後、エタノール溶媒中で の粒度分布をレーザー回折法で測定した。
(4)染色性の評価試験
メルトフローインデックスが110g/10分のポリプロピレンとハイドロタルサ イト類および酸化防止剤(IRGANOX1010)を、重量比80:20:0. 2で混合し、この混合物を2軸押し出し混練機を用い、約240℃で溶融混練し、 直径約3mm、長さ約4mmのペレットを作成した。このペレット20gを6gの 青色染料:ナイロサン ブルーN−GFL、を溶解した300ミリリットルの水溶 液に加え、約90℃で1時間加熱し、染色した後、水洗した。水洗したペレットを 水に分散し、撹拌下に前記高分子型ポリアニオン、多価金属イオンの順に加え、水 洗、乾燥した。乾燥後のペレットの染色レベルを下記基準で級判定した。
5級 濃青色
4級 青色
3級 淡青色
2級 微青色
1級 白色
(5)染色堅牢度
染色試験に用いたと同じ試料2gを試験管に入れ、10ミリリットルの水またはテ トラクロロエチレンを加え、約30℃で20時間静置した後、溶媒への染料の溶出 程度を以下の基準により、目視で判定した。0級が最も優れていることを表す。
<染料の溶出レベル>
0級 無色 :溶出ゼロ
1級 微青色 :溶出はわずかである
2級 薄い青色:溶出が少しある
3級 濃い青色:溶出が多い
(6)耐熱試験
ハイドロタルサイト類粉末のDTA−TGAを測定し、200℃から300℃まで の重量減少率で評価した。
CO3型ハイドロタルサイト類(BET比表面積=12m2/g、平均2次粒子径=0.46μm、化学組成:Mg0.68Al0.32(OH)2(CO3)0.16・0.5H2O))200gを、約2リットルの温水(約70℃)に加え、撹拌下に0.5モル/リットルの硝酸水溶液1.9リットルを、pHを約3〜4の間に保って添加した。この反応でCO3 2−をNO3 −にイオン交換した。次に、NO3とほぼ当量の直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸が主成分である直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸(日本油脂製、ソフト王洗5S)256gを苛性ソーダでpHを約7に中和後、溶解した水溶液約2リットルを、NO3型ハイドロタルサイト類に、撹拌下に加え、約80℃で約30分間イオン交換反応を行った。その後、減圧濾過、水洗、乾燥(約120℃)、粉砕した。
また、熱分析測定から求めた耐熱性データを表1に示す。
実施例1において、直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸の代わりに、試薬1級のラウリン酸(ドデカン酸)を使用する以外は、実施例1と同様に行った。
得られた物のX線回折測定の結果、ハイドロタルサイト類のみの回折パターンであり、NO3型およびCO3型ハイドロタルサイト類の最強回折ピークは認められなかった。最強回折ピーク位置から、単位層厚は約24.1Åであり、化学組成はほぼ次のとおりであった。
Mg0.68Al0.32(OH)2(C11H23COO)0.32・0.4H2O
この物のBET比表面積は15m2/g、平均2次粒子径は0.50μm、最大2次粒子径は0.96μmであった。この物の耐熱性試験結果、およびこの物をポリプロピレンに30重量%配合、混練して作成したペレットについて行った染色性と染色堅牢度の試験結果を表1に示す。
実施例1において、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の代わりに、m−アミノベンゼンスルホン酸を149g使用した以外は実施例1と同様に行った。得られた物のX線回折はハイドロタルサイト類のみの回折パターンであり、NO3型ハイドロタルサイト類に相当する約8.9Åの回折ピークがわずかにある以外は、m−アミノベンゼンスルホン酸イオンを層間イオンとする単位層厚が約13.5Åのハイドロタルサイト類の回折パターンであった。この物の化学組成はほぼ次の通りであった。
Mg0.68Al0.32(OH)2(NH2C6H4SO3)0.31(NO3)0.1・0.4H2O
耐熱性および染色性と染色堅牢度の試験結果を表1に示す。
ポリプロピレンのペレットを染色試験した結果を表1に示す。
Claims (8)
- 式(1)において、M2+とM3+がそれぞれ、Mgおよび/またはZn,Alである請求項1記載の可染性繊維組成物。
- 式(1)において、A−が、アルキル基の炭素数が10以上の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸イオンである請求項1記載の可染性繊維組成物。
- 式(1)のハイドロタルサイト類の、面間隔が25Å以上である請求項1記載の可染性繊維組成物。
- 請求項1において、繊維がポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン繊維である請求項1記載の可染性繊維組成物。
- 請求項1において、繊維がポリウレタンである請求項1記載の可染性繊維組成物。
- 請求項1記載の可染性繊維をアニオン系染料で染色後、(A)ポリリン酸、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸部分アルキルエステル、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、のアルカリ金属塩の中から選択された少なくとも1種以上の高分子型ポリアニオンで表面処理、または(A)処理後、更に(B)Ca,Mg,Zn,Al等の多価金属イオンを添加反応させることを特徴とする、染色堅牢性強化方法。
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