JP2010017712A - 中空糸膜および中空糸膜モジュール - Google Patents

中空糸膜および中空糸膜モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】
中空糸膜を収容した中空糸膜モジュールにおいて、軽量で取扱性に優れ、かつ、溶出物が少ない中空糸膜および中空糸膜モジュールならびにそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】
ポリビニルピロリドンを構成成分として含む中空糸膜を収容してなる不活性ガスが充填された中空糸膜モジュールにおいて、前記中空糸膜モジュール内の酸素濃度が0.1%以上、1.0%以下であり、初期洗浄液10ml中の溶出物に対し、溶出物の滴定のために用いられる2.0×10-3mol/l過マンガン酸カリウム水溶液の消費量が中空糸膜内表面1m2当たり5ml以下であり、かつ前記中空糸膜30本を有効長8〜12cmとして収容したモジュールにおける前記中空糸膜内側にウサギ全血を0.59ml/minで60分間灌流して行う血小板付着実験において内表面の血小板付着数が中空糸膜1×10μmあたり18.1個以下であることを特徴とする中空糸膜モジュール。
【選択図】なし

Description

本発明は、膜からの溶出物が少ない中空糸膜モジュールおよかかる中空糸膜を用いたモジュールおよびその製造方法に関するものである。
人工腎臓などによる血液処理で用いられる半透膜として、これまでに様々な素材が用いられてきた。初期のころは、天然素材セルロース、また、その誘導体であるセルロースジアセテート、セルローストリアセテートが使用されていたが、時代の変化とともに、合成高分子が登場し、ポリスルホン、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリアクリロニトリルなどが幅広く使用され、近年ではセルロースをポリエチレングリコール(PEG)などで処理し、血液適合性を改良した改質膜も使用されるようになってきた。慢性腎不全患者の血液処理法についてはアルブミンの漏れは最小限に抑えつつ、その他の低分子蛋白を積極的に除去する試みがなされている。膜の改良だけでなく、血液透析濾過法(HDF)や、プッシュ&プル法が透析効率の向上や低分子蛋白の積極除去のため開発された。現在、膜素材の中で透水性能が高いポリスルホンが、このような透析手法の進歩に合致したものとして、幅広く使用されるに至っている。ポリスルホンは熱可塑性の耐熱エンジニアリングプラスチックとして自動車、電気、医療用具の分野で幅広く用いられているが、ポリスルホンのみで作られた透析膜には解決すべき問題点がある。すなわち、分子間凝集力が強く、ポアサイズのコントロールが難しく、疎水性のために血液との親和性が弱く、血小板などの血液成分が付着し、残血の原因となることがあり、膜性能の低下が起こりがちである。さらに、エアーロック現象を起こすこともあり、血液処理用には使いやすいとは言えない。
従って、孔形成材として無機塩などを混入し、脱離することで孔を形作り、後で親水化処理する方法や、予め、親水性高分子を造孔剤として混入し、脱離させてポアを形成後、残った親水性成分で同時にポリマー表面を親水化し、これを半透膜、逆浸透膜として用いる方法が考案された。例示すると(1)金属塩を入れて製膜する方法、(2)親水性高分子を入れて製膜する方法、(3)多価アルコールを入れて製膜する方法などがすでに開示されている。しかし、特許文献1、2のようにポリエチレングリコール等の多価アルコールを入れて製膜を行う場合、洗浄が不十分なとき、膜に残存するポリエチレングリコール等の溶出によって、透析時に患者の目に異常が起こることもある。金属塩類の場合はポアサイズが大きすぎて透析膜には不適である。
特許文献3に、充填液を用いない中空糸膜モジュールの記載で、中空糸膜モジュール内を不活性ガス雰囲気とすることによる親水性高分子の溶出が少ない充填液を用いない中空糸膜モジュールが開示されているが、中空糸膜モジュール内を完全に不活性ガス雰囲気とすると生体適合性については低下する。
特開昭61−232860号公報 特開昭58−114702号公報 特開2001−170167号公報
血液透析膜に多く含まれる有機物は人体から見れば異物であり、長期透析による副作用、合併症が数多く報告されている。血液透析膜に含まれる有機物の溶出を抑えることは長期透析時の体内蓄積を防ぎ、副作用を防止する観点から重要な技術である。すでに水充填のγ線滅菌品では、高透水性能を有し、かつ、架橋されることにより親水性高分子の溶出が抑えられている膜が知られているが、水充填のため重く、取扱性に欠けるという問題があった。
本発明は、軽い・凍結しないなどの利点がある充填液を用いない中空糸膜モジュールにおいて、従来の充填液を用いない膜において施されているエチレンオキサイドガス(以下EOGと略す。)滅菌、高圧蒸気滅菌品では困難であるとされた、膜の親水性高分子だけでなく、ポッティング材の放射線に対する分解物などを含む、モジュール全体からの溶出物を抑えた中空糸膜および中空糸膜モジュールならびにそれらの製造方法を提供することを課題とするものである。
本発明は、上記目的を解決するために、下記の構成を有する。
(1)ポリビニルピロリドンを構成成分として含む中空糸膜を収容してなる不活性ガスが充填された中空糸膜モジュールにおいて、前記中空糸膜モジュール内の酸素濃度が0.1%以上、1.0%以下であり、初期洗浄液10ml中の溶出物に対し、溶出物の滴定のために用いられる2.0×10-3mol/l過マンガン酸カリウム水溶液の消費量が中空糸膜内表面1m2当たり5ml以下であり、かつ前記中空糸膜30本を有効長8〜12cmのとして収容したモジュールにおける前記中空糸膜内側にウサギ全血を0.59ml/minで60分間灌流して行う血小板付着実験において内表面の血小板付着数が中空糸膜1×10 μm あたり18.1個以下であることを特徴とする中空糸膜モジュール。
ポリビニルピロリドンを構成成分として含む中空糸膜であって、初期洗浄液10ml中の溶出物に対し、溶出物の滴定のために用いられる2.0×10-3mol/l過マンガン酸カリウム水溶液の消費量が中空糸膜内表面1m2当たり5ml以下であり、かつ前記中空糸膜30本を有効長8〜12cmとして収容したモジュールにおける前記中空糸膜30本の内側にウサギ全血を0.59ml/minで60分間灌流して行う血小板付着実験において内表面の血小板付着数が中空糸膜1×10 μm あたり18.1個以下であることを特徴とする中空糸膜。
本発明により、軽い・凍結しないなどの利点がある充填液を用いない中空糸膜モジュールであって、溶出物が少ない中空糸膜ならびに中空糸膜モジュールを提供しさらにそれらの製造方法を提供するものである
本発明にかかる中空糸膜モジュールは、モジュール内部に不活性ガスが充填されたものである。不活性ガス以外にその他の気体もしくは液体が混入することを妨げないが、放射線照射前におけるモジュール内酸素濃度が0.1%以上、3.6%以下であり、放射線照射後のモジュール内酸素濃度が0.1%以上1.0%以下のものである。
中空糸膜を構成する成分としては、各種の高分子が用いられ、疎水性高分子、親水性高分子のいずれも用いることができる。中でも疎水性高分子と親水性高分子の両方を同時に構成成分として用いたものが、ポアサイズのコントロールの容易性、生体適合性などの点で優れている。
中空糸膜モジュールを構成する疎水性高分子として、例えば、ポリスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニルエーテル、ポリフェニレンスルフィドなどほとんどのエンジニアリングプラスチックを用いることができるが、下記示性式で表されるポリスルホンが特に好ましい。ポリスルホンは下記基本骨格からなるが、ベンゼン環部分を修飾したものも用いることができる。
Figure 2010017712
親水性高分子としては、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが用いられ、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。工業的にも比較的入手しやすいポリビニルピロリドンが好ましい。
たとえば、以下のような方法で中空糸膜を製造することができる。製膜原液を芯液と同時に2重スリット管構造の口金から同時に吐出させることで、中空糸膜を製造できる。その後、所定の水洗、乾燥工程、クリンプ工程を経た後、巻き取られ、適当な長さにカットした後、ケースに挿入され、ポッティング材によって端部を封止し、モジュール化される。
本発明の軽くて凍結せずかつ取り扱いが容易で溶出物が抑えられた中空糸膜を得るためには、まず放射線照射の工程において水分が必要である。本発明の製造方法においては、中空糸膜が、中空糸膜自重に対して4%以上の水分を抱液していればよく、さらに、中空糸膜に水分を付与してから余剰な水分を除去する際に、温風乾燥あるいは真空乾燥などと言った特別な工程が必要でないという点から、100%以上が好ましい。一方、重量軽減の意味から、300%未満が好ましい。中空糸膜湿潤後に照射する放射線の例としては、α線、β線、中性子線、X線およびγ線などの種々の電離放射線が知られており、γ線が好ましい。中空糸膜湿潤後の放射線照射・滅菌では、大気存在下での放射線照射は励起した酸素ラジカルによって高分子の主鎖が切れ、分解が起こるため、CO2、N2、Ar、Heなどの不活性ガスで大気を置換し、放射線照射を行うと分解が抑制され、溶出物が抑えられる。しかしながら、中空糸膜モジュール内の大気を完全に不活性ガスで置換するのは困難である。また、生体適合性の面から見ると、中空糸膜モジュール内に酸素濃度が高い状態で放射線照射した中空糸膜モジュールの方が、血液を流した時、中空糸膜内表面に付着する血小板数が少なく、好ましい。溶出物を抑えつつ、生体適合性を上げるためには、放射線照射前の中空糸膜モジュール内の酸素濃度が0.1%以上、3.6%以下であることが好ましい。放射線照射後の中空糸膜モジュール内部の酸素濃度は、0.1%以上、1.0%以下となる。また、照射する放射線としてγ線を用いる場合、γ線吸収線量は10〜50KGy、好ましくは10〜30KGyである。
本発明にかかる初期洗浄液とは、中空糸膜モジュールからの溶出物量の測定時に、中空糸膜モジュール内に流速100ml/minで生理食塩水を流し、中空糸膜モジュール内満水後に最初の15秒間に流出した25mlの洗浄液からサンプリングされた10mlのことをいう。この初期洗浄液に含まれる溶出物量を調べるために、2.0×10-3mo/l過マンガン酸カリウム水溶液20ml、希塩酸1mlを加え3分間煮沸した後、室温まで冷却し、ヨウ化カリウム水溶液1mlを加え、よく攪拌後10分間放置し、1.0×10-2mol/lチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定を行う。透析モジュールを通さなかった生理食塩水の滴定に要したチオ硫酸ナトリウム水溶液量と、初期洗浄液の滴定時に要したチオ硫酸ナトリウム水溶液量との差を、溶出物により消費された過マンガン酸カリウム水溶液量(過マンガン酸カリウム水溶液の消費量)とした。
本発明の提供する中空糸膜および中空糸膜モジュールならびにそれらの製造方法の特色は、過マンガン酸カリウムによる溶出物量の測定、ジメチルアセトアミドによる不溶物の確認および血小板付着量の測定によって確認される。透析型人工腎臓承認基準における回路の溶出物試験は、溶出液10mlを用いて2.0x10-3mol/l過マンガン酸カリウム水溶液で滴定を実施することとなっており、滴定時の過マンガン酸カリウム水溶液の消費量が1ml以下となることが同基準により定められている。同基準は回路の溶出物試験であり、透析器の承認基準より厳しい基準であるため、中空糸膜モジュールが同基準をクリアすることは必要ではないが、500ml以上の生理食塩水での洗浄後(中空糸膜モジュールの通常の使用時と同じ条件)に該溶出物試験を実施すると、本発明に係る中空糸膜モジュールは、同基準をクリアすることができる。この中空糸膜モジュールを用いて同基準をクリアするためには、後述する過マンガン酸カリウムによる初期洗浄液中の溶出物量の測定において、中空糸膜モジュール内に生理食塩水を100ml/minの流速で流し、中空糸膜モジュール内満水後、最初の15秒間に流出する洗浄液25mlからサンプリングした10ml(初期洗浄液)に含まれる溶出物を用いた2.0×10-3mol/l過マンガン酸カリウム水溶液による滴定時における過マンガン酸カリウムの消費量が、洗浄液10mlに対し中空糸膜内表面1m2当たり5ml以下となることが好ましい。本発明の提供する中空糸膜モジュールは、初期洗浄液を用いた2.0×10-3mol/l過マンガン酸カリウム水溶液による溶出物量の測定における過マンガン酸カリウムの消費量を5ml以下にすることができた。ここで言う溶出物は膜構成成分、ポッティング材の分解物と推定できるが、本発明の方法ではモジュール全体の溶出物を減少させることができる。これらの方法で作成された中空糸膜は疎水性高分子と親水性高分子のネットワークによって、その尿毒物質の拡散、有用蛋白であるアルブミンの阻止などの血液処理膜としての性能を発揮し、溶出物が少ないという特徴を有する。
さらに、本発明の提供する中空糸膜および中空糸膜モジュールならびにそれらの製造方法の特色は、ジメチルアセトアミドによる不溶物の確認によって行いうる。本発明によって得られる中空糸膜および中空糸膜モジュールは、溶出物が少ないという特徴があり、その特徴は、ジメチルアセトアミドに不溶であることにより確認した。
さらに、本発明の特色である生体適合性の高さは、血小板付着実験によって明らかにされうる。血小板付着実験は、中空糸膜内に兎血を灌流し、さらに生理食塩水で洗浄後も中空糸膜内に付着している血小板をグルタルアルデヒドで固定後、走査型電子顕微鏡で観察し、付着している血小板数により確認した。その結果、本発明の提供する中空糸膜は、同実験によって、優れた生体適合性を持つことが示された。
以上の通り、本発明により得られた中空糸膜および中空糸膜モジュールは、製膜後、特定の範囲の酸素存在したで放射線照射するという製造工程を採用することにより溶出物が少ないという優れた効果を有する中空糸膜および中空糸膜モジュールとすることができると同時に、生体適合性の高い中空糸膜および中空糸膜モジュールとすることができる。また、ドライ状態で使用できるため、軽く、凍結の心配がなく、取り扱いが容易で高性能な中空糸膜および中空糸膜モジュールを提供することができ、透析コストの削減にも寄与できる。同時に人体から見れば異物である有機物の溶出を抑えることができ、医療用具の安全性を高めることができる。
本発明の中空糸膜および中空糸膜モジュールは人工腎臓、血漿分離膜、体外循環吸着用担体などの血液処理用途やエンドトキシン除去フィルターなどの水処理分野にも適用可能である。
次に実施例に基づき本発明を説明する。用いた測定法は以下の通りである。
(1)中空糸膜モジュール内酸素濃度測定
中空糸膜モジュール自体を窒素雰囲気下にいれ、中空糸膜モジュールの栓にガスタイトシリンジの針を刺し、中空糸膜モジュール内ガスを採取し、ガスクロマトグラフィーに直接注入し、分析した。
(2)透水性能の測定
中空糸膜両端部を封止したガラス管ミニモジュール(中空糸膜本数20本:有効長8〜12cm)の中空糸膜内側に水圧13.3kPaをかけ、外側へ流出してくる単位時間当たりの濾過量を測定した。
透水性能は下記の式で算出した。
透水性能(ml/hr/m2/kPa)=QW/T/A/P
ここでQW:濾過量(ml) T:流出時間(hr) P:圧力(kPa)
A:膜面積(m2)(中空糸膜内表面面積換算)
(3)溶出物量の測定
測定中空糸膜モジュールに血液側に初期洗浄液として生理食塩水(大塚製薬)を流量100ml/minで流し、モジュール内満水後、15秒間の洗浄液(25ml)をサンプリングした。また、洗浄開始後5分経過後の溶出物量を確認するため、洗浄開始5分後から15秒間(25ml)の洗浄液をサンプリングした。これらのサンプルから10mlを取り出し、2.0×10-3mol/l過マンガン酸カリウム水溶液20ml、希塩酸1mlを加え3分間煮沸した。室温まで冷却し、ヨウ化カリウム水溶液1mlを加え、よく撹拌後10分放置し、1.0x10-2mol/lチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定した。別途、透析モジュールを通さなかった水について、測定サンプルと同様な操作をした。透析モジュールを通さない水の滴定に要したチオ硫酸ナトリウム水溶液量と、サンプルの滴定に要したチオ硫酸ナトリウム水溶液量との差を、溶出物により消費された過マンガン酸カリウム水溶液量(過マンガン酸カリウム水溶液の消費量)とした。
(4)不溶物の確認
放射線照射後の中空糸膜を構成する成分の架橋による不溶化を確認するため、γ線照射後の中空糸膜を高温乾燥機を用い50℃で1日乾燥後、中空糸膜10本をジメチルアセトアミド1mlに溶解させ、1分程度経過後の中空糸膜の形態を目視により確認した。
(5)血小板付着実験
ガラス管ミニモジュール(中空糸膜本数30本:有効長8〜12cm)の中空糸膜内側に、ウサギの全血を0.59ml/minで60分間灌流した。その後、中空糸膜内側に生理食塩水10〜12mlを流し洗浄し、2.5〜4%のグルタルアルデヒド水溶液をミニモジュール内に充填した。このミニモジュールを1晩〜2日間冷蔵保存することで血小板を固定化した。この中空糸膜内表面を走査型電子顕微鏡で観察し、単位面積(1×103μm2)あたりの血小板付着数を計数した。
実施例1
ポリスルホン(アモコ社 Udel−P3500)16部、ポリビニルピロリドン(インターナショナルスペシャルプロダクツ社;以下ISP社と略す)K30 4部、ポリビニルピロリドン(ISP社K90)2部をジメチルアセトアミド77部、水1部を加熱溶解し、製膜原液とした。
この原液を温度50℃の紡糸口金部へ送り、外径0.35mm、内径0.25mmの2重スリット管から芯液としてジメチルアセトアミド63部、水37部からなる溶液を吐出させ、中空糸膜を形成させた後、温度30℃、露点39〜40℃で調湿し、10ミクロン以下のドライミストを加えた350mmのドライゾーン雰囲気を経て、ジメチルアセトアミド20重量%、水80重量%からなる温度40℃の凝固浴を通過させ、60〜75℃90秒の水洗工程、140℃の乾燥工程を2分通過させ、160℃のクリンプ工程を経て得られた中空糸膜を巻き取り束とした。この中空糸膜を1.6m2になるように、ケースに充填し、ポッティングし、端部を両面開口させて、透析モジュールとした。
モジュール化後、RO水を充填した後、98kPaの圧空で30秒間、充填水を押し出し含水率270%とした。
モジュールの透析液側、血液側それぞれに49kPaで15秒間、窒素を流し封入しモジュール内を窒素で置換した後、空気を導入することでモジュール内の酸素濃度を3.6%にした。この状態で、γ線照射(25KGy)を行った。γ線照射後のモジュール内酸素濃度は0.9%であった。
このγ線照射後の中空糸膜の透水性能は2504ml/hr/m2/kPaであった。また、γ線照射後の中空糸膜はジメチルアセトアミドに不溶であった。上記の溶出物の測定方法によると、このモジュールの初期洗浄液の過マンガン酸カリウム水溶液の消費量は中空糸膜内表面1m2当たり3.6mlであった。また、5分後の洗浄液の過マンガン酸カリウム水溶液の消費量は0.90mlであった。中空糸膜内表面の単位面積当たりの血小板付着数は、14.6個であった。
実施例2
ポリスルホン(アモコ社 Udel−P3500)4部、(アモコ社 Udel−P1700)12部、ポリビニルピロリドン(インターナショナルスペシャルプロダクツ社;以下ISP社と略す) K30 2部、ポリビニルピロリドン(ISP社K90)4部をジメチルアセトアミド77部、水1部を加熱溶解し、製膜原液とした。
この原液を温度50℃の紡糸口金部へ送り、外径0.35mm、内径0.25mmの2重スリット管から芯液としてジメチルアセトアミド65部、水35部からなる溶液を吐出させ、中空糸膜を形成させた後、温度30℃、露点28℃で調湿し、10ミクロン以下のドライミストを加えた350mmのドライゾーン雰囲気を経て、ジメチルアセトアミド20重量%、水80重量%からなる温度40℃の凝固浴を通過させ、85℃60秒の水洗工程、140℃の乾燥工程を2分通過させ、180℃のクリンプ工程を経て得られた中空糸膜を巻き取り束とした。この中空糸膜を1.3m2になるように、ケースに充填し、ポッティングし、端部を両面開口させて、透析モジュールとした。
モジュール化後、実施例1と同様にRO水を充填し、圧空により水を押しだした後、中空糸膜の水分を蒸発させ、含水率100%とした。このモジュール内を窒素に置換し、モジュール内の酸素濃度を1.2%にした後、γ線照射(25KGy)を行った。γ線照射後のモジュール内酸素濃度は0.3%であった。
このγ線照射後の中空糸膜の透水性能は3180ml/hr/m2/kPaであった。また、γ線照射後の中空糸膜はジメチルアセトアミドに不溶であった。上記の溶出物の測定方法によると、このモジュールの初期洗浄液の過マンガン酸カリウム水溶液の消費量は中空糸膜内表面1m2当たり0.90mlであった。
実施例3
実施例1と同様の条件で製膜された中空糸膜を用い、同様にモジュール化した。モジュール化後、実施例1と同様にRO水を充填し、圧空により水を押しだし、含水率を270%にした。このモジュール内を窒素に置換し、モジュール内の酸素濃度を0.2%にした。この状態でγ線照射(25KGy)した。
このγ線照射後の中空糸膜の透水性能は2812ml/hr/m2/kPaであった。また、γ線照射後の中空糸膜はジメチルアセトアミドに不溶であった。上記の溶出物の測定方法によると、このモジュールの初期洗浄液の過マンガン酸カリウム水溶液の消費量は中空糸膜内表面1m2当たり1.6mlであった。また、生理食塩水によるモジュール内洗浄開始5分後の洗浄液の過マンガン酸カリウム水溶液の消費量は0.80mlであった。中空糸膜内表面の単位面積当たりの血小板付着数は、18.1個であった。
実施例4
実施例1と同様の条件で製膜された中空糸膜を用い、同様にモジュール化した。モジュール化後、実施例1と同様にRO水を充填し、圧空により水を押し出した後、中空糸膜の水分を蒸発させ、含水率を4%とした。このモジュール内を窒素で置換し、モジュール内の酸素濃度を0.2%にした。この状態でγ線照射(25KGy)した。
上記の溶出物の測定方法によると、このモジュールの初期洗浄液の過マンガン酸カリウム水溶液の消費量は中空糸内表面1m2当たり0.60mlであった。また、生理食塩水によるモジュール内洗浄開始5分後の洗浄液の過マンガン酸カリウム水溶液の消費量は0.07mlであった。中空糸内表面の単位面積当たりの血小板付着数は2.4個であった。
比較例1
実施例1と同様の条件で製膜された中空糸膜を用い、同様にモジュール化した。モジュール化後、モジュール内にRO水を充填し、γ線照射(25KGy)を行った。この中空糸膜内表面の単位面積当たりの血小板付着数は、36.6個であった。
比較例2 実施例1と同様の条件で製膜された中空糸膜を用い、同様にモジュール化した。モジュール化後、実施例1と同様にRO水を充填し、圧空により水を押しだし、含水率を270%にした。このモジュール内を不活性ガスで置換せず(酸素濃度21.1%)、γ線照射(25KGy)を行った。
このγ線照射後の中空糸膜の透水性能は3534ml/hr/m2/kPaであった。また、γ線照射後の中空糸膜はジメチルアセトアミドに可溶であった。上記の溶出物の測定方法によると、このモジュールの初期洗浄液の過マンガン酸カリウム水溶液の消費量は中空糸膜内表面1m2当たり11.7mlであった。中空糸膜内表面の単位面積当たりの血小板付着数は、9.6個であった。
比較例3
実施例1と同様の条件で製膜された中空糸膜を用い、同様にモジュール化した。モジュール化後、実施例1と同様にRO水を充填し、圧空により水を押しだし、含水率を270%にした。このモジュール内を実施例1と同様に窒素に置換した後、空気を導入することでモジュール内の酸素濃度を4.2%にした。この状態でγ線照射(25KGy)した。
このγ線照射後の中空糸膜の透水性能は2248ml/hr/m2/kPaであった。また、γ線照射後の中空糸膜はジメチルアセトアミドに可溶であった。上記の溶出物の測定方法によると、このモジュールの初期洗浄液の過マンガン酸カリウム水溶液の消費量は5.3mlであった。また、5分後の洗浄液の過マンガン酸カリウム水溶液の消費量は1.01mlであった。
比較例4
実施例2と同様の条件で製膜された中空糸膜を用い、同様にモジュール化した。このモジュールに水を充填せず(含水率0%)、実施例1と同様に窒素に置換した後、γ線照射(25KGy)を行った。
このγ線照射後の中空糸膜の透水性能は4263ml/hr/m2/kPaであった。また、γ線照射後の中空糸膜はジメチルアセトアミドに可溶であった。上記の溶出物の測定方法によると、このモジュールの初期洗浄液の過マンガン酸カリウム水溶液の消費量は中空糸膜内表面1m2当たり11.5mlであった。

Claims (4)

  1. ポリビニルピロリドンを構成成分として含む中空糸膜を収容してなる不活性ガスが充填された中空糸膜モジュールにおいて、前記中空糸膜モジュール内の酸素濃度が0.1%以上、1.0%以下であり、初期洗浄液10ml中の溶出物に対し、溶出物の滴定のために用いられる2.0×10-3mol/l過マンガン酸カリウム水溶液の消費量が中空糸膜内表面1m2当たり5ml以下であり、かつ前記中空糸膜30本を有効長8〜12cmとして収容したモジュールにおける前記中空糸膜内側にウサギ全血を0.59ml/minで60分間灌流して行う血小板付着実験において内表面の血小板付着数が中空糸膜1×10 μm あたり18.1個以下であることを特徴とする中空糸膜モジュール。
  2. 疎水性高分子とポリビニルピロリドンを中空糸膜の構成成分として含んでなる請求項1記載の中空糸膜モジュール。
  3. ポリビニルピロリドンを構成成分として含む中空糸膜であって、初期洗浄液10ml中の溶出物に対し、溶出物の滴定のために用いられる2.0×10-3mol/l過マンガン酸カリウム水溶液の消費量が中空糸膜内表面1m2当たり5ml以下であり、かつ前記中空糸膜30本を有効長8〜12cmとして収容したモジュールにおける前記中空糸膜30本の内側にウサギ全血を0.59ml/minで60分間灌流して行う血小板付着実験において内表面の血小板付着数が中空糸膜1×10 μm あたり18.1個以下であることを特徴とする中空糸膜。
  4. 疎水性高分子とポリビニルピロリドンを中空糸膜の構成成分として含んでなる請求項記載の中空糸膜。
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