JP2014162920A - 複合粒子、中空ポリオルガノシロキサン粒子、複合粒子の製造方法並びに該粒子を配合した化粧料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機樹脂粒子をポリオルガノシロキサンで被覆してなる複合粒子であって、該有機樹脂粒子1重量部に対するポリオルガノシロキサンの配合量が1〜50重量部であることを特徴とする球状または球状粒子表面にポリオルガノシロキサンの小さな突起が化学的に結合した形状を有する複合粒子である。
【選択図】図2
Description
また、前記複合粒子および/または中空ポリオルガノシロキサン粒子を配合した化粧料に関するものである。
また、有機樹脂粒子も各種プラスティック、ゴム等の補強材、着色材、ブロッキング防止材等として幅広く配合されている。
一方、各々の機能性向上のため、ポリオルガノシルセスキオキサンと有機樹脂粒子との複合粒子についても、その製造方法が提案されている。
先に我々は有機樹脂粒子にポリオルガノシロキサンを被覆した金平糖状粒子を発明しており、特異な粒子形状とコア/シェル型複合粒子とすることで、光学特性やすべり性などで従来のポリオルガノシルセスキオキサン球状粒子では得られない特徴を得ることを可能とした。(特許文献1参照)。
他にも有機樹脂粒子をポリオルガノシロキサンで被覆してなる複合球状粒子についても、その製造方法が開示されている。(特許文献2参照)。
また、本発明の複合粒子の有機樹脂粒子を除去することで、球状または金平糖状を保ったまま中空粒子を製造することも可能である。
さらに、本発明によって得られる複合粒子は有機樹脂成分とポリオルガノシロキサン成分の配合比率を幅広い割合で任意に設定できるため、光学的な粒子設計が可能となる。また、中空化した粒子では粒子内部に中空部を有するため、光拡散性に非常に優れているばかりでなく、粒子比重もある範囲内で任意に設定できるようになる。また適度な平均粒子径であることと金平糖状形状であることからすべり性や触感に非常に優れている。
請求項2の発明は、前記請求項1の複合粒子の有機樹脂粒子成分を除去することにより、平均粒子径が1〜15μmで、粒子内部が中空であることを特徴とする中空ポリオルガノシロキサン粒子である。
請求項3の発明は、水に水溶性高分子分散剤を溶解させた反応初液にオルガノトリアルコキシシランを添加して、該オルガノトリアルコキシシランを加水分解させた後、別に用意した水溶性カチオン系ポリマーと有機樹脂粒子の分散液をオルガノトリアルコキシシラン加水分解液に添加して、これにアルカリ性物質またはアルカリ性水溶液を添加して、該オルガノトリアルコキシシラン加水分解液を脱水縮合させて球状複合粒子を得る第1の工程と、別に用意した水とオルガノトリアルコキシシランを混合して反応させた加水分解液を、上記第1の工程で得られた反応液を再分散させた液に添加して静置熟成させて、球状複合粒子表面にポリオルガノシロキサンの突起を形成させる第2の工程とを有することを特徴とする請求項1記載の複合粒子の製造方法である。
請求項4の発明は、請求項1記載の複合粒子および/または請求項2記載の中空粒子を配合した化粧料である。
本発明の複合粒子の平均粒子径は1〜15μmであり、且つ有機樹脂粒子1重量部に対しポリオルガノシロキサンが1〜50重量部の比率で配合された複合粒子であることを特徴とする、球状または球状粒子表面全面にポリオルガノシロキサンの小さな突起が化学的に結合した所謂金平糖状を有することを特徴とする複合粒子を簡便な製法で得ることが出来る。
また、上記複合粒子の有機樹脂粒子成分を除去することで、球状または球状粒子表面全面にポリオルガノシロキサンの小さな突起が化学的に結合した形状を有する所謂金平糖状をした中空粒子を得ることが出来る。
本発明の複合粒子の合成方法は、先ず球状の複合粒子を合成する工程、次に球状の複合粒子表面に突起を形成させる工程の大きく2つの工程からなる。
第1の工程は、主成分化合物であるオルガノトリアルコキシシランを加水分解させる工程において、水に予め水溶性高分子分散剤を添加、溶解させた液にオルガノトリアルコキシシランを添加して加水分解させる。これは、オルガノトリアルコキシシランの加水分解後に水溶性高分子を添加すると、後述する第2の工程で球状粒子表面にポリオルガノシロキサンの突起が形成されないためである。
別に有機樹脂粒子と水溶性カチオン系ポリマーを水に分散して、有機樹脂粒子分散液を得る。
上記加水分解液に、上記有機樹脂分散液を添加して、縮合反応の触媒であるアルカリ性物質を添加することで、球状の複合粒子が得られる。
第2の工程は、第1の工程で得られた反応液を再分散した後、予めオルガノトリアルコキシシランを加水分解させた原料液を添加して、脱水縮合反応をさせることで、球状粒子表面に突起を形成させることが出来る。
本反応で使用される水の電気伝導度は5μS/cm(マイクロジーメンス/センチメートル)以下が好ましい。
この水には、主反応に影響のない範囲内で各種の酸、界面活性剤、水溶性有機溶剤等を少量添加することもできる。
R1Si(OR2)3
で示される。
該一般式において、R1はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素数1〜6の直鎖状あるいは分枝状のアルキル基、フェニル基、アミノ基、エポキシ基、あるいはビニル基を少なくとも1個有する1価の有機基であり、またR2はR1と同様の炭素数1〜6の直鎖状あるいは分枝状のアルキル基である。
水溶性高分子分散剤の効果は、第2の工程の粒子表面に突起を形成させるものであり、その具体的な添加量については各種反応条件や無機粒子種により異なるため、一概に言えるものではない。
また有機樹脂粒子の粒度分布も重要であり、比較的シャープな粒度分布を有する有機樹脂粒子が好適に用いられる。
さらにまた、有機樹脂粒子の形状は、球状が好ましい。
上記有機樹脂粒子はイオン性不純物が少ない方がより好ましい。
有機樹脂粒子分散液の反応系内への添加方法については特に限定されるものではないが、短時間で投入する方が効率的である。
オルガノトリアルコキシシランを水に添加して、該オルガノトリアルコキシシラン加水分解物を得る工程について、オルガノトリアルコキシシランと水の配合比率は、オルガノトリアルコキシシラン1重量部に対し、水は1〜5重量部が好ましい。水の配合量が1重量部より少ないと加水分解反応が遅くなり、水の配合量が5重量部より多いと反応系内の粒子濃度が低下するため製造効率が悪くなる。
オルガノトリアルコキシシラン加水分解液を添加して均一に分散させた後、撹拌を止めて静置下で1時間以上熟成させる。
第2の工程により、第1の工程で得られた球状複合粒子表面にポリオルガノシロキサンの突起を形成させることができる。
第1の工程
温度計、還流装置および撹拌装置を備えた反応容器に電気伝導度が0.5μS/cmの水500重量部および5重量%のポリビニルアルコール水溶液を5重量部仕込み、反応温度を30℃とした後にメチルトリメトキシシラン100重量部を3分間で添加して1時間撹拌し、メチルトリメトキシシラン加水分解液を得た。
これとは別に0.2重量%のポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(分子量:200,000〜350,000)水溶液20重量部に平均粒子径3μmであるポリメチルメタクリレート粒子(根上工業製J−4P)を5重量部投入し、超音波を1分間照射してポリメチルメタクリレート粒子分散液を得た。
先に調製したメチルトリメトキシシラン加水分解液を30℃として、ポリメチルメタクリレート粒子分散液を添加した後に、2重量%のアンモニア水5重量部を速やかに添加して、1分後に撹拌を停止した。
静置下で1時間熟成した後、少量サンプリングしてろ過、乾燥して白色粉末を得た。
メチルトリメトキシシランとポリメチルメタクリレート粒子の配合比率から、ポリメチルシルセスキオキサン100重量部に対しポリメチルメタクリレートは10重量部である。
得られた粉末を電子顕微鏡で観察したところ、図1に示す写真図のように平均粒子径が4μmの球状粒子であり、ポリメチルメタクリレート単独粒子やポリメチルシルセスキオキサン単独粒子は殆ど確認できなかった。
第2の工程
第1の工程で得られた熟成後の反応スラリーを再分散して、反応液の温度を30℃とした。この時の反応スラリーのpHは8.6であった。
別に、メチルトリメトキシシラン15重量部と水15重量部を混合して、メチルトリメトキシシラン加水分解物を得た。
次に、上記メチルトリメトキシシラン加水分解物を第1の工程で得られた反応スラリーに1分間で添加して、さらに1分間撹拌を継続した後、撹拌を停止して、3時間静置下で熟成した。
熟成後、固液分離、洗浄、乾燥して、白色粉末を得た。
メチルトリメトキシシランとポリメチルメタクリレート粒子の配合比率から、ポリメチルシルセスキオキサン100重量部に対しポリメチルメタクリレートは8.8重量部である。
得られた粉末を電子顕微鏡で観察したところ、図2に示す写真図のように粒子径が4〜5μmの球状粒子表面に突起を有する金平糖状の粒子であり、ポリメチルシルセスキオキサン単独粒子は殆ど確認出来なかった。
中空化処理
第2の工程で得られた複合粒子を窒素雰囲気中で320℃にて2時間の熱処理を実施した。
得られた粉末を電子顕微鏡で観察したところ、図3に示す写真図のように、金平糖状を保ったまま中空粒子を得ることが出来た。また、熱処理後の収量は処理前の90重量%であり、熱処理によりポリメチルメタクリレート成分が殆ど分解除去されている。
第1の工程
温度計、還流装置および撹拌装置を備えた反応容器に電気伝導度が0.5μS/cmの水500重量部仕込み、反応温度を30℃とした後にメチルトリメトキシシラン100重量部を3分間で添加して1時間撹拌し、メチルトリメトキシシラン加水分解液を得た。
これとは別に0.2重量%のポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(分子量:200,000〜350,000)水溶液20重量部に平均粒子径3μmであるポリメチルメタクリレート粒子(根上工業製J−4P)を5重量部投入し、超音波を1分間照射してポリメチルメタクリレート粒子分散液を得た。
先に調製したメチルトリメトキシシラン加水分解液を30℃として、5重量%のポリビニルアルコール水溶液を5重量部とポリメチルメタクリレート粒子分散液を添加した後に、2重量%のアンモニア水5重量部を速やかに添加して、1分後に撹拌を停止した。
第2の工程は実施例1と同様に実施して白色粉末を得た。
得られた白色粉末を電子顕微鏡で観察したところ、図4に示す写真図のように球状粒子表面に突起が形成されず、ポリメチルシルセスキオキサン単独微粒子が発生した。
第1の工程のポリメチルメタクリレート粒子分散液にポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドを添加しない以外は、実施例1の第1工程と同様に実施して白色粉末を得た。
得られた白色粉末を電子顕微鏡で観察したところ、図5に示す写真図のように、球状複合粒子を得ることが出来なかった。
前記実施例1で得られた金平糖状複合粒子(以降「複合粒子A」という。図面においても同じ。)と、実施例1の中空化処理で得られた金平糖状中空粒子(以降「中空粒子B」という。図面においても同じ。)および比較例としてポリメチルシルセスキオキサン組成100%の金平糖状粒子を用いて、持続性に優れた水中油(シリコーン油)型マットファンデーション(図6処方参照、処方例1〜5、比較例1)、持続性に優れた油(シリコーン油)中水型マットファンデーション(図7処方参照、処方例6〜10、比較例2)、紫外線防御効果を有する持続性に優れたコンパクトパウダーマットファンデーション(図8処方参照、処方例11〜15、比較例3)、紫外線防御効果を有する持続性に優れた流し込みタイプのコンパクトファンデーション(図9処方参照、処方例16〜20、比較例4)、ボリュームおよびカール保持効果に優れたマスカラ(図14処方参照、処方例21、比較例5)をそれぞれ処方した。
処方した化粧料のソフトフォーカス効果(ぼかし効果)について、女性パネラー(10人)が通常の使用方法にて用い、化粧仕上がりを専門評価者により、
5:非常によい
4:良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
の5段階で評価し、その平均点を評価結果として図11の表図に示す判定符号を図12〜15に示した。
処方した化粧料を女性パネラー(10名)により、延展性(のび、ひろがり感)を同様にして5段階で評価し、その平均点を評価点とし、図11に示す判定符号を図12〜15の表図に示した。
処方した化粧料を女性パネラー(10名)により、化粧持続性をファンデーション塗布後5時間後に同様にして5段階で評価し、その平均点を評価結果とし、図11に示す判定符号を図12〜15の表図に示した。
処方した化粧料を女性パネラー(10名)により、仕上がり感、ボリューム効果、カール保持効果の各項目について、同様にして5段階で評価し、その平均点を評価結果とし、図11に示す判定符号を図16の表図に示した。
これに対し、ポリメチルシルセスキオキサン100%の金平糖状粒子を用いて製造した化粧料のものは、本発明の粉体を処方した化粧料と比べ劣っていた。
以上の結果、本発明の方法で得た粒子を用いて製造した化粧料は、ソフトフォーカス効果(ぼかし効果)、延展性(のび、ひろがり感)、持続性ともに優れた化粧料であることが確認された。
Claims (4)
- 有機樹脂粒子をポリオルガノシロキサンで被覆してなる複合粒子であって、該有機樹脂粒子1重量部に対するポリオルガノシロキサンの配合量が1〜50重量部である球状または該球状粒子表面にポリオルガノシロキサンの小さな突起が化学的に結合した形状を有することを特徴とする複合粒子。
- 前記請求項1の複合粒子の有機樹脂粒子成分を除去することにより、平均粒子径が1〜15μmで、粒子内部が中空であることを特徴とする中空ポリオルガノシロキサン粒子。
- 水に水溶性高分子分散剤を溶解させた反応初液にオルガノトリアルコキシシランを添加して、該オルガノトリアルコキシシランを加水分解させた後、別に用意した水溶性カチオン系ポリマーと有機樹脂粒子の分散液をオルガノトリアルコキシシラン加水分解液に添加して、これにアルカリ性物質またはアルカリ性水溶液を添加して、該オルガノトリアルコキシシラン加水分解液を脱水縮合させて球状複合粒子を得る第1の工程と、
別に用意した水とオルガノトリアルコキシシランを混合して反応させた加水分解液を、上記第1の工程で得られた反応液を再分散させた液に添加して静置熟成させて、球状複合粒子表面にポリオルガノシロキサンの突起を形成させる第2の工程とを有することを特徴とする請求項1記載の複合粒子の製造方法。 - 請求項1記載の複合粒子および/または請求項2記載の中空粒子を配合した化粧料。
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