JP2014155617A - 二室式容器兼用注射器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軸線Oを中心として内径が該軸線O方向にわたって一様とされた円筒形状をなすとともに、軸線O方向の一部に内周面から凹むようにして成型されたバイパス溝11aを有する外筒10を備え、外筒10の内径が6.0mm以上10.0mm以下とされ、バイパス溝11aは軸線Oの周方向に間隔をあけて複数成型され、バイパス溝11aの軸線Oに直交する断面積が、外筒10の軸線Oに直交する内周断面積の0.13%以上0.24%以下とされ、内周面から凹むバイパス溝11aの深さが、外筒10の内径の2.7%以上3.8%以下とされている。
【選択図】図1
Description
この二室式容器兼用注射器は、外筒の先端側にフロントストッパーが嵌入されており後端側にエンドストッパーが嵌入され、外筒内の中央部に嵌入されたミドルストッパーによって該外筒内部が前後二室に分割されている。また、この外筒におけるミドルストッパーよりも先端側の部分には、外筒の内周面の一部が外側に膨出するようにしてバイパス溝が成型されている。さらに、ミドルストッパーの先端側の前室には、粉末状の製剤が封入されており、その先端はフロントストッパーで封止されている。一方、ミドルストッパーの後端側の後室には液剤が封入されており、その後端はエンドストッパーによって封止されている。なお、このエンドストッパーの後端にはプランジャーロッドが接続されている。
即ち、特許文献2には、外筒の内周面に周方向全域に連続するように複数のバイパス溝が成型された容器兼用注射器が記載されている。また、この特許文献2には、周方向に隣り合うバイパス溝同士の間の部分が、外筒の内径側に向かって該外筒の内周面よりも突出した容器兼用注射器も記載されている。
一方、特許文献3には、外筒の内周面に周方向に間隔をあけて複数のバイパス溝が成型された容器兼用注射器が記載されている。この容器兼用注射器では、バイパス溝における外筒の軸線に直交する断面形状が矩形状とされており、該バイパス溝の外筒の内周面からの深さは外筒の外周面に近接した深いものとされている。
しかしながら、バイパス溝の断面積が小さ過ぎる場合、ミドルストッパーがバイバス溝に到達した状態でプランジャーロッドをさらに押し込んだとしても、バイパス溝を通過する液剤の流動抵抗が大きいためバイパス溝を液剤が円滑に流通しない事態が生じ得る。これにより、プランジャーロッドの押し込みによりエンドストッパーを介して液剤に伝達される押圧力が、ミドルストッパーの前進のみに大きく寄与することになる。その結果、液剤がミドルストッパーの後端に残留しているのにもかかわらず、ミドルストッパーがバイパス溝を越えて前進してしまう。前室に充填する製剤によっては液剤の流入をできるだけ早くしなければならない製剤がある。
即ち、軸線を中心として内径が該軸線方向にわたって一様とされた円筒形状をなすとともに、前記軸線方向の一部に内周面から凹むようにしてミドルストッパーの長さを若干越える長さに成型されたバイパス溝を有する外筒と、該外筒の先端に設けられたフロントアッセンブリと、前記外筒の後端に設けられたフィンガーグリップと、前記外筒内における前記バイパス溝の先端側に嵌入されたフロントストッパーと、前記外筒内における前記バイパス溝の後端側に嵌入されて前記フロントストッパーとともに製剤を封止するミドルストッパーと、前記外筒内における前記ミドルストッパーの後端側に嵌入されて前記ミドルストッパーとともに液剤を封止するエンドストッパーと、前記フィンガーグリップを挿通して前記エンドストッパーに後端側から接続されるプランジャーロッドとを備え、前記外筒の内径が6.0mm以上10.0mm以下とされ、前記バイパス溝が、前記軸線の周方向に間隔をあけて複数成型され、各前記バイパス溝の前記軸線に直交する断面積が、前記外筒の前記軸線に直交する内周断面積の0.13%以上0.24%以下とされ、前記内周面から凹む前記バイパス溝の深さが、前記外筒の内径の2.7%以上3.8%以下とされていることを特徴とする二室式容器兼用注射器。
さらに、バイパス溝の深さが外筒の内径の2.7%以上3.8%以下とされているため、外筒の破折強度の低下を防止することができると同時に、該バイパス溝に液剤が残留してしまうことを抑制することができる。
さらに、バイパス溝の深さが外筒の内径の2.1%以上3.3%以下とされているため、外筒の破折強度の低下を防止することができると同時に、該バイパス溝に液剤が残留してしまうことを抑制できる。
ここで、 内径が10.1mm以上18.0mm以下の外筒では、バイパス溝同士の間隔が2.0mmを下回ると、バイパス溝とバイパス溝との間の平滑面が著しく小さくなって、バイパス部を摺動するストッパーの摺動性に悪影響を及ぼすという欠点が生じる。また、内径が6.0mm以上10.0mm以下の外筒では、バイパス溝同士の間隔が7.3mmを超える場合、成型できるバイパス溝の本数が4本以下となってしまい、製剤の周囲から液剤を満遍なく流入させることができなくなる。
これに対して、本発明では、バイパス溝同士の間隔が、2.0mm〜7.3mmの範囲とされているため、上記不都合を解消することができる。
複数のバイパス溝を設けた二室式容器兼用注射器について、外筒内に充填保管される医薬品の性質に合わせて、外筒の材質をガラス、又はプラスチックのどちらでも採用できるという利点を得ることができる。
図1及び図2に示すように、二室式容器兼用注射器100は、外筒10と、フロントアッセンブリ18と、フロントストッパー30と、ミドルストッパー40と、エンドストッパー50と、フィンガーグリップ60と、プランジャーロッド70とを備えている。この二室式容器兼用注射器100においては、混合されることで注射薬が調製される製剤S及び液剤Lが分離した状態で充填されている。
直線溝26aは、バイパスチャンバー25の内壁面において軸線Oと平行に延びるように周方向に等間隔を空けて複数が成型されており、これら直線溝26aの先端側は、バイパスチャンバー25の内壁面から前端面25aに延びてルアー先23の内部に成型された導入孔23aにそれぞれ接続されている。
また、ミドルストッパー40は、外筒10におけるバイパス溝11aの後端側、即ち、後端側円筒部13に嵌入されている。特に本実施形態におけるミドルストッパー40は、後端側円筒部13の先端となる該後端側円筒部13とバイパス溝11aとの境界に該ミドルストッパー40の先端が位置するように配置されている。そして、外筒10内においてフロントストッパー30とミドルストッパー40とに挟み込まれるようにして粉末状の製剤Sが封止されている。即ち、外筒10の内周面、フロントストッパー30の後端面及びミドルストッパー40の先端面によって画成された前室内に製剤Sが充填されている。
このように、二室式容器兼用注射器100においては、ミドルストッパー40によって仕切られた前室及び後室内に、製剤S及び液剤Lが分離して封止されている。
嵌着部61は、軸線Oを中心とした略円筒形状をなしており、その内周側が上記外筒10の後端が嵌め込まれる嵌着孔61aとされている。
フランジ部62は、嵌着部61の後端、即ち、嵌着部61と円筒部63との境界付近から軸線Oを中心とした直径方向に張り出しており、軸線O方向矢視において略矩形状をなしている。このフランジ部62は、二室式容器兼用注射器100の使用時に医療従事者の指を支持することにより、該医療従事者の二室式容器兼用注射器100の取り扱いを容易にする役割を有している。
図6に示すように、バイパス部11の外径D、即ち、外筒10の外径Dは、一般的な二室式容器兼用注射器100の場合、例えば8.65mm、12.5mm、16.0mmに設定されている。これに対して、バイパス部11の内径d、即ち、外筒10の内径dは、外径が8.65mmのものについては6.85mmに設定され、外径が12.5mmのものについては10.5mmに設定され、外径が16.0mmのものについては14.0mmに設定されている。
なお、本実施形態では、外筒10の内周面、外周面ともに軸線方向にわたって一様の径をなしている。
また、バイパス溝11aは、軸線の周方向に間隔をあけて複数成型されている。特に本実施形態では、複数のバイパス溝11aは互いに周方向に等間隔をあけて成型されている。その長さはミドルストッパー40の軸方向の全長より長く設定されている。
即ち、バイパス溝11aの断面積が外筒10の内周断面積の0.13%または0.105%を下回る場合、液剤の量に対して各バイパス溝11aの流通面積が小さ過ぎるため、当該バイパス溝11aを流通する液剤の流動抵抗が大きなものとなる。この場合、プランジャーロッド70の押し込みの速度が一定の速度を超えた場合、エンドストッパー50の前進にともなう押圧力は、バイパス溝11aにおける液剤の流通に寄与することなく、ミドルストッパー40を前進させる力として作用してしまう。その結果、ミドルストッパー40がバイパス部11を越えて先端側円筒部に到達してしまえば、多量の液剤が後室に残存してしまうことになる。
即ち、バイパス溝11aの深さFが外筒10の内径の3.8%、又は3.3%を超える場合には、バイパス溝11aの底部が外筒10の内周から離間し過ぎてしまうことによって、該底部に残存する液剤の量が多くなってしまう。
これに対して本実施形態では、バイパス溝11aの深さFが上記の適切な範囲に設定されているため、バイパス溝11a内に残存する液剤を最低限に抑えることができる。また、これによって、外筒10の破断強度を高く確保することもできる。
なお、バイパス溝11aの断面形状としては、例えば図8(a)に示すような略半円形状にしてもよいし、図8(b)に示すように略台形状をしてもよい。または、図8(c)に示すように、頂角のより小さい略二等辺三角形状としてもよい。どの断面形状のバイパス溝を採用するにしても図8に示すとおり、各角の形状は全て丸みを持たせて、鋭い角を持たせないようにすることで外筒の破折強度を低下させないことと、成型をし易くすると同時に溝内部に液剤の残留が少なくなるように配慮してある。
これによってもバイパス溝11aの断面形状を矩形状にする場合に比べて、液剤の残留を抑制することができる。
即ち、複数のバイパス溝11aの断面積の合計である総断面積が外筒10の内周断面積の0.8%または0.65%を下回る場合、液剤のバイパス溝11aにおける流動抵抗が大きいため、液剤の全てがバイパス溝11aを介してミドルストッパーの前端側に流入する前に該ミドルストッパーが前進してしまうおそれがある。
したがって、本実施形態では、バイパス溝11aの総断面積の上記範囲に設定することで、当該不都合を解消することができる。
〔実施例1〕
外筒の直径が8.65mm、内径が6.85mm、バイパス溝の長さ10mm、内周断面積36.83mm2、内周の長さ21.5mmの二室式容器兼用注射器について、プランジャーロッドの移動速度を変化させた場合におけるミドルストッパーの移動の有無についてバイパス溝の本数、深さ、幅、断面積を種々変えて試験を行った。プランジャーロッドの移動速度は、10mm/secから100mm/secまで10mm/sec刻みとした。表1に試験結果を示す。表1において○は合格(ミドルストッパーの前進なし)、×は不合格(ミドルストッパーの前進あり)を示している。
外筒の直径が12.5mm、内径が10.5mm、バイパス溝の長さ10mm、内周断面積86.54mm2、内周の長さ33.0mmの二室式容器兼用注射器について、プランジャーロッドの移動速度を変化させた場合におけるミドルストッパーの前進の有無についバイパス溝の本数、深さ、幅、断面積を種々変えて試験を行った。プランジャーロッドの移動速度は、10mm/secから100mm/secまで10mm/sec刻みとした。表3に試験結果を示す。表3において○は合格(ミドルストッパーの前進なし)、×は不合格(ミドルストッパーの前進あり)を示している。
外筒の直径が16.0mm、内径が14.0mm、バイパス溝の長さ10mm、内周断面積153.86mm2、内周の長さ44.0mmの二室式容器兼用注射器について、プランジャーロッドの移動速度を変化させた場合におけるミドルストッパーの前進の有無についてバイパス溝の本数、深さ、幅、断面積を種々変えて試験を行った。プランジャーロッドの移動速度は、10mm/secから100mm/secまで10mm/sec刻みとした。表5に試験結果を示す。表5において○は合格(ミドルストッパーの前進なし)、×は不合格(ミドルストッパーの前進あり)を示している。
〔各バイパス溝の断面積について〕
上記の試験結果に基づいて、各バイパスの断面積と合格・不合格との関係をまとめたものを表7に示す。
また、外筒の内径が10.5mm、14.0mmの場合には、バイパス溝の断面積が、外筒の内周断面積の0.107%以上0.155%以下であれば、プランジャーロッドの移動速度が20mm/sec〜100mm/secの際にミドルストッパーが前進せず、液剤がバイパス溝を円滑に流通できることがわかる。また、このような効果は、バイパス溝の断面積が、外筒の内周断面積の0.105%以上0.155%以下の範囲であっても同様に奏するものと推察できる。さらに、外筒の内径が10.5mm、14.0mmの場合に限られず、当該内径が10.1mm以上18.0mm以下であっても同様の効果を奏するものと推察できる。
また、外筒の内径が10.5mm、14.0mmの場合には、バイパス溝の総断面積が、外筒の内周断面積の0.65%以上2.15%以下であれば、プランジャーロッドの移動速度が20mm/sec〜100mm/secの際にミドルストッパーが前進せず、液剤がバイパス溝を円滑に流通できることがわかる。また、外筒の内径が10.5mm、14.0mmの場合に限らず、当該内径が10.1mm以上18.0mm以下であっても同様の効果を奏するものと推察できる。
また、外筒の内径が10.5mm、14.0mmの場合には、バイパス溝の深さが、外筒の内径の2.19%以上3.21%以下であれば、プランジャーロッドの移動速度が20mm/sec〜100mm/secの際にミドルストッパーが前進せず、液剤がバイパス溝を円滑に流通できることがわかる。また、このような効果は、バイパス溝の深さが、外筒の内径の2.1%以上3.3%以下の範囲であっても同様に奏するものと推察できる。さらに、外筒の内径が10.5mm、14.0mmの場合に限られず、当該内径が10.1mm以上18.0mm以下であっても同様の効果を奏するものと推察できる。
11 バイパス部
11a バイパス溝
12 先端側円筒部
13 後端側円筒部
14 リング状突起
15 リング状突起
18 フロントアッセンブリ
20 ハブルアーロック
21 基端部
22 円筒部
23 ルアー先
23a 導入孔
24 嵌着孔
24a リング状溝
25 バイパスチャンバー
25a 前端面
26 溝部
26a 直線溝
26b 管状溝
30 フロントストッパー
40 ミドルストッパー
50 エンドストッパー
60 フィンガーグリップ
61 嵌着部
62 フランジ部
70 プランジャーロッド
100 二室式容器兼用注射器
O 軸線
S 製剤
L 液剤
直径 D
内径 d
間隔 I
深さ F
Claims (7)
- 軸線を中心として内径が該軸線方向にわたって一様とされた円筒形状をなすとともに、前記軸線方向の一部に内周面から凹むようにして成型されたバイパス溝を有する外筒と、
該外筒の先端に設けられたフロントアッセンブリと、
前記外筒の後端に設けられたフィンガーグリップと、
前記外筒内における前記バイパス溝の先端側に嵌入されたフロントストッパーと、
前記外筒内における前記バイパス溝の後端側に嵌入されて前記フロントストッパーとともに製剤を封止するミドルストッパーと、
前記外筒内における前記ミドルストッパーの後端側に嵌入されて前記ミドルストッパーとともに液剤を封止するエンドストッパーと、
前記フィンガーグリップを挿通して前記エンドストッパーに後端側から接続されるプランジャーロッドとを備え、
前記外筒の内径が6.0mm以上10.0mm以下とされ、
前記バイパス溝が、前記軸線の周方向に間隔をあけて複数成型され、
各前記バイパス溝の前記軸線に直交する断面積が、前記外筒の前記軸線に直交する内周断面積の0.13%以上0.24%以下とされ、
前記内周面から凹む前記バイパス溝の深さが、前記外筒の内径の2.7%以上3.8%以下とされていることを特徴とする二室式容器兼用注射器。 - 全ての前記バイパス溝の前記軸線に直交する断面積の合計が、前記外筒の前記軸線に直交する内周断面積の0.8%〜2.4%とされていることを特徴とする請求項1に記載の二室式容器兼用注射器。
- 軸線を中心として内径が該軸線方向にわたって一様とされた円筒形状をなすとともに、前記軸線方向の一部に内周面から凹むようにして成型されたバイパス溝を有する外筒と、
該外筒の先端に設けられたフロントアッセンブリと、
前記外筒の後端に設けられたフィンガーグリップと、
前記外筒内における前記バイパス溝の先端側に嵌入されたフロントストッパーと、
前記外筒内における前記バイパス溝の後端側に嵌入されて前記フロントストッパーとともに製剤を封止するミドルストッパーと、
前記外筒内における前記ミドルストッパーの後端側に嵌入されて前記ミドルストッパーとともに液剤を封止するエンドストッパーと、
前記フィンガーグリップを挿通して前記エンドストッパーに後端側から接続されるプランジャーロッドとを備え、
前記外筒の内径が10.1mm以上18.0mm以下とされ、
前記バイパス溝が、前記軸線の周方向に間隔をあけて複数成型され、
各前記バイパス溝の前記軸線に直交する断面積が、前記外筒の前記軸線に直交する内周断面積の0.105%以上0.160%以下とされ、
前記内周面から凹む前記バイパス溝の深さが、前記外筒の内径の2.1%以上3.3%以下とされていることを特徴とする二室式容器兼用注射器。 - 全ての前記バイパス溝の前記軸線に直交する断面積の合計が、前記外筒の前記軸線に直交する内周断面積の0.65%〜2.15%とされていることを特徴とする請求項3に記載の二室式容器兼用注射器。
- 前記軸線の周方向に隣り合うバイパス溝における周方向中央同士の間隔が、2.0mm〜7.3mmの範囲とされていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の二室式容器兼用注射器。
- 前記バイパス溝の前記軸線に直交する断面形状が、三角形、台形、半円形のいずれかの形状、または、これらを組み合わせた形状であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の二室式容器兼用注射器。
- 前記外筒が、ガラス又は合成樹脂から成型されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の二室式容器兼用注射器。
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