JP2014152822A - 変速機のギヤ締結装置 - Google Patents

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JP2014152822A JP2013021209A JP2013021209A JP2014152822A JP 2014152822 A JP2014152822 A JP 2014152822A JP 2013021209 A JP2013021209 A JP 2013021209A JP 2013021209 A JP2013021209 A JP 2013021209A JP 2014152822 A JP2014152822 A JP 2014152822A
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昭洋 植木
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Abstract

【課題】アクチュエータで移動自在なギヤ締結機構を備える変速機において変速準備の際のスリーブのニュートラル位置への復帰の確実性の確保と、スリーブと変速ギヤの接触音の低減化とを可能な限り両立させるようにした装置を提供する。
【解決手段】油圧を供給されるとニュートラル位置からギヤイン位置に移動して変速ギヤの一方を入力要素などに締結可能なスリーブなどを有すると共に、ニュートラル位置に対応して凸部72a,72bの内側の傾斜面に形成された第1低部72cとギヤイン位置に対応して凸部の外側の傾斜面に形成された第2低部72d,72eからなる凹凸面72fと、そこにスプリング72gで付勢されるボール72hからなるディテント機構72を介して移動可能とされる装置において、所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構のスプリングの付勢力を然らざる場合のそれよりも大きく設定する。
【選択図】図5

Description

この発明は変速機のギヤ締結装置に関し、より具体的にはアクチュエータによってシンクロ式のギヤ締結機構を移動させるようにした変速機のギヤ締結装置に関する。
この種の変速機はアクチュエータによって移動させられてニュートラル位置からギヤイン位置に移動して複数組の変速ギヤの一方を入力要素または出力要素に締結可能なスリーブなどを有する複数個のシンクロ式のギヤ締結機構によって変速するように構成されるが、変速準備の際にアクチュエータを介してスリーブが移動させられることから、運転者の予期しないタイミングでスリーブが変速ギヤと接触して接触音を生じ、運転者に違和感を与えることがある。
そのため、下記の特許文献1記載の技術にあっては、変速ギヤが相対回転可能に支持された回転軸に結合されたシンクロハブと、それにスプライン結合されたシンクロスリーブと、シンクロハブと変速ギヤの間に配置されたブロッキングリングと、ブロッキングリングとシンクロスリーブの間に配置されたシンクロスプリングを有するギヤ締結機構において、シンクロスリーブのスプライン歯に直交する円周方向に第1凹部を形成し、シンクロスリーブが軸方向に移動するとき、シンクロスプリングを第1凹部に進入させ、シンクロスリーブが変速ギヤのドグ歯に接触する前にそこから脱出させるように構成している。
特許文献1記載の技術にあっては、上記のように構成することで、シンクロスリーブを変速ギヤのドグ歯と噛合する軸方向とは反対側に付勢させ、よってシンクロスリーブが変速ギヤのドグ歯に接触するときの速度を低下させることで接触音を低減するように構成している。
特開2011−064308号公報
ところで、この種の変速機は、変速準備の際にスリーブがニュートラル位置に確実に復帰するようにスリーブの動作の確実性を確保する必要がある。しかしながら、スリーブと変速ギヤの接触による接触音の低減化と、スリーブのニュートラル位置への復帰の確実性の確保を両立させることは必ずしも容易ではなかった。
従って、この発明の課題は、アクチュエータで移動自在なギヤ締結機構を備える変速機において、変速準備の際のスリーブのニュートラル位置への復帰の確実性の確保と、スリーブと変速ギヤの接触音の低減化とを可能な限り両立させるようにした変速機のギヤ締結装置を提供することにある。
上記した課題を解決するために、請求項1にあっては、車両に搭載される原動機に接続される入力要素と、前記入力要素と平行に配置される少なくとも1個の出力要素と、前記入力要素と前記出力要素との間に配置される複数組の変速ギヤと、シフト力を供給されるとニュートラル位置からギヤイン位置に移動して前記変速ギヤを前記入力要素または前記出力要素に締結可能なスリーブを少なくとも有する複数個のギヤ締結機構と、前記複数個のギヤ締結機構にシフト力を供給可能なアクチュエータと、前記車両の走行状態に応じて前記アクチュエータによる前記ギヤ締結機構へのシフト力の供給を制御して前記ギヤ締結機構によって締結された変速ギヤで規定される変速比で前記原動機の駆動力を変速して出力させるシフト力供給制御手段とを備えると共に、前記複数個のギヤ締結機構のスリーブがそれぞれ、前記ニュートラル位置に対応して2個の凸部の対向する内側の傾斜面に連続して形成された第1低部と前記ギヤイン位置に対応して前記2個の凸部の外側の傾斜面に連続して形成された第2低部とからなる凹凸面と、前記凹凸面に付勢手段で付勢される球体とからなるディテント機構を介して移動可能とされる変速機のギヤ締結装置において、所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構の前記ディテント機構の付勢手段の付勢力を、前記所定変速比を超える変速ギヤを備えたギヤ締結機構のそれよりも大きく設定する如く構成した。
請求項2にあっては、車両に搭載される原動機に接続される入力要素と、前記入力要素と平行に配置される少なくとも1個の出力要素と、前記入力要素と前記出力要素との間に配置される複数組の変速ギヤと、シフト力を供給されるとニュートラル位置からギヤイン位置に移動して前記変速ギヤを前記入力要素または前記出力要素に締結可能なスリーブを少なくとも有する複数個のギヤ締結機構と、前記複数個のギヤ締結機構にシフト力を供給可能なアクチュエータと、前記車両の走行状態に応じて前記アクチュエータによる前記ギヤ締結機構へのシフト力の供給を制御して前記ギヤ締結機構によって締結された変速ギヤで規定される変速比で前記原動機の駆動力を変速して出力させるシフト力供給制御手段とを備えると共に、前記複数個のギヤ締結機構のスリーブがそれぞれ、前記ニュートラル位置に対応して2個の凸部の対向する内側の傾斜面に連続して形成された第1低部と前記ギヤイン位置に対応して前記2個の凸部の外側の傾斜面に連続してそれぞれ形成された第2低部とからなる凹凸面と、前記凹凸面に付勢手段で付勢される球体とからなるディテント機構を介して移動可能とされる変速機のギヤ締結装置において、所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構の前記ディテント機構の前記2個の凸部の離間距離を、前記所定変速比を超える変速ギヤを備えたギヤ締結機構のそれよりも長く設定する如く構成した。
請求項3に係る変速機のギヤ締結装置にあっては、前記所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構の前記ディテント機構の前記2個の凸部の離間距離は、前記所定変速比を超える変速ギヤを備えたギヤ締結機構のそれよりも長く設定される如く構成した。
請求項4に係る変速機のギヤ締結装置にあっては、前記所定変速比は、前記ギヤ締結機構で生じると推定される作動音を、予め実験を通じて求められた前記車両の走行速度に対する走行時の騒音特性との比較結果に基づいて設定される変速比である如く構成した。
請求項5に係る変速機のギヤ締結装置にあっては、前記スリーブは、前記アクチュエータによって前記シフト力を供給されるとき、前記ニュートラル位置と前記ギヤイン位置の間で移動する如く構成した。
請求項6に係る変速機のギヤ締結装置にあっては、前記スリーブの位置を示す出力を生じるスリーブ位置センサを備えると共に、前記シフト力供給制御手段は、前記スリーブ位置センサの出力から前記ディテント機構の球体が前記第1低部と前記第2低部の間で前記第1低部よりも前記第2低部に近接して前記凹凸面上で停止していると推定されるときには前記シフト力を供給して前記球体を前記第1低部に向けて移動させる一方、前記球体が前記第2低部よりも前記第1低部に近接して停止していると推定されるときには前記シフト力を供給することなしに、または前記シフト力を減少して供給して前記球体を前記第1低部に向けて移動させる如く構成した。
請求項7に係る変速機のギヤ締結装置にあっては、前記シフト力供給制御手段は、前記スリーブ位置センサの出力が前記スリーブ位置センサの検出誤差を考慮して設定される閾値内にあるとき、前記ディテント機構の球体が前記第1低部と前記第2低部の間で前記第1低部よりも前記第2低部に近接して前記凹凸面上で停止していると推定する如く構成した。
請求項8に係る変速機のギヤ締結装置にあっては、前記シフト力供給制御手段は、作動油の圧力を介して前記シフト力を制御すると共に、前記スリーブ位置センサの出力が前記作動油の温度を考慮して設定される閾値内にあるとき、前記ディテント機構の球体が前記第1低部と前記第2低部の間で前記第1低部よりも前記第2低部に近接して前記凹凸面上で停止していると推定する如く構成した。
請求項9に係る変速機のギヤ締結装置にあっては、前記閾値は、前記作動油の温度が低くなるほど増加するように設定される如く構成した。
請求項10に係る変速機のギヤ締結装置にあっては、前記所定変速比は、前記原動機から駆動輪までの総減速比において6相当の変速比である如く構成した。
請求項1にあっては、複数個のギヤ締結機構のスリーブがそれぞれ、ニュートラル位置に対応して2個の凸部の対向する内側の傾斜面に連続して形成された第1低部とギヤイン位置に対応して2個の凸部の他方の傾斜面に連続して形成された第2低部とからなる凹凸面と、凹凸面に付勢手段で付勢される球体とからなるディテント機構を介して移動可能とされる変速機のギヤ締結装置において、所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構のディテント機構の付勢手段の付勢力を、所定変速比を超える変速ギヤを備えたギヤ締結機構のそれよりも大きく設定する如く構成したので、変速準備の際のスリーブのニュートラル位置への復帰の確実性の確保と、スリーブと変速ギヤの接触音の低減化とを可能な限り両立させることができる。また、接触音の低減化によって運転者が違和感を受け難くすることができる。
即ち、この種のギヤ締結装置にあっては、スリーブを微小なエネルギでニュートラル位置あるいはギヤイン位置に保持するため、ディテント機構を設け、球体を付勢手段によってニュートラル位置に対応して2個の凸部の内側に形成された第1低部とギヤイン位置に対応してその外側に形成された第2底部とからなる凹凸面に付勢するように構成している。
また、付勢手段の付勢力は、球体を第1低部と第2低部に確実に保持するためと、球体が第1底部と第2底部の中間で停止したとき、第1低部に確実に戻すために、ある程度大きな値に設定される。
その結果、変速の際、球体がその付勢力に打ち勝って第1低部から脱出して凸部を乗り越え、次いで第2低部に向けて移動するとき、移動速度が加速され、スリーブが変速ギヤのドグ歯と接触する際に接触音が発生するが、この接触音は運転者が予期しないタイミングで発生することから、運転者に違和感を与えてしまう。尚、2個の凸部の離間距離は、長いほど、球体を第1低部に確実に戻すことができる。
そこで、請求項1においては、所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構のディテント機構の付勢手段の付勢力を、所定変速比を超える変速ギヤを備えたギヤ締結機構のそれ(付勢力)よりも大きく設定する如く構成した。
これについて説明すると、接触音は、低車速では原動機の作動音や車輪と路面の摩擦音(ロードノイズ)が小さいために運転者に聴取されて違和感を与える一方、高車速ではロードノイズなどが増大することから運転者に聴取され難くなり、結果として違和感を与え難くなる。また、球体が第1低部と第2低部の間で停止すると、高車速では原動機の回転数に対する車速の差が大きくなってギヤ締結機構の負荷が増加してしまうが、低車速ではその負荷は比較的小さい。
このように、所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構、例えば所定変速比を4速とするとき、1速から4速までのギヤ締結機構の付勢手段の付勢力を、所定変速比を超える変速ギヤ、例えば5速から8速を備えたギヤ締結機構の付勢手段の付勢力よりも大きく設定する如く構成したので、変速準備の際のスリーブのニュートラル位置への復帰の確実性の確保とスリーブと変速ギヤの接触音の低減化とを可能な限り両立させることができる。また、接触音の低減化によって運転者が違和感を受け難くすることができる。
請求項2にあっては、複数個のギヤ締結機構のスリーブがそれぞれ、ニュートラル位置に対応して2個の凸部の対向する内側の傾斜面に連続して形成された第1低部とギヤイン位置に対応して2個の凸部の外側の傾斜面に連続してそれぞれ形成された第2低部とからなる凹凸面と、凹凸面に付勢手段で付勢される球体とからなるディテント機構を介して移動可能とされる変速機のギヤ締結装置において、所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構のディテント機構の2つの凸部の離間距離を、所定変速比を超える変速ギヤを備えたギヤ締結機構のそれよりも長く設定する如く構成したので、変速準備の際のスリーブのニュートラル位置への復帰の確実性の確保と、スリーブと変速ギヤの接触音の低減化とを可能な限り両立させることができる。
即ち、前記した如く、この種のギヤ締結装置にあっては、付勢手段の付勢力は、球体を第1低部と第2低部に確実に保持するためと球体が中間で停止したときに第1低部に確実に戻すため、ある程度大きな値に設定されるが、2個の凸部の離間距離は、長いほど、球体を第1低部に確実に戻すことができる。
従って、請求項2においては、所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構、例えば所定変速比を5速とするとき、5速から8速までのギヤ締結機構のディテント機構の2個の凸部の離間距離を、所定変速比を超える変速ギヤ(1速から4速)を備えたギヤ締結機構のそれよりも長く設定する如く構成した。これにより、また、それと同時に付勢手段の付勢力を適宜設定することで、変速準備の際のスリーブのニュートラル位置への復帰の確実性の確保とスリーブと変速ギヤの接触音の低減化とを可能な限り両立させることができる。
請求項3に係る変速機のギヤ締結装置にあっては、所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構のディテント機構の付勢手段の付勢力を、所定変速比を超える変速ギヤを備えたギヤ締結機構のそれよりも大きく設定すると共に、所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構のディテント機構の2個の凸部の離間距離は、前記所定変速比を超える変速ギヤを備えたギヤ締結機構のそれよりも長く設定される如く構成したので、変速準備の際のスリーブのニュートラル位置への復帰の確実性の確保とスリーブと変速ギヤの接触音の低減化とを確実に両立させることができる。
請求項4に係る変速機の制御装置にあっては、所定変速比は、ギヤ締結機構で生じると推定される作動音を、予め実験を通じて求められた車両の走行速度に対する走行時の騒音特性との比較結果に基づいて設定される変速比である如く構成したので、上記した効果に加え、所定変速比を適正に設定することができる。
請求項5に係る変速機のギヤ締結装置にあっては、スリーブは、アクチュエータによってシフト力を供給されるとき、ニュートラル位置とギヤイン位置の間で移動する如く構成したので、スリーブの位置に応じて適切に推力を変えることができるため、上記した効果に加え、異音の発生を配慮しつつ、スリーブを確実に移動させることができる。
請求項6に係る変速機のギヤ締結装置にあっては、スリーブの位置を示す出力を生じるスリーブ位置センサを備えると共に、スリーブ位置センサの出力からディテント機構の球体が第1低部と第2低部の間で第1低部よりも第2低部に近接して凹凸面上で停止していると推定されるときにはシフト力を供給して球体を前記第1低部に向けて移動させる一方、球体が第2低部よりも第1低部に近接して停止していると推定されるときにはシフト力を供給することなしに、またはシフト力を減少して供給して球体を前記第1低部に向けて移動させる如く構成したので、上記した効果に加え、アクチュエータによるニュートラル位置への修正を繰り返すことなく、スリーブをニュートラル位置に確実に復帰させることができる。
請求項7に係る変速機のギヤ締結装置にあっては、スリーブ位置センサの出力がスリーブ位置センサの検出誤差を考慮して設定される閾値内にあるとき、ディテント機構の球体が第1低部と第2低部の間で第1低部よりも第2低部に近接して凹凸面上で停止していると推定する如く構成したので、上記した効果に加え、センサ出力に誤差がある場合でも球体(スリーブ)をニュートラル位置に確実に復帰させることができる。
請求項8に係る変速機のギヤ締結装置にあっては、作動油の圧力を介して前記シフト力を制御すると共に、スリーブ位置センサの出力が作動油の温度を考慮して設定される閾値内にあるとき、ディテント機構の球体が第1低部と第2低部の間で第1低部よりも第2低部に近接して凹凸面上で停止していると推定する如く構成したので、上記した効果に加え、環境状態の影響を受ける場合であっても球体(スリーブ)をニュートラル位置に確実に復帰させることができる。
請求項9に係る変速機のギヤ締結装置にあっては、閾値は、作動油の温度が低くなるほど増加するように設定される如く構成したので、上記した効果に加え、同様に環境状態の影響を受けて球体(スリーブ)が移動し難い状態にあるる場合であっても、球体(スリーブ)をニュートラル位置に確実に復帰させることができる。
請求項10に係る変速機のギヤ締結装置にあっては、所定変速比は、原動機から駆動輪までの総減速比において6相当の変速比である如く構成したので、原動機として内燃機関を搭載する大多数の自動車において低車速での静粛性と高車速での作動確実性を適切にバランスさせた設定とすることができる。
この発明の実施例に係る変速機のギヤ締結装置を全体的に示す概略図である。 図1に示す油圧供給装置の構成の一部を模式的に示す油圧回路図である。 図2に示す油圧供給装置のギヤ締結機構の構造を模式的に示す説明図である。 図3に示す油圧供給装置のギヤ締結機構の動作を模式的に示す説明図である。 図3に示すギヤ締結機構の中のディテント機構の構造を模式的に示す説明図である。 図3に示すギヤ締結機構の中のディテント機構の付勢手段(スプリング)の付勢力の設定の根拠となる所定変速比を説明する説明図である。 図1に示す変速機のシフトコントローラの動作を示すフロー・チャートである。 図7フロー・チャートの処理を説明するタイム・チャートである。
以下、添付図面を参照してこの発明に係る変速機のギヤ締結装置を実施するための形態について説明する。
図1はこの発明の実施例に係る変速機のギヤ締結装置を全体的に示す概略図である。
以下説明すると、符号Tは変速機を示す。変速機Tとしては車両1に搭載される、前進8速で後進1速の変速段を有するツインクラッチ型の変速機を例にとる。変速機TはD,P,R,Nのレンジを有する。
変速機Tは、エンジン(原動機)10のクランクシャフトに接続される駆動軸10aにトルクコンバータ12を介して接続される、2,4,6,8速の偶数段入力軸(入力要素)14を備えると共に、偶数段入力軸14と平行して1,3,5,7速の奇数段入力軸(入力要素)16を備える。エンジン10は例えばガソリンを燃料とする火花点火式の内燃機関からなる。
トルクコンバータ12はエンジン10の駆動軸10aに直結されるドライブプレート12aに固定されるポンプインペラ12bと、偶数段入力軸14に固定されるタービンランナ12cと、ロックアップクラッチ12dを有し、よってエンジン10の駆動力(回転)はトルクコンバータ12を介して偶数段入力軸14に伝達される。
偶数段入力軸14と奇数段入力軸16と平行にアイドル軸18が設けられる。偶数段入力軸14はギヤ14a,18aを介してアイドル軸18に接続されると共に、奇数段入力軸16はギヤ16a,ギヤ18aを介してアイドル軸18と接続され、よって偶数段入力軸14と奇数段入力軸16とアイドル軸18はエンジン10の回転につれて回転する。
また、第1副入力軸(入力要素)20と第2副入力軸(入力要素)22とが奇数段入力軸16と偶数段入力軸14の外周にそれぞれ同軸かつ相対回転自在に配置される。
奇数段入力軸16と第1副入力軸20は第1クラッチ24を介して接続されると共に、偶数段入力軸14と第2副入力軸22も第2クラッチ26を介して接続される。第1、第2クラッチ24,26は共に油圧作動の湿式多板クラッチからなる。第1、第2クラッチ24,26に油圧が供給されるとき、第1、第2副入力軸20,22を奇数段、偶数段入力軸16,14に締結(係合)する。
偶数段入力軸14と奇数段入力軸16の間には、偶数段入力軸14と奇数段入力軸16と平行に出力軸(出力要素)28が配置される。偶数段入力軸14と奇数段入力軸16とアイドル軸18と出力軸28はベアリング30で回転自在に支承される。
奇数段側の第1副入力軸20には1速ドライブギヤ32と、3速ドライブギヤ34と、5速ドライブギヤ36と、7速ドライブギヤ38が固定されると共に、偶数段側の第2副入力軸22には2速ドライブギヤ40と4速ドライブギヤ42と6速ドライブギヤ44と8速ドライブギヤ46が固定される。
出力軸28には1速ドライブギヤ32と2速ドライブギヤ40に噛合する1速−2速ドリブンギヤ48と、3速ドライブギヤ34と4速ドライブギヤ42に噛合する3速−4速ドリブンギヤ50と、5速ドライブギヤ36と6速ドライブギヤ44と噛合する5速−6速ドリブンギヤ52と、7速ドライブギヤ38と8速ドライブギヤ46と噛合する7速−8速ドリブンギヤ54が固定される。
アイドル軸18には、出力軸28に固定される1速−2速ドリブンギヤ48と噛合するRVS(後進)アイドルギヤ56が回転自在に支持される。アイドル軸18とRVSアイドルギヤ56はRVSクラッチ58を介して接続される。RVSクラッチ58は、第1、第2クラッチ24,26と同様、油圧作動の湿式多板クラッチからなるが、第1、第2クラッチ24,26に比して小径で摩擦材枚数も少なく構成される。
奇数段入力軸16には1速ドライブギヤ32と3速ドライブギヤ34を選択的に第1副入力軸20に締結(固定)する1−3速ギヤ締結機構60(1-3)と、5速ドライブギヤ36と7速ドライブギヤ38を選択的に第1副入力軸20に締結(固定)する5−7速ギヤ締結機構60(5-7)が配置される。
偶数段入力軸14には2速ドライブギヤ40と4速ドライブギヤ42を選択的に第2副入力軸22に締結(固定)する2−4速ギヤ締結機構60(2-4)と、6速ドライブギヤ44と8速ドライブギヤ46を選択的に第2副入力軸22に締結(固定)する6−8速ギヤ締結機構60(6-8)が配置される。
エンジン10の駆動力は、第1クラッチ24あるいは第2クラッチ26が締結(係合)されるとき、奇数段入力軸16から第1副入力軸20あるいは偶数段入力軸14から第2副入力軸22に伝達され、さらに上記したドライブギヤとドリブンギヤを介して出力軸28に伝達される。
尚、後進時には、エンジン10の駆動力は、偶数段入力軸14、ギヤ14a、ギヤ18a、RVSクラッチ58、アイドル軸18、RVSアイドルギヤ56、1速−2速ドリブンギヤ48を介して出力軸28に伝達される。出力軸28はギヤ62を介してディファレンシャル機構64に接続され、ディファレンシャル機構64はドライブシャフト66を介して車輪68に接続される。車両1を車輪68などで示す。
ギヤ締結機構60は全て、油圧(シフト力)を供給されて動作する。これらギヤ締結機構と第1、第2クラッチ24,26とRVSクラッチ58に油圧(シフト力)を供給するため、油圧供給装置70が設けられる。
図2は油圧供給装置70の構成を詳細に示す油圧回路図である。
図2を参照して説明すると、油圧供給装置70において、リザーバ70aからストレーナ(図示せず)を介して油圧ポンプ(送油ポンプ)70bによって汲み上げられた作動油ATFの吐出圧(油圧)は、レギュレータバルブ(調圧弁)70cによってライン圧PLに調圧(減圧)される。
図示は省略するが、油圧ポンプ70bはギヤを介してトルクコンバータ12のポンプインペラ12bに連結され、よって油圧ポンプ70bはエンジン10に駆動されて動作するように構成される。
調圧されたライン圧は、油路70dから第1リニアソレノイドバルブ(LA)70f、第2リニアソレノイドバルブ(LB)70g、第3リニアソレノイドバルブ(LC)70h、第4リニアソレノイドバルブ(LD)70i、第5リニアソレノイドバルブ(LE)70j、および第6リニアソレノイドバルブ(LF)70kの入力ポートに送られる。
第1から第6リニアソレノイドバルブ70f,70g,70h,70i,70j,70kは油圧制御弁(電磁制御弁)であり、通電量に比例してスプールを移動させて出力ポートからの出力圧をリニアに変更する特性を備えると共に、通電されるとスプールが開放位置に移動するN/C(ノーマル・クローズ)型として構成される。
第1リニアソレノイドバルブ(LA)70fの出力ポートは第1サーボシフトバルブ70mを介して前記した1−3速ギヤ締結機構60(1-3)のピストン室に接続されると共に、第2リニアソレノイドバルブ(LB)70gの出力ポートは第2サーボシフトバルブ70nを介して前記した2−4速ギヤ締結機構60(2-4)のピストン室に接続される。
また、第3リニアソレノイドバルブ(LC)70hの出力ポートは第3サーボシフトバルブ70oを介して前記した5−7速ギヤ締結機構60(5-7)のピストン室に接続されると共に、第4リニアソレノイドバルブ(LD)70iの出力ポートは第4サーボシフトバルブ70pを介して前記した6−8速ギヤ締結機構60(6-8)のピストン室に接続される。
サーボシフトバルブ70m,70n,70o,70pはそれぞれ、オン・オフソレノイドバルブ(油圧制御弁(電磁制御弁))SA,SB,SC,SDに接続され、それらのソレノイドの励磁・消磁によってリニアソレノイドバルブ70fなどから入力される油圧を出力ポートの(図において左右の)一方からライン圧として出力するように構成される。
図3は4個のギヤ締結機構60の構造を、1−3速ギヤ締結機構60(1-3)を例にとって、模式的に示す断面図、図4はその動作を模式的に示す、図3の部分断面図、図5は図3に示すギヤ締結機構の中のディテント機構の構造を模式的に示す説明図である。
図3に示す如く、ギヤ締結機構60においてシリンダ60a1,60a2の内部にはピストン、より具体的には1速用ピストン60b1と3速用ピストン60b2が図において左右に対向して配置される。ピストン60b1,60b2は共用のピストンロッド60cによって連結され、サーボシフトバルブ80mなどからのピストン室、より具体的には1速用ピストン室60d1と3速用ピストン室60d2への油圧の供給方向に応じて図で左右に移動する。
ピストンロッド60cにはシフトフォーク60eが接続され、シフトフォーク60eはフォークシャフト60fに固定される。
図3に示す如く、シフトフォーク60eは環状のスリーブ60gに接続される。スリーブ60gの内周側には第1、第2副入力軸20,22上を軸方向に移動自在なハブ60hがスプライン60g1,60h1で結合されて収容されると共に、ハブ60hの両側にはスプリング60jと、ブロッキングリング60kを介してギヤ、より具体的には1速ドライブギヤ32と3速ドライブギヤ34が配置される。
ブロッキングリング60kにはスプライン60k1が形成されると共に、1速ドライブギヤ32と3速ドライブギヤ34にはドグ歯321,341が形成される。またブロッキングリング60kにはテーパコーン面60k2が形成されると共に、1速ドライブギヤ32と3速ドライブギヤ34にも対応するテーパコーン面322,342が形成される。
次いで動作を説明すると、図3と図4(a)に示すニュートラル(N)位置から、対向する3速用ピストン室60d2に油圧が供給されて1速用ピストン60b1とそれに連結されるピストンロッド60cが図3において右方向に前進すると、ピストンロッド60cにシフトフォーク60eを介して接続されるスリーブ60gが同方向に前進してスプリング60jに接触し、スプリング60jを介してブロッキングリング60kを1速ドライブギヤ32に向けて付勢する(図4(b))。
スリーブ60gがさらに前進すると、スリーブ60gのスプライン60g1がブロッキングリング60kのスプライン60k1と当接して停止(ボーク)すると共に、ブロッキングリング60kのテーパコーン面60k2とギヤ32のテーパコーン面322同士が接触して摩擦力によるトルクが発生する(図4(c))。
スリーブ60gがさらに移動すると、発生トルクによってスリーブ60gとギヤ32は回転が同期し、スリーブ60gのスプライン60g1がブロッキングリング60kのスプライン60k1を掻き分け始める(図4(d))。
ギヤ32とスリーブ60gの回転が同期して発生トルクが消滅すると、スリーブ60gはさらに前進してそのスプライン60g1はブロッキングリング60kのスプライン60k1と一体に結合し、さらに前進してギヤ32のドグ歯321と接触し(図4(e))、ギヤ32のドグ歯321を掻き分け始め(図4(f))、最終的にはギヤ32のドグ歯321と一体に結合するギヤイン(締結)状態となる(図4(g))。
図示は省略するが、他のギヤ締結機構60(5-7),60(2-4),60(6-8)も同様であり、スリーブ60gがニュートラル位置からインギヤ位置に移動(シフト)するとき、対応するドライブギヤ36,38,40,42,44,46のドグ歯に結合してドライブギヤ36などを、両者の回転を同期させつつ、第1、第2副入力軸20,22に締結するように構成される。
ギヤ締結機構60のシフトフォーク60e、より具体的にはシフトフォーク60eが固定されるフォークシャフト60fには、図5(a)(b)に示すようなディテント機構72が設けられる。
ディテント機構72は、ニュートラル位置に対応して2個の凸部72a,72bの対向する内側の傾斜面に形成された第1底部72cと、ギヤイン位置に対応して2個の凸部72a,72bの外側の傾斜面に形成された第2低部72d,72eとからなる凹凸面72fと、凹凸面72fにスプリング(付勢手段)72gで付勢されるボール(球体)72hとからなる。符号72iはスプリング72gの支点となるガイドである。
変速の際、シフトフォーク60eの移動に応じて球体72dはスプリング72gの付勢力に打ち勝って第1低部72cから脱出して凸部72aあるいは72bを乗り越え、次いで第2低部72dあるいは72eに向けて落下してそこに保持される。
ディテント機構72により、シフトフォーク60eは、中央の第1低部(ニュートラル位置)72cあるいは左右の第2低部(インギヤ位置)72d,72eにあるときは、その位置に保持されて油圧供給が不要となるように構成される。
図2の説明に戻ると、第5リニアソレノイドバルブ70jの出力ポートは前記した奇数段入力軸16の第1クラッチ(CL1)24に接続されると共に、第6リニアソレノイドバルブ70kの出力ポートは偶数段入力軸14の第2クラッチ(CL2)26のピストン室に接続される。
第1あるいは第2クラッチ24,26は油圧を供給されるとき、第1あるいは第2副入力軸20,22を奇数段入力軸16あるいは偶数段入力軸14に締結(係合)する一方、油圧が排出されるとき、第1あるいは第2副入力軸20,22と奇数段入力軸16あるいは偶数段入力軸14の接続(締結)を遮断する。
図示のツインクラッチ型の変速機Tにあっては、次の変速段に対応するギヤ締結機構60のいずれかに油圧を供給して第1、第2副入力軸20,22のいずれかに締結(係合)しておき(この動作を「プリシフト」という)、次いで現在の変速段に相応する側の第1、第2クラッチ24,26の一方から油圧を排出させつつ、第1、第2副入力軸20,22のうちの次の変速段に対応する副入力軸に相応する側の第1、第2クラッチ24,26の他方に油圧を供給して第1入力軸14あるいは第2入力軸16に締結(係合)する(この動作を「CtoC」(クラッチ・ツー・クラッチ)変速という)ことで変速される。変速は基本的には奇数段(1,3,5,7速)と偶数段(2,4,6,8速)の間で交互に行われる。
尚、油圧供給装置にあっては、上記以外にも複数個のリニアソレノイドバルブなどを備え、それらの励磁・消磁を介してトルクコンバータ12のロックアップクラッチ12dの締結・解放動作も制御されるが、この発明と直接の関連を有しないので、その説明は省略する。
図1の説明に戻ると、変速機Tはシフトコントローラ74を備える。シフトコントローラ74はマイクロコンピュータを備えた電子制御ユニット(ECU)として構成される。また、エンジン10の動作を制御するために同様にマイクロコンピュータを備えた電子制御ユニットから構成されるエンジンコントローラ76が設けられる。
シフトコントローラ74はエンジンコントローラ76と通信自在に構成され、エンジンコントローラ76からエンジン回転数、スロットル開度、アクセル(AP)開度などの情報を取得する。
また4個のギヤ締結機構60のシフトフォークに固定されるフォークシャフト60fには磁性体が取り付けられると共に、その付近にはストロークセンサ80がそれぞれ配置され、シフトフォーク、換言すればスリーブ60gの軸方向のストローク(移動)を示す出力を通じてギヤ締結機構のスリーブ60gの挙動の変化、具体的にはスリーブ60gがギヤイン位置からニュートラル位置に向けて移動している移動状態を示す出力(電圧値)を生じる。
偶数段入力軸14の付近には第1の回転数センサ82が配置され、変速機Tの入力回転数NMを示す信号を出力すると共に、第1、第2副入力軸20,22にはそれぞれ第2、第3の回転数センサ84,86が配置され、それらの回転数を示す信号を出力する。出力軸28には第4の回転数センサ90が配置され、出力軸28の回転数(変速機Tの出力回転数)NCを示す信号を出力する。ドライブシャフト74の付近には第5の回転数センサ92が配置され、車速Vを示す信号を出力する。
油圧供給装置80の第1、第2クラッチ24,26に接続される油路には第1、第2の圧力センサ94,96が配置され、第1、第2クラッチ24,26に供給される作動油ATFの圧力(油圧)を示す信号を出力すると共に、リザーバ70aの付近には温度センサ100が配置され、油温(作動油ATFの温度)TATFを示す信号を出力する。
また車両1の運転席に配置されたレンジセレクタ(図示せず)の付近にはレンジセレクタポジションセンサ102が配置され、レンジセレクタ上に運転者から見て上から順にP,R,N,Dと示されたレンジのうち運転者に操作(選択)されたレンジを示す信号を出力する。
これらセンサの出力は全てシフトコントローラ74に入力される。シフトコントローラ74は、それらセンサの出力とエンジンコントローラ76と通信して得られる情報に基づき、第1から第6リニアソレノイドバルブ70fから70kを励磁・消磁して第1、第2クラッチ24,26とギヤ締結機構60の動作を制御することで変速機Tの動作を制御する。
シフトコントローラ74は油圧(シフト力)供給制御手段として機能し、車両1の走行速度(車速)Vとアクセルペダルの開度(アクセル開度)APで規定される走行状態に応じて変速マップ(図示せず)に従って4個のギヤ締結機構60のうちの1−3速ギヤ締結機構60(1-3)と5−7速ギヤ締結機構60(5-7)のいずれかと第1クラッチ24で構成される第1入力軸(奇数段入力軸16と第1副入力軸20)と4個(複数個)のギヤ締結機構60のうちのいずれかの機構と第1クラッチ24から出力軸28に至る第1出力経路と、第2入力軸(偶数段入力軸14と第2副入力軸22)と4個のギヤ締結機構60のうちの別の機構と第2クラッチ26から出力軸28に至る第2出力経路とのうちの一方に油圧を供給して一方を構成するギヤ締結機構60のスリーブ60gによって締結された1速ドライブギヤ32から7速−8速ドリブンギヤ54のうちの相応するギヤからなる変速ギヤでエンジン10の駆動力を変速して出力させるように変速機Tの動作を制御する。
この実施例において特徴的なことは、4個のギヤ締結機構60のスリーブ60gがそれぞれ、ニュートラル位置に対応して2個の凸部72a,72bの対抗する内側の傾斜面に連続して形成された第1低部72cとギヤイン位置に対応して凸部72a,22bの外側の傾斜面に連続して形成された第2低部72d,72eとからなる凹凸面72fと、凹凸面72fにスプリング(付勢手段)72gで付勢されるボール(球体)72hとからなるディテント機構72を介して移動可能とされる構成において、所定変速比、具体的には4速以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構のディテント機構のスプリング72gの付勢力を、所定変速比を超える変速ギヤを備えたギヤ締結機構のそれよりも大きく設定する如く構成したことである。
即ち、ギヤ締結機構60にあっては、スリーブ60gを微小なエネルギでニュートラル位置あるいはギヤイン位置に保持するため、ディテント機構72を設け、ボール72hをスプリング72gによってニュートラル位置に対応して2個の凸部72a,72bの内側に形成された第1低部72c、あるいはギヤイン位置に対応してその外側に形成された第2底部72d,72eに付勢するように構成している。
また、スプリング72gの付勢力は、ボール72hを第1低部72cと第2低部72d,72eに確実に保持するためと、ボール72hが第1底部72cと第2底部72c,72dの中間の凸部72a,72bの付近で停止したとき、第1低部72cに確実に戻すために、ある程度大きな値に設定される。
その結果、変速の際、ボール72hがその付勢力に打ち勝って第1低部72cから脱出して凸部72d(あるいは72e)を乗り越え、次いで第2低部72c(あるいは72d)に向けて移動するとき、移動速度が加速され、スリーブ60gが変速ギヤのドグ歯と接触する際に接触音が発生する。この接触音は運転者が予期しないタイミングで発生することから、運転者に違和感を与えてしまう。
そこで、この実施例においては、所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構60のディテント機構72のスプリング72gの付勢力を、所定変速比を超える変速ギヤを備えたギヤ締結機構60のそれ(付勢力)よりも大きく設定する如く構成した。
これについて説明すると、接触音は、低車速ではエンジン音や車輪と路面の摩擦音(ロードノイズ)が小さいために運転者に聴取されて違和感を与える一方、高車速ではロードノイズなどが増大することから、運転者に聴取され難くなり、結果として違和感を与え難くなる。また、ボール72hが第1低部72cと第2低部72d(あるいは72e)の中間で停止すると、高車速ではエンジン10の回転数に対する車速の差が大きくなってギヤ締結機構60の負荷が増加してしまうが、低車速ではその負荷は比較的小さい。
従って、この実施例にあっては、所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構60、例えば所定変速比を4速とするとき、1速から4速までの1−3速ギヤ締結機構60(1-3)と2−4速ギヤ締結機構60(2-4)のスプリング72gの付勢力を、所定変速比を超える変速ギヤ、例えば5速から8速を備えた5−7ギヤ締結機構60(5-7)と6−8ギヤ締結機構60(6-8)のスプリング72gの付勢力よりも大きく設定する如く構成した。
これにより、変速準備の際のスリーブ60gのニュートラル位置への復帰の確実性の確保とスリーブ60gと変速ギヤの接触音の低減化とを可能な限り両立させることができる。また、接触音の低減化によって運転者が違和感を受け難くすることができる。
さらに、ディテント機構72において2個の凸部72a,72bの離間距離は、長いほど、ボール72hを第1低部72cに確実に戻すことができる。
その点に鑑み、この実施例にあっては、上記した所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構60のディテント機構72の2つの凸部72a,72bの離間距離を、所定変速比を超える変速ギヤを備えたギヤ締結機構のそれよりも長く設定する如く構成した。
換言すれば、所定変速比以上の変速ギヤを備えたギヤ締結機構60、より具体的には1速から4速までの1−3速ギヤ締結機構60(1-3)と2−4速ギヤ締結機構60(2-4)のディテント機構72の2つの凸部72a,72bの離間距離d1(図5(a)に示す)を、所定変速比未満の変速ギヤを備えたギヤ締結機構、より具体的には5速から8速を備えた5−7ギヤ締結機構60(5-7)と6−8ギヤ締結機構60(6-8)のそれ、換言すればディテント機構72の2つの凸部72a,72bの離間距離d2(図5(b)に示す)よりも短く設定する如く構成した。
これにより、変速準備の際のスリーブ60gのニュートラル位置への復帰の確実性を確保することができる。所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構60のディテント機構72のスプリング72gの付勢力を然らざる場合よりも大きく設定したことも相まって、変速準備の際のスリーブのニュートラル位置への復帰の確実性の確保とスリーブと変速ギヤの接触音の低減化とを確実に両立させることができる。また、接触音の低減化によって運転者が違和感を受け難くすることができる。
また、所定変速比は、ギヤ締結機構で生じると推定される作動音を、予め実験を通じて求められた車両の走行速度に対する走行時の騒音特性との比較結果に基づいて設定される変速比である如く構成したので、上記した効果に加え、所定変速比を適正に設定することができる。
これについて説明すると、図6は、図3に示すギヤ締結機構の中のディテント機構72のスプリング72gの付勢力の設定の根拠となる所定変速比を説明する説明図である。
図6において符号aは予め実験を通じて求められた車両の走行速度に対する走行時の騒音特性を、星印はギヤ締結機構60で生じると推定される作動音(接触音)を示す。
前記した如く、作動音は、低車速ではエンジン音や車輪と路面の摩擦音(ロードノイズ)が小さいために運転者に聴取されて違和感を与えてしまう。実施例の場合、変速機Tは8速段を備えるが、図示の如く、比較的低車速で使用される4速段(所定変速比)以下の低速段(高変速比)での作動音は騒音特性aを超えるため、運転者に違和感を与えてしまう。
他方、4速段を越える5速以上の高速段(低変速比)での作動音は騒音特性aを超えないことと、高車速ではロードノイズなども増大することから、運転者に聴取され難くなり、結果として違和感を与え難くなる。そこで、この実施例においては所定変速比を4速としてギヤ締結機構60のディテント機構72のスプリング72gの付勢力と2つの凸部72a,72bの離間距離dnを上記のように設定した。
尚、図6に示す騒音特性aは一例であり、例えば変速機Tの特性が経済性を重視した車両の場合、その特性は符号bで示すようになる。いずれにしても、騒音特性はエンジン10の排気管形状や車両1の車体の形状により異なるので、その都度、実験により求めて所定変速比を決定する必要がある(ただし、ギヤ締結機構60の作動音は変速機Tが同一で変速比が同一であれば似たような数値となる)。
さらに、この実施例においてシフトコントローラ74は、制御によっても変速準備の際のスリーブ60gのニュートラル位置への復帰の確実性の確保を図るように構成した。
図7はシフトコントローラ84のその動作を示すフロー・チャート、図8は図7フロー・チャートの処理を説明するタイム・チャートである。
図7を参照して説明すると、S10(S:処理ステップ)においてストロークセンサ80の出力(電圧値)を読み込み、S12に進み、ストロークセンサ80の検出誤差でN(ニュートラル)戻し判定閾値(後述)を補正する。図8にその閾値を示す。検出誤差は実験を通じて予め設定された誤差と、走行の度に図示しないルーチンで得られたフォークシャフト60fを支持するブシュの経年劣化などによる誤差を含む。
次いでS14に進み、温度センサ100から検出された油温に基づいて図8に示すN(ニュートラル)戻し判定閾値(後述)を補正する。閾値を油温で補正するのは、前記したようにストロークセンサ80はフォークシャフト60fに取り付けられた磁性体の磁束変化からシフトフォーク60eの位置を検出するが、その配置位置が作動油の飛散を受け易く、その結果、検出精度が低下し易い位置にあるからである。
また、油温が上昇するほど作動油が飛散して検出精度が低下すると推定されることから、図8において閾値の補正は常温では零とすると共に、油温で可変、より具体的には油温が上昇するにつれてN戻し制御実行領域が増加するように閾値を補正する。
次いでS16に進み、ストロークセンサ80の出力を図8の閾値と比較し、センサ出力が閾値を超えるN戻し制御実行領域内か否か判断する。この判断は、ディテント機構72においてボール72h(換言すればスリーブ60g)が第1底部72cよりも第2底部72d(あるいは72e)に近接して凹凸面72f上で停止(図4のボーク位置相当)しているか否か推定することにより行う。
S16においてより具体的には、ボール72hが第1底部72cと第2底部72d(あるいは72e)の間で第1底部72cよりも第2底部72d(あるいは72c)に近接して凹凸面72f上で停止しているか否か推定し、よってスプリング72gの付勢力によってはボール72h(スリーブ60g)がそのままニュートラル位置に復帰せず、シフト力を供給してボール72hをニュートラル位置に復帰させる必要があるか否か判断する。
S16で肯定されるときは、ボール72hが第1底部72cと第2底部72d(あるいは72e)の間で第1底部72cよりも第2底部72d(あるいは72e)に近接して凹凸面72f上で停止していると推定され、シフト力を供給しないとボール72hがニュートラル位置に復帰せず、そのまま放置すると、エンジン回転数NEに対する車速Vの差が大きくなってギヤ締結機構60の負荷が増加すると判断されることから、S18に進み、N戻し制御を実行する。即ち、ボール72hを第1低部72cに戻すべく、対応するピストン60b1(あるいは60b2)を動作させる。
一方、S16で否定されるときは、ボール72hが第1底部72cと第2底部72d(あるいは72e)の間で第1底部72cよりも第2底部72d(あるいは72e)に近接して凹凸面72f上で停止していると推定されず、換言すれば第2底部72d(あるいは72e)よりも第1底部72cに近接して凹凸面72f上で停止していると推定され、よってスプリング72gの付勢力によってボール72h(スリーブ60g)がそのままニュートラル位置に復帰すると判断されることから、S20に進み、N戻し制御を実行しないこととする。S18でN戻し制御が実行された後は、改めてスリーブ60gをギヤイン位置に移動させる処理が行われる。
上記した如く、この実施例にあっては、車両1に搭載される原動機(エンジン)10に接続される入力要素(奇数段入力軸16と第1副入力軸20からなる第1入力要素、偶数段入力軸14と第2副入力軸22からなる第2入力要素)と、前記入力要素と平行に配置される少なくとも1個の出力要素(出力軸28)と、前記入力要素と前記出力要素との間に配置される複数組の変速ギヤ(1速ドライブギヤ32から7速−8速ドリブンギヤ54)と、シフト力(油圧)を供給されるとニュートラル位置からギヤイン位置に移動して前記変速ギヤを前記入力要素または前記出力要素に締結可能なスリーブ60gを少なくとも有する複数個のギヤ締結機構60と、前記ギヤ締結機構にシフト力を供給可能なアクチュエータ(ピストン60b1,60b2)と、前記車両1の走行状態に応じて前記アクチュエータによる前記ギヤ締結機構へのシフト力の供給を制御して前記ギヤ締結機構によって締結された変速ギヤで規定される変速比で前記原動機の駆動力を変速して出力させるシフト力供給制御手段(シフトコントローラ74)とを備えると共に、前記複数個のギヤ締結機構60のスリーブ60gがそれぞれ、前記ニュートラル位置に対応して2個の凸部72a,72bの対向する内側の傾斜面に連続して形成された第1低部72cと前記ギヤイン位置に対応して前記2個の凸部の外側の傾斜面に連続して形成された第2低部72d,72eとからなる凹凸面72fと、前記凹凸面に付勢手段(スプリング)72gで付勢される球体(ボール)72hとからなるディテント機構72を介して移動可能とされる変速機Tのギヤ締結装置において、所定変速比(4速)以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構60(1-3),60(2-4)の前記ディテント機構72の付勢手段の付勢力を、前記所定変速比を超える変速ギヤを備えたギヤ締結機構60(5-7),60(6-8)のそれよりも大きく設定する如く構成したので、変速準備の際のスリーブ60gのニュートラル位置への復帰の確実性の確保とスリーブと変速ギヤの接触音の低減化とを可能な限り両立させることができる。また、接触音の低減化によって運転者が違和感を受け難くすることができる。
より具体的には、この実施例にあっては、車両1に搭載される原動機(エンジン)10に第1、第2クラッチ24,26を介して接続される第1、第2入力要素(奇数段入力軸16と第1副入力軸20からなる第1入力要素、偶数段入力軸14と第2副入力軸22からなる第2入力要素)と、前記第1、第2入力要素と平行に配置される少なくとも1個の出力要素(出力軸28)と、前記第1、第2入力要素と前記出力要素との間に配置される複数組の変速ギヤ(1速ドライブギヤ32から7速−8速ドリブンギヤ54)と、シフト力(油圧)を供給されるとニュートラル位置からギヤイン位置に移動して前記複数組をそれぞれ構成する変速ギヤの一方を前記第1、第2入力要素の一方または前記出力要素に締結可能なスリーブ60gを少なくとも有する複数個のギヤ締結機構60と、前記ギヤ締結機構にシフト力を供給可能なアクチュエータ(ピストン60b1,60b2)と、前記車両1の走行状態に応じて前記アクチュエータによる前記第1入力要素から前記複数個のギヤ締結機構のうちの第1ギヤ締結機構60と前記第1クラッチ24を介して前記出力要素に至る第1出力経路と前記第2入力要素から前記複数個のギヤ締結機構のうちの第2ギヤ締結機構60と前記第2クラッチ26を介して前記出力要素に至る第2出力経路をそれぞれ構成する前記第1、第2ギヤ締結機構のうちの一方へのシフト力の供給を制御して前記一方を構成するギヤ締結機構によって締結された変速ギヤで規定される変速比で前記原動機の駆動力を変速して出力させる油圧(シフト力)供給制御手段(シフトコントローラ74)とを備えると共に、前記複数個のギヤ締結機構60のスリーブ60gがそれぞれ、前記ニュートラル位置に対応して2個の凸部72a,72bの対向する内側の傾斜面に連続して形成された第1低部72cと前記ギヤイン位置に対応して前記2個の凸部の外側の傾斜面に連続して形成された第2低部72d,72eとからなる凹凸面72fと、前記凹凸面に付勢手段(スプリング)72gで付勢される球体(ボール)72hとからなるディテント機構72を介して移動可能とされる変速機Tのギヤ締結装置において、所定変速比(4速)以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構60(1-3),60(2-4)の前記ディテント機構72の付勢手段の付勢力を、前記所定変速比を超える変速ギヤを備えたギヤ締結機構60(5-7),60(6-8)のそれよりも大きく設定する如く構成したので、変速機T、特にツインクラッチ型の変速機Tのギヤ締結機構において、変速準備の際のスリーブ60gのニュートラル位置への復帰の確実性の確保とスリーブと変速ギヤの接触音の低減化とを可能な限り両立させることができる。また、接触音の低減化によって運転者が違和感を受け難くすることができる。
また、車両1に搭載される原動機(エンジン)10に接続される入力要素(奇数段入力軸16と第1副入力軸20からなる第1入力要素、偶数段入力軸14と第2副入力軸22からなる第2入力要素)と、前記入力要素と平行に配置される少なくとも1個の出力要素(出力軸28)と、前記入力要素と前記出力要素との間に配置される複数組の変速ギヤ(1速ドライブギヤ32から7速−8速ドリブンギヤ54)と、シフト力(油圧)を供給されるとニュートラル位置からギヤイン位置に移動して前記変速ギヤを前記入力要素または前記出力要素に締結可能なスリーブ60gを少なくとも有する複数個のギヤ締結機構60と、前記複数個のギヤ締結機構にシフト力を供給可能なアクチュエータ(ピストン60b1,60b2)と、前記車両の走行状態に応じて前記アクチュエータによる前記ギヤ締結機構へのシフト力の供給を制御して前記ギヤ締結機構によって締結された変速ギヤで規定される変速比で前記原動機の駆動力を変速して出力させるシフト力供給制御手段(シフトコントローラ74)とを備えると共に、前記複数個のギヤ締結機構のスリーブがそれぞれ、前記ニュートラル位置に対応して2個の凸部72a,72bの対向する内側の傾斜面に連続して形成された第1低部72cと前記ギヤイン位置に対応して前記2個の凸部の外側の傾斜面に連続して形成された第2低部72d,72eとからなる凹凸面72fと、前記凹凸面に付勢手段(スプリング)72gで付勢される球体(ボール)72hとからなるディテント機構72を介して移動可能とされる変速機Tのギヤ締結装置において、所定変速比(4速)以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構60(1-3),60(2-4)のの前記ディテント機構72の前記2個の凸部の離間距離d1を、前記所定変速比を超える変速ギヤを備えたギヤ締結機構60(5-7),60(6-8)のそれ(d2)よりも長く設定する如く構成したので、変速準備の際のスリーブ60gのニュートラル位置への復帰の確実性の確保と、スリーブと変速ギヤの接触音の低減化とを可能な限り両立させることができる。
また、前記所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構の前記ディテント機構の付勢手段の付勢力を、前記所定変速比を超える変速ギヤを備えたギヤ締結機構のそれよりも大きく設定すると共に、前記所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構の前記ディテント機構の2個の凸部の離間距離は、前記所定変速比を超える変速ギヤを備えたギヤ締結機構のそれよりも長く設定される如く構成したので、変速準備の際のスリーブ60gのニュートラル位置への復帰の確実性の確保とスリーブ60gと変速ギヤの接触音の低減化とを確実に両立させることができる。
また、前記ギヤ締結機構60で生じると推定される作動音を、予め実験を通じて求められた前記車両1の走行速度に対する走行時の騒音特性との比較結果に基づいて設定される変速比である如く構成したので、上記した効果に加え、所定変速比を適正に設定することができる。
また、前記スリーブ60gは、前記アクチュエータ(60b1,60b2)によって前記シフト力を供給されるとき、前記ニュートラル位置とギヤイン位置の間で移動する如く構成したので、スリーブ60gの位置に応じて適切に推力を変えることができるため、上記した効果に加え、異音の発生を配慮しつつ、スリーブ60gを確実に移動させることができる。
また、前記スリーブ60gの位置を示す出力を生じるスリーブ位置センサ(ストロークセンサ)80を備えると共に、前記シフト力供給制御手段は、前記スリーブ位置センサの出力から前記ディテント機構の球体(ボール)72hが前記第1低部72cと前記第2低部72d,72eの間で前記第1低部72cよりも前記第2低部72d,72eに近接して前記凹凸面72f上で停止していると推定されるときには前記シフト力を供給して前記球体を前記第1低部72cに向けて移動させる一方、前記球体が前記第2低部よりも前記第1低部に近接して停止していると推定されるときには前記シフト力を供給することなしに、または前記シフト力を減少して供給して前記球体を前記第1低部に向けて移動させる(S10からS20)如く構成したので、上記した効果に加え、アクチュエータによるニュートラル位置への修正を繰り返すことなく、スリーブ60gをニュートラル位置に確実に復帰させることができる。
また、前記シフト力供給制御手段は、スリーブ位置センサの出力がスリーブ位置センサの検出誤差を考慮して設定される閾値内にあるとき、ディテント機構の球体(ボール)72hが第1低部72cと第2低部72d,72eの間で第1低部72cよりも第2低部72d,72eに近接して凹凸面72f上で停止していると推定する(S16)如く構成したので、上記した効果に加え、センサ出力に誤差がある場合でも球体72h、即ち、スリーブ60gをニュートラル位置に確実に復帰させることができる。
また、前記シフト力供給制御手段は、作動油の圧力を介して前記シフト力を制御すると共に、前記スリーブ位置センサの出力が前記作動油の温度を考慮して設定される閾値内にあるとき、前記ディテント機構の球体(ボール)72hが前記第1低部72cと前記第2低部72d,72eの間で前記第1低部72cよりも前記第2低部72d,72eに近接して前記凹凸面72f上で停止していると推定する(S16)如く構成したので、上記した効果に加え、環境状態の影響を受ける場合であっても球体72h、即ちスリーブ60gをニュートラル位置に確実に復帰させることができる。
また、前記閾値は、前記作動油の温度が低くなるほど増加するように設定される如く構成したので、上記した効果に加え、同様に環境状態の影響を受けて球体(ボール)72h、即ち、スリーブ60gが移動し難い状態にある場合であっても、球体72h、即ちスリーブ60gをニュートラル位置に確実に復帰させることができる。
また、前記所定変速比は、前記原動機(エンジン)10から駆動輪(車輪68)までの総減速比において6相当の変速比である如く構成したので、原動機としてエンジン10を搭載する大多数の自動車において、低車速での静粛性と高車速での作動確実性とを適切にバランスさせた設定とすることができる。
尚、上記において油圧供給装置70を設け、ギヤ締結機構のスリーブを移動させるシフト力を油圧から構成したが、油圧に代え、電動など他の機械的な機構を設け、その出力をシフト力としてスリーブに供給するようにしても良い。
また、ディテント機構70に第2低部72d,72eを平坦な形状に形成したが、図5(a)に想像線で示す如く、第2底部72d,72eは第1底部72cと同様、凹状に形成しても良い。
また、変速機Tとしてツインクラッチ型の自動変速機を例にとって説明したが、それに限られるものではなく、上記したギヤ締結機構を備えるものであれば、どのような構成であっても良い。
また、原動機としてエンジン(内燃機関)を例示したが、それに限られるものではなく、エンジンと電動機とのハイブリッドであっても良く、電動機であっても良い。
T 変速機(自動変速機)、1 車両、10 エンジン(原動機)、12 トルクコンバータ、12d ロックアップクラッチ、14 偶数段入力軸(入力要素)、16 奇数段入力軸(入力要素)、18 アイドル軸、20 第1副入力軸(入力要素)、22 第2副入力軸(入力要素)、24 第1クラッチ、26 第2クラッチ、28 出力軸(出力要素)、32,34,36,38,40,42,44,46 ドライブギヤ、48,50,52,54 ドリブンギヤ、56 RVSアイドルギヤ、58 RVSクラッチ、60 ギヤ締結機構、60b1,60b2 ピストン(油圧アクチュエータ)、60g スリーブ、68 車輪、70 油圧供給装置、70b 油圧ポンプ、70c レギュレータバルブ(調圧弁)、70f,70g,70h,70i,70j,70k 第1から第6リニアソレノイドバルブ、70m,70n,70o,70p 第1から第4サーボシフトバルブ、72 ディテント機構、72a,72b 凸部、72c 第1低部、72d,72e 第2低部、72f 凹凸面、72g スプリング(付勢手段)、72h ボール(球体)、74 シフトコントローラ(油圧(シフト力)供給制御手段)、76 エンジンコントローラ、80 ストロークセンサ(スリーブ位置センサ)、100 温度センサ

Claims (10)

  1. 車両に搭載される原動機に接続される入力要素と、前記入力要素と平行に配置される少なくとも1個の出力要素と、前記入力要素と前記出力要素との間に配置される複数組の変速ギヤと、シフト力を供給されるとニュートラル位置からギヤイン位置に移動して前記変速ギヤを前記入力要素または前記出力要素に締結可能なスリーブを少なくとも有する複数個のギヤ締結機構と、前記複数個のギヤ締結機構にシフト力を供給可能なアクチュエータと、前記車両の走行状態に応じて前記アクチュエータによる前記ギヤ締結機構へのシフト力の供給を制御して前記ギヤ締結機構によって締結された変速ギヤで規定される変速比で前記原動機の駆動力を変速して出力させるシフト力供給制御手段とを備えると共に、前記複数個のギヤ締結機構のスリーブがそれぞれ、前記ニュートラル位置に対応して2個の凸部の対向する内側の傾斜面に連続して形成された第1低部と前記ギヤイン位置に対応して前記2個の凸部の外側の傾斜面に連続して形成された第2低部とからなる凹凸面と、前記凹凸面に付勢手段で付勢される球体とからなるディテント機構を介して移動可能とされる変速機のギヤ締結装置において、所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構の前記ディテント機構の付勢手段の付勢力を、前記所定変速比を超える変速ギヤを備えたギヤ締結機構のそれよりも大きく設定するように構成したことを特徴とする変速機のギヤ締結装置。
  2. 車両に搭載される原動機に接続される入力要素と、前記入力要素と平行に配置される少なくとも1個の出力要素と、前記入力要素と前記出力要素との間に配置される複数組の変速ギヤと、シフト力を供給されるとニュートラル位置からギヤイン位置に移動して前記変速ギヤを前記入力要素または前記出力要素に締結可能なスリーブを少なくとも有する複数個のギヤ締結機構と、前記複数個のギヤ締結機構にシフト力を供給可能なアクチュエータと、前記車両の走行状態に応じて前記アクチュエータによる前記ギヤ締結機構へのシフト力の供給を制御して前記ギヤ締結機構によって締結された変速ギヤで規定される変速比で前記原動機の駆動力を変速して出力させるシフト力供給制御手段とを備えると共に、前記複数個のギヤ締結機構のスリーブがそれぞれ、前記ニュートラル位置に対応して2個の凸部の対向する内側の傾斜面に連続して形成された第1低部と前記ギヤイン位置に対応して前記2個の凸部の外側の傾斜面に連続してそれぞれ形成された第2低部とからなる凹凸面と、前記凹凸面に付勢手段で付勢される球体とからなるディテント機構を介して移動可能とされる変速機のギヤ締結装置において、所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構の前記ディテント機構の前記2個の凸部の離間距離を、前記所定変速比を超える変速ギヤを備えたギヤ締結機構のそれよりも長く設定するように構成したことを特徴とする変速機のギヤ締結装置。
  3. 前記所定変速比以下の変速ギヤを備えたギヤ締結機構の前記ディテント機構の前記2個の凸部の離間距離は、前記所定変速比を超える変速ギヤを備えたギヤ締結機構のそれよりも長く設定されることを特徴とする請求項1記載の変速機のギヤ締結装置。
  4. 前記所定変速比は、前記ギヤ締結機構で生じると推定される作動音を、予め実験を通じて求められた前記車両の走行速度に対する走行時の騒音特性との比較結果に基づいて設定される変速比であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の変速機のギヤ締結装置。
  5. 前記スリーブは、前記アクチュエータによって前記シフト力を供給されるとき、前記ニュートラル位置と前記ギヤイン位置の間で移動することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の変速機のギヤ締結装置。
  6. 前記スリーブの位置を示す出力を生じるスリーブ位置センサを備えると共に、前記シフト力供給制御手段は、前記スリーブ位置センサの出力から前記ディテント機構の球体が前記第1低部と前記第2低部の間で前記第1低部よりも前記第2低部に近接して前記凹凸面上で停止していると推定されるときには前記シフト力を供給して前記球体を前記第1低部に向けて移動させる一方、前記球体が前記第2低部よりも前記第1低部に近接して停止していると推定されるときには前記シフト力を供給することなしに、または前記シフト力を減少して供給して前記球体を前記第1低部に向けて移動させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の変速機のギヤ締結装置。
  7. 前記シフト力供給制御手段は、前記スリーブ位置センサの出力が前記スリーブ位置センサの検出誤差を考慮して設定される閾値内にあるとき、前記ディテント機構の球体が前記第1低部と前記第2低部の間で前記第1低部よりも前記第2低部に近接して前記凹凸面上で停止していると推定することを特徴とする請求項6記載の変速機のギヤ締結装置。
  8. 前記シフト力供給制御手段は、作動油の圧力を介して前記シフト力を制御すると共に、前記スリーブ位置センサの出力が前記作動油の温度を考慮して設定される閾値内にあるとき、前記ディテント機構の球体が前記第1低部と前記第2低部の間で前記第1低部よりも前記第2低部に近接して前記凹凸面上で停止していると推定することを特徴とする6または7記載の変速機のギヤ締結装置。
  9. 前記閾値は、前記作動油の温度が低くなるほど増加するように設定されることを特徴とする請求項7または8記載の変速機のギヤ締結装置。
  10. 前記所定変速比は、前記原動機から駆動輪までの総減速比において6相当の変速比であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の変速機のギヤ締結装置。
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JP2018115735A (ja) * 2017-01-20 2018-07-26 ジヤトコ株式会社 回転伝達機構

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