JP2014161631A - 血液処理用中空糸膜、当該血液処理用中空糸膜を具備する血液浄化器、及び当該血液浄化器の製造方法 - Google Patents

血液処理用中空糸膜、当該血液処理用中空糸膜を具備する血液浄化器、及び当該血液浄化器の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温保管等の過酷環境下における抗酸化能が保持でき、かつ脂溶性ビタミンの有無による性能変化が少ない血液処理用中空糸膜を得る。
【解決手段】下記A〜Dを含む、血液処理用中空糸膜であって、表面に脂溶性ビタミンを膜面積換算で10mg/m2以上300mg/m2以下の範囲で含有し、前記血液処理用中空糸膜表面の脂溶性ビタミンの含有量が、血液処理用中空糸膜全体の脂溶性ビタミン含有量の50質量%以上である、血液処理用中空糸膜。
A:ポリエーテルスルホン系樹脂
B:親水性高分子
C:脂溶性ビタミン
D:炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール
【選択図】なし

Description

本発明は、血液処理用中空糸膜、特に、ポリエーテルスルホン系血液処理用中空糸膜、当該血液処理用中空糸膜を具備する血液浄化器、及び当該血液浄化器の製造方法に関する。
従来から、腎不全治療等における血液浄化療法では、血液中の尿毒素、老廃物を除去する目的で、セルロース、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル等の高分子を用いた血液処理用中空糸膜を分離材として具備する血液透析器、血液濾過器あるいは血液透析濾過器等の各種中空糸膜型の血液浄化器が広く使用されている。
これら中空糸膜型の血液浄化器は、体外循環血液量の低減、血中の尿毒物質除去効率の高さ、さらにモジュール生産時の高生産性等において優れている。これらは、日々改良されているが、特に長期的な血液適合性に影響する酸化ストレスを軽減する脂溶性ビタミンを固定化した中空糸膜を具備する血液浄化器が注目されている。
血液透析を例にとって説明すると、長期透析患者においては、透析アミロイドーシス、動脈硬化性疾患、悪性腫瘍、貧血等の症状がみられ、その原因の一つとして酸化ストレスの亢進が挙げられている。
前記酸化ストレスとは、「生体内の酸化反応と、抗酸化反応とのバランスが崩れ、生体内の酸化反応が優位となっている状態」を意味する。
透析患者では、血液と透析膜の接触により活性化された白血球によるフリーラジカルの生成や、単球・マクロファージから炎症性サイトカインの誘導がある一方、血液中や赤血球膜に存在する抗酸化性物質の一つであるビタミンEの濃度低下が起きていることが分かっている。すなわち、透析患者は強い酸化ストレスを受けている状態にあり、これを抑制することにより、患者のQOL(Quality of Life)や予後を改善する可能性が高いことが指摘されている。
透析患者が受ける酸化ストレスを軽減する方法に関しては、従来種々の技術が提案されている。
その一つとして、抗酸化能を有する血液透析膜(血液透析器)を用いた血液透析方法が提案され、数多くの臨床例が報告されている。
前記血液透析膜の主たる素材としては、樹脂としての汎用性、耐熱・耐放射線特性、生体適合性等の理由から、近年ではポリスルホン系高分子等の疎水性合成高分子が主流となっている。
一方において、血液透析膜の血液接触面の疎水性が強すぎると血液凝固が起こるため、通常は親水性高分子とのポリマーブレンドや親水性高分子による表面改質により形成された血液透析膜が使用されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。さらに、このような血液透析膜の内表面や膜全体を親水化した疎水性高分子膜に脂溶性ビタミンを固定することにより高血液適合性と抗酸化性とを兼ね備える中空糸膜が提案されている(例えば、特許文献3〜5参照。)。
ところで、近年、血液浄化療法は全世界に広まりつつあり、現在の主要な使用現場である日本や欧米諸国のみならず、中国、インド、ロシア、中東諸国、中南米諸国、東南アジア等々、様々な地域で使用されるようになりつつある。このような多種多様な国々で使用される血液浄化器は、医療機器としての管理状態も様々であり、現在、一般的な保管形態として認識されている常温常湿環境下で3年間の保管安定性が保証されるだけでは不十分である。例えば、血液浄化器が収容された貨物コンテナがコンテナヤードで直射日光に当たると内部温度は60℃ないしそれ以上に上昇するし、あるいはアメリカ等の広い国土での長期間のトラック輸送や熱帯(赤道)を航行する船舶輸送等により、常温以上の高温環境下に長時間、晒される可能性がある。
上述したような、脂溶性ビタミンを固定化した中空糸膜がそのような過酷環境下に晒されると、種々の特性の劣化、特に抗酸化性能の劣化を生じるおそれがある。
上述したような脂溶性ビタミンを固定化した中空糸膜の製造方法としては、中空糸の紡糸時に紡糸原液に脂溶性ビタミンを添加して、中空糸膜全体に脂溶性ビタミンを含有させる方法、中空内液に脂溶性ビタミン及び界面活性剤を添加して、中空糸膜内表面に脂溶性ビタミンを含有させる方法(例えば、特許文献2、6参照。)、中空糸膜型血液浄化器の組み立て後に、脂溶性ビタミン及び脂溶性ビタミンの溶媒からなる脂溶性ビタミン溶液を、中空糸膜の中空部に流入することにより、脂溶性ビタミンを中空糸膜の内表面に付着させる方法(コート法)(例えば、特許文献7参照。)等、様々な方法が提案されている。中でも前記コート法は、既存の設備や製品ラインナップを利用して様々な透過性能を有する、脂溶性ビタミンを固定化した中空糸膜生産を実現できるという点で優れている。
特開平6−238139号公報 国際公開第98/52683号 特開平9−66225号公報 特開平10−244000号公報 特開平11−347117号公報 特許第4038583号明細書 特開2006−296931号公報
しかしながら、上記コート法による中空糸膜の製造方法においては、ベース中空糸膜に脂溶性ビタミンを固定化する過程で大きな性能低下(例えば透過性能の低下)が生じ、かつその性能低下割合の変動が大きいという問題を有している。
このために均質な透過性能を有する製品を得るために、検査工程で多数の性能規格逸脱品を製品ロスとして排除する必要があり、工業生産上の収率(生産性)が低くなってしまうという問題がある。最終製品の性能のばらつきを抑えるためには脂溶性ビタミンの固定化過程にて生じる性能低下を抑えることが有効であるが、その手段は未だ知られていない。
そこで本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、特に高温保管等の過酷環境下における抗酸化能を保持しつつ、脂溶性ビタミンの固定化による性能変化が少なく、工業生産時における製品の品質管理が容易な血液処理用中空糸膜、当該血液処理用中空糸膜を具備する血液浄化器、およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、疎水性高分子、親水性高分子、及び脂溶性ビタミンを含有する血液処理用中空糸型膜において、疎水性高分子としてポリエーテルスルホン系樹脂を使用し、かつ炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールを更に含有させることにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
下記A〜Dを含む、血液処理用中空糸膜であって、
表面に脂溶性ビタミンを膜面積換算で10mg/m2以上300mg/m2以下の範囲で含有し、
前記血液処理用中空糸膜表面の脂溶性ビタミンの含有量が、血液処理用中空糸膜全体の脂溶性ビタミン含有量の50質量%以上である、血液処理用中空糸膜。
A:ポリエーテルスルホン系樹脂、
B:親水性高分子
C:脂溶性ビタミン
D:炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール
〔2〕
血液処理用中空糸膜1g中に含まれる前記D:炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールの存在量が2〜3000μgである、前記〔1〕に記載の血液処理用中空糸膜。
〔3〕
前記血液処理用中空糸膜の内表面に存在する親水性高分子の質量が、前記ポリエーテルスルホン系樹脂と前記親水性高分子との合計質量に対して25〜34質量%である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の血液処理用中空糸膜。
〔4〕
前記脂溶性ビタミンがビタミンEである、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の血液処理用中空糸膜。
〔5〕
前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の血液処理用中空糸膜と、
当該血液処理用中空糸膜を内部に収納する筒状容器と、
を、具備する血液浄化器。
〔6〕
下記A〜Dから構成される血液処理用中空糸膜を含む血液浄化器の製造方法であって、
A:ポリエーテルスルホン系樹脂、
B:親水性高分子、
C:脂溶性ビタミン
D:炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール、
前記A、Bを含む血液処理用中空糸膜を、筒状容器に収納して血液浄化器を組み立てる工程と、
前記血液処理用中空糸膜の内側に、前記C:脂溶性ビタミンを含有する有機溶剤溶液を通液し、その後、当該有機溶剤を除去して前記C:脂溶性ビタミンを固定化する工程と、
前記血液処理用中空糸膜に、前記D:炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールを含有させる工程と、
を、有する、
血液浄化器の製造方法。
〔7〕
前記〔6〕に記載の製造方法によって製造された血液浄化器。
本発明によれば、高温保管等の過酷環境下における抗酸化能を保持され、かつ脂溶性ビタミンの有無による性能変化が少ない血液処理用中空糸膜、及び当該血液処理用中空糸膜を具備する血液浄化器が得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う)について、詳細に説明する。本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔血液処理用中空糸膜〕
本実施形態の血液処理用中空糸型膜(以下、単に中空糸膜と記載する場合がある。)は、
下記A〜Dを含み、
表面に脂溶性ビタミンを膜面積換算で10mg/m2以上300mg/m2以下の範囲で含有し、
前記血液処理用中空糸質膜表面の脂溶性ビタミンの含有量が、血液処理用中空糸膜全体の脂溶性ビタミン含有量の50質量%以上である、血液処理用中空糸膜である。
A:ポリエーテルスルホン系樹脂
B:親水性高分子
C:脂溶性ビタミン
D:炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール
本実施形態の血液処理用中空糸膜は、血液透析器、血液濾過透析器、血液濾過器、持続式血液濾過(透析)器、血漿分離器、血漿成分分離器、腹水濾過器、腹水濃縮器、人工肺等に用いられる中空糸膜であり、夫々の用途に適した孔径を持つ。
患者が受ける酸化ストレスは、体外循環治療の繰り返しや長期化によっても累積されることを考慮すると、高頻度かつ長期間にわたって実施される血液透析又は血液濾過透析において、本実施形態の血液処理用中空糸膜を具備する血液浄化器は、好適である。
なお、以下の説明は全て、血液透析器のように中空糸膜の内腔部を血液が流れる場合を想定して記載するが、本実施形態は以下に記載に限定されるものではなく、中空糸膜の内腔部に血液が流れない場合、すなわち中空糸膜の外側を血液が流れる場合は、中空糸膜の内外を反対に読み替えるものとする。
(A:ポリエーテルスルホン系樹脂)
本実施形態の中空糸膜においては、当該中空糸膜を形成するための疎水性高分子として、ポリエーテルスルホン系樹脂(以下、PESと記載する場合がある。)を使用する。
PESとしては、以下の一般式(1)に示すポリマーが挙げられる。
前記一般式(1)に示すPESとしては、特に限定されるものではないが、例えば、スミカエクセルPES(住友化学社製、製品名)、ウルトラゾーン(BASF社製、製品名)等が挙げられる。これは、広く市販されており、入手も容易であり好ましい。
また、PESは、取扱性や、入手容易であるという観点から、1(W/V)%のDMF(ジメチルホルムアミド)溶液で測定した還元粘度が、0.30〜0.60の範囲であることが好ましく、0.36〜0.50の範囲であることがより好ましい。
なお、上記式(1)中、nは、重合度であり任意の値でよい。
また、A:ポリエーテルスルホン系樹脂は、一般式(1)に示すポリマーに置換基等の化学修飾を施した誘導体及びそれらの混合物であってもよい。
なお、従来においては、中空糸膜を形成するための疎水性高分子として、下記一般式(2)に示すポリスルホン樹脂が用いられていた。
なお、下記式(2)中、nは、重合度である。
本発明者らは驚くべきことに、中空糸膜を形成するための疎水性高分子として、ビタミンE固定化中空糸膜用の材料に従来用いられてきた前記一般式(2)に示すポリスルホン樹脂ではなく、前記一般式(1)に示すPESを利用することで、過酷環境下での抗酸化能の保持率を向上させ、かつ脂溶性ビタミンを固定化する工程での性能低下を抑制できることを見出した。
その技術的な理由については、PESが有する、高い構造保持力が第一の理由であると推測される。
実際、ポリエーテルスルホンのガラス転移温度(Tg)は225℃程度であり、例えばポリスルホン(Tg;190℃)よりも高い値を示し、耐熱性が高い。これは、高分子主鎖のコンホメーションに注目し、自由度の高いアルキル基の有無(ポリエーテルスルホン:無、ポリスルホン:有)により説明できる。すなわち、ポリエーテルスルホンの方が高分子鎖の充填が密になっており、外部からの熱エネルギーにより引き起こされる構造保持力の低下に対抗する分子鎖間の結合性相互作用が強いためであると考えられる。
しかしながら、脂溶性ビタミンを固定化する工程での性能低下の抑制効果がTg付近だけではなく、室温付近での挙動にも及ぶことは従来知られておらず、本発明によって初めて見出された。
先ず、脂溶性ビタミンを固定化する工程での性能変化の抑制効果が、室温付近にも及ぶ第1の理由について以下に説明する。
本実施形態の中空糸膜は、PESと後述する親水性高分子、及び後述する脂溶性ビタミンを含むが、中空糸膜表面に固定化された脂溶性ビタミンは中空糸膜表面のみに留まらず、その一部は中空糸膜の基材内に入り込み、一種の可塑剤として働くと考えられる。この結果、中空糸膜の構造保持力が低下し、中空糸膜の表面の親水性高分子や脂溶性ビタミンの分布が変化しやすい状態に陥り、透過性能や抗酸化性能に影響を及ぼすおそれがある。そこで、高分子鎖の充填密度が高いポリエーテルスルホンを基材として使用することにより、脂溶性ビタミンの中空糸膜内への入り込みを抑制できると推定される。
その結果、Tgよりも低い温度領域であったとしても、外的要因に晒されたときに高い構造保持力を発揮し、選択透過性を左右する孔形態や実質的な孔径に影響を及ぼす表面親水性高分子の分布、更に中空糸膜内の脂溶性ビタミン分布等を維持させることができると考えられる。これにより、上記に示した効果を発揮すると推測される。
本発明者らが推測した、脂溶性ビタミンを固定化する工程での性能変化の抑制効果が、室温付近にも及ぶ第2の理由は、後述する第四成分である炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールから受ける影響の差異であると考えられる。詳細は以下に記載するが、PESでは当該第四成分が構造保持力低下の抑制に寄与するが、ポリスルホン系樹脂ではそのような効果が得られないためであると推定される。
(B:親水性高分子)
親水性高分子とは、水に可溶な高分子であり、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ハイドロキシプロピルセルロース(HPC)、デンプン、ハイドロキシエチルスターチ(HES)やそれらの共重合体、混合物等が挙げられる。
中でも、ポリビニルピロリドンとポリエチレングリコールは、中空糸膜の孔形成性が良好であるため好ましく、紡糸の安定性や、前記ポリエーテルスルホン系樹脂との親和性の観点から、ポリビニルピロリドンがより好ましい。
PVPは、重合度によって複数の種類が存在する。以下に限定されるものではないが、例えば、アイ・エス・ピー社より、「プラスドン」の商標名で、K−15、30、90等の分子量違いのものが存在するが、いずれも用いることができる。
本実施形態の中空糸膜は、A:ポリエーテルスルホン系樹脂と、B:親水性高分子とを含むが、それらの存在形態は特に限定されない。例えば、相溶性の高い成分同士がポリマーブレンドされたものや、A:ポリエーテルスルホン系樹脂からなる中空糸膜の基材に、B:親水性高分子をグラフトしたものでもよい。あるいは、ポリエーテルスルホン系樹脂成分と親水性高分子樹脂成分の共重合高分子を用いることもできる。
(C:脂溶性ビタミン)
脂溶性ビタミンとは、一般に水に溶けにくく、アルコールや油脂に溶けるビタミンを言う。脂溶性ビタミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、及びユビキノン等が挙げられる。これらの中では、過剰摂取をしても障害を誘発しないという観点から、ビタミンEが好適である。
ビタミンEとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、α−トコフェロール、α−酢酸トコフェロール、α−ニコチン酸トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール等が挙げられる。中でもα−トコフェロールは生体内抗酸化作用、生体膜安定化作用、血小板凝集抑制作用等の種々の生理作用を有するため好ましい。
<中空糸膜表面に存在する脂溶性ビタミン量>
本実施形態の中空糸膜表面に存在する前記C:脂溶性ビタミンの存在量は、中空糸膜の膜面積換算で、10mg/m2以上300mg/m2以下の範囲である。
中空糸膜の表面の脂溶性ビタミンの存在量は、以下の方法で測定することができる。
先ず、中空糸膜型の血液浄化器を分解し、中空糸膜を採取し、水洗した後、乾燥処理を施す。
続いて、乾燥後の中空糸膜を、例えば、0.2m2ガラス瓶に秤取し、界面活性剤の水溶液である1質量%のポリエチレングリコール−t−オクチルフェニルエーテル水溶液を80mL加え、室温で60分間、超音波振動を加えながら脂溶性ビタミンの抽出を行う。
定量操作は液体クロマトグラフ法により行い、脂溶性ビタミン標準溶液のピーク面積から得た検量線を用いて、抽出液の脂溶性ビタミン濃度を求める。
[液体クロマトグラフ法による定量方法の一例]:
高速液体クロマトグラフ装置(ポンプ:日本分光PU−1580、検出器:島津RID−6A、オートインジェクター:島津SIL−6B、データ処理:東ソーGPC−8020、カラムオーブン:GL Sciences556)に、カラム(Shodex Asahipak社製ODP−506E packed column for H PLC)を取り付け、カラム温度40℃ において、移動相である高速液体クロマトグラフィー用メタノールを、例えば流量1mL/minで通液し、紫外部の吸収ピークの面積から脂溶性ビタミン濃度を求める。この濃度から、抽出効率を100%として、中空糸膜に含有される表面の脂溶性ビタミンの重量(mg/m2)を求める。
本実施形態の中空糸膜は、表面に脂溶性ビタミンを中空糸膜の膜面積換算で10mg/m2以上300mg/m2以下の範囲で含有している。好ましくは50〜250mg/m2、より好ましくは100〜200mg/m2である。ここでいう中空糸膜の膜面積とは濾過や透析に関与する中空糸膜の実効総表面積のことであり、中空糸膜の平均内径、円周率、本数、及び有効長の積で示される。
脂溶性ビタミンの含有量が、中空糸膜の面積換算で10mg/m2以上であると、脂溶性ビタミンの被覆ムラを防止でき、優れた抗酸化能力を発揮できる。また、300mg/m2以下であると、中空糸膜内のポアが脂溶性ビタミンによって塞がることを抑制でき、実用上良好な液透過性を確保できる。
なお、中空糸膜を、高温等の過酷環境下に長期間保管することにより、脂溶性ビタミンは一部失活する。
本実施形態の中空糸膜の表面に存在する脂溶性ビタミン量すなわち中空糸膜表面における脂溶性ビタミンの存在量とは、過酷環境下に保管したことにより失活したものを含めた中空糸膜の表面の脂溶性ビタミン存在量である。
これに対し、後述する「抗酸化能力」とは、中空糸膜の表面の脂溶性ビタミン存在量のうち過酷環境化で保管したことにより失活していない脂溶性ビタミン存在量に相当する。
中空糸膜への脂溶性ビタミンの添加方法としては、製膜した中空糸膜や、中空糸膜型の血液浄化器の組み立て後に、脂溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの溶媒とからなる脂溶性ビタミン溶液を、中空糸膜の中空部に流入することにより、脂溶性ビタミンを中空糸膜内表面に付着させる方法が挙げられる。
(D:炭素数が4以下のケトン及び/又はアルコール)
本実施形態の中空糸膜は、前記A:ポリエーテルスルホン系樹脂、B:親水性高分子、C:脂溶性ビタミンを含み、さらに、D:炭素数が4以下のケトン及び/又はアルコールを含有する。
D:炭素数が4以下のケトン及び/又はアルコールを含有することにより、本実施形態の中空糸膜は、抗酸化能を保持性能において、より確実な効果が得られる。
前記D:炭素数が4以下のケトン、アルコールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、ブチルアルコールが挙げられ、アセトン、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましく用いられる。上記以外のたとえばエーテル系やテトラヒドロフラン等を使用すると、ポリエーテルスルホンが膨潤ないし溶解し構造が変化することで、性能が著しく低下する恐れがある。
従来においては、脂溶性ビタミンを添加する工程において、中空糸膜の性能低下が生じる場合があったが、当該性能低下は、脂溶性ビタミンと、中空糸膜の基材樹脂とが、低いながらも相溶性を有し、基材樹脂の構造保持力が低下するためである。
仮に中空糸膜の基材樹脂と、脂溶性ビタミンとに相溶性が全く無ければ、脂溶性ビタミンは、膜基材の表面に油層として付着するのみで膜基材ポリエーテルスルホン系樹脂に入り込むことは無い。
本発明者らは脂溶性ビタミンに炭素数が4以下のケトン及び/又はアルコールを添加することにより、脂溶性ビタミンとポリエーテルスルホン系樹脂との相溶性を低下させることに成功し、中空糸膜の基材であるポリエーテルスルホン系樹脂への入り込み、結果として構造保持力の低下を抑制した。
一方で構造の類似しているポリスルホンには主鎖にアルキル基を有するために炭素数が4以下のケトン及び/又はアルコールに対する親和性がポリエーテルスルホン系樹脂よりも高く、結果として相溶性低下の効果が得られない。
中空糸膜に炭素数が4以下のケトン及び/又はアルコールを含有させる方法については、後述する。
中空糸膜に含有される炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールの存在量は、特に限定されるものではないが、中空糸膜1gあたり、2〜3000μgであることが好ましく、より好ましくは10〜2000μg、さらに好ましくは25〜1500μgである。
2μg以上とすることにより、脂溶性ビタミンとポリエーテルスルホン系樹脂との相溶性を十分に低下させることができ、中空糸膜の構造保持力を確保でき、抗酸化性能の低下を防止できる。また、3000μg以下とすることにより、臨床施行時等において、脂溶性ビタミンの剥がれを防止でき、抗酸化性能の低下や性能変化を防止できる。
中空糸膜に含有される、炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール(D成分)の、中空糸膜1gあたりの含有量は、以下の方法により測定することができる。
[水で充填された血液浄化器の場合]
エアー回収によって中空糸膜型の血液浄化器内の充填液の回収した後、得られた充填液を混合し、ガスクロマトグラフ(GC)により炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールの濃度x(%)を算出する。
その後、血液浄化器を解体し、中空糸膜の束を例えば2セット取り出し、まず一方の中空糸膜の束の質量を測定する。この質量を(W1g)とする。その後、N−メチル−2−ピロリドンを加え、攪拌し、溶解した後、ガスクロマトグラフ(GC)により炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールの濃度y(%)を算出する。
また、取り出したもう一方の中空糸膜の束を真空乾燥機で恒量となるまで乾燥させ、乾燥後の質量を測定する。この質量を(W2g)とする。
水分を除いた中空糸膜内に含有される炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールの質量DHgを算出する。
水分を除いた中空糸の質量(W2g)、中空糸膜内に含まれる水分量;W1−W2(=W3)gより、充填液回収後の水分が含有された中空糸膜内の炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール量(DTg)、中空糸膜に含有される水分中に含まれる炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール量(DWg)、水分を除いた中空糸膜内に含有される炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール量(DHg)を、以下の式(3)〜(5)で算出する。
前記のようにして算出したDHをW2で割ることにより、中空糸膜1gあたりの炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールの量を算出する。
[ドライ血液浄化器の場合]
中空糸膜型血液浄化器の解体を行い、恒量となるまで真空乾燥を行う。その後、中空糸膜束を取り出す。この質量を精秤した(W4g)後、N−メチル−2−ピロリドンを加え、攪拌し、溶解した後、上記方法で炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール(D成分)の濃度z(%)を算出する。
続いて、W4とzより中空糸膜1gあたりのD成分の質量を算出する。
(中空糸膜の内表面に存在する親水性高分子の割合)
本実施形態の中空糸膜は、当該中空糸膜の内表面に存在する親水性高分子及びポリエーテルスルホン系樹脂(PES)の合計質量に対する親水性高分子の割合(以下、場合により「親水性高分子の存在率」と略して表記する。)が25質量%以上34質量%以下であることが好ましく、25〜32質量%であることがより好ましく、25〜30質量%であることがさらに好ましい。
ここで、「中空糸膜の内表面に存在する親水性高分子及びポリエーテルスルホン系樹脂(PES)の合計質量に対する親水性高分子の割合」とは、中空糸膜の内側の最表層部(すなわち、血液が中空糸膜と接触する表面)での、PESと親水性高分子の全質量に対する親水性高分子の質量の割合である。
前記中空糸膜の内表面に存在する親水性高分子及びPESの合計質量に対する親水性高分子の割合は、例えば、X線光量子スペクトル(X-rayphotoelectron spectrosopy : XPS)により測定することができる。すなわち、中空糸膜の内表面をXPSにより測定し、PESと親水性高分子にそれぞれ特有な原子のピーク強度から当該表面における各原子の数の比を求め、それに基づいて得られる両化合物の質量比率から上記の親水性高分子の存在率を算出することができる。
具体的には、親水性高分子としてポリビニルピロリドンを用いた場合には、中空糸膜の内表面での窒素原子数(ポリビニルピロリドン由来)と硫黄原子数(PES由来)とから求められる。
例えば、PESが上記一般式(1)で表わされる繰り返し単位からなるときには、下記(6)式により、中空糸膜の内表面におけるポリビニルピロリドンの存在率A(ポリビニルピロリドン存在率)を求めることができる。
ここで、下記式(6)中、111はポリビニルピロリドンの繰り返し単位の式量であり、232はPESの繰り返し単位の式量である。
上述したように、親水性高分子の存在率は、25質量%以上34質量%以下であることが好ましい。
親水性高分子の存在率が25質量%以上であると、十分な血液適合性が確保でき、存在率が34質量%以下であると、高温保管時など、外的要因に対する中空糸膜の構造保持力の低下を防止でき、実用上十分な抗酸化能の保持や活性低下抑制が可能となる。
(中空糸膜の表面に存在する脂溶性ビタミンの割合)
本実施形態の中空糸膜においては、中空糸膜の表面に存在する脂溶性ビタミンの含有量が、中空糸膜全体の脂溶性ビタミンの含有量の50%以上であるものとし、55%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
中空糸膜全体の脂溶性ビタミン含有量の測定方法としては、まず、中空糸膜型血液浄化器を分解し、中空糸膜を採取し、水洗した後、乾燥処理を施す。続いて、乾燥後の中空糸膜にN−メチル−2−ピロリドンを加え、攪拌・溶解を行う。定量操作は液体クロマトグラフ法により行い、脂溶性ビタミン標準溶液のピーク面積から得た検量線を用いて、溶解液中の脂溶性ビタミン量を算出する。
中空糸膜表面に存在する脂溶性ビタミン含有量の測定方法としては、まず、中空糸膜型の血液浄化器を分解し、中空糸膜を採取し、水洗した後、乾燥処理を施す。続いて、乾燥後の中空糸膜を、例えば、0.2m2ガラス瓶に秤取し、界面活性剤の水溶液である1質量%のポリエチレングリコール−t−オクチルフェニルエーテル水溶液を80mL加え、室温で60分間、超音波振動を加えながら脂溶性ビタミンの抽出を行う。定量操作は、例えば下記液体クロマトグラフ法により行い、脂溶性ビタミン標準溶液のピーク面積から得た検量線を用いて、抽出液中の脂溶性ビタミンの濃度及び含有量を求めることができる。
[液体クロマトグラフ法による定量方法の一例]:
高速液体クロマトグラフ装置(ポンプ:日本分光PU−1580、検出器:島津RID−6A、オートインジェクター:島津SIL−6B、データ処理:東ソーGPC−8020、カラムオーブン:GL Sciences556)に、カラム(Shodex Asahipak社製ODP−506E packed column for H PLC)を取り付け、カラム温度40℃ において、移動相である高速液体クロマトグラフィー用メタノールを、例えば流量1mL/minで通液し、紫外部の吸収ピークの面積から脂溶性ビタミン濃度を求める。この濃度から、抽出効率を100%として、中空糸膜の表面に含有される脂溶性ビタミンの質量(mg/m2)を求めることができる。
中空糸膜の表面に存在する脂溶性ビタミンの割合は、以下の式(7)で算出することができる。
中空糸膜の表面に存在する脂溶性ビタミンの割合を、中空糸膜全体に存在する脂溶性ビタミンの50%以上とすることにより、特に高温保管時の抗酸化能を保持することができる。
高温保管時など過酷環境下においては、親水性高分子は酸化を受け、ラジカル化しやすい。中空糸膜基材に含まれる大量の親水性高分子がラジカル化した場合、ラジカル消去のために脂溶性ビタミンの抗酸化力が発揮され、結果として脂溶性ビタミンが大量に酸化してしまう。そこで、中空糸膜の内表面に集中的に脂溶性ビタミンを存在させることにより、酸化された親水性高分子と反応しない脂溶性ビタミンの量を多く確保でき、結果として抗酸化能が保持されると推察される。
〔中空糸膜の製造方法〕
本実施形態の中空糸膜は、公知の乾湿式製膜技術を利用することにより製造できる。
先ず、PESと親水性高分子とを、共通溶媒に溶解し、紡糸原液を調製する。
共通溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメチルアセトアミド(以下、DMACと称する。)、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、スルホラン、ジオキサン等の溶媒、あるいは上記溶媒を2種類以上混合した溶媒等が挙げられる。
なお、目的とする中空糸膜の孔径制御のため、紡糸原液には水等の添加物を加えてもよい。
紡糸原液中のPES濃度は、製膜可能で、かつ得られた膜が透過膜としての性能を有するような濃度の範囲であれば特に制限されず、5〜35質量%が好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。高い透水性能を達成するためには、PES濃度は低い方がよく、10〜25質量%がさらに好ましい。
紡糸原液中の親水性高分子のPESに対する濃度は、PES100質量%に対する親水性高分子の混和比率が27質量%以下であることが好ましく、より好ましくは18〜27質量%、さらに好ましくは20〜27質量%となるように調整する。
PESに対する親水性高分子の混和比率が27質量%を超えると親水性高分子の溶出量が増える傾向にあり、また18質量%未満では中空糸膜の表面の親水性高分子濃度が低下し、患者の血液中の白血球濃度が急激に低下するロイコペニア症状を引き起こす原因となるおそれがあるため、好ましくない。
中空糸膜を製造する工程においては、チューブインオリフィス型の紡糸口金を用い、紡糸口金のオリフィスから紡糸原液を、該紡糸原液を凝固させるための中空内液と同時に、チューブから空中に吐出させる。
中空内液としては、水、又は水を主体とした凝固液が使用でき、目的とする中空糸膜の透過性能に応じてその組成等を決定すればよい。一般的には、紡糸原液に使用した溶剤と水との混合溶液が好適に使用される。例えば、0〜65質量%のDMAC水溶液等が用いられる。さらに中空内液に親水性高分子を0〜2質量%となるように添加して中空糸膜内表面の親水性高分子の存在量を調整することもできる。
紡糸口金から中空内液とともに吐出された紡糸原液は、空走部を走行させ、紡糸口金下
部に設置した水を主体とする凝固浴中へ導入、浸漬して凝固を完了させ、洗浄工程等を経
て、湿潤状態の中空糸膜巻き取り機で巻き取り、中空糸膜の束を得、その後乾燥処理を行
う。あるいは、上記洗浄工程を経た後、乾燥機内にて乾燥を行い、中空糸膜の束を得てもよい。
上述した方法により、中空糸膜の内表面に存在する親水性高分子の質量を、前記PESと親水性高分子との合計質量に対して25質量%以上34質量%以下とすることにより、抗血栓性、生体適合性に優れ、蛋白、血小板等の膜面付着も軽微な、中空糸膜が得られる。
〔中空糸膜型の血液浄化器の製造方法〕
本実施形態の中空糸膜型の血液浄化器の好ましい製造方法としては、例えば、先ず、上述したように中空糸膜を製造し、当該中空糸膜を用いてモジュールを製造する方法が挙げられる。
具体的には、上述した中空糸膜の束を被処理液である所定の流体の出入口を有する筒状の容器に挿入し、両束端にポリウレタン等のポッティング剤を注入してポッティング層を形成して両端をシールし、その後、硬化後の余分なポッティング剤を切断除去して端面を開口させ、流体の出入口を持つヘッダーを取り付ける。
続いて、後述するように脂溶性ビタミンを固定化し、さらに後述するように滅菌処理を施す。脂溶性ビタミンの固定化は後述するように独立して行ってもよく、中空糸膜の製膜と同時に行ってもよい。さらにモジュール化する前の中空糸膜の段階で固定化することも可能である。
<中空糸膜への脂溶性ビタミン(C成分)の固定化工程>
中空糸膜へ脂溶性ビタミンを固定化する工程は、基本的に公知の方法を用いることができる。中でもコート法は、既存の設備や製品ラインナップを利用して様々な透過性能を有する脂溶性ビタミン固定化膜生産を実現できるという点で優れている。
中空糸膜への脂溶性ビタミンの固定化方法としては、具体的には、中空糸膜の製膜時に製膜原液に脂溶性ビタミンを添加して、中空糸膜全体に脂溶性ビタミンを含有させる方法、中空内液に脂溶性ビタミン及び界面活性剤を添加して、中空糸膜の内表面に脂溶性ビタミンを含有させる方法(例えば、特許第4038583号及び特許文献2)、中空糸膜型血液浄化器の組み立て後に、脂溶性ビタミン、脂溶性ビタミンの溶媒からなる脂溶性ビタミン溶液を、中空糸膜の中空部に流入することにより、脂溶性ビタミンを中空糸膜の内表面に付着させる方法(例えば特開2006−296931号公報)等、様々な方法により実施できるが、その他の方法も含め、いずれの方法を用いてもよい。
本実施形態の中空糸膜は、脂溶性ビタミンの含有量が、中空糸膜1m2あたり10mg〜300mgであるが、当該範囲に制御する方法にとしては、以下の方法が挙げられる。
具体的には、中空糸膜の製膜原液に脂溶性ビタミンを添加する場合は、添加濃度を0.4質量%〜2質量%、好ましくは0.8質量%〜1.5質量%に調整する方法が好ましい方法として挙げられる。
添加濃度を0.4質量%以上とすると、脂溶性ビタミンの表面露出量を十分に確保でき、良好な抗酸化能力が得られる。一方において、2質量%以下とすることにより、中空糸膜の強度を実用上十分に確保でき、中空糸膜の破損のリスクを防止することができる。
さらに形成された中空糸膜を乾燥状態で100℃〜180℃、好ましくは110〜180℃の範囲で熱処理を加えることにより、脂溶性ビタミンの含有量が同一の中空糸膜でも、より多くの脂溶性ビタミンを表面に偏在させることができる。
加熱温度を100℃以上とすることにより、脂溶性ビタミンの偏在効果を発揮でき、一方で180℃以下とすることにより、中空糸膜の軟化や透過性能の変化を防止することができる。
また、中空内液に添加する場合は脂溶性ビタミンの濃度を0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲で調整し、かつ界面活性剤を脂溶性ビタミンに対して1/10〜2倍の量で添加するのが好ましい。
組み立てられた中空糸膜型の血液浄化器に、脂溶性ビタミン溶液をコーティングする場合は50〜80質量%のプロパノール等のアルコール水溶液に脂溶性ビタミンを0.1〜2.0質量%溶解したコーティング液を通液して、所定時間、例えば30秒〜60分間、好ましくは1〜10分間液をなじませ、ついでエアーブローにより過剰なコーティング液を吹き飛ばしてから乾燥により溶媒を除去する方法が挙げられる。
<中空糸膜への炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール(D成分)の固定化工程>
炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールは、以下の方法を用いて中空糸膜に含有させることができる。
例えば、中空糸膜型の血液浄化器を組み立て、脂溶性ビタミン溶液を通液させた後、炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールの蒸気雰囲気下において乾燥させる方法が挙げられる。
<滅菌処理工程>
上述した中空糸膜型の血液浄化器に対して、滅菌処理を施すことが好ましい。
滅菌方法には放射線滅菌法、蒸気滅菌法等、いずれの方法であってもよい。
脂溶性ビタミンを多量に含む中空糸膜は、極度な加熱により中空糸破損を起こすリスクが生じるため、放射線滅菌法がより好ましい。
放射線滅菌法には、電子線、ガンマ線、エックス線等を用いることができるが、いずれを用いてもよい。
放射線の照射線量は、γ線や電子線の場合は通常5〜50kGyであるが、20〜40kGyの線量範囲で照射することが好ましい。
〔中空糸膜型の血液浄化器の抗酸化性能の過酷環境下での安定性〕
現在市販されている脂溶性ビタミンを固定した中空糸膜型の血液浄化器の抗酸化能力は、常温常湿における3年間の保管程度では変化(低下)は認められない。しかしながら、本発明の課題である、過酷環境下では酸化変性が進行し、結果として中空糸膜型の血液浄化器の抗酸化能力が低下する。
過酷環境下における保管による抗酸化能力の経時的安定性の評価は、例えば、60℃の環境下で6日間加熱処理した後、モジュールの抗酸化能力を測定することにより評価することができる。この方法で評価したところ、脂溶性ビタミンを固定した従来型の中空糸膜型の血液浄化器である試作品の抗酸化能力は、低下してしまうことが分かった。抗酸化能力が大きく低下すると、抗酸化能力により発揮される臨床効果も減ずるため、その低下を抑制することが重要である。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことに、PESと親水性高分子からなる中空糸膜に、特定量の脂溶性ビタミンが固定化され、さらに、炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールを含有する構成とした場合、過酷環境下での抗酸化能力の安定性が著しく高まることを見出した。
上述したように、本実施形態の中空糸膜における、炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールの存在量は、中空糸膜1gあたり、2〜3000μgであることが好ましく、10〜2000μgであることがより好ましい。炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールが脂溶性ビタミンを保護し、その抗酸化力を維持させる効果を有することは、未だかつて知られていない。また、中空糸膜原料として、PESを使用することで、上記の効果が得られることから、PESと炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールの相互作用や相乗効果がある可能性が考えられる。いずれにしても、後述する実施例にて例示するように、その効果は明らかである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
先ず、実施例に用いた各種測定方法について説明する。
<中空糸膜全体の脂溶性ビタミンの含有量>
中空糸膜型の血液浄化器を分解し、中空糸膜を採取し、水洗した後、乾燥処理を施した。
続いて、乾燥後の中空糸膜0.5gに、N−メチル−2−ピロリドンを50mL加え、攪拌・溶解を行った。
定量操作は液体クロマトグラフ法により行い、脂溶性ビタミン標準溶液のピーク面積から得た検量線を用いて、抽出液の脂溶性ビタミン量を求めた。
すなわち、高速液体クロマトグラフ装置(JASCO社製UV−2075plusintelligentUV/VISDe tecter、PU−2080plusintelligentHPLCpump、CO−2065plusintelligentcolumnoven、AS−2057plusintelligentsampler)に、カラム(イナートシルC8−3μm(4.6φ×250mm)+ODP−50 6E(4.6φ×250mm))を取り付け、カラム温度40℃において、移動相であるN−メチル−2−ピロリドンを流量0.5 mL/minで通液し、UV検出器で波長295nmの吸収ピークの面積から脂溶性ビタミン濃度を求めた。この濃度と溶解した中空糸膜の質量から中空糸膜全体に含有される脂溶性ビタミン濃度を求めた。
<中空糸膜の表面に存在する脂溶性ビタミンの含有量>
中空糸膜の表面に存在する脂溶性ビタミンの量を、以下のようにして測定した。
中空糸膜型の血液浄化器を分解して中空糸膜を採取し、水洗した後、40℃で真空乾燥した。
乾燥後の中空糸膜0.2m2をガラス瓶に秤取し、1質量%のトリトンX−100(キシダ化学、化学用)水溶液を80mL加え、室温で60分間、超音波振動を加えながら、脂溶性ビタミンの抽出を行った。
定量操作は、液体クロマトグラフ法により行い、脂溶性ビタミン標準溶液のピーク面積から得た検量線を用いて、抽出液の脂溶性ビタミン量を求めた。
すなわち、高速液体クロマトグラフ装置(ポンプ:日本分光PU−1580、検出器:島津RID−6A、オートインジェクター:島津SIL−6B、データ処理:東ソーGPC−8020、カラムオーブン:GL Sciences556)に、カラム(Shodex Asahipak社製 ODP−506E packed column for HPLC)を取り付け、カラム温度40℃において、移動相である高速液体クロマトグラフィー用メタノールを流量1mL/minで通液し、紫外部の吸収ピークの面積から脂溶性ビタミン濃度を求めた。
この濃度から、抽出効率を100%として、中空糸膜の表面に存在する脂溶性ビタミンの重量(mg/m2)を求めた。
中空糸膜の表面に存在する脂溶性ビタミンの質量とは、中空糸膜の表面から抽出された脂溶性ビタミンの質量である。
なお、滅菌処理により部分酸化した脂溶性ビタミンも中空糸膜の表面に存在する脂溶性ビタミン量に含めた。このため、部分酸化した脂溶性ビタミン量を定めるべく、予め検量線作成に用いる脂溶性ビタミンを空気中で50kGyの放射線に当て、部分酸化した脂溶性ビタミンの吸収ピークを予め定めておき、面積計算に用いるピーク群に含め、加算した。
中空糸膜の表面に含有されている脂溶性ビタミンの質量(mg/m2)を、下記表1に示した。
なお、表1中、中空糸膜の表面に含有されている脂溶性ビタミンの質量は、「VE含有量」と表記した。
<中空糸膜全体の脂溶性ビタミンの含有量に対する中空糸膜の表面の脂溶性ビタミンの含有量の比率>
上記のようにして測定される、中空糸膜全体の脂溶性ビタミンの含有量および中空糸膜の表面に存在する脂溶性ビタミンの含有量から、中空糸膜全体の脂溶性ビタミンの含有量に対する中空糸膜の表面の脂溶性ビタミンの含有量の比率を算出した。
なお、表1中、「内表面VE量(%)」と表記した。
<中空糸膜の内表面に存在する親水性高分子の割合>
中空糸膜の内表面に存在する親水性高分子の割合とは、中空糸膜の内表面に存在する、ポリエーテルスルホン系樹脂と、親水性高分子との和(質量)に対する、親水性高分子(質量)の割合である。
下記表1中においては、「内表面PVP量(%)」と表記した。
まず、中空糸型血液処理装置を解体して中空糸膜を取り出した。
中空糸膜を紐で縛って50本×20cm程度の束とし、蒸留水を張ったバットに一晩浸漬した。
なお、バットの蒸留水は常時新鮮な蒸留水を補給し、オーバーフローさせた。
中空糸膜の束を取り出し、5cmに切断し、−40℃のフリーザーに入れて凍結させた。このとき、0.3〜0.4torr程度の真空度にて一晩の間、凍結乾燥を行った。
乾燥した中空糸膜を縦方向に切り開いて内面を露出させ、両面テープ上に数本並べたものを試料とした。
中空糸膜の内表面に存在する親水性高分子の割合を下記のようにして求めた。
親水性高分子の測定は、X線光電子分光装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、ESCALAB250)を用い、以下の条件にて行った。
測定条件
励起源:mono.AlKα 15kV×10mA
取込領域
Survey scan:0〜1,100eV
Narrow scan:C1s、O1s、N1s、S2p
PassEnergy :100eV
得られたNarrow Scanスペクトルの面積強度から装置のライブラリ相対感度係数を用いて元素濃度を求め定量計算した。用いた相対感度係数は、C1s:0.296、O1s:0.711、S2p:0.666、N1s:0.477である。
ポリエーテルスルホン系樹脂として上記式(1)に示すポリエーテルスルホンを、親水性高分子としてポリビニルピロリドンを用いた中空糸膜の、中空糸膜の内表面に存在するポリビニルピロリドンの割合の算出方法について以下に説明する。
測定により得られたS2pはポリエーテルスルホンに由来し、N1sはポリビニルピロリドンに由来する。
ポリエーテルスルホンの繰り返し単位の式量は232であり、ポリビニルピロリドンの繰り返し単位の式量は111である。
S2pの元素濃度をS、N1sの元素濃度をNとしたときに、中空糸膜の内表面に存在するポリビニルピロリドンの割合を、以下の式(8)により求めた。
<60℃加熱による鉄還元活性保持率>
過酷な環境下で保存した際の、抗酸化能力の低下の防止効果について、以下の方法に評価した。
製造直後の中空糸膜型の血液浄化器、及び60℃恒温槽の中で6日間保管した中空糸膜型の血液浄化器のそれぞれの抗酸化力について、以下の方法により測定した。
また、測定した抗酸化力の値を用い、下記式(9)により、60℃加熱による鉄還元活性保持率を算出した。
先ず、塩化第二鉄6水和物を純水に溶解し、0.3w/v%(溶液100mL中の溶質の量(g))水溶液を調製した。
中空糸膜型の血液浄化器を分解して中空糸膜を採取し、水洗した後、40℃で真空乾燥した。
乾燥後の中空糸膜1gと塩化第二鉄水溶液20mLとをガラス瓶に秤取し、60mmHgで10分間脱泡した後、振とう下で30℃×4時間インキュベートした(中空糸膜表面に存在する脂溶性ビタミンが鉄(III)イオンを還元し、鉄(II)が生じる。)。
インキュベートした水溶液を2.6mL、エタノール0.7mL、別途調製した0.5w/v%の2,2'−ビピリジルエタノール水溶液0.7mLを混合し、振とう下で30℃×30分間インキュベートした(鉄(II)とビピリジルとが錯体を形成し、呈色する)。
分光計を用いて、呈色した液の520nmにおける吸光度を測定した。
中空糸膜の代わりに、濃度既知の脂溶性ビタミンエタノール溶液を用いて、同様のインキュベーション、呈色反応、吸光度の測定を行って、検量線を作成し、中空糸膜1gが発現する抗酸化力を、脂溶性ビタミンの質量相当値として求めた(小数点以下第一位を四捨五入した)。
<脂溶性ビタミン含有前後における透水性能低下率>
脂溶性ビタミンを中空糸膜に固定化する前と後における、血液浄化器の透水性能を測定、し、前後における透水性能の低下率を評価した。
中空糸膜型の血液浄化器の透水量を以下の方法により測定した。
一定圧力(200mmHg)、温度(37℃)条件下において、血液浄化器内を純水で全濾過させ、濾過に要する時間を測定した。
上記結果より、透水性能(UFR(mL/mmHg/hr/m2))を算出した。
脂溶性ビタミン固定化前後における中空糸膜型の血液浄化器の透水性能を、上記方法でそれぞれ測定し、以下の式(10)より性能低下率の算出を行った。
<脂溶性ビタミン有無による性能バラつき比較>
前記<性能測定>の項目にて測定した透水性能のバラつきを、脂溶性ビタミンの固定化前後で比較した。
具体的には、測定値から標準偏差σを算出し、それを元にσ(脂溶性ビタミン固定化後)/σ(脂溶性ビタミン固定化前)を算出した。
なお、表1中においては、「σ(VEあり)/σ(VEなし)」と表記した。
<炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランの含有量測定>
中空糸膜型の血液浄化器内の、炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール(以下、D成分と記載)、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランの、中空糸膜1gあたりの含有量を、以下の方法により測定した。
[水で充填された血液浄化器の場合]
まずエアー回収にて中空糸膜型の血液浄化器内の充填液の回収を行った。
エアー回収は、回転数20rpmに設定したチューブポンプ(ポンプチューブ内径8mm)を用いて、動脈側ポートから静脈側ポートに5分間エアーを導入し、充填液を回収した。
その後、動脈側ポートから透析液下側ポートに5分間エアーを導入し、充填液を回収した。
得られた充填液を混合し、ガスクロマトグラフ(GC)によりD成分、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランの定量を行った。
該当するD成分、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのピーク面積から得た検量線を用いて、回収液中のD成分、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランの濃度x(%)を求めた。
具体的には、ガスクロマトグラフ(島津製作所製 GC-2014/GC14B)にオートインジェクター(AOC-20i / AOC-17)を接続し、FID検出器(水素炎イオン化型検出器)により得られた吸収ピークから算出した。
その後、中空糸型血液浄化器の解体を行い、約0.25gの中空糸膜の束を2セット取り出し、まず一方の中空糸膜の束の質量を測定した。この質量を(W1g)とした。
その後、N−メチル−2−ピロリドンを加え、攪拌し、溶解した後、ガスクロマトグラフ(GC)により、炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランの濃度y(%)を算出した。
また、取り出したもう一方の中空糸膜の束を真空乾燥機で恒量となるまで乾燥させ、乾燥後の質量を測定した。この質量を(W2g)とした。
水分を除いた中空糸膜内に含有される炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランの質量DHgを算出した。
水分を除いた中空糸の質量(W2g)、中空糸膜内に含まれる水分量;W1−W2(=W3)gより、充填液回収後の水分が含有された中空糸膜内の炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランの量(DTg)、中空糸膜に含有される水分中に含まれる炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランの量(DWg)、水分を除いた中空糸膜内に含有される炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランの量(DHg)を、以下の式(11)〜(13)で算出した。
前記のようにして算出したDHをW2で割ることにより、中空糸膜1gあたりの炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランの量を算出した。
[ドライ血液浄化器の場合]
中空糸膜型血液浄化器の解体を行い、恒量となるまで真空乾燥を行った後、およそ0.25gの中空糸膜束を取り出した。質量を精秤した(W4g)後、N−メチル−2−ピロリドンを50mL加え、攪拌・溶解後、上記方法でD成分およびジエチルエーテル、テトラヒドロフランの濃度z(%)を算出する。
4とzより中空糸膜1gあたりのD成分およびジエチルエーテル、テトラヒドロフランの量を算出した。
〔実施例1〕
ポリエーテルスルホン(PES)(住友化学社製4800P)を17.5質量%、親水化剤としてポリビニルピロリドン(PVP)(BASF社製K90)を3.5質量%、非溶媒として水1.0質量%、トリエチレングリコール(TEG)(三菱化学社製)31.2質量%、溶媒としてジメチルアセトアミド(DMAc)(三井化学社製)46.8質量%を含む紡糸原液を、45℃に保った二重紡糸口金の外側スリットから、内液として水を二重紡糸口金の内側吐出孔から吐出し、エアーギャップ長さ600mm、紡速60m/分でエアーギャップを通過させた後、70℃の凝固浴(DMAc:TEG:水=6:4:90)中へ浸漬させた。
その後、純水45℃にて1分間、純水80℃にて90秒洗浄し、カセへ巻き取り、内径199.0μm、膜厚29.5μmの中空糸膜を得た。
得られた中空糸膜約10,000本を、ポリエチレン製パイプに挿入し、所定の長さに切断した後、40℃の温風乾燥器中で中空糸膜の含水率が1.5質量%になるまで乾燥させ、バンドルを得た。
このようにして得られた中空糸膜を用いて血液浄化器を組み立て、端部をウレタン樹脂で接着した後、樹脂を切り出し中空糸膜面積が1.5m2のモジュールとした。
次に、イソプロパノール(IPA)57質量%の水溶液に、ビタミンEを0.03質量%溶解した被覆溶液を、24℃温度下で血液浄化器の血液導入ノズルから中空糸膜の内腔部に52秒通液してビタミンEを接触させた。
その後、エアフラッシュして内腔部の残液を除去した後、IPA雰囲気の24℃の乾燥空気を30分間通気して溶媒を乾燥除去することにより、ビタミンEを被覆した。
湿潤化工程として、滅菌保護剤であるピロ亜硫酸ナトリウムを0.06質量%含み、さらにpH調整のための炭酸ナトリウムを0.03質量%含む水溶液を血液浄化器の血液側流路と濾液側流路に充填し、各ノズルを密栓した状態でγ線を25kGy照射滅菌することにより、本発明の血液浄化器を得た。
得られた血液浄化器内の中空糸膜の表面のビタミンE含有量は10.0mg/m2、中空糸膜全体に存在するビタミンEに対する内表面に存在するビタミンEの割合は70質量%、中空糸膜内表面に存在するPESとポリビニルピロリドン(PVP)との和に対するポリビニルピロリドン(PVP)の割合は34質量%、中空糸膜1g中の含有IPA量は2000μgであった。
〔実施例2〕
紡糸原液において、PVP(BASF社製K90)を3.0質量%、溶媒のジメチルアセトアミド(DMAc)(三井化学社製)47.3質量%とし、被覆溶液のビタミンE濃度を0.45質量%とした以外は実施例1と同様の方法により血液浄化器を得た。
得られた血液浄化器内の中空糸膜の表面のビタミンEの含有量は150mg/m2、中空糸膜全体に存在するビタミンEに対する内表面に存在するビタミンEの割合は70質量%、中空糸膜内表面に存在するPESとポリビニルピロリドン(PVP)との和に対するポリビニルピロリドン(PVP)の割合は25質量%、中空糸膜1g中の含有IPA量は950μgであった。
〔実施例3〕
紡糸原液において、ポリビニルピロリドン(PVP)(BASF社製K90)を3.3質量%、溶媒のジメチルアセトアミド(DMAc)(三井化学社製)を47.0質量%とした。
被覆溶液として、ビタミンEを0.45質量%溶解したイソプロパノール57質量%水溶液を用いた。当該被覆溶液を、中空糸膜の内腔部に20℃温度下で通液後、すぐにエアフラッシュを行い内腔部の残液を除去した後、イソプロパノール雰囲気の24℃の乾燥空気を45分間通気して溶媒を乾燥除去した。その他の条件は実施例1と同様の方法により血液浄化器を得た。
得られた血液浄化器内の中空糸膜の表面のビタミンEの含有量は150mg/m2、中空糸膜全体に存在するビタミンEに対する内表面に存在するビタミンEの割合は90質量%、中空糸膜内表面に存在するPESとポリビニルピロリドン(PVP)との和に対するポリビニルピロリドン(PVP)の割合は30質量%、中空糸膜1g中の含有IPA量は200μgであった。
〔実施例4〕
被覆溶液として、ビタミンEを0.90質量%溶解したイソプロパノール57質量%水溶液を用いた。当該被覆溶液を、中空糸膜の内腔部に40℃温度下で120秒間通液した後、すぐにエアフラッシュを行い内腔部の残液を除去した後、イソプロパノール雰囲気の40℃の乾燥空気を80分間通気して溶媒を乾燥除去した。その他の条件は、実施例1と同様の方法により血液浄化器を得た。
得られた血液浄化器内の中空糸膜の表面のビタミンEの含有量は300mg/m2、中空糸膜全体に存在するビタミンEに対する内表面に存在するビタミンEの割合は55質量%、中空糸膜内表面に存在するPESとポリビニルピロリドン(PVP)との和に対するポリビニルピロリドン(PVP)の割合は34質量%、中空糸膜1g中の含有IPA量は10μgであった。
〔実施例5〕
紡糸原液において、ポリビニルピロリドン(PVP)(BASF社製K90)の含有量を3.0質量%にした。被覆溶液において、イソプロパノールではなくエタノールを使用し、ビタミンEを0.45質量%溶解した。その他の条件は、実施例1と同様の方法により血液浄化器を得た。
得られた血液浄化器内の中空糸膜の表面のビタミンEの含有量は150mg/m2、中空糸膜全体に存在するビタミンEに対する内表面に存在するビタミンEの割合は70質量%、中空糸膜内表面に存在するPESとポリビニルピロリドン(PVP)との和に対するポリビニルピロリドン(PVP)の割合は25質量%、中空糸膜1g中の含有エタノール量は、2000μgであった。
〔実施例6〕
紡糸原液において、ポリビニルピロリドン(PVP)(BASF社製K90)の含有量を3.0質量%にした。被覆溶液において、イソプロパノールではなくアセトンを使用し、ビタミンEを0.45質量%溶解した。その他の条件は、実施例1と同様の方法により血液浄化器を得た。
得られた血液浄化器内の中空糸膜の表面のビタミンEの含有量は150mg/m2、中空糸膜全体に存在するビタミンEに対する内表面に存在するビタミンEの割合は70質量%、中空糸膜内表面に存在するPESとポリビニルピロリドン(PVP)との和に対するポリビニルピロリドン(PVP)の割合は25質量%、中空糸膜1g中の含有アセトン量は2000μgであった。
〔実施例7〕
紡糸原液において、ポリビニルピロリドン(PVP)(BASF社製K90)の含有量を3.7質量%とし、溶媒のジメチルアセトアミド(DMAc)(三井化学社製)の含有量を46.6質量%とした。被覆溶液においてビタミンEを0.45質量%溶解した。
被覆溶液を中空糸膜の内腔部に52秒間通液してビタミンEを接触させた。
その後、エアフラッシュして内腔部の残液を除去した後、イソプロパノール雰囲気の24℃の乾燥空気を45分間通気して溶媒を乾燥除去した。その他の条件は、実施例1と同様の方法により血液浄化器を得た。
得られた血液浄化器内の中空糸膜の表面のビタミンE含有量は150mg/m2、中空糸膜全体に存在するビタミンEに対する内表面に存在するビタミンEの割合は90質量%、中空糸膜内表面に存在するPESとポリビニルピロリドン(PVP)との和に対するポリビニルピロリドン(PVP)の割合は38質量%、中空糸膜1g中の含有IPA量は200μgであった。
〔実施例8〕
紡糸原液において、ポリビニルピロリドン(PVP)(BASF社製K90)の含有量を3.3質量%とし、溶媒のジメチルアセトアミド(DMAc)(三井化学社製)の含有量を47.0質量%とした。被覆溶液において、ビタミンEを0.45質量%溶解した。 被覆溶液を中空糸膜の内腔部に52秒間通液してビタミンEを接触させた。
その後、エアフラッシュして内腔部の残液を除去した後、イソプロパノール雰囲気の60℃ の乾燥空気を90分間通気して溶媒を乾燥除去した。その他の条件は、実施例1と同様の方法により血液浄化器を得た。
得られた血液浄化器内の中空糸膜の表面のビタミンE含有量は150mg/m2、中空糸膜全体に存在するビタミンEに対する内表面に存在するビタミンEの割合は90質量%、中空糸膜内表面に存在するPESとポリビニルピロリドン(PVP)との和に対するポリビニルピロリドン(PVP)の割合は30質量%、中空糸膜1g中の含有IPA量は1μgであった。
〔実施例9〕
紡糸原液において、ポリビニルピロリドン(PVP)(BASF社製K90)の含有量を3.3質量%、溶媒のジメチルアセトアミド(DMAc)(三井化学社製)の含有量を47.0質量%とした。被覆溶液において、ビタミンEを0.45質量%溶解した。
被覆溶液を中空糸膜の内腔部に52秒間通液してビタミンEを接触させた。
その後、エアフラッシュして内腔部の残液を除去した後、24℃ のイソプロパノール雰囲気の乾燥空気を15分間通気して溶媒を乾燥除去した。その他の条件は、実施例1と同様の方法により血液浄化器を得た。
得られた血液浄化器内の中空糸膜の表面のビタミンE含有量は150mg/m2、中空糸膜全体に存在するビタミンEに対する内表面に存在するビタミンEの割合は90質量%、 中空糸膜内表面に存在するPESとポリビニルピロリドン(PVP)との和に対するポリビニルピロリドン(PVP)の割合は30質量%、中空糸膜1g中の含有IPA量は3500μgであった。
〔実施例10〕
ビタミンEを被覆後、湿潤化を実施せずに照射滅菌する以外の条件は、実施例1と同様
の方法により血液浄化器を得た。
得られた血液浄化器内の中空糸膜の表面のビタミンE含有量は100mg/m2、中空糸膜全体に存在するビタミンEに対する内表面に存在するビタミンEの割合は70質量%、 中空糸膜内表面に存在するPESとポリビニルピロリドン(PVP)との和に対するポリビニルピロリドン(PVP)の割合は34質量%、中空糸膜1g中の含有IPA量は3000μgであった。
〔比較例1〕
紡糸原液において、ポリビニルピロリドン(PVP)(BASF社製K90)の含有量を3.3質量%にし、溶媒のジメチルアセトアミド(DMAc)(三井化学社製)の含有量を47.0質量%とした。被覆溶液においてビタミンEを1.5質量%溶解した。
被覆溶液を中空糸膜の内腔部に52秒間通液してビタミンEを接触させた。その後、エアフラッシュして内腔部の残液を除去した後、24℃の乾燥空気を45分間通気して溶媒を乾燥除去した。その他の条件は実施例1と同様の方法により血液浄化器を得た。
得られた血液浄化器内の中空糸膜の表面のビタミンE含有量は350mg/m2、中空糸膜全体に存在するビタミンEに対する内表面に存在するビタミンEの割合は90質量%、中空糸膜内表面に存在するPESとポリビニルピロリドン(PVP)との和に対するポリビニルピロリドン(PVP)の割合は30質量%、中空糸膜1g中の含有IPA量は200μgであった。
〔比較例2〕
紡糸原液において、ポリビニルピロリドン(PVP)(BASF社製K90)の含有量を3.3質量%にし、溶媒のジメチルアセトアミド(DMAc)(三井化学社製)の含有量を47.0質量%とした。被覆溶液において、ビタミンEを0.45質量%溶解した。
被覆溶液を中空糸膜の内腔部に52秒間、50℃の温度下で通液してビタミンEを接触させた。その後、エアフラッシュして内腔部の残液を除去した後、24℃の乾燥空気を45分間通気して溶媒を乾燥除去した。その他の条件は実施例1と同様の方法により血液浄化器を得た。
得られた血液浄化器内の中空糸膜の表面のビタミンE含有量は150mg/m2、中空糸膜全体に存在するビタミンEに対する内表面に存在するビタミンEの割合は40質量%、中空糸膜内表面に存在するPESとポリビニルピロリドン(PVP)との和に対するポリビニルピロリドン(PVP)の割合は30質量%、中空糸膜1g中の含有IPA量は200μgであった。
〔比較例3〕
紡糸原液において、ポリビニルピロリドン(PVP)(BASF社製K90)の含有量を3.3質量%、溶媒のジメチルアセトアミド(DMAc)(三井化学社製)の含有量を47.0質量%とした。被覆溶液において、イソプロパノールではなくジエチルエーテルを使用し、ビタミンEを0.45質量%溶解した。
被覆溶液を中空糸膜の内腔部に52秒間通液してビタミンEを接触させた。
その後、エアフラッシュして内腔部の残液を除去した後、24℃ のジエチルエーテル雰囲気の乾燥空気を30分間通気して溶媒を乾燥除去した。その他の条件は、実施例1と同様の方法により血液浄化器を得た。
得られた血液浄化器内の中空糸膜の表面のビタミンE含有量は150mg/m2、中空糸膜全体に存在するビタミンEに対する内表面に存在するビタミンEの割合は90質量%、中空糸膜内表面に存在するPESとポリビニルピロリドン(PVP)との和に対するポリビニルピロリドン(PVP)の割合は30質量%、中空糸膜1g中の含有ジエチルエーテル量は2000μgであった。
〔比較例4〕
紡糸原液において、ポリビニルピロリドン(PVP)(BASF社製K90)の含有量を3.3質量%、溶媒のジメチルアセトアミド(DMAc)(三井化学社製)の含有量を47.0質量%とした。被覆溶液において、イソプロパノールではなくテトラヒドロフランを使用し、ビタミンEを0.45質量溶解した。
被覆溶液を中空糸膜の内腔部に52秒間通液してビタミンEを接触させた。
その後、エアフラッシュして内腔部の残液を除去した後、24℃ のテトラヒドロフラン雰囲気の乾燥空気を30分間通気して溶媒を乾燥除去した。その他の条件は、実施例1と同様の方法により血液浄化器を得た。
得られた血液浄化器内の中空糸膜の表面のビタミンE含有量は150mg/m2、中空糸膜全体に存在するビタミンEに対する内表面に存在するビタミンEの割合は90質量%、中空糸膜内表面に存在するPESとポリビニルピロリドン(PVP)との和に対するポリビニルピロリドン(PVP)の割合は30質量%、中空糸膜1g中の含有テトラヒドロフラン量は2000μgであった。
〔比較例5〕
紡糸原液において、ポリビニルピロリドン(PVP)(BASF社製K90)の含有量を3.3質量%、溶媒のジメチルアセトアミド(DMAc)(三井化学社製)の含有量を47.0質量%とした。被覆溶液において、イソプロパノールを使用し、ビタミンEを0.45質量溶解した。
被覆溶液を中空糸膜の内腔部に10秒間通液してビタミンEを接触させた。
その後、エアフラッシュして内腔部の残液を除去した後、24℃ の乾燥空気を480分間通気して溶媒を乾燥除去した。その他の条件は、実施例1と同様の方法により血液浄化器を得た。
得られた血液浄化器内の中空糸膜の表面のビタミンE含有量は150mg/m2、中空糸膜全体に存在するビタミンEに対する内表面に存在するビタミンEの割合は90質量%、中空糸膜内表面に存在するPESとポリビニルピロリドン(PVP)との和に対するポリビニルピロリドン(PVP)の割合は30質量%、中空糸膜1g中の含有量IPA量は検出限界以下であった。
〔比較例6〕
ポリエーテルスルホン(PES)ではなく、ポリスルホン(PS)(ソルベイ・アドバンスド・ポリマーズ社製、P-1700)を用いた。その他の条件は、実施例3と同様の方法により血液浄化器を得た。
得られた血液浄化器内の中空糸膜の表面のビタミンE含有量は150mg/m2、中空糸膜全体に存在するビタミンEに対する内表面に存在するビタミンEの割合は90%、中空糸膜内表面に存在するPESとポリビニルピロリドン(PVP)との和に対するポリビニルピロリドン(PVP)の割合は30質量%、中空糸膜1g中の含有IPA量は200μgであった。
上述した実施例及び比較例の血液浄化器について、ビタミンEの固定化前後の透水性能の低下率とバラつき率(固定化後/固定化前)、及び、過酷な環境下で保存した後の鉄還元活性保持率を、表1に示す。
前記表1中、各項目の意味を以下に示す。
VE含有量:中空糸膜の表面における、ビタミンEの含有量
IPA:イソプロパノール
EtOH:エタノール
内表面PVP量:中空糸膜の内表面に存在する、PES(又はPS)とPVPとの和に対するPVPの質量割合
内表面VE量:中空糸膜全体に存在するビタミンEに対する、中空糸膜内表面に存在するビタミンEの質量割合
VE含有による透水性能低下率:ビタミンE添加前に対する添加後の、血液浄化器の透水性能低下率
60℃加熱による鉄還元活性保持率:60℃の環境下で保存後の、保存前に対する血液浄化器の抗酸化力の割合
σ(VEあり)/σ(VEなし):ビタミンEの固定化前後における、血液浄化器の透水性能の測定値の標準偏差σの比率
実施例3と比較例1を比較することにより、中空糸膜の表面のビタミンE含有量が、ビタミンE固定化後の血液浄化器の透水性能の低下やバラつきに影響を与えることが分かった。
また、実施例3と比較例2を比較することにより、中空糸膜全体に存在するビタミンEに対する中空糸膜表面に存在するビタミンEの割合が、鉄還元活性保持率に影響を及ぼすことが分かった。
また、実施例1、5、6と比較例3、4とを比較することにより、D成分として炭素数4以下のアルコールやケトンを選択することで、上記効果を発揮することが分かった。
実施例3と比較例5とを比較することにより、中空糸膜中にD成分を含有することが、鉄還元活性保持や性能低下やバラつき抑制に効果を有することが分かった。
また、実施例3と比較例6を比較することにより、中空糸膜の材料がポリスルホンの場合は、上記効果を発揮しないことから、材料はポリエーテルスルホン系樹脂である必要があることが分かった。
本発明の血液処理用中空糸膜は、高温保管など、過酷な環境の下で保管した血液透析器を用いても、酸化ストレスの低い適切な透析療法を患者に提供することができ、また、脂溶性ビタミンを含有する中空糸膜を工業生産する際に、均質な製品を生産することは課題であったが、本発明により、容易に均質な製品を生産可能となる。本発明の血液処理用中空糸膜は、血液透析器、血液濾過器あるいは血液透析濾過器などの血液浄化器として産業上の利用可能性がある。
透析患者が受ける酸化ストレスを軽減する方法に関しては、従来種々の技術が提案されている。
その一つとして、抗酸化能を有する血液透析膜(血液透析器)を用いた血液透析方法が提案され、数多くの臨床例が報告されている。
前記血液透析膜の主たる素材としては、樹脂としての汎用性、耐熱・耐放射線特性、生体適合性等の理由から、近年ではポリスルホン系高分子等の疎水性合成高分子が主流となっている。
一方において、血液透析膜の血液接触面の疎水性が強すぎると血液凝固が起こるため、通常は親水性高分子とのポリマーブレンドや親水性高分子による表面改質が施された血液透析膜が使用されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。さらに、このような血液透析膜の内表面や膜全体を親水化した疎水性高分子膜に脂溶性ビタミンを固定することにより高血液適合性と抗酸化性とを兼ね備える中空糸膜が提案されている(例えば、特許文献3〜5参照。)。
<中空糸膜表面に存在する脂溶性ビタミン量>
本実施形態の中空糸膜表面に存在する前記C:脂溶性ビタミンの存在量は、中空糸膜の膜面積換算で、10mg/m2以上300mg/m2以下の範囲である。
本発明でいう中空糸膜の膜面積とは濾過や透析に関与する中空糸膜の実効総表面積のことであり、中空糸膜の平均内径、円周率、本数、及び有効長の積で示される。
中空糸膜の表面の脂溶性ビタミンの存在量は、以下の方法で測定することができる。
先ず、中空糸膜型の血液浄化器を分解し、中空糸膜を採取し、水洗した後、乾燥処理を施す。
続いて、乾燥後の中空糸膜を、例えば、0.2m2ガラス瓶に秤取し、界面活性剤の水
溶液である1質量%のポリエチレングリコール−t−オクチルフェニルエーテル水溶液を
80mL加え、室温で60分間、超音波振動を加えながら脂溶性ビタミンの抽出を行う。
定量操作は液体クロマトグラフ法により行い、脂溶性ビタミン標準溶液のピーク面積か
ら得た検量線を用いて、抽出液の脂溶性ビタミン濃度を求める。
[液体クロマトグラフ法による定量方法の一例]:
高速液体クロマトグラフ装置(ポンプ:日本分光PU−1580、検出器:島津RID
−6A、オートインジェクター:島津SIL−6B、データ処理:東ソーGPC−802
0、カラムオーブン:GL Sciences556)に、カラム(Shodex Asa
hipak社製ODP−506E packed column for H PLC)を
取り付け、カラム温度40℃ において、移動相である高速液体クロマトグラフィー用メ
タノールを、例えば流量1mL/minで通液し、紫外部の吸収ピークの面積から脂溶性
ビタミン濃度を求める。この濃度から、抽出効率を100%として、中空糸膜に含有され
る表面の脂溶性ビタミンの重量(mg/m2)を求める。
本実施形態の中空糸膜は、表面に脂溶性ビタミンを中空糸膜の膜面積換算で10mg/
2以上300mg/m2以下の範囲で含有している。好ましくは50〜250mg/m2
、より好ましくは100〜200mg/m2である。
溶性ビタミンの含有量が、中空糸膜の面積換算で10mg/m2以上であると、脂溶
性ビタミンの被覆ムラを防止でき、優れた抗酸化能力を発揮できる。また、300mg/
2以下であると、中空糸膜内のポアが脂溶性ビタミンによって塞がることを抑制でき、
実用上良好な液透過性を確保できる。
(D:炭素数が4以下のケトン及び/又はアルコール)
本実施形態の中空糸膜は、前記A:ポリエーテルスルホン系樹脂、B:親水性高分子、
C:脂溶性ビタミンを含み、さらに、D:炭素数が4以下のケトン及び/又はアルコール
を含有する。
D:炭素数が4以下のケトン及び/又はアルコールを含有することにより、本実施形態
の中空糸膜は、高温保管等の過酷環境下における抗酸化能の保持と脂溶性ビタミンの有無による性能変化が少ない特徴において、より確実な効果が得られる。
前記D:炭素数が4以下のケトン、アルコールとしては、以下に限定されるものではな
いが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロピルアル
コール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、ブチルアルコール
が挙げられ、アセトン、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましく用いられる。上
記以外のたとえばエーテル系やテトラヒドロフラン等を使用すると、ポリエーテルスルホ
ンが膨潤ないし溶解し構造が変化することで、性能が著しく低下する恐れがある。
中空糸膜に含有される炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールの存在量は、特に限
定されるものではないが、中空糸膜1gあたり、2〜3000μgであることが好ましく
、より好ましくは10〜2000μg、さらに好ましくは25〜1500μgである。
2μg以上とすることにより、脂溶性ビタミンとポリエーテルスルホン系樹脂との相溶
性を十分に低下させることができ、中空糸膜の構造保持力を確保でき、抗酸化性能の低下
を防止できる。また、3000μg以下とすることにより、臨床施行時等において、脂溶
性ビタミンの剥がれを防止でき、抗酸化性能の低下や性能変化を防止できる。
中空糸膜に含有される、炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール(D成分)の、中
空糸膜1gあたりの含有量は、以下の方法により測定することができる。
[水で充填された血液浄化器の場合]
エアー回収によって中空糸膜型の血液浄化器内の充填液回収した後、得られた充填液を混合し、ガスクロマトグラフ(GC)により炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールの濃度x(%)を算出する。
その後、血液浄化器を解体し、同一質量の中空糸膜の束を例えば2セット取り出し、この質量を(W1g)とする。その後、N−メチル−2−ピロリドンを加え、攪拌し、溶解した後、ガスクロマトグラフ(GC)により炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールの濃度y(%)を算出する。
また、取り出したもう一方の中空糸膜の束を真空乾燥機で恒量となるまで乾燥させ、乾
燥後の質量を測定する。この質量を(W2g)とする。
水分を除いた中空糸膜内に含有される炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールの質
量DHgを算出する。
水分を除いた中空糸の質量(W2g)、中空糸膜内に含まれる水分量;W1−W2(=W3
)gより、充填液回収後の水分が含有された中空糸膜内の炭素数4以下のケトン及び/又
はアルコール量(DTg)、中空糸膜に含有される水分中に含まれる炭素数4以下のケト
ン及び/又はアルコール量(DWg)、水分を除いた中空糸膜内に含有される炭素数4以
下のケトン及び/又はアルコール量(DHg)を、以下の式(3)〜(5)で算出する。
<炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン
の含有量測定>
中空糸膜型の血液浄化器内の、炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール(以下、D
成分と記載)、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランの、中空糸膜1gあたりの含有量
を、以下の方法により測定した。
[水で充填された血液浄化器の場合]
まずエアー回収にて中空糸膜型の血液浄化器内の充填液の回収を行った。
エアー回収は、回転数20rpmに設定したチューブポンプ(ポンプチューブ内径8m
m)を用いて、動脈側ポートから静脈側ポートに5分間エアーを導入し、充填液を回収し
た。
その後、動脈側ポートから透析液下側ポートに5分間エアーを導入し、充填液を回収し
た。
得られた充填液を混合し、ガスクロマトグラフ(GC)によりD成分、ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフランの定量を行った。
該当するD成分、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのピーク面積から得た検量線
を用いて、回収液中のD成分、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランの濃度x(%)を
求めた。
具体的には、ガスクロマトグラフ(島津製作所製 GC-2014/GC14B)にオートインジェ
クター(AOC-20i / AOC-17)を接続し、FID検出器(水素炎イオン化型検出器)により得
られた吸収ピークから算出した。
その後、中空糸型血液浄化器の解体を行い、0.25gの中空糸膜の束を2セット取
り出し、この質量を(W1g)とした。
その後、N−メチル−2−ピロリドンを加え、攪拌し、溶解した後、ガスクロマトグラ
フ(GC)により、炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール、ジエチルエーテル、テ
トラヒドロフランの濃度y(%)を算出した。
また、取り出したもう一方の中空糸膜の束を真空乾燥機で恒量となるまで乾燥させ、乾
燥後の質量を測定した。この質量を(W2g)とした。
水分を除いた中空糸膜内に含有される炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール、ジ
エチルエーテル、テトラヒドロフランの質量DHgを算出した。
水分を除いた中空糸の質量(W2g)、中空糸膜内に含まれる水分量;W1−W2(=W3
)gより、充填液回収後の水分が含有された中空糸膜内の炭素数4以下のケトン及び/又
はアルコール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランの量(DTg)、中空糸膜に含有
される水分中に含まれる炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール、ジエチルエーテル
、テトラヒドロフランの量(DWg)、水分を除いた中空糸膜内に含有される炭素数4以
下のケトン及び/又はアルコール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランの量(DH
)を、以下の式(11)〜(13)で算出した。
〔実施例5〕
紡糸原液において、ポリビニルピロリドン(PVP)(BASF社製K90)の含有量を3.
0質量%にした。被覆溶液において、イソプロパノールではなくエタノールを使用し、ビ
タミンEを0.45質量%溶解した。また、乾燥はエタノール蒸気を混入したエタノール雰囲気の乾燥気体で行った。その他の条件は、実施例1と同様の方法により血液浄化器を得た。
得られた血液浄化器内の中空糸膜の表面のビタミンEの含有量は150mg/m2、中
空糸膜全体に存在するビタミンEに対する内表面に存在するビタミンEの割合は70質量
%、中空糸膜内表面に存在するPESとポリビニルピロリドン(PVP)との和に対する
ポリビニルピロリドン(PVP)の割合は25質量%、中空糸膜1g中の含有エタノール
量は、2000μgであった。
〔実施例6〕
紡糸原液において、ポリビニルピロリドン(PVP)(BASF社製K90)の含有量を3.
0質量%にした。被覆溶液において、イソプロパノールではなくアセトンを使用し、ビタ
ミンEを0.45質量%溶解した。また、乾燥はアセトン蒸気を混入したアセトン雰囲気の乾燥気体で行った。その他の条件は、実施例1と同様の方法により血液浄化器を得た。
得られた血液浄化器内の中空糸膜の表面のビタミンEの含有量は150mg/m2、中
空糸膜全体に存在するビタミンEに対する内表面に存在するビタミンEの割合は70質量
%、中空糸膜内表面に存在するPESとポリビニルピロリドン(PVP)との和に対する
ポリビニルピロリドン(PVP)の割合は25質量%、中空糸膜1g中の含有アセトン量
は2000μgであった。

Claims (7)

  1. 下記A〜Dを含む、血液処理用中空糸膜であって、
    表面に脂溶性ビタミンを膜面積換算で10mg/m2以上300mg/m2以下の範囲で含有し、
    前記血液処理用中空糸膜表面の脂溶性ビタミンの含有量が、血液処理用中空糸膜全体の脂溶性ビタミン含有量の50質量%以上である、血液処理用中空糸膜。
    A:ポリエーテルスルホン系樹脂
    B:親水性高分子
    C:脂溶性ビタミン
    D:炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール
  2. 血液処理用中空糸膜1g中に含まれる前記D:炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールの存在量が2〜3000μgである、請求項1に記載の血液処理用中空糸膜。
  3. 前記血液処理用中空糸膜の内表面に存在する親水性高分子の質量が、前記ポリエーテルスルホン系樹脂と前記親水性高分子との合計質量に対して25〜34質量%である、請求項1又は2に記載の血液処理用中空糸膜。
  4. 前記脂溶性ビタミンがビタミンEである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の血液処理用中空糸膜。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の血液処理用中空糸膜と、
    当該血液処理用中空糸膜を内部に収納する筒状容器と、
    を、具備する血液浄化器。
  6. 下記A〜Dから構成される血液処理用中空糸膜を含む血液浄化器の製造方法であって、
    A:ポリエーテルスルホン系樹脂、
    B:親水性高分子、
    C:脂溶性ビタミン
    D:炭素数4以下のケトン及び/又はアルコール、
    前記A、Bを含む血液処理用中空糸膜を、筒状容器に収納して血液浄化器を組み立てる工程と、
    前記血液処理用中空糸膜の内側に、前記C:脂溶性ビタミンを含有する有機溶剤溶液を通液し、その後、当該有機溶剤を除去して前記C:脂溶性ビタミンを固定化する工程と、
    前記血液処理用中空糸膜に、前記D:炭素数4以下のケトン及び/又はアルコールを含有させる工程と、
    を、有する、
    血液浄化器の製造方法。
  7. 請求項6に記載の製造方法によって製造された血液浄化器。
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