JP2014153147A - 水分捕獲体の透湿度評価方法 - Google Patents

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昌之 高橋
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Abstract

【課題】有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の製造に用いる水分捕獲体の透湿度を評価する方法であって、水分捕獲体の透湿度を簡便に、定量的に測定できる評価方法を提供することにある。
【解決手段】評価対象である水分捕獲体の透湿度を評価する方法であって、一方の基板の上に、水との反応によって透過性が変化する金属膜を製膜し、前記金属膜の上に水分捕獲体を積層させ、もう一方の基板を水分捕獲体の上にのせ、二枚の基板に挟まれた金属膜と水分捕獲体を用いることを特徴とする水分捕獲体の透湿度評価方法によって解決される。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の製造に用いる水分捕獲体の透湿度を評価する方法であって、水分捕獲体の透湿度を簡便に、定量的に測定できる評価方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス(EL) 素子を用いたディスプレイは、従来の液晶ディスプレイに比べ、コントラストが高く色が鮮やかなこと、視野角が広いこと、自らが発光し、バックライトが不要であるため薄型軽量化が可能であることなどの様々な特徴があり、次世代のディスプレイとして注目されている。
特に自発光という特徴は、柔軟性のある高分子フィルム上に有機EL素子を形成することにより、曲げたり丸めたりすることが可能なフレキシブルディスプレイの実現を可能にする技術として大きな注目を集めている。
ところで、有機EL素子を構成する発光層や電極材料としては、水分に対する反応性が非常に高いものが使用されているため、ごく微量であっても水分が素子の内部に入り込んでしまうとこれらの材料が水分と反応して劣化してしまい、その部分が発光しなくなってしまう。
ガラスや金属の板は、水分の透過を遮断する能力が非常に高いため、平板型のディスプレイにおいてはガラス板や金属板を組み合わせて有機EL素子を封止することにより水分との反応を抑制することが可能であるが、フレキシブルディスプレイにおいては、ガラス板等は柔軟性が無いため使用できない。一方、高分子フィルムは水蒸気透過性が高く水分の遮断能力に欠けているので、薄膜で柔軟性があり、なおかつ水蒸気透過率が低い耐湿保護膜を高分子フィルム表面や有機EL素子表面に形成して水蒸気の透過を防止する必要がある。
そこで、あらかじめ有機EL素子内に特定の有機金属化合物からなる水分捕獲剤を配置し、この水分捕獲剤に水分を捕獲させることで素子内を低湿度環境に保つ有機EL素子が提案されている(特開2002−033187号公報参照)。
このように有機EL素子内は、厳密な水分管理が要求されており、その水蒸気透過度も従来の防湿膜を遥かに下回る10−4〜10−5g/m/day程度である必要があるといわれている。このため、有機EL素子用の水分捕獲剤の開発や生産管理には、高感度で、簡便な水分捕獲体の透湿性評価方法が求められている。
特開2002−033187号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の製造に用いる水分捕獲体の透湿度を評価する方法であって、水分捕獲体の透湿度を簡便に、定量的に測定できる評価方法を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた発明は、
第一に、評価対象である水分捕獲体の透湿度を評価する方法であって、
一方の基板の上に、水との反応によって透過性が変化する金属膜を製膜し、前記金属膜の上に水分捕獲体を積層させ、もう一方の基板を水分捕獲体の上にのせ、二枚の基板に挟まれた金属膜と水分捕獲体を用いることを特徴とする水分捕獲体の透湿度評価方法にとって達成される。
第二に、金属膜が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の群から選ばれる一つの金属で形成されることを特徴とする水分捕獲体の透湿度評価方法によって達成される。
第三に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の群から選ばれる金属が、カルシウムである水分捕獲体の透湿度評価方法によって達成される。
第四に、水分捕獲体が、加熱または紫外線照射のいずれかの処理により形成される硬化物である水分捕獲体の透湿度評価方法によって達成される。
以上説明したように、本発明の水分捕獲体の透湿度評価方法は、有機EL素子の製造において必要とされる水分捕獲体の開発、生産管理において、簡便で、定量的に実際の有機EL素子に近い構造で、水分捕獲体の透湿度を評価できる方法に関する。
従って、当該水分捕獲体の透湿度評価方法は、表示素子、特に有機エレクトッルミネッセンス表示素子用水分捕獲体の透湿度の評価の好適にも用いることができる。
<水分捕獲体>
本発明の透湿度評価の対象である水分捕獲体について詳細に説明する。なお、本発明の水分捕獲体は下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例をも含む。
1.水分捕獲体形成用組成物
本実施の形態に係る組成物は、下記一般式(1)で示される化合物(A)(以下、「(A)成分」ともいう)と、ラジカル発生剤(C)(以下、「(C)成分」ともいう)と、を含有する。
(R)nM …(1)
(上記式(1)中、Rは、置換もしくは非置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環式アルキル基、アリール基、カルボキシル基、(メタ)アクリロイル基およびRO−で表される基から選択される1種である。複数存在するRは同一または異なってもよいが、複数存在するRのうち少なくとも1個は1以上の不飽和結合を有する基である。Rは、置換もしくは非置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環式アルキル基およびアリール基から選択される1種である。nは2または3であり、Mの原子価に等しい。Mはアルミニウム、ホウ素、マグネシウムおよびカルシウムから選択される1種である。)
以下、本実施の形態に係る組成物を構成する各成分について詳細に説明する。
1.1.(A)成分
本実施の形態に係る組成物は、上記一般式(1)で示される化合物(A)を含有する。(A)成分の機能の一つとしては、(A)成分中に存在するR−M結合が水分と反応することにより、水分を捕捉することが挙げられる。このような(A)成分を用いることにより、吸湿性に優れた硬化体を得ることができる。すなわち、本実施の形態に係る組成物から形成される硬化体を水分を捕捉する用途に用いるためには、該硬化体中に実質的にR−M結合が存在している必要がある。そのためには、本実施の形態に係る組成物中においても、実質的にR−M結合が存在している必要がある。
上記一般式(1)中、Rは、置換もしくは非置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環式アルキル基、アリール基、カルボキシル基、(メタ)アクリロイル基およびRO−で表される基から選択される1種であって、複数存在するRは同一または異なってもよいが、複数存在するRの少なくとも1個は1以上の不飽和結合を有する基である。Rは、RO−で表される基であることが好ましく、Rは、置換もしくは非置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環式アルキル基またはアリール基から選択される1種である。R本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例をも含む。
1.組成物
本実施の形態に係る組成物は、下記一般式(1)で示される化合物(A)(以下、「(A)成分」ともいう)と、ラジカル発生剤(C)(以下、「(C)成分」ともいう)と、を含有する。
(R)nM …(1)
(上記式(1)中、Rは、置換もしくは非置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環式アルキル基、アリール基、カルボキシル基、(メタ)アクリロイル基およびRO−で表される基から選択される1種である。複数存在するR1は同一または異なってもよいが、複数存在するRのうち少なくとも1個は1以上の不飽和結合を有する基である。Rは、置換もしくは非置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環式アルキル基およびアリール基から選択される1種である。nは2または3であり、Mの原子価に等しい。Mはアルミニウム、ホウ素、マグネシウムおよびカルシウムから選択される1種である。)
以下、本実施の形態に係る組成物を構成する各成分について詳細に説明する。
1.1.(A)成分
本実施の形態に係る組成物は、上記一般式(1)で示される化合物(A)を含有する。(A)成分の機能の一つとしては、(A)成分中に存在するR−M結合が水分と反応することにより、水分を捕捉することが挙げられる。このような(A)成分を用いることにより、吸湿性に優れた硬化体を得ることができる。すなわち、本実施の形態に係る組成物から形成される硬化体を水分を捕捉する用途に用いるためには、該硬化体中に実質的にR−M結合が存在している必要がある。そのためには、本実施の形態に係る組成物中においても、実質的にR−M結合が存在している必要がある。
上記一般式(1)中、Rは、置換もしくは非置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環式アルキル基、アリール基、カルボキシル基、(メタ)アクリロイル基およびR2O−で表される基から選択される1種であって、複数存在するRは同一または異なってもよいが、複数存在するRの少なくとも1個は1以上の不飽和結合を有する基である。Rは、RO−で表される基であることが好ましく、R2は、置換もしくは非置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環式アルキル基またはアリール基から選択される1種である。RおよびRは、直鎖状でも環状でもよいし、分岐鎖を有してもよい。また、RまたはRがアルケニル基もしくはアルキニル基である場合において、それぞれ二重結合、三重結合の位置および数は特に制限されない。なお、Rは、目的とする硬化体の特性を考慮して前記例示した基の中から適宜選択することができる。Rが前記例示した基のいずれかであると、(A)成分と後述する(B)成分との相溶性を向上させることができる。その結果、放置しても相分離を抑制することができ、貯蔵安定性が良好な組成物を作製できる。
上記一般式(1)中、nは2または3であるから、Rは複数存在することになる。ここで、複数存在するRは同一または異なっていてもよいが、複数存在するRのうち少なくとも1個は1以上の不飽和結合を有している。不飽和結合の位置および数は、特に制限されない。R中に1以上の不飽和結合を有することで、(A)成分はラジカル重合反応に寄与することができる。これにより、(A)成分と(B)成分とを共重合させて固定化することが可能となる。
なお、複数存在する全てのRが、1以上の不飽和結合を有していることが好ましい。(A)成分と(B)成分とを共重合させて固定化するに際して、全てのRが1以上の不飽和結合を有すると、(B)成分と反応せずに残留するR量が低減される。その結果、Rに由来するアルカンやアルコール等の加水分解成分(R−H)の発生を低減できる。
前記Rに存在する不飽和結合は、炭素−炭素不飽和結合であることが好ましく、ラジカル重合性を有する炭素−炭素不飽和結合であることがより好ましい。ラジカル重合性を有する炭素−炭素不飽和結合としては、例えばエチレン性の不飽和結合が挙げられる。前述のような不飽和結合は、ラジカル反応性に富んでいるため、(A)成分と(B)成分との共重合反応が容易に進行する。その結果、(B)成分と反応せずに残留するR量を低減でき、ひいてはR1に由来するアルカンやアルコール等の加水分解成分(R−H)の発生を低減できる。
の炭素数は、好ましくは6〜30であり、より好ましくは10〜20であり、特に好ましくは12〜20である。上記一般式(1)で示される化合物が加水分解することにより、Rに由来するアルカンやアルコール等の加水分解成分(R−H)が発生する。しかしながら、Rの炭素数が前記範囲にあると、これらの加水分解成分の沸点が高くなりアウトガスの成分となりにくく、また後述する(B)成分と均一な混合物を形成しやすいため好ましい。なお、加水分解成分の沸点は、1気圧において200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましい。200℃以上であれば、例えば電子デバイス内への加水分解成分の拡散を抑制することができる。
なお、Rが2以上の不飽和結合を有する基である場合、加水分解後も(B)成分との反応生成物の架橋構造が維持され、さらに好ましい。
上記アルキル基としては、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、テトラメチルヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
上記アルケニル基としては、オクテニル基、ドデセニル基、オクタデセニル基、アリル基等が挙げられる。
上記アルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、フェニルエチニル基等が挙げられる。
上記環式アルキル基としては、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記アリール基としては、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
上記一般式(1)中、Mはアルミニウム、ホウ素、マグネシウムおよびカルシウムから選択される1種である。これらの中でも、吸湿性に優れており、且つ、水分を捕捉することにより分解した後着色がなく透明性を保持できる観点から、アルミニウムが好ましい。
上記一般式(1)で示される化合物は、下記一般式(2)で示される化合物であることが好ましい。
Figure 2014153147
上記一般式(2)中、Rは2価の有機基である。2価の有機基としては、置換もしくは非置換の、アルキレン基またはオキシアルキレン基であることが好ましい。R4は水素原子または1価の有機基である。1価の有機基としては、置換もしくは非置換の、アルケニル基、アルキニル基、環式アルキル基、アリール基およびカルボキシル基から選択される1種であることが好ましい。RおよびRは、目的とする硬化体の特性によって適時選択することができる。上記一般式(2)中、RおよびRはそれぞれ複数存在するが、RおよびRはそれぞれ同一または異なってもよい。また、RやRで示される基中にエーテル構造が存在すると、(A)成分と(B)成分との相溶性がより向上するため、硬化体の要求される特性に応じて(A)成分と(B)成分との配合量比をコントロールできる幅が広がる傾向がある。なお、上記一般式(2)で示される化合物は、エチレン性不飽和結合を有するため反応性に富んでおり(B)成分と容易に共重合することができる。その結果、(A)成分が加水分解することにより発生する低分子量成分の発生を大幅に低減できる。上記一般式(2)中、nは2または3であり、Mの原子価に等しい。Mはアルミニウムおよびマグネシウムから選択される1種である。
上記一般式(2)で示される化合物の具体例としては、例えば、トリ(2,2−ビス(アリロキシメチル)−1−ブトキシ)アルミニウム、トリ(2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ)アルミニウム、トリ(2−ドデセノキシ)アルミニウム、ジ[1,3−ビス(メタクリロイルオキシ)−2−プロポキシ]マグネシウム、ジ(2,2−ビス(アリロキシメチル)−1−ブトキシ)マグネシウム、ジ(2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ)マグネシウム、ジ(メタクリロイルオキシ−2−エトキシ)マグネシウム等が挙げられる。
上記トリ(2,2−ビス(アリロキシメチル)−1−ブトキシ)アルミニウム、トリ(2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ)アルミニウム、およびジ[1,3−ビス(メタクリロイルオキシ)−2−プロポキシ]マグネシウムは、優れた水分捕捉作用を有する新規な化合物であり、それぞれ下記式(3)、下記式(4)、下記式(5)で示される構造を有する。特に下記式(3)で示されるトリ(2,2−ビス(アリロキシメチル)−1−ブトキシ)アルミニウムおよび下記式(5)で示されるジ[1,3−ビス(メタクリロイルオキシ)−2−プロポキシ]マグネシウムは、水分と反応することにより生成されるアルコールの沸点が1気圧下で250℃以上であり、使用環境下において揮発しにくいアルコールを生成するという特徴を有している。さらに、下記式(3)、下記式(4)および下記式(5)で示される化合物は、いずれも(B)成分との相溶性にも優れており、透明な組成物を製造することができる。
Figure 2014153147
Figure 2014153147
Figure 2014153147
以下、上記式(3)で示される化合物の製造方法について説明する。上記式(3)で示される化合物は、トリメチロールプロパンジアリルエーテル2.8〜3.5当量に、トリイソブチルアルミニウムを撹拌しながら少量ずつ添加し、0〜150℃の適度な温度で1時間から4時間反応させることにより容易に製造することができる。その後、常法に従って後処理することによって、上記式(3)で示される化合物が得られる。なお、上記式(3)で示される化合物の製造過程において、生成物中に不可避的に混入する反応液由来の成分や副生成物が混入する場合があるが、上記式(3)で示される化合物を主成分とする生成物であれば、本実施の形態にそのまま適用することができる。
以下、上記式(4)で示される化合物の製造方法について説明する。上記式(4)で示される化合物は、トリイソプロポキシアルミニウムを乾燥トルエン中に溶解させて、そこに2−(2−ビニロキシエトキシ)エタノールを3〜4当量加え、90℃で所定時間反応させることにより容易に製造することができる。その後、常法に従って後処理することによって、上記式(4)で示される化合物が得られる。なお、上記式(4)で示される化合物の製造過程において、生成物中に不可避的に混入する反応液由来の成分や副生成物が混入する場合があるが、上記式(4)で示される化合物を主成分とする生成物であれば、本実施の形態にそのまま適用することができる。
以下、上記式(5)で示される化合物の製造方法について説明する。上記式(5)で示される化合物は、ジ(t−ブトキシ)マグネシウムを乾燥トルエン中に溶解させて、そこに1,3−ビス(メタクリロイルオキシ)−2−プロパノールを2〜4当量加え、50℃で所定時間反応させることにより容易に製造することができる。その後、常法に従って後処理することによって、上記式(5)で示される化合物が得られる。なお、上記式(5)で示される化合物の製造過程において、生成物中に不可避的に混入する反応液由来の成分や副生成物が混入する場合があるが、上記式(5)で示される化合物を主成分とする生成物であれば、本実施の形態にそのまま適用することができる。
本実施の形態に係る組成物中における(A)成分の含有量は、組成物の全質量を100質量%とした場合、好ましくは10質量%以上90質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上70質量%以下である。(A)成分の含有量が前記範囲にあると、水分を捕捉する作用を硬化体において効果的に発現させることができるため好ましい。さらに、(A)成分の含有量が前記範囲にあると、組成物に後述するような適度な粘度を付与することができ、硬化体を形成する際の成膜等の作業性が良好となる。
1.2.(B)成分
本実施の形態に係る組成物は、ラジカル重合性化合物(B)を含有することが好ましい。(B)成分の機能としては、硬化体を形成する際にラジカル重合により高分子量化してバインダ(マトリックス)として作用することで、上記(A)成分の塗布・成膜性を向上させることが挙げられる。
(B)成分のその他の機能について、以下に列挙して説明する。
第1に、(A)成分と(B)成分とを共重合させることにより(A)成分を硬化体中に均一に分散させた状態を作り出すことができる。本実施の形態に係る組成物を用いて形成された硬化体を水分捕捉剤として活用するためには、硬化体中に(A)成分が偏在している状態は好ましくないからである。
第2に、(A)成分が加水分解することにより発生する分解生成物をバインダ中に捕捉することで、該分解生成物を電子デバイス内に拡散させることを抑制することができる。
第3に、(A)成分と(B)成分との相溶性が良好である場合には、本実施の形態に係る組成物を無溶媒化することができる。本実施の形態に係る組成物を無溶媒化することにより、前述したような硬化体中に溶媒が残留することによる弊害を防止することができる。
ラジカル重合性化合物(B)は、前述した機能を発揮させる観点から、(A)成分と共重合可能な重合性官能基を有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性官能基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニル基、ビニルエーテル基等が挙げられるが、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物としては、下記一般式(6)で示される構造を有する単官能(メタ)アクリレート、二官能(メタ)アクリレート、三官能(メタ)アクリレート、四官能(メタ)アクリレート等を使用することができる。
Figure 2014153147
(上記式(6)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子および有機基から選択される1種である。)
上記一般式(6)中、Rは、目的とする硬化体の特性を考慮して前述した基の中から適宜選択することができる。Rが前述した基であると、(A)成分との相溶性を向上させることができる。その結果、相分離が抑制されて、貯蔵安定性が良好な組成物が得られる。
また、上記一般式(6)で示される構造を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレートを(B)成分として使用することで、硬化体中に架橋構造が構築されてより強固な硬化体となるため好ましい。
上記Rの有機基としては、例えば、置換もしくは非置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、オキシアルキレン基、環式アルキル基またはアリール基が挙げられる。これらの基には、ハロゲン原子、エーテル基等が含まれていてもよい。R5がアルケニル基またはアルキニル基である場合において、それぞれ二重結合、三重結合の位置および数は特に限定されない。なお、Rは、(A)成分と(B)成分との相溶性をさらに向上させて貯蔵安定性がさらに良好な組成物を得る観点から、炭素数1〜30の有機基であることが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、3−トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、水添ポリブタジエン(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、トリメチロールプロパンフォルマルモノ(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
二官能(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ビス((メタ)アクリロイルオキシ)−2−プロパノール、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、グリセリンPO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
四官能(メタ)アクリレートとしては、例えばペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物は、1種単独で用いることもできるし、2種以上を併用してもよい。
本実施の形態に係る組成物中における(B)成分の含有量は、組成物の全質量を100質量%とした場合、好ましくは10質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは20質量%以上70質量%以下である。(B)成分の含有量が前記範囲であると、前述した各機能を損なわずに良好な硬化体を形成することができる。
1.3.(C)成分
本実施の形態に係る組成物は、ラジカル発生剤(C)を含有する。(C)成分としては、加熱によりラジカルを発生させる熱ラジカル発生剤や、紫外線等の光を用いてラジカルを発生させる光ラジカル発生剤が挙げられる。なお、加熱によりラジカルを発生させる方法(熱ラジカル発生剤)は十分な加熱時間が必要となるため、熱に対して弱いデバイスには適用できない。一方、光を用いてラジカルを発生させる方法(光ラジカル発生剤)は短時間で表面から架橋が進むため経済的に有利な成膜法ではあるが、深部にまで光が届きづらいため厚膜を形成する場合には不適である。また、光に対して劣化するデバイスには適用できない。各ラジカル発生剤には前述のような長所や短所が存在することから、デバイスの特性に応じて仕組みの異なるラジカル発生剤を使い分けるか、もしくは仕組みの異なる複数種のラジカル発生剤を添加しておくことにより、両者の長所を活かして比較的短時間で深部にまで硬化を進めることが可能となる。
本実施の形態に係る組成物に用いられるラジカル発生剤(C)としては、不飽和結合を反応させることができる成分であれば特に限定されず、例えば(メタ)アクリロイル基やビニル基に対して反応し重合反応を開始させる、いわゆるラジカル重合開始剤として一般的に知られている成分を用いることができる。
ラジカル重合開始剤の中でも、生産性および硬化速度の観点から、以下に例示する熱ラジカル発生剤および/または光ラジカル発生剤を用いることが好ましい。
熱ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイルペルオキサイド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)等のアゾ化合物が挙げられる。これらの熱ラジカル発生剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光ラジカル発生剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾインメチルエーテル−1−チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。これらの光ラジカル発生剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施の形態に係る組成物中における(C)成分の含有量は、組成物の全質量を100質量%とした場合、好ましくは0.01質量%以上5質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上1質量%以下である。(C)成分の含有量が前記範囲であると、十分な硬化速度が得られ、比較的短時間で硬化体を作製することができる。また、高硬度でありながらクラック等の発生もなく、密着性に優れた硬化体を作製することができる。
1.4.バインダ成分(D)
本実施の形態に係る組成物は、ラジカル重合性化合物(B)以外のバインダ成分(D)(以下、「(D)成分」ともいう)をさらに添加してもよい。(D)成分の機能の一つとしては、バインダ(マトリックス)として作用し、上記(A)成分の塗布・成膜性をさらに向上させることが挙げられる。
(D)成分は、(A)成分の特性を損なうことなくバインダ(マトリックス)として作用する材料であれば特に限定されないが、共役ジエン系共重合体、水添された共役ジエン系共重合体、ポリイミド骨格を有する重合体(例えば、国際公開第2009/37834号パンフレット参照)、ポリアミド骨格を有する重合体、環状エーテル構造を有する重合性化合物、ポリエーテル系重合体、Si−H結合を有する化合物、反応性カルボキシレート化合物(例えば、国際公開第2007/132724号パンフレット参照)等を使用することができる。特に塗布・成膜性を向上させる観点から、共役ジエン系共重合体、水添された共役ジエン系共重合体、環状エーテル構造を有する重合性化合物、ポリエーテル系重合体、Si−H結合を有する化合物等が好ましい。
1.5.その他の添加剤
1.5.1.安定化剤
本実施の形態に係る組成物には、安定化剤をさらに添加してもよい。安定化剤を添加することにより、本実施の形態に係る組成物のゲル化を低減でき、貯蔵安定性が良好となる。好ましい安定化剤としては、例えばヒドロキノン類やフェノール類等が挙げられる。具体的には、ヒドロキノンモノメチルエーテル、4−tert−ブチルカテコール、ブチルヒドロキシアニソール、3,5−ジブチルヒドロキシトルエン(以上、いずれも東京化成工業株式会社より入手可能)等が挙げられる。これらの安定化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施の形態に係る組成物中における安定化剤の含有量は、安定化剤を除いた組成物の全質量を100質量部とした場合、好ましくは0.01質量部以上5質量部以下であり、より好ましくは0.05質量部以上2質量部以下であり、特に好ましくは0.05質量部以上1質量部以下である。安定化剤の含有量が前記範囲にあると、組成物の貯蔵安定性が良好となるため十分な常温可使時間が得られると共に、組成物の硬化性も損なわれない点で好ましい。
1.5.2.伝熱性フィラー
本実施の形態に係る組成物には、必要に応じて伝熱性を高めるためのフィラーを混合してもよい。有機EL素子を複数配置した有機EL照明装置は発熱することがあり、素子近傍の温度が高くなることに起因して、輝度や発光効率等の発光特性に悪影響を与えるという不具合が生じることがある。しかしながら、本実施の形態に係る組成物に伝熱性のフィラーを混合することにより、放熱性を高めて素子を水分から保護すると同時に、発熱による弊害からも素子を保護できる点で好ましい。
伝熱性フィラーとしては、無機粒子等の公知のフィラーを使用することができる。また、伝熱性フィラーとして無機粒子を使用する場合、本実施の形態に係る組成物を用いて形成された硬化体の熱伝導性を向上させるだけでなく、(A)成分が吸湿により分解されて発生する成分(分解生成物)を吸着させて、硬化体の内部に該分解生成物を捕捉しておくことができる。これにより、前記分解生成物が硬化体の可塑剤として作用することを防止することができる。すなわち、本実施の形態に係る組成物を用いて形成された硬化体は、例えば80℃を超える使用環境下においても、熱流動により変形することがない。さらに無機粒子の他の機能としては、本実施の形態に係る組成物を用いて形成された硬化体の機械的強度を向上させること、該硬化体の吸湿能を高めること等が挙げられる。
無機粒子の材質としては、金属酸化物または金属窒化物であることが好ましい。金属酸化物としては、例えばシリカ(シリカゲルを含む)、スメクタイト、ゼオライト、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、マグネシア、放熱材料用に使用される各種ガラス粉末等が挙げられる。金属窒化物としては、例えば窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等が挙げられる。また、金属酸化物や金属窒化物ではないが、炭化ケイ素、炭化ホウ素、活性炭を無機粒子として使用することもできる。これらの中でも、熱流動性を抑制する観点から、アルミナ、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、マグネシア、炭化ケイ素、炭化ホウ素およびスメクタイトから選択される少なくとも1種の粒子であることが好ましく、さらに熱伝導性に優れている観点から、アルミナおよび/または窒化ホウ素の粒子であることが特に好ましい。これらの無機粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
無機粒子の平均粒径は、好ましくは5〜5,000nmであり、より好ましくは5〜2,000nmであり、さらに好ましくは5〜500nmであり、特に好ましくは5〜100nmである。平均粒径が前記範囲にあると、本実施の形態に係る組成物を用いて形成された硬化体の熱流動による変形を防止することができる。特に平均粒径が5〜100nmであると、透明性にも優れた硬化体を形成できる点で有利である。また、平均粒径が前記範囲にあると、組成物に後述するような適度な粘度を付与することが容易となり、硬化体を形成する際の作業性(塗布性等)が良好となる。さらに、平均粒径が前記範囲にあると、無機粒子が分解生成物を捕捉するのに十分な表面積を有することになり、これにより硬化体の熱流動による変形を抑制できるため好ましい。
本実施の形態に係る組成物中における無機粒子の含有量は、組成物の全質量を100質量%とした場合、硬化体の熱伝導性を向上させる観点では、好ましくは0.1質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは20質量%以上60質量%以下である。さらに、硬化体の透明性を確保する観点では、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。なお、無機粒子の含有量が0.1質量%以上であれば、熱流動により変形しない硬化体を得ることが可能となる。
1.5.3.吸湿剤
本実施の形態に係る組成物には、上記(A)成分以外の吸湿剤をさらに添加してもよい。(A)成分以外の吸湿剤としては、例えばトリヘキシロキシアルミニウム、トリオクチロキシアルミニウム、トリデシロキシアルミニウム、トリドデシロキシアルミニウム、トリオクタデシロキシアルミニウム、トリデシロキシボラン、トリドデシロキシボラン、トリオクタデシロキシボラン、トリデシルアルミニウム、トリドデシルアルミニウム等が挙げられる。
1.6.組成物の製造方法
本実施の形態に係る組成物は、(A)成分および(C)成分、必要に応じて(B)成分やその他の添加剤を混合・撹拌することにより製造することができる。これらの成分を混合する方法は特に制限されないが、(B)成分(必要に応じて(D)成分、その他の添加剤を加えたもの)を撹拌しながら(A)成分を少量ずつ添加して溶解させた後、(C)成分を添加してさらに混合・撹拌することで本実施の形態に係る組成物を得ることができる。
1.7.組成物の物性および用途
本実施の形態に係る組成物は、20℃における粘度が50〜500,000cPであることが好ましい。粘度が前記範囲にあることにより、組成物をODF法やディスペンス法により直接、素子基板へ塗布し、硬化させることができる。これにより、本実施の形態に係る組成物をフィルム状等の成形体としてあらかじめ作製しておき、それを素子へ組み込む工程を経る必要がなくなるので工程を簡略化することができる。また、本実施の形態に係る組成物に光酸発生剤等を添加して、感光性を付与すれば、微細なパターニングが可能となる。なお、上記粘度は、フォーリング・ニードル法により測定される値を示す。
本実施の形態に係る組成物によれば、(A)成分を含有する硬化体を形成することができる。このようにして得られる硬化体は、有機EL素子、有機TFT、有機太陽電池、有機CMOSセンサー等の水分捕捉剤として用いることができ、特に有機EL素子の水分捕捉体に好適に用いられる。
<水分捕獲体の透湿度評価方法>
以下に水分捕獲体の透湿度評価方法について説明する。一方の基板の上に、水との反応によって透過性が変化する金属膜を製膜し、前記金属膜の上に水分捕獲体を積層させ、もう一方の基板を水分捕獲体の上にのせ、二枚の基板に挟まれた金属膜と水分捕獲体を形成することで水分捕獲体の透湿度評価用サンプルを形成する。
ここで金属膜は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の群から選ばれる一つの金属で形成されることが好ましく、特に好ましい金属はカルシウムである。
基板上にカルシウム薄膜を形成し、その上に水分捕獲体を形成し、ガラス板で挟み込む。この基板を高温多湿雰囲気下に置くことで、水分捕獲体の透湿度を評価することができる。
透湿度が高い水分捕獲体の場合、水分捕獲体を通して透過した水分とカルシウム薄膜が反応して変色する。水分と反応する前のカルシウム薄膜は白色であるが、水分を反応することで透明になる。これによりカルシウム薄膜の色変化を直接観察することで、簡便に水分捕獲体の透湿性を評価することが可能である。
またカルシウム薄膜の長さ、厚さを正確に求めることで、カルシウム薄膜の体積を算出することができ、水分との反応によって色変化下部分の体積を求めることで、単位体積辺りの水分の量を算出することができる。これにより水分捕獲体の透湿性を実際の有機EL素子に近い構造で、定量的に判断することができる。

<水分捕獲体の評価サンプルの形成方法>
水分捕獲体の評価サンプルの形成方法は、
(1)基板上に金属薄膜を形成する工程、
(2)(1)の基板の上に評価対象である水分捕獲体の塗膜を形成する工程、
(3)(2)の基板の周囲にシール剤を塗布し、もう一方の基板と(2)の基板を貼り合わせ、加熱することで水分捕獲体の評価サンプルを形成する。加熱時間は好ましくは10分から2時間がこのましく、さらに好ましくは30分から1時間である。
加熱温度は、好ましくは30℃から200℃であり、さらに好ましくは60℃から100℃でる。
本以下、各工程を詳述する。
[工程(1)]
本工程では、基板の片面に金属薄膜を形成する。基板としては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等のガラス基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックからなる樹脂基板等が挙げられる。
金属薄膜は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の群から選ばれる一つの金属で形成されることが好ましく、特にその中でもカルシウムが好ましい。
このカルシウム薄膜は、蒸着で形成することができる。
[工程(2)]
工程(1)で得られてカルシウム薄膜を有する基板上に水分捕獲体形成用組成物を滴下または塗布し、その後加熱することで水分捕獲体を形成する。
滴下する場合、以下に記載する加熱工程を経ることなく水分捕獲体を形成することができる。
塗布法により塗膜を形成する場合、上記基板の上に当該水分捕獲体形成用組成物の溶液を塗布した後、好ましくは塗布面を加熱(プレベーク)することにより、塗膜を形成することができる。塗布法に用いる組成物溶液の固形分濃度としては、5質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜40質量%がより好ましく、15質量%〜35質量%が特に好ましい。当該水分捕獲体形成用組成物の塗布方法としては、例えば、インクジェット法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリット塗布法(スリットダイ塗布法)、バー塗布法、インクジェット塗布法等の適宜の方法が採用できる。これらのうち、インクジェット法、スピンコート法又はスリット塗布法が好ましい。
上記プレベークの条件としては、各成分の種類、配合割合等によって異なるが、70℃〜120℃が好ましく、1分〜15分間程度である。塗膜のプレベーク後の膜厚は、0.5μm〜10μmが好ましく、1.0μm〜7.0μm程度がより好ましい。
[工程(3)]
工程(2)で得られた基板の周囲にシール材を塗布し、もう一方の基板と(2)の基板を貼り合わせ、加熱する工程により、水分捕獲体評価用サンプルを作成する。加熱時間は好ましくは10分から2時間がこのましく、さらに好ましくは30分から1時間である。加熱温度は、好ましくは30℃から200℃であり、さらに好ましくは60℃から100℃でる。
<実施例1>
50mm角ガラス基板上に蒸着マスクを介してカルシウムを200nm蒸着した。蒸着は抵抗加熱式タングステンボート(PLANSEE BL-14)を用い、蒸着チャンバ内圧は5X10−4Pa、出力は35A、1.3Vにて行った。水分捕獲体形成用組成物、18μLをカルシウム薄膜が製膜されたガラス基板に滴下した。
その後、上記基板にシール剤(スリーボンド社製、6ミクロンビーズ入り)をニードル径0.3μm、吐出圧100kPa、描画速度10mm/sにて塗布し、もう一方のガラス基板を貼り合わせ、80℃、1時間加熱することで水分捕獲体の透湿度評価サンプルを形成した。
<実施例2>
実施例1において使用した水分捕獲体形成用組成物から、水分捕獲剤を取り除いた樹脂組成物溶液を使用した。その他は実施例1と同様にしての透湿度評価サンプルを作成した。
<比較例1>
実施例1,実施例2で使用した水分捕獲体形成用組成物または樹脂組成物溶液を使用せず、カルシウム薄膜だけ形成された透湿度評価サンプルを作成した。
<透湿性評価>
実施例1,実施例2,比較例1で作成した透湿性評価サンプルを恒温恒湿条件が、85℃/85%R.H.のエスペック社小型恒温恒湿試験機に1000時間静置した。
外周部から侵入してきた水分によって徐々に外周に近いカルシウム薄膜が白色から透明に色が変化しカルシウム薄膜が劣化しているのを確認した。その劣化距離を測定することで水分捕獲体の透湿度評価を行った。結果を表1に示す。
<表1>
Figure 2014153147








Claims (5)

  1. 評価対象である水分捕獲体の透湿度を評価する方法であって、
    一方の基板の上に、水との反応によって透過性が変化する金属膜を製膜し、前記金属膜の上に水分捕獲体を積層させ、もう一方の基板を水分捕獲体の上にのせ、二枚の基板に挟まれた金属膜と水分捕獲体を用いることを特徴とする水分捕獲体の透湿度評価方法。
  2. 請求項1記載の金属膜が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の群から選ばれる一つの金属で形成されることを特徴とする請求項1記載の水分捕獲体の透湿度評価方法。
  3. 請求項2記載のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の群から選ばれる金属が、カルシウムである請求項2記載の水分捕獲体の透湿度評価方法。
  4. 前記水分捕獲体が、加熱または紫外線照射のいずれかの処理により形成される硬化物である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水分捕獲体の透湿度評価方法。
  5. 前記水分捕獲体が、有機EL素子の水分捕獲体として用いられる請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の水分捕獲体の透湿度評価方法。

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