JP2014153528A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な低温定着性を有しながらも、優れた耐熱保管性および耐破砕性を有する静電荷像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】少なくとも結着樹脂を含有するトナー粒子よりなる静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂が下記一般式(1)で表わされる重合性単量体を重合してなる重合体を含有することを特徴とする。〔一般式(1)中、R1 およびR2 は、各々独立に、炭素数1〜60の脂肪族炭化水素基、当該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子と置換している脂肪族基、または、前記脂肪族炭化水素基もしくは前記脂肪族基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基を示し、R3 およびR4 は、各々独立に、水素原子または脂肪族炭化水素基を示す。〕

【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に用いられる静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)に関する。
従来、トナーに用いられる樹脂材料としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、グラフト化されたアクリル樹脂を有するポリエステル樹脂等のハイブリッド樹脂等が挙げられ、トナーの用途に応じた設計が行われている。
特に、加熱ローラー定着用のトナーの樹脂材料には、記録媒体への定着性および耐オフセット性の向上が要求されており、これまで主として高分子量の熱可塑性樹脂または部分的に架橋した熱可塑性樹脂が用いられてきた。
プリンターやコピー機の高速化および省エネルギー化に伴い、低温定着性に優れたトナーがますます求められているが、上記のような樹脂材料を用いた場合には、トナーを溶融し定着させる温度(定着温度)を高く設定する必要があり、省エネルギー化を達成することは難しい。
トナーに低温定着性を発現させるためには、樹脂材料として溶融温度や溶融粘度の低いものを用いる必要があり、そのためには、ガラス転移温度(Tg)や分子量の小さい樹脂材料を用いることが重要である。
しかしながら、このような対策ではトナーが耐熱保管性(耐ブロッキング性)の低いものとなるという新たな問題が生じる。
このように、トナーの低温定着性と耐熱保管性とを互いに両立させることは本質的に難しい。
上記問題を解決する手段として、非結晶性樹脂をコア粒子に含み、その表面を結晶性ポリエステル樹脂で被覆したトナーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、結晶性ポリエステル樹脂は硬いものの脆いという性質があるため、現像器内での撹拌により、トナーが破砕され易く、特に高速機においてはトナーの破砕が顕著に発生する。
特許文献2には、低融点の結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを混合し、相溶化度を制御することで低温定着性を得る技術が提案されている。
しかしながら、結晶性樹脂と非結晶性樹脂との相溶化が進行することで、混合樹脂の可塑化が起こり、十分な耐熱保管性(耐ブロッキング性)が得られないという問題がある。
汎用性の高いスチレン−アクリル共重合体樹脂等のビニル系樹脂においては、低温定着性を発現させるためには、低分子量の樹脂を用いることが必要であるが、この場合、十分な耐破砕性が得られないという問題がある。
このようなトナーを長時間使用すると、現像器内でのキャリアとの摩擦の際、破壊し、それが微粉トナーとなり、キャリア表面に付着しやすくなる。さらにそれがキャリアに融着することにより、キャリアの帯電付与機能が低下することとなり、トナーの帯電量が低下する。その結果、帯電不良を起こしたトナーが飛散し、画像に地カブリを発生させる等の問題がある。
結局、結晶性樹脂を用いたトナーでは、結晶性樹脂の利点である低温定着性は確保できるものの、耐熱保管性および耐破砕性を十分に満足することができない。
特開2007−57660号公報 特許第4267427号公報
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、十分な低温定着性を有しながらも、優れた耐熱保管性および耐破砕性を有する静電荷像現像用トナーを提供することにある。
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂を含有するトナー粒子よりなる静電荷像現像用トナーであって、
前記結着樹脂が下記一般式(1)で表わされる重合性単量体を重合してなる重合体を含有することを特徴とする。
〔一般式(1)中、R1 およびR2 は、各々独立に、炭素数1〜60の脂肪族炭化水素基、当該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子と置換している脂肪族基、または、前記脂肪族炭化水素基もしくは前記脂肪族基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基を示し、R3 およびR4 は、各々独立に、水素原子または脂肪族炭化水素基を示す。〕
本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、前記重合体が、前記一般式(1)で表わされる重合性単量体とアクリル酸ブチルとを共重合してなるものであることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、前記アクリル酸ブチルの含有量が、前記重合体を形成するためのモノマーの全量に対して5〜40質量%であることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、ガラス転移温度が40〜80℃であることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂を含有するトナー粒子よりなる静電荷像現像用トナーであって、
前記結着樹脂が下記一般式(2)で表わされる重合性単量体と、下記一般式(3)で表わされる重合性単量体とを共重合してなる共重合体を含有することを特徴とする。
〔一般式(2)中、R5 およびR6 は、各々独立に、炭素数3以下の脂肪族炭化水素基、当該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子と置換している脂肪族基、または、前記脂肪族炭化水素基もしくは前記脂肪族基を置換基として有していてもよい縮合数が3以下の芳香族炭化水素基を示し、R7 およびR8 は、各々独立に、水素原子または炭素数3以下の脂肪族炭化水素基を示す。〕
〔一般式(3)中、R9 およびR10は、各々独立に、脂肪族炭化水素基、当該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子と置換している脂肪族基、または、前記脂肪族炭化水素基もしくは前記脂肪族基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。ただし、R9 およびR10のうち少なくとも一方は、炭素数4〜60の脂肪族炭化水素基、または、当該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子と置換している脂肪族基を示す。R11およびR12は、各々独立に、水素原子または脂肪族炭化水素基を示す。〕
本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、前記共重合体において、前記一般式(2)で表わされる重合性単量体と前記一般式(3)で表わされる重合性単量体との質量比が50:50〜99:1であることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、前記一般式(2)で表わされる重合性単量体と前記一般式(3)で表わされる重合性単量体と合計の含有量が、前記共重合体を形成するためのモノマーの全量に対して40〜95質量%であることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、前記共重合体が、前記一般式(2)で表わされる重合性単量体と、前記一般式(3)で表わされる重合性単量体と、アクリル酸ブチルとを共重合してなるものであることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、前記アクリル酸ブチルの含有量が、前記共重合体を形成するためのモノマーの全量に対して5〜40質量%であることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、ガラス転移温度が40〜80℃であることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーによれば、結着樹脂が、一般式(1)で表わされる重合性単量体(以下、「特定のアクリル系単量体(1)」ともいう。)を重合してなる重合体(以下、「特定のアクリル系重合体」ともいう。)、および、一般式(2)で表わされる重合性単量体(以下、「特定のアクリル系単量体(2)」ともいう。)と一般式(3)で表わされる重合性単量体(以下、「特定のアクリル系単量体(3)」ともいう。)とを共重合してなる共重合体(以下、「特定のアクリル系共重合体」ともいう。)のうち少なくとも一方を含有することにより、十分な低温定着性を有しながらも、優れた耐熱保管性および耐破砕性を有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
〔トナー〕
本発明のトナーは、特定のアクリル系単量体(1)を重合してなる特定のアクリル系重合体、および、特定のアクリル系単量体(2)と特定のアクリル系単量体(3)とを共重合してなる特定のアクリル系共重合体のうち少なくとも一方を含有する結着樹脂を含むトナー粒子よりなり、当該トナー粒子は、所望に応じて、さらに、着色剤、磁性粉、離型剤、荷電制御剤等を含有するものとすることができる。また、当該トナー粒子に対して、流動化剤やクリーニング助剤等の外添剤を添加するものとすることもできる。
〔結着樹脂〕
(特定のアクリル系重合体)
本発明のトナーにおける結着樹脂として構成され得る特定のアクリル系重合体は、モノマーとして、少なくとも特定のアクリル系単量体(1)を用いて形成されるものである。
特定のアクリル系単量体(1)を示す上記一般式(1)中、R1 およびR2 は、各々独立に、炭素数1〜60の脂肪族炭化水素基、この炭素数1〜60の脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子と置換している脂肪族基(以下、「特定の脂肪族基(1)」ともいう。)、または、当該炭素数1〜60の脂肪族炭化水素基もしくは特定の脂肪族基(1)を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。
1 およびR2 として選択され得る炭素数1〜60の脂肪族炭化水素基は、主鎖を構成する炭素原子の数が1〜60であればよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、イソブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−エチルプロピル基、1,1,2,2−テトラメチルプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−デセニル基、ラウリル基、ミリスチル基、ミリストレイル基、n−ペンタデシル基、n−ペンタデセニル基、パルミチル基、パルミトレイル基、n−ヘキサデカジエニル基、n−ヘキサデカトリエニル基、n−ヘキサデカテトラエニル基、n−ヘプタデカニル基、n−ヘプタデセニル基、ステアリル基、オレイル基、リノーリル基、α−リノレニル基、γ−リノレニル基、n−オクタデカテトラエニル基、アラキジニル基、n−イコセニル基、n−イコサジエニル基、n−イコサトリエニル基、n−イコサテトラエニル基、アラキドニル基、n−イコサペンタエニル基、n−ヘンイコサペンタデセニル基、ベヘニル基、n−ドコセニル基、n−ドコサジエニル基、n−ドコサテトラデセニル基、n−ドコサペンタエニル基、n−ドコサヘキサエニル基、リグノセリニル基、テトラコセニル基等が挙げられ、中でもメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、ラウリル基、n−ペンタデシル基、ステアリル基等の主鎖を構成する炭素原子の数が20以下のものが、モノマーの合成や精製のし易さの観点から好ましく、炭素原子の数が1〜10のものがより好ましい。
1 およびR2 として選択され得る特定の脂肪族基(1)としては、例えば、1−メトキシプロピル基、(1−メチルチオ)エチル基、ジメチルエチルシリル基、ジメチルアミノメチル基、2−エトキシエチル基、3−エトキシデシル基、2−メチルチオヘキシル基、5−トリメチルシリルペンチル基、5−ジメチルアミノオクチル基等が挙げられ、中でも1−メトキシプロピル基や2−エトキシエチル基などエーテル結合を含む脂肪族基が、熱物性の安定化の観点から好ましい。このような特定の脂肪族基(1)における酸素原子の置換量は、全炭素原子の半分以下であることが好ましい。酸素原子の置換量が全炭素原子の半分を超えると、得られる特定のアクリル系重合体の弾性率および耐熱性が低下するおそれがある。
1 およびR2 として選択され得る、炭素数1〜60の脂肪族炭化水素基または特定の脂肪族基(1)を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、無置換のものとしては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられ、置換基を有するものとしては、イソプロピルフェニル基、エチルナフチル基、メトキシアントリル基、ジメチルフェナントリル基等が挙げられ、中でもフェニル基が、モノマーの合成のし易さの観点から好ましい。
一般式(1)中、R1 およびR2 としては、特にR1 は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、R2 は炭素数5〜20の脂肪族炭化水素基が好ましい。
ここで、「主鎖」とは、脂肪族基を構成する最も長い鎖をいう。
また、一般式(1)中、R3 およびR4 は、各々独立に、水素原子または脂肪族炭化水素基を示す。
3 およびR4 として選択され得る脂肪族炭化水素基としては、重合反応性がより向上するという観点から、炭素数4以下、具体的には、主鎖を構成する炭素原子の数が4以下の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
一般式(1)中、R3 およびR4 としては、重合反応性がより向上するという観点から、少なくとも一方が水素原子であることが好ましく、その両方が水素原子であることが特に好ましい。
特定のアクリル系単量体(1)の具体例としては、以下化合物(1)〜(5)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以上のような特定のアクリル系単量体(1)は、1種単独で用いてもよく、または2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る特定のアクリル系重合体は、少なくとも、特定のアクリル系単量体(1)を重合せしめてなるものであるが、このような重合の際に採用し得る重合方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。このような公知の重合方法としては、例えば、エマルション重合法、ソープフリーエマルション重合法、溶液重合法、溶媒を用いないモノマーのみによる重合法、懸濁重合法、ラジカル重合法、アニオン重合法、光重合法等が挙げられ、その際に用いられる重合開始剤(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過硫酸アンモニウム、n−ブチルリチウム等)、溶剤(キシレン、トルエン、イソプロパノール、水等)等としても公知のものが適宜選択して用いられる。
また、このような重合反応における諸条件は、採用する重合方法に沿って適宜設定する
ことができ、特に制限されないが、例えば、重合開始剤の含有量をモノマーに対して0.01〜10mol%程度とし、モノマー濃度を10〜100質量%程度とし、雰囲気を窒素等の不活性ガス雰囲気とし、反応温度を−100〜150℃程度とし、反応時間を1〜48時間程度とするような条件を採用してもよい。
本発明において、特定のアクリル系重合体は、特定のアクリル系単量体(1)のみから形成される単独重合体であってもよいが、特定のアクリル系単量体(1)とその他の重合性単量体とにより形成される共重合体であることが好ましい。
特定のアクリル系単量体(1)と共重合可能なその他の重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、スチレン系単量体、イオン性解離基を有する重合性単量体等を挙げることができる。特に、その他の重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体による共重合体、スチレン系単量体を用いることが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル等のアクリル酸エステル誘導体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体等が挙げられる。これらのうち、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルを用いることが好ましい。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでは、特に、熱物性の安定化の観点からアクリル酸ブチルを用いることが好ましい。
スチレン系単量体の具体例としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等のスチレンあるいはスチレン誘導体が挙げられる。これらのうち、スチレンを用いることが好ましい。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
イオン性解離基とは、例えばカルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基をいい、イオン性解離基を有する重合性単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、スチレンスルフォン酸、アクリルアミドプロピルスルフォン酸等が挙げられる。これらのうち、アクリル酸、メタクリル酸を用いることが好ましい。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
特定のアクリル系単量体(1)は、特に良好なラジカル重合性を有し、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル等のビニルモノマーと共重合可能な化合物である。トナーに低温定着性を発現させるために必要な貯蔵弾性率を結着樹脂が得るには、側鎖の長さを適切なものに制御する必要があるが、本発明に係る特定のアクリル系単量体(1)は、構造的特徴として、モノマー中にエステル基を2つ有し、これが重合体中において嵩高い置換基として振る舞うため主鎖が非常に剛直なものとなり、低温定着性を維持しながらも、常温弾性率および耐熱性を向上させることが可能となる。また、特定のアクリル系単量体(1)とアクリル酸ブチル等とを共重合させても、置換基同士が反発せず、分子同士の絡み合いが増加し、トナーの物理的耐久性をより向上させることができる。
特定のアクリル系単量体(1)の含有量(共重合比率)は、特定のアクリル系重合体を形成するためのモノマーの全量に対して40〜95質量%であることが好ましく、50〜90質量%であることがより好ましい。
特定のアクリル系単量体(1)の含有量が上記範囲内であることにより、十分な低温定着性を有しながらも、優れた耐熱保管性および耐破砕性が確実に得られる。
また、特定のアクリル系単量体(1)と(メタ)アクリル酸エステル系単量体とによる共重合体における(メタ)アクリル酸エステル系単量体の含有量(共重合比率)は、特定のアクリル系重合体を形成するためのモノマーの全量に対して5〜50質量%であることが好ましい。特に、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてアクリル酸ブチルを用いる場合においては、アクリル酸ブチルの含有量(共重合比率)は、特定のアクリル系重合体を形成するためのモノマーの全量に対して5〜40質量%であることが好ましい。
さらに、特定のアクリル系単量体(1)とスチレン系単量体とによる共重合体におけるスチレン系単量体の含有量(共重合比率)は、特定のアクリル系重合体を形成するためのモノマーの全量に対して5〜20質量%であることが好ましい。
特定のアクリル系重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されたスチレン換算分子量による分子量分布から得られるピーク分子量が1,500〜60,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜40,000である。ここに、ピーク分子量とは、分子量分布におけるピークトップの溶出時間に相当する分子量をいう。分子量分布におけるピークトップが複数存在する場合は、ピーク面積比率の一番大きなピークトップの溶出時間に相当する分子量をいう。
本発明において、特定のアクリル系重合体のピーク分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるものである。具体的には、装置「HLC−8220」(東ソー社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2ml/minで流し、測定試料(特定のアクリル系重合体)を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出される。検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いた。
(特定のアクリル系共重合体)
本発明のトナーにおける結着樹脂として構成され得る特定のアクリル系共重合体は、モノマーとして、特定のアクリル系単量体(2)および特定のアクリル系単量体(3)の少なくとも2種を用いて形成されるものである。
本発明において、側鎖の長さ(具体的には、特定のアクリル系単量体(2)におけるR6 、特定のアクリル系単量体(3)におけるR10)が異なる2種以上の特定のアクリル系単量体を用いることにより、置換基同士の反発がなく、分子同士の絡み合いが増加し、トナーの物理的耐久性を向上させることができる。また、同種のアクリル系単量体を用いることにより、相溶性が向上し、重合反応が安定化できる。
なお、特定のアクリル系共重合体は、上述した特定のアクリル系重合体の一態様ともいうことができる。すなわち、特定のアクリル系共重合体は、異なる2種の特定のアクリル系単量体(1)を共重合してなるものであって、特定のアクリル系重合体の態様のうちのひとつである。
特定のアクリル系単量体(2)を示す上記一般式(2)中、R5 およびR6 は、各々独立に、炭素数3以下の脂肪族炭化水素基、この炭素数3以下の脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子と置換している脂肪族基(以下、「特定の脂肪族基(2)」ともいう。)、または、当該炭素数3以下の脂肪族炭化水素基もしくは特定の脂肪族基(2)を置換基として有していてもよい縮合数が3以下の芳香族炭化水素基を示す。
5 およびR6 として選択され得る炭素数3以下の脂肪族炭化水素基は、主鎖を構成する炭素原子の数が3以下であればよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、イソブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−エチルプロピル基、1,1,2,2−テトラメチルプロピル基等が挙げられ、中でも、モノマーの合成、精製のし易さの観点から、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基が好ましい。
また、R5 およびR6 が共に脂肪族炭化水素基の場合には、弾性率の向上という観点からは、両者がメチル基、エチル基、イソプロピル基またはt−ブチル基であることが好ましく、メチル基またはエチル基であることが更に好ましい。
5 およびR6 として選択され得る特定の脂肪族基(2)としては、例えば、1−メトキシプロピル基、(1−メチルチオ)エチル基、ジメチルエチルシリル基、ジメチルアミノメチル基等が挙げられ中でもエーテル結合を含む脂肪族基が、熱物性の安定化の観点から好ましい。なお、このような特定の脂肪族基(2)における酸素原子の置換量は、全炭素原子の半分以下であることが好ましい。酸素原子の置換量が全炭素原子の半分を超えると、得られる特定のアクリル系共重合体の弾性率および耐熱性が低下する傾向にある。
5 およびR6 として選択され得る、炭素数3以下の脂肪族炭化水素基または特定の脂肪族基(2)を置換基として有していてもよい縮合数が3以下の芳香族炭化水素基としては、例えば、無置換のものとしては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基などが挙げられ、置換基を有するものとしては、イソプロピルフェニル基、エチルナフチル基、メトキシアントリル基等が挙げられ、中でもフェニル基が、モノマーの合成のし易さの観点から好ましい。
ここで、「縮合数」とは、ヘテロ原子や置換基を含まない状態で縮合した芳香環の数をいう。
一般式(2)中のR5 およびR6 としては、一般式(3)との組合せにおいて重合反応性がより向上するとの観点から、少なくとも一方が炭素数3以下の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、その両方が炭素数3以下の脂肪族炭化水素基であることが更に好ましい。
また、一般式(2)中、R7 およびR8 は、各々独立に、水素原子または炭素数3以下の脂肪族炭化水素基を示す。
7 およびR8 として選択され得る炭素数3以下の脂肪族炭化水素基は、主鎖を構成する炭素原子の数が3以下であれよく、R5 およびR6 として選択され得る炭素数3以下の脂肪族炭化水素基で挙げた具体例と同様のものが挙げられる。
一般式(2)中のR7 およびR8 としては、重合反応性がより向上するという観点から、少なくとも一方が水素原子であることが好ましく、その両方が水素原子であることが特に好ましい。
以上のような特定のアクリル系単量体(2)は、1種単独で用いてもよく、または2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
特定のアクリル系単量体(3)を示す上記一般式(3)中、R9 およびR10は、各々独立に、脂肪族炭化水素基、この脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子と置換している脂肪族基(以下、「特定の脂肪族基(3)」ともいう。)、または、当該脂肪族炭化水素基もしくは特定の脂肪族基(3)を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。ただし、R9 およびR10のうち少なくとも一方は、炭素数4〜60の脂肪族炭化水素基、または、この炭素数4〜60の脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子と置換している脂肪族基(以下、「特定の脂肪族基(3’)」ともいう。)を示す。
9 およびR10として選択され得る炭素数4〜60の脂肪族炭化水素基は、主鎖を構成する炭素原子の数が4〜60であればよく、具体的には、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−デセニル基、ラウリル基、ミリスチル基、ミリストレイル基、n−ペンタデシル基、n−ペンタデセニル基、パルミチル基、パルミトレイル基、n−ヘキサデカジエニル基、n−ヘキサデカトリエニル基、n−ヘキサデカテトラエニル基、n−ヘプタデカニル基、n−ヘプタデセニル基、ステアリル基、オレイル基、リノーリル基、α−リノレニル基、γ−リノレニル基、n−オクタデカテトラエニル基、アラキジニル基、n−イコセニル基、n−イコサジエニル基、n−イコサトリエニル基、n−イコサテトラエニル基、アラキドニル基、n−イコサペンタエニル基、n−ヘンイコサペンタデセニル基、ベヘニル基、n−ドコセニル基、n−ドコサジエニル基、n−ドコサテトラデセニル基、n−ドコサペンタエニル基、n−ドコサヘキサエニル基、リグノセリニル基、テトラコセニルが挙げられ、中でも、モノマーの合成し易さおよび得られる特定のアクリル系共重合体の弾性率の観点から、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、ラウリル基、n−ペンタデシル基、ステアリル等の主鎖を構成する炭素原子の数が4〜20のものが好ましい。なお、このような炭素数4〜60の脂肪族炭化水素基は、主鎖の炭素数が60を超えない範囲でアルキル基またはこのアルキル基中の炭素原子の一部が酸素で置換された基を置換基として有していてもよい。
9 およびR10として選択され得る、特定の脂肪族基(3’)としては、特に制限されないが、例えば、2−エトキシエチル基、3−エトキシデシル基等が挙げられ、中でもエーテル結合を含む脂肪族基が、熱物性の安定化の観点から好ましい。
また、R9 またはR10が、炭素数4〜60の脂肪族炭化水素基、または、特定の脂肪族基(3’)に該当しない場合においては、肪族炭化水素基、特定の脂肪族基(3)、または、当該脂肪族炭化水素基もしくは特定の脂肪族基(3)を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基を示すが、モノマー合成時の精製し易さ(R9 およびR10が共に、主鎖がより長いもの(主鎖を構成する炭素原子の数がより大きな値のもの)となると、モノマーの沸点がより高くなり、蒸留等での精製がより困難となる傾向にある。)の観点から、脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。このような脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることが更に好ましく、メチル基、エチル基であることが特に好ましい。なお、このような脂肪族炭化水素基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。また、特定の脂肪族基(3)としては、例えば、1−メトキシプロピル基、2−エトキシエチル基などが挙げられ、脂肪族炭化水素基もしくは特定の脂肪族基(3)を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、イソプロピルフェニル基などが挙げられる。
一般式(3)中、R9 およびR10としては、一般式(2)との組合せにおいて重合反応性がより向上するとの観点から、少なくとも一方が炭素数4以上の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、片方が炭素数3以下の脂肪族炭化水素基であることが更に好ましい。
また、一般式(3)中、R11およびR12は、各々独立に、水素原子または脂肪族炭化水素基を示す。
11およびR12として選択され得る脂肪族炭化水素基としては、重合反応性がより向上するという観点から、炭素数4以下、具体的には、主鎖を構成する炭素原子の数が4以下の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
一般式(3)中のR11およびR12としては、重合反応性がより向上するという観点から、少なくとも一方が水素原子であることが好ましく、その両方が水素原子であることが特に好ましい。
以上のような特定のアクリル系単量体(3)は、1種単独で用いてもよく、または2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る特定のアクリル系共重合体は、少なくとも、特定のアクリル系単量体(2)と特定のアクリル系単量体(3)とを共重合せしめてなるものであるが、このような重合の際に採用し得る重合方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。このような公知の重合方法としては、例えば、エマルション重合法、ソープフリーエマルション重合法、溶液重合法、溶媒を用いないモノマーのみによる重合法、懸濁重合法、ラジカル重合法、アニオン重合法、光重合法等が挙げられ、その際に用いられる重合開始剤(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過硫酸アンモニウム、n−ブチルリチウム等)、溶剤(キシレン、トルエン、イソプロパノール、水等)等としても公知のものが適宜選択して用いられる。
また、このような重合反応における諸条件は、採用する重合方法に沿って適宜設定する
ことができ、特に制限されないが、例えば、重合開始剤の含有量をモノマーに対して0.01〜10mol%程度とし、モノマー濃度を10〜100質量%程度とし、雰囲気を窒素等の不活性ガス雰囲気とし、反応温度を−100〜150℃程度とし、反応時間を1〜48時間程度とするような条件を採用してもよい。
本発明において、特定のアクリル系共重合体は、特定のアクリル系単量体(2)と特定のアクリル系単量体(3)とのみにより形成される共重合体であってもよいが、特定のアクリル系単量体(2)と特定のアクリル系単量体(3)とその他の重合性単量体とにより形成される共重合体とすることもできる。
特定のアクリル系単量体(2)および特定のアクリル系単量体(3)と共重合可能なその他の重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、スチレン系単量体、イオン性解離基を有する重合性単量体等を挙げることができる。特に、その他の重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体による共重合体、スチレン系単量体を用いることが好ましい。
他の重合性単量体としての(メタ)アクリル酸エステル系単量体、スチレン系単量体およびイオン性解離基を有する重合性単量体としては、特定のアクリル系単量体(1)で挙げた具体例と同様のものを挙げることができる。
本発明においては、特定のアクリル系共重合体としては、特定のアクリル系単量体(2)、特定のアクリル系単量体(3)および(メタ)アクリル酸エステル系単量体、特にアクリル酸ブチルによる共重合体を用いることが、トナーにおける耐破砕性を向上させる観点から好ましい。
特定のアクリル系単量体(2)および特定のアクリル系単量体(3)は、特に良好なラジカル重合性を有し、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル等のビニルモノマーと共重合可能な化合物である。トナーに低温定着性を発現させるために必要な貯蔵弾性率を結着樹脂が得るには、側鎖の長さを適切なものに制御する必要があるが、本発明に係る特定のアクリル系単量体(2)および特定のアクリル系単量体(3)は、構造的特徴として、モノマー中にエステル基を2つ有し、これが重合体中において嵩高い置換基として振る舞うため主鎖が非常に剛直なものとなり、低温定着性を維持しながらも、常温弾性率および耐熱性を向上させることが可能となる。また特定のアクリル系単量体(2)および特定のアクリル系単量体(3)とアクリル酸ブチル等とを共重合させても、置換基同士が反発せず、分子同士の絡み合いが増加し、トナーの物理的耐久性を向上させることができる。
特定のアクリル系共重合体においては、特定のアクリル系単量体(2)と特定のアクリル系単量体(3)との質量比(特定のアクリル系単量体(2):特定のアクリル系単量体(3))が50:50〜99:1であることが好ましく、より好ましくは60:40〜90:10である。
特定のアクリル系単量体(2)と特定のアクリル系単量体(3)との質量比が上記範囲内であることにより、十分な低温定着性を有しながらも、優れた耐熱保管性および耐破砕性が確実に得られる。
また、特定のアクリル系単量体(3)中のR9 およびR10のうち少なくとも一方が主鎖を構成する炭素原子の数が6〜10の脂肪族炭化水素基である場合には、前記質量比は60:40〜99:1であることが好ましく、60:40〜90:10であることがより好ましい。更に、特定のアクリル系単量体(3)中のR9 およびR10のうち少なくとも一方が主鎖を構成する炭素原子の数が11〜60の脂肪族炭化水素基である場合には、前記質量比は70:30〜99:1であることが好ましく、70:30〜90:10であることがより好ましい。
特定のアクリル系単量体(2)と特定のアクリル系単量体(3)との合計の含有量(共重合比率)は、特定のアクリル系共重合体を形成するためのモノマーの全量に対して40〜95質量%であることが好ましく、50〜90質量%であることがより好ましい。
特定のアクリル系単量体(2)と特定のアクリル系単量体(3)との合計の含有量が上記範囲内であることにより、十分な低温定着性を有しながらも、優れた耐熱保管性および耐破砕性が確実に得られる。
また、特定のアクリル系単量体(2)と特定のアクリル系単量体(3)と(メタ)アクリル酸エステル系単量体とによる共重合体における(メタ)アクリル酸エステル系単量体の含有量(共重合比率)は、特定のアクリル系共重合体を形成するためのモノマーの全量に対して5〜40質量%であることが好ましい。特に、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてアクリル酸ブチルを用いる場合においては、アクリル酸ブチルの含有量(共重合比率)は、特定のアクリル系重合体を形成するためのモノマーの全量に対して5〜40質量%であることが好ましい。
さらに、特定のアクリル系単量体(2)と特定のアクリル系単量体(3)とスチレン系単量体とによる共重合体におけるスチレン系単量体の含有量(共重合比率)は、特定のアクリル系共重合体を形成するためのモノマーの全量に対して5〜20質量%であることが好ましい。
本発明に係る特定のアクリル系共重合体は、少なくとも、特定のアクリル系単量体(2)と、特定のアクリル系単量体(3)とを共重合せしめてなるものであるため、少なくとも、下記式(2)〜(3)で表わされる構造単位を含有するものとなる。このような特定のアクリル系共重合体は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよいが、各モノマーの単独重合体の特性(低常温弾性率、低耐熱性)を、特定のアクリル系共重合体が示さないようにするという観点からランダム共重合体であることが好ましい。
上記式(2)および式(3)中、R5 〜R8 は上記一般式(2)中のR5 〜R8 と同義であり、R9 〜R12は上記一般式(3)中のR9 〜R12と同義である。
特定のアクリル系共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されたスチレン換算分子量による分子量分布から得られるピーク分子量が1,500〜60,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜40,000である。
本発明において、特定のアクリル系共重合体の分子量は、上述した特定のアクリル系重合体の分子量の測定方法において、測定試料を特定のアクリル系共重合体とすることの他は同様にして測定される。
以上のような特定のアクリル系単量体(1)〜特定のアクリル系単量体(3)の調製方法は、特に限定されるものではなく、例えば、一般式(1)中のR3 およびR4 が共に水素原子である特定のアクリル系単量体(1)としては、下記反応式(I)で表わされる反応を利用することができる。
反応式(I)中のR1 およびR2 は、一般式(1)中のR1 およびR2 と同義である。
式(I−1)はピルビン酸を示すものであるが、このピルビン酸は、いわゆるバイオマス材料として用いられるものである。従って、本発明に係るアクリル系単量体(1)〜アクリル系単量体(3)は、バイオマス材料由来の原料から得ることができ、このようなモノマーを用いることにより、環境負荷を低く抑制することができる。
なお、このような反応式(I)中におけるエステル化等の反応条件は特に制限されず、用いる化合物(反応式(I)中のR2 COOHやR1 COCl)の種類等に応じて適宜変更すればよい。また、ピルビン酸エチル等(反応式(I)中の式(I−2)で表されるピルビン酸エステル)が市販されているため、式(I−1)で表されるピルビン酸を用いず、当初より式(I−2)で表されるピルビン酸エステル(市販品)を用い、それにR1 COClあるいは(R1 CO)2 O等を反応させて、最終生成物(式(I−3)で表される化合物)を製造してもよい。
本発明のトナーを構成する結着樹脂は、特定のアクリル系重合体または特定のアクリル系共重合体のみよりなるものであってもよく、特定のアクリル系重合体および特定のアクリル系共重合体のうち少なくとも一方とその他の樹脂との混合物であってもよい。
結着樹脂が他の樹脂との混合物である場合においては、他の樹脂は、結着樹脂中10〜40質量%であることが好ましい。
〔着色剤〕
本発明に係るトナー粒子が着色剤を含有するものとして構成される場合において、着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、鉄・チタン複合酸化物ブラック等が挙げられ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が挙げられる。また、磁性体としてはフェライト、マグネタイト等が挙げられる。
イエローのトナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162等の染料;C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185等の顔料が挙げられる。
マゼンタのトナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122等の染料;C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222等の顔料が挙げられる。
シアンのトナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等の染料;C.I.ピグメントブルー1、同7、同15、同60、同62、同66、同76等の顔料が挙げられる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤の含有割合は、トナー粒子中0.5〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜10質量%である。
〔磁性粉〕
また、本発明に係るトナー粒子が磁性粉を含有するものとして構成される場合において、磁性粉としては、例えばマグネタイト、γ−ヘマタイト、または各種フェライト等を使用することができる。
磁性粉の含有割合は、トナー粒子中10〜500質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜200質量%である。
〔離型剤〕
また、本発明に係るトナー粒子が離型剤を含有するものとして構成される場合において、離型剤としては、特に限定されるものではなく、公知の種々のワックスを用いることができる。ワックスとしては、低分子量ポリプロピレン、ポリエチレン、または酸化型の低分子量ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、パラフィン、合成エステルワックス等が挙げられ、特に、低融点および低粘度であることから、合成エステルワックスを用いることが好ましく、合成エステルワックスとしてベヘン酸ベヘニル、グリセリントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート等を用いることが特に好ましい。
離型剤の含有割合は、トナー粒子中1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜15質量%である。
〔荷電制御剤〕
また、本発明に係るトナー粒子が荷電制御剤を含有するものとして構成される場合において、荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の帯電を与えることのできる物質であり、かつ、無色のものであれば特に限定されず、公知の種々の正帯電性の荷電制御剤および負帯電性の荷電制御剤を用いることができる。
荷電制御剤の含有割合は、トナー粒子中0.01〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。
本発明のトナーは、ガラス転移温度が40〜80℃であることが好ましく、より好ましくは40〜70℃である。
本発明のトナーのガラス転移温度が上記範囲内であることにより、低温定着性が十分に得られる。
本発明において、トナーのガラス転移温度は、示差走査カロリメーター「DSC−7」(パーキンエルマー社製)を用いて行うことができる。
具体的には、測定試料(トナー)4.5mgをアルミニウム製パン「KIT No.0219−0041」に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットする。リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行った。ガラス転移温度は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移温度として示す。なお、1st.Heat昇温時は200℃にて5分間保持した。
本発明のトナーは、軟化点が80〜110℃であることが好ましく、より好ましくは90〜105℃である。
本発明のトナーの軟化点は、以下のように測定されるものである。
まず、20℃、50%RHの環境下において、トナー1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所製)によって3820kg/cm2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成し、次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetが、結着樹脂の軟化点とされる。
〔トナーの平均粒径〕
トナーの平均粒径は、例えば体積基準のメジアン径で4〜10μmであることが好ましく、さらに好ましくは6〜9μmとされる。
体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
トナーの体積基準のメジアン径は「コールターマルチサイザーTA−III 」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。
具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。
ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメジアン径とされる。
〔トナーの平均円形度〕
本発明のトナーは、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.950〜0.980であることが好ましい。
トナーの平均円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定した値である。具体的には、トナーを界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(Sysmex社製)によって、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3,000〜10,000個の適正濃度で撮影を行い、個々のトナー粒子について下記式(T)に従って円形度を算出し、各トナー粒子の円形度を加算し、全トナー粒子数で除することにより算出した値である。HPF検出数が上記の範囲であれば、再現性が得られる。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
以上のようなトナーによれば、結着樹脂が、特定のアクリル系単量体(1)を重合してなる重合特定のアクリル系重合体、および、特定のアクリル系単量体(2)と特定のアクリル系単量体(3)とを共重合してなる特定のアクリル系共重合体のうち少なくとも一方を含有することにより、十分な低温定着性を有しながらも、優れた耐熱保管性および耐破砕性を有する。
また、以上のようなトナーにおいて、特定のアクリル系単量体がバイオマス材料、すなわちピルビン酸由来のモノマーであることから、特定のアクリル系(共)重合体は植物由来の原料から得ることができるので、環境負荷を低く抑制することができる。
〔トナーの製造方法〕
本発明のトナーを製造する方法としては、特に限定されず、混練・粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、乳化重合凝集法、ミニエマルション重合凝集法、その他の公知の方法等を挙げることができるが、特に、生産時のエネルギーコスト削減の観点から、水系媒体において特定の重合性単量体を用いて乳化重合またはミニエマルション重合を行うことにより、特定のアクリル系重合体および特定のアクリル系共重合体のうち少なくとも一方を含有する結着樹脂よりなる微粒子(以下、「結着樹脂微粒子」ともいう。)を調製し、当該結着樹脂微粒子を必要に応じて他のトナー粒子構成成分の微粒子と共に凝集、融着する乳化重合凝集法を用いることが好ましい。また、特開2010−191043号公報に開示される懸濁重合法によってトナーを製造する方法も好ましく採用することができる。
乳化重合凝集法において、結着樹脂微粒子は、組成の異なる結着樹脂よりなる2層以上の構成とすることもでき、この場合、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)により調製した第1樹脂微粒子の分散液に、重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する多段重合法を採用することができる。
本発明のトナーを乳化重合凝集法によって得る場合の製造工程の一例を具体的に示すと、
(1A)水系媒体中において結着樹脂を形成すべき重合性単量体にラジカル重合開始剤を作用させることにより結着樹脂微粒子を得る結着樹脂微粒子重合工程、
(1B)必要に応じて、着色剤による微粒子(以下、「着色剤微粒子」ともいう。)の分散液を調製する着色剤微粒子分散液調製工程、
(2)結着樹脂微粒子および着色剤微粒子が存在している水系媒体中に、凝集剤を添加し、塩析を進行させると同時に凝集・融着を行い、会合粒子を形成する会合工程、
(3)会合粒子の形状制御をすることによりトナーを形成する熟成工程、
(4)水系媒体からトナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤等を除去する濾過、洗浄工程、
(5)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程、
(6)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程
から構成される。
ここに、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等の得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒を用いることが好ましい。
トナー粒子中に離型剤を含有させる方法としては、結着樹脂微粒子を離型剤を含有するものとして構成する方法や、トナー粒子を形成する会合工程において、水系媒体中に離型剤微粒子が分散されてなる分散液を添加し、結着樹脂微粒子と着色剤微粒子と離型剤微粒子とを塩析、凝集、融着させる方法等を挙げることができ、これらの方法を組み合わせてもよい。
また、トナー粒子中に荷電制御剤を含有させる方法としては、上記に示した離型剤を含有させる方法と同様の方法を挙げることができる。
(1A)結着樹脂微粒子重合工程
この結着樹脂微粒子重合工程は、具体的には、例えば、水系媒体中に特定のアクリル系単量体および必要に応じて他の重合性単量体を添加し、機械的エネルギーを付与して分散させて油滴を形成させておき、この状態において特定のアクリル系単量体をラジカル重合反応することにより、大きさが例えば体積基準のメジアン径で50〜300nm程度の結着樹脂微粒子を形成するものである。
油滴を形成するための機械的エネルギーを付与するための分散装置としては、特に限定されるものではなく、例えば高速回転するローターを備えた市販の撹拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)等が代表的に挙げられる。高速回転可能なローターを備えた前述の撹拌装置の他にも、超音波分散装置や機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザー等の装置を用いることができる。
ラジカル重合反応に係る温度は、用いる重合性単量体やラジカル重合開始剤の種類によっても異なるが、例えば50〜100℃であることが好ましく、より好ましくは55〜90℃である。また、ラジカル重合反応にかかる時間は、用いる重合性単量体の種類やラジカル重合開始剤からのラジカルの反応速度によっても異なるが、例えば2〜12時間であることが好ましい。
〔分散安定剤〕
結着樹脂微粒子重合工程においては、水系媒体中に微粒子を安定に分散させるために、適宜の分散安定剤を添加することができる。
分散安定剤としては、例えばリン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。また、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等の一般に界面活性剤として使用されるものも分散安定剤として使用することができる。
このような界面活性剤としては、従来公知の種々のイオン性界面活性剤やノニオン系界面活性剤等を用いることができる。
イオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルフォン酸ナトリウム、3,3−ジスルフォンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルフォン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルフォン酸ナトリウム等のスルフォン酸塩;ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等があり、脂肪酸塩には、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等の硫酸エステル塩;脂肪酸塩等が挙げられる。
また、ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等が挙げられる。
〔重合開始剤〕
結着樹脂微粒子重合工程において使用される重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、アゾビスシアノ吉草酸等の水溶性重合開始剤や、過酸化水素−アスコルビン酸のような水溶性レドックス重合開始剤、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等の油溶性重合開始剤を用いることができる。
〔連鎖移動剤〕
結着樹脂微粒子重合工程においては、特定のアクリル系重合体や特定のアクリル系共重合体の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばn−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、テトラクロロメタン等を挙げることができる。
(1B)着色剤微粒子分散液調製工程
この着色剤微粒子分散液調製工程は、トナー粒子として着色剤を含有するものを所望する場合に必要に応じて行う工程であって、着色剤を水系媒体中に微粒子状に分散させて着色剤微粒子の分散液を調製する工程である。
着色剤の分散は、機械的エネルギーを利用して行うことができる。
着色剤微粒子は、分散した状態で体積基準のメジアン径が10〜300nmとされることが好ましく、さらに好ましくは100〜200nm、特に好ましくは100〜150nmである。
着色剤微粒子の体積基準のメジアン径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定されるものである。
(2)会合工程〜(6)外添剤添加工程については、従来公知の種々の方法に従って行うことができる。
〔凝集剤〕
会合工程において使用される凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。金属塩としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩等の一価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅等の二価の金属塩;鉄、アルミニウム等の三価の金属塩等が挙げられる。具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等を挙げることができ、これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、二価の金属塩を用いることが特に好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
〔外添剤〕
上記のトナー粒子は、そのままで本発明のトナーを構成することができるが、流動性、帯電性、クリーニング性等を改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤等の外添剤を添加して本発明のトナーを構成してもよい。
外添剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子等よりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子等の無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛等の無機チタン酸化合物微粒子等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等によって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
〔現像剤〕
本発明のトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
トナーを二成分現像剤として使用する場合において、当該トナーのキャリアに対する混合量は、2〜10質量%であることが好ましい。
トナーとキャリアを混合する混合装置は、特に限定されるものではなく、ナウターミキサー、WコーンおよびV型混合機等が挙げられる。
キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。
また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂等の被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなるバインダー型キャリア等用いてもよい。
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
キャリアの体積基準のメジアン径としては20〜100μmであることが好ましく、さらに好ましくは20〜60μmとされる。キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
〔画像形成方法〕
本発明のトナーは、圧力を付与すると共に加熱することができる熱圧力定着方式による定着工程を含む画像形成方法に好適に用いることができる。特に、定着工程における定着温度が、定着ニップ部における加熱部材の表面温度において80〜110℃、好ましくは80〜95℃となる温度とされる比較的低温の定着温度において定着する画像形成方法に好適に使用することができる。
さらに、定着線速が200〜600mm/secである高速定着の画像形成方法にも好適に使用することができる。
この画像形成方法においては、具体的には、以上のようなトナーを使用して、例えば感光体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を得、このトナー像を画像支持体に転写し、その後、画像支持体上に転写されたトナー像を熱圧力定着方式の定着処理によって定着させることにより、可視画像が形成された印画物が得られる。
〔画像支持体〕
本発明のトナーを用いた画像形成方法に使用される画像支持体としては、具体的には、例えば薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙等の塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙等の各種の印刷用紙等の各種を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<特定のアクリル系単量体の合成例1>
先ず、ピルビン酸エチル(315g、2.7mol)と無水酢酸(554g、5.4mol)の混合物に、p−トルエンスルホン酸一水和物(8g)を加えて、窒素気流下、120℃で24時間攪拌し、反応溶液を得た。次に、前記反応溶液から減圧下(40〜50mmHg)で過剰な無水酢酸と反応により生成した酢酸を取り除いた後、残渣を減圧蒸留(35〜40mmHg、90〜103℃)により精製して、α−アセトキシアクリル酸エチル(250g、収率58%)を得た。
なお、α−アセトキシアクリル酸エチルは、上記一般式(1)で表わされる特定のアクリル系単量体(一般式(1)中のR1 がメチル基であり、R2 がエチル基であり、R3 およびR4 が共に水素原子である化合物)、または、上記一般式(2)で表される特定のアクリル系単量体(一般式(2)中のR5 がメチル基であり、R6 がエチル基であり、R7 およびR8 が共に水素原子である化合物)として利用できるモノマーである。以下、このα−アセトキシアクリル酸エチルを「EAA」ともいう。
<特定のアクリル系単量体の合成例2>
先ず、ピルビン酸(440g、5.0mol)とn−ブタノール(371g,5.0mol)とp−トルエンスルホン酸一水和物(2.5g)のトルエン(1L)溶液を、窒素気流下で水を除去しながら16時間加熱還流して、第一の反応溶液を得た。次に、第一の反応溶液を室温(25℃)に冷却した後、エバポレーターを用いて減圧下(40mmHg)でトルエンを取り除き、残渣を減圧蒸留(40mmHg、93〜100℃)により精製して、ピルビン酸ブチル(505g、収率70%)を得た。
次いで、得られたピルビン酸ブチル(235g,1.6mol)と無水酢酸(333g,3.3mol)の混合物に、p−トルエンスルホン酸一水和物(5g)を加えて、窒素気流下、120℃で25時間攪拌して、第二の反応溶液を得た。次に、第二の反応溶液から減圧下(5mmHg)で過剰な無水酢酸と反応により生成した酢酸を取り除いた後、残渣を減圧蒸留(2mmHg,56〜63℃)により精製して、α−アセトキシアクリル酸ブチル(200g、収率67%)を得た。
なお、α−アセトキシアクリル酸ブチルは、上記一般式(1)で表わされる特定のアクリル系単量体(一般式(1)中のR1 がメチル基であり、R2 がブチル基であり、R3 およびR4 が共に水素原子である化合物)、または、上記一般式(3)で表される特定のアクリル系単量体(一般式(3)中のR9 がメチル基であり、R10がブチル基であり、R11およびR12が共に水素原子である化合物)として利用できるモノマーである。以下、α−アセトキシアクリル酸ブチルを「BAA」ともいう。
<特定のアクリル系単量体の合成例3>
ピルビン酸(440g、5.0mol)とn−オクタノール(651g、5.0mol)とp−トルエンスルホン酸一水和物(2.5g)のトルエン(1L)溶液を、窒素気流下で水を除去しながら16時間加熱還流して、第一の反応溶液を得た。次に、第一の反応溶液を室温(25℃)に冷却した後に、エバポレーターを用いて減圧下(40mmHg)でトルエンを取り除き、残渣を減圧蒸留(2mmHg、82〜92℃)により精製して、ピルビン酸オクチル(762g、収率76%)を得た。
次いで、得られたピルビン酸オクチル(300g、1.5mol)と無水酢酸(306g、3.0mol)の混合物に、p−トルエンスルホン酸一水和物(5g)を加え、窒素気流下、120℃で27時間攪拌して、第二の反応溶液を得た。次に、第二の反応溶液から減圧下(5mmHg)で過剰な無水酢酸と反応により生成した酢酸を取り除いた後、残渣を減圧蒸留(1mmHg以下、80〜102℃)により精製して、α−アセトキシアクリル酸オクチル(215g、収率59%)を得た。
なお、α−アセトキシアクリル酸オクチルは、上記一般式(1)で表わされる特定のアクリル系単量体(一般式(1)中のR1 がメチル基であり、R2 がオクチル基であり、R3 およびR4 が共に水素原子である化合物)、または、上記一般式(3)で表される特定のアクリル系単量体(一般式(3)中のR9 がメチル基であり、R10がオクチル基であり、R11およびR12が共に水素原子である化合物)として利用できるモノマーである。以下、α−アセトキシアクリル酸オクチルを「OAA」ともいう。
〔トナーの製造例1〕
(1)樹脂微粒子分散液の調製
(a)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃まで昇温させた。
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)5質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、液温を75℃とした後、EAA560質量部、BAA240質量部およびメタクリル酸68質量部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃で2時間にわたって加熱、撹拌することによって重合を行い、樹脂微粒子分散液〔1a〕を調製した。
(b)第2段重合
機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、EAA132質量部、BAA57質量部、メタクリル酸20質量部、n−オクチルメルカプタン0.5質量部および「WEP−5」(日本油脂社製)82質量部からなる単量体混合液を1時間混合分散処理することにより乳化粒子を含む乳化分散液〔1b〕を調製した。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水1270質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、80℃に加熱した後、樹脂微粒子分散液〔1a〕を固形分換算で40質量部添加し、さらに、液温を80℃にした後、乳化分散液〔1b〕を添加した。これに、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)5質量部をイオン交換水100質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃で1時間にわたって加熱、撹拌することによって重合を行うことにより、樹脂微粒子分散液〔1〕を調製した。
(2)着色剤微粒子分散液の調製
n−ドデシル硫酸ナトリウム27質量部をイオン交換水500質量部に添加した溶液を撹拌しながら、着色剤としてカーボンブラック30質量部を徐々に添加し、次いで、機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子分散液〔1〕を調製した。
(3)トナー粒子の形成
樹脂微粒子分散液〔1〕1250質量部、イオン交換水2000質量部および着色剤微粒子分散液〔1〕165質量部を、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌して会合用溶液を準備した。この会合用溶液の内温を30℃に調整した後、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10.0に調整し、次いで、塩化マグネシウム6水和物52.6質量部をイオン交換水72質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後も昇温を開始し、この系を6分間かけて90℃まで昇温した(昇温速度=10℃/分)。
その状態で、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の平均粒径を測定し、体積基準のメジアン径が6.7μmになった時点で、塩化ナトリウム115質量部をイオン交換水700質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、液温度90℃±2℃にて6時間にわたって加熱、撹拌することにより融着を継続させた。この会合粒子の円形度を「FPIA−2100」(シスメックス社製)にて測定したところ、平均円形度は0.958であった。
次いで、6℃/分の条件で30℃まで冷却し、会合粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄した後、40℃の熱風で乾燥することにより、トナー粒子〔1〕を得た。
(4)外添剤の添加
トナー粒子〔1〕100質量部に対して、ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm、疎水化度68)1.0質量部およびn−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径20nm、疎水化度63)0.3質量部からなる外添剤を添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井三池鉱業社製)で外添処理を行うことにより、黒色のトナー〔1〕を製造した。
なお、ヘンシェルミキサーによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分間の条件下で行った。
〔トナーの製造例2〜5〕
トナーの製造例1において、EAAおよびBAAの添加量を表2に示す量に変更したことの他は同様にしてトナー〔2〕〜〔5〕を製造した。
〔トナーの製造例6〜9〕
トナーの製造例1において、BAAをOAAに変更し、かつ、OAAおよびEAAの添加量を表3に示す量を変更したことの他は同様にしてトナー〔6〕〜〔9〕を製造した。
〔トナーの製造例10〜20〕
トナーの製造例1において、EAAおよびBAAに加えてアクリル酸ブチル(BA)を用い、かつ、EAA、BAAおよびBAの添加量を表4に示す量を変更したことの他は同様にしてトナー〔10〕〜〔20〕を製造した。
〔トナーの製造例21〜29〕
トナーの製造例1において、BAAをOAAに変更し、さらに、アクリル酸ブチル(BA)を加え、かつ、EAA、OAAおよびBAの添加量を表5に示す量を変更したことの他は同様にしてトナー〔21〕〜〔29〕を製造した。
〔トナーの製造例30〜32〕
トナーの製造例1において、EAAおよびBAAをスチレンおよびアクリル酸ブチル(BA)に変更し、かつ、スチレンおよびBAの添加量を表6に示す量に変更したことの他は同様にしてトナー〔30〕〜〔32〕を製造した。
(ガラス転移温度の測定)
得られたトナー〔1〕〜〔32〕のガラス転移温度(Tg)を、示差走査カロリメーター「DSC−7」(パーキンエルマー社製)を用いて測定した。結果を表7に示す。
具体的には、測定試料(トナー)4.5mgをアルミニウム製パン「KIT No.0219−0041」に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットする。リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行った。ガラス転移温度は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移温度として示す。なお、1st.Heat昇温時は200℃にて5分間保持した。
〔現像剤の作製例1〜32〕
トナー〔1〕〜〔32〕の各々に、シリコーン樹脂を被覆した体積基準のメジアン径が60μmのフェライトキャリアを、V字型混合機を用いて、トナー濃度が6質量%となるように混合し、現像剤〔1〕〜〔32〕を作製した。
〔実施例1〜29、参考例1〜3〕
(1)低温定着性の評価
市販の複写機「bizhub Pro C6500」(コニカミノルタビジネステクロノジーズ社製)において、定着装置における加熱ローラーの表面温度を120〜170℃の範囲で5℃刻みで変更することができるように改造し、常温常湿(温度20℃、湿度55%RH)環境下において、それぞれ現像剤〔1〕〜〔32〕によって、A4サイズの上質紙(64g/m2 )に1.5cm×1.5cmのベタ画像(トナー付着量2.0mg/cm2 )を定着さえる定着実験を、設定される定着温度(加熱ローラーの表面温度)を120℃、125℃・・・と5℃刻みで上昇させるよう変更しながら繰り返し行った。
各定着実験において得られたベタ画像を真中から2つに折り曲げて、その画像の剥離性を目視にて観察し、全く画像の剥離のない定着実験のうち、最低の定着温度を定着下限温度とした。この定着下限温度が150℃未満である場合に実用上問題なく、合格であると判断される。結果を表7に示す。
(2)耐熱保管性の評価
トナー〔1〕〜〔32〕のそれぞれ10gをプロピレン製のカップの上に秤量し、温度50℃、湿度50%RHの環境下に15時間放置した後、下記評価基準に従ってブロッキング(凝集)状態を評価した。結果を表7に示す。
−評価基準−
A:カップを傾けるだけでトナーがさらさら流れる
B:カップをしばらく動かし続けるとトナーが徐々に崩れ、流れ出す(実用上問題なし)
C:凝集が発生しており、カップを動かし続けるとトナーが固まりになって崩れ出す(実用上問題あり)
D:凝集が発生しており、凝集体を先の尖ったもので突いても固化している(実用上問題あり)
(3)耐破砕性の評価
市販の複写機「bizhub Pro C6500」(コニカミノルタビジネステクロノジーズ社製)の現像器に現像剤〔1〕〜〔32〕をそれぞれ搭載し、単体駆動機によって600rpmの速度で3.5時間駆動させた後、現像器内の現像剤をサンプリングし、トナーの粒度分布を「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)によって測定し、現像器への投入前のトナーと比較して、粒径2.5μm以下のトナーの増加率(質量%)を算出した。粒径2.5μm以下のトナーの増加率が高いほど、現像器内での破砕が発生しやすいことを示し、この増加率が10質量%以下である場合に、実用上問題なく、合格と評価した。結果を表7に示す。

Claims (10)

  1. 少なくとも結着樹脂を含有するトナー粒子よりなる静電荷像現像用トナーであって、
    前記結着樹脂が下記一般式(1)で表わされる重合性単量体を重合してなる重合体を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。

    〔一般式(1)中、R1 およびR2 は、各々独立に、炭素数1〜60の脂肪族炭化水素基、当該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子と置換している脂肪族基、または、前記脂肪族炭化水素基もしくは前記脂肪族基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基を示し、R3 およびR4 は、各々独立に、水素原子または脂肪族炭化水素基を示す。〕
  2. 前記重合体が、前記一般式(1)で表わされる重合性単量体とアクリル酸ブチルとを共重合してなるものであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記アクリル酸ブチルの含有量が、前記重合体を形成するためのモノマーの全量に対して5〜40質量%であることを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. ガラス転移温度が40〜80℃であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 少なくとも結着樹脂を含有するトナー粒子よりなる静電荷像現像用トナーであって、
    前記結着樹脂が下記一般式(2)で表わされる重合性単量体と、下記一般式(3)で表わされる重合性単量体とを共重合してなる共重合体を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。

    〔一般式(2)中、R5 およびR6 は、各々独立に、炭素数3以下の脂肪族炭化水素基、当該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子と置換している脂肪族基、または、前記脂肪族炭化水素基もしくは前記脂肪族基を置換基として有していてもよい縮合数が3以下の芳香族炭化水素基を示し、R7 およびR8 は、各々独立に、水素原子または炭素数3以下の脂肪族炭化水素基を示す。〕

    〔一般式(3)中、R9 およびR10は、各々独立に、脂肪族炭化水素基、当該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子と置換している脂肪族基、または、前記脂肪族炭化水素基もしくは前記脂肪族基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。ただし、R9 およびR10のうち少なくとも一方は、炭素数4〜60の脂肪族炭化水素基、または、当該脂肪族炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子と置換している脂肪族基を示す。R11およびR12は、各々独立に、水素原子または脂肪族炭化水素基を示す。〕
  6. 前記共重合体において、前記一般式(2)で表わされる重合性単量体と前記一般式(3)で表わされる重合性単量体との質量比が50:50〜99:1であることを特徴とする請求項5に記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 前記一般式(2)で表わされる重合性単量体と前記一般式(3)で表わされる重合性単量体と合計の含有量が、前記共重合体を形成するためのモノマーの全量に対して40〜95質量%であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 前記共重合体が、前記一般式(2)で表わされる重合性単量体と、前記一般式(3)で表わされる重合性単量体と、アクリル酸ブチルとを共重合してなるものであることを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  9. 前記アクリル酸ブチルの含有量が、前記共重合体を形成するためのモノマーの全量に対して5〜40質量%であることを特徴とする請求項8に記載の静電荷像現像用トナー。
  10. ガラス転移温度が40〜80℃であることを特徴とする請求項5〜請求項9のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
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