JP2014156507A - 成形用樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 流動性が向上するとともに、耐衝撃性も優れる成形物が得られるポリマーボネート樹脂組成物及びその成形品を得ること。
【解決手段】 芳香族ポリカーボネート樹脂およびエステル系添加剤を含有する成形用樹脂組成物であり、該エステル系添加剤が4〜6価の芳香族ポリカルボン酸のアルキルエステルで、該アルキルエステルのアルキル鎖が炭素原子数20〜30のアルキル鎖であることを特徴とする成形用樹脂組成物、該組成物を成形してなることを特徴とする成形品。
【選択図】 なし

Description

本発明は芳香族ポリカーボネート樹脂およびエステル系添加剤を含む成形用樹脂組成物、該樹脂組成物を用いて得られる成形品に関する。
従来より、芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性などに優れ、しかも、得られる成形品は寸法安定性などにも優れることから、電気・電子機器のハウジング類、自動車用部品類、または、光ディスク関連の部品などの精密成形品類の製造用原料樹脂として広く使用されている。特に、家電機器、電子機器、画像表示機器の筐体などにおいては、その美麗な外観を活かし、商品価値の高い成形品が得られるため使用されている。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、樹脂そのものの溶融粘度が高い上、物性向上、帯電防止、電磁波遮蔽、放熱性等の機能を付与するために各種フィラー類を配合すると、更に溶融粘度が高くなることから、成形加工性に困難になるという問題がある。このような中、近年、成形品の薄肉化・大型化が進むに伴い、ポリカーボネート樹脂やその組成物は成形加工性(流動性)の向上が強く求められている。
ポリカーボネート樹脂やその組成物の流動性を向上させる為に、重量平均分子量が5,000〜10,000の芳香族ビニル系樹脂を流動性改質剤としてポリカーボネート樹脂に添加することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、特許文献1に開示された流動性改質剤を用いても、ポリカーボネート樹脂の流動性の向上は不十分である上、得られる成形物の耐衝撃性が大きく悪化してしまう問題がある。この耐衝撃性を向上させる為に、例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂とを特定割合で含み、且つ、粒子径が15μm以上の粒子を実質的に含まないタルクまたはウォスラナイトを前記芳香族ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂との合計に対して特定の割合で含有するポリカーボネート樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、流動性に優れ、且つ、耐衝撃性にも優れる成形品が得られる樹脂組成物として、ポリカーボネート樹脂と脂肪族共役ジエン単量体とシアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなるグラフと共重合体と、シアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体とを共重合して得られ、特定範囲の分子量と分子量を有する共重合体と、を含む樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、特許文献2や3に開示された樹脂組成物においても、期待されるレベルの流動性と成形物の耐衝撃性に優れる樹脂組成物を得ることはできなかった。
特開平11−181198号公報 特開2011−140179号公報 特開平11−293102号公報
そこで、本発明が解決しようとする課題は、流動性が向上するとともに、耐衝撃性も優れる成形物が得られるポリマーボネート樹脂組成物及びその成形品を得ることにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、カルボキシル基を4〜6個有する芳香族ポリカルボン酸のアルキルエステルで、該アルキルエステルのアルキル鎖が炭素原子数20〜30の直鎖または分岐状のアルキル鎖であるエステル化合物をポリカーボネート樹脂に添加することにより、流動性に優れる樹脂組成物が得られること、この組成物を用いて得られる成形品は耐衝撃性にも優れること等を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂およびエステル系添加剤を含有する成形用樹脂組成物であり、該エステル系添加剤が4〜6価の芳香族ポリカルボン酸のアルキルエステルで、該アルキルエステルのアルキル鎖が炭素原子数20〜30のアルキル鎖であることを特徴とする成形用樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、前記成形用樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形品を提供するものである。
本発明により、流動性に優れ、得られる成形品の耐衝撃性にも優れる成形用樹脂組成物を提供できる。
本発明の成形用樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂、顔料およびエステル系添加剤を含有する着色剤組成物である。そして、該エステル系添加剤は、カルボキシル基を4〜6個有する芳香族ポリカルボン酸(4〜6価の芳香族ポリカルボン酸)のアルキルエステルで、該アルキルエステルのアルキル鎖が炭素原子数20〜30のアルキル鎖である。
本発明の成形用樹脂組成物に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲン或いは炭酸ジエステル等のカーボネート前駆体と反応させることにより容易に製造される。反応は公知の方法、例えば、ホスゲンを用いる場合は界面法により、又炭酸ジエステルを用いる場合は溶融状で反応させるエステル交換法等が採用される。
前記芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えばm2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]が代表的である。その他、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用されるが、これらの他にピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4´−ジヒドロキシジフェニル類を混合して使用してもよい。更に、フロログルシン等の多官能性化合物を併用した分岐を有する芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することも出来る。
前記芳香族ジヒドロキシ化合物と反応させるカーボネート前駆体としては、例えば、ホスゲン、またはジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類が挙げられる。
また、本発明で用いる芳香族ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマロフラフィー(GPC)容易に測定することが出来る。重量平均分子量としては、10,000〜100000が好ましく、10,000〜60,000がより好ましい
本発明において、数平均分子量は以下の条件に従って測定した
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
検出器:ELSD(オルテック製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン(THF)
流速 1.0ml/分
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(5μl)。
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」
東ソー株式会社製「F−550」
本発明において用いる芳香族ポリカーボネート樹脂として所望の分子量の芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、例えば、末端停止剤或いは分子量調節剤を用いる方法や重合反応条件の選択等公知の方法が採用される。
本発明で用いる芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネートオリゴマーを含有していても良い。芳香族ポリカーボネートオリゴマーは、例えば、末端停止剤あるいは分子量調節剤を用いて芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンまたは炭酸ジエステルを反応させることで得られる。芳香族ジヒドロキシ化合物としては、ビスフェノールA或いはビスフェノールAと他の2価のフェノールとの混合物が好ましい。
末端停止剤あるいは分子量調節剤としては、例えば、フェノール、p−t−アルキルフェノール、2,4,6−トリブロモフェノール、長鎖アルキルフェノール、脂肪族カルボン酸、ヒドロキシ安息香酸、脂肪族カルボン酸クロライド等が挙げられる。芳香族ポリカーボネートオリゴマーの具体例としては、好ましくは、p−t−ブチルフェノールで末端停止されたビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー、p−t−ブチルフェノールで末端停止されたテトラブロムビスフェノールAとビスフェノールAからのコポリカーボネートオリゴマー等が挙げられるが、必ずしも前記芳香族ポリカーボネート樹脂と同じ原料や反応方法で製造されたオリゴマーである必要はない。
更に、本発明で用いる芳香族ポリカーボネート樹脂は、単独で使用しても良いが、流動性を改善する為に、他の樹脂と混合しアロイ化して得られる樹脂を用いても良い。アロイ化する際に用いる樹脂としては、例えば、アクリル−スチレン(AS)樹脂、アクリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等が挙げられる。アロイ化する際の芳香族ポリカーボネート樹脂とAS樹脂やABS樹脂等の他の樹脂との混合割合としては、例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対して他の樹脂5〜900質量部であり、好ましくは、樹脂10〜500質量部である。
本発明に用いるエステル系添加剤は、4〜6価の芳香族ポリカルボン酸のアルキルエステルで、該アルキルエステルのアルキル鎖が炭素原子数20〜30のアルキル鎖であることを特徴とする。アルキル鎖は、例えは、直鎖、及び、分岐状のアルキル鎖が例示できる。ここで、アルキル鎖の中でも炭素原子数20〜28のアルキル鎖が流動性に優れる成形用樹脂組成物となり、且つ、耐衝撃性に優れる成形品が得られることから炭素原子数20〜28のアルキル鎖がより好ましく、炭素原子数20〜26のアルキル鎖が更に好ましい。
本発明に用いるエステル系添加剤(エステル化合物)は、例えば、4〜6価の芳香族ポリカルボン酸芳香族多価カルボン酸またはその酸無水物(A)と、炭素原子数20〜30のアルキル鎖を有するモノアルコール(B)とをエステル化反応させることにより好適に得ることができる。なお、本発明において芳香族多価カルボン酸の価数とは、1分子中のカルボキシル基の数を言うものとし、酸無水物においては、脱水縮合前のカルボキシル基の数を言うものとする。
前記芳香族多価カルボン酸(A)としては、例えば、メロファン酸、メルラノファン酸、ピロメリット酸、ベンゼンペンタカルボン酸、メリット酸等を好ましく例示できる。中でも、流動性に優れる成形用樹脂組成物となり、且つ、耐衝撃性に優れる成形品が得られることからピロメリット酸が好ましい。これらの芳香族多価カルボン酸又はその酸無水物は、1種類のみで用いることも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明で用いるモノアルコール(B)は、炭素原子数20〜30の直鎖状、及び、分岐状のアルキル鎖を有するモノアルコールである。また、二重結合を1つ以上含む不飽和アルコールであってもよい。このようなアルコールは、単独で用いても、両方用いても構わない。直鎖状アルコールとしては、例えば、エイコサノール(C20)、ヘンエイコサノール(C21)、ドコサノール(C22)、トリコサノール(C23)、テトラコサノール(C24)、ペンタコサノール(C25)、ヘキサコサノール(C26)、ヘプタコサノール(C27)、オクタコサノール(C28)、ノナコサノール(C29)、トリアンコンタノール(C30)等が挙げられる。分岐状アルコールとしては、オクチルドデカノール(C20)、デシルテトラデカノール(C24)、ドデシルヘキサデカノール(C28)等が挙げられる。中でも、耐熱性に優れ、かつ担体樹脂への親和性に対してより良好な混練効果を発現することができ、しかも、流動性に優れる成形用樹脂組成物となり、且つ、耐衝撃性に優れる成形品が得られることから炭素原子数が20〜28の直鎖状または分岐状のアルキル鎖を有するモノアルコールが好ましく、炭素原子数20〜26のアルキル鎖を有するモノアルコールがより好ましい。
本発明において、上記モノアルコール(B)以外のモノアルコールを本発明の効果を損なわない範囲でモノアルコール(B)と併用しても良い。モノアルコール(B)以外のモノアルコールとしては、例えば、オクタノール(C8)、デカノール(C10)、ドデカノール(C12)、テトラデカノール(C14)、ヘキサデカノール(C16)、オクタデカノール(C18)、ヘントリアンコンタノール(C31)、ドトリアコンタノール(C32)、テトラデシルオクタデカノール(C32)、セロメリシルアルコール(C33)、テトラトリアコンタノール(C34)、ヘプタトリアコンタノール(C35)、ヘキサトリアコンタノール(C36)等が挙げられる。
本発明で用いるモノアルコール(B)やモノアルコール(B)以外のモノアルコールにおける水酸基の置換位置は、1位または2位いずれでもよいが、1位のものを用いることが好ましい。
本発明で用いるエステル系添加剤(エステル化合物)の製造方法としては、前記芳香族多価カルボン酸(A)と、前記モノアルコール(B)とを反応器に仕込み、通常のエステル化反応させる方法等が挙げられる。また、このエステル化反応を促進する目的で、エステル化触媒を用いることが好ましい。
前記エステル化触媒として、金属又は有機金属化合物を用いることができる。具体的には、周期律表2族、4族、12族、13族及び14族からなる群より選ばれる少なくとも1種類の金属や有機金属化合物が挙げられる。より具体的には、例えば、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ハフニウム、ゲルマニウム等の金属;チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンオキシアセチルアセトナート、オクタン酸スズ、2−エチルヘキサンスズ、アセチルアセトナート亜鉛、4塩化ジルコニウム、4塩化ジルコニウムテトラヒドロフラン錯体、4塩化ハフニウム、4塩化ハフニウムテトラヒドロフラン錯体、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム等の金属化合物などが挙げられる。これらの中でも、反応性、取扱いやすさ、エステル化反応により得られたエステル化合物の保存安定性が良好であることから、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンオキシアセチルアセトナート等のチタンアルコキサイドが好ましい。
また、前記エステル化触媒の使用量は、エステル化反応を制御でき、かつ得られるエステル化合物の着色を抑制できる範囲の量であればよく、前記多価アルコールと前記モノジカルボン酸との合計量に対し、10〜2,000ppmの範囲が好ましく、20〜1,000ppmの範囲がより好ましい。
前記エステル化合物を製造する際、前記エステル化触媒を添加する時期は、前記芳香族多価カルボン酸(A)と前記モノアルコール(B)とを反応器に仕込むのと同時に添加してもよく、昇温途中に添加してもよく、エステル化触媒を分割して添加してもよい。
前記エステル化反応において、前記多価カルボン酸(A)と前記モノアルコール(B)と仕込み比は、前記モノアルコール(B)のアルコール性水酸基に対して多価カルボン酸(A)は特に制限されるものではないが、例えば、前記モノアルコール(B)のアルコール性水酸基1.00当量に対して多価カルボン酸(A)のカルボキシル基が0.80〜1.20当量の範囲、より好ましくは0.90〜1.10当量の範囲となるよう調整することが好ましい。
前記エステル化合物を製造する際の反応温度は、各原料が蒸発や昇華することを抑制しつつ反応を促進し、反応により生成するエステル化合物の熱分解、着色を抑制できることから、60〜300℃の範囲が好ましく、100〜250℃の範囲がより好ましい。
上記の製造方法により得られるエステル化合物は、高温高湿下でも加水分解をうけにくく安定であり、芳香族ポリカーボネート樹脂との相溶性が良いためブリードを引き起こしにくい。上記エステル化合物は30以下の水酸基価を有し、かつ15以下の酸価を有するものが好ましく、20以下の水酸基価を有し、かつ10以下の酸価を有するものがより好ましい、特に好ましいのは15以下の水酸基価を有し、且つ5以下の酸価を有するものである。
この様にして得られたエステル化合物の形態としては、特に限定されないが、例えば、粉状、粒状、ペレット状、板状、フレーク状等が挙げられる。それらの作製方法も特に制限されないが、溶融状態のエステル化合物をステンレス製バットや冷却装置付のベルトコンベアーに取り出し、粉砕機等により粉、板、フレーク等する方法、固化・粉砕品を圧縮もしくは加熱等により造粒する方法、溶融状態から直接、粒子、ペレット状に取り出す方法、ベースのポリエステル樹脂と一定の割合で混練しマスターバッチ化して取り出す方法等が挙げられる。
この様にして得られたエステル系添加剤の成形用樹脂組成物中の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100部に対して0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましく、0.5〜5質量部が更に好ましい。
前記エステル系添加剤を用いることにより本発明の優れた効果、即ち、ポリカーボネート樹脂に優れた流動性を与えるとともに、耐衝撃性にも優れる成形品が得られる効果の発現機構について、現時点では定かではないが、長鎖アルキル基による潤滑効果とポリカーボネートへの適度な相溶性のバランスによるものであると本発明の発明者は考えている。
本発明の成形用樹脂組成物は、上記芳香族ポリカーボネート樹脂およびエステル系添加剤を混合して得られるものであるがこれらの混合の順序は特に限定されず、例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂およびエステル系添加剤を同時に混練することにより得ることができる。より具体的には、例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂およびエステル系添加剤をあらかじめ材料同士が良く混ざるように混合してから220〜300℃の範囲の温度下で、単軸または2軸押出機を用いて溶融混練することにより得られる。また、予めポリカーボネート樹脂等でマスターバッチ化してから混合してもよいし、充填剤等のその他配合物と予め混合処理してから混合するなど、混合の仕方は問わない。
本発明の成形用樹脂組成物には、これを用いて得られる成形品の耐衝撃性を向上させる為に、種々の充填剤を混合することができる。充填剤としては、例えば、ガラス繊維(チョップドストランド)、炭素繊維、セルロースナノファイバー、金属被覆炭素繊維、金属繊維、ワラストナイト、ゾノトライト、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー等の繊維状充填剤;タルク、マイカ、ガラスフレーク、グラファイトフレーク等の板状充填剤;ガラス短繊維(ミルドファイバー)、炭素短繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン等の粒子状充填剤;放熱効果が確認されているカーボンナノチューブ、黒鉛、金属被覆炭素繊維、金属被覆黒鉛、金属被覆ガラス、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、金属繊維および金属粉末からなる群の1つまたは2つ以上からなる熱伝導性粉末等の粒子物を挙げることができる。 充填剤は、最終製品の機能性、物性等の理由からガラス繊維、セルロースナノファイバー、タルク、マイカ、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンナノチューブ、アルミナ、窒化ホウ素が好ましい。
本発明の成形用樹脂組成物に用いられる充填剤は、それぞれの充填剤の性能を発現するのに最適な表面処理剤や集束剤などで予め処理してもよい。集束剤としては、例えばポリ酢酸ビニル、ウレタン、アクリル、ポリエステル集束剤等、カップリング剤としては、例えばアルキルアルコキシシランやポリオルガノハイドロジェンシロキサンなどを含むシラン化合物、ボロン化合物、チタン化合物等、その他の表面処理剤としては、高級脂肪酸エステル、酸化合物(例えば、亜リン酸、リン酸、カルボン酸、およびカルボン酸無水物など)並びにワックスなどが例示される。
更に、本発明の成形用樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で他の任意の成分、例えば、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤等の添加剤が必要に応じて添加されていてもよい。前記滑剤としては、例えば、脂肪酸エステル、脂肪酸アマイド及び脂肪酸金属塩等が挙げられる。前記帯電防止剤としては、例えば、ドデシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルオクチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム、ジブチルベンゼンスルホン酸トリブチルメチルホスホニウム、ジブチルナフチルスルホン酸トリフェニルホスホニウム、ジイソプロピルナフチルスルホン酸トリオクチルメチルホスホニウム等が挙げられる。前記紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。前記酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。前記着色剤としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ジオキサンジン系、ペリレン系、イソインドリノン系等の各有機顔料;カーボンブラック;酸化チタン系、酸化鉄系、酸化クロム系、黄鉛系等の無機顔料が挙げられる。
本発明の成形品は、本発明の成形用樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。具体的には、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を各種の押出機、射出成形機等を用いて、射出成形やTダイフィルム成形等を行うことにより各種形状の成形品を得ることができる。希釈用芳香族ポリカーボネート樹脂は、着色剤組成物に用いた担体樹脂と同様のものが挙げられ、担体樹脂と同種のものを組み合わせて用いることが好ましい。上記のような成形方法の他に、予め着色剤組成物と希釈用芳香族ポリエステル樹脂をミキサー、ブレンダーなどで混合した後に、射出成形機内に投入して溶融混練して直接成形する方法などのもあげられる。
本発明の成形品としては、例えば、テレビ部品、VTR部品、ヘアドライヤハウジング、アイロン部品、電子レンジ部品、各種光ディスク等の家電部品;リレーケース、LEDランプ、コンピュータ構造部品等の電子通信用部品;照明カバー、懐中電灯の筐体等の照明器具部品;ヘッドランプレンズ、ドアハンドル、メータカバー、二輪車風防、ルーバー等の自動車・車両部品;カメラボディ及び部品等の光学機械部品;複写機やプリンタの構造部品、FDD部品、パソコン部品等のOA機器部品;ポンプ部品、電動工具ハウジング等の機械部品などに代表される電気・電子機器用途向けの成形品;
玩具、ベビーカー部品、水道器具部品、水筒、くし等の日用品;万年筆、鉛筆削り等の文房具;スキーゴーグル、剣道防具、ウィンドサーフィンのフィン、パチンコ部品、ヘルメット等のスポーツ・レジャー用品に代表される雑貨関係用途向けの成形品;
人工腎臓ケース、目薬容器、工事用ヘルメット、保護眼鏡、消火器部品等に代表される医療・保安用途向けの成形品;
包装用フィルム、コンデンサフィルム、FPD(フラットパネルディスプレイ)用光学フィルム等に代表されるシート・フィルム用途向けの成形品等が挙げられる。
本発明の成形品は、特に自動車・車両部品用途に好ましく使用できる。自動車・車両部品を更に具体的に述べると、例えば、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、エアフローメーター、エアポンプ、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、サーモスタットハウジング、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、エンジンマウント、イグニッションホビン、イグニッションケース、クラッチボビン、センサーハウジング、アイドルスピードコントロールバルブ、バキュームスイッチングバルブ、ECUハウジング、バキュームポンプケース、インヒビタースイッチ、回転センサー、加速度センサー、ディストリビューターキャップ、コイルベース、ABS用アクチュエーターケース、ラジエータタンクのトップ及びボトム、クーリングファン、ファンシュラウド、エンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、オイルキャップ、オイルパン、オイルフィルター、フューエルキャップ、フューエルストレーナー、ディストリビューターキャップ、ベーパーキャニスターハウジング、エアクリーナーハウジング、タイミングベルトカバー、ブレーキブ−スター部品、各種ケース、燃料関係・排気系・吸気系等の各種チューブ、各種タンク、燃料関係・排気系・吸気系等の各種ホース、各種クリップ、排気ガスバルブ等の各種バルブ、各種パイプ、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、ブレーキパッド摩耗センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコンパネルスイッチ基板、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、ステップモーターローター、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、トルクコントロールレバー、スタータースイッチ、スターターリレー、安全ベルト部品、レジスターブレード、ウオッシャーレバー、ウインドレギュレーターハンドル、ウインドレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、デュストリビューター、サンバイザーブラケット、各種モーターハウジング、ルーフレール、フェンダー、ガーニッシュ、バンパー、ドアミラーステー、ホーンターミナル、ウィンドウォッシャーノズル、スポイラー、フードルーバー、ホイールカバー、ホイールキャップ、グリルエプロンカバーフレーム、ランプリフレクター、ランプソケット、ランプハウジング、ランプベゼル、ドアハンドル、ワイヤーハーネスコネクター、SMJコネクター、PCBコネクター、ドアグロメットコネクター、ヒューズ用コネクターなどの各種コネクター等が挙げられる。
以下、本発明の実施例を挙げ、比較例と比較しながら本発明を詳述する。例中、「部」、「%」は特に断りのない限り質量基準である。
合成例1(エステル系添加剤の調製)
温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量3Lの四つ口フラスコに、ピロメリット酸(三菱ガス化学株式会社製以下、「PMA」と略記する。)を190.5gと、ドコサノール(ドコサノール98%含有品)を504.5gと、オクタデカノール(オクタデカノール98%含有品)を384.8gと、トルエンを54gと、チタンテトライソプロポキシド(以下、TiPTと略記する。)を0.32gを仕込んだ後、窒素ガスを塔頂温度100℃以下に維持するように100〜500ml/分の範囲で吹き込みながら、230℃まで昇温した。次いで、230℃で生成する水分を除去しながら、脱水エステル化反応を行った。反応生成物の酸価が2以下になった時点で85%リン酸水溶液を0.29g仕込み、減圧を開始し、230℃の状態で0.67kPa以下に減圧して、トルエンを除去した。トルエンの流出がなくなった後、減圧を解除し降温して、液温を100℃に維持しながら金属製SUSバットに取り出し、エステル系添加剤(1)を得た。このエステル系添加剤の外観は、白色固体であり、数平均分子量(Mn)は1920、重量平均分子量(Mw)は2010、酸価は2.3、水酸基価は3.5であった。
合成例2(同上)
温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量3Lの四つ口フラスコに、ピロメリット酸(以下、「PMA」と略記する。)を190.5gと、2オクチルドデカノールを849.3gと、トルエンを52gと、TiPTを0.33gとを仕込んだ後、窒素ガスを塔頂温度100℃以下に維持するように100〜500ml/分の範囲で吹き込みながら、230℃まで昇温した。次いで、230℃で生成する水分を除去しながら、脱水エステル化反応を行った。反応生成物の酸価が2以下になった時点で85%リン酸水溶液を0.22g仕込み、減圧を開始し、230℃の状態で0.67kPa以下に減圧して、トルエンを除去した。トルエンの流出がなくなった後、減圧を解除し降温して、取り出し、エステル系添加剤(2)を得た。このエステル系添加剤(2)の外観は、透明液体であり、数平均分子量(Mn)は1910、重量平均分子量(Mw)は1990、酸価は3.1、水酸基価は7.8であった。
合成例3(同上)
温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量3Lの四つ口フラスコに、PMAを190.5gと、ドコサノール(ドコサノール98%含有品)を929.1gと、トルエンを56gと、TiPTを0.34gとを仕込んだ後、窒素ガスを塔頂温度100℃以下に維持するように100〜500ml/分の範囲で吹き込みながら、230℃まで昇温した。次いで、230℃で生成する水分を除去しながら、脱水エステル化反応を行った。反応生成物の酸価が2以下になった時点で85%リン酸水溶液を0.27g仕込み、減圧を開始し、230℃の状態で0.67kPa以下に減圧して、トルエンを除去した。トルエンの流出がなくなった後、減圧を解除し降温して、液温を100℃に維持しながら金属製SUSバットに取り出し、エステル系添加剤(3)を得た。このエステル系添加剤(3)の外観は、白色固体であり、数平均分子量(Mn)は2260、重量平均分子量(Mw)は2390、酸価は4.1、水酸基価は8.1であった。
合成例4(同上)
温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量3Lの四つ口フラスコに、PMAを190.5gと、テトラコサノールを1008.9gと、トルエンを60gと、TiPTを0.38gとを仕込んだ後、窒素ガスを塔頂温度100℃以下に維持するように100〜500ml/分の範囲で吹き込みながら、230℃まで昇温した。次いで、230℃で生成する水分を除去しながら、脱水エステル化反応を行った。反応生成物の酸価が2以下になった時点で85%リン酸水溶液を0.30g仕込み、減圧を開始し、230℃の状態で0.67kPa以下に減圧して、トルエンを除去した。トルエンの流出がなくなった後、減圧を解除し降温して、液温を100℃に維持しながら金属製SUSバットに取り出し、エステル系添加剤(4)を得た。このエステル系添加剤(4)の外観は、白色固体であり、数平均分子量(Mn)は2790、重量平均分子量(Mw)は2990、酸価は3.5、水酸基価は8.8であった。
合成例5(同上)
温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量3Lの四つ口フラスコに、PMAを190.5gと、2デシルテトラデカノールを1008.9gと、トルエンを60gと、TiPTを0.38gとを仕込んだ後、窒素ガスを塔頂温度100℃以下に維持するように100〜500ml/分の範囲で吹き込みながら、230℃まで昇温した。次いで、230℃で生成する水分を除去しながら、脱水エステル化反応を行った。反応生成物の酸価が2以下になった時点で85%リン酸水溶液を0.30g仕込み、減圧を開始し、230℃の状態で0.67kPa以下に減圧して、トルエンを除去した。トルエンの流出がなくなった後、減圧を解除し降温して、液温を100℃に維持しながら金属製SUSバットに取り出し、エステル系添加剤(5)を得た。このエステル系添加剤(5)の外観は、白色固体であり、数平均分子量(Mn)は2810、重量平均分子量(Mw)は2950、酸価は4.1、水酸基価は6.8であった。
比較合成例1(比較対照用エステル系添加剤の調製)
温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量3Lの四つ口フラスコに、ペンタエリスリトールを108.8gと、ステアリン酸を908.8gと、トルエンを51gと、TiPTを0.31gとを仕込んだ後、窒素ガスを塔頂温度100℃以下に維持するように100〜500ml/分の範囲で吹き込みながら、230℃まで昇温した。次いで、230℃で生成する水分を除去しながら、脱水エステル化反応を行った。反応生成物の酸価が2以下になった時点で85%リン酸水溶液を0.24g仕込み、減圧を開始し、230℃の状態で0.67kPa以下に減圧して、トルエンを除去した。トルエンの流出がなくなった後、減圧を解除し降温して、液温を100℃に維持しながら金属製SUSバットに取り出し、比較対照用エステル系添加剤(1´)を得た。このエステル系添加剤(1´)の外観は、白色固体であり、数平均分子量(Mn)は1620、重量平均分子量(Mw)は1680、酸価は1.9、水酸基価は15.0であった。
比較合成例2(比較対照用ABS樹脂系添加剤の調製)
10リットルSUS製オートクレーブに、水150g、アクリロニトリル30g、スチレン70g、アゾビスイソブチロニトリル0.15g、t−ドデシルメルカプタン0.5g、リン酸カルシウム0.4g及びポリビニルアルコール0.2gを仕込み、激しく攪拌した。系内の分散状態を確認した後、75℃に昇温し2時間重合を行った。その後、内温を110℃まで昇温し、20分間保持して反応を完結させた。冷却後、脱水、洗浄、乾燥して白色粒状の比較対照用ABS樹脂系添加剤(2´)を得た。このABS樹脂系添加剤(2´)の数平均分子量Mnは56,000、重量平均分子量Mwは102,000であった。
比較合成例3(比較対照用ポリスチレン系添加剤の調製)
温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量2Lの四つ口フラスコに、トルエン180gを仕込んだ後、スチレン300gを加えた後、アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNという)7.5gを添加した。約30分窒素をバブリングしながら系内を窒素置換した後に、80℃まで昇温し、30分間前重合をおこなった。その後、スチレン300g及びAIBN7.5gを、トルエン180gに溶解した溶液を一時間かけて滴下した。その間温度が85℃±5℃の範囲になるよう調整した。滴下終了後、温度を85℃±5℃の範囲に調整しながら、7時間重合を継続した。その後、加熱・減圧しながら溶媒を留去し、最終的に240℃、0.67kPa以下、20分間減圧蒸留して、530gの比較対照用ポリスチレン系添加剤(3´)を得た。得られたポリスチレン系添加剤(3´)の外観は、透明固体であり、数平均分子量(Mn)は6500、重量平均分子量(Mw)は20100、酸価は0.9、水酸基価は0.8であった。
エステル系添加剤(1)〜(5)及び比較対照用エステル系添加剤(1´)の調製に用いた原料と特性値を第1表及び第2表に示す。
Figure 2014156507
第1表の脚注
PMA:ピロメリット酸
Figure 2014156507
実施例1(成型用樹脂組成物の調製)
芳香族ポリカーボネート樹脂〔ビスフェノールA、p−tert−ブチルフェノール(分子量調節剤)とホスゲンから常法により得られた、数平均分子量25,800、重量平均分子量39,400の粉粒状芳香族ポリカーボネート樹脂〕98部及びエステル系添加剤(1)2gをタンブラーミキサーにて均一混合した後、二軸押出機(東洋精機工業株式会社製)を用いて、ペレット化した本発明の成形用樹脂組成物(1)を得た。得られた成形用樹脂組成物(1)を用いて流動性の評価を行うと共に、成形品を作成し、耐衝撃性、耐熱性及び耐水性の評価を行った。評価方法を下記に示す、また、評価結果を第3表に示す。
<流動性の評価>
スパイラルフロー金型を用いて、成形用樹脂組成物(1)と前記芳香族ポリカーボネート樹脂の流動長をそれぞれ測定し、芳香族ポリカーボネート樹脂に対する成形用樹脂組成物(1)の流動倍率を以下の式に基づき算出した。
流動倍率(倍)=成形用樹脂組成物(1)の流動長(mm)/芳香族ポリカーボネート樹脂の流動長(mm)
流動性の判定は以下の基準にて行った。
○:1.5倍以上
×:1.5倍未満
<耐衝撃性の評価>
シリンダー温度260〜300℃、金型温度80℃の成形条件で、1オンス堅型射出成形機(株式会社山城精機製作所製)を用いて、80×10×4mmの試験片を作製した。この試験片のアイゾット衝撃値を、をユニバーサルインパクトテスター(株式会社東洋精機製作所製)を用いて、JIS K7110に準拠して(測定温度:23℃、2号試験片:幅3.2mmのノッチ有り)測定した。衝撃性の判定は以下の基準にて行った。
○:50以上
×:50未満
<耐熱性の評価>
シリンダー温度260〜300℃、金型温度80℃の成形条件で、1オンス堅型射出成形機(株式会社山城精機製作所製)を用いて、80×10×4mmの試験片を作製した。この試験片に対して、JIS K7191に準拠して、熱変形温度(試験条件:荷重1.8MPa、昇温速度120℃/時間)を測定した。
<耐水性の評価方法>
耐加水分解を評価するため、縦10cm×横10cm×厚さ0.2mmのシートを作製し、恒温恒湿器(タバイエスペック株式会社製「PR−2KF」)を用いて、高温高湿環境条件下(温度80℃、湿度90%)、500時間保存した。高温高湿環境で保存する前後での分解状況を確認するため、高温高湿環境で保存する前後のサンプルについてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定し、試験前後の重量平均分子量の保持率(%)で評価した。なお、GPC測定は上記の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定方法と同様に行った。
実施例2〜5
第3表に示す配合を用いた以外は実施例1と同様にして、本発明の成形用樹脂組成物(2)〜(5)を調製した。実施例1と同様の評価を行い、その結果を第3表に示す。
Figure 2014156507
比較例1〜7
第4表に示す比較対照用エステル系添加剤を用いた以外は実施例1と同様にして比較対照用成形用樹脂組成物(1´)〜(7´)を得た。実施例1と同様の評価を行い、その結果を第3表に示す。
Figure 2014156507
第4表及び第5表の脚注
エステル系添加剤(4´):モンタン酸エステルワックス〔クラリアント株式会社製、Licolub WE4。〕
エステル系添加剤(5´):変性ポリエチレンワックス〔EVONIK INDUSTRIES製、TEGOMER E 525。〕
エステル系添加剤(6´):ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、ノバデュラン5020、固有粘度1.20dl/g)

Claims (8)

  1. 芳香族ポリカーボネート樹脂およびエステル系添加剤を含有する成形用樹脂組成物であり、該エステル系添加剤が4〜6価の芳香族ポリカルボン酸のアルキルエステルで、該アルキルエステルのアルキル鎖が炭素原子数20〜30のアルキル鎖であることを特徴とする成形用樹脂組成物。
  2. 前記エステル系添加剤がカルボキシル基を4〜6個有する芳香族ポリカルボン酸芳香族多価カルボン酸またはその酸無水物(A)と、炭素原子数20〜28のアルキル鎖を有するモノアルコール(B)とをエステル化反応させて得られたものである請求項1記載の成形用樹脂組成物。
  3. 前記モノアルコール(B)がドコサノール、オクチルドデカノールテトラコサノールおよびデシルテトラデカノールからなる群から選ばれる1種以上のモノアルコールである請求項1記載の成形用樹脂組成物。
  4. 前記芳香族多価カルボン酸またはその酸無水物(A)がピロメリット酸である及びこれらの酸無水物からなる群から選ばれる1種以上のものである請求項1記載の成形用樹脂組成物。
  5. 芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対してエステル系添加剤を0.01〜20質量部含む請求項1記載の成形用樹脂組成物。
  6. 更に、充填剤を含有する請求項1〜5のいずれか1項記載の成形用樹脂組成物。
  7. 前記充填剤がガラス繊維、セルロースナノファイバー、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンナノチューブ、アルミナ及び窒化ホウ素からなる群から選ばれる請求項6記載の成形用樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の成形用樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形品。
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