JP2014162757A - 鳥獣除けメッシュシート - Google Patents
鳥獣除けメッシュシート Download PDFInfo
- Publication number
- JP2014162757A JP2014162757A JP2013035435A JP2013035435A JP2014162757A JP 2014162757 A JP2014162757 A JP 2014162757A JP 2013035435 A JP2013035435 A JP 2013035435A JP 2013035435 A JP2013035435 A JP 2013035435A JP 2014162757 A JP2014162757 A JP 2014162757A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mesh sheet
- birds
- capsaicin
- particles
- animal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Catching Or Destruction (AREA)
- Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
Abstract
【課題】カラスや、ネズミ・モグラなどの齧歯類動物がメッシュシートを突付いたり、齧ったりした場合、その初期段階で高い忌避効果が得られ、それによってこれらメッシュシート本体の損傷を最小限に抑えることが出来、メッシュシートの可使時間が長く、しかも鳥獣除け効果とその持続性に優れたメッシュシートの提供。
【解決手段】基布の全表面に、鳥獣忌避が形成された空隙率15〜85%のメッシュにおいて、鳥獣忌避層がカプサイシン化合物を含有するマイクロカプセル粒子及び、剪断破壊補助物質として、ガラス粉、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シリカ、珪砂、ゼオライト、及びシラスバルーンから選ばれた1種以上の粗粒珪素化合物粒子を特定比率で特定量を含むようにする。
【選択図】図1
【解決手段】基布の全表面に、鳥獣忌避が形成された空隙率15〜85%のメッシュにおいて、鳥獣忌避層がカプサイシン化合物を含有するマイクロカプセル粒子及び、剪断破壊補助物質として、ガラス粉、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シリカ、珪砂、ゼオライト、及びシラスバルーンから選ばれた1種以上の粗粒珪素化合物粒子を特定比率で特定量を含むようにする。
【選択図】図1
Description
本発明は、鳥獣除けのフレキシブルメッシュシートに関するものである。更に詳しく述べると、本発明は、農地や果樹園などで、収穫前の穀物や果実を野生動物や野鳥などによる食荒らし被害から守るための張囲フェンス用、または被覆用のメッシュシート、また果樹園農家で果樹の根周りに埋設囲張し、モグラやネズミなど齧歯類害獣の侵入、根齧りを防止するための土中フェンス用のメッシュシート、さらにはゴミ収集場を被覆するカラス避けメッシュシートなどで、特に鳥獣除け効果とその持続性に優れたメッシュシートに関する。
稲、麦、トウモロコシなどの穀物、さくらんぼ、ブドウなどの屋外栽培果実は野生動物の標的となるため、食荒らし被害から守るため、これらの栽培エリア全体に、金属製防護フェンスや電流柵を張り巡らしたり、防護ネットを被せるなどして外敵からの遮断が効果的とされている。しかし、金属製防護フェンスや電流柵は広大な敷地を囲むには膨大な設備費用が掛かり、防護ネットでは小動物の侵入を許し易い欠点を有している。またこのような鳥獣対策にも係らず、地中からモグラやネズミが侵入し、さくらんぼやブドウの木など、栄養価を含む幹や根が食い荒らされ、木々が枯死する被害も発生している。
そこで、穀物、果実、野菜などを、カラス、ネズミ、モグラなどの鳥獣被害から効果的に守るために、農作物を覆って農作物の鳥虫などによる被害を防止するために用いられる生分解性樹脂よりなる保護材で、表面に農薬を徐放可能に担持させてある農作物の保護ネット(特許文献1)。繊維束からなる芯体の周囲に被覆形成されたカプサイシン類を含有する合成樹脂(塩化ビニル樹脂)組成物からなる被覆体とから構成される線状体が製編織され、この線状体の交絡点が被覆体を構成する合成樹脂の融着により接合されている動物よけ網状体(特許文献2)。鳥獣被害を防止するための(生分解性)ネットで、繊維によって構成され、繊維の表面には、鳥獣忌避性を有する物質を内包するマイクロカプセル粒子が付与された鳥獣忌避ネット(特許文献3)。が提案されている。しかし特許文献1の保護ネットでは有効成分である農薬が短期間で揮散し、また生分解性樹脂による自然分解で樹脂強度が瞬く間に低下することで、鳥獣による保護ネット突破を許すなど、せいぜい1シーズンのみの保護効果しか得られないものであった。また特許文献2の動物よけ網状体では、カプサイシン類による動物よけ効果のあるものであるが、カプサイシン類が短期間で揮散し、また網状体自体が樹脂被覆線状体同士の融着により点接合されたものであるため接合強度に劣り、容易に破壊し易いなど長期使用に対する難点を有するものであった。また、特許文献3の鳥獣忌避ネットでは鳥獣忌避性物質の長期持続効果は十分であるものの、それが繊維ネット表面に付着しただけのものであり、しかも繊維ネットが生分解性を有することでやはり1シーズンのみの保護効果しか期待できないものであった。
また、これら特許文献1〜3のネットでは、カラスが多少突付いたり、ネズミやモグラが多少齧ったりしても、カプサイシンなどの忌避剤成分が安定的、かつ効果的に放散されにくく、設置当初から十分な忌避効果を得ることができないことがあり、このためカラスやネズミなどが口内神経や視神経の苦痛を学習して十分な忌避効果を示す頃には、ネット本体が何度も突付や、齧りの繰り返し攻撃を受け、また別固体による攻撃を受けるなどして、結果的に鳥獣被害を防護できたとしても、これらネットの損傷が著しいものとなり、次のシーズンには使用できないという問題があった。従って鳥獣除けのメッシュシートで、鳥獣除け効果の即効性とその持続安定性に優れたメッシュシートの提供が望まれていた。
本発明は農地や果樹園などで収穫前の穀物や果実を野生動物や野鳥などによる食荒らし被害から守るための張囲フェンス用、または被覆用のメッシュシート、また果樹園農家で果樹の根周りに埋設囲張し、モグラやネズミなど齧歯類害獣の侵入、根齧りを防止するための土中フェンス用のメッシュシート、さらにはゴミ収集場を被覆するカラス避けメッシュシート、倉庫内備蓄物をネズミの咬害から守るためのフェンスシートなどで、特に鳥獣除け効果とその持続性に優れたメッシュシートで、カラスやネズミなどがシートを突付いたり、齧ったりした場合に、その初期段階で忌避効果が得られ、それによってメッシュシート本体の損傷を最小限に抑え、シートの長期使用を可能とする鳥獣除けメッシュシートを提供しようとするものである。
本発明者は、鳥獣除けメッシュシートについて上記の現状に鑑みて研究、検討を重ねた結果、粗目織物または粗目編物を基布として、その全表面に、刺激物質を内包する熱可塑性樹脂組成物による鳥獣忌避層が含浸被覆してなるメッシュにおいて、鳥獣忌避層が刺激物質としてカプサイシン化合物を含有するマイクロカプセル粒子及び、マイクロカプセル粒子の剪断破壊補助物質として、特定の粗粒珪素化合物粒子を特定の質量比範囲で含み、鳥獣忌避層の質量に対するカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子の含有量を特定することで、カラスや、ネズミなどがシートを突付いたり、齧ったりした場合、その初期段階で口内神経や視神経の苦痛を学習させ、それによる忌避効果を得て、それによってメッシュシート本体の損傷を最小限に抑えることが出来、従ってシートの可使時間を長くして、しかも鳥獣除け効果とその持続性に優れたメッシュシートが得られることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の鳥獣除けメッシュシートは、粗目織物または粗目編物を基布として、その全表面に、刺激物質を内包する熱可塑性樹脂組成物による鳥獣忌避層が含浸被覆してなる空隙率15〜85%のメッシュであって、前記鳥獣忌避層が刺激物質としてカプサイシン化合物を含有するマイクロカプセル粒子及び、前記マイクロカプセル粒子の剪断破壊補助物質として、ガラス粉、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シリカ、珪砂、ゼオライト、及びシラスバルーンから選ばれた1種以上の粗粒珪素化合物粒子を質量比1:1〜1:5の範囲で含み、前記鳥獣忌避層の質量に対する前記カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子の含有量が0.1〜5質量%であることが好ましい。これによって本発明の鳥獣除けメッシュシートは、カラスや、ネズミ・モグラなどの齧歯類動物がメッシュシートを突付いたり、齧ったりした場合、その初期段階で口内神経や視神経の苦痛を学習させることによる効果的忌避効果を得ることを可能とし、それによりメッシュシート本体の損傷を最小限に抑えることが出来るのでメッシュシートの可使時間が長くなり、しかも鳥獣除け効果とその持続性に優れたメッシュシートを得ることができる。
本発明の鳥獣除けメッシュシートは、前記粗粒珪素化合物粒子の平均粒子径が10〜100μmであることが好ましい。このような平均粒子径を有する粗粒珪素化合物粒子存在によってカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子の破壊効率が高くなり、その結果、初期段階で口内神経や視神経の苦痛を学習させることが可能となり、それによる効果的忌避効果を得ることでメッシュシート本体の損傷を最小限に抑えることが出来るので、メッシュシートの可使時間が長くなり、しかも鳥獣除け効果とその持続性に優れたメッシュシートを得ることができる。
本発明の鳥獣除けメッシュシートは、前記鳥獣忌避層上に、前記カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子を含有しない熱可塑性樹脂組成物による保護被覆層を有することが好ましい。この保護被覆層の存在によってカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子を降雨や直射日光などのストレスから保護する効果が得られ、長期間安定してマイクロカプセル粒子内にカプサイシン化合物有効成分を保持させること、すなわち長期間安定した鳥獣除け効果を得ることを可能とする。
本発明の鳥獣除けメッシュシートは、前記保護被覆層が、ガラス粉、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シリカ、珪砂、ゼオライト、及びシラスバルーンから選ばれた1種以上の粗粒珪素化合物粒子を前記保護被覆層に対して0.1〜25質量%含有することが好ましい。この保護被覆層の存在によってカラスや、ネズミ・モグラなどの齧歯類動物がメッシュシートを突付いたり、齧ったりした場合に、くちばしや歯への摩耗のストレスを鳥獣に負荷することで、より忌避効果を高め、メッシュシート本体の損傷を最小限に抑えることが出来るので、メッシュシートの可使時間が長くなり、しかも鳥獣除け効果とその持続性に優れたメッシュシートを得ることができる。
本発明の鳥獣除けメッシュシートは、前記鳥獣忌避層への物理的刺激により、前記粗粒珪素化合物粒子が前記カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子に圧接して剪断することでカプセルを破壊し、それによってカプサイシン化合物を効果的に放出することが好ましい。この作用によって前記カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子の破壊効率が高くなり、その結果、初期段階で口内神経や視神経の苦痛を学習させることが可能となり、それによる効果的忌避効果を得ることでメッシュシート本体の損傷を最小限に抑えることが出来るので、メッシュシートの可使時間が長くなり、しかも鳥獣除け効果とその持続性に優れたメッシュシートを得ることができる。
本発明の鳥獣除けメッシュシートによると、カラスや、ネズミ・モグラなどの齧歯類動物が本発明のメッシュシートを突付いたり、齧ったりした場合、その初期段階で口内神経や視神経の苦痛を学習することで十分な忌避効果が得られ、それによってこれらメッシュシート本体の損傷を最小限に抑えることが出来、メッシュシートの可使時間が長く、しかも鳥獣除け効果とその持続性に優れたメッシュシートを得ることが出来るので、本発明の鳥獣除けメッシュシートは、農地や果樹園などで収穫前の穀物や果実を野生動物や野鳥などによる食荒らし被害から守るための張囲フェンス用、または被覆用のメッシュシート、また果樹園農家で果樹の根周りに埋設囲張し、モグラやネズミなど齧歯類害獣の侵入、根齧りを防止するための土中フェンス用のメッシュシート、さらにはゴミ収集場を被覆するカラス避けメッシュシート、倉庫内備蓄物をネズミの咬害から守るためのフェンスシートなどの用途に適して用いることができる。
本発明の鳥獣除けメッシュシートに用いる基布としては、合成繊維・半合成繊維・無機繊維またはこれらの2種類以上から成る混用繊維から製織された織物である。合成繊維としてはナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエスエル繊維、ポリエチレン繊維、アクリル繊維が挙げられる。半合成繊維としてはアセテート、プロミックスが挙げられる。無機繊維としては、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維などが挙げられる。特に本発明においては合成繊維によるフィラメントヤーンまたはスパンヤーンによる平織物が剪断強度に優れ好ましい。またはラッセル編の編物を用いる事もできる。基布は必要に応じて撥水処理、吸水防止処理、接着処理、難燃処理などが施されても良く、基布を構成する合成繊維の隙間にカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子を挿入するような浸責処理や固着処理が施されていてもよい。
本発明の鳥獣除けメッシュシートに用いる基布は、222〜2222dtex、好ましくは555〜1111dtexのフィラメントヤーンを用い、これを経糸及び緯糸とした目抜け空隙率15〜85%、好ましくは空隙率25〜75%の平織物、模紗織物、またはラッセル織りの基布、または10番手(591dtex)〜60番手(97dtex)の範囲のスパンヤーンを経糸及び緯糸に用いた目抜け空隙率15〜85%、好ましくは空隙率25〜75%の平織物、模紗織物の基布である。これらの基布は具体的に1インチ間に経糸0.5〜12本、緯糸0.5〜12本の織密度で含む基布が適している。具体的に、農地や果樹園などの張囲フェンス用には、1111〜2222dtexのフィラメントヤーンによる1インチ間の打込織密度0.5〜3本、空隙率45〜75%の基布、農地や果樹園などの被覆用のメッシュシート用には、275〜833dtexのフィラメントヤーンによる1インチ間の打込織密度0.5〜3本、空隙率45〜75%の基布、果樹園農家で果樹の根周り土中フェンス用のメッシュシート用には、275〜1111dtexのフィラメントヤーンによる1インチ間の打込織密度1〜3本、空隙率50〜85%の基布(根張りに適した空隙)、ゴミ収集場を被覆するカラス避けメッシュシート用には、555〜1111dtexのフィラメントヤーンによる1インチ間の打込織密度2〜5本、空隙率40〜65%の基布、倉庫内備蓄物のフェンスシート用には555〜1111dtexのフィラメントヤーンによる1インチ間の打込織密度3〜12本、空隙率25〜50%の基布が例示できる。
本発明の鳥獣除けメッシュシートに用いる鳥獣忌避層は、熱可塑性樹脂、カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子、及び粗粒珪素化合物粒子を含有する熱可塑性樹脂組成物によって構成される。熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合体樹脂、オレフィン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル系共重合体樹脂、およびフッ素含有共重合体樹脂などを単独で使用しても、2種類以上の樹脂を併用しても良い。これらの熱可塑性樹脂の中では、特に塩化ビニル樹脂(可塑剤、安定剤等を配合した軟質塩化ビニル樹脂を包含する)を使用することが好ましい。本発明における鳥獣忌避層の形成にはこれらの熱可塑性樹脂組成物を熱溶融させて用いる加工方法、有機溶媒に溶解させて塗料として用いる加工方法(有機溶媒の除去を伴う)、エマルジョン化して塗料として用いる加工方法(水分の除去を伴う)にいずれも適用可能である。
カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子としては、カプリリックアシドバニリルアミド、ノナノイルバニリルアミド、デシリックアシドバニリルアミド、ノルジヒドロカプサイシン化合物I、ジヒドロカプサイシン化合物、ホモジヒドロカプサイシン化合物I、ノルジヒドロカプサイシン化合物II、ホモジヒドロカプサイシン化合物II、カプサイシン化合物、ホモカプサイシン化合物I、ホモカプサイシン化合物IIなどから選ばれた1種以上のカプサイシン化合物を尿素系樹脂、やメラミン樹脂などの樹脂膜を壁材として被覆内包するマイクロカプセル粒子が好ましい。特に好ましいカプサイシン化合物の種類は、壁材としてメラミン樹脂膜を使用してノナノイルバニリルアミドを被覆内包したものである。マイクロカプセル粒子の粒径範囲は10〜30μmのものが用いられる。マイクロカプセル粒子に含むカプサイシン化合物成分の含有量は25〜35質量%が好ましい。鳥獣忌避層の質量に対するマイクロカプセル粒子の含有量は0.1〜5質量%であり、特に好ましい範囲は0.1〜1.5質量%である。マイクロカプセル粒子の含有量が0.1質量%未満だと、得られるメッシュシートの鳥獣除け効果が不十分であり、また5質量%を超えるとブリード等によりカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子がシート表面に滲み出てくることや加工上の問題が発生する。
粗粒珪素化合物粒子としては、ガラス粉、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シリカ、珪砂、ゼオライト、シラスバルーン(ガラス質火山灰を焼成発泡させた中空体)から選ばれた1種以上の粒子状物を用いることができ、これら粗粒珪素化合物粒子の粒径範囲は10〜100μmのもの、特に50〜100μmの粒子状物が好ましく用いられる。これらの粒子状物の中でも特にガラス粉、シリカ、珪砂のような不定形粒子状物が好ましく、シリカの場合は二次粒子径(凝集粒子径)で50〜100μmの不定形粒子状物が好ましい。また、ガラスバルーン及びシラスバルーンなどの中空体粒子には、これらが砕けて断面が鋭利となった不定形粒子状物も包含する。鳥獣忌避層の質量に対する粗粒珪素化合物粒子の含有量は0.1〜25質量%であり、特に好ましい範囲は0.1〜15質量%である。粗粒珪素化合物粒子の含有量が0.1質量%未満だと、得られるシートの鳥獣除け効果が不十分となることがあり、また25質量%を超えると、鳥獣忌避層が脆くなり、メッシュシートの耐久性を損なうことがある。
鳥獣忌避層にはカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子と、粗粒珪素化合物粒子とを質量比1:1〜1:5の併用で含むことが好ましい。特に質量比1:2〜1:3の併用が好ましい。カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子に対する粗粒珪素化合物粒子の質量比が1:1未満だと得られるシートの鳥獣除け効果が不十分であり、また質量比が1:5を超えても鳥獣忌避層が脆くなり、メッシュシートの鳥獣除け効果が不十分となることがある。この様な質量比率による粗粒珪素化合物粒子の存在によって、鳥獣が鳥獣忌避層を囓ることにより、粗粒珪素化合物粒子がカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子に圧接して剪断することでカプセルを効率的に破壊し、それによってカプサイシン化合物を放出することで即時的な鳥獣忌避効果を得ることを可能とする。
本発明の鳥獣除けメッシュシートの鳥獣忌避層上には、屋外での長期使用時にカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子の保護、具体的には耐候劣化や有機成分の揮発、溶出等を防ぐ目的で、熱可塑性樹脂組成物による保護被覆層が設けられていることが好ましい。保護被覆層に用いられる熱可塑性樹脂組成物としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合体樹脂、オレフィン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル系共重合体樹脂などから選ばれた1種類以上の熱可塑性樹脂を主体とする組成物であり、これらにはカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子を含有しない。保護被覆層としては特に塩化ビニル樹脂(可塑剤、安定剤等を配合した軟質塩化ビニル樹脂を包含する)を使用することが好ましい。本発明の鳥獣除けメッシュシートにおいて、鳥獣忌避層と保護被覆層の層厚比1.5:1〜9:1であり、特に2.3:1〜4:1が好ましい。保護被覆層の層厚比率が少ないと、屋外での長期使用時にカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子の耐候劣化や有効成分の揮発、溶出などを防ぐ効果が不十分となることがあり、また保護被覆層の層厚比率が大き過ぎると、得られるメッシュシートの鳥獣除け効果が不十分となってメッシュシートの咬害損傷を伴う。
上記保護被覆層には、ガラス粉、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シリカ、珪砂、ゼオライト、及びシラスバルーン(ガラス質火山灰を焼成発泡させた中空体)から選ばれた1種類以上の粗粒珪素化合物粒子を保護被覆層に対して、0.1〜25質量%含有することもできる。粗粒珪素化合物粒子の含有量が0.1質量%未満だと、得られるシートの鳥獣除け効果が不十分となることがあり、また25質量%を超えると、保護被覆層が脆くなり、メッシュシートの耐久性を損なうことがある。これらの珪素化合物は鳥獣忌避層に用いた粗粒珪素化合物粒子と同一、または同種のものが使用できる。保護被覆層にも粗粒珪素化合物粒子を含有することにより、鳥獣が鳥獣忌避層を囓ることにより、粗粒珪素化合物粒子がカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子をより圧接して剪断する効果、カプセルの破壊効果、及びカプサイシン化合物の放出効果が高くなり、即時的な鳥獣忌避効果を得ることを可能とする。
本発明の鳥獣除けメッシュシートの鳥獣忌避層および保護被覆層には、屋外で長時間の使用する為に、公知の紫外線吸収剤や光安定剤を適量配合すること、また張囲フェンス用
などに用いる際に、火災から保護する為に公知の難燃剤や防炎剤を適量配合すること、シートの外観を維持する為に公知の防汚処理を施すことや公知の防黴剤や抗菌剤を適量配合するなど、公知の添加剤処方を応用することができる。特に鳥獣忌避層及び保護被覆層には、カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子との相乗効果で、辛味成分、苦味成分、酸味成分などの神経刺激性、麻痺性を有する食品成分、化学物質、及びこれらを内包するマイクロカプセル粒子を併用すること、更には香料による匂い付けをすることもできる。
などに用いる際に、火災から保護する為に公知の難燃剤や防炎剤を適量配合すること、シートの外観を維持する為に公知の防汚処理を施すことや公知の防黴剤や抗菌剤を適量配合するなど、公知の添加剤処方を応用することができる。特に鳥獣忌避層及び保護被覆層には、カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子との相乗効果で、辛味成分、苦味成分、酸味成分などの神経刺激性、麻痺性を有する食品成分、化学物質、及びこれらを内包するマイクロカプセル粒子を併用すること、更には香料による匂い付けをすることもできる。
本発明の鳥獣除けメッシュシートの製造方法の一例を示すと、空隙率15〜85%のポリエステル平織粗目織布を基布として、カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子及び粗粒珪素化合物粒子とを特定比で特定量含有する軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物液浴中に基布を浸責し、回転ロールで圧絞した含浸処理基布を熱処理することで基布の両面に鳥獣忌避層を形成する方法、またはナイフコート、グラビア転写コート、ロータリースクリーンコート、クリアランスコートなどの公知の塗工方法によって表裏面に塗布した基布を熱処理する方法が挙げられる。鳥獣忌避層の質量は基布の質量に対して100質量%以上を有することが好ましい。基布の質量に対する鳥獣忌避層の質量が100質量%未満だと十分な鳥獣忌避効果が得られないことがある。
本発明を下記実施例および比較例によりさらに説明する。下記実施例および比較例においてシートの評価に用いた試験方法は下記の通りである。
試験(1)マウスによる齧り試験(目視による損傷評価)
供試動物(マウス、Mus musculus albino(ICR系)、10週齢)を個別飼育ゲージに入れ、3cm幅×30cmの試験片と供に8日間放置後、試験片の囓られた跡を観察し、1回目の評価を行った。評価方法は表1に記載の評価基準による。通常飼育によるインターバル3日を設け、同一供試動物による2回目の試験(8日間放置)を行い、再度通常飼育によるインターバル3日を設け、同一供試動物による3回目の試験(8日間放置)を行った。結果を表3に示した。
試験(2)メッシュシートの引張強さ(鳥獣除け効果)
試験(1)の試験片の引張強さを、JIS L 1096に準じて測定し、試験(1)に供する前の引張強さに対する保持率を算出した。これを試験(1)の齧られた跡のダメージ評価とし、強度保持率90%以上を「鳥獣除け効果良好:○」、65〜89%を「鳥獣除け効果不満足:△」、65%未満を「鳥獣除け効果が認められない:×」と判定した。
試験(1)マウスによる齧り試験(目視による損傷評価)
供試動物(マウス、Mus musculus albino(ICR系)、10週齢)を個別飼育ゲージに入れ、3cm幅×30cmの試験片と供に8日間放置後、試験片の囓られた跡を観察し、1回目の評価を行った。評価方法は表1に記載の評価基準による。通常飼育によるインターバル3日を設け、同一供試動物による2回目の試験(8日間放置)を行い、再度通常飼育によるインターバル3日を設け、同一供試動物による3回目の試験(8日間放置)を行った。結果を表3に示した。
試験(1)の試験片の引張強さを、JIS L 1096に準じて測定し、試験(1)に供する前の引張強さに対する保持率を算出した。これを試験(1)の齧られた跡のダメージ評価とし、強度保持率90%以上を「鳥獣除け効果良好:○」、65〜89%を「鳥獣除け効果不満足:△」、65%未満を「鳥獣除け効果が認められない:×」と判定した。
[実施例1]基布+1層・・・フィラメント基布+軟質PVCディップ(カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子/ガラス粉)
基布として下記組織のポリエステルフィラメント模紗織布を用いた。
(経糸555dtex/3本×緯糸555dtex/3本)/(打込密度:経糸5本/25.4mm×緯糸5本/25.4mm)、質量240g/m2、空隙率38%
この基布をカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子(日本化薬(株)製:商品名:R-731)と、粗粒珪素化合物粒子としてガラス粉(粒子径12μm)11質量部を含有する表2[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物液浴中に浸漬し、基布に樹脂液を180g/m2含浸塗布させ、鳥獣忌避層を設けたメッシュシートを作製した。カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子は日本化薬(株)の商品名:R-731(粒子径15〜25μm、有効成分NVA(N-ノナノイルバニルアミド)、有効成分量32質量%)を用いた。このメッシュシートの質量は420g/m2、空隙率が36%であった。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。またこのメッシュシートはカラスの忌避効果についても評価した。
基布として下記組織のポリエステルフィラメント模紗織布を用いた。
(経糸555dtex/3本×緯糸555dtex/3本)/(打込密度:経糸5本/25.4mm×緯糸5本/25.4mm)、質量240g/m2、空隙率38%
この基布をカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子(日本化薬(株)製:商品名:R-731)と、粗粒珪素化合物粒子としてガラス粉(粒子径12μm)11質量部を含有する表2[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物液浴中に浸漬し、基布に樹脂液を180g/m2含浸塗布させ、鳥獣忌避層を設けたメッシュシートを作製した。カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子は日本化薬(株)の商品名:R-731(粒子径15〜25μm、有効成分NVA(N-ノナノイルバニルアミド)、有効成分量32質量%)を用いた。このメッシュシートの質量は420g/m2、空隙率が36%であった。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。またこのメッシュシートはカラスの忌避効果についても評価した。
[実施例2]基布+1層・・・フィラメント基布+軟質PVCディップ(カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子/ガラスバルーン)
実施例1[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物のガラス粉(粒子径12μm)11質量部をガラスバルーン(粒子径50μm)11質量部に変更した以外は実施例1と同様にして質量420g/m2、空隙率36%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
実施例1[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物のガラス粉(粒子径12μm)11質量部をガラスバルーン(粒子径50μm)11質量部に変更した以外は実施例1と同様にして質量420g/m2、空隙率36%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
[実施例3]基布+1層・・・フィラメント基布+軟質PVCディップ(カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子/シリカ)
実施例1[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物のガラス粉(粒子径12μm)11質量部をシリカ(2次粒子径18μm)11質量部に変更した以外は実施例1と同様にして質量420g/m2、空隙率36%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
実施例1[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物のガラス粉(粒子径12μm)11質量部をシリカ(2次粒子径18μm)11質量部に変更した以外は実施例1と同様にして質量420g/m2、空隙率36%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
[実施例4]基布+1層・・・フィラメント基布+エマルジョンEVA(カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子/ガラス粉)
実施例1[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物をEVAエマルジョン組成物[配合2]に変更し、2回浸漬塗工した以外は実施例1と同様にして質量400g/m2、空隙率36%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
実施例1[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物をEVAエマルジョン組成物[配合2]に変更し、2回浸漬塗工した以外は実施例1と同様にして質量400g/m2、空隙率36%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
[実施例5]基布+2層・・・フィラメント基布+軟質PVCディップ(カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子/ガラス粉)+軟質PVCディップ
実施例1で得たメッシュシート(質量420g/m2、空隙率36%)の表面に保護被覆層を設けたメッシュシートを作製した。手順は実施例1のメッシュシートをガラス粉を含有する表2[配合3]の軟質塩化ビニル樹脂組成物液浴中に浸漬し、鳥獣忌避層の上に樹脂液を塗工し、60g/m2の保護被覆層を設けた質量480g/m2、空隙率36%メッシュシートを得た。
実施例1で得たメッシュシート(質量420g/m2、空隙率36%)の表面に保護被覆層を設けたメッシュシートを作製した。手順は実施例1のメッシュシートをガラス粉を含有する表2[配合3]の軟質塩化ビニル樹脂組成物液浴中に浸漬し、鳥獣忌避層の上に樹脂液を塗工し、60g/m2の保護被覆層を設けた質量480g/m2、空隙率36%メッシュシートを得た。
[実施例6]基布+2層・・・フィラメント基布+エマルジョンEVA(カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子/ガラス粉+エマルジョンEVAディップ)
実施例4で得たメッシュシート(質量400g/m2、空隙率36%)の表面に保護被覆層を設けたメッシュシートを作製した。手順は実施例4のメッシュシートをガラス粉を含有する表2[配合4]のEVAエマルジョン組成物液浴中に浸漬し、鳥獣忌避層の上に樹脂液を塗工し、30g/m2の保護被覆層を設けた質量430g/m2、空隙率36%メッシュシートを得た。
実施例4で得たメッシュシート(質量400g/m2、空隙率36%)の表面に保護被覆層を設けたメッシュシートを作製した。手順は実施例4のメッシュシートをガラス粉を含有する表2[配合4]のEVAエマルジョン組成物液浴中に浸漬し、鳥獣忌避層の上に樹脂液を塗工し、30g/m2の保護被覆層を設けた質量430g/m2、空隙率36%メッシュシートを得た。
[実施例7]基布+1層・・・フィラメント基布+軟質PVCディップ(カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子/ガラス粉)
実施例1で用いた基布を下記組織のポリエステルフィラメント模紗織布に変更した以外は実施例1と同様として質量245g/m2、空隙率61%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
(経糸555dtex/3本×緯糸555dtex/3本)/(打込密度:経糸3本/25.4mm×緯糸3本/25.4mm)、質量150g/m2、空隙率62%
実施例1で用いた基布を下記組織のポリエステルフィラメント模紗織布に変更した以外は実施例1と同様として質量245g/m2、空隙率61%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
(経糸555dtex/3本×緯糸555dtex/3本)/(打込密度:経糸3本/25.4mm×緯糸3本/25.4mm)、質量150g/m2、空隙率62%
[実施例8]基布+1層・・・フィラメント基布+軟質PVCディップ(カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子/ガラス粉)
実施例1で用いた基布を下記組織のポリエステルフィラメント模紗織布に変更した以外は実施例1と同様として質量155g/m2、空隙率81%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
(経糸555dtex/3本×緯糸555dtex/3本)/(打込密度:経糸2本/25.4mm×緯糸2本/25.4mm)、質量100g/m2、空隙率82%
実施例1で用いた基布を下記組織のポリエステルフィラメント模紗織布に変更した以外は実施例1と同様として質量155g/m2、空隙率81%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
(経糸555dtex/3本×緯糸555dtex/3本)/(打込密度:経糸2本/25.4mm×緯糸2本/25.4mm)、質量100g/m2、空隙率82%
評価結果より実施例1〜6のメッシュシートは、果樹園農家で果樹の根周りに埋設囲張し、モグラやネズミなど害獣の侵入、根齧りを防止するためのメッシュシート、ゴミ収集場の被覆に用いるカラス避けメッシュシートに適するものと判断される。
[比較例1]フィラメント基布+軟質PVCディップ(ガラス粉)
実施例[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物からカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子全量を省いた以外は実施例1と同様にして質量420g/m2、空隙率36%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
実施例[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物からカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子全量を省いた以外は実施例1と同様にして質量420g/m2、空隙率36%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
[比較例2]フィラメント基布+軟質PVCディップ(カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子)
実施例1[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物からガラス粉(粒子径12μm)全量を省いた以外は実施例1と同様にして質量420g/m2、空隙率36%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
実施例1[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物からガラス粉(粒子径12μm)全量を省いた以外は実施例1と同様にして質量420g/m2、空隙率36%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
[比較例3]フィラメント基布+軟質PVCディップ(カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子とガラス粉の質量比率1:0.5)
実施例1[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物において、カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子とガラス粉との質量比率を1:0.5とした以外は実施例1と同様にして質量420g/m2、空隙率36%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
実施例1[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物において、カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子とガラス粉との質量比率を1:0.5とした以外は実施例1と同様にして質量420g/m2、空隙率36%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
[比較例4]フィラメント基布+軟質PVCディップ(カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子とガラス粉の質量比率1:20)
実施例1[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物において、カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子とガラス粉との質量比率を1:20とした以外は実施例1と同様にして質量420g/m2、空隙率36%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
実施例1[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物において、カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子とガラス粉との質量比率を1:20とした以外は実施例1と同様にして質量420g/m2、空隙率36%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
[比較例5]フィラメント基布+軟質PVCディップ(カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子)
実施例1[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物からガラス粉(粒子径12μm)全量を省いた以外は実施例7と同様にして質量245g/m2、空隙率61%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
実施例1[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物からガラス粉(粒子径12μm)全量を省いた以外は実施例7と同様にして質量245g/m2、空隙率61%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
[比較例6]フィラメント基布+軟質PVCディップ(カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子)
実施例1[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物からガラス粉(粒子径12μm)全量を省いた以外は実施例8と同様にして質量155g/m2、空隙率81%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
実施例1[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂組成物からガラス粉(粒子径12μm)全量を省いた以外は実施例8と同様にして質量155g/m2、空隙率81%のメッシュシートを得た。得られたメッシュシートの評価結果を表3に示した。
マウスによる齧り試験の結果、実施例1〜6で得られた各種メッシュシートは全て1回目の試験では基布の露出を認める程度の損傷を伴う咬み跡を認めたが、メッシュシート本体の強度を90%以上保持しており実使用に問題の無いレベルであった。2回目の試験を行ったところ、実施例1〜6のメッシュシートには早い段階での忌避効果が見られマウスの咬み跡は認められなかった。3回目の試験は2回目の試験同様良好な忌避効果が認められた。これに対し比較例2〜4のメッシュシートでは1回目の試験でマウスに囓られて基布に部分的な損傷を発生したため、メッシュシート本体の強度保持率は65〜89%と、実使用において安全性を欠くものであった。比較例2〜4のメッシュシートで2回目の試験を行ったところ、比較例2〜4のメッシュシートには基布の露出を認めない程度の歯形損傷があったがメッシュシート本体の強度を90%以上保持しており実使用には問題の無いレベルであった。そして3回目の試験でようやく忌避効果が見られマウスの咬み跡は比較例2〜4のメッシュシートで認められなかった。特にカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子を含有しない比較例1のメッシュシートでは全く鳥獣除け効果の得られないものであり、カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子は含有するが、粗粒珪素化合物粒子(ガラス粉)を含有しない比較例2のメッシュシートでは忌避効果レベルは比較例3、4と同等ではあったが、外観上の歯形損傷は比較例2〜4の中では最も多い結果となった。これはガラス粉によるカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子の圧接剪断破壊効果が得られないためである。これらの結果より本発明の鳥獣除けメッシュシートは、鳥獣忌避層がカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子と、特定の平均粒子径の粗粒珪素化合物粒子を特定の質量比で特定量を含むことによって、従来のカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子のみを含有する鳥獣忌避層に比較して明らかに早い段階での忌避効果を発現することができるので、従ってネズミ(マウス)による咬害損傷が少なくなり、メッシュシート本体の強度を維持したまま長期間の使用に供することができる。
また、カラスに対する齧り試験(忌避試験)は、実施例7のメッシュシート2m(タテ)×2m(ヨコ)サイズと、実施例7のメッシュシートの鳥獣忌避層から粗粒珪素化合物粒子を省いた比較例5のメッシュシート2m(タテ)×2m(ヨコ)サイズを社内敷地のコンクリート製ゴミ集積場(幅2m×長さ4m)を隙間無く覆うように隣接して緊張状態に設置し、地表には豚バラ肉30g×32個を2m×4mのエリア内に45cm間隔で並べた。(幅列4個、長さ列8個)これらの豚バラ肉とメッシュシートとの間隔は全て10cmとして多数のカラスが乗っても沈まないよう吊具固定した。この試験設備ではメッシュシートの隙間から豚バラ肉が見えていた。朝をターゲットに試験を行ったところ、7時45分に複数のハシブトガラス(嘴太鴉)が集まり出し、その時点では両方のメッシュシートエリアともに差異なくカラスが群がり、メッシュシートを突付き、カラスは両方のメッシュシート上を行き来してメッシュシートを突付いたり齧ったりしていた。飛来5分後のビデオ撮影での瞬間的カウント数は実施例7のメッシュシート側3羽、比較例5のメッシュシート側5羽であり、10分後の瞬間的カウントでは実施例7のメッシュシート側1羽、比較例5のメッシュシート側5羽であり、2羽はゴミ集積場周りを徘徊していた。飛来から15分経過時点ではゴミ集積場周りを徘徊しては時折数羽がゴミ集積場戻り、メッシュシートを突付いたり齧ったりを繰り返していた。1〜15分までの1分毎の瞬間的カウントの累積(15分間)は実施例7のメッシュシート側が38%の占有率を占めていたことから実施例7のメッシュシートは100%−38%=62%のカラス忌避効果があったものと見做すことができる。詳細は実施例7のメッシュシート側の1分間隔での瞬間カウント総計28(個体数:4、3、5、4、3、2、1、2、1,1、0、0,1、0、0)、比較例5のメッシュシート側総計47(個体数:4、5、3、4、5、4、3、4、3、3、3、2、2、1、1)で、特に飛来5分以後の11分間の累積では実施例7のメッシュシート側のカウント総計12、比較例5のメッシュシート側の総計31であり、実施例7のメッシュシート側が28%の占有率を占めていたことから実施例7のメッシュシートは100%−28%=72%のカラス忌避効果があったものと判断できる。以上の結果より本発明の鳥獣除けメッシュシートは、開始直後のカラスの忌避効果は比較用シートと同等であるが、両方のメッシュシートを突付いたり齧ったりする間の初期段階に、本発明の鳥獣除けメッシュシート方を忌避して比較用シートの方に集まる傾向が認められた。そして試験開始から26分後には試験設備周辺からカラスはすべて居なくなり、カラスは電線など遠巻きに散在し、時折数羽が飛来して試験設備周りを徘徊したが、どちらのメッシュシートに対しても突付いたり、齧ったりするような仕草は認めらなかった。30分で試験を終了し、個々のメッシュシート外観を確認したところ、比較例5のメッシュシートは基布の一部が露出するような損傷が18ヶ所を認めたが、実施例7のメッシュシートではそのような損傷は3ヶ所のみであった。これよりも程度の軽い傷痕(突付いた傷、齧った傷)の数で評価しても実施例7のメッシュシートの方が少ない傾向が認められた。この結果より本発明の鳥獣除けメッシュシートは比較例5のメッシュシートと同量のカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子を含有しているにも拘らず、本発明の鳥獣除けメッシュシートのみが鳥獣忌避層に粗粒珪素化合物粒子(ガラス粉)を含有することによって、粗粒珪素化合物粒子が隣接するカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子を圧接剪断することで効率的に破壊し、カプサイシン化合物刺激物を効果的に放散することによって早い段階でカラスを遠ざける効果を有している。従って同量のカプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子を含有することで最終的には両方のメッシュシート共にカラスの忌避効果を発揮するものではあるが、本発明の鳥獣除けメッシュシートではカラスが数回齧ったり、突付いたりするだけで忌避効果が得られるのでシート外観ダメージが少ない状態でカラスを遠ざけることが可能である。
また、果樹園における果樹の根周り防護用途の実証試験として、さくらんぼの苗木を中心に据えて直径30cm、深さ60cmとする円筒状に実施例8のメッシュシートを埋設し底部を同メッシュシートで塞いだ。またこの対比として実施例7のメッシュシートを実施例8のメッシュシート同様に埋設し、2月〜8月までの6ヶ月間モグラやネズミに対する忌避試験を実験した。6ヶ月後に各々のメッシュシートを掘り起こし、その外観を表1の基準によって判定した。
本発明の鳥獣除けメッシュシートは、カラスや、ネズミ・モグラなどの齧歯類動物がメッシュシートを突付いたり、齧ったりした場合、その初期段階で口内神経や視神経の苦痛を学習することで忌避効果が得られ、それによってこれらシート本体の損傷を最小限に抑えることが出来、シートの可使時間が長く、しかも鳥獣除け効果とその持続性に優れたメッシュシートが得られるので、本発明の鳥獣除けメッシュシートは、農地や果樹園などで収穫前の穀物や果実を野生動物や野鳥などによる食荒らし被害から守るための張囲フェンス用、または被覆用のメッシュシート、また果樹園農家で果樹の根周りに埋設囲張し、モグラやネズミなど齧歯類害獣の侵入、根齧りを防止するための土中フェンス用のメッシュシート、さらにはゴミ収集場を被覆するカラス避けメッシュシート、倉庫内備蓄物をネズミの咬害から守るためのフェンスシートなどの用途に適して用いることができる。
1 基布(粗目織物または粗目編物)
2 熱可塑性樹脂組成物
3 カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子
4 粗粒珪素化合物粒子
5 保護被覆層(熱可塑性樹脂組成物)
2 熱可塑性樹脂組成物
3 カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子
4 粗粒珪素化合物粒子
5 保護被覆層(熱可塑性樹脂組成物)
Claims (5)
- 粗目織物または粗目編物を基布として、その全表面に、刺激物質を内包する熱可塑性樹脂組成物による鳥獣忌避層が含浸被覆してなる空隙率15〜85%のメッシュであって、前記鳥獣忌避層が刺激物質としてカプサイシン化合物を含有するマイクロカプセル粒子及び、前記マイクロカプセル粒子の剪断破壊補助物質として、ガラス粉、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シリカ、珪砂、ゼオライト、及びシラスバルーンから選ばれた1種以上の粗粒珪素化合物粒子を質量比1:1〜1:5の範囲で含み、前記鳥獣忌避層の質量に対する前記カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子の含有量が0.1〜5質量%であることを特徴とする鳥獣除けメッシュシート。
- 前記粗粒珪素化合物粒子の平均粒子径が10〜100μmである請求項1に記載の鳥獣除けメッシュシート。
- 前記鳥獣忌避層上に、前記カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子を含有しない熱可塑性樹脂組成物による保護被覆層を有する請求項1または2に記載の鳥獣除けメッシュシート。
- 前記保護被覆層が、ガラス粉、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シリカ、珪砂、ゼオライト、及びシラスバルーンから選ばれた1種以上の粗粒珪素化合物粒子を前記保護被覆層に対して0.1〜25質量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鳥獣除けメッシュシート。
- 前記鳥獣忌避層への物理的刺激により、前記粗粒珪素化合物粒子が前記カプサイシン化合物含有マイクロカプセル粒子に圧接して剪断することでカプセルを破壊し、それによってカプサイシン化合物が放散する請求項1〜4のいずれか1項に記載の鳥獣除けメッシュシート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013035435A JP2014162757A (ja) | 2013-02-26 | 2013-02-26 | 鳥獣除けメッシュシート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013035435A JP2014162757A (ja) | 2013-02-26 | 2013-02-26 | 鳥獣除けメッシュシート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014162757A true JP2014162757A (ja) | 2014-09-08 |
Family
ID=51613693
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013035435A Pending JP2014162757A (ja) | 2013-02-26 | 2013-02-26 | 鳥獣除けメッシュシート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014162757A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018100388A (ja) * | 2016-12-21 | 2018-06-28 | 大阪ウイントン株式会社 | 鳥類忌避塗料 |
-
2013
- 2013-02-26 JP JP2013035435A patent/JP2014162757A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018100388A (ja) * | 2016-12-21 | 2018-06-28 | 大阪ウイントン株式会社 | 鳥類忌避塗料 |
WO2018117142A1 (ja) * | 2016-12-21 | 2018-06-28 | 大阪ウイントン株式会社 | 鳥類忌避塗料 |
CN109153883A (zh) * | 2016-12-21 | 2019-01-04 | 大阪Winton有限公司 | 鸟类忌避涂料 |
US10501658B2 (en) | 2016-12-21 | 2019-12-10 | Winton Osaka Co., Ltd. | Bird-repellent coating material |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Aziz et al. | The conflict between pteropodid bats and fruit growers: species, legislation and mitigation | |
Kays et al. | The social organization of the kinkajou Potos flavus (Procyonidae) | |
JP2007320844A (ja) | 植物育成又は保護用柱状体 | |
Kilchenmann et al. | Designing acorn protection for direct seeding of quercus species in high predation areas | |
Van Vuren et al. | Ecological management of vertebrate pests in agricultural systems | |
JP5376263B2 (ja) | 咬害抑止シート | |
JP2014162757A (ja) | 鳥獣除けメッシュシート | |
GB2484989A (en) | Plant guard having means to release chemical compositions | |
JP2005151862A (ja) | 食害防御用保護材 | |
JP2007175041A (ja) | 鳥獣の被害防止と農産物、樹木の防護装置 | |
Aswathi et al. | Weaver ant (Oecophylla smaragdina), huntsman spider (Heteropoda venatoria) and house gecko (Hemidactylus frenatus) as potential biocontrol agents of the nuisance pest, Luprops tristis | |
JP2004217623A (ja) | 有害動物による食害の防御用保護材 | |
CN101647426A (zh) | 鳞翅目昆虫产卵诱集方法 | |
KR102538854B1 (ko) | 담배가루이 포획용 트랩 | |
JPH0823861A (ja) | 鳥獣除け用有刺紐、有刺網若しくは有刺柵 | |
Sotola et al. | Comparison of Ips duplicatus (Sahlb.) infestation of insecticide sprayed and injected standing trap trees | |
JP2007084483A (ja) | 土壌改良機能も有する動物忌避組成物及びその製造方法並びに使用方法 | |
JP6893118B2 (ja) | 天敵生物の分散方法 | |
Melrose et al. | The Prairie Gardener’s Go-To for Pests and Diseases | |
Badmus et al. | Economic Importance and Control of Vertebrate Pests in Legumes | |
Witmer et al. | Porcupine damage and repellent research in the interior Pacific Northwest | |
Holland | Herbicide usage on English ivy in the Maryville College Woods | |
Curtis | Deer damage and control | |
Nolte | Materials and supplies for management of wildlife damage to trees | |
Duddles et al. | Understanding and controlling deer damage in young plantations |